2024年11月18日月曜日

ステージバレエアカデミーで江藤勝己さんのバレエ音楽セミナー ストラヴィンスキー




順番前後いたしますが、11月17日(日)千葉県柏市のステージバレエアカデミーにて開催された、
江藤勝己さんが務めるバレエ音楽セミナーを受講して参りました。今回のテーマはストラヴィンスキーです。
https://www.stageballet.net/

ステージバレエアカデミー通信。スタジオの生徒さんや卒業生、先生方の活動、活躍がまとめられています。
https://www.stageballet.net/pdf/ballet_communication.pdf#zoom=100

バレエ・リュスとストラヴィンスキーの関わりや、主に『火の鳥』『ペトルーシュカ』『春の祭典』の曲構造や
作曲エピソード等を教えていただきつつ、映像を鑑賞しながら学んで行きました。
また新国立劇場バレエ団を始め、『火の鳥』や『ペトルーシュカ』はリハーサルピアニストとしての経験を踏まえた江藤さんのお話も興味津々で
大編成オーケストラによる曲をピアノ1台で奏でる難しさは話を聞いているだけでも卒倒しそうな作業の連続。
古典バレエと違ってレベランスもないためピアニストは休む間もない体力勝負な曲であったようです。
しかも高難度でカウントも複雑な構造の曲ばかり。延々長距離マラソンに取り組んでいるお心持ちであったと察します。
お持ちのピアノスコアを拝見すると、寿司詰め状態に記された音符や符号の羅列に目眩がしそうになり、暗号にしか見えず。
書き込みや譜面めくりの跡もあちこちに残っていて奮闘の軌跡が窺えました。

『火の鳥』における驚いた初耳逸話として、ロシアの物語バレエを制作したいと考えていたディアギレフは
当初他の作曲家に音楽を依頼していたが仕事が遅く、そのためストラヴィンスキーに電話依頼したようです。
万一の事態に備えてストラヴィンスキーに予めチラッとは話はしていたようですが、いざ正式依頼すると既にほぼ完成していたとか。
10年前に放送終了した某長寿番組のテレフォンショッキングな依頼がバレエ界クラシック音楽界において
何十年も早い段階で行われていたかと思うと(それは違うか笑)、とにもかくにもストラヴィンスキーの仕事のスピード、恐るべしです。

ペトルーシュカは流れに沿ってではなく様々な要素を貼り付けるようにした作りが特徴の1つと知り、
そういえば注意深く聴いていると突如音色が弾け散りながら変化して次々と四方八方から飛び込んでくるように聴こえます。
弦楽器と管楽器が全く異なる音を出しながらハーモニーを作り上げているからこその面白味ある曲調へと繋がっているそうです。
ペトルーシュカもそこまで私も回数は観ておらず、主役達よりもあろうことか
プログラムにも未明記の少しとぼけた味わいあるお巡りさんが1番印象に残ってしまった2019年の新国立劇場バレエ団ニューイヤーや
2006年と2014年の東京バレエ団、2006年の東京小牧バレエ団(現国際バレエアカデミア)くらいです。
飛び出すロシアの民話絵本を開いたかの如く色彩感豊かな装置や美術にはっと目が冴え渡り、人で埋め尽くされた大所帯ぶりにもワクワク。
音楽も変化に富んでいて人形達の登場の軽やかなお喋りのような曲調といいロシアのお祭り騒ぎな様子の賑やかな部分は耳にも残りやすいと再確認。
しかし上演頻度は低く、その理由もチラリと明かしてくださいました。加えてこれは私個人の意見ですが、ムーア人の描き方も現代では工夫を問われそうな気もいたします。

『春の祭典』はリトアニア民謡を取り入れていると今回初めて知りました。作品の最たる特徴は変拍子で
しかしさほど不自然に聴こえないわけをより事細かにカウントを分解してのご説明に納得でした。
この3作品中私が最も覚えられない曲でもあり、東京バレエ団や小林紀子バレエシアターでも鑑賞していながら未だに歌えません汗。
失礼ながら初鑑賞時は大地の雄叫びを好き勝手に並べただけ?と思ったほどで、初演時に暴動が起きたのも分からなくもないと頷けましたが
(結果として話題性も強まって翌日以降は完売したもよう)
よくよく聴くと、そしてバレエも一緒に観ると纏まって見えるので不思議なものです。

先月アーキタンツで開催された、バレエリュスのお話も多々含まれていた芳賀直子によるバレエ史講座から、今月は江藤さんによるストラヴィンスキー講座。
しかも江藤さんの音楽セミナー受講のきっかけにもなったレッスンが開講されていた
(2022年10月に受講した初級クラスが江藤さんでした。下部の映像にて主役の火の鳥を務めている講師のときしか行かず、 レッスンは多くて年4、5回の私からすれば偶然に偶然が重なってのご縁です)
アーキタンツにおける珍しい座学講座受講からの繋がりが続いていて嬉しさもひとしおでした。

今回はスタジオにスライドを設置して映写しての講座で、お堅い雰囲気はなく江藤さんの説明に度々笑いが起こっては
映像の感想や意見をあれやこれや発言が活発に飛び交う和やかな講座で、楽譜やバレエ・リュスの衣装図鑑も楽しく閲覧。また是非とも受講に伺いたいセミナーです。
それから来年は新国立劇場バレエ団にて干支1回りぶりにフォーキン版『火の鳥』が上演されますので、
今回の講座内容を頭に置きながらより楽しく深々と鑑賞したいと思っております。
その前に、バレエ・リュスやスエドワの手拭いを見に永楽屋へ行くのは今週末。お値段は張りそうですが、多数の商品の実物を眺めてみたいと夢が膨らみます。




南柏駅。この日は季節外れな温暖気候で23度くらいまで上昇していたかもしれません。汗ばむ陽気でした。



入口、大きな看板がお出迎えです。1993年に設立、Jリーグ開幕の年です。当時からスターだった三浦知良さんが今も現役とは。




2017年お正月、酉年幕開け及び下の映像発見記念にりんごの木に似た植物と撮影。新国立フォーキン版火の鳥チラシ、その4年前に神戸のロシア雑貨店で購入した民話絵葉書と。




それにしても火の鳥、音楽の完成度といい畝る高揚感や摩訶不思議で研ぎ澄まされた厳格さといいストラヴィンスキーの中でも大傑作と思います。
2017年お正月に良い意味で私の一気に人生狂わす⁉︎衝撃与えたリハーサル映像思い出し、ベジャール版火の鳥主役をいつの日か拝見したい願いはずっと持ち続けております。
曲中で私は、このパキータと合わせた2演目ハイライト映像で流れているジャン!と中盤から曲調が歯切れ良く威厳に満ちた展開に大変化するあたりが特に好きな部分です。

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