2024年8月21日水曜日

王道パ・ド・ドゥの夏 清水純子バレエアカデミー第41回発表会   8月6日(火)





8月6日(火)、渋谷区文化総合センター大和田さくらホールにて清水純子バレエアカデミー第41回発表会を観て参りました。
当ブログレギュラーである、私の大学の後輩が幼い頃からブランク無く通っているスタジオで、最初に鑑賞したのは18年前。
以来暫くはご無沙汰しておりましたが2018年以降は中止となった2020年を除いては毎年足を運んでおります。
子供達の作品からグラン・パ・ド・ドゥ、10人編成の作品等、クラシックの様々な演目が披露されました。
http://shimizu-sumiko-ballet.jp/

最初は『ドン・キホーテ』の夢の場から。小さなお子さんや中学生くらいの生徒さん達中心に、やや規模をコンパクトして踊られ
グリーンを基調とした妖精達や可愛らしいキューピッドさんが涼しげに踊って開幕を彩ってくれました。

先生のご挨拶文でも触れていらっしゃいましたが、今回はグラン・パ・ド・ドゥ(パ・ド・ドゥ)が多く、計7本。
生徒さんとゲスト、講師とゲスト、或いは大人クラスの生徒さん同士で組むペアもあり、見応えたっぷりな楽しさでした。
とりわけ2018年、2021年、2023年に続きグラン・パ・ド・ドゥに挑戦している我が後輩が今回踊ったのが『くるみ割り人形』の金平糖と王子のグラン・パ・ド・ドゥで、
完成度の高さは贔屓目を差し引いても見事!女王らしい優美さ、品格、麗しさといった要素を備えていて金平糖の女王成分グラフを隈なく網羅。
また背も高めで手脚が長くスタイルに恵まれていて、私の知り合いに紹介すると、
まだ伏せている段階であってもいかにもバレエやっていそう!プロとして踊っていますかともよく聞かれるほど
華やかオーラと均整の取れた体型の持ち主であるのは一目瞭然なわけですが、ただ手脚が長い、更には柔らかいだけでなく持て余さず伸びやかに操り
メリハリ付けたコントロール力や緩急を繊細に表しながらの踊り方も唸らせました。
初回のリハーサルからずっと話は聞いておりましたがとにかく謙虚さの塊で、何を聞いてもまだ駄目だった等マイナスな感想で笑
しかしリハーサル映像見せてもらうとこれの何が駄目やねん?と先輩は毎度疑問でございました。
可能ならば私のちゃらんぽらんな性格を分けたいものの笑、常に現状に満足せず上を目指す練習の積み重ねが実を結んだのでしょう。
王道中の王道パ・ド・ドゥで、特にアダージョはゆったりとした曲の中でもやることが細かい上に多く、しかし皆が憧れる女王様ですから慌しく見せてはならず
本来ならば世界観も崩さず、甘いお菓子或いはおとぎ話の雰囲気を伝えるのは非常に難しいはず。
しかし背景にピンクがかったお菓子の王国或いは宮殿装置が見えてきて、自ずと全幕を彷彿させるパ・ド・ドゥでした。抑えたピンク色の衣装がまたよくお似合い!
パートナーの王子役は昨年に続き吉野壱郎さん。すっかり信頼し合うパートナーシップで、視線のコミュニケーションも万全。
登場するときから2人して笑みもこぼれていて、威厳と穏やかな幸福感の双方が滲み出る、安心感を持たせる金平糖の女王と王子でした。

もう1組特に注目していたのは『海賊』で、大人クラスの生徒さん同士での披露。しなやかで身体もよく伸びるメドーラと、盤石サポートにソロは情熱たっぷりなアリで、
バレエアステラス2022にてご覧になった新国立プリンシパルの奴隷であっても何処か高貴で恭しく仕える忠臣なアリが忘れられず
憧れ、理想として掲げて頑張ってこられた男性生徒さんのパッションにも拍手。
長年一緒にレッスンに取り組むお2人らしい、真摯なひたむきさが表れた清々しいパ・ド・ドゥでした。

講師で小林紀子バレエシアター所属の中村悠里さんと、東京シティのキム・セジョンさんが組まれた『ジゼル』も印象深く
どちらかといえば小柄な中村さんが、全身特に肩から腕、指先を雄弁に使ったポール・ド・ブラで
切々と悲しみを訴えかけ、ふわふわと浮く軽やかな飛翔やアルブレヒトを守ろうとそっと身体を寄せる姿も健気に映りました。
『ゼンツァーノの花祭り』は可憐な仕草でパートナーとうきうきするやりとりを描き出す生徒さんの表現力にも脱帽、
『眠れる森の美女』では脚の出し方1つでおっとり気品あるお姫様な雰囲気をしっかり伝えてくださり、『コッペリア』は朗らかな結婚式そのもので幸せ一杯。
パ・ド・ドゥとヴァリエーションを2本組み合わせた『ドン・キホーテ』はコーダ終盤にも女性2人のヴァリエーション隊が回転を見せて盛り上げ、
今月に入ってからこの時点(8月6日)で4組目として観るチャイコフスキーはシャキシャキ闊達とした生徒さんのソロが風を切るような勢いがありました。
パートナーの石黒善大さんはややふくよかになりかけていらっしゃりながら、角度や着地のポイント押さえた踊り方は健在です。

数ある子供達の作品の中では『白鳥の湖』のナポリが今も脳裏を過ぎり、小学校低学年のお年頃であろう3人の生徒さん達が
カラフルなチュチュを着てタンバリンを持ち、音楽を大事にしながら息を合わせて丁寧に踊っていた姿が目に残ります。

大トリは『ジョコンダ』より時の踊りで、ソリスト男女2人にコール・ド12人編成。コール・ド振付が身体が突っ張りそうな過酷振付てんこ盛りで
立ちから座り姿に素早いポーズの切りかえも多々あり、並の体力では踊りきれない作品です。
しかし大人から中学生くらいの生徒さんまで12人揃って見せる、よく訓練された個々の技術の高さに感激でございました。

フィナーレは再び時の踊りの音楽で出演者全員そして恒例で皆で出迎えて中央に清水先生もご登場。
40年以上スタジオ主宰、発表会を継続されていると思うと、生徒さん達を取りまとめるお力に頭が下がります。
来年もきっと楽しい会を開催してくださることと思うと、早くも来夏を心待ちにしている私でございます。




ホールへ行く道にて、サクラテラス。7月25日にオープン!



後輩の衣装に合わせて、ピンク色花束!しかし花束よりも後輩自身が華やかです。



帰り、後輩に敬意を表して、渋谷駅近くのパブでピンク色のビール。素敵な夢を見せてくれてありがとう!


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