バレエについての鑑賞記、発見、情報、考えたことなど更新中
2020年よりこちらに引越し、2019年12月末までの分はhttp://endehors.cocolog-nifty.com/blog/に掲載
2020年9月14日月曜日
アステラスの代替合同企画 新国立劇場研修所 ヤングアーティスト オペラ&バレエ ガラ 9月12日(土)
9月12日(土)、新国立劇場にて新国立劇場研修所 ヤングアーティスト オペラ&バレエ ガラを観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/opera-ballet-gala/
指揮:
第1部 井田勝大
第2部 柴田真郁
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
『トリプティーク~青春三章~』
音楽:芥川也寸志
振付:牧阿佐美
服部由依 中島瑞生(新国立劇場バレエ団アーティスト/研修所第11期修了)
菅沼咲希 渡邊拓朗(新国立劇場バレエ団アーティスト/研修所第12期修了)
加藤里佳 狩俣瑠風 吉田朱里
青山悠希 安達美苑 根本真菜美 福田天音 山本菜月
縄田花怜 久我音寧
青木恵吾 𡈽屋文太 髙橋隼世 竹花治樹
2012年のバレエアステラスでの初鑑賞以来、和洋が織り交ざったほんのり哀切さを含む歯切れ良い曲調も気に入り生演奏での鑑賞を待ち侘びておりました。
どの研修生達が折り目正しい初々しさが好印象で、バレエ団から客演の中島さん、渡邊さんも大活躍。
2人だけで舞台で並び踊ると個性の違いが引き立ち、特に渡邊さんの力強さのある頼もしい存在感は観ていて爽快でした。
以前のぴっちり斜め分けに比較すると丸みある前髪で整えた髪型も二重丸。(兄弟で髪型考察お許しを)
『海賊』第2幕より パ・ド・ドゥ
音楽:アドルフ・アダン
振付:マリウス・プティパ
石山蓮
阿部裕恵(牧阿佐美バレヱ団ソリスト/研修所第11期修了)
阿部さんの清らかなメドーラが愛らしく、正確な技術から繰り出すすっきりとした踊りが目を惹きました。
ヴァリエーションはシェル男爵作曲のアレグロな『シンデレラ』より。
研修所公演で代々着用されていると思われる、牧版ライモンダ2幕に似た濃い青と金色を基調としたチュチュは一度舞台で観てみたかったためじっくり観察。
(2016年頃の研修所のチラシにて廣田奈々さんか廣川みくりさんが着ていらした舞台写真が掲載されていたと記憶)
そして驚いたのが石山さん。まだ細く体格はこれからの段階ですが美しく上品でメリハリの効いた踊り方で魅せ、次のパに移る過程も実に丁寧で
阿部さんに心を尽くして(先輩ですから尽くし立てるしかないとは思いますが)サポートも変に危うい箇所も見当たらず。今後が楽しみです。
『眠れる森の美女』第3幕より パ・ド・ドゥ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ウエイン・イーグリング(マリウス・プティパ原振付による)
小野絢子(新国立劇場バレエ団プリンシパル/研修所第3期修了)
福岡雄大(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
お帰りなさいとの気持ちが込められた拍手で迎えられ、看板ペア久々のオペラパレス登場。
本拠地復帰の喜びがそのまま祝祭感と重なり、視線の合わせ方も吸い付くような通わせで
抜粋での披露ながらこれまで以上にクリアーで輝きに満ちたパドドゥでした。
衣装はイーグリング版のままでしたが小野さんのティアラがカチューシャ型ではなく真珠のクラウン型を採用し
翌日はバレエ団公演着用のカチューシャ型に戻ったもよう。
マリインスキーのセルゲイエフ版でのグラン・パ・ド・ドゥ披露前に一端宝石の精達やお小姓達が登場し前座及びオーロラと王子のお出迎え係を務める導入部も
長めにたっぷり聴かせる幕開けであった点も喜々たるもので、(ボリショイ版にもあったかと記憶。ロシア系ではお馴染みか)今か今かと待ち焦がれる期待感の高まりと
宮廷の世界に入り込む入念な心の準備に繋がった気がいたします。但しやや長め、加えて
イーグリング振付と明記されたプログラムでの演奏は賛否両論分かれるかもしれません。
『パキータ』より グラン・パ・クラシック
音楽:レオン・ミンクス ほか
振付:マリウス・プティパ ほか
パキータ:吉田朱里
リュシアン:小柴富久修(新国立劇場バレエ団ファースト・アーティスト)
パ・ド・トロワ:加藤里佳 安達美苑 𡈽屋文太
岸谷沙七優(新国立劇場バレエ団アーティスト/研修所第15期修了) 加藤里佳 狩俣瑠風 服部由依 安達美苑 菅沼咲希
松宮里々子(新国立劇場バレエ団登録アーティスト/研修所第15期修了) 青山悠希 根本真菜美 福田天音 山本菜月
縄田花怜 神谷歩乃加 久我音寧
ガラにて、複数作品終えてから休憩挟まずの上演の『パキータ』と知ってすぐさま浮かんだのは
アントレ、アダージオとフィナーレ抜粋でヴァリエーションもカットされていた
ダイアナ妃も臨席されていた1990年代初頭のキーロフ・バレエによる英国ロイヤルオペラハウス公演の映像。
(主演はオリガ・チェンチコワと現ボリショイ・バレエ団監督のマハーク・ワジーエフ。古い話ですみません)
同路線で上演かと思いきや、パ・ド・トロワやヴァリエーション付きのボリューム有り版で
パキータ役の吉田朱里さんの大らかでパワーもある踊りが主役に相応しく、 コール・ドも品のある綺麗な研修生達が揃い、素直で一生懸命な様子に応援せずにいられませんでした。
音楽はさらさらと流れる印象でもう少しキビキビと締まりある演奏の方が好みに近かったものの、晴れ晴れとした気分になれる作品です。
プログラムには未掲載でしたがフィナーレはオペラ『エフゲニー・オネーギン』よりポロネーズ。
華麗な曲調に合わせて全員集合し、最後に登場した小野さん福岡さんへの拍手はひときわ沸いて大喝采。
第2部
出演:オペラ研修所 第21期生、第22期生、第23期生
序曲
W.A. モーツァルト交響曲第38番『プラハ』より、第3楽章
◆ G. ロッシーニ 『チェネレントラ』 よりカヴァティーナ「四月の日々に飛ぶ蜜蜂のように」
仲田尋一
◆ W.A. モーツァルト 『コジ・ファン・トゥッテ』 よりアリア「愛のそよ風は」
鳥尾匠海
◆ W.A. モーツァルト 『魔笛』 よりアリア「愛の喜びは消え」
原田奈於
間奏曲
J.オッフェンバック『ホフマン物語』より「ホフマンの舟歌」
◆ W.A. モーツァルト 『フィガロの結婚』 より二重唱「ひどいぞ!どうして今まで」
河田まりか、大久保惇史
◆ G. ドニゼッティ 『ランメルモールのルチア』 よりカヴァティーナ「激しい苦しみ」
程 音聡
◆ C. グノー 『ロメオとジュリエット』 よりアリア「私は愛に生きたい」
井口侑奏
フィナーレ
J.シュトラウス2世『こうもり』より
オペラにつきましては鑑賞機会が非常に少なく割愛。しかし知識不足でも歌や音楽をゆったりと聴くだけでも想像以上に楽しく
間奏曲とフィナーレが新国立劇場バレエ団レパートリーでも馴染み深い曲で懐かしさに歓喜いたしました。
演奏も良かったのか、ホフマンの舟歌では港の海の揺らめきがそのまま眼前に出現したかと錯覚して吸い込まれそうになり
2018年のバレエ団公演『ホフマン物語』での官能坊主客人を思い出しながらニンマリ。少数派であるとは思いますが
ダレル版『ホフマン物語』はいたく好きで、2015年のバレエ団初演時から全編通して見惚れ聴き惚れた作品であるため再演を待ち望んでおります。
フィナーレではプティ版『こうもり』も思い起こしつつ日本人名演者のヨハンを回想しそして
まだ観ぬヨハンを妄想。(勝手に設定、役所の中間管理職あたりで新聞が似合うお父さんでありましょう笑)
それから女性の衣装にも注目し、原田さんの水色とグレーが混在した上品な色彩にうっとり。
演奏会は余り足を運ぶ方ではありませんが、2年前の3月にトゥールーズキャピトル管弦楽団の演奏会へ行った際に隣席の方より
突如足を運んだバレエ好きだからこそ一層楽しめるポイントを伝授していただきその1つがヴァイオリニストの衣装観察でした。
それにしても、滅多に来場しないと言いながらこんな大雪の日に当日チケットを入手して
トゥールーズの火の鳥を聴きに来たバレエオタクを当初は不思議がり、理由を知って物珍しい目且つ親切にしてくださった隣席の方は
お元気でいらっしゃるだろうかと気にかかる今日この頃でございます。
ところで、偶然なのか歌は6曲中3曲が題名に「愛」の文字入りで占有率高し。
第2部開演前はプログラムを見開き、『愛の水中花』冒頭部分が脳裏を過っていた管理人でございます。
話が大分右往左往して失礼。当初は昨年に続き2日間バレエ・アステラス開催を予定していましたが海外で活躍中の日本のダンサー達は来日が見込めず中止。
代替として急遽企画された公演ながら、バレエとオペラ両研修生達の晴れ舞台が実現したのは喜ばしく
しかもオーケストラ演奏付きで堪能できたのは誠に心潤うひとときでした。
バレエ研修所所長の牧阿佐美さん、オペラ研修所所長の永井和子さんのお話から数ヶ月に渡って踊りを直接見てあげられない歌を聴いてあげられない
対面での指導ができぬ苦しさもどかしさが伝わり、観客の前でしかもオペラパレスにてオーケストラ付きの披露は自信や励みになったに違いありません。
事態が早期に収束し、研修生達が思い切り練習を積める日が訪れるよう切に願います。
中劇場では半沢直樹朗読劇。感動したら拍手する、喝采だ!
かの決め台詞をバレエに置換しようと試みたが我が軽脳ではこれが限界。良案求む。
因みにドラマ主演の堺雅人さんは吹奏楽部にてホルン経験者でいらっしゃいます。
記入台、今回はこちらで記入。『ドン・キホーテ』では予め用意して持参する予定でおります。(何しろ7回鑑賞予定)
2月末の『マノン』以来の訪問、ビールで乾杯。1杯にとどめましたが十分でございます。
ところでチラシやプログラム、ポスター上部のトリプティークには間違いがありましたらすみません。関晶帆さんや木村優里さん
土方萌花さんに廣川みくりさん、横山柊子さんらしき方々が写っていらっしゃり、月日の流れを感じます。
2013年10月の新国立劇場バレエ研修所 第9期生・第10期生発表公演かと思われ、皆様あどけなく初々しい。
新国立劇場バレエ団10月31日夜公演の『ドン・キホーテ』(米沢唯さん速水渉悟さん主演)はNHKのチコちゃんとの企画で有料オンライン配信されます。
大英帝国勲章受章者の吉田監督に対してチコちゃんがあの決め台詞を口走ることは無いとは思いますが笑、共演も楽しみです。
※以下のリンクより、既に10名のダンサーによるインタビュー動画公開中です。
https://chicoissyo.com/special/ballet.html
登録:
コメントの投稿 (Atom)
2 件のコメント:
愉しい公演でしたね。
オペラパレスは7月の末以来でしたし、私的には、小野さん&福岡さんペアを半年ぶりに近くで観ることができ最高に幸せでした。
また研修所時代からずーっと注目していた、渡邊拓朗さんや阿部裕恵さんの成長した舞台も観られてとても嬉しく思いました。
数年前からはオペラ研修所公演も沢山観ていますので、オペラ歌手の方々もよくお顔を知っているので、彼らの活躍も嬉しかったです。
初日は行けなかったため、オペラ部門は半分の方しか聴けなかったのは少々残念でしたが、
このご時世に、よくぞこのような公演を開催してくれたこと、本当に感謝ですよね。
牧阿佐美所長の現役時代はさすがに知らない私ですが、永井和子所長の方は、現役時代に何度か聴いておりますので、
お二人のご挨拶でのこの公演への想いには、胸が熱くなりました。
2日間とにかく無事に開催出来て本当に良かったと思っております♪♪
ひふみ様
こんばんは。2日目のご感想をお寄せいただきありがとうございます!
舞台上で踊れる、歌える喜びが会場中に広がり、バレエもオペラも幸福感に満ちた公演でしたよね。
研修生達の真っ直ぐなパフォーマンスがとても気持ち良く、両部門とも堪能いたしました。
小野さん福岡さんペアのオペラパレス登場には客席も大いに沸きましたよね。
ひふみさんの喜びも文字の並びから伝わって参ります!
研修所発表会や公演も多数ご覧になっているひふみさんからすると、今回の舞台は
感慨深さもさぞかし強く募っていらしたかと存じます。
阿部さん渡邊さんの後輩を引っ張る堂々たる舞台姿、眩しかったですよね。
渡邊さんはサポートもソロも頼もしく、貫禄をも感じさせてお見事でした。
おお、永井所長の現役時代をご覧になっているとは!
オペラ歌手を目指す学生達の歌声を長期間直接聴いてあげられないのはどれだけお辛かったか
この企画舞台の実現にともに喜びを分かち合いたいと一層感じるご挨拶でした。
本当に、2日間予定通り開催できたことにまず安堵です!
コメントを投稿