2022年11月3日木曜日

舞踊言語は果てしない領域へ   DAIFUKU à la carte  11月2日(水)





再び順番前後いたしますがこちらを先に。11月2日(水)、板橋区文化会館にてDAIFUKU アラカルトを観て参りました。
大和雅美さん福田圭吾さんによる演出振付企画公演も2016年の初回から継続上演されていて
今回も笑いありほろっとするときもあり、バレエ団外の舞台だからこそ引き出された魅力もたっぷり。色とりどりな作品が披露されました。
https://daifukulive.wixsite.com/website

スパイスイープラスの記事。上演作品についての詳細が掲載されています。
https://spice.eplus.jp/articles/309047



But Not for Me
振付:大和雅美
近藤美緒  原健太

小柄でパワフルな印象のある近藤さんがセクシーな魅力を醸し、原さんの穏和な包容力と合わさって
しっとり物憂げに、されど優しく愛を交わす男女の姿を描写。(解釈違っていたら失礼)
この曲がいたくお好きな方より開演前に教えていただき、耳にも心にもしんみり沁み入る曲調でまた聴きたくなりました。
ちなみに近藤さん、実は同じレッスン受講経験が今年2回あり、(5回中2回ですからかなりの高確率)センターでは同じグループに入っていらしたことも。
率先して最初に出てくださり、私のような即座に順番覚えられぬ、毎度クラス最下層レベルな駄目人間にとってどれだけ心強かったことか。
すぐ後方で重りの如くズンドコ右往左往している者がいた旨をもし気になさっていたようでしたら、犯人は私でございます。申し訳ございません汗。


a day
振付:福田圭吾
福田圭吾 石山蓮

研修所出身の期待の若手と在団歴が最長となったベテラン福田圭吾さんによるデュエット作品。
ややコンテンポラリー寄りな振付で、背も伸び体格もしっかりしてきた石山さんの
滑らかで癖のない身体能力や踊り方、黒スーツもさまになる姿や先輩とも対等に身体で語り合いながら堂々と踊れる度胸といい頼もしい要素抜群。


LOVE おっさんず
振付:福田圭吾
菅野英男 清水裕三郎  原健太  小柴富久修  宇賀大将

ついにお披露目、プログラムによれば福田さんがずっと温めてきた作品とのことで待望の上演となりました。
全員少しずつデザインは違えどサラリーマンな格好で、このまま会場最寄りの大山駅から電車に乗っても何ら違和感ございません笑。
最初皆でわいわいと職場内で賑やかに過ごしていると部長風な菅野さんがご登場。しかし部長も威厳があるだけではないすっとぼけた風味や相変わらず美しい爪先、
ここでは最年少?宇賀さんの内気な社員と何やら同僚以上の関係もありそうで、想像が果てなく続く作品です。
全員クラシックの技術が万全だからこそずっこけてもおふざけしても根幹がきちんとした作品として読み取れ、
何より現在はバレエマスターとして活躍中の菅野さんの多彩な面にスポットを当て新たな舞踊言語を引き出した福田さん、お見事です。作品紹介文の通り、未知の領域へと誘われました。
それにしてもKバレエカンパニー内で結成されたBallet Gentsな雰囲気の人は見当たらぬが
渋みを含ませたサラリーマンバレエとなるとこうも揃って自然に嵌るのは新国立男性カラーの特徴なのか笑。
再演熱望と同時に出演者の追加も歓迎でございます。部署でいえば経理部か総務部あたりか、誰よりも自然に嵌るお方がお1人いらっしゃると思うのですが。


HOME
振付:福田圭吾・大和雅美
小野絢子  近藤美緒  菅野英男  小柴富久修  宇賀大将  雪吉晴敬(橘バレエ学校)   大和雅美  福田圭吾

昭和を象徴するあの名作のバレエ版家族が東京初上陸。寺内貫太郎一家、ではなく(バレエで観てみたい気もするが笑)サザエさんでございます。
2019年5月初演の横浜、1度目の2019年9月再演の大阪ともキャストに少しずつ変更が生じ
今回はサザエを小野絢子さん、ワカメを近藤さん、波平を菅野さん、タマは小柴さん、マスオに宇賀さん、タラに雪吉さん、フネに大和さん、カツオが福田さん。
エンディングテーマ曲の冒頭部分が繰り返し流れ始めると、卓袱台の上に現れた小野さんサザエ、昭和の若妻な雰囲気満点で
前回前々回のスタイリッシュな本島美和さんサザエとはだいぶ異なるお姿で、買い物籠に長葱入れて踊る序盤から楽しませてくださいました。
宇賀さんのマスオはこれまでのちょいとスパイスの効いた福岡雄大さんより尖った部分のない、お人好しそうなサラリーマン。
眼鏡をくいくい触れる仕草が柔らかで、ビジネス鞄を持ちながらの足腰捌きやくねらせもお手の物。
そして雨上がり、サザエさんとのパ・ド・ドゥにおいてバレエ団の看板スター小野さんと組んでも
何ら遜色がなく、おしどり夫婦らしい睦まじさに包まれた潤う伸びやかさにほっこり。
どしっとした貫禄で雷親父とはまた違う神経質で気難しそうな風貌の菅野さん波平と大和さんフネの、
若かりし頃の回想と思われる戦時中であっても貫き通した愛情にはホロリとした思いに駆られました。
近藤さんワカメはチャキチャキとした健康児な趣きで切れ味鋭いテクニックで魅せ、悪戯好きなカツオ兄ちゃんに負けぬ存在感。
そういえば福田さんカツオがバットで野球素振りをするとき、ゴルフにも見えかけたのは私の見間違いでしょうか笑。

そして名物小柴さんによる白い全身タイツのタマは板橋区会場も大沸騰。3回目の私でもお腹が捩れましたから、初鑑賞の方はさぞ驚かれたことと察します。
中でもチュールの曲にのせてのアクセントと効かせたポーズの決め方といい、クラシックバレエの貴公子になりきって端正ぶりを見せようとしたり
中盤では猫じゃらし風の棒を持つサザエさんがミルタと化し、タマブレヒトをひたすら踊らせる『ジゼル』へのオマージュもあり。
今回はちょうど新国立劇場バレエ団は連日の新制作『ジゼル』終演から間もない時期ですからタイムリーで
しかも本公演や他所でもまず披露はないであろう小野さんサザエがミルタでしたから、
タマブレヒトも本島さんサザエミルタとはまた異なる幸福を味わっていたに違いありません。

各人物達の入れ替わりや曲の繋げ方もスムーズで冗長さは皆無であり、これまで360度全方角から見渡す客席構造であったスタジオの横浜、
2階席まであり片側からの鑑賞となる大阪府豊中市は大ホール、今回は片側からの1階席構造の小ホール、と3会場とも構造が様々でありながら
改訂も加え、それぞれの会場に見合った見せ方で披露する工夫の行き届きにも頭が下がるばかりです。
ローラン・プティ振付『こうもり』での1幕食卓風景を初めて観た頃からいつかはサザエさんもバレエ化が実現したらと願ってはおりましたが
実現させ県境を越え場所を変えて各地で再演も重ねてくださっている福田さん大和さんの手腕にも拍手でございます。



※ご参考までに、横浜と大阪で鑑賞したときのHOMEの感想でございます。
2019年5月横浜公演
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2019/05/post-ce66ff.html

2019年9月大阪公演
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2019/11/post-2577f6.html



板橋区への訪問機会は滅多になく、2017年徳永由貴さん主宰のバレエスクール発表会以来2度目。会場は同じ板橋区立文化会館(大ホール)でした。
当時は夏場であったため、すぐそばにトマト掬い大会の横断幕があったかと記憶しております。
さて早めに到着できたため、駅前の商店街ハッピーロード大山を散策です。



辰屋かぎやへ。創業は約300年前の京都に遡るらしく、初代が京都で修業を積んだ後、上板橋宿で菓子問屋を開業したとのこと。
ひやしうす塩大福とわらび大福を購入。前者は塩も甘さも抑え目で品のある味、後者はわらび特有の濃い香ばしさもありふるっとした食感も気に入りました。
https://sumutabi.net/879



接客してくださった辰屋かぎやの温厚で親切な店主やお店の方々、実は歌手としても活躍中とのこと。



『愛されて板橋』、板橋区にご当地歌謡があるとはびっくりです。
そして今回はダイフク鑑賞日に大福を会場近くの地元密着なお店で購入できました。
前回昨年5月公演では終演後、会場の横浜からそのまま羽田空港に直行し札幌へ飛んでいたため、
札幌市内のホテル近くのセイコーマートにて北海道小豆使用大福を見つけ、当日夜ホテルで打ち上げしておりました。
今回は波平さんとサラリーマンでいらした菅野さんが、シンデレラ全幕にて継母を踊られ、
そしてその継母に絡まれたときの王子が決して嫌そうな顔を見せず、誠にチャーミングなマダムでございました。



店頭に置かれていたチラシ



新国立劇場会報誌アトレに掲載されていた福田さんインタビューを読み、つい飲みたくなってしまったため帰りはハイボールで乾杯。



気になっていた最近開店のラーメン屋さんにて味玉醤油らあ麺。鴨と大山鶏のスープらしい。読み方も地域こそ違えど会場の最寄り駅と同じ漢字の並びであるのは喜ばしい。
チャーシューが2種入っていて、下側の鶏チャーシューがさっぱりした味でございました。麺は全粒粉使用で、スープはまろやかな風味です。
味変化には山唐酢もおすすめ、柚子胡椒に似た、辛くも爽やかな後味が残ります。


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