
順番前後いたしますが(暫く続きます、、、)8月1日(金)2日(土)、新国立劇場中劇場にて国際バレエアカデミアバレエ団『シェヘラザード』
「新世界1」「白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥを観て参りました。

『シェヘラザード』リハーサルや舞台写真多数掲載されています。リハーサルの金の黒奴、
10 黄緑色の鉢巻きをなさっていても訴えかけてくる押し殺した感情に心揺さぶられます。
【舞台写真📷✨】
— 国際バレエアカデミア(旧・東京小牧バレエ団) (@_balletacademia) August 7, 2025
「シェヘラザード」
photo : Koji Iida pic.twitter.com/oH8F3KDzy4
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— 国際バレエアカデミア(旧・東京小牧バレエ団) (@_balletacademia) July 22, 2025
国際バレエアカデミアバレエ団公演
『シェヘラザード』
『新世界Ⅱ』
『白鳥の湖第3幕より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ』
8月1日(金)18:30開演
8月2日(土)15:00開演
上演時間約2時間(休憩含む)
新国立劇場 中劇場
入場券/SS席12,000円 S席10,000円 A席8,000円 pic.twitter.com/dUM77dEHHV
「新世界II』
下校の音楽で馴染み深い第2楽章に森山直美さんが振り付けられ、3組の男女で踊られる作品。元々は小牧正英さん振付とのこと。
ゆったりたゆたうような旋律に落ち着いたオレンジ色を帯びた照明、3組が描き出す 軌跡が調和し染み込んでくる作品でした。
「白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ
東アジア文化交流プレゼンツとして、モンゴル国立オペラバレエ劇場のマラル・バットニヤムさんとバットボロル・アナンダさんがご出演。
パットラヤムさんオディールは強数な軸から繰り出すテクニックで魅せ、タメの効いた少々演歌調な踊り方も違和感ない仕上がり。
アナンダさんは技術と筋力がやや不安定な印象を受けましたが、恵まれたすらりと したラインは目を惹きました。
『シェヘラザード』
音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ
原振付:ミハイル・フォーキン
ニコライ・ミハイロヴィチ・ソコルフスキー
小牧正英
演出・振付:森山直美
補佐:ビャンバ・バッドボルド
ソベイダ:木村優里
金の黒奴:渡邊峻郁
サルタン・リアール:原田秀彦
サルタン・ゼーマン:観月ゆうじ
臣官長:ビャンバ・バッドボルド
シェヘラザード:刀祢平美咲
アラビアの老人:積圭祐
昨年2月に鑑賞し、同じ主演者による待望の再演です。木村さんのゾベイダは前回以上に女王ぶりが圧巻。
群舞を従えるときのオーラといい、練り上げられた踊りといいカラフルな群舞や舞台装置に囲まれていても埋もれぬどころか頂点に君臨する誇り高さをこれでもかと発揮されていました。
ただ身体ををくねらせるのではない、美しいメリハリの効かせ方も巧みで全身から音楽聴こえてきそうな妖艶さにも終始引き込まれっぱなしに。
渡邊さんの金の黒奴は登場の抑圧された苦しみを訴える、上身分の者達に対しても躊躇なく刃向かい、今にも噛み殺しそうな獰価で鋭表情がたまりません。
ゾベイダとの出会い、そして禁断の宴の牽引からのサルタン達に見つかって立ち向かう絶命する最期まで、パッション溢れる濃密な物語の余韻からなかなか抜け出せず。
更に張りのあるテクニックで場を浚うパワー、オーラにも圧倒され、後方に佇むときや歩き姿も含めて危うい色気を放ち、骨抜きにされました。
他の版に比較すると金の黒奴が踊る場や技巧の見せ場が非常に多い振付で、下手すれば派手に跳び回るだけの技術見せびらかし屋にとどまる恐れもあるわけですが
渡邊さんの場合役柄や物語をしっかり掘り下げていらっしゃるからこそでしょう。
ゾベイダへの低姿勢なお仕えからの心身を許し始めて解放させていく流れや、いよいよ狂おしく高揚する宴を 鼓舞しながら跳び回り、
縦横無尽に駆け回る王者感の双方の描写が綿密なのです。加えて周囲を歩く、移動する姿も役を生きたままでテクニックの僅かな繋ぎ目も滑らかで粗がない。
金閣寺も霞むであろう、足利義満もびっくりなキンキラキンな簾付き衣装もさまになっていたのも再度驚きでございます。
最期、サルタンに斬りかかろうと立ち向かう様子はリハーサル写真からするとちょいと弱そうとのご意見も聞こえましたが笑、決してそうは思わず。
目からギラリとした刃の如き炎を宿した気迫でぶつかっていっていた印象です。
前回公演時にも綴りましたが私は渡邊さんの虜になったきっかけが王子様貴公子系の役ではなく
トゥールーズ時代のベジャール版「火の鳥』リハーサル映像における貫禄や渋みを帯びた表現力と品格ある踊りや
「海賊』の暴君なスルタン、『美女と野獣』の屈折した心を露わに吐き出す野獣で野性味三部作と勝手に呼んでおります。
ですから、王子系ではない役柄は大歓迎で、ましてや金の黒奴はテクニックもさることながら物語描写や人物造形、掘り下げにも長けている上に
徹底した怖さや闇部分の吐露、狂おしく深みある表現もお得意な渡邊さんで観たいと願ってきた役柄でした。
ですから昨年の出演配役発表や今年の早期の再演も万歳三唱で迎えたのです。
鑑賞前日の7/31、東大阪市の佐々木バレエロミジュリ会場にて携帯電話の待ち受け画面を気にしてくださった方がいて、
トゥールーズ時代の野獣について意気揚々と語ったばかりのタイミングでございます。
「ジゼル』ロンドン公演直後の日程ですから『シェヘラザード』ご出演は困難かと心配もありましたが配役発表時には大安堵。
今回も目に心に焼き付けて劇場を後にした次第です。
木村さん渡邊さんが紡ぎ上げる濃密な関係性も見どころで、視線の交わしで宿命を 予期させる、誰も止められない近寄れない磁力での引き寄せ合いや
宴に興じる人々の後方にて目を逸らすことなく続く杯の酌み交わし、ガラでもよく披露されるパ・ド・ドゥも、単体で観るとさほど面白みを感じませんが(失礼)
出会いからの流れを汲んでやがて2人が吸い付くように踊り出す過程も緻密に描き出していらっしゃるため、俄然ドラマ性が濃く深いものに感じさせてくださいました。
バッドボルドさんの宦長も忘れられず、身体に詰め物をしてほっくりと動き回る愛嬌と賑やかな場面展開を繋いでは締める双方の役割で大活躍。
サルタン達へ忠誠を誓いながらも彼らが出掛けると途端に顔が綻んで、ゾベイダ達からの宝石に目が眩んで遂に奴隷達の部屋の鍵を渡してしまうやりとりも
短時間の中に細やかな仕草でくっきりと立体的に会話を見せて、見ているこちらまでがそわそわと目が離せずにおりました。
更には芝居中心ではなく宴の最中にはバタンと両手をついて転倒したり、片脚でぐるぐると回転し続ける振付もあり
基礎技術や体幹が相当しっかり備わっていないとできぬ役柄でしょう。
主役を邪魔せず、されど舞台が何倍にも面白くなるよう舞台の縁を常に味わい深い表現で彩ってくださいました。
ゾベイダと金の黒奴の艶かしい禁断の絡みの最中にも後方で音楽に乗って杯を手に心躍らせる様子を示し、主役2人を一層引き立てるお姿に拍手でございます。
腕を掲げたり剣を一振りするだけでも緊迫感ある空気に変えていらした原田さんの存在も欠かせず、
寵愛するゾベイダと接するも、不機嫌なためによそよそしい雰囲気でゾベイダを制する様子も威厳あり。
その後、騒がしい夏と化すハーレム前の儀式的な光景を締まり良く描いてくださっていた印象です。
前回と同様にバッドボルドさんや原田さん始め、脇をベテランな方々の存在が作品の格を押し上げてより厚みある作品として成立していました。
群舞の踊りも衣装も色彩豊か。音楽のうねりと連動するも、流れされることなく強弱もしっかり付けられた踊りの連続で
殊に終盤は狂おしい渦に飲まれそうになるほど大迫力。観れば観るほど面白いスペクタクル作品と再確認です。
前回の鑑賞時にマリインスキー版をちらっと観てみたら、踊りの見せ場の少なさや唐突に登場する金の奴隷、
濃密な絡み多き振付の割にはドラマ性が薄い云々と物足りなさを感じてしまいましたが、国際バレエアカデミアさんでの上演版は鎖に繋がれた金の黒奴の抑圧された状況の訴えに始まり
ゾベイダと金の黒奴の出会いや宴の後方で始まる繰り広げる狂おしい禁断の愛の昇華、そして主役2人も群舞も華々しいテクニックの連鎖でダレる箇所が皆無。
隙がなく、全編通して瞬きが惜しい場面展開と唸らせました。
そうでした、今回初めて知ったのは冒頭に登場した奴隷達は金銀それぞれ違う色 味の扉の中に入って行くこと。
金の部屋、銀の部屋、銅の部屋、と間取りされていて、金の黒奴は個室らしい。特異な位置づけの奴隷なのでしょう。
渡邊さん金の黒奴の顔つきを観るたびに、虐げられた奴隷であっても隠せぬ高貴な美しさから、
一族奇襲を受けた名家の生き残りで宮殿へと連行され、ただやられっぱなしで弱々しい印象はなく、復讐や脱出の機会を窺っている野心が覗き見えると
前回に続き勝手な想像が巡ったわけですが、それはそうとあれこれ想像を膨らませる人物の奥行き描画の巧さや表現の深さにはこの度も脱帽です。
リムスキー・コルサコフの音楽の魅力もたっぷり体感。魂を揺さぶる、神秘的な哀愁が大海原を駆け抜けるような壮大さに聴き惚れております。
バレエの中では海や船は出てこずとも、航海や難破も描いた旋律がこうもバレエの場面1つ1つにぴたりと嵌っていて今も不思議な感激が募るばかりです。
私にとっては7/24から7/27まで新国立『ジゼル」ロンドン公演5回鑑賞し、7/31には東大阪市で佐々木 美智子バレエ団『ロミオとジュリエット』を鑑賞した翌日からの連続鑑賞日程ながら
パッション溢れる作品を西と東で3日連続で鑑賞した興奮と歓喜が今もわき上がってくるほど。
そして渡邊さんの変わり種な役をもっと観たくなる欲が益々強まった2025年8月月初でした。
偶然ですが同版の金の黒奴は、7/31の佐々木美智子バレエロミジュリ振付演出を手がけられた、数々の舞界の大きな賞を受賞なさっている篠原聖一さんも賞て踊っていらっしゃり
東と西の離れた地域での3連続鑑賞の不思議な嬉しい繋がりに喜びを抱いております。
歓喜に沸いた早期の再演でしたが早くも次の再演を待ち焦がれております。
小牧正英さんがご覧になっていたらどんな感想をお持ちになったか、聞いてみたいものです。
※昨年時の感想から再紹介。昨年の公演期間中に小牧さん及び日本バレエ黎明期の話題になったとき、
小牧さんの金の奴隷映像は残っていないであろう云々口走っていた私ですが、映像を見ておりました。
2016年に夏に世田谷区の貝谷バレエのスタジオで開催された『白鳥の湖』全幕日本初演を振り返るシンポジウムにて、見ていたのです。
重厚で豪胆、オーラに呑まれそうになった、等とメモを残しております。
黎明期当時を知る方々がパネリストとして集結してぶっ飛びエピソードを次々と語られ、(失礼ながら小牧さんの弱点には笑ってしまったが)
しかも会場は実際に稽古が行われていた世田谷区の貝谷バレエスタジオ。
小牧さんや島田廣さん、松尾明美さんや服部智恵子さんらの情熱を感じ、息遣いが聞こえてきそうな大変実りあるシンポジウムでした。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-ea00.html


写真は2016年に貝谷バレエ団スタジオで開催シンポジウム参加時配布資料です。
日本バレエ界黎明期に昔から関心持つ者として白鳥の湖全幕日本初演当時のお話を伺えたり、
小牧正英さん主演シェヘラザード映像(炎の如し情熱の塊なテクニシャンな印象)も鑑賞できたりと大充実内容でした。錚々たる顔ぶれが集結です。

8/1は丸亀製麺の日とのこと。オペラシティに通い詰めていながら初めて知り、一部メニューは半額です。

金グッズで気分を高めていきましょう。

椿屋珈琲にて、この度もいただきました金のチーズケーキ。表面がキラッと見えてきました。

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8/2ハブの日とのこと。ビールでキンキラキン。
小牧正英さんの炎の如き情熱の凄まじさ、篠原聖ーさんの端正な中の不思議な魔力宿る金の黒奴の写真にも引き込まれ、同じ役を渡邊さんが踊られたこと、再び嬉しさ込み上げます。

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