2022年11月25日金曜日

【今更ですが】【 ワールド・バレエ・デー 2022】オーストラリア・バレエのクラスレッスンが清々しい

誠に今更な話題でございますが、今年も世界各地のバレエ団からの中継が充実していたワールド・バレエ・デー2022を堪能された方も大勢いらっしゃるかと存じます。
毎年決して多くを検索せず視聴もしておらずな私ですが、今回偶々見たオーストラリア・バレエ団のクラスレッスンに大変引き込まれ
清々しく視聴いたしましたので少し紹介いたします。まだ映像は残っているようで、29分あたりから始まります。







まずスタジオが広々としていて明るく、天井も高く開放感抜群。また間隔を広めにとってのバーの配置もあるのか
人数は多めであっても密集せず区画整理がきちんとなされた印象を受け、観ていて非常に爽快でございました。
常日頃から同様のレッスンであるのか、カメラが入るワールド・バレエ仕様であるのか詳細は分かりかねますが、何処を見てもすっきり。
そして芸術監督デヴィッド・ホールバーグさん自ら指導をなさっていて、バレエ団のクラスでも美しいお手本を次々に披露しながら
丁寧に、加えて大変聞き取りやすいお声と話し方であったのも驚きを覚えました。(常日頃からこんな様子でバレエ団の朝は始まるのであろうか)
ホールバーグさんの現役時代の舞台はABT来日公演や小林紀子バレエシアターへの客演もあったか、観ておりますがほぼ変わらぬお姿です。
ピアニストによる選曲もクラシックやバレエ音楽の有名どころを集めたもので、センターでのグランワルツ時には
数々のヴァリエーションメドレーなる流れでダンサーたちをのせていて、映像を視聴している私までもが
一緒にやってみたくなってしまう(益々のズンドコドッスンは目に見えておりますが汗)内容でございました。宜しければご覧ください。
バーレッスン時にはセーラームーンTシャツをお召しのダンサーも発見。月火水木金とちびうさのシルエット入りで、お気に入りの戦士を伺いたいものです笑。

オーストラリア・バレエ団の来日公演は英国王室のスキャンダルを題材にした『白鳥の湖』や
ロシア革命を背景にクララの世代を超えた物語として展開する『くるみ割り人形』は観ておりますが
1993年の『眠れる森の美女』『ジゼル』、ミックス・プログラムのバランシン『シンフォニー・インC』にチューダー『ガラ・パフォーマンス』キリアン『回帰』を持ってきたときの公演を見逃したことは今も心残り。
公演翌年のダンスマガジンを読み、オーロラ姫のリサ・ボルテの愛らしさに心がほわんと浮き立ってしまった私でございます。
チューダーが華麗で愉快な色合いの作品を振り付けていた意外性にも関心を持ったものです。




せっかくメルボルンを本拠地とするバレエ団の話題になりましたので、余談にもほどがある写真2点。太古の昔、メルボルンのヒールズビル自然公園にて。
殆どの生き物達が放し飼いな状態で生活。保護活動も熱心で野生動物が運び込まれる病院もあり
園内ではオーストラリアの生き物達についてのレクチャーガイドも頻繁に行われていました。カンガルーに興味津々、言葉をかける東洋人。



シドニーに移動し、オペラハウス。ベンチから眺める、背中から哀愁漂わせる東洋人の子供が写っておりますが悪しからず。

2022年11月22日火曜日

ステージバレエアカデミーにて江藤勝己さんによるバレエセミナー『くるみ割り人形』





11月13日(日)、千葉県柏市のステージバレエアカデミーで開催されたバレエセミナーに行って参りました。
今月のテーマは『くるみ割り人形』。講師はスタジオの教師でもあり各方面でレッスンやリハーサルピアニストとして活躍され、
新国立劇場開場当時から長年ピアニストを務めていらした江藤勝己さんです。
https://www.stageballet.net/

会場は南柏のスタジオ内で、各自自由に椅子に腰掛けプロジェクターや白板を見ながら江藤さんの解説を聞き受講。
音楽構造の特徴やチェレスタの配送逸話、いくつかの版の比較まで音楽を軸にしつつ、様々な角度からくるみの作品を解剖していき
音楽の完成度が高いと言われる理由についても計算し尽くされた長調短調の流れを始め、事細かに説明してくださいました。
講座とは言っても物音一切立てずに静かに聞くような堅苦しさはなく、映像を見比べながらああだこうだ意見を交わしつつ衝撃や感激も声に出したりと
初受講、柏市初上陸の私も肩肘張らずに終始楽しんだ次第でございます。
更には人生初・雪の合唱体験までさせてもらい、これが想像以上に難しい!特に歌い始め部分につい出遅れその後全部崩れた私です笑。
カラオケも生まれてこの方経験回数は10回もなく、歌える曲は2曲限定しかもお若い世代は知らぬであろうもので
音痴な私もできるのか不安もありましたが意外にも気持ち良く、観には行けずであったものの
最近お世話になっているお方の1人が目黒にて雪のワルツを踊られた光景を浮かべたり好む版の雪の場面を思い出しつつ体験。
楽しく和気藹々とした雰囲気の中で学び一杯な講座でした。月に1、2回開催されているようで、次回は同内容で11月27日(日)に開催されます。

※12月は11日(日)開催とのことです!
https://www.stageballet.net/pdf/ballet_communication.pdf#zoom=100

現在偶然にも、2013年春から通っている五反田の清泉女子大学での守山実花先生が講師を務める生涯学習講座においても
同じく『くるみ割り人形』がテーマですが話の切り口も全く異なり、両講座の受講によって
クリスマスの風物詩として最早当たり前のように12月中旬以降に何度も鑑賞している作品をより面白く、淵部分まで注意深く鑑賞できそうな気がしております。

江藤さんとは遡ること9年前、振付された日本バレエ協会公演での酒井はなさん山本隆之さん主演『マリー・アントワネット』について綴った
前ブログ時代の感想の件で一旦接点があり、ペンネームではありながら恐らくは江藤さんであろう制作者の方からのコメントに驚き喜んだことは今も覚えております。
私の中で、酒井さんと山本さんはフォンティーンとヌレエフ、マクシモワとワシリエフ、ハイデとクラガンらに並ぶ
バレエ史に刻まれる黄金ペアであると思っており、お2人の主演作品を久々に目にでき感無量であったのです。
当時はお互い本名も正体も明かさぬまま年月が流れること早9年。先月アーキタンツでのレッスンにてピアニストを務められていて、
『ライモンダ』『ラ・バヤデール』ビントレー振付『アラジン』、『うる星やつら』始め選曲が素敵であった等の内容を当ブログに綴ったところご連絡が入り
もしや苦情!?と冷や冷やしながら開封したところ、曲の数々に幸福を感じていた私の反応がとても嬉しかったとの内容で一安心。
そして9年前の『マリー・アントワネット』における接点も確認し合い、セミナーのご案内もいただき
加えて私が極端にレッスン回数が少ない経緯も明かし、ようやく柏市にて対面に至りました。

アーキさんは大手のオープンスタジオで毎日あらゆるクラスが開講され、講師もピアニストも大勢が出入りしている環境で
恐らくは講師とピアニストの決まった組み合わせは無いと思われます。その中で、不定期の渡邊さんのクラスにて偶々江藤さんがピアノを担当。
江藤さんは渡邊さんとは初対面でいらしたと後に伺い驚きましたが更には当ブログの発掘にも仰天。
内容量は各記事ボリュームはあれどいかんせんアクセス数も多くはないため
私自身と同様に容量は重たいのだが存在感は埋没しており、よくぞ見つけてくださったと今も不思議な思いでおります。

実のところ、劇場ではなく熱心にレッスンに励む方々が集まるバレエスタジオにおいて私のようなバレエは鑑賞中心でレッスンは年数回程度、
いざ受講するも踊っているにはほど遠く、毎度ドラム缶が右往左往している状態にとどまる受講者は
スタジオやレッスン運営関係者の方々からしたら受け入れ難い珍型人間ではないかと思っております。
例えば私の身近には鑑賞回数は私と同じぐらいでありながら毎週2回なり3回なりレッスンに通い仕事とも両立させている上級者が何名もいます。
当ブログに時々登場するカウンセラー友人やアドバイザー友人、大学の後輩、後輩通じて知り合った彼女と同い年の方は週4回だったか。
先にも触れた目黒にて『くるみ割り人形』雪のワルツを踊られた方は今年他の舞台にも出演されています。
皆さんレッスンは少なくとも週に2回はこなす上に劇場通いもしていますから作品や音楽、テクニック、舞踊家の名前、と各方面に詳しくそしてレベルは上級。
鑑賞が好きでも自身では一切やらないならともかく私のような大幅な偏りもなく、
先月のアーキさんでのレッスンや、他のスタジオで5人とは何処かしらで一緒に受講しており、当たり前ですが覚えの早さや技術レベルの高さに圧倒され
日々通っているスタジオの先生からも信頼されているのは明らか。ズンドコドッスンな私とは大違いなわけです。
同じ鑑賞好きであっても努力と意識次第ではいくらでもレッスン回数を増やして鍛錬できるのでしょうが、私はそれがどうしてもできず。
伴奏される曲が耳に入りバレエ音楽であると曲によっては瞬時に5バージョンほど振付や舞台光景が脳裏を過ぎり、
或いは講師が踊られた時の舞台を年月日と共に思い出す有様で、音楽からの舞台想像力だけは在住区内グランプリでしょうが
レッスンには起動不要な脳みそであるとは分かっていても毎度脱せずでおります。
先月なんぞ最後のジャンプにて江藤さんが『ライモンダ』スペインを伴奏してださったとき、2021年の全幕公演において講師が踊っていらっしゃらない場面であっても
この曲終了から約5分後にはマントに剣で凛然颯爽と登場なさったあの日あのとき6月11日(金)、と場面外の光景が脳内を巡って
要らぬ想像力ばかりが働き、舞台光景と密に繋げて即座に考えてしまうのは受講者として如何なものかと思いながらもどうしても取り除きができず。
ですから江藤さんからのメールにどれだけ救われたことか。もっと振りの覚えに集中せいとの警告ではなく選曲への反応を喜んでくださった内容であったのは
自身が受講に望ましいとは言い難い対象とみなされる恐れすら時折募る不安をだいぶ和らげてくださいました。
それどころか偏りにもほどがある今の我がバレエ愛好体制を受け止めてくださったのです。

山本さんが出演していらっしゃらなかったら2013年の『マリー・アントワネット』も観に行っておらず。
渡邊さんが講師を務めていらっしゃらなければ今年アーキタンツでのレッスンも受講しておらず。
江藤さんとの9年越しの数奇なご縁はお2方が運んでくださったものと思っております。ありがとうございました。
鑑賞中心でレッスンは年に数回である、今年の比率は90回:5回程度(これでもレッスン回数は今年は大幅増加でございます汗)であろう
オープンクラスにおける、だいぶ珍型受講者な私にも優しく寛容に接してくださった江藤さんに再度感謝を申し上げます。
本当にありがとうございました。次のセミナー受講も心待ちにしております。



※数日前、アーキタンツのブログに江藤さんが紹介されました。CDも多種出していらっしゃり、『ライモンダ』は私も持っております。
そして各CDパッケージデザインが分かりやすい!取り間違い防止になりそうです。
音楽や知識を学ぶ座学の推奨も書かれています。 バレエ検定は協会のページであったか
最近は映像を見てテクニック名を回答する問題もあるようで、これは管理人解けません汗。
ランベルセがランドセルにしか聞こえないレベルでございます。(一応言い訳、小学校卒業間近、集合住宅の階段から滑り台を滑るが如くずりずりと落下したとき、
背負っていたランドセルがクッション代わりとなって背中を守ってくれたのです。
当時は管理人、現在よりも身体の重量数値が高かったため見事なまでにランドセルは潰れましたが
もし薄いリュックや何もない状態であったならと思うと恐ろしい、そんな思い出がございます)
http://a-tanz.com/staff-blog/2022/11/18141208


※江藤さんが手がけられた作品で特に心惹かれたのが、音楽監修を務められ、ウクライナやロシア公演でも好評を博したバレエシャンブルウエストの『タチヤーナ』。
今年5月に再演され、指揮者アレクセイ・バクランさんのご無事もどれだけ安堵したことか。
ご参考までに感想でございます。もっと優秀な方々が誰かしら書いていらっしゃるかと思いますが。
https://endehors2.blogspot.com/2022/06/blog-post.html




バレエ検定、2013年に受検いたしました。



帰り、柏駅にて地ビールと千葉産おつまみ盛り合わせ。店員さん達の柏愛、千葉愛が深し!



現在新国立劇場にて、ビントレー版『アラジン』衣装展示中。



裏から。きらきらとした衣装を眺めつつ、レッスンにおける江藤さんによるパドドゥ音楽のピアノと
引き上げできぬ上に重量感のある私はグラン・プリエで沈みっぱなしであった無惨な姿を思い出します。
せっかく講師が両手用いて軸の大切さや引き上げのコツを提示してくださったにも拘らず、ああ汗。



衣装説明書き。尚、道順がわかりづらいのですが確か2階の橋を渡っていくと突き当たり右辺りに階段があり、上っていくとございます。
プリンセスの入浴を覗き見したアラジンと違い、不法侵入はしておりません。



世界初演時の写真でしょうか、山本さん!

2022年11月18日金曜日

舞踊と音楽の宝箱  牧阿佐美バレヱ団『ダンス ヴァンドゥ』 11月12日(土)





11月11日(土)、牧阿佐美バレヱ団  ダンス ヴァンドゥ ー牧阿佐美の世界ーを観て参りました。
https://www.ambt.jp/pf-danse-vingt-deux/

作品紹介映像



リハーサル映像





『誕生日の贈り物』
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
振付:サー・フレデリック・アシュトン
衣裳デザイン:アンドレ・ルヴァスール
振付指導:クリストファー・カー


青山 季可 阿部 裕恵 佐藤 かんな 三宅 里奈 光永 百花 高橋 万由梨 今村 のぞみ

清瀧 千晴  水井 駿介  石田 亮一  大川 航矢  近藤 悠歩  正木 龍之介  小池 京介

  色とりどりの衣装に身を包んだ男女のペアが組んでSの字を描きながら登場するワルツからわくわくと胸躍り、勢揃いすると宮殿に現れた七色の星々を眺める気分。
女性陣の、星が連なる首飾りに照明が反射してきらりと光る様子がまた心を一層ロマンティックに昂らせました。
NHKでも放送された吉田都さんの引退公演の印象も濃く残っておりますが、各団の主役級を集め個々のオーラに圧倒されたその公演とは異なり、
団内からの精鋭集団且つ全体が丁寧に優美に調和する絵と見て取れ、ペアになって移動する姿だけでも優しい息遣いが醸されて予想以上に見応えと幸福が上昇。
ソロでは阿部さんの静止ポーズでの愛らしいフォルムや、三宅さんの柔らかな背中の使い方、
青山さんの穏やかに語りかけるようでいてされど腰の捻り方や細やかな跳躍万全な踊りも目に刻まれております。
女性ソロの最中に男性陣が後方に並んで立つ姿もなかなか宜しく、動いてはいけないものの貼り紙ではありませんからただ突っ立っているだけでもいただけない
難易度高い演出でしょう。しかし7人で見守る姿が至ってノーブルでおおらかさもあり、こちらまでもが背筋を伸ばしたくなる宮廷なる雰囲気が広がっていました。
中盤での男性全員による勇壮なワルツにおいても、全身で下から上へと音楽と一体化しながらの披露が目覚ましく
冒頭から終曲までグラズノフが描く、星空から潤いが舞い落ちるような旋律にも何度聴き惚れたことか。定期的に上演を重ねて欲しい作品です。


『トリプティーク(青春三章)』
音楽:芥川也寸志 1953年作曲『弦楽のための3楽章(トリプティーク)』
振付:牧阿佐美

ソリスト:米澤真弓  坂爪智来

芥川也寸志によるこの曲の、重々しく引っ張り翳りを帯びつつも潔い曲調に惹かれ、初めて聴いて以来頗る好んでいる作品です。
新国立劇場バレエ研修所のレパートリーとしてしばしば目にしておりましたが、あとの『シンフォニエッタ』と同様プロのダンサー達の手にかかると
味わいの色がはっきりと見え、主軸の米澤さんと坂爪さんが清新で鮮やかな趣きで
一見曲調とは正反対な爽やかさに思えるも、次々とステップを機敏に刻んで群舞を率いて魅了。
そして牧さんは創作当時の1960年代後半のこの頃から、複数人数によるフェッテがお好きであったのであろうと推察です。


『カルメン』
音楽:ジョルジュ・ビゼー/ロディオン・シチェドリン『カルメン組曲』
振付:牧阿佐美

カルメン:日髙 有梨
ホ セ:逸見 智彦
 エスカミリオ:菊地研

1幕仕立てにまとめられ、カルメンとホセの逢瀬やカルメンと女工との喧嘩、エスカミリオとの駆け引きから、やがて絶命するまでを一気に描写しています。
音楽はどこかで聴いたクラシック名曲集とも感じさせる選曲。日髙さんはじわりと情熱を撒いていく登場のソロから周囲を虜にさせ、
もう少し身体がよりシャープに動くと尚良かったかとも思いましたがホセを思いのままに操る目付きや、
最期手を掲げて訴えかけて命を落とす幕切れも妖艶な色を広げ引き寄せるヒロインでした。
カルメンの運命の狂いの象徴であろう死神の佐藤さんの、不穏な空気をもたらす存在感や艶かしさもある脚運びも印象に残り
年齢を重ねても尚、ゆで卵の如くつるっとした美しい容姿に驚かされた逸見さんは運命にカルメンにみるみると人生狂わされるホセを悲哀を漂わせながら体現され
エスカミリオ菊地さんのカーテンコールでの髪撫でサービスも忘れられません。



『シンフォニエッタ』
音楽:シャルル・グノー
振付:牧阿佐美

ソリスト:織山 万梨子  水井 駿介

こちらも新国立劇場バレエ研修生で馴染み深く、キャリアを重ねたプロ達が踊るとまた新鮮。
織山さんのカチッとしたスタイルな踊り方と、晴れやかしなやかな身体で音楽を表す水井さんのペアもすっきりと作品に嵌り
シンプル純白な衣装で整えられ、歯切れ良く踊る群舞を楽しげに語るように率いる姿が爽快でした。


『ライモンダ』より夢の場のパ・ド・ドゥ
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
振付:牧阿佐美

ライモンダ:中川 郁
ジャン・ド・ブリエンヌ:石田 亮一

牧さん版『ライモンダ』ならば本番は姫は白地百合紋章に事務員風白色腕カバー、ジャンは青グレーの甲冑型衣装かと思いきや
チラシと同様ウエストモーランド版での衣装で登場。ジャンはゴテゴテ、姫の冠はサイドパーツ含め立派なのだがチュチュが無地に近くやや物寂しいところ。
それでも夢見心地と物憂げな風情を織り交ぜた中川さんと、決闘の場面は今一つ想像がつかないが(失礼)ノーブルで身体の線も綺麗で全身から優しさを醸す石田さんが
踊り手泣かせであろうグラズノフの歌えぬふにゃふにゃ曲調に合わせて優雅なパ・ド・ドゥを見せてくださいました。
数あるバレエのアダージョの中でも最もカウントが取りづらい難曲と思っております。


『時の彼方に ア・ビアント』よりパ・ド・ドゥ
音楽:三枝成彰
振付:牧阿佐美、ドミニク・ウォルシュ、三谷恭三

カナヤ:青山季可
リヤム:ラグワスレン・ オトゴンニャム

2006年の初演以来16年ぶりの鑑賞。初演当時は吉田都さんロバート・テューズリーさん草刈民代さん組と
田中祐子さん逸見智彦さん吉岡まな美さん組の2キャストを鑑賞しております。
ところがどっこい、どんな作品でも、特に全幕物ならば年月が経過しても尚更何かしら場面を思い起こす私にもかかわらず
音楽も振付もこれといった場面も思い出せず。強いて言うならばサッカーぐらいか。久々に当時のプログラムも目に通し、(購入しておいてよかった)、 実に親切な編集で時系列に登場人物、脚本を手掛けた島田雅彦さんによる場面解説、曲名が全編通して掲載されていながらどうにもこうにも思い出せず。
しかも吉田さんやテューズリーさん、草刈さんの全幕共演実現に居合わせながら、決して記憶力が良いとは言い難い私とはいえ
ここまで記憶が遠ざかっているのは最早演出が(以下略)。サッカーW杯カタール大会を目前にしてぶった斬るにはこの辺りにして、
珍全幕豊作年であった2006年の中でも古代エジプト浪漫絵巻でなかなか気に入った『ファラオの娘』、
日本語横断幕の大コケしか脳裏を過ぎらぬ『ドナウの娘』を追い越し首位を走る作品でございました。

さて本題。そんな初演時の経験から改訂されたであろう再演にも足を運ばず早16年。内心不安を覚えながらパ・ド・ドゥ抜粋で観てみると、誠に引き寄せられる舞台でびっくり。
青山さんの儚さ、仕草や脚の差し出し方の繊細さがしっとりと潤いをもたらすような魅力に満ち、エメラルドブルーの靡く衣装もたいそうお似合い。
オトゴンニャムさんと情感を交わしながらの美しいパ・ド・ドゥでした。全幕よりも、抜粋のほうが響いたと申すなんぞ
制作陣営に失礼極まりないとは百も承知ですが、やっとこさこの作品の良さが断片的ではあれ理解できた気がいたします。

所謂パ・ド・ドゥ羅列のみのガラではなく作品まるごとの上演や、全幕よりも寧ろ抜粋の方が魅力に気づける(ア ビアント制作関係者の皆様申し訳ございません)
作品も揃え、舞踊だけでなくグラズノフに芥川也寸志、グノーにビゼー、そしてフィナーレはチャイコフスキーのエフゲニー・オネーギンのポロネーズ、と
音楽の宝箱をも開けたかのような構成も好印象。牧さんが手掛けた、関わってこられた数々の作品を一挙に目に耳にできた一夜でした、





ア ビアントのパ・ド・ドゥにて青山さんが着用されていた衣装に似た涼やかなエメラルドブルーを思い出し乾杯。

2022年11月16日水曜日

調教はやんわり全体を洒脱に モンテカルロ・バレエ団『じゃじゃ馬馴らし』 11月11日(金)





11月11日(金)、モンテカルロ・バレエ団『じゃじゃ馬馴らし』を観て参りました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2022/montecarlo/


※キャスト等はNBSホームページより
振付 : ジャン=クリストフ・マイヨー
振付アシスタント : ベルニス・コピエテルス
音楽 : ドミートリー・ショスタコーヴィチ
装置 : エルネスト・ピニョン=エルネスト
照明 : ドミニク・ドゥリヨ、マチュー・ステファニー
衣裳 : オーギュスタン・マイヨ―
衣裳アシスタント : ジャン=ミッシェル・レネ
台本 : ジャン・ルオー(ウィリアム・シェイクスピアに基づく)

キャタリーナ : エカテリーナ・ぺティナ
ペトル―チオ : マテイユ・ウルバン

ビアンカ : ルー・ベイン
ルーセンショー : レナート・ラドケ

女家庭教師 : 小池ミモザ グレミオ : ダニエレ・デルヴェッキオ

未亡人 : アナ・ブラックウェル
ホーテンショー : シモーネ・トリブナ

バプティスタ : クリスティアン・ツヴォルジヤンスキ
グルーミオ : アダム・リースト

メイド :
ガエル・リウ、リディア・ウェリントン、
アシュリー・クラウハウス、ハナ・ウィルコックス、
チェルシー・アドマイティス、テイシャ・バートン=ローリッジ、
ポーシャ・ソレイユ・アダムズ、ジュリエット・クライン

従者 :
アレシャンドレ・ジョアキム、クリスティアン・オリヴェリ、
アレッシオ・スコニャミリオ、ロジェ・ネヴェス、
アルチョム・マクサコフ、ジーノ・メルクス、
クリスティアン・アシス、フランチェスコ・レッシュ

4人の女性たち :
リディア・ウェリントン、ハナ・ウィルコックス、
チェルシー・アドマイティス、アシュリー・クラウハウス

2人の女性たち :  ハナ・ウィルコックス、アシュリー・クラウハウス
森 / 盗賊 :
アルチョム・マクサコフ、アレッシオ・スコニャミリオ、
ジーノ・メルクス、クリスティアン・オリヴェリ、
フランチェスコ・レッシュ、アレシャンドレ・ジョアキム


2016年にボリショイ・シネマで観て以来、生での鑑賞を願っていた作品。クリサノワ、ラントラートフ、スミルノワ、チュージン、チホミロワら
初演カンパニーとしてボリショイのオールスター軍団が織り成すパワフルなパフォーマンスも忘れ難いものでしたが
マイヨーの本家本元のダンサー達による舞台にもすっかり魅了された夜でした。
まず原作の内容からして男性が女性を思い通りに調教な要素が現代にそぐわないと不安を覚えるわけですが、実のところシネマ鑑賞時と同様そう気にならず。
調教部分は誇張せず、例えば2人でベッドに入りシーツに包まる場面も長過ぎない配慮がなされ、それよりもキャタリーナの誇り高く凛然とした踊りが場を沸かせ
ペトルーチオと共に張り合いながら2人で洒脱なダンスでぐいぐいと語っていくさまが痛快でした。
キャタリーナ役のペティナはツンと澄ました顔立ちがきりっと美しく、豪快に暴れ回る箇所であっても
長い四肢の隅々まで行き届いた踊りで空間を大きく操りぴたりとしたショートパンツやレオタード姿もしなやか。
光沢を帯びた深緑と同系色の透け素材を用いたドレス姿になったときのちょこっと恥ずかしそうな様子がまた愛くるしく
キャタリーナが持つ多面性を次々と身体で紡いでいっていた印象です。

対照的な人物として描かれるビアンカ役のベインは、ただおっとりおとなしい淑やかだけでないお茶目な女性で、求婚者達との駆け引きも慣れたもの。
上は白、下は青のドレス風衣装もお洒落な色彩でベインの柔らかくも安定軸な踊りと合わさって舞台全体に品とユーモアを振り撒いていました。
開演前から幕の前に登場し、靴履き替えのセクシーな面のみならず今回は時差退場協力願いのアナウンスと連動した頷きを見せていた
女家庭教師小池さんの振る舞いも、このご時世だからこそお目にかかれたお姿でしょう。

照明の当て方やシンプルながら形も色合いもお洒落にデザインされた装置も見所。大概の場面では装置転換も舞台上のダンサー達が行い
一連の流れの中で皆で主人公達の行く末を見守っている光景に見て取れました。
世界規模で名の知れたスターはいないかもしれませんが(私が無知な可能性も高いが)メイドや従者達の滞りなく続く群舞を観ても
とにかく全員の身体能力の高さ、音楽と戯れるように踊る姿にも引き込まれ、冗長な箇所が見当たらず。
そしてショスタコーヴィチ音楽の選曲の妙も挙げたい魅力。何処か風変わりで重厚、しかし舞台が重苦しくならぬ曲の数々にマイヨーのセンスが何度光って見えたことか。
どの場面も心擽り、様々な重低音や楽器が絡み交互に主旋律を奏でて行く『2人でお茶を』は
特に胸の奥にまでがすっと星屑が舞うような幸せが入り込んでくる心持ちとなり、足取り軽く会場をあとにいたしました。
ボリショイ・シネマで話題沸騰となった時期からだいぶ経ち、また今月末のスーパースターガラの方が注目を集めているのか平日とはいえ客入りは寂しかったものの
久々の来日公演における全幕上演や、何よりもお洒落な世界観を体感できた幸福がカーテンコールでの拍手に表れていたと思えます。


※ご参考までに。2016年のボリショイ・シネマ鑑賞時の感想です。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/in-bc3e.html




開演前、1人でお茶を。



終演後、1人でお酒を。


2022年11月14日月曜日

花の都・千葉でパキータ  第48回現代バレエ合同公演  11月3日(木)《千葉市中央区》




※前回の新国立劇場バレエ団新制作『ジゼル』総括記事において、リンクを紹介してくださった方がいらっしゃり、
おかげさまで当ブログ移設以来、テレビ番組の視聴率で例えるならば私の中ではNHK『おしん』並である、
ウィリに関連づけるわけではないもののお化けのようなアクセス数に驚き嬉しい心でおります。
途中で断念された方が大半かと存じますが、お越しいただきありがとうございました。今回は短めです。お急ぎの方もご安心ください。



千葉市の千葉県文化会館にて、第48回現代バレエ合同公演を鑑賞して参りました。
千葉県でのバレエ鑑賞は2019年浦安市でのエコール・ド・バレエ ル ソル発表会以来3年ぶりでございます。
http://www.chibukyo.jp/perform.html









第1部は全国舞踊コンクール in CHIBA  2022表彰式や受賞者による披露、第2部は各団体によるクラシックから現代舞踊まで様々な作品が披露されました。
最後を飾ったのが第3部  千葉県芸術舞踊協会合同作品『パキータ』で、演出・再振付はKei'sバレエの山田桂子さん、
ミストレスはバレエスタジオ シンフォニーの武田安紀子さん。プログラムに掲載された山田さんによる振付ノートによれば3年ぶりの合作上演とのことです。
2018年2019年はバレエとモダンダンスの合同作品を上演してきたそうですが、大人数リハーサルが困難となり、今回はバレエのみの合同作品上演となったようです。

山田さん、武田さんが携わるスタジオの生徒さん達で構成された(もしかしたら他の教室の方もいらしたかもしれません)ソリストとコール・ドが
実に整った踊り方で質高く、1人1人がしっかりと綺麗な型をも見せ、呼吸も合っていて、気持ち良い舞台が繰り広げられました。
紅色なチュチュに金と赤のティアラで揃えた衣装、髪飾りも上品なセンスで、生徒さん達の表情も頭から脚先までにこやかさに溢れていた印象です。

主演には新国立劇場バレエ団よりパキータ役に池田理沙子さん、リュシアン役に渡邊峻郁さんが客演。
池田さんは生来の可愛らしさや揺るぎないテクニックで魅了し、強靭な軸から繰り出す上体の柔らかさも目に残りました。
渡邊さんはリュシアン名物である対角線沿いの鷹揚とした登場から華々しく、宝塚風前髪には度肝を抜かれましたが麗しい美丈夫にうっとり。
巨大な客席空間や東京文化会館以上に広さを誇るロビーに比較すると舞台は狭かったのか
勇壮で高さにも目を見張るジャンプの後、寸止めして一目散に袖へ入られたかと思われる場もありましたが笑
そのまま跳んでいったら近隣の観光名所千葉城や千葉市立郷土博物館まで飛翔してしまっていたかもしれず
そんな思わぬされど嬉々としたヒヤリ部分も含めて、千葉まで足を運んで良かったと心底思う下総日和でございました。
お2人とも、白地に赤、金色系の模様の衣装。キトリとバジルに見えなくもないデザインでしたが
(殊に、渡邊さんの場合昨年の福島県白河市での凱旋パキータでお披露目された白と金糸かの軍服な将校姿が余りに勇猛眩しく凛々しく強烈であった)
爽やかな主軸2人もまた良し。何より共演された生徒さん達がいたく幸せそうで、観る側も爽快でした。
上演後は花束贈呈の場が設けられ、千葉駅前のタクシー乗り場にも掲げられた県のキャッチコピー「花の都 ちば」に相応しく、花束抱えるお姿も清々しいお2人でした。

第2部の最中に地震で明らかに客席でやや強めの揺れを感じ、一時中断もあり、パキータの最中にも余震と思われる揺れもあったものの最後迄でき安堵しております。
会場は東京文化会館の如く広く重厚、堅固な造りで、入場時から圧倒される建築でした。





千葉駅到着。千葉の名産物地図がお出迎えです。それにしても広大面積な県。浦安市は東京のすぐそばであったと再確認。
そして銚子の地名を目にすると、思い浮かぶのは沢口靖子さん主演のドラマ『澪つくし』。
醤油醸造旧家の娘と漁師の息子が恋に落ちる、銚子の『ロミオとジュリエット』と呼ばれていたとかいないとか。
南房総地域の文字は、諸々渦中の滝沢秀明さんが出演されていた、16年前のお正月に放送『里見八犬伝』を思い出します。
ここ最近、16年前の2006年が何かと当ブログ登場機会が多し。



千葉駅改札すぐそばの千葉産日本酒ラウンジ。モダンで落ち着いた空間にて、1杯から楽しめます。飲み放題プランもあるようです。
グラスに注ぐ方式で、お通しがまたお洒落な盛り付け。入れ物はDRINK MEのアリスの瓶をも思い起こさせます。
そういえば、新国立劇場バレエ団の札幌公演鑑賞時に2年連続で訪れた 大衆酒場でも
北海道のあらゆる日本酒の提供時には可愛らしい小瓶に入れられていて、同行者(今回の千葉にもお越しになりました)も嬉しそうに眺めてくださったことも懐かしい。
(2020年の眠り札幌公演にもいらしたそのお方、お酒はお飲みにならないにも拘らず私が行きたいからと大衆酒場へ同行してくださいました。
お寿司やザンギ、自家製ジンジャエールをお気に召したご様子で一安心)



千葉駅から徒歩約8分。念願のチーバくん物産館も訪問!花束を持ちお行儀良く立つチーバくんです。
後ほどに待ち合わせ、今回もご一緒した千葉にお詳しい方が教えてくださいました。
何しろこの公演を知った9月半ばから、チーバくん連呼しておりました管理人でございます。
『パキータ』披露の後、池田さんと渡邊さんに花束が贈呈され、お2方とも大事そうに持ちにこやかに挨拶なさっていたお姿も印象に残っております。
花の都千葉とのキャッチフレーズがタクシー乗り場にも掲げられていて、パリまで行かずとも花の都へと足を踏み入れることが可能と学んだ千葉滞在です。



3日後にはアクアラインマラソンが開催。ランナーチーバくん。南方から東京へ戻る時の飛行機からもよく見えます、海ほたる。
ドラマ『木更津キャッツアイ』でも登場していたかと思います。ドラマで主要な役で出演されていた岡田義徳さんが只今新国立劇場の演劇「私の一ヶ月」に出演中。



東京文化会館以上に広うございます。



購入したお土産。八街市産の落花生と牛乳プリン。千葉は酪農の発祥地らしい。牛乳プリンの袋にもチーバくん。



5年前、都内にチーバくんが農産物出張販売で来てくれたとき。携帯電話店から出るとチーバくんが接客真っ盛り中でびっくり。
落花生始め美味しそうな食材がたっぷり並んでいました。
スタッフの方が写真もどうぞと快く声をかけていて、記念撮影。忘れもしない2017年12月、
ちょうど新国立劇場へ行く日で、柴山さん渡邊さん主演『シンデレラ』鑑賞日でございました。

2022年11月9日水曜日

解釈は無限で論争多発した葡萄収穫祭  新国立劇場バレエ団『ジゼル』10月21日(金)〜10月30日(日)   計8回





新国立劇場バレエ団新制作『ジゼル』を計8回観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/giselle/





ジゼル:小野絢子(21日)   柴山紗帆(22日昼、30日)  木村優里(22日夜、28日)  米沢唯(23日、29日夜)   池田理沙子(29日昼)

アルブレヒト:奥村康祐(21日)     井澤駿(22日昼、30日)    福岡雄大(22日夜、28日)   渡邊峻郁(23日、29日夜)     速水渉悟(29日昼)

ヒラリオン:福田圭吾(21日)  中家正博(22日昼、29日昼、30日)  木下嘉人(22日夜、28日)  中島駿野(23日、29日夜)

ミルタ:寺田亜沙子(21日、29日昼)  根岸祐衣(22日昼、23日、29日夜)  吉田朱里(22日夜、28日、30日)

ウィルフリード:清水裕三郎(21日、22日昼、29日昼、30日)  小柴富久修(22日夜、23日、28日、29日夜)  

ベルタ:楠元郁子(21日、22日夜、23日、28日夜、29日夜) 中田実里(22日昼、29日昼、30日)

クールランド公爵:夏山周久(全日)

バチルド:益田裕子(21日、22日夜、28日夜)  関晶帆(22日昼、30日)  渡辺与布(23日、29日昼夜)

ペザント  パ・ド・ドゥ:
池田理沙子、速水渉悟(21日、30日)  奥田花純、山田悠貴(22日昼)、五月女遥、佐野和輝(22日夜、28日)、
飯野萌子、山田悠貴(23日、29日夜)  奥田花純、中島瑞生(29日昼)

モイナ:廣川みくり(21日、29日昼)  広瀬碧(22日昼、23日、29日夜)  木村優子(22日夜、28日、30日)

ズルマ:飯野萌子(21日、29日昼)  益田裕子(22日昼、23日、29日夜)  渡辺与布(22日夜、28日、30日)



※舞台写真もホームページ等多数のメディアで公開されています。
花占い、ちょいと傲慢ブレヒト。





ダメブレヒトも守る健気なジゼル。そりゃこの人だったら守りますわ。







※長い感想です。読み手の心に何一つ気持ちを寄せておらず、思慮深さもございません。
既に優秀なブロガーの皆様のご感想が溢れている現在、そちらで満足された方はここまでありがとうございました。
以下はお読みになっても疲弊感が募ってくる或いはミルタからの踊り狂い命令よりお辛い状況に至ると存じます。ご無理なきように。


小野さんのジゼルは登場時は活発そうな笑みを浮かべ、アルブレヒトに対しては目をクリクリとさせて反応したりと無邪気で愛くるしい。
しかし1幕村人達との交差踊りにて、心臓に痛みが生じたときは途端に黒い陰がちらつき目元までが曇りかけ、不気味さを思わせたほど。
その後の悲劇を予兆していました。狂乱ではみるみると壊れいくさまを露わにし、それまでの明るさからは一転しての泣きじゃくる表情へと急降下。哀れさを誘いました。
ウィリになってからは人間の跡をすっかり消し去り魔物の如き精霊で、すうっと現れては哀しくひんやりとした漂いを見せていた印象です。

奥村さんのアルブレヒトはツンと澄ました遊び人貴族。ニコニコと笑みを投げかけてくるジゼルに対して
どこか冷めた目をしては含み笑いもあり、憎らしいボンボンです笑。ジゼルの死を目の前してようやく涙な叫びを表して愛に目覚める後悔が幕切れをぐっと劇的なものに。
小野さん奥村さんは新国立劇場での公演全幕にてここ最近組む機会が増え、『ライモンダ』『白鳥の湖』に続いて3作目。
病弱ではあっても明るさを失わない少女と、ツンデレ遊び人貴族青年が戯れる光景も新鮮に映り、他作品でも組む舞台も観てみたいと興味をそそられます。

柴山さんはそれはそれは大事に育てられてきたであろう楚々とした少女で、仕草1つ1つが上品。
地味とも言われがちな柴山さんですが、誰もが真似てもすぐにはできぬであろう、
ぱっと目を惹く清らかな品は大きな強味であろうと近年の舞台を観ていてつくづく思います。(序盤の緊張気味な部分はもう少し改善されると尚喜ばしい)
どの場面でもクラシックの美しい型を崩さぬ踊り方は以前から好感を持っていた上に、今回は表現もくっきりと見え
中でも花占いでのアルブレヒトを見つめる瞳からも恋する喜びが溢れ、結果に一喜一憂する姿もいたくいじらしい。
それだけに、狂乱での花占い回想では怒りを込めたような目の怖さに身震い。
いつも温厚そうで、怨恨の感情なんぞ持ったことが一度たりともないであろう少女の目が不気味さを帯びた一瞬、ぞわぞわと震え上がりました。
2幕では完全亡霊ではないウィリ。アルブレヒトへの百合の投げかけも優しく頷くような振る舞いから
微かに残る温もりが伝わり、もっと一緒にいたかった心の内がひたひたと零れるひと幕でした。

井澤さんは純愛坊ちゃまアルブレヒトで、おっとりとした柴山さんジゼルの仕草や行動を見守る姿がとてもにこやかで優しく
騙している風には見えぬ、純情な恋心と見て取れました。バチルドからの追い詰めも辛そうで、ミルタからの命令時の後退りも可哀想にも思えたのは
1幕にて、ジゼルの歩調に合わせて何処までも大切に接していた場面が思い起こされたからこそでしょう。
ジゼルにはヒラリオンの押しの強さが、アルブレヒトにはバチルドの勝気ぶりが合わず、
身分こそ違えど奥手そうな似た者同士2人が惹かれ合い、やり取りも仕草も1つ1つに優しい余韻残る
穏やかな恋模様を描出。悲劇が待ち受けているとは思わせぬピュアな光景に度々癒されました。

木村さんは恋に恋する好奇心旺盛なジゼルで、登場時のキョロキョロしながらの目の輝きや淑やかな中にも弾けるものを感じさせるステップで全身から恋心を体現。
息絶える直前の空虚な目つき、そしてアルブレヒトからはすっぽりと抜け落ちて倒れた姿も焼き付いております。
福岡さんは恋する喜びが溢れんばかりなジゼルに引き寄せられ、ジゼルの感情の起伏に対するアルブレヒトの優しい、鮮烈な反応からときめく語り聞こえ幸福充満。
バチルドに対し婚約中であることを証明するための並びの場面にて、手を取るのは易々と、しかし甲への口づけとなると怯え戸惑い、
愛するジゼルの前では苦しみしかない自身の行動を恨んでいるようにも読み取れました。
28日公演では2幕最後、少し笑みを湛え、共に過ごした幸せだった日を思い出すように心を通わせ別れを惜しむ2人に胸がじんわり。
中堅とベテランの組み合わせであっても生でのペア披露は初で、やりとりにしても息が抜群に合うとはまた違った、予定計画から外れるからこそ
昨年の配信『コッペリア』に続き、どの方角へ突き進むか予期できぬフレッシュな味わいで魅せてくださった気がいたします。
来年の『コッペリア』、今度こそは生での鑑賞が楽しみです。

池田さんあどけない少女が死後も意思持ちアルブレヒトを守ろうとする姿が目に残り、色々表現を模索されていたのか所々ぎこちなさがあったようにも思え
心臓が弱そうな少女には見え辛かったかもしれませんが、ペザント中も首飾りを見つめる仕草が愛らしく
恋する幸せを噛み締めながら日々を過ごしていた様子が見て取れました。
速水さんは意外にも(失礼)純情路線で若さ故に歯止め効かなかったであろう恋。王宮での縛りある生活が肌に合わず
伸び伸びとした自由を求めていたところに村でジゼルと出会ってしまったのかと推察いたします。
恐らくお2人とも初役であったからこその試行錯誤が時として良い方向にも働いたのか、貴族の身分を忘れたいアルブレヒトと、病弱な身体を忘れたいジゼルが惹かれ合い
共にとどまる所を知らずに道を踏み外して突っ走ってしまった果てに待ち受けていた悲劇と思うと納得です。
2幕にて、わなわなと怯えながらの跳躍にはジゼルが何としても救いたい心持ちとなるのも理解できる姿でした。

米沢さんは純朴健気で透き通る程に可憐な少女。特に23日は初心な幼さ、遠慮がちで物静かな性格が見え、
傍から見たらアルブレヒトの思うつぼであっても恋する幸せをゆっくり噛み締めるように表現。
序盤、アルブレヒトとの戯れのステップでも病弱であるはずの身体が徐々に晴れ晴れとしていくさまを丁寧な脚の差し出し方で示し
世間一般にはピンポンダッシュならぬノックダッシュで訪問してくる青年であろうと笑、会えただけでも心に光が射し込んでくるときめく胸の内が伝わりました。
(ドアの音、お母さんは何も不審に思っていなかったんか?あっ、祭りの準備中で多忙であったか)
29日夜公演は朗らかさが増し、遠慮がちではなく前のめりな積極性が出てアルブレヒトへの語りかけも明るい表情が目立って造形を変えて臨まれ
アルブレヒトの二重婚約を知ったときすぐさま顔が青ざめ絶望の淵へと追いやられていた初回に対し、
2回目は気をしっかり持とうと歩み続けていたように見え、両日においてそれぞれ異なる印象を持たせました。
ウィリーとなってからも、初回は可哀想で仕方ない絶命後も恋人を守る健気な姿が胸を打ち、
2回目は意思と強さがより一層出て、ミルタに怯まない毅然とした立ち姿で、朝の鐘が鳴り助け終えたときには安堵の笑みまでもが零れていたかと思います。
両日とも空気に溶け入りそうな浮遊感は見事なもので、 跳び方にしても頑張って踏み切っている感がなく、地に足がついていると思えぬ舞い方に注目せずにいられず。
横を向いたときに細い首筋からすっと伝う哀しみの線にも目を奪われました。
1幕ヴァリエーションではアラベスク1つで澄み切った風が優美に舞うかのような幸をもたらし、
アルブレヒトと目と目が糸でずっと繋がっているとしか思えぬほど視線を交わし続けつつも軽やかで歪みが一切ない脚運びにもうっとりです。

※以下、更に長くなります。まだ紅白歌合戦で言えば中断ニュースの段階前ですので小休止をどうぞ。

渡邊さんのアルブレヒトは23日と29日でがらりと変わるアプローチで、とりわけ23日は前回5年前の本気の純情青年とは正反対な傲慢狡猾貴公子。
ダンスマガジンにてプレイボーイも試していらっしゃるとのお話を拝読し、またトゥールーズ・キャピトル・バレエ団時代に踊ったときは
貴族の火遊びとして描いていたと前回公演前の新聞記事でも目に通しておりましたので、2022年はどちらで造形されるか
髪型ばかりを不安視していた前回2017年(失礼)とはまた違う楽しみを抱きながら初台へと参った次第です。
そしていざ初回の23日、序盤からジゼルに対し鼻で笑い小馬鹿にする姿に驚愕するも、こういった黒い部分を多々持ち合わせた貴公子も観てみたかったと歓喜へ到達。
からかい服従させようとしつつも時折愛情を見せればジゼルが首ったけになるのを見越して
悪知恵が働くのでしょう。ジゼルを思うままに操り容易に手の内に丸め込む、たちが悪い且つ大人の色男でございました。
花占いのときなんぞジゼルのほぼ真正面に真っ直ぐに腕組みで立ち、威圧感や見下しぶりや、
スカート除けて欲しい旨を伝えるときのややぶっきらぼうな指図にも一瞬目を疑ったほどでしたが
単に悪い男に終わらないのがまた魅力であり、僅かな隙を突いて正面から接吻を試みようとする行為は支配欲の塊に見えるも
ジゼルが恥ずかしがりながらときめきを秘め、胸が高鳴り幸せに触れているのは明らか。やり手な男と見てとれました。
また先の米沢さんジゼルの箇所でも少々綴った通り、ジゼルのヴァリエーションや、時間軸戻って仲間達への紹介後に2人で組んで踊る姿のお披露目では
目と目が真実の糸で繋がっているかのような、本気の愛で接していると見えたのも不思議なもので
もしかしたら、人々の前では善人な印象を与えるよう繕っていたか或いは基本遊びではあるがジゼルのピュアな清らかさに時として心を動かされていたか
謎には満ちるも、ジゼルがみるみると虜になってしまうのも頷ける人物でした。

プレイボーイ系は下手すると観客からひたすら憎まれてしまい、(嘗てある公演にて余りに目に付く火遊びぶりに早う沼に落ちれやと思ったアルブレヒトもいます笑)
一歩間違えれば危険と隣り合わせな賭けであったと思います。しかし下心をも包んでしまうような格や庶民には見えぬと分かっていても
惹きつけられてしまう高貴な趣を内側から発していて、更には、正体が暴かれ、化けの皮が剥がれて舌打ちしたり、通せんぼする村人への酷い態度での迫りでも
ジゼルが徐々に狂い弱っていく姿を目の当たりにしてようやく過ちに気づき始める遅過ぎる事態を招いても
不思議と惹かれる魅力があったのは、渡邊さんの徹底的に細かく目を配った造形があったからこそでしょう。
結果成熟したアルブレヒトとなって現れ、舞台に厚みを与え膨らませてくださったと捉えております。

2幕では大懺悔、舞台上の斜め対角線ではなく『ラ・バヤデール』影の王国を思わす坂をジグザグに下るマントして百合を抱え歩く姿も、
装置のデザインの都合上足元が見えぬのは残念極まりないものの、今回分かったのは後ろ姿における肩から床に流れ広がるマントの絶妙な張り具合。
身長条件のみならず、首から肩のラインや立ち姿に佇まいといったあらゆる要素が揃わないと成し得ぬお姿で
続く項垂れた立て膝でのポーズからも麗しい哀感が漂っていました。ミルタに踊らされる終盤、
前回は震え怯える苦しみを放ちながらも高さを維持した跳躍に驚き注視しておりましたが今回は死の崖っぷちに立たされた窮地にいる心情を露わに身体にのせ、
一見大疲弊かと思うもミルタにとことん追い込まれる凄まじさを全身で語り、話がより自然に
そして遂には助かり墓の前で悔いて嘆き悲しみながら崩れ落ちるように倒れ込み、
アルブレヒトの心をも入れ直したジゼルの存在の尊さが身に沁みるまでの流れの抑揚がはっきりと色づいていたと思えました。

29日夜は初回23日と大幅に変え、身勝手されど誠実な面が濃いアルブレヒトとして出現。米沢さんジゼルが朗らかに、明るさを増してのアプローチで
初回のような仰天なやりとりは抑え日に、静かな中に沸々と感情を丹念に描いていたと考察いたします。
これほどの転換に踏み切る例は珍しく、縁の隅々まで行き渡らせを意識された渡邊さんが相手との呼応や僅かな仕草、手の触れ方等
深い部分迄の掘り下げ、周囲とのバランス洞察力も高いからこその説得力でしょう。
以前から渡邊さんで観てみたい人物像であった興味や欲、そしてお目にかかれた喜びを大いに刺激した
初回の23日の強引傲慢系貴公子の方が私には響き、巧妙な手口と分かっていても見下されても、騙しの沼に浸かってしまいそうですが
(渡邊さんのオネーギン観たくなった次第)
両方のタイプを見せてくださって大満足。喜悦極まった両日鑑賞でございました。

団や版問わず『ジゼル』観るときの我がポイントの1つが、ジゼルの恥じらい。職業柄男女が手を取りながらの業務が多いため肌と肌が触れただけで恥ずかしくなる表現は
バレエダンサーにとって誠に難しい行為と思っており、毎度注目しております。
本当に慣れていない場合は恥じらいなんて本来はできず凝り固まったり歓声や奇声を上げて逃げ出したりするものですが、
バレエの舞台上それは厳禁。しかし態とらしくすればぶりっ子にも見えかねません。
今回の5人のジゼルは皆様個性は色々であれど自然な喜び、恥ずかしさが覗いて
アルブレヒトとのやりとりも好印象でしたが、最も自然に映ったのは23日の米沢さん渡邊さん組。
よく目を向けると、渡邊さんアルブレヒトは米沢さんジゼルに対し甘い言葉を囁いていそうでもなく愛想良くおだてたり褒めちぎる表情は殆どなく
どちらかといえば落ち着き払って強引に物事を進めたがる傾向にありそうな人物で、
先にも述べたようにスカート除けて横に座る場所を空けるように伝えるときも顔も強面であったか、上から目線の指図路線。
ジゼルからすれば、本心では隣でくっつきたいがなかなか言い出せず、向かい合って語り合えるだけでも十分で、甘酸っぱさが心を満たし幸せであったのでしょう。
しかしアルブレヒトは半ば強引に横に来て密着を試みたり正面から接吻で迫ったりとお構いなしな大胆な行動に、
ジゼルはびくっとしても本音は甘酸っぱさを超越し、支配力や迫力に仰け反りそうになっても蕩ける寸前であったに違いありません。
そんな複雑な乙女心を米沢さんが俯きがちな表情や抑えた中から花々が1輪ずつ咲いていくかのような色めき立つ喜びを繊細に表現。
何度膝を打ちたくなったか数え切れません笑。アルブレヒトの、相手を服従させようとする意図や命令、強引な部分はジゼルの脳内ではリードしてくれている頼もしさに変換され
閉鎖的な空間で長い時間を過ごしてきた事情もあり、初めて交際に発展した相手ですから人生全てが自ずとその人の色に染まるのは当然の展開でしょう。
例え裏切りであっても何もかもが幸せの雨であった日々を思えば憎悪の感情は持てず、ミルタに反発してでも守ろうと決意するのも理解できます。
しかもアルブレヒト、序盤にておっかないヒラリオンのどつきや脅しにも動じぬ胆力の持ち主で
ジゼルからすれば自身を守ってくれたかと思うと、盾になってくれた大きな背中を追いかけたい感情に駆られるのも納得。
アルブレヒトからすれば森番ごときに屈したくない自負心の強さから出た行動なのかもしれませんが、ジゼルにとっては何事もときめき変換されるのです、きっと。
仮にアルブレヒトがジゼルと結婚できたら、失恋した恋敵ヒラリオンから生活力を仕込まれ、スパルタ薪割り指導もあるであろうと想像しておりますが
このアルブレヒトなら意地でも耐えてやり切りそうな負けん気の強さが備わっている気がいたします。勝手な空想の連鎖、お許しを。

この作品ほど人物描写の幅や解釈が無限なものはないと思われ、キャストによって全く違う作品を観ている気分になり鮮烈な刺激の日々。
特にアルブレヒトは5者5様で、ヨイブレヒト、ワルブレヒト、ダメブレヒト、ピュアブレヒト等多種の呼び名が誕生。(まだあったかもしれません)
生活背景や村にやってきた経緯を好き勝手に想像しながら楽しみました。
ジゼルと知り合ってからの時間軸は気になるところで、幕開けに隠れ家に村人が葡萄飾りを付けていたため居住者がいる点は把握していたのか、
ただジゼルから皆に紹介されるときは男性陣は初対面な様子で握手して迎え、女性陣は驚き羨望の眼差しで見守ったりと、やはり出会って間もない設定か。
しかし仮に遊びであったとしても、出会ってすぐに結婚の話を持ち出すであろうか。
考えるほどに想像が巡回し沼に浸かりそうなため沼といえばお次はヒラリオン。

ヒラリオンも4者4様で、福田さんはひたむきで熱い男。ジゼルへの求愛もアルブレヒトへの憎悪を示す行為も一番力がこもっていた気がいたします。
(他日は打って変わって、麦わら帽子を被った、葡萄の選別にも勤しむおっとりした農夫さん。こちらもお似合いでした)
木下さんは熱情を捧げる上に、ジゼルへの細やかな気遣い兼備で、特にジゼルの腕を持つときの
彼女の華奢な手首を傷つけまいと優しくポンポンと触れいたわりながらの行為は少なくとも私がこれまで観た中ではヒラリオン史上初かと思います。
剣やお花を隠しながらのひっそり行動の不審ぶりは怪しくも説得力があり
2幕の幕が開き、坂の上の吹き荒ぶ風景の中での翳りある佇まいからも悲嘆を物語るヒラリオンでした。
サインペンで色濃く愛を膨らませていく木村さんジゼルと福岡さんアルブレヒトの絵を
スパッと鋭く斬り込みを入れてジゼルに目を覚ますよう必死に呼びかけるような三角関係に見えた次第です。
他日は木下さん、子煩悩なお父さんとしてバッカスの衣装に子供が着替えた姿を見せると頭飾りに触れて可愛がったり、優しいパパでございました。
中家さんは野良仕事で鍛えられた感満載な青年で、ドンと構えた逞しい貫禄。しかし一見粗野な風貌から想像がつかぬ
ジゼルへの花を玄関前の花瓶に活ける仕草はとても丁寧で、大事そうに両手でそっと入れる様子にびっくり。
恐らくは村の中でも強面で近寄り難いと思われていたかもしれませんが、ジゼルへの思いやりははるかに強かったのでしょう。
初回だけ、崖から突き落とされる場にて坂を登る過程が僅かに素になってしまっていた印象を感じさせましたが
以降は背中からも呻き声が聞こえそうな嘆きっぷりで追い詰められた危機を体現。思えば限界まで踊らせるに加えて坂をも上らせる振付とは、
ヒラリオンにとってはミルタよりもマリオットさんのほうが恐怖な存在に思えたことでしょう。(運動部の合宿かい)
色鉛筆で繊細に愛情を描き育んでいたと見て取れる柴山さんジゼルと井澤さんアルブレヒトが作り出す絵に
墨汁をぶっかけるような豪胆ぶりで物語を動かしてくださいました。他日は中家さん、貴族の元締めとして移動時も御一行を統括。
中島さんは最も線が細い体型で実は当初森番に見えないかもしれないと心配しておりましたが全くの無用。
アルブレヒトへの不信感、疑惑の募らせがいたく強く出ていて、刑事並みの捜査力、執念を思わせる造形。
とりわけ23日は鼻をへし折りたい気持ちに駆られずにいられない傲慢アルブレヒトと敵対でしたから
村人には見えぬ立ち居振る舞いへの疑念からの家宅捜索、剣の発見、角笛との家紋一致までの段階ごとに謎解きの流れが明確で
それらが積み重なっての収穫祭の最盛時における割り込みであったからこそ、単に体当たりではない破壊力がありました。

ヒラリオンの描き方も手が込み、幕開けから子供からも慕われ、村人達とも仲良く、何しろ2幕の幕開けは坂の上に佇む男前な姿でジゼルの死を静かに嘆く場面を設定。
しかも手製であろう、リース?には小花も挿し込まれ、花を届けにいった日を回想しジゼルを想いながら作ったと思うと、十字架に供える姿に泣けてくるのでした。
恐らくは金管楽器と同じ口の形であろう貴族の角笛を一発で高らかな音を吹かせる即座の演奏技術には
試したものの一向に音が出ずトランペットは諦め木管楽器を選ばざるを得なかった元吹奏楽部員として疑問が残りますが
野蛮で粗野なだけでない、優しい魅力に満ちた男性として描かれています。

抜擢の連続であったミルタも個性の花が開き、前回も務めている寺田さんは登場パ・ド・ブレの浮き上がったままかと見紛う舞台横切りに驚愕。
表情を極力作らずされど削ぎ落とした恐怖の美を全身から放ち、凍りつく支配力で通行する男性を追い詰めていました。
根岸さんはぱっと見て分かりやすい威厳を備え、目元から腕へと伝うガシッとした鋭い脅威は背筋凍る思いがいたしました。
初回だけ緊張で身体が強張ってしまったかウィリー達に埋もれてしまった様子でしたが以降は力強い仕切りで魅了。
先日日テレの報道番組での根岸さんを追った放送もありましたが、入団直後に抜擢された
ポーランド王女以上に幕全体を取りまとめるミルタ役の重圧の大きさは計り知れません。
そして今回一番の驚き抜擢であったでしょう、吉田さんは初回から座長らしい仕切りや存在はしっかり、且つ透けて後ろが見えそうな踊りの幽玄美に納得の抜擢。
長い手脚を持て余すどころかコントロールも出来ていて2回目は更に刺すような手強さも備えていた印象です。ウィリーの大半は先輩方でしょうに
水戸黄門風に申すとモイさんズルさんこらしめてやりなさいの下りも手慣れたもので、統率力にも驚かされました。
時折何処か悲しそうな表情を帯び、早くして命を落とし精霊の世界で怨念を背負ってきた経緯が浮かんでくる、ミルタにも同情を寄せたくなる女王でした。

ジゼルと対極な立ち位置にあるバチルドはこの版では貴族の娘や姫ではなく大富豪の娘として設定され、場違いなピンクドレスに最初は目を疑ったほど。
益田さんは女帝な振る舞いで圧の強さは一番で首飾りを贈ったジゼルから手に口づけされそうになると
すぐさま強面で手を引っ込め、身分を弁えるようあしらう表情で対処。
渡辺さんは我儘娘でベルタから出されたワインをあからさまに不味そうに呑んでしまうも
ジゼルには愛想良く接し、行き当たりばったり器用に立ち回っていそうでございました。
関さんは往年の大女優な風貌で一見クールであるが、柴山さんジゼルからの質問攻めに徐々に鬱陶しそうな顔を見せ
本性が徐々に覗けてくるところが面白くもありました。3名揃って共通点は美女であること。場が一気に華やぎ、どピンクドレスにも負けぬ容姿です。

ペザントは4組。パ・ド・ドゥ形式ではよく目にする手を組んで始まる振付ではなく、最初から二手に分かれ
全体を囲うように踊るためスケール感も求められる難振付でございます。他日に主演も兼ねた、
池田さん速水さんは村のリーダー格な2人で、五月女さんの軽やかでずれが微塵もない職人芸と佐野さんの喜び溢れるペアも祭りに相応しい楽しげな2人。
香り立つ花々のように優美に舞う奥田さんと、村人には見えないが笑、村長の子息であろう品のある中島さん、
上体の捻り方や足捌きも盤石な飯野さんと勢いもある山田さんも新鮮でした。
ジゼルがバチルドからの贈られた首飾りのお礼として、2人を連れてくる流れは2007年であったか、日本バレエ協会にて篠原聖一さん版でも目にした記憶がありますが
(ふと考えた、2009年、2018年に愛媛で観たときの篠原さん版や2011年の東京でのリサイタルではどうであったか、遡って調べてみます)
この場面のパ・ド・ドゥのみならず、収穫祭のフィナーレも2人で踊りつつ徐々に村人達を率いて盛り上がりを最高潮へと導く役目は初見。
ジゼルの狂乱にも居合わせ、今回の演出で最も位置付けに手が加えられた役柄でした。

貴族の描き方にも設定を細かく注入したようで、貴族が村人やバチルドから境界線引く芝居も見所。
ピーター・ライト版のような、貴族と村民完全分断な冷戦状態ではないものの、ペザント眺めながら拍手も気怠そうに、退屈してくる男性もいれば
公国の王子アルブレヒトと婚約しているために表向きはバチルドのほうが立場が上に見える一方、
成金娘と言わんばかりの軽蔑の視線を向ける女性達も多く静かな中でドラマが交錯。
また貴族の中にも序列はありそうで、日によっては中家さんが族長のような存在、女性は玉井さんが先陣を切って前方登場で高身分で優雅な暮らしぶりを誇示。
従来よりも宝飾品が増え、狩へ行くのに付け過ぎではと思ったものの、茶色をベースにした重厚な素材の衣装によく合い、男性陣は毛皮なデザインも多め。
葡萄収穫時期の秋のドイツ片田舎ですから肌寒さはあると思われ、村人と貴族の温度差は衣服にも表れていたのでした。
ジゼルの死後、村人から助けを求められるも鞭で追いやる冷淡ぶりも、村人にとって身分差を思い知る虚しさを募らせたひと幕であったことでしょう。

基盤維持するもウィリ達のフォーメーションは攻め度強めに変化。横型三角形で上階から見ると巨大な矢にも思える隊列でヒラリオンを先端に追い詰めたり、
集団でぐるぐると追いかけ回したりと悍ましい総攻撃。両腕を斜めに掲げながら突き刺すような振付が増えた印象です。

順番前後して、村人達のコール・ドも一段と躍動感増強。ただ横に交差するのみならず斜めの交差、隊列も多用し、何より男性の出番が格段に増加したもよう。
さりげなく要所要所に高難度技を組み込んでしかも息を合わせないとならぬ要求が高い振付も、立体感のあるものに仕上げ
ウィリは勿論、村人達の群舞も連日上からも観察でき、嬉しさが込み上げておりました。
細かな芝居も存分に用意され、ジゼルの死後ウィルフリードに抱えられて坂を上りながら立ち去るアルブレヒトに向かって最後の最後まで怒りをぶつけている男性村人もいて
菊岡優舞さんであったかと思いますが、怒り充満な叫びが聞こえてきそうな憎しみ露わな眼差しも目に響きました。
ウィルフリードの端正な容姿と勤勉ぶりは村娘達の憧れの的になった展開もなかなか面白く、坊ちゃん探しに奔走するための立ち去り時も親衛隊が追いかけ
そして佳境を迎える、ヒラリオンによるアルブレヒト住居家宅捜索へと繋がっていったのでした。
それにしてもウィルフリード、坊ちゃんが許されぬ行為に手を染めていると分かっていても村人風ファッションチェックもさせられ
うっかり剣を身に付けている点も一応は指摘。しかし狩の進行管理もせねばならず板挟み勤務がどれだけ辛かったことか察するものがあります。

振付のみならず装置美術もより立体的に緻密になり、色彩はすっきりしたセンスに纏められました。
立ち並ぶ家々には藁葺きもあり木の年季の入った質感や肌触り、日によってかもしれませんが
煙突から煙もモクモク噴出。すぐさま銭湯の文字が浮かんだのは私だけではないでしょう。
収穫祭ですから、ベルタが人々に振る舞う煮込み料理か、パンかお菓子でも焼いていたのかもしれません。
幕が開くと既に人々が収穫祭の準備に明け暮れる光景が広がっていましたから、慎ましくも豊かな生活感を感じ取りながら物語の世界へ入っていくことができました。
(ただこのときは所有者住民の正体不明であっただろうアルブレヒトの隠れ家にも梯子に登り、堂々と葡萄の飾り付けをしていた行動は気になったが)
ペザント・パ・ド・ドゥの2人を乗せてやってくる葡萄の山車も精巧な作りで、22日昼は速過ぎなスピードで不安になりましたが以降は安全運転で一安心。
時節柄だんじりの事故報道も耳にしていたものですから、また2008年年末の『シンデレラ』かぼちゃ馬車横転事故を目にしていたため乗り物系はどうか安全運転を。

2幕の墓地には十字架がたくさん無造作に立てられた集団墓地。男性に裏切られ、或いは未婚で亡くなった女性は
皆一同に集合と思うと不気味な気もいたしますがそういう時代であったにでしょう。
上階から観ると巨大なきのこの上に十字架が生えているようにも見えてしまいましたが、光と影の入り方が暗過ぎずされど奥行きもあり。
英国風演出イコール単に暗いだけでなくて良かったと思う私でございます。
ミルタの、きのこの頂上(失礼)からするりと姿を見せてヒラリオンを脅かす登場に初日は仰天でした。
話題となっていた月の消えるタイミングは全日見逃し汗、来夏は街から聴こえてくる炭坑節に耳を澄ますたびに
出たのは分かったから消えたのはいつやねんと問いかける日々となりそうです。
昨夜は全国各地、皆既月食、天王星食の話題で月がもたらすロマンチックな夜となって上を向いて撮影しよう現象が起きておりましたが
約2週間前までは初台限定、月がいつ消えたか論争勃発も今や懐かしき日々でございます。ちなみに次回の皆既月食天王星食同時発生は2344年7月26日とのこと。
例年管理人が人生の節目祝いや投稿を行っている時期の月日の数字に胸が高鳴りましたが、さすがに322年後は世にはおりません。
いや、空の何処かでケーキの構想を練り注文しているかもしれませんが、ウィリになっていないことを願います。

とにかく細かい設定満載で8回観ても追いきれておりませんが、千秋楽にてようやく気づいたのは
幕開け遅れて坂上る親子の子供(のちに着替えてバッカスの子供として花冠をジゼルに贈呈)だけが
花を後ろに隠し不審な動きをするヒラリオンにふと気づく姿を最終日にして発見。母親に手を引かれ、しぶしぶ一緒に引っ込んでいきましたが
暫しヒラリオンを不思議そうに見つめ、ジゼルの死では大袈裟に嘆きもせず1人十字を切って
静かに空を見上げて悼む様子を見せていました。実は鍵握る人物なのかもしれません。
大人にはない、登場はしませんがきっと他の子供にもない力を持っていて何かを予感し展開させていくのは
例えば『となりのトトロ』も同様で、話の舞台も時代も異なりますが、サツキちゃんとメイちゃん姉妹は
現世に生きつつも大人やカンタ、恐らくはみっちゃんにも見えないお化けとの交流を展開そしてネコバスにも乗車。
千秋楽の翌々日愛知県に開業したテーマパークに行きたいからとこじ付けたわけでもなく
(美術館なら自宅から自転車で行けるのだがパークのある愛知まで漕いでの訪問は不可能。来年行きたいものだ)
子供だからこその役目が何かありそうな気がしてなりません。

この版は振付、衣装、装置も上質で成功はおめでたいと思っておりますしピーター・ライト版のような
ジゼルまでもが茶色い衣装であるがゆえの全体が茶色いお弁当状態にもならず、
青いデザインしかも母親が仕立てたのであろう、ベルタの服と同じ素材であった点も納得がいき一安心したところでございます。
ただ1点懸念しているのは、この先の古典の改訂。吉田監督は好きですしバレエ団を良い方向へ導いてくださっていると思っており
プティやバランシン等あらゆる国の作品を取り入れてはくださっていますが
英国ロイヤル・バレエ日本支部ではありませんから、どれもこれも古典の改訂が英国風になるのは受け止め難いのが正直なところ。
少数派でしょうが前版の絵本を開いたかのようなカラフルな村祭りにほのぼのするセルゲイエフ版『ジゼル』も気に入っていた、
ロシアもとよりソ連バレエも好きな私でございます。ただこの情勢下、新改訂や制作でロシア物は困難でしょうし、難しい世の中と感じております。
それはともかく、まずは開場25周年おめでとうございます!計8回、秋の葡萄収穫祭を満喫いたしました。



※ご参考までに、前回2017年『ジゼル』感想です。同年のお正月には既に虜になっていた(正確には前年2016年12月のおけぴシンデレラリハーサルレポートで写真を目にしたときからか)
心境及びアトレ再入会始め鑑賞体制の変化等をボジョレーでもないのだが一気に解禁したときでございました。更に忍耐力の鍛錬に勤しみたい方のみどうぞ。
チケット発売日はまだアトレ再入会前で、3月の一般発売日に劇場へ行き朝から並んで購入。
事前にネットで空席は調べ、平日昼公演にはまだ最前列がある、しかもお墓前!!と不動産屋ではあり得ぬ希望を持って買いに出かけた日が懐かしい笑。
そして購入後にはそのまま牧阿佐美バレヱ団三銃士へ。目的はポルトスの役設定確認で
あるお世話になっているお1人の方には打ち明け、南仏の舞台に想像巡らす気満々であったわかりやすい目的である旨を温かく受け止めてくださいました。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post.html




5年前まで新国立劇場で上演されていたセルゲイエフ版『ジゼル』。今観ると色彩感や立体感の余りの違いに驚かされますが、
村の生活のリアリティに欠けている、また村娘が埋葬される墓作りに即日納品対応可能な墓石店があったとは信じ難い、墓の作りも立派過ぎるとはいえども
絵本の世界を覗くようなカラフルで明るい村祭りの光景は私としてはとても気に入っていて
東京都民に10人いれば良い方であろう少数派であるのは承知しておりますが今もこの版は好きでございます。
今年新国立劇場は25周年を迎えましたがその過程には先輩方が積み重ねてこられた活躍があってこそ。敬意を表し、幸い今も残っているこちらの映像紹介いたします。
16年前サッカーW杯ドイツ大会開催年であった2006年6月公演でジゼルさいとう美帆さん、アルベルト山本隆之さん、ハンス冨川祐樹さん、バチルド湯川麻美子さん。
(前回まではアルブレヒト、ヒラリオンではなくではなくこの名称でした)
儚くピュアなジゼル、心優しい貴公子アルベルト、武骨で熱いハンス、と並びのバランスも良く、
2年後の新潟公演『ライモンダ』全幕においても主要3役に再びこのお三方による三角関係を目にでき、喜び興奮した越後日和でございました。


※以下、写真多数ございます。お時間のある方や忍耐力を極限まで鍛えたい方のみご覧ください。
今年も残り2ヶ月切り、そんな暇はないとの方は恐れ入ります。次回更新予定の下総日記をお待ちください。




シーズン開幕初日、新国立劇場開場25周年に乾杯。画質宜しくない点はお許しください。
シーズンガイドブックのダンサー全員インタビューが面白く、いくつかの質問からの選択回答制だったようで
行きたい場所や郷土自慢の回答を全て地図に書き込んだらそれはそれは楽しい地図が完成しそうな予感。
私の場合大阪には何度も行っておりますが、大阪府ご出身の寺田さんと吉田朱里さんの郷土自慢回答からまだまだ知らぬ名物や名所があると学んだ次第。
ハマっている事としての太田さんの回答には思わず親しみを覚え、皆さんの個性が表れていて購入翌日は早朝から読み通してしまいました。
渡邊(峻)さんが行きたい場所としてお好きな映画にちなんだ名所を挙げていらして、どうか近いうちにご訪問できますように。
何度訪れても魅せられ癒され先人達の温もりが宿る場所でございます。(数えたら私は既に6回、鑑賞の用事と合わせて訪れていると判明!)

22日夜公演では大阪からいらした方々と3人で同じ場所で乾杯。公演期間前半からすっかり収穫祭真っ盛りでございました。
大阪のお2方とも5年前のお正月に始まった私の心境の変化及び鑑賞体制一新についてご存じですが、優しい目で受け止めていただき深謝。
お1人は翌日23日の公演もご鑑賞。次回お目にかかったとき感想を尋ねたいと思っております。



23日、晴天の空。そしてポスターを購入。しかし自宅に貼る場所がございません。巻き物のように時々取り出して開いては上腕二頭筋を眺める日々が続いております。
この日は何度かやりとりしていた木下さんファンの方と初対面。とても優しく温厚なお人柄で、外見も内面も綺麗なお方で感激。当ブログも随分前から読んでくださっていたとのことで、私が想像より若いとお思いになったもよう。
そうでございます、一応は文明開化以降の生まれで誕生時には既にお侍さんはいませんでした笑。



マエストロにて。(2回訪問いたしました)サイン入りメニューは毎回嬉しい贈り物です。
白ワインで乾杯。公演期間前半だけで果たしてワインを何杯いただいたか、もう数えません笑。



前菜。この日のアルブレヒトさん、だいぶ傲慢貴公子でしたが絵になったのは高貴な品が宿っていたからこそ。
少々意地悪な態度と愛情を交互に見せて作戦が巧妙でした。私なら、まんまと騙されます。でも後悔しないでしょう。



メインはペンネ  サルシッチャとレタスのクリームソース。クリームがよく絡んでいます。ワインが止まりません。



撮影したのは28日の幕間であったか、テラスからの夜景。オペラシティビルもアングルに入り、東京名夜景に仲間入りしてもおかしくない美しさです。
29日夜公演に大阪からいらした、お世話になり続けている方は(バレエの技術レベルは本当に上級者なお方です)
初の新国立劇場バレエ団鑑賞でテラスの景色も、そして渡邊さんアルブレヒトもお気に召したようで安堵。そしてやはり、私が好みそうな人であると思われたようです。
(関西で知り合った方々からよく言われます笑。私の好み、分かりやすいそうです)
お嬢様が3年前の2019年、大阪フェスティバルホールでのこども『白鳥の湖』にて代役でジークフリート王子役で出演された渡邊さんをご覧になり
好印象な感想を耳にしていたこともあって(私も現地大阪で鑑賞しお嬢様にも終演後会っておりますが感想内容の強要はしておりません、誤解なきように)
この度念願の初新国立劇場及び渡邊さんご鑑賞に至りました。尚、私の子供の頃以来数十年ぶりの有酸素運動初回時からお世話になっており、
当ブログでも馴染み深い表現となった我がズンドコ姿の初期時を知る数少ない受講者仲間(仲間とは言ってもレベルの差は歴然ですが汗)のおひとりでもございます。



2回目のマエストロ。木村さん福岡さんペアの何処へ転がるか未知数なフレッシュ感、私はとても好印象でした。



人参のムースと魚介のマリネと鶏のコンソメジュレ。ご一緒した毎度お世話になっている方が、おすすめだからとこのコースを選んでくださいましたが
人参ムースに魚介とコンソメの双方の味が溶けていて爽やかされど旨味凝縮、誠に美味しうございました。シャンパンが止まりません。



茄子とモッツァレラのトマトソース。茄子は万能野菜と意見が一致!白ワインが止まりません。



大山鶏の赤ワイン煮込み。ほろっと裂ける柔らかさで、赤ワインの味も濃縮。今宵もめでたい収穫祭!



キールロワイヤルを飲みながら、栗とアーモンドのセミフレッド。甘みが濃く、栗のほっくりとした食感も楽しいデザートです。



マエストロ入口



昼夜公演の合間に毎度の店へ。当ブログレギュラーな後輩と、彼女と同じスタジオに通う方と一緒でございました。
お2方ともグラン・パ・ド・ドゥ経験のある上級レベル者。しかし天と地の地にも及ばぬ
鑑賞と飲食三昧な私にも毎度優しい励ましで接してもらい、お話から学ぶこと多々ございます。
そしてお2人揃って1日に昼夜両方公演の鑑賞デビューを果たされました。昼の池田さんジゼル、速水さんアルブレヒトの
若いがゆえの恋の突っ走りに心を持っていかれ楽しまれたご様子で良かった良かった。

英国の趣きが詰まった演出であると振り返っていると、少量ずつの販売で店員さんが葡萄酒の売り歩き。
よく考えると、英国系の店舗で販売、葡萄と剣で、今回のアルブレヒト酒ではないか、しかも剣の形もよう似ている!
ああこのときのすぐ後にも鑑賞いたしましたが23日のアルブレヒトさん、序盤でヒラリオンとの対峙場面にて思わず剣を手に取ろうとした姿は
急に背筋も張り、どう見ても日頃の剣術訓練も十二分そうな高貴な身分の子息であるのは明らかなお姿でございました。



ギネスビールの横に置いたら、竪琴と剣が並びました。時代も形状も違えど、昨年6月公演『ライモンダ』を思い出します。(但し金曜日公演限定)



29日夜公演後、赤ワインで乾杯。(まだ飲むんか笑)夜公演前と同じ面々が揃いました。
23日とは全く異なる、誠実度上昇なアプローチでしたアルブレヒトさん。
どちらが好みか、或いは純愛系派か火遊び系派かどの人が響いたか、論争はあちこちで発生していましたが
管理人は23日の傲慢見下し成熟色男にずしっと心を鷲掴みにされました。
29日夜公演も観にいらしていたマント姿観察評価連盟会長なお方は渡邊ブレヒトについて、
読んでいるこちらまでが舞台を思い起こさずにはいられぬうっとりときめいてしまうご感想を送ってくださり
6月の『不思議の国のアリス』千秋楽もご覧になっていて渡邊さんジャックをたくさん褒めてくださり嬉々とした心持ちになったわけですが
シーズンガイドブックにも目を通され渡邊さんのインタビューを読まれ、そのときのジャックを思い出されたとのこと。
この度も大阪からのご来場ありがとうございました!



それにしても、ゲストなしでこれだけ組み合わせができるようになったこと。先輩方の活躍の積み重ねがあってこその開場25周年です。
ところで、おつまみにとチーズを注文したところベルキューブの詰め合わせで可愛らしい光沢のある包み紙を見つめていると牛さんの絵があり。
乳牛ではないが牛とバレエ、太古の昔に実は私にとって重要局面における組み合わせでもあったのです。
DAIFUKUタマブレヒトには到底及びませんが『ジゼル』某場面彷彿な部分もあり、その話はまたいずれ。

2022年11月3日木曜日

舞踊言語は果てしない領域へ   DAIFUKU à la carte  11月2日(水)





再び順番前後いたしますがこちらを先に。11月2日(水)、板橋区文化会館にてDAIFUKU アラカルトを観て参りました。
大和雅美さん福田圭吾さんによる演出振付企画公演も2016年の初回から継続上演されていて
今回も笑いありほろっとするときもあり、バレエ団外の舞台だからこそ引き出された魅力もたっぷり。色とりどりな作品が披露されました。
https://daifukulive.wixsite.com/website

スパイスイープラスの記事。上演作品についての詳細が掲載されています。
https://spice.eplus.jp/articles/309047



But Not for Me
振付:大和雅美
近藤美緒  原健太

小柄でパワフルな印象のある近藤さんがセクシーな魅力を醸し、原さんの穏和な包容力と合わさって
しっとり物憂げに、されど優しく愛を交わす男女の姿を描写。(解釈違っていたら失礼)
この曲がいたくお好きな方より開演前に教えていただき、耳にも心にもしんみり沁み入る曲調でまた聴きたくなりました。
ちなみに近藤さん、実は同じレッスン受講経験が今年2回あり、(5回中2回ですからかなりの高確率)センターでは同じグループに入っていらしたことも。
率先して最初に出てくださり、私のような即座に順番覚えられぬ、毎度クラス最下層レベルな駄目人間にとってどれだけ心強かったことか。
すぐ後方で重りの如くズンドコ右往左往している者がいた旨をもし気になさっていたようでしたら、犯人は私でございます。申し訳ございません汗。


a day
振付:福田圭吾
福田圭吾 石山蓮

研修所出身の期待の若手と在団歴が最長となったベテラン福田圭吾さんによるデュエット作品。
ややコンテンポラリー寄りな振付で、背も伸び体格もしっかりしてきた石山さんの
滑らかで癖のない身体能力や踊り方、黒スーツもさまになる姿や先輩とも対等に身体で語り合いながら堂々と踊れる度胸といい頼もしい要素抜群。


LOVE おっさんず
振付:福田圭吾
菅野英男 清水裕三郎  原健太  小柴富久修  宇賀大将

ついにお披露目、プログラムによれば福田さんがずっと温めてきた作品とのことで待望の上演となりました。
全員少しずつデザインは違えどサラリーマンな格好で、このまま会場最寄りの大山駅から電車に乗っても何ら違和感ございません笑。
最初皆でわいわいと職場内で賑やかに過ごしていると部長風な菅野さんがご登場。しかし部長も威厳があるだけではないすっとぼけた風味や相変わらず美しい爪先、
ここでは最年少?宇賀さんの内気な社員と何やら同僚以上の関係もありそうで、想像が果てなく続く作品です。
全員クラシックの技術が万全だからこそずっこけてもおふざけしても根幹がきちんとした作品として読み取れ、
何より現在はバレエマスターとして活躍中の菅野さんの多彩な面にスポットを当て新たな舞踊言語を引き出した福田さん、お見事です。作品紹介文の通り、未知の領域へと誘われました。
それにしてもKバレエカンパニー内で結成されたBallet Gentsな雰囲気の人は見当たらぬが
渋みを含ませたサラリーマンバレエとなるとこうも揃って自然に嵌るのは新国立男性カラーの特徴なのか笑。
再演熱望と同時に出演者の追加も歓迎でございます。部署でいえば経理部か総務部あたりか、誰よりも自然に嵌るお方がお1人いらっしゃると思うのですが。


HOME
振付:福田圭吾・大和雅美
小野絢子  近藤美緒  菅野英男  小柴富久修  宇賀大将  雪吉晴敬(橘バレエ学校)   大和雅美  福田圭吾

昭和を象徴するあの名作のバレエ版家族が東京初上陸。寺内貫太郎一家、ではなく(バレエで観てみたい気もするが笑)サザエさんでございます。
2019年5月初演の横浜、1度目の2019年9月再演の大阪ともキャストに少しずつ変更が生じ
今回はサザエを小野絢子さん、ワカメを近藤さん、波平を菅野さん、タマは小柴さん、マスオに宇賀さん、タラに雪吉さん、フネに大和さん、カツオが福田さん。
エンディングテーマ曲の冒頭部分が繰り返し流れ始めると、卓袱台の上に現れた小野さんサザエ、昭和の若妻な雰囲気満点で
前回前々回のスタイリッシュな本島美和さんサザエとはだいぶ異なるお姿で、買い物籠に長葱入れて踊る序盤から楽しませてくださいました。
宇賀さんのマスオはこれまでのちょいとスパイスの効いた福岡雄大さんより尖った部分のない、お人好しそうなサラリーマン。
眼鏡をくいくい触れる仕草が柔らかで、ビジネス鞄を持ちながらの足腰捌きやくねらせもお手の物。
そして雨上がり、サザエさんとのパ・ド・ドゥにおいてバレエ団の看板スター小野さんと組んでも
何ら遜色がなく、おしどり夫婦らしい睦まじさに包まれた潤う伸びやかさにほっこり。
どしっとした貫禄で雷親父とはまた違う神経質で気難しそうな風貌の菅野さん波平と大和さんフネの、
若かりし頃の回想と思われる戦時中であっても貫き通した愛情にはホロリとした思いに駆られました。
近藤さんワカメはチャキチャキとした健康児な趣きで切れ味鋭いテクニックで魅せ、悪戯好きなカツオ兄ちゃんに負けぬ存在感。
そういえば福田さんカツオがバットで野球素振りをするとき、ゴルフにも見えかけたのは私の見間違いでしょうか笑。

そして名物小柴さんによる白い全身タイツのタマは板橋区会場も大沸騰。3回目の私でもお腹が捩れましたから、初鑑賞の方はさぞ驚かれたことと察します。
中でもチュールの曲にのせてのアクセントと効かせたポーズの決め方といい、クラシックバレエの貴公子になりきって端正ぶりを見せようとしたり
中盤では猫じゃらし風の棒を持つサザエさんがミルタと化し、タマブレヒトをひたすら踊らせる『ジゼル』へのオマージュもあり。
今回はちょうど新国立劇場バレエ団は連日の新制作『ジゼル』終演から間もない時期ですからタイムリーで
しかも本公演や他所でもまず披露はないであろう小野さんサザエがミルタでしたから、
タマブレヒトも本島さんサザエミルタとはまた異なる幸福を味わっていたに違いありません。

各人物達の入れ替わりや曲の繋げ方もスムーズで冗長さは皆無であり、これまで360度全方角から見渡す客席構造であったスタジオの横浜、
2階席まであり片側からの鑑賞となる大阪府豊中市は大ホール、今回は片側からの1階席構造の小ホール、と3会場とも構造が様々でありながら
改訂も加え、それぞれの会場に見合った見せ方で披露する工夫の行き届きにも頭が下がるばかりです。
ローラン・プティ振付『こうもり』での1幕食卓風景を初めて観た頃からいつかはサザエさんもバレエ化が実現したらと願ってはおりましたが
実現させ県境を越え場所を変えて各地で再演も重ねてくださっている福田さん大和さんの手腕にも拍手でございます。



※ご参考までに、横浜と大阪で鑑賞したときのHOMEの感想でございます。
2019年5月横浜公演
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2019/05/post-ce66ff.html

2019年9月大阪公演
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2019/11/post-2577f6.html



板橋区への訪問機会は滅多になく、2017年徳永由貴さん主宰のバレエスクール発表会以来2度目。会場は同じ板橋区立文化会館(大ホール)でした。
当時は夏場であったため、すぐそばにトマト掬い大会の横断幕があったかと記憶しております。
さて早めに到着できたため、駅前の商店街ハッピーロード大山を散策です。



辰屋かぎやへ。創業は約300年前の京都に遡るらしく、初代が京都で修業を積んだ後、上板橋宿で菓子問屋を開業したとのこと。
ひやしうす塩大福とわらび大福を購入。前者は塩も甘さも抑え目で品のある味、後者はわらび特有の濃い香ばしさもありふるっとした食感も気に入りました。
https://sumutabi.net/879



接客してくださった辰屋かぎやの温厚で親切な店主やお店の方々、実は歌手としても活躍中とのこと。



『愛されて板橋』、板橋区にご当地歌謡があるとはびっくりです。
そして今回はダイフク鑑賞日に大福を会場近くの地元密着なお店で購入できました。
前回昨年5月公演では終演後、会場の横浜からそのまま羽田空港に直行し札幌へ飛んでいたため、
札幌市内のホテル近くのセイコーマートにて北海道小豆使用大福を見つけ、当日夜ホテルで打ち上げしておりました。
今回は波平さんとサラリーマンでいらした菅野さんが、シンデレラ全幕にて継母を踊られ、
そしてその継母に絡まれたときの王子が決して嫌そうな顔を見せず、誠にチャーミングなマダムでございました。



店頭に置かれていたチラシ



新国立劇場会報誌アトレに掲載されていた福田さんインタビューを読み、つい飲みたくなってしまったため帰りはハイボールで乾杯。



気になっていた最近開店のラーメン屋さんにて味玉醤油らあ麺。鴨と大山鶏のスープらしい。読み方も地域こそ違えど会場の最寄り駅と同じ漢字の並びであるのは喜ばしい。
チャーシューが2種入っていて、下側の鶏チャーシューがさっぱりした味でございました。麺は全粒粉使用で、スープはまろやかな風味です。
味変化には山唐酢もおすすめ、柚子胡椒に似た、辛くも爽やかな後味が残ります。


2022年11月2日水曜日

瀕死の白鳥の解体新書   DaBYパフォーミングアーツ・セレクション2022 in Tokyo 11月1日(火)




順番前後いたしますがこちらを先に。11月1日(火)、吉祥寺シアターにてDaBYパフォーミングアーツ・セレクション2022in Tokyoを観て参りました。
https://dancebase.yokohama/event_post/pas_tokyo

https://www.musashino.or.jp/k_theatre/1002050/1003231/1003962.html






酒井はなさんによる瀕死の白鳥解説



1本目は鈴木竜さん振付never thought it would。天井(であったか上部の装置かもしれない)から何本もの縦型蛍光灯らしき電灯が吊るされ、ときに様々な色に変わって点滅。
その中をときに迷路のように探り歩く全身黄金色総タイツ姿の柿崎麻莉子さんが自在に操る身体が発する叫びと装置の一体化の吸い込まれました。
前方席頭上まで電灯があり、休憩時間には前方1列目、2列目着席の観客は外への移動を促され装置転換が行われていました。私はもう少し後方の席でしたので
その転換過程観察に興味津々。人の手で1点1点手際良く回収されていく光景に、スタッフの方々にも思わず拍手を送りたくなりました。

2本目は今回の目当てであった酒井はなさんによる『瀕死の白鳥』でチェロ演奏は四家卯大さん。しなやかに力強く波打つ肉体や静かに閉じていく瞳を間近で目にでき感激。
序盤、パドブレの最中であったかチュチュにこんもりと付けられた羽の1枚がはらりと舞い落ち、それも演出かと思わすほどに白鳥の化身であった印象です。

今年はスターバレリーナによる『瀕死の白鳥』を観る機会に恵まれ、エレーナ・フィリピエワさんは柔軟な関節肩甲骨に驚愕し
中村祥子さんは陶器のような滑らかさ。酒井さんは尚生きようと藻掻く野性の鳥らしいパワーと
静寂のメリハリを明示され、踊り手による違いを堪能できた幸運な1年でございます。

続いて『瀕死の白鳥  その死の真相』、演出振付は岡田利規さん。酒井さんが作品解釈を台詞で語る斬新なパフォーマンスで
まず一通り踊り終えた後にマイクを装着したり水分補給する間は四家さんが椅子を移動させたり面白い動きをしたりと無言無音で独演会を行い上手いこと場繋ぎ。
準備が整うと酒井さんが踊りつつ解説を入れ、なぜここで息絶えそうになるかなど振付の意図やご自身の考えを語り
或いはポーズに込められた意味を時には四家さんの演奏も交え、掛け合いもユーモラス。環境問題風刺も取り入れての締め括りには思い切り笑ってしまいました。
名古屋で鑑賞した方々から評判に聞いていた通り、一旦解体して踊り手自身が読み解いていく展開に驚きつつも説得性のある演出でこの目で耳で確かめて良かった作品です。

最後は鈴木竜さん振付のWhen will we ever learn?。飯田利奈子さん、柿崎さん、鈴木さん、Ikuma Murakamiさんの4人が緊迫感が広がる空間にて
ソロの披露もあれば身体同士が触れ合うと途端に空気が切り刻まれるような発光を思わす反応が発生。無音時間が長くテーマはやや分かりづらくも(失礼)
だからこそ目でじっくりと追って振付のコンセプトを探り当てたくなる作品でした。

愛知県芸術劇場エグゼクティブプロデューサー、Dance Base Yokohamaアーティスティックディレクター唐津絵理さんの挨拶文によれば
今回は全国の公立劇場7か所での再演ツアーが実現とのことで、生み出された作品が1か所にとどまらず全国各地の観客の目に触れることは大変意義深く
少しとっつきにくい公演かと実は心配で場所が吉祥寺だから、酒井さんがご出演だからと足を運んだ私も
結果としてもう2作品も小劇場な空間における演出含めて丸ごと堪能できました。




吉祥寺通な方のご案内で、ハモニカ横丁へ。管理人初の、ジン翠ソーダで乾杯。白っぽい透明度のあるものを欲しておりました。
目の前に現れた酒井さん白鳥の美しさ、生きようと藻掻く情熱にうっとりしたと皆で回想。
そういえば、過去10年間でレッスン回数15回未満の管理人。うち1回は酒井さんレッスンで、白鳥の腕の練習取り入れは忘れられぬ思い出でございます。



計4名で乾杯。酒井さんのクラスや地元スタジオに長年通う方々や長年レッスンを続けていらっしゃるお三方です。週に2回は通われ、皆様上級レベル者でございます。
しかし揃ってお優しく、変わり者にもほどがある年に5回あれば非常に多いとみなす我が少なきレッスン回数にも理解を示してくださって安堵。
鑑賞の多さは身体の動きにも好影響ではとの前向き推理される方もいて、そうなんやろうか?
この日の3作品と同様に、追求したい人生のテーマです。どなたか検証論文の発表、お待ち申し上げます。