2024年11月18日月曜日

ステージバレエアカデミーで江藤勝己さんのバレエ音楽セミナー ストラヴィンスキー




順番前後いたしますが、11月17日(日)千葉県柏市のステージバレエアカデミーにて開催された、
江藤勝己さんが務めるバレエ音楽セミナーを受講して参りました。今回のテーマはストラヴィンスキーです。
https://www.stageballet.net/

ステージバレエアカデミー通信。スタジオの生徒さんや卒業生、先生方の活動、活躍がまとめられています。
https://www.stageballet.net/pdf/ballet_communication.pdf#zoom=100

バレエ・リュスとストラヴィンスキーの関わりや、主に『火の鳥』『ペトルーシュカ』『春の祭典』の曲構造や
作曲エピソード等を教えていただきつつ、映像を鑑賞しながら学んで行きました。
また新国立劇場バレエ団を始め、『火の鳥』や『ペトルーシュカ』はリハーサルピアニストとしての経験を踏まえた江藤さんのお話も興味津々で
大編成オーケストラによる曲をピアノ1台で奏でる難しさは話を聞いているだけでも卒倒しそうな作業の連続。
古典バレエと違ってレベランスもないためピアニストは休む間もない体力勝負な曲であったようです。
しかも高難度でカウントも複雑な構造の曲ばかり。延々長距離マラソンに取り組んでいるお心持ちであったと察します。
お持ちのピアノスコアを拝見すると、寿司詰め状態に記された音符や符号の羅列に目眩がしそうになり、暗号にしか見えず。
書き込みや譜面めくりの跡もあちこちに残っていて奮闘の軌跡が窺えました。

『火の鳥』における驚いた初耳逸話として、ロシアの物語バレエを制作したいと考えていたディアギレフは
当初他の作曲家に音楽を依頼していたが仕事が遅く、そのためストラヴィンスキーに電話依頼したようです。
万一の事態に備えてストラヴィンスキーに予めチラッとは話はしていたようですが、いざ正式依頼すると既にほぼ完成していたとか。
10年前に放送終了した某長寿番組のテレフォンショッキングな依頼がバレエ界クラシック音楽界において
何十年も早い段階で行われていたかと思うと(それは違うか笑)、とにもかくにもストラヴィンスキーの仕事のスピード、恐るべしです。

ペトルーシュカは流れに沿ってではなく様々な要素を貼り付けるようにした作りが特徴の1つと知り、
そういえば注意深く聴いていると突如音色が弾け散りながら変化して次々と四方八方から飛び込んでくるように聴こえます。
弦楽器と管楽器が全く異なる音を出しながらハーモニーを作り上げているからこその面白味ある曲調へと繋がっているそうです。
ペトルーシュカもそこまで私も回数は観ておらず、主役達よりもあろうことか
プログラムにも未明記の少しとぼけた味わいあるお巡りさんが1番印象に残ってしまった2019年の新国立劇場バレエ団ニューイヤーや
2006年と2014年の東京バレエ団、2006年の東京小牧バレエ団(現国際バレエアカデミア)くらいです。
飛び出すロシアの民話絵本を開いたかの如く色彩感豊かな装置や美術にはっと目が冴え渡り、人で埋め尽くされた大所帯ぶりにもワクワク。
音楽も変化に富んでいて人形達の登場の軽やかなお喋りのような曲調といいロシアのお祭り騒ぎな様子の賑やかな部分は耳にも残りやすいと再確認。
しかし上演頻度は低く、その理由もチラリと明かしてくださいました。加えてこれは私個人の意見ですが、ムーア人の描き方も現代では工夫を問われそうな気もいたします。

『春の祭典』はリトアニア民謡を取り入れていると今回初めて知りました。作品の最たる特徴は変拍子で
しかしさほど不自然に聴こえないわけをより事細かにカウントを分解してのご説明に納得でした。
この3作品中私が最も覚えられない曲でもあり、東京バレエ団や小林紀子バレエシアターでも鑑賞していながら未だに歌えません汗。
失礼ながら初鑑賞時は大地の雄叫びを好き勝手に並べただけ?と思ったほどで、初演時に暴動が起きたのも分からなくもないと頷けましたが
(結果として話題性も強まって翌日以降は完売したもよう)
よくよく聴くと、そしてバレエも一緒に観ると纏まって見えるので不思議なものです。

先月アーキタンツで開催された、バレエリュスのお話も多々含まれていた芳賀直子によるバレエ史講座から、今月は江藤さんによるストラヴィンスキー講座。
しかも江藤さんの音楽セミナー受講のきっかけにもなったレッスンが開講されていた
(2022年10月に受講した初級クラスが江藤さんでした。下部の映像にて主役の火の鳥を務めている講師のときしか行かず、 レッスンは多くて年4、5回の私からすれば偶然に偶然が重なってのご縁です)
アーキタンツにおける珍しい座学講座受講からの繋がりが続いていて嬉しさもひとしおでした。

今回はスタジオにスライドを設置して映写しての講座で、お堅い雰囲気はなく江藤さんの説明に度々笑いが起こっては
映像の感想や意見をあれやこれや発言が活発に飛び交う和やかな講座で、楽譜やバレエ・リュスの衣装図鑑も楽しく閲覧。また是非とも受講に伺いたいセミナーです。
それから来年は新国立劇場バレエ団にて干支1回りぶりにフォーキン版『火の鳥』が上演されますので、
今回の講座内容を頭に置きながらより楽しく深々と鑑賞したいと思っております。
その前に、バレエ・リュスやスエドワの手拭いを見に永楽屋へ行くのは今週末。お値段は張りそうですが、多数の商品の実物を眺めてみたいと夢が膨らみます。




南柏駅。この日は季節外れな温暖気候で23度くらいまで上昇していたかもしれません。汗ばむ陽気でした。



入口、大きな看板がお出迎えです。1993年に設立、Jリーグ開幕の年です。当時からスターだった三浦知良さんが今も現役とは。




2017年お正月、酉年幕開け及び下の映像発見記念にりんごの木に似た植物と撮影。新国立フォーキン版火の鳥チラシ、その4年前に神戸のロシア雑貨店で購入した民話絵葉書と。




それにしても火の鳥、音楽の完成度といい畝る高揚感や摩訶不思議で研ぎ澄まされた厳格さといいストラヴィンスキーの中でも大傑作と思います。
2017年お正月に良い意味で私の一気に人生狂わす⁉︎衝撃与えたリハーサル映像思い出し、ベジャール版火の鳥主役をいつの日か拝見したい願いはずっと持ち続けております。
曲中で私は、このパキータと合わせた2演目ハイライト映像で流れているジャン!と中盤から曲調が歯切れ良く威厳に満ちた展開に大変化するあたりが特に好きな部分です。

2024年11月11日月曜日

喜怒哀楽の襞をも描き切る選曲 シュツットガルト・バレエ団『オネーギン』11月4日(月祝)







順番前後いたしますが11月4日(月祝)、シュツットガルト・バレエ団『オネーギン』を観て参りました。シュツットガルトの『オネーギン』全幕鑑賞は9年ぶりです。
https://www.nbs.or.jp/stages/2024/stuttgart/onegin.html


宣伝映像



※キャスト等はNBSホームページより

アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づくジョン・クランコによるバレエ


振付: ジョン・クランコ
音楽: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
編曲: クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳: ユルゲン・ローゼ

世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト・バレエ団
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト・バレエ団

オネーギン:マルティ・パイジャ

レンスキー(オネーギンの友人):ヘンリック・エリクソン

ラーリナ夫人(未亡人):ソニア・サンティアゴ

タチヤーナ(ラーリナ夫人の娘):ロシオ・アレマン

オリガ(ラーリナ夫人の娘):ヴェロニカ・ヴェルテリッチ

彼女たちの乳母:マグダレナ・ジンギレフスカ

グレーミン公爵(ラーリナ家の友人):クリーメンス・フルーリッヒ

近所の人々、ラーリナ夫人の親戚たち、 サンクトペテルブルクのグレーミン公爵の客人たち:シュツットガルト・バレエ団


指揮:ヴォルフガング・ハインツ

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

協力:東京バレエ学校



フォーゲルやバデネスは出演しない、失礼ながら出演者は誰一人存じ上げず若手中心配役ながら
強いエネルギーが集中して見応えあり、パイシャとアレマンのまだ青いからこその
まっしぐらなドラマ描写、パ・ド・ドゥの痛烈な情感といい鑑賞後は放心状態になりました。
アレマンのタチヤーナは床に伏せて読書に耽る姿や横顔のそこだけに靄がかかっているかのような空想真っ只中の脳内が表れていておっとりした行動も慎ましい。
本を持ったままオロオロするも、椅子に腰掛け再び読書に戻るのもナチュラルで所作も美しく、育ちの良さが窺えます。
オネーギンとの出会いはすぐさま雷光に打たれたのではなく謎めいた風貌に戸惑い衝動を抑えながらも惹かれて行く様子を丹念に表現。
3幕は公爵夫人として現れると振る舞いに節度はありつつも誇り高さを内側から放っていて、決意に満ち毅然とした視線にもぞくっとさせられました。

パイジャのオネーギンはツンとして冷淡な風貌で登場。タチヤーナに対して過剰に嘲笑うこともなく
ゆったりとした顔の動かし方から住む世界が違うと言わんばかりの無言の圧力をかけていた印象です。
クランコ版におけるオネーギン名物であろう、本人を目の前にして見せつけるタチヤーナからの手紙破りも
残酷極まりない行為ながら、若さゆえの容赦ない見せつけなのか思考回路が気になる姿でした。(タチヤーナが可哀想であるのは変わらないが)
3幕、公爵夫人となったタチヤーナに対しては後悔や悲しみよりも理解できぬ苛立ちをも募らせていて、自業自得ではあるはずなのだが
オネーギンの捻くれた性格は不変と感じて不自然さは無し。
アレマンのタチヤーナが涙目になりつつも気高く突っぱねる強さが入り乱れていただけに、
年齢は重ねてもオネーギンの傲慢さや幼稚さが最後まであとを引く幕切れでした。

エリクソンのレンスキーはまさに若い、オリガとは睦まじい仲であり、純真無垢で青春真っ盛りそうな青年でオネーギンとは正反対の太陽のような笑みで行動。
その分怒ると噴火が止まらず、オネーギンからの挑発に一瞬で激情に駆られる様子は別人のような変わりようでした。
ヴェルテリッチのオリガは華々しい愛らしさ満開。多少軽率な発言しても許されてしまいそうな愛嬌といい憎めぬ魅力が備わっていて
レンスキーと愛し合う関係であってもちょこっと調子に乗ってオネーギンとの仲を強調する行動にも頷けます。

何と言っても音楽の構成が秀逸で、些細な感情や喜怒哀楽の奥に潜む襞をも音楽が完璧に描き切る選曲の妙が光り
何度観てもこの作品のために書き下ろしたとしか思えず。オペラの『オネーギン』以外の曲からの貼り合わせとは到底信じ難い構成です。
帝政ロシア下の華麗さの陰での人間関係の歪みが覆う何度観ても迫りくる作品でございます。

ガラでもお馴染みなパ・ド・ドゥも、とりわけ鏡のパ・ド・ドゥはタチヤーナの手紙執筆における抑えられぬ恋心と、
オネーギン出現の妖しさが密に絡まってなんとも言えぬ情感が沸騰。現実では冷たくぶっきらぼうな(笑)オネーギンが、夢の中では優しく紳士的な面と、徐々に露わになっていく危うさへの膨らみをタチヤーナにこれでもかと見せていくわけで
またタチヤーナからすれば夢を超越した、単なるときめきに終わらぬ摩訶不思議体験でしょう。
首筋への口づけ等、官能の雨を降らせていくオネーギンの魅力に益々取り憑かれていく弄るような凄まじさをも音楽が緻密に饒舌に語り、
吸い上がるようなリフトを維持したままでの移動もスリリングな恋を一層雄弁に描写していて、振付と音楽、感情の一体化が見事とこの度も膝を打ちました。
ガラではよく目にするパドドゥですが、寝たふりをしながらの乳母とのコミカルなやりとりの後に観ると
タチヤーナへの感情移入も気持ち良くできて、全幕で観る幸運に特に感じ入った場面です。

2幕での、オネーギンによるオリガとの仲のアピールからレンスキーの嫉妬を煽り、タチヤーナは不安の沼に落ちていく下りも、
音楽の一音一音が軽薄さや心の痛みをそのまま台詞にして発し、会話しているような流れで、遂にレンスキー激昂な展開もごく自然に映りました。
チャイコフスキーの様々な楽曲から成る全幕バレエは何本もあり、私が観た中でもエイフマン版『アンナ・カレーニナ』やマクミラン『アナスタシア』、
バレエシャンブルウエストの『タチヤーナ』といくつも思い浮かびますが、場面ごとの余韻を持ち越すような自然な繋げ方といい
全人物の心情を細やかに汲み取るような選曲といい『オネーギン』は別次元な完成度の高さであると捉えております。

ユルゲン・ローゼによる繊細で抑えた色彩美の衣装美術、舞踏会の優美な内装も注目。目を凝らして双眼鏡押し当てて細部に至るまで観察し、だいぶ年季も入っていそうですが大事に踊り継いできたからこそ滲む長年の伝統をも思わせ、一層大切に目に胸に保っておきたい衣装の数々です。
カーテンのレース模様の緻密さや、3幕邸宅での舞踏会場面の美術は一見色が濃厚であってもキツさはなく、あくまで上品な色合い。
幕が開いた瞬間、衣装や装置の余りの華麗なる並びから歴史映画を眺めている心持ちになりました。

今回の『オネーギン』日程は全て新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』と重なり、しかし2018年公演においても新国立の『不思議の国のアリス』
そして私の場合京都バレエ団公演『屏風』『京の四季』の鑑賞とも被っていたため鑑賞を断念。しかし今年こそは欲望がまさり、新国立眠り千秋楽はお預けにして
上野における3日間限定帝都ペテルブルク最終日へと参りました。結果、大正解。
勿論眠り大千秋楽に居合わせたい気持ちもあったものの元々好きな作品である『オネーギン』全幕を本家本元による上演での鑑賞は格別なもので
会場で会った方々や鑑賞後に友人と合流するために出向いた初台駅改札口やオペラシティで遭遇した
新国立常連の方々からも、1回は上野に行くであろうと思ったと言われたほどです。
行くなら『椿姫』より『オネーギン』であろうと私の好みの予測も容易についたらしい笑。
しっとり静けさ湛えたショパンより、華麗で劇的で郷愁感を誘うチャイコフスキー音楽に聴き惚れている点も当たっております。

それから記憶から遠ざかり驚きを覚えたのは上演時間の短さ。全3幕構成の休憩2回込みで2時間15分で、
1幕3幕終盤で披露される要となるガラでもお馴染みなパ・ド・ドゥへの辿り着きも早い!
例えば全2幕の『ジゼル』、『くるみ割り人形』もトータルの上演時間は2時間弱ですから
ひょっとしたら数ある全幕バレエの中で休憩を抜いた上演時間は一番短いのではと思います。とにかく幕ごとにぎゅっと凝縮していてダレる箇所が一切無いのです。
群舞の見せ場や配し方も工夫がなされ、主要人物達の崩れ行く人間関係をハラハラ見つめつつも進行する2幕の舞踏会といい
時間軸戻って1幕中盤は村人達の群舞が主役ともいえる見所もあり、すっかりオネーギン名物となった舞台袖から反対側へ男女ペアで突っ切る疾走感は何度観ても胸躍る場面ですし、
ここの躍動感があるからこそタチヤーナとオネーギンの不思議な関係性が更に引き立っていくと思わせます。
シュツットガルト通な方の中にはもう飽きてしまっている観客もいらっしゃるかもしれませんが
私としては振付、選曲、構成どの要素も噛み合って完成度が高い『オネーギン』上演は誠に喜ばしうございました。今もまだ音楽の脳内再生が止まらずにおります。
パイジャとアレマンのペアにとても満足している一方、フォーゲルのオネーギンも観てみたかった興味は消えず。
舞踊生命は長そうな予感はするものの、この先まだチャンスはあるでしょうか。




幕間に、赤ワインと新宿中村屋のピロシキ。先日待ち合わせで中村屋の地下入口前へ行ったとき目に留まり、購買欲を刺激。エッグタルトも美味しそうであった。
中身の写真撮りそびれましたがピクルスが蓋のように刺さっていて、口直しにもちょうど良しです。



解説。ロシアの詩人ワシリー・エロシェンコと中村屋の創業者のご縁が関係しているそうです。キャベツたっぷりで、後味もしつこくなく美味しくいただきました。


2024年11月7日木曜日

【アーキタンツで座学】芳賀直子さんのバレエ史講座





※もう明日に迫っていますが、芳賀さんと日本最古の綿布商「永楽屋」十四世 細辻伊兵衛さんによるトークイベントが2024年11月8日(金)に渋谷ロフトで開催されます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000026246.html



10月19日(土)、アーキタンツで芳賀直子さんのバレエ史講座を受講して参りました。
http://a-tanz.com/ballet/2024/10/16211747


レッスン道具持たず、一切の緊張もなくアーキタンツへ行くのは初めて。開講前は震えている(ときもある)私ですが笑、
今回は『座学』!!!どんなに上級内容でも大丈夫、と申したいところですが座っているだけでございます。
また座学や鑑賞中心から実技へは、技術の基礎や容姿や体型の条件やら柔軟性、即座の順番記憶能力も求められる等特に私なんぞバレエは最も向いていない芸術分野の実技なわけで
すぐさま対応は難しいものの、逆、つまり実技が問題なくできている方は即座の記憶力や対応能力に裏打ちされた賢さは万全であると思いますし
全身での反応を示すわけではありませんから座って聞く分には上級レベルも難なく受講可能かと存じます。

講師は芳賀直子さん。バレエリュスの研究などの第一人者でいらっしゃり、歴史を紐解くバレエ書籍執筆も多数。
今回はバレエの誕生から現在まで、講座の2時間で400年、イタリアからフランス、ロシア、ヨーロッパ各地、と世界各地を駆け抜ける速度で進行されました。
ルネサンス期からその場で生きてきた感ある逸話も織り込み、芳賀先生実はカトリーヌ・ド・メディシスの侍女をなさっていてフランスへの嫁ぎに同行なさっていたか
或いはルイ14世王政時代にベルサイユ宮殿に勤務なさっていたか、バレエ・リュスの広報担当をなさっていたかと思うほどに
その時代をずっと生きてこられたかのような臨場感あるお話が満載。政治と舞踊の関係、裏金ならぬ裏舞踊な駆け引きや
女性振付家が誕生しかけるも悲劇な事故に見舞われて振付を断念してしまいその後途絶えてしまった経緯、
バレエ・リュスが大胆なロングラン公演を決行し、財政は厳しくなったが結果として現在に至る大カンパニー創設のきっかけになったこと等
歴史に翻弄されてきたバレエ史の逸話が噴水の如く溢れ続ける講座でした。あと5時間くらいは聞いていたかったほどです。

受講者の中には中高生くらいの世代の方々も多く集結し(バレエ史学ぶこと、大事です!)
バレエに限らず歴史、世界史を学ぶときに大切なことを芳賀さんが語りかけてくださったり、バレエの話と合わせて当時の風習や習慣も交えて説明してくださり
バレエと世界史を同時進行で勉強している気分となってボリュームあれど聞き入ってしまう講座内容でした。

それから芳賀さんも強調されていた要素として、スウェーデン貴族のマレが立ち上げたバレエ・スエドワの存在も衝撃。
全く存じ上げず、研究者はまだ非常に少ないとか。詳細はこちらをご覧ください。
https://www.japan-ballets-russes-ballets-suedois-association.com/

https://www.japan-ballets-russes-ballets-suedois-association.com/#sec02

先端なアートの共演な作品が多々あったと思われ、知れば知るほど公演の現場に居合わせてみたい気持ちにさせられました。

そんなわけで芳賀さんの講座初受講、大変実りある世界史バレエ史400年を同時研究な内容でございました。講座終了後には芳賀さんとお話もさせていただき、
気さくで面白い、カラッとしたお人柄に触れて一段と楽しいひととき。
永楽屋の手拭い(後に紹介)も見せてくださり、現物を目にすると京都の京都市営地下鉄烏丸御池駅近くの店舗に益々行きたくなった次第です。
(今月京都観劇前に行く予定どすえ)
アーキでも何処でも、また講座受講したいと思っております。芳賀さん、ありがとうございました!


https://www.diaghilevmare.com/
リュスとスエドワの手拭い多数。ディアギレフ&マレ 永楽屋のサイト。

https://www.diaghilevmare.com/collections/all
手拭いオンラインショップ。色鮮やかでお洒落なデザインの数々です!商品紹介は芳賀さんが手掛けていらっしゃいます。

店舗の同じビルの5階にコレクション展示スペースのバレエルームがあるそうです。貴重原画も展示されていて、電話で事前予約すれば見学可能とのこと!
https://www.diaghilevmare.com/pages/access
京都市営地下鉄「烏丸御池」駅 4-1 出口から徒歩3分 営業時間10:00〜19:00 TEL:075-256-0077



帰り道



近未来な田町



許可いただき中身掲載、芳賀さん監修冊子ディアギレフ&マレ 紹介



永楽屋紹介ページ



眠れる森の美女 サルビアの精。赤装飾がキュート!



シェヘラザード。黄色い衣装のためか、今年2月の国際バレエアカデミアの金の黒奴が思い出されます。
来年8月にも再演予定、色気や野性味、ギラギラ眼光に射抜かれた同じキャストで観たいと熱望。



藤田嗣治もスエドワにて活躍し、のちの帝国劇場での白鳥の湖全幕日本初演に弾みつけるきっかけになったらしい。



田町駅すぐそばのmsbビルは1階にも店舗多数。お寿司屋さんでなみなみスパークリング!



お寿司、旬のネタ系。



田町駅。隣の高輪ゲートウェイは未上陸です。


2024年11月1日金曜日

【速報でもないが】【折り返し地点通過】新国立劇場バレエ団2024/2025シーズン開幕『眠れる森の美女』




10月25日(金)より開幕した新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』を5回観て参りました。現在折り返し地点通過したあたり、明日以降も足を運びます。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet-dance/news/detail/77_028658.html

https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/sleepingbeauty/





新国立のために新制作されたウェイン・イーグリング版眠りは今年で初演からちょうど10年。
そこまで奇を衒う演出はないながら、初演時から衣装への不満噴出が絶えぬ物件ではあるものの、初日から絢爛豪華な舞台が繰り広げられています。
日程別の感想はまた全公演終了後に綴る予定でおりますが、ベルリン国立から客演の佐々晴香さんのスケールあるオーロラ姫や
登場の瞬間から万雷の拍手が沸いた米沢唯さんの慈愛や母性に溢れるリラの妖精、と見どころ盛りだくさんでございました。

衣装デザイン者の名誉のために申すと、素敵衣装もが多々あり。妖しげな緑と蜘蛛の巣なカラボス、
四人の王子の華と品とお国柄出たデザインやオーロラ友人達のパステルなブルーグレーも素敵です。
また今回は何点かは改善され、リラの頭飾りがすっきりして昭和のスイミング帽脱却、
青い鳥の上半身の羽が追加れて鯉のぼり脱却、頭飾りの羽は減らしてガンバ大阪を脱却。
カバリエ達の青いデザインはブルーインパルスではあるものの、胸元に布が足されて開き過ぎからは脱却。
脱却ばっかりだ笑。

管理人はとりわけ開幕から5日経った、30日が待ち焦がれた日程でございましたが、
上記で紹介いたしましたように(29日に公開されたためゲネ映像でしょう)、それはそれは美しく凛とした渡邊さん王子様が登場なさいました(心臓印)
そして内田さんリラとの舟旅の神秘的な麗しさの眩いことよ。
3日昼公演も楽しみでございます。

繰り返しになりますが一部の衣装の疑問符は拭えませんが、壮麗な舞台を堪能できることは間違いなし。是非ご来場ください。




公演限定カクテルはヴァイオレットフィズ。甘くもレモンが効いて不思議な爽やかな後味。



劇場内のレストランマエストロメニュー。佐々さんのサインがほのぼの可愛らしい。



ブリオッシュケーキ。無花果や柿など秋の味覚!



劇場テラスからの夜の景色。



この日は終演後マエストロへ。開幕から5日経ち、ようやく王子様。



前菜。牛蒡の食感がシャキシャキ。



森を彷彿させるジェノベーゼ。



栗とアーモンドのセミフレッド。ほっくりした栗がたっぷり入っています。



ハロウィンな内装。