新国立劇場バレエ団新制作『ジゼル』を計8回観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/giselle/
ジゼル:小野絢子(21日) 柴山紗帆(22日昼、30日) 木村優里(22日夜、28日) 米沢唯(23日、29日夜) 池田理沙子(29日昼)
アルブレヒト:奥村康祐(21日) 井澤駿(22日昼、30日) 福岡雄大(22日夜、28日) 渡邊峻郁(23日、29日夜) 速水渉悟(29日昼)
ヒラリオン:福田圭吾(21日) 中家正博(22日昼、29日昼、30日) 木下嘉人(22日夜、28日) 中島駿野(23日、29日夜)
ミルタ:寺田亜沙子(21日、29日昼) 根岸祐衣(22日昼、23日、29日夜) 吉田朱里(22日夜、28日、30日)
ウィルフリード:清水裕三郎(21日、22日昼、29日昼、30日) 小柴富久修(22日夜、23日、28日、29日夜)
ベルタ:楠元郁子(21日、22日夜、23日、28日夜、29日夜) 中田実里(22日昼、29日昼、30日)
クールランド公爵:夏山周久(全日)
バチルド:益田裕子(21日、22日夜、28日夜) 関晶帆(22日昼、30日) 渡辺与布(23日、29日昼夜)
ペザント パ・ド・ドゥ:
池田理沙子、速水渉悟(21日、30日) 奥田花純、山田悠貴(22日昼)、五月女遥、佐野和輝(22日夜、28日)、
飯野萌子、山田悠貴(23日、29日夜) 奥田花純、中島瑞生(29日昼)
モイナ:廣川みくり(21日、29日昼) 広瀬碧(22日昼、23日、29日夜) 木村優子(22日夜、28日、30日)
ズルマ:飯野萌子(21日、29日昼) 益田裕子(22日昼、23日、29日夜) 渡辺与布(22日夜、28日、30日)
※舞台写真もホームページ等多数のメディアで公開されています。
花占い、ちょいと傲慢ブレヒト。
本日もご来場いただいた皆様、ありがとうございます!
— 新国立劇場バレエ団 The National Ballet of Japan (@nntt_ballet) October 28, 2022
次回公演は...
10月29日(土)13:00開演/C,D席販売中
10月29日(土)18:00開演/予定枚数終了
昼夜公演ともに当日券を朝10時から販売いたします。
皆様のご来場を心よりお待ちしております💌
チケットの購入はこちら↓https://t.co/R9wY7nUiKF pic.twitter.com/CsMYTk4bmR
ダメブレヒトも守る健気なジゼル。そりゃこの人だったら守りますわ。
※長い感想です。読み手の心に何一つ気持ちを寄せておらず、思慮深さもございません。
既に優秀なブロガーの皆様のご感想が溢れている現在、そちらで満足された方はここまでありがとうございました。
以下はお読みになっても疲弊感が募ってくる或いはミルタからの踊り狂い命令よりお辛い状況に至ると存じます。ご無理なきように。
小野さんのジゼルは登場時は活発そうな笑みを浮かべ、アルブレヒトに対しては目をクリクリとさせて反応したりと無邪気で愛くるしい。
しかし1幕村人達との交差踊りにて、心臓に痛みが生じたときは途端に黒い陰がちらつき目元までが曇りかけ、不気味さを思わせたほど。
その後の悲劇を予兆していました。狂乱ではみるみると壊れいくさまを露わにし、それまでの明るさからは一転しての泣きじゃくる表情へと急降下。哀れさを誘いました。
ウィリになってからは人間の跡をすっかり消し去り魔物の如き精霊で、すうっと現れては哀しくひんやりとした漂いを見せていた印象です。
奥村さんのアルブレヒトはツンと澄ました遊び人貴族。ニコニコと笑みを投げかけてくるジゼルに対して
どこか冷めた目をしては含み笑いもあり、憎らしいボンボンです笑。ジゼルの死を目の前してようやく涙な叫びを表して愛に目覚める後悔が幕切れをぐっと劇的なものに。
小野さん奥村さんは新国立劇場での公演全幕にてここ最近組む機会が増え、『ライモンダ』『白鳥の湖』に続いて3作目。
病弱ではあっても明るさを失わない少女と、ツンデレ遊び人貴族青年が戯れる光景も新鮮に映り、他作品でも組む舞台も観てみたいと興味をそそられます。
柴山さんはそれはそれは大事に育てられてきたであろう楚々とした少女で、仕草1つ1つが上品。
地味とも言われがちな柴山さんですが、誰もが真似てもすぐにはできぬであろう、
ぱっと目を惹く清らかな品は大きな強味であろうと近年の舞台を観ていてつくづく思います。(序盤の緊張気味な部分はもう少し改善されると尚喜ばしい)
どの場面でもクラシックの美しい型を崩さぬ踊り方は以前から好感を持っていた上に、今回は表現もくっきりと見え
中でも花占いでのアルブレヒトを見つめる瞳からも恋する喜びが溢れ、結果に一喜一憂する姿もいたくいじらしい。
それだけに、狂乱での花占い回想では怒りを込めたような目の怖さに身震い。
いつも温厚そうで、怨恨の感情なんぞ持ったことが一度たりともないであろう少女の目が不気味さを帯びた一瞬、ぞわぞわと震え上がりました。
2幕では完全亡霊ではないウィリ。アルブレヒトへの百合の投げかけも優しく頷くような振る舞いから
微かに残る温もりが伝わり、もっと一緒にいたかった心の内がひたひたと零れるひと幕でした。
井澤さんは純愛坊ちゃまアルブレヒトで、おっとりとした柴山さんジゼルの仕草や行動を見守る姿がとてもにこやかで優しく
騙している風には見えぬ、純情な恋心と見て取れました。バチルドからの追い詰めも辛そうで、ミルタからの命令時の後退りも可哀想にも思えたのは
1幕にて、ジゼルの歩調に合わせて何処までも大切に接していた場面が思い起こされたからこそでしょう。
ジゼルにはヒラリオンの押しの強さが、アルブレヒトにはバチルドの勝気ぶりが合わず、
身分こそ違えど奥手そうな似た者同士2人が惹かれ合い、やり取りも仕草も1つ1つに優しい余韻残る
穏やかな恋模様を描出。悲劇が待ち受けているとは思わせぬピュアな光景に度々癒されました。
木村さんは恋に恋する好奇心旺盛なジゼルで、登場時のキョロキョロしながらの目の輝きや淑やかな中にも弾けるものを感じさせるステップで全身から恋心を体現。
息絶える直前の空虚な目つき、そしてアルブレヒトからはすっぽりと抜け落ちて倒れた姿も焼き付いております。
福岡さんは恋する喜びが溢れんばかりなジゼルに引き寄せられ、ジゼルの感情の起伏に対するアルブレヒトの優しい、鮮烈な反応からときめく語り聞こえ幸福充満。
バチルドに対し婚約中であることを証明するための並びの場面にて、手を取るのは易々と、しかし甲への口づけとなると怯え戸惑い、
愛するジゼルの前では苦しみしかない自身の行動を恨んでいるようにも読み取れました。
28日公演では2幕最後、少し笑みを湛え、共に過ごした幸せだった日を思い出すように心を通わせ別れを惜しむ2人に胸がじんわり。
中堅とベテランの組み合わせであっても生でのペア披露は初で、やりとりにしても息が抜群に合うとはまた違った、予定計画から外れるからこそ
昨年の配信『コッペリア』に続き、どの方角へ突き進むか予期できぬフレッシュな味わいで魅せてくださった気がいたします。
来年の『コッペリア』、今度こそは生での鑑賞が楽しみです。
池田さんあどけない少女が死後も意思持ちアルブレヒトを守ろうとする姿が目に残り、色々表現を模索されていたのか所々ぎこちなさがあったようにも思え
心臓が弱そうな少女には見え辛かったかもしれませんが、ペザント中も首飾りを見つめる仕草が愛らしく
恋する幸せを噛み締めながら日々を過ごしていた様子が見て取れました。
速水さんは意外にも(失礼)純情路線で若さ故に歯止め効かなかったであろう恋。王宮での縛りある生活が肌に合わず
伸び伸びとした自由を求めていたところに村でジゼルと出会ってしまったのかと推察いたします。
恐らくお2人とも初役であったからこその試行錯誤が時として良い方向にも働いたのか、貴族の身分を忘れたいアルブレヒトと、病弱な身体を忘れたいジゼルが惹かれ合い
共にとどまる所を知らずに道を踏み外して突っ走ってしまった果てに待ち受けていた悲劇と思うと納得です。
2幕にて、わなわなと怯えながらの跳躍にはジゼルが何としても救いたい心持ちとなるのも理解できる姿でした。
米沢さんは純朴健気で透き通る程に可憐な少女。特に23日は初心な幼さ、遠慮がちで物静かな性格が見え、
傍から見たらアルブレヒトの思うつぼであっても恋する幸せをゆっくり噛み締めるように表現。
序盤、アルブレヒトとの戯れのステップでも病弱であるはずの身体が徐々に晴れ晴れとしていくさまを丁寧な脚の差し出し方で示し
世間一般にはピンポンダッシュならぬノックダッシュで訪問してくる青年であろうと笑、会えただけでも心に光が射し込んでくるときめく胸の内が伝わりました。
(ドアの音、お母さんは何も不審に思っていなかったんか?あっ、祭りの準備中で多忙であったか)
29日夜公演は朗らかさが増し、遠慮がちではなく前のめりな積極性が出てアルブレヒトへの語りかけも明るい表情が目立って造形を変えて臨まれ
アルブレヒトの二重婚約を知ったときすぐさま顔が青ざめ絶望の淵へと追いやられていた初回に対し、
2回目は気をしっかり持とうと歩み続けていたように見え、両日においてそれぞれ異なる印象を持たせました。
ウィリーとなってからも、初回は可哀想で仕方ない絶命後も恋人を守る健気な姿が胸を打ち、
2回目は意思と強さがより一層出て、ミルタに怯まない毅然とした立ち姿で、朝の鐘が鳴り助け終えたときには安堵の笑みまでもが零れていたかと思います。
両日とも空気に溶け入りそうな浮遊感は見事なもので、 跳び方にしても頑張って踏み切っている感がなく、地に足がついていると思えぬ舞い方に注目せずにいられず。
横を向いたときに細い首筋からすっと伝う哀しみの線にも目を奪われました。
1幕ヴァリエーションではアラベスク1つで澄み切った風が優美に舞うかのような幸をもたらし、
アルブレヒトと目と目が糸でずっと繋がっているとしか思えぬほど視線を交わし続けつつも軽やかで歪みが一切ない脚運びにもうっとりです。
※以下、更に長くなります。まだ紅白歌合戦で言えば中断ニュースの段階前ですので小休止をどうぞ。
渡邊さんのアルブレヒトは23日と29日でがらりと変わるアプローチで、とりわけ23日は前回5年前の本気の純情青年とは正反対な傲慢狡猾貴公子。
ダンスマガジンにてプレイボーイも試していらっしゃるとのお話を拝読し、またトゥールーズ・キャピトル・バレエ団時代に踊ったときは
貴族の火遊びとして描いていたと前回公演前の新聞記事でも目に通しておりましたので、2022年はどちらで造形されるか
髪型ばかりを不安視していた前回2017年(失礼)とはまた違う楽しみを抱きながら初台へと参った次第です。
そしていざ初回の23日、序盤からジゼルに対し鼻で笑い小馬鹿にする姿に驚愕するも、こういった黒い部分を多々持ち合わせた貴公子も観てみたかったと歓喜へ到達。
からかい服従させようとしつつも時折愛情を見せればジゼルが首ったけになるのを見越して
悪知恵が働くのでしょう。ジゼルを思うままに操り容易に手の内に丸め込む、たちが悪い且つ大人の色男でございました。
花占いのときなんぞジゼルのほぼ真正面に真っ直ぐに腕組みで立ち、威圧感や見下しぶりや、
スカート除けて欲しい旨を伝えるときのややぶっきらぼうな指図にも一瞬目を疑ったほどでしたが
単に悪い男に終わらないのがまた魅力であり、僅かな隙を突いて正面から接吻を試みようとする行為は支配欲の塊に見えるも
ジゼルが恥ずかしがりながらときめきを秘め、胸が高鳴り幸せに触れているのは明らか。やり手な男と見てとれました。
また先の米沢さんジゼルの箇所でも少々綴った通り、ジゼルのヴァリエーションや、時間軸戻って仲間達への紹介後に2人で組んで踊る姿のお披露目では
目と目が真実の糸で繋がっているかのような、本気の愛で接していると見えたのも不思議なもので
もしかしたら、人々の前では善人な印象を与えるよう繕っていたか或いは基本遊びではあるがジゼルのピュアな清らかさに時として心を動かされていたか
謎には満ちるも、ジゼルがみるみると虜になってしまうのも頷ける人物でした。
プレイボーイ系は下手すると観客からひたすら憎まれてしまい、(嘗てある公演にて余りに目に付く火遊びぶりに早う沼に落ちれやと思ったアルブレヒトもいます笑)
一歩間違えれば危険と隣り合わせな賭けであったと思います。しかし下心をも包んでしまうような格や庶民には見えぬと分かっていても
惹きつけられてしまう高貴な趣を内側から発していて、更には、正体が暴かれ、化けの皮が剥がれて舌打ちしたり、通せんぼする村人への酷い態度での迫りでも
ジゼルが徐々に狂い弱っていく姿を目の当たりにしてようやく過ちに気づき始める遅過ぎる事態を招いても
不思議と惹かれる魅力があったのは、渡邊さんの徹底的に細かく目を配った造形があったからこそでしょう。
結果成熟したアルブレヒトとなって現れ、舞台に厚みを与え膨らませてくださったと捉えております。
2幕では大懺悔、舞台上の斜め対角線ではなく『ラ・バヤデール』影の王国を思わす坂をジグザグに下るマントして百合を抱え歩く姿も、
装置のデザインの都合上足元が見えぬのは残念極まりないものの、今回分かったのは後ろ姿における肩から床に流れ広がるマントの絶妙な張り具合。
身長条件のみならず、首から肩のラインや立ち姿に佇まいといったあらゆる要素が揃わないと成し得ぬお姿で
続く項垂れた立て膝でのポーズからも麗しい哀感が漂っていました。ミルタに踊らされる終盤、
前回は震え怯える苦しみを放ちながらも高さを維持した跳躍に驚き注視しておりましたが今回は死の崖っぷちに立たされた窮地にいる心情を露わに身体にのせ、
一見大疲弊かと思うもミルタにとことん追い込まれる凄まじさを全身で語り、話がより自然に
そして遂には助かり墓の前で悔いて嘆き悲しみながら崩れ落ちるように倒れ込み、
アルブレヒトの心をも入れ直したジゼルの存在の尊さが身に沁みるまでの流れの抑揚がはっきりと色づいていたと思えました。
29日夜は初回23日と大幅に変え、身勝手されど誠実な面が濃いアルブレヒトとして出現。米沢さんジゼルが朗らかに、明るさを増してのアプローチで
初回のような仰天なやりとりは抑え日に、静かな中に沸々と感情を丹念に描いていたと考察いたします。
これほどの転換に踏み切る例は珍しく、縁の隅々まで行き渡らせを意識された渡邊さんが相手との呼応や僅かな仕草、手の触れ方等
深い部分迄の掘り下げ、周囲とのバランス洞察力も高いからこその説得力でしょう。
以前から渡邊さんで観てみたい人物像であった興味や欲、そしてお目にかかれた喜びを大いに刺激した
初回の23日の強引傲慢系貴公子の方が私には響き、巧妙な手口と分かっていても見下されても、騙しの沼に浸かってしまいそうですが
(渡邊さんのオネーギン観たくなった次第)
両方のタイプを見せてくださって大満足。喜悦極まった両日鑑賞でございました。
団や版問わず『ジゼル』観るときの我がポイントの1つが、ジゼルの恥じらい。職業柄男女が手を取りながらの業務が多いため肌と肌が触れただけで恥ずかしくなる表現は
バレエダンサーにとって誠に難しい行為と思っており、毎度注目しております。
本当に慣れていない場合は恥じらいなんて本来はできず凝り固まったり歓声や奇声を上げて逃げ出したりするものですが、
バレエの舞台上それは厳禁。しかし態とらしくすればぶりっ子にも見えかねません。
今回の5人のジゼルは皆様個性は色々であれど自然な喜び、恥ずかしさが覗いて
アルブレヒトとのやりとりも好印象でしたが、最も自然に映ったのは23日の米沢さん渡邊さん組。
よく目を向けると、渡邊さんアルブレヒトは米沢さんジゼルに対し甘い言葉を囁いていそうでもなく愛想良くおだてたり褒めちぎる表情は殆どなく
どちらかといえば落ち着き払って強引に物事を進めたがる傾向にありそうな人物で、
先にも述べたようにスカート除けて横に座る場所を空けるように伝えるときも顔も強面であったか、上から目線の指図路線。
ジゼルからすれば、本心では隣でくっつきたいがなかなか言い出せず、向かい合って語り合えるだけでも十分で、甘酸っぱさが心を満たし幸せであったのでしょう。
しかしアルブレヒトは半ば強引に横に来て密着を試みたり正面から接吻で迫ったりとお構いなしな大胆な行動に、
ジゼルはびくっとしても本音は甘酸っぱさを超越し、支配力や迫力に仰け反りそうになっても蕩ける寸前であったに違いありません。
そんな複雑な乙女心を米沢さんが俯きがちな表情や抑えた中から花々が1輪ずつ咲いていくかのような色めき立つ喜びを繊細に表現。
何度膝を打ちたくなったか数え切れません笑。アルブレヒトの、相手を服従させようとする意図や命令、強引な部分はジゼルの脳内ではリードしてくれている頼もしさに変換され
閉鎖的な空間で長い時間を過ごしてきた事情もあり、初めて交際に発展した相手ですから人生全てが自ずとその人の色に染まるのは当然の展開でしょう。
例え裏切りであっても何もかもが幸せの雨であった日々を思えば憎悪の感情は持てず、ミルタに反発してでも守ろうと決意するのも理解できます。
しかもアルブレヒト、序盤にておっかないヒラリオンのどつきや脅しにも動じぬ胆力の持ち主で
ジゼルからすれば自身を守ってくれたかと思うと、盾になってくれた大きな背中を追いかけたい感情に駆られるのも納得。
アルブレヒトからすれば森番ごときに屈したくない自負心の強さから出た行動なのかもしれませんが、ジゼルにとっては何事もときめき変換されるのです、きっと。
仮にアルブレヒトがジゼルと結婚できたら、失恋した恋敵ヒラリオンから生活力を仕込まれ、スパルタ薪割り指導もあるであろうと想像しておりますが
このアルブレヒトなら意地でも耐えてやり切りそうな負けん気の強さが備わっている気がいたします。勝手な空想の連鎖、お許しを。
この作品ほど人物描写の幅や解釈が無限なものはないと思われ、キャストによって全く違う作品を観ている気分になり鮮烈な刺激の日々。
特にアルブレヒトは5者5様で、ヨイブレヒト、ワルブレヒト、ダメブレヒト、ピュアブレヒト等多種の呼び名が誕生。(まだあったかもしれません)
生活背景や村にやってきた経緯を好き勝手に想像しながら楽しみました。
ジゼルと知り合ってからの時間軸は気になるところで、幕開けに隠れ家に村人が葡萄飾りを付けていたため居住者がいる点は把握していたのか、
ただジゼルから皆に紹介されるときは男性陣は初対面な様子で握手して迎え、女性陣は驚き羨望の眼差しで見守ったりと、やはり出会って間もない設定か。
しかし仮に遊びであったとしても、出会ってすぐに結婚の話を持ち出すであろうか。
考えるほどに想像が巡回し沼に浸かりそうなため沼といえばお次はヒラリオン。
ヒラリオンも4者4様で、福田さんはひたむきで熱い男。ジゼルへの求愛もアルブレヒトへの憎悪を示す行為も一番力がこもっていた気がいたします。
(他日は打って変わって、麦わら帽子を被った、葡萄の選別にも勤しむおっとりした農夫さん。こちらもお似合いでした)
木下さんは熱情を捧げる上に、ジゼルへの細やかな気遣い兼備で、特にジゼルの腕を持つときの
彼女の華奢な手首を傷つけまいと優しくポンポンと触れいたわりながらの行為は少なくとも私がこれまで観た中ではヒラリオン史上初かと思います。
剣やお花を隠しながらのひっそり行動の不審ぶりは怪しくも説得力があり
2幕の幕が開き、坂の上の吹き荒ぶ風景の中での翳りある佇まいからも悲嘆を物語るヒラリオンでした。
サインペンで色濃く愛を膨らませていく木村さんジゼルと福岡さんアルブレヒトの絵を
スパッと鋭く斬り込みを入れてジゼルに目を覚ますよう必死に呼びかけるような三角関係に見えた次第です。
他日は木下さん、子煩悩なお父さんとしてバッカスの衣装に子供が着替えた姿を見せると頭飾りに触れて可愛がったり、優しいパパでございました。
中家さんは野良仕事で鍛えられた感満載な青年で、ドンと構えた逞しい貫禄。しかし一見粗野な風貌から想像がつかぬ
ジゼルへの花を玄関前の花瓶に活ける仕草はとても丁寧で、大事そうに両手でそっと入れる様子にびっくり。
恐らくは村の中でも強面で近寄り難いと思われていたかもしれませんが、ジゼルへの思いやりははるかに強かったのでしょう。
初回だけ、崖から突き落とされる場にて坂を登る過程が僅かに素になってしまっていた印象を感じさせましたが
以降は背中からも呻き声が聞こえそうな嘆きっぷりで追い詰められた危機を体現。思えば限界まで踊らせるに加えて坂をも上らせる振付とは、
ヒラリオンにとってはミルタよりもマリオットさんのほうが恐怖な存在に思えたことでしょう。(運動部の合宿かい)
色鉛筆で繊細に愛情を描き育んでいたと見て取れる柴山さんジゼルと井澤さんアルブレヒトが作り出す絵に
墨汁をぶっかけるような豪胆ぶりで物語を動かしてくださいました。他日は中家さん、貴族の元締めとして移動時も御一行を統括。
中島さんは最も線が細い体型で実は当初森番に見えないかもしれないと心配しておりましたが全くの無用。
アルブレヒトへの不信感、疑惑の募らせがいたく強く出ていて、刑事並みの捜査力、執念を思わせる造形。
とりわけ23日は鼻をへし折りたい気持ちに駆られずにいられない傲慢アルブレヒトと敵対でしたから
村人には見えぬ立ち居振る舞いへの疑念からの家宅捜索、剣の発見、角笛との家紋一致までの段階ごとに謎解きの流れが明確で
それらが積み重なっての収穫祭の最盛時における割り込みであったからこそ、単に体当たりではない破壊力がありました。
ヒラリオンの描き方も手が込み、幕開けから子供からも慕われ、村人達とも仲良く、何しろ2幕の幕開けは坂の上に佇む男前な姿でジゼルの死を静かに嘆く場面を設定。
しかも手製であろう、リース?には小花も挿し込まれ、花を届けにいった日を回想しジゼルを想いながら作ったと思うと、十字架に供える姿に泣けてくるのでした。
恐らくは金管楽器と同じ口の形であろう貴族の角笛を一発で高らかな音を吹かせる即座の演奏技術には
試したものの一向に音が出ずトランペットは諦め木管楽器を選ばざるを得なかった元吹奏楽部員として疑問が残りますが
野蛮で粗野なだけでない、優しい魅力に満ちた男性として描かれています。
抜擢の連続であったミルタも個性の花が開き、前回も務めている寺田さんは登場パ・ド・ブレの浮き上がったままかと見紛う舞台横切りに驚愕。
表情を極力作らずされど削ぎ落とした恐怖の美を全身から放ち、凍りつく支配力で通行する男性を追い詰めていました。
根岸さんはぱっと見て分かりやすい威厳を備え、目元から腕へと伝うガシッとした鋭い脅威は背筋凍る思いがいたしました。
初回だけ緊張で身体が強張ってしまったかウィリー達に埋もれてしまった様子でしたが以降は力強い仕切りで魅了。
先日日テレの報道番組での根岸さんを追った放送もありましたが、入団直後に抜擢された
ポーランド王女以上に幕全体を取りまとめるミルタ役の重圧の大きさは計り知れません。
そして今回一番の驚き抜擢であったでしょう、吉田さんは初回から座長らしい仕切りや存在はしっかり、且つ透けて後ろが見えそうな踊りの幽玄美に納得の抜擢。
長い手脚を持て余すどころかコントロールも出来ていて2回目は更に刺すような手強さも備えていた印象です。ウィリーの大半は先輩方でしょうに
水戸黄門風に申すとモイさんズルさんこらしめてやりなさいの下りも手慣れたもので、統率力にも驚かされました。
時折何処か悲しそうな表情を帯び、早くして命を落とし精霊の世界で怨念を背負ってきた経緯が浮かんでくる、ミルタにも同情を寄せたくなる女王でした。
ジゼルと対極な立ち位置にあるバチルドはこの版では貴族の娘や姫ではなく大富豪の娘として設定され、場違いなピンクドレスに最初は目を疑ったほど。
益田さんは女帝な振る舞いで圧の強さは一番で首飾りを贈ったジゼルから手に口づけされそうになると
すぐさま強面で手を引っ込め、身分を弁えるようあしらう表情で対処。
渡辺さんは我儘娘でベルタから出されたワインをあからさまに不味そうに呑んでしまうも
ジゼルには愛想良く接し、行き当たりばったり器用に立ち回っていそうでございました。
関さんは往年の大女優な風貌で一見クールであるが、柴山さんジゼルからの質問攻めに徐々に鬱陶しそうな顔を見せ
本性が徐々に覗けてくるところが面白くもありました。3名揃って共通点は美女であること。場が一気に華やぎ、どピンクドレスにも負けぬ容姿です。
ペザントは4組。パ・ド・ドゥ形式ではよく目にする手を組んで始まる振付ではなく、最初から二手に分かれ
全体を囲うように踊るためスケール感も求められる難振付でございます。他日に主演も兼ねた、
池田さん速水さんは村のリーダー格な2人で、五月女さんの軽やかでずれが微塵もない職人芸と佐野さんの喜び溢れるペアも祭りに相応しい楽しげな2人。
香り立つ花々のように優美に舞う奥田さんと、村人には見えないが笑、村長の子息であろう品のある中島さん、
上体の捻り方や足捌きも盤石な飯野さんと勢いもある山田さんも新鮮でした。
ジゼルがバチルドからの贈られた首飾りのお礼として、2人を連れてくる流れは2007年であったか、日本バレエ協会にて篠原聖一さん版でも目にした記憶がありますが
(ふと考えた、2009年、2018年に愛媛で観たときの篠原さん版や2011年の東京でのリサイタルではどうであったか、遡って調べてみます)
この場面のパ・ド・ドゥのみならず、収穫祭のフィナーレも2人で踊りつつ徐々に村人達を率いて盛り上がりを最高潮へと導く役目は初見。
ジゼルの狂乱にも居合わせ、今回の演出で最も位置付けに手が加えられた役柄でした。
貴族の描き方にも設定を細かく注入したようで、貴族が村人やバチルドから境界線引く芝居も見所。
ピーター・ライト版のような、貴族と村民完全分断な冷戦状態ではないものの、ペザント眺めながら拍手も気怠そうに、退屈してくる男性もいれば
公国の王子アルブレヒトと婚約しているために表向きはバチルドのほうが立場が上に見える一方、
成金娘と言わんばかりの軽蔑の視線を向ける女性達も多く静かな中でドラマが交錯。
また貴族の中にも序列はありそうで、日によっては中家さんが族長のような存在、女性は玉井さんが先陣を切って前方登場で高身分で優雅な暮らしぶりを誇示。
従来よりも宝飾品が増え、狩へ行くのに付け過ぎではと思ったものの、茶色をベースにした重厚な素材の衣装によく合い、男性陣は毛皮なデザインも多め。
葡萄収穫時期の秋のドイツ片田舎ですから肌寒さはあると思われ、村人と貴族の温度差は衣服にも表れていたのでした。
ジゼルの死後、村人から助けを求められるも鞭で追いやる冷淡ぶりも、村人にとって身分差を思い知る虚しさを募らせたひと幕であったことでしょう。
基盤維持するもウィリ達のフォーメーションは攻め度強めに変化。横型三角形で上階から見ると巨大な矢にも思える隊列でヒラリオンを先端に追い詰めたり、
集団でぐるぐると追いかけ回したりと悍ましい総攻撃。両腕を斜めに掲げながら突き刺すような振付が増えた印象です。
順番前後して、村人達のコール・ドも一段と躍動感増強。ただ横に交差するのみならず斜めの交差、隊列も多用し、何より男性の出番が格段に増加したもよう。
さりげなく要所要所に高難度技を組み込んでしかも息を合わせないとならぬ要求が高い振付も、立体感のあるものに仕上げ
ウィリは勿論、村人達の群舞も連日上からも観察でき、嬉しさが込み上げておりました。
細かな芝居も存分に用意され、ジゼルの死後ウィルフリードに抱えられて坂を上りながら立ち去るアルブレヒトに向かって最後の最後まで怒りをぶつけている男性村人もいて
菊岡優舞さんであったかと思いますが、怒り充満な叫びが聞こえてきそうな憎しみ露わな眼差しも目に響きました。
ウィルフリードの端正な容姿と勤勉ぶりは村娘達の憧れの的になった展開もなかなか面白く、坊ちゃん探しに奔走するための立ち去り時も親衛隊が追いかけ
そして佳境を迎える、ヒラリオンによるアルブレヒト住居家宅捜索へと繋がっていったのでした。
それにしてもウィルフリード、坊ちゃんが許されぬ行為に手を染めていると分かっていても村人風ファッションチェックもさせられ
うっかり剣を身に付けている点も一応は指摘。しかし狩の進行管理もせねばならず板挟み勤務がどれだけ辛かったことか察するものがあります。
振付のみならず装置美術もより立体的に緻密になり、色彩はすっきりしたセンスに纏められました。
立ち並ぶ家々には藁葺きもあり木の年季の入った質感や肌触り、日によってかもしれませんが
煙突から煙もモクモク噴出。すぐさま銭湯の文字が浮かんだのは私だけではないでしょう。
収穫祭ですから、ベルタが人々に振る舞う煮込み料理か、パンかお菓子でも焼いていたのかもしれません。
幕が開くと既に人々が収穫祭の準備に明け暮れる光景が広がっていましたから、慎ましくも豊かな生活感を感じ取りながら物語の世界へ入っていくことができました。
(ただこのときは所有者住民の正体不明であっただろうアルブレヒトの隠れ家にも梯子に登り、堂々と葡萄の飾り付けをしていた行動は気になったが)
ペザント・パ・ド・ドゥの2人を乗せてやってくる葡萄の山車も精巧な作りで、22日昼は速過ぎなスピードで不安になりましたが以降は安全運転で一安心。
時節柄だんじりの事故報道も耳にしていたものですから、また2008年年末の『シンデレラ』かぼちゃ馬車横転事故を目にしていたため乗り物系はどうか安全運転を。
2幕の墓地には十字架がたくさん無造作に立てられた集団墓地。男性に裏切られ、或いは未婚で亡くなった女性は
皆一同に集合と思うと不気味な気もいたしますがそういう時代であったにでしょう。
上階から観ると巨大なきのこの上に十字架が生えているようにも見えてしまいましたが、光と影の入り方が暗過ぎずされど奥行きもあり。
英国風演出イコール単に暗いだけでなくて良かったと思う私でございます。
ミルタの、きのこの頂上(失礼)からするりと姿を見せてヒラリオンを脅かす登場に初日は仰天でした。
話題となっていた月の消えるタイミングは全日見逃し汗、来夏は街から聴こえてくる炭坑節に耳を澄ますたびに
出たのは分かったから消えたのはいつやねんと問いかける日々となりそうです。
昨夜は全国各地、皆既月食、天王星食の話題で月がもたらすロマンチックな夜となって上を向いて撮影しよう現象が起きておりましたが
約2週間前までは初台限定、月がいつ消えたか論争勃発も今や懐かしき日々でございます。ちなみに次回の皆既月食天王星食同時発生は2344年7月26日とのこと。
例年管理人が人生の節目祝いや投稿を行っている時期の月日の数字に胸が高鳴りましたが、さすがに322年後は世にはおりません。
いや、空の何処かでケーキの構想を練り注文しているかもしれませんが、ウィリになっていないことを願います。
とにかく細かい設定満載で8回観ても追いきれておりませんが、千秋楽にてようやく気づいたのは
幕開け遅れて坂上る親子の子供(のちに着替えてバッカスの子供として花冠をジゼルに贈呈)だけが
花を後ろに隠し不審な動きをするヒラリオンにふと気づく姿を最終日にして発見。母親に手を引かれ、しぶしぶ一緒に引っ込んでいきましたが
暫しヒラリオンを不思議そうに見つめ、ジゼルの死では大袈裟に嘆きもせず1人十字を切って
静かに空を見上げて悼む様子を見せていました。実は鍵握る人物なのかもしれません。
大人にはない、登場はしませんがきっと他の子供にもない力を持っていて何かを予感し展開させていくのは
例えば『となりのトトロ』も同様で、話の舞台も時代も異なりますが、サツキちゃんとメイちゃん姉妹は
現世に生きつつも大人やカンタ、恐らくはみっちゃんにも見えないお化けとの交流を展開そしてネコバスにも乗車。
千秋楽の翌々日愛知県に開業したテーマパークに行きたいからとこじ付けたわけでもなく
(美術館なら自宅から自転車で行けるのだがパークのある愛知まで漕いでの訪問は不可能。来年行きたいものだ)
子供だからこその役目が何かありそうな気がしてなりません。
この版は振付、衣装、装置も上質で成功はおめでたいと思っておりますしピーター・ライト版のような
ジゼルまでもが茶色い衣装であるがゆえの全体が茶色いお弁当状態にもならず、
青いデザインしかも母親が仕立てたのであろう、ベルタの服と同じ素材であった点も納得がいき一安心したところでございます。
ただ1点懸念しているのは、この先の古典の改訂。吉田監督は好きですしバレエ団を良い方向へ導いてくださっていると思っており
プティやバランシン等あらゆる国の作品を取り入れてはくださっていますが
英国ロイヤル・バレエ日本支部ではありませんから、どれもこれも古典の改訂が英国風になるのは受け止め難いのが正直なところ。
少数派でしょうが前版の絵本を開いたかのようなカラフルな村祭りにほのぼのするセルゲイエフ版『ジゼル』も気に入っていた、
ロシアもとよりソ連バレエも好きな私でございます。ただこの情勢下、新改訂や制作でロシア物は困難でしょうし、難しい世の中と感じております。
それはともかく、まずは開場25周年おめでとうございます!計8回、秋の葡萄収穫祭を満喫いたしました。
※ご参考までに、前回2017年『ジゼル』感想です。同年のお正月には既に虜になっていた(正確には前年2016年12月のおけぴシンデレラリハーサルレポートで写真を目にしたときからか)
心境及びアトレ再入会始め鑑賞体制の変化等をボジョレーでもないのだが一気に解禁したときでございました。更に忍耐力の鍛錬に勤しみたい方のみどうぞ。
チケット発売日はまだアトレ再入会前で、3月の一般発売日に劇場へ行き朝から並んで購入。
事前にネットで空席は調べ、平日昼公演にはまだ最前列がある、しかもお墓前!!と不動産屋ではあり得ぬ希望を持って買いに出かけた日が懐かしい笑。
そして購入後にはそのまま牧阿佐美バレヱ団三銃士へ。目的はポルトスの役設定確認で
あるお世話になっているお1人の方には打ち明け、南仏の舞台に想像巡らす気満々であったわかりやすい目的である旨を温かく受け止めてくださいました。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post.html
5年前まで新国立劇場で上演されていたセルゲイエフ版『ジゼル』。今観ると色彩感や立体感の余りの違いに驚かされますが、
村の生活のリアリティに欠けている、また村娘が埋葬される墓作りに即日納品対応可能な墓石店があったとは信じ難い、墓の作りも立派過ぎるとはいえども
絵本の世界を覗くようなカラフルで明るい村祭りの光景は私としてはとても気に入っていて
東京都民に10人いれば良い方であろう少数派であるのは承知しておりますが今もこの版は好きでございます。
今年新国立劇場は25周年を迎えましたがその過程には先輩方が積み重ねてこられた活躍があってこそ。敬意を表し、幸い今も残っているこちらの映像紹介いたします。
16年前サッカーW杯ドイツ大会開催年であった2006年6月公演でジゼルさいとう美帆さん、アルベルト山本隆之さん、ハンス冨川祐樹さん、バチルド湯川麻美子さん。
(前回まではアルブレヒト、ヒラリオンではなくではなくこの名称でした)
儚くピュアなジゼル、心優しい貴公子アルベルト、武骨で熱いハンス、と並びのバランスも良く、
2年後の新潟公演『ライモンダ』全幕においても主要3役に再びこのお三方による三角関係を目にでき、喜び興奮した越後日和でございました。
※以下、写真多数ございます。お時間のある方や忍耐力を極限まで鍛えたい方のみご覧ください。
今年も残り2ヶ月切り、そんな暇はないとの方は恐れ入ります。次回更新予定の下総日記をお待ちください。
シーズン開幕初日、新国立劇場開場25周年に乾杯。画質宜しくない点はお許しください。
シーズンガイドブックのダンサー全員インタビューが面白く、いくつかの質問からの選択回答制だったようで
行きたい場所や郷土自慢の回答を全て地図に書き込んだらそれはそれは楽しい地図が完成しそうな予感。
私の場合大阪には何度も行っておりますが、大阪府ご出身の寺田さんと吉田朱里さんの郷土自慢回答からまだまだ知らぬ名物や名所があると学んだ次第。
ハマっている事としての太田さんの回答には思わず親しみを覚え、皆さんの個性が表れていて購入翌日は早朝から読み通してしまいました。
渡邊(峻)さんが行きたい場所としてお好きな映画にちなんだ名所を挙げていらして、どうか近いうちにご訪問できますように。
何度訪れても魅せられ癒され先人達の温もりが宿る場所でございます。(数えたら私は既に6回、鑑賞の用事と合わせて訪れていると判明!)
22日夜公演では大阪からいらした方々と3人で同じ場所で乾杯。公演期間前半からすっかり収穫祭真っ盛りでございました。
大阪のお2方とも5年前のお正月に始まった私の心境の変化及び鑑賞体制一新についてご存じですが、優しい目で受け止めていただき深謝。
お1人は翌日23日の公演もご鑑賞。次回お目にかかったとき感想を尋ねたいと思っております。
23日、晴天の空。そしてポスターを購入。しかし自宅に貼る場所がございません。巻き物のように時々取り出して開いては上腕二頭筋を眺める日々が続いております。
この日は何度かやりとりしていた木下さんファンの方と初対面。とても優しく温厚なお人柄で、外見も内面も綺麗なお方で感激。当ブログも随分前から読んでくださっていたとのことで、私が想像より若いとお思いになったもよう。
そうでございます、一応は文明開化以降の生まれで誕生時には既にお侍さんはいませんでした笑。
マエストロにて。(2回訪問いたしました)サイン入りメニューは毎回嬉しい贈り物です。
白ワインで乾杯。公演期間前半だけで果たしてワインを何杯いただいたか、もう数えません笑。
前菜。この日のアルブレヒトさん、だいぶ傲慢貴公子でしたが絵になったのは高貴な品が宿っていたからこそ。
少々意地悪な態度と愛情を交互に見せて作戦が巧妙でした。私なら、まんまと騙されます。でも後悔しないでしょう。
メインはペンネ サルシッチャとレタスのクリームソース。クリームがよく絡んでいます。ワインが止まりません。
撮影したのは28日の幕間であったか、テラスからの夜景。オペラシティビルもアングルに入り、東京名夜景に仲間入りしてもおかしくない美しさです。
29日夜公演に大阪からいらした、お世話になり続けている方は(バレエの技術レベルは本当に上級者なお方です)
初の新国立劇場バレエ団鑑賞でテラスの景色も、そして渡邊さんアルブレヒトもお気に召したようで安堵。そしてやはり、私が好みそうな人であると思われたようです。
(関西で知り合った方々からよく言われます笑。私の好み、分かりやすいそうです)
お嬢様が3年前の2019年、大阪フェスティバルホールでのこども『白鳥の湖』にて代役でジークフリート王子役で出演された渡邊さんをご覧になり
好印象な感想を耳にしていたこともあって(私も現地大阪で鑑賞しお嬢様にも終演後会っておりますが感想内容の強要はしておりません、誤解なきように)
この度念願の初新国立劇場及び渡邊さんご鑑賞に至りました。尚、私の子供の頃以来数十年ぶりの有酸素運動初回時からお世話になっており、
当ブログでも馴染み深い表現となった我がズンドコ姿の初期時を知る数少ない受講者仲間(仲間とは言ってもレベルの差は歴然ですが汗)のおひとりでもございます。
2回目のマエストロ。木村さん福岡さんペアの何処へ転がるか未知数なフレッシュ感、私はとても好印象でした。
人参のムースと魚介のマリネと鶏のコンソメジュレ。ご一緒した毎度お世話になっている方が、おすすめだからとこのコースを選んでくださいましたが
人参ムースに魚介とコンソメの双方の味が溶けていて爽やかされど旨味凝縮、誠に美味しうございました。シャンパンが止まりません。
茄子とモッツァレラのトマトソース。茄子は万能野菜と意見が一致!白ワインが止まりません。
大山鶏の赤ワイン煮込み。ほろっと裂ける柔らかさで、赤ワインの味も濃縮。今宵もめでたい収穫祭!
キールロワイヤルを飲みながら、栗とアーモンドのセミフレッド。甘みが濃く、栗のほっくりとした食感も楽しいデザートです。
マエストロ入口
昼夜公演の合間に毎度の店へ。当ブログレギュラーな後輩と、彼女と同じスタジオに通う方と一緒でございました。
お2方ともグラン・パ・ド・ドゥ経験のある上級レベル者。しかし天と地の地にも及ばぬ
鑑賞と飲食三昧な私にも毎度優しい励ましで接してもらい、お話から学ぶこと多々ございます。
そしてお2人揃って1日に昼夜両方公演の鑑賞デビューを果たされました。昼の池田さんジゼル、速水さんアルブレヒトの
若いがゆえの恋の突っ走りに心を持っていかれ楽しまれたご様子で良かった良かった。
英国の趣きが詰まった演出であると振り返っていると、少量ずつの販売で店員さんが葡萄酒の売り歩き。
よく考えると、英国系の店舗で販売、葡萄と剣で、今回のアルブレヒト酒ではないか、しかも剣の形もよう似ている!
ああこのときのすぐ後にも鑑賞いたしましたが23日のアルブレヒトさん、序盤でヒラリオンとの対峙場面にて思わず剣を手に取ろうとした姿は
急に背筋も張り、どう見ても日頃の剣術訓練も十二分そうな高貴な身分の子息であるのは明らかなお姿でございました。
ギネスビールの横に置いたら、竪琴と剣が並びました。時代も形状も違えど、昨年6月公演『ライモンダ』を思い出します。(但し金曜日公演限定)
29日夜公演後、赤ワインで乾杯。(まだ飲むんか笑)夜公演前と同じ面々が揃いました。
23日とは全く異なる、誠実度上昇なアプローチでしたアルブレヒトさん。
どちらが好みか、或いは純愛系派か火遊び系派かどの人が響いたか、論争はあちこちで発生していましたが
管理人は23日の傲慢見下し成熟色男にずしっと心を鷲掴みにされました。
29日夜公演も観にいらしていたマント姿観察評価連盟会長なお方は渡邊ブレヒトについて、
読んでいるこちらまでが舞台を思い起こさずにはいられぬうっとりときめいてしまうご感想を送ってくださり
6月の『不思議の国のアリス』千秋楽もご覧になっていて渡邊さんジャックをたくさん褒めてくださり嬉々とした心持ちになったわけですが
シーズンガイドブックにも目を通され渡邊さんのインタビューを読まれ、そのときのジャックを思い出されたとのこと。
この度も大阪からのご来場ありがとうございました!
それにしても、ゲストなしでこれだけ組み合わせができるようになったこと。先輩方の活躍の積み重ねがあってこその開場25周年です。
ところで、おつまみにとチーズを注文したところベルキューブの詰め合わせで可愛らしい光沢のある包み紙を見つめていると牛さんの絵があり。
乳牛ではないが牛とバレエ、太古の昔に実は私にとって重要局面における組み合わせでもあったのです。
DAIFUKUタマブレヒトには到底及びませんが『ジゼル』某場面彷彿な部分もあり、その話はまたいずれ。
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