
8月17日(日)文京シビックホールにてIwaki Ballet Company&井脇幸江バレエスタジオ合同公演『ドン・キホーテ』を観て参りました。
IBC関連の公演は2021年の『トスカ』初演『サタネラ』「Mozartiana」以来の鑑賞です。
『サタネラ」グラン・パ・ド・ドゥにて今回のキトリ役の奥田さんと新国立の渡邊さんが組まれ、艶やかなお姉様と恋に盲目な初心な青年なる構図は今も忘れられずにおります。
キトリ:奥田花純(新国立劇場バレエ団ファーストソリスト)
バジル:井澤駿(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
ドン・キホーテ:梶谷拓郎
サンチョ・パンサ:藤島光太(バレエシャンブルウエスト)
ガマーシュ:梅澤紘貴
ロレンツオ:高橋竜太
エスパーダ:芳賀望
街の踊り子:瓜生遥花(東京バレエ団ファーストアーティスト)
メルセデス:原田舞子(新国立劇場バレエ団ファーストアーティスト)
ジプシーの女:井脇幸江
奥田さんのキトリはふわっと花々が香るような上品な愛らしさと盤石な職人芸が光るテクニック両方を兼備。
実に軽やかで、かといって妖精ではなく活発でチャーミングな女性として芯がしっかりと通った美しい踊りで魅了です。
奥田さんによる古典全幕主演を目にするのは初かもしれず、(全幕物としては11年前に新国立パゴダの王子での主演はあったが)
品格ある舞台姿や周りとコミュニケーション取るときの楽しみぶり、統率力もあって再び主演舞台を初台においても鑑賞できたらる思います。
ABTを思わす薄い朱色の襞状の衣装もたいそうお似合いで、夢の場の淡いピンク色のチュチュでのドルシネアも息を呑む端正な柔らかさ。
井澤さんは想像はしていたが床屋にしてはお洒落なバジルで、お店の待合室には猫脚のソファー、
窓辺にはレースのカーテンが揺らめき金縁の花瓶に薔薇の花が生けられてるであろう内装が目に浮かびました。
ただお茶目な魅力も光り、ロレンツオとの掛け合いのオロオロぶりや、そうかと思えばキトリ友人達との仲をキトリに見せつけるお調子者ぶりも憎めず笑。
テクニックも勢いと安定感ともに万全で、ぐいっと思い切りの良さも爽快。野営地場面では大概ジプシー達が踊る曲でのバジルのパートもあり
キトリを守るための踊り合戦に挑む形で描かれていて、これまた豪快な踊りっぷりで、キトリも隅っこで惚れ直していたとでしょう。
狂言自殺ではちゃっかり大急ぎで倒れ込んでからサンチョに耳打ち、作戦実行と口裏の合わせ方も面白く映りました。
奥田さん井澤さんのペアは外部公演では福岡にて組まれていますが新国立の公演ではそんなにはお目にかかっておらず、(何回か前のアラジン宝石であったかどうか)
しっかり者で美しくも強気なキトリとモテ男な床屋バジルの並びもしっくり。是非また観たいペアです。
IBC公演で馴染み深い東京バレエ団OB達もご活躍で、高橋さんのロレンツォは見かけはそこまでおっかなくなさそうだが怒ると怖い怖い笑。
ただどこかまろやかさもあり、娘の幸せを一番に考えている根は優しいお父さんと推察。
昔何処かの団体で星一徹(お若い世代の方々、ご自身でお調べください)並みのど迫力メイクな亭主関白ロレンツオを観たことがございまして迫力はあったが、
キトリの継父か?血筋違いもあろうか?等と考えが巡ってややこしい事態となり笑、バランスも大事です。
その点、品ある高橋さんロレンツォと奥田さんキトリは納得いく親子ビジュアルでした。
梅澤さんはプロポーション綺麗なガマーシュで、異質ではあっても目で追ってしまう魅力あり。
結婚式ではロレンツォと、特にバジルのヴァリエーションではちょこっと嫉妬や厳しさも光らせながらしかし優しい眼差しで見守る様子も微笑ましいもので
またゴロンとした体型である設定ながら実は高度な身体能力の持ち主であるサンチョの藤島さんとの回転対決も会場を沸かせました。
主宰者・団長の井脇さんはジプシーの女でご登場。東京バレエ団時代キャラクターダンスの名手としても名高かった井脇さんのスペインものは
今観ても肌がざわつくような感覚がもたらされ、吸い寄せるパワーと哀愁の混ざり具合も絶妙でございました。
思い返せば東京バレエ団のブルメイステル版白鳥の湖以前の衣装が、いくら恐らくは昭和の頃からのプロダクションとはいえども
どうしたらこうにも垢抜けないデザインの連なりになるのかと仰天した記憶あり。ロットバルトのアップリケなど名物(迷物?)も語り継がれていましたが、
そんな中で井脇さんスペインの背中の柔らかさや颯爽、洗練された引き締めにどれだけ救われたことか忘れもいたしません。
今回バレエスタジオも合同公演にあたり様々な年代の生徒さん達が登場。とても幼い生徒さんは街の賑わいに親子として登場したり、
子供と大人の生徒さん達それぞれの見せ場を作って溶け込ませたりと工夫も盛りだくさん。
IBCのダンサーの見せ場と上手くバランスを図りながらの演出でした。夢の場は小さなキューピットさん達も可愛く活躍です。
全体通してコンパクトにまとめつつ見応えある仕上がりで、面白い工夫と思わせた演出の1つがバルセロナの街並みから野営地への舞台転換。
当然一瞬では転換できず、しかし休憩入れず観客の集中維持のまま実行するために舞台転換の最中にキトリとバジルのアダージョを追加。
暗闇な雰囲気のため転換にもちょうど良く、キトリとバジルがいよいよ大人ムーディーな空気へとまっしぐらな濃密感も時間軸として描写するうちに
野営地へ到着そして転換終了。とてもスムーズな工夫でした。
3幕はキトリもバジルも白地に赤や金色が入ったABT風な衣装で、爽やかな華やぎが麗しいばかり。
最後は台の上に2人が乗り、子供達にも囲まれて紙吹雪がたくさん撒かれての楽しいおめでたい結婚式で締め括られました。
カーテンコールはまず代表の井脇さんが登場して中央に立たれ、以降は順々に敏意を払いながら出演者達を呼び寄せて立ち並ぶ光景が壮観。
カラフルな衣装の雲海がよく見渡せ、色鮮やかさを目に焼きつけながらの終演となりました。
ゲスト、IBCダンサー、幅広い年代の生徒さん達それぞれが楽しく活躍できる場面を盛り込んで一体感のある公演で、予想以上に満喫。気持ちよくシビックをあとにいたしました。

文京区のキャラクターです。目がキリッとしています。

終演後はキトリやバジルと同様に酒場へ。しかしスペインから英国へ!?両国の気分で、もしキトリ達が登場したらお馴染みの手拍子を取りながら迎えつつ飲みましょう!!

各劇場での遭遇率が高く、そして英国通なお三方と。うち、お2人は先月末に新国立ロンドン公演へ出向かれ、私もお世話になりました。
事前にパブ文化の魅力については話をお聞かせいただき、さぞ私も好むであろうとは想像しておりましたが期待以上。
とにかくパブでの過ごし方が性に合い、1人でも複数人数でもとでも居心地が良いと思えた次第。
ロンドンにて1人で2度も行ってしまうほど好きになったホルボーン駅近くのシェイクスピアヘッドについても語ってしまった。
アナザースカイに出演時は紹介したいくらい。いや、放送の影響で混み合ったらどうしようか。ご安心を、出演する機会なんて巡ってきません笑笑。
8/23にちょうど千と千尋の神隠しに関連してロンドン特集が放送されていました。

辛口な溶けるチーズ入りチップスを見せてくださった。味わってみるとワイン止まらなくなります。ドンキ並みに盛り上がる酒場であった。
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