バレエについての鑑賞記、発見、情報、考えたことなど更新中
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2020年6月30日火曜日
マイ ジゼルとは何ぞや
テレビ画面の貼り付けは宜しくないとは思いますが、迷宮状態なためお許しください。
突如不可解な記事名で失礼いたします。本日までは勝手にジゼル週間でございます。前回と異なり短めの内容ですのでご安心ください。
当ブログでは度々話題となっておりますボリショイ・バレエ団グリゴローヴィヂ版1989年収録の『くるみ割り人形』映像、
元々はレーザーディスクで所有しておりましたが随分前から機材も故障し修理にも出せず、2009年のモスクワ滞在時にグリシコで購入したDVDを今も時々観ております。
ウェアには興味を示さず、DVDそしてお店に置かれていたロシアのバレエ雑誌をもっと読みたいと片言にもほどがある英語で伝えたところ
裏からバックナンバーを何冊も持ってきてくださり、全冊購入。変わり者と思われたでしょうがそれはさておき
雑誌のある号には、ちょうどその約2ヶ月前にモスクワ国際バレエコンクールでペアを組み銀賞を受賞した、 現在ロイヤルシネマにてリラの精の予定のはずが主役の当日降板により急遽代役でオーロラ姫を踊り大成功を収めた話題沸騰英国ロイヤル・バレエ団の金子扶生さんと
東京都内のバレエ公演再開の弾みとなればと願う7月下旬開幕の新国立劇場バレエ団新作『竜宮』のトレーラー映像に浦島太郎役で登場された
奥村康祐さんの写真も掲載されていました。お2人ともまだ大阪を拠点に活動なさっていた頃です。
さて話を戻します。くるみのDVD主演はナターリア・アルヒーポワとイレク・ムハメドフ。『くるみ割り人形』役以外は恐らくは子役無しで
おもちゃの兵隊たちとネズミ軍団の戦争場面は『スパルタクス』さながらの男性群舞が大活躍。
また通常は2幕から登場する各国のお人形さんたちが不気味な真夜中の場面からクララと共に怯えたり、
戦争がおさまったときには喜びを分かち合ったかと思えば雪が降ってきたらはしゃいだり
2幕では花のワルツへの場面転換を誘導するかのように盛り上げクララと王子の結婚式のお手伝いや付き添いもこなすなど繋がりを色濃く描いた演出も特徴です。
そのDVDにはボーナストラックメニューがありつい先日初めて再生してみたときのこと。
Ballet's trailerとしてグリゴローヴィヂ版作品シリーズとして同時期に発売された映像の一部分が数分程度収録されています。
『イワン雷帝』、『石の花』、『ロミオとジュリエット』、『眠れる森の美女』、『ジゼル』、『愛の伝説』、『ライモンダ』、
ここまでは分かるのですが、最後の8本目に記された文字は MY GISELLE。マイ ジゼルとは何ぞや、と疑問を持たずにはいられません。
先に挙げた『ジゼル』はグリゴローヴィヂ版でナターリア・ベスメルトノワとユーリー・ヴァシュチェンコ主演。
勿論市販化されレーザーディスクは我が家にもございました。しかしMY GISELLEとは誰にとってのMyであるかも分からず。
再生してみるとグリゴローヴィヂ版ではなくラヴロフスキー版のようで、舞台美術や衣装もだいぶ色彩感が異なり
ジゼル役は可憐で愛らしいリュドミラ・セメニャカ。(先週のシネマでのラトマンスキー版における肝っ玉母さんも素敵でしたが笑)
決して上質とは言い難い不鮮明な映像ながら、1幕ワルツでの全員一列で両端にジゼルとアルブレヒトの姿が見える場面が収録されています。
説明の文字からして1990年の映像と思われますが、ただこの頃にはグリゴローヴィヂ版も発表されており、1990年の来日公演でも上演。
私も鑑賞予定でしたがベスメルトノワの舞台化粧に対する苦手意識が働いたのか発熱して断念。教訓としているのか以来体調不良による鑑賞断念はございません。
ひょっとしたらこの時期は両方をレパートリーとして現地では上演していたのかもしれませんが真相は分からず。
ともあれどなたかセメニャカご贔屓のバレエ研究者が携わった経緯からであるか、市販化映像にはより詳細な内容が収録されているのか気になるところでございます。
それにしても当時の連なる指導者たちの名前には興奮を覚え、ウラノワ、コンドラーチェワ、セミョーノワそして1週間ほど前に逝去したニコライ・ファジェーチェフまで
歴史に名を刻むダンサーばかりです。こう言ってはなんだが、映像では何度か目にしているご子息アレクセイ・ファジェーチェフよりも
モノクロ写真でしか触れていないニコライ・ファジェーチェフのほうが印象に残っているのは不思議でございます。
特にウラノワとのジゼル1幕で腕組みしてのジャンプだったか、微笑むジゼルににっこり笑いかけている場面は幸せに満ちた躍動感が伝わる写真でした。
ああ、ミルタ役はグラチョーワ。強い念力や情念を備えていそうで、想像だけでも胸が高鳴らずにはいられません。
一昔前の『ジゼル』、現代の『ジゼル』、魅力はそれぞれに詰まっており
ましてや管理人版「マイ アルブレヒト」なんぞ始動すれば語りが止まらなくなりそうですのでこの辺りでお開きといたします。
このままですとボリショイ街道まっしぐらブログと化すのは目に見えているため、次回はまた違うお国へ行って参る予定でおります。
日本で特に絶大な人気を誇るバレエ団でファッション関連を始めメディア登場も多しカンパニーにも拘らず
ロシア系に比較すると我が鑑賞回数は格段に少なく更に学びを広げていきたいと思っております。
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2 件のコメント:
ラトマンスキーのジゼル、いろいろ印象も余韻も残る映像でしたね。
セメニャカの姿には思うところも色々でしたが、「My」はナゾですね、映像は見てみたいです。
ラトマンスキーの制作発表の記事を見たところ、ボリショイとしてはグリゴローヴィチ版とラトマンスキー版は並行して上演すると言っているようですね。
ワシーリエフ版はオクラになるという発表でしたが、さすが大バレエ団、違うバージョンをどちらも使い続けることがあるのでしょうか。
マリインスキーも「眠れる森の美女」はセルゲイエフ版とヴィハレフ版両方上演しているみたいですし。
ジゼルといえばパリ・オペラ座はオーソドックスでしたが、ベラルビ版はどういうものなのかも気になりますね。
レーザーディスク、うちにはひとつ動かせるのがあったかなあ。
当時LDで出たものはほとんどDVDでも再販されましたが、映像メディアの歴史って振り返ると理不尽ね。
さくらもち様
こんばんは。大変お待たせいたしました。お読みいただきありがとうございます。
ラトマンスキー版ジゼル、原点回帰とはいえ解釈に驚いたりとなかなか新鮮な要素満載でしたよね。
やはり、謎ですよね。Myについて。何処かで解明できたらと思っております。
ラトマンスキーの制作発表記事についても教えていただきありがとうございます。
グリゴローヴィヂ版も並行上演とは!男性もひたすら踊る場面多しなグリゴロ版、
マイム多めで人間関係を色濃く描いたラトマンスキー版、それぞれ特色がありますから嬉しい方針です。
ワシリーエフ版は黄色い衣装のジゼルですよね。ルンキナがいきなり主役デビューで話題を攫った記憶がございます。
そういえばマリインスキーは眠り、両方上演していますね。
一昨年のガラではヴィハレフ版の濃厚な色彩の衣装でローズ・アダージオを鑑賞でき、
全幕で観たらさぞかし重厚な舞台であろうと想像いたします。
ベラルビ版ジゼルも全編で観たときに受ける印象、気になりますよね。
1幕のアルブレヒトが全身茶色でびっくりいたしましたが笑、
村人たちの場面をちらっと見る限り身のこなしが軽くなければ踊りきれぬ、
相当な技術や身体能力を求められそうな振付でした。
恐らくアルブレヒトは、プレーボーイな青年として描いていますよね笑。
(渡邊さんも、フランスで踊った時は貴族の火遊びとして造形していらしたと
新聞のインタビューで仰っていた記憶がございます)
レーザーディスクの話、まず普段話題にもならずですが
機械がおありかもしれないとは稀少な方を見つけた気分です笑。
仰る通りです。殆どDVDで再販されましたよね。ベータとVHSもですが振り返ると
変わりゆくたびに再販されていく歴史を辿れますよね。
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