バレエについての鑑賞記、発見、情報、考えたことなど更新中
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2024年9月17日火曜日
ガーシュインな組曲!ー東編ー BALLET NOW バレエナウ第17回発表会 8月27日(火)《東京都八王子市》
8月27日(火)、八王子市の南大沢にてBALLET NOW バレエナウ第17回発表会を観て参りました。2019年、2021年、2022年、2023年に続き5回目の鑑賞です。
http://ballet-now.com/
世の子供達の夏休み期間真っ只中なこともあって毎回平日夕方開催ですが、仕事を終えて平日昼過ぎの京王線に乗車してのんびり下り方面への電車1本での移動からして
ワクワク感が止まらず。職場から電車で1本、京王線乗車時から、そしてゲストのみならず生徒さんの出番作品も含め毎年楽しみにさせていただいております。
主宰は川崎浩美さん貝川鐵夫さん。新国立劇場バレエ団から毎回ゲストが招かれ、お馴染みの渡邊峻郁さん速水渉悟さん、そして山田悠貴さんが初登場でした。
幕開けは子供の生徒さん達のフェアリーランド。タイトルからして可愛らしい妖精さんが大勢登場であるのは想像通りでしたが意外な組み合わせであったのが音楽で
メルヘンな雰囲気の曲を使用かと思いきや、グノーのファウスト『ワルプルギスの夜』。ちょうど先週末に神戸で貞松・浜田バレエ団が、
今週末にはスターダンサーズ・バレエ団が埼玉県にて上演予定でおり、どれも好きな曲であるため埼玉での鑑賞の楽しみが増しておりますが
フィナーレのフリネの踊りまで、私が5歳の頃から(初めての発表会にて上級生達が踊っていた)とりわけ聴き惚れているヌビア人の奴隷の踊りも含めほぼ全編曲順はそのままに
哀愁感を帯び、きりっと大人びた神秘的な曲の構成と子供達の可愛らしい無邪気さが不思議としっくり響きました。
貝川さん川崎さんご夫妻のご子息2人も随分と大きくなっていて、生徒さんをエスコートする振付も頼もしくご披露。
またとっても小さなお子さんも安心して舞台に立てるよう、上級生がさりげなく先導して立ち位置に案内する振付が自然に組み込まれ、
昨年夏のチャレンジセクションにてムードメーカーと紹介されていた生徒さんが優しく導いてあげていて、頼りになるお姉さんぶりに拍手です。
こういった優しさは幼児の生徒さんも何年経っても何処かしらで覚えているもので
(私自身そうでした。初めての発表会本番前に困り事があったとき、手を引いてくれたトレパックのお姉さんの優しいお顔や衣装、名前も今も覚えております)
バレエでもそうでない場所でも、次は自分が!と手を差し伸べて行動を起こすきっかけにも繋がることでしょう。
今回グラン・パ・ド・ドゥは3本あり、全てに共通していたのは楽しい美しい世界観や語り合いが伝わってきたこと。
まず『ドン・キホーテ』をアシスタントの方と山田さんが踊られ、苦難を乗り越えた様子も浮かんでくる、朗らかで幸せいっぱいな結婚式。
パ・ド・ドゥは大変久々とご自身の投稿にも綴っていらっしゃいましたが、勢い任せになりがちなドンキにて1つ1つを丁寧にしっかりと踊ろうとなさる姿勢に感激。
そんな真摯な踊り方に山田さんも応え、更にもう一段階引き上げるようにリードなさる明るく情熱的なバジルでした。
昨年のチャレンジセクションにて、海賊のヴァリエーションを踊り終えたあとに次月からアシスタントに着任と川崎先生から紹介があり、
実に謙虚そうなお人柄を思わすご挨拶や、それまでも例えばキャラクターダンス等で先頭に立って頼りになる存在なお方だなと
素敵な印象を持っておりました。アシスタントの立場でのパ・ド・ドゥ挑戦は大変な緊張もおありだったと察しますが、
きちんと丁寧に、のモットーは指導する上でも大切になさっていると伺えました。
よく劇場でもお見かけしており、以前から応援させていただいておりますが(指導者が劇場に足繁く通うこと、大事です!)今後も応援しております!
2本目が今秋からミュンヘンに留学される生徒さんと渡邊さんの『眠れる森の美女』。
お2人の組み合わせは2022年のアルレキナーダ、、2023年のグラン・パ・クラシックに続き3回目のパ・ド・ドゥで
2年前はまだまだあどけなかった生徒さんがぐっと美しく大人びた姿で登場され、麗しさにびっくりです。
独特の透明感もお持ちで涼やかな品格や堂々とした優雅さにも天晴れで、新国立プリンシパルの渡邊さんと並んでも組んでもパッと絵になる姫と王子。
先生の紹介によれば大変な努力を重ねてコンクール入賞常連となったとのことで、今年も数えきれないほどのスカラシップを獲得されています。
スタジオのエースとなり、留学前最後の舞台でもしかしたら以前よりも重圧もあったかもしれませんが芳しい気品を湛えながらの優美な踊りにもすっかり魅せられました。
今夏の眠り祭り前線の締め括りを迎えられた渡邊さんはオーロラ姫に対して宝物を愛おしむように大切に丁重にサポートなさり、
視線で身体で安心と安全はお任せくださいと言わんばかりの鉄壁デジレ王子。贔屓目かもしれませんが、あの語りかけや頷きで救われない人はいないと思っております。
加えてヴァリエーションも勇ましく凛々しく、ポーズの1つ1つがぴたりと美しい静止で、
マネージュでは会場外のイトーヨーカ堂を越えて駅反対側のTOHOシネマやアウトレットまで跳んでいきそうな勢いもあり
そして姫が登場すればあたたかな迎え入れをなさり何があってもこの王子様がいれば大丈夫と思わす説得力大。
少々王子の衣装がシンプルな気もいたしましたが、無背景であっても後方に王宮が現れたと見て取れる輝きに満ちたお2人でした。
是非またお2人で組んでいただけたらと待ち侘びております!
3本目は昨年パ・ド・ドゥに初挑戦された生徒さんが同じく速水さんと組んで今回はチャイコフスキー・パ・ド・ドゥを披露。
驚くほどに怖じ気づくことなく堂々と登場され、しかも溌剌と楽しそうで思わずこちらまで力が沸いてきてしまう踊りで楽しませてくださいました。
しかも溌剌で元気一杯ではあっても乱雑さは全くなく、あくまで美しく品良く踊るよう努め、バネやコントロール力も強いのでしょう。
速水さんとは昨年の『海賊』でもコミュニケーションがとても滑らかな印象で、初パ・ド・ドゥとは思えぬ舞台でしたが
更にすくすくと素直に伸びているご様子で、来年も益々楽しみな生徒さんです。
今回司会進行をアナウンスではなく川崎先生ご自身が舞台端に登場して行われ、スーパースター速水さんの紹介にてちらっと袖の中に目を届けると
出番寸前ながら速水さんが現れて特別スピーチ。勿論折り目正しい姿勢で登場されても華やかで、歌謡ショーのスターの如く舞台に出現。
生徒さんとたくさん練習したことや、是非皆さんにも楽しんで欲しいと挨拶なさって
実際お2人が実に楽しそうに踊りで会話を交わす光景が広がり、速水さんの爽快でぴたっとおさまるテクニックも炸裂。
今年8月の1ヶ月間で6組は鑑賞したチャイコですが、スピード感のある風を吹かせながら爽やかに踊られたお2人に再度大きな拍手を送りたい思いです。
バレエナウさんの名物として私も大変心待ちにしているキャラクターダンスも今回も上演され、今回はゴットシャルクの『タランテラ』。
音楽を聴くとタンバリン持ってのパ・ド・ドゥがすぐさま思い浮かびますが、生徒さん11人で賑やかなお祭りのように活発に踊る姿に心浮き立ち、
客席も肩肘張らずリラックスして舞台を満喫している様子も含めて気持ち良い一体感が生まれていました。
その後、高校生くらいの生徒さん2人で踊られた、Kiroroの『未来へ』に振り付けられた作品も
瑞々しくフレッシュな魅力が詰まっていて、きっと輝ける未来が頑張り屋なお2人を待っていると信じております。
急速なテンポ不変の『タランテラ』直後にも拘らず、すぐに切り替えてしっとりした作品を踊る体力にも拍手です。
『くるみ割り人形』1幕クララのような色違い衣装も可愛らしい着こなしでした。
川崎先生が曲紹介時に、Kiroroを知る世代について気にかけていらっしゃいましたがまさに今回『未来へ』にのせて踊られた生徒さん達の年頃に聴いていた私でございます。
一番好きなのは、NHK朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』主題歌のBest Friendで、休日等に再放送も視聴しつつ
その数ヶ月後に向かう予定であった沖縄についての学習を積み重ねていたものの9月に起きた世界を震撼させた事件により行き先が急遽変更となった出来事は
今も忘れられずにおります。代わりに広島市内や厳島神社、尾道市(福山駅も乗り換えで利用!)、人生初の大阪、
今では信じ難いでしょうが開業間もなく、どのアトラクションも待ち時間15分以内で乗れるほど
まだガラガラに空いていたUSJに滞在した修学旅行を思い出した次第です。
第3部では全員出演の作品『I Got Rhythm』。ガーシュインのいくつかの曲で構成され、ショーダンス風な総踊りもあれば少人数で踊る箇所もあり。
昔からガーシュインの曲は好きで舞踊化も多くなされていますが
今回より興味を持たせたのが、ゲストと生徒さんの混在型にした構成の箇所。
まず渡邊さん速水さんと、貝川さん川崎さんのご子息の生徒さん2人の4人で踊るパートがあり
公開された練習映像を見る限り速水さんと生徒さん達がリードしている感が強く笑、
手の振り方も抑え目で、一歩一歩頑張って3人について行く渡邊さんの素朴なご様子は私の2024年夏の日々の癒しとなったわけですが
(再生回数増加の犯人は私であると思います笑)
いざ開幕したら4人揃って弾けていてテクニックの熱い競演もバッチリ。南大沢がブルックリンの摩天楼に見えたほどです。
練習映像ではまだ遠慮気味であった渡邊さんも(失礼)、手の振り方やおでこから指先を放つ仕草も皇族や自衛官にならず笑、洒落たニューヨーカーと化していらっしゃいました。
渡邊さんと速水さんは月と太陽と例えるべきか、全く異なる個性の持ち主でそれぞれに得意分野、強味があり、中秋の名月の今夜もお2人の魅力について考えた晩でございますが
しかし速水さんもプリンシパルに昇格され、2人が並ぶ機会はめっきり減っている気がいたします。
何度か綴っておりますがお2人が対決した2021年の平日昼間における、気迫と熱がぶつかり合っていた『ライモンダ』決闘が未だ忘れられず
中世フランスが舞台のはずが揃って和の雰囲気も備えたお顔立ちのせいか巌流島の決闘も同時に脳裏を過ぎり、以来巌流島コンビと勝手に呼ばせていただいております。
揃ってガラに出演される機会は今年何度かあり、1月の山口県防府市(合わせて下関市の巌流島も行きました!)、8月の広島県福山市のガラの両方に足を運びましたが
久々に巌流島コンビの並びを同じ演目の同じ曲の舞台上にてテクニックの競い合いも目にでき、楽しい南大沢ニューヨークでございました。
もう1つ、山田さんと可愛らしい生徒さん達が大勢登場する曲で、山田さんがそれはそれは優しい保育士さん或いは小学校の先生のようで
身を屈めながら生徒さん全員とハイタッチしたり、手拍子もしたり、時にはご自身よりも生徒さん達が前に出て後方から支える役に回られたりと自在に大活躍。
2019年の長靴を履いたネコにおける福田圭吾さんや渡邊さんに続く、新保育士さんの誕生です。
全曲どの出演者の方々にも共通していたのが、皆さん表現力豊かで華やぐお洒落なショーダンスをお披露目していたこと。
ソロを踊られた講師の方のしなやかで瞬発力のある踊りもぱっと目に飛び込むインパクトでした。
衣装は女性は短めのスカートでシンプルでキュートなデザインで整えられ、
男性はバーテンダー風の黒い格好を予想しておりましたがクラシカルな装いで、上は白シャツ下は黒。
フィナーレはI Got Rhythmで全員登場。一斉に脚を鮮やかに蹴り上げる振付も、ブルックリンの夜景が一層浮かび上がるように華々しく決まっていました。
ところで題名に東編と記したのは実は南大沢の5日後、当初の予定では巌流島コンビも出演なさるガラ公演を観に大阪へ行く予定が悪天候のため延期となり、
行き先変えて天候をすり抜けてより西側地域へ出向き、篠原聖一さん版のガーシュイン組曲な作品(15年ぶりの再演、初演時も鑑賞)を鑑賞したため。
それぞれに魅力があり、どちらもまた観たいと思わすパワーを全身に浴びて参りました。
第4部は昨年から始まったチャレンジセクションでヴァリエーション挑戦企画。15名がチャレンジし、
最初の2本は眠りを踊られた生徒さんが幻想的な潤いが伝う作品を、チャイコフスキーを踊られた生徒さんが自由で闊達さもある作品を自作自演で披露され
感性の豊かさにも仰天。ご本人による解説や、指導なさっている中野綾子さんも登場されて
お2人の印象や指導する上で大事になさっていることなど穏やかな語りで紹介してくださいました。
その後は古典のヴァリエーションが並び、今回は選択制ではなく本当に自身が踊りたいものを披露したとのこと。先生、指導大変!!
それでも生徒さん自身で選んだからこその責任からか、とにかく皆が懸命でひたむきで、場合によっては振付を少しやさしめにした改訂で披露。
また早過ぎる無理なポワントも見かけず、バレエシューズできちんと踊れるようになることをじっくり取り組んでいると窺えました。
たった1分少々であっても全力を注いで踊るとエネルギーに消耗は半端ないようで、踊り終えた後のインタビューに答えるのも皆さん一生懸命!
楽しそうに答えたり、悔しそうだったり、将来の夢だったり、正直な素直さが伝わって再度大きな拍手を送りたくなりました。
お1人、小学生くらいであろう生徒さんが選んだのが『ライモンダ』2幕のヴァリエーション。
全幕の中では時間帯からしてジャンがそろそろ舞台袖でマントや剣を装着している頃に踊られるヴァリエーションですが笑
様々な管楽器が次々と主旋律を交互に奏でていく曲調や、単に幸せだけでない待ち侘びや不安も絡んだ感情が込められた振付で
私があらゆるヴァリエーションの中で一番好きな踊りのため(勿論踊ったことはございません念のため)、
ピチカートやベールでもなく夢の場でもない選択をした渋好みな感性に親近感を持ってしまいました。
バレエナウさんの場合、ソロばかり、ヴァリエーションばかりに偏るのではなく必ず全員総出演のアンサンブルを重んじた作品を上演している上で
1人で踊ってみるチャレンジ企画がなされたのはとても素敵な企画であるこの度も感じ入っております。
トリを飾ったのはミュンヘンへの留学を控えた生徒さんが最初の創作に続き再登場。
コンクールで何度も踊ったパキータ エトワールのヴァリエーションを披露されました。
これといった派手な曲調でもなければ勢いあるテクニックの見せ場も少ないため場を持たせて魅せるのが非常に難しい振付とプロの舞台を観ていても感じますが
いたく緻密に、エレガントに紡ぎ上げる踊り方で隙や粗が一切見当たらず。ここまで来るまでにどれだけの努力を重ねてきたのだろうかと思うと、頭が上がらずです。
設けられた質問コーナーにて、練習にて大事にしていることはと客席から聞かれると基礎を大事に大事にしているお心も伝わり、納得でございました。
そのヴァリエーション直後だったか、踊り終えた生徒さん本人へのインタビューの後
渡邊先生が大好きなその生徒さんのために、私服に着替えた状態で舞台袖でずっと見守っていらした!?渡邊さんがご登場。
チャイコ前の速水さんが舞台衣装でのスピーチであった点を差し引いても正反対な趣きで
恐る恐る、頭をぺこりと下げながらそっと登場され、されど語り口はまもなく留学される生徒さんへの優しい励ましやこの日の舞台も褒め称え、
更には先生のことも立てていらっしゃり、人間が出来上がり過ぎな渡邊さんでした。
何処かコンクールの総評或いは校長先生風な口調で笑、家に帰るまでがバレエ鑑賞と自身に言い聞かせた観客は少なからずいるはずです。
最後は留学する生徒さんに向けて、スタジオの仲間達からの応援メッセージやプレゼントが贈られ、生徒さんも思わず涙。
チャイコフスキーを踊られた贈呈役の生徒さんも涙。熱心な先生方やかけがえのない仲間達に恵まれた環境からの旅立ちに、観客からも大きな拍手が沸きました。
以上、東京西部における夏恒例の癒し行事2024が終演。ゲストも生徒さん達の晴れ姿も、
最初から最後までたっぷり満喫して余韻に浸りつつ南大沢駅から京王線で帰宅いたしました。早くも来年の夏を心待ちにしております!
クララの教室レポートコーナーにバレエナウさんが掲載、発売日の4/10に購入いたしました。今回のプログラムがないのは、発売日に撮影したためでございます。
生徒さん達へのアンケートインタビューも、多分この方の回答かなと予想がつくものもあり、楽しく拝読。
先生方からのメッセージもシンプルで、バレエ以外にも通ずる響くお言葉でした。
レッスンスケジュールの仕組みにびっくり、そして通いやすくなりそうな仕組みです。
足を運ぶきっかけになったのはゲストダンサーですが、プログラムが全部面白く特に貝川さんオリジナル作品やキャラクターダンスの演目は毎回夏祭り気分で満喫しております。
昨年今年はチャレンジセクションもあって生徒さん達のお顔とお名前もだいぶ一致してきました。
変わりやすい天気で往路の京王線、読売ランドは晴天でしたが南大沢着いたら土砂降り。 今後暫くは天気急変に気をつけましょう。
行きは南大沢アウトレット入口にあるお店へ。
黄色い牛さん
レモンパンケーキ! カスタードとレモンソースもたっぷり。
拡大!
土砂降り。しかしこの後は落ち着きました。
かばさんもいます。
道路!
会場到着!
帰りはブルックリンビールで乾杯!8月お疲れ様でした。あと1回ありますがひとまず区切り。
レジ横にスターウォーズ。
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