2023年2月3日金曜日

村山久美子さん著『バレエ王国ロシアへの道』





村山久美子さんが書かれた書籍『バレエ王国ロシアへの道』を読んでおります。
https://toyoshoten.com/books/732

ロシアバレエもとよりソビエトバレエが好きと言いながらも、そもそもロシアにはいかにしてバレエが上陸し花開いたか、
プティパが次々と古典全幕を発表した以前の事情についてはよく知らずにおりましたので
ロシアバレエの発展経緯が綴られている内容に一層興味を持ち、現在読み進めております。
ロシアでのバレエ黎明期から農奴と劇場の関係、政治背景の絡み、そしてボリス・エイフマン作品まで
分かりやすく言葉は簡潔に、時系列に纏められていて厚みある書籍であってもすぐさま読み終えてしまいそうです。
2019年に村山さんが講師を務めるボリショイシネマ案内講座を受講したときの、
作品ごとにテンポ良くポイント押さえながらの説明を思い出しながらページを捲っております。
つい先取りしてエイフマン作品の解説を読んでしまいましたが、何度か目にしている
『アンナ・カレーニナ』の音楽、舞踊で感情を語り尽くす振付の妙の細かさについての解説に大きく頷き納得です。

発売前からこの書籍の話は耳に入っており心待ちにしておりましたが、発売時期がロシアによるウクライナ侵攻の時期と重なってしまい、
村山さんも追加のあとがきにて綴られた文章から、胸を痛めていらっしゃる心情が伝わります。
実のところ、いくらロシア、ソビエトのバレエに魅せられてきた身である私も、芸術に罪は無いと分かってはいても発売後すぐには手に取れずにおりました。
借りてきた当日も自宅にてニュース番組国際報道2023をつけたままにしていると
嘗ては同じ国であった隣国同士の間柄であったがゆえに現在ロシア語がウクライナに与える働きと弊害といった現地取材の内容が報じられ、
複雑な心境のまま読み始めた次第です。ただバレエが好きであり、繰り返しにはなりますが
ソビエト、ロシアバレエの虜歴も長いだけに発展の歴史は知っておきたいと思い、紐解きながら読み進めている段階におります。
全編どっしりとした内容かと思いきや、プティパが棒人間を用いて描いた『バヤデルカ』群舞のフォーメーション構想図の挿絵もあったりと(しかも坂の絵付き!)
ユーモアも随所に盛り込まれ、思わず前のめりになるお楽しみなページもいくつか登場しそうです。

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