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2024年10月29日火曜日
いざ討ち入り! 東京バレエ団『ザ・カブキ』10月13日(日)
10月13日(日)、東京バレエ団『ザ・カブキ』を観て参りました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2024/kabuki/
プロモーション映像
リハーサル映像
※出演者等はNBSホームページより
振付:モーリス・ベジャール
音楽:黛 敏郎
由良之助:秋元康臣
直義:岡﨑 司
塩冶判官:大塚 卓
顔世御前:榊優美枝
力弥:山仁 尚
高師直:鳥海 創
伴内:井福俊太郎
勘平:樋口祐輝
おかる:足立真里亜
現代の勘平:山下湧吾
現代のおかる:安西くるみ
石堂:中嶋智哉
薬師寺:後藤健太朗
定九郎:岡崎隼也
遊女:加藤くるみ
与市兵衛:岡﨑 司
おかや:政本絵美
お才:伝田陽美
ヴァリエーション1:岡崎隼也
ヴァリエーション2:池本祥真
この度全幕としては17年ぶりの鑑賞で、当時の主演者は高岸直樹さん斎藤友佳理さん。しかし殆ど記憶から抜けており、初心者印を胸につけて臨みました。
(NHKバレエの饗宴2012にて討ち入り場面抜粋は鑑賞)
秋元さんは一挙手一投足がすっきりと無駄なく、現代(制作年からして昭和末期ですが。好景気社会ニッポン、そんな時代が嘗てはあったらしい)にいるときでも
踊りは外側へ発散されていても何かを押し殺しながら内側に自問自答するような悩める姿で
電脳空間な東京からいかにして江戸時代へとタイムスリップしていくのか興味をそそられました。
いざ武士道の世界に触れ、周囲で次々と起こる悲劇に呑まれていく様子を淡々と描き、徐々に膨らむ由良之助の静の中の厳かさが凄みを増していました。
榊優美枝さんは独特の鷹揚さ、母性を持つ顔世御前で、所作がたおやかで指先までおっとりと美しい。
しかし、悲劇に見舞われても落ち着きを払う姿は変わらず、あとのトークイベントで上野さんも仰っていましたが強靭な芯の持ち主であろうと想像。
願い出るときも抑えた仕草で切々と訴え、だからこそ首筋や指先からも悲しみがじわりと香っては余韻を残していった印象です。
ただやはり最大な見せ場は四十七士達の一斉の討ち入り。約40年前によくベジャールは考えたなと再度驚かされました。
よく見ると、ただ走り込んできては歌舞伎っぽい見得を切るポーズ連続だけでなく2人の男性ヴァリエーションもあれば
一斉に対角線交差する討ち入りエチュードな飛翔連鎖も壮観でございました。クラシックの技術が万全に備わっていなければ不可能な場面で、
刀持って全員で殺陣にせず、あくまでクラシックの舞踊プラス歌舞伎な要素で攻める振付や
三角形の底辺から交互に登場しては並んで手前側に由良之助がトップとして率いる形作りといい
構成の妙に唸った次第です。黛敏郎さんの躍動感ある音楽も脳内旋回が止まらずでした。
秋元さんは由良之助にお似合いでしたが、あの鉢巻や羽織物姿に日本刀、
静かに覚悟を決めた凄味あるお姿もぴたりと絵になりそうな人、しかもベジャール作品経験者が初台にいらっしゃいます笑。
しかし只今フランスの王子様真っ只中ですが西洋の貴公子にも日本の武士にも両方を生きられるかと存じます。
終演後は由良之助を国内外合わせて約100回踊っていらっしゃると紹介され、今回作品指導もなさっている高岸さんと
前日に顔世御前を務められた上野水香さんがトークショーにご登場。司会進行はバレエチャンネルの阿部さや子さん。
高岸さんは大石内蔵助の羽織り姿で登場され、東京バレエ団そして由良之助の役柄の熱さを語られ、
入団早々に抜擢されて溝下司朗さんから細かな指導を受け続けた思い出等、今もこの役が好きでたまらないご様子。
毎回全力投球でリハーサルに臨むバレエ団の伝統の不変や、翌日に控えた、8代目由良之助誕生となる宮川新太さんについても
太鼓判を押され、楽しみにして欲しいと嬉しそうにお話しになっていました。
上野さんは顔世御前について、直前に踊っていたスーパースターガラでのキトリとは全く異なる役であり
しかし内に秘めたものを考えるとキトリより強い女性であろうと考察なさっていたようです。
またポワントつまり靴底が平らではないシューズでの摺り足の難しさを熱弁。私も聞くまでは思いつきもいたしませんでしたが
足の先端は丸みがあったり、中心部と外側で高さが違った状態での摺り足はガクガクと震えて平衡感覚が狂いそうです。
そして上野さんご自身が由良之助の役柄に興味津々で、男性になったらやってみたい役であるとか。
観客が聞きたいであろう由良之助についての質問を次々と代弁して聞いてくださいました。
制限時間の30分は瞬く間に過ぎ去り、トーク時は自由席であったため1階から聞いておりましたが観客の熱量も上昇止まらぬ空気感でございました。
当方の知識不足で入り乱れる人間関係や悲劇の展開の細部に至るまでは理解が難しかったものの
昨年春に姫路での観劇前日に赤穂へいった体験も役立ったか、何より今回は討ち入り群舞の構成の妙にも触れて終始面白く鑑賞できました。
記念すべき第1回NHKバレエの饗宴2012で討ち入り場面を生演奏で上演したことがあり、当時も会場にて鑑賞しておりましたが、今となって再実現を切に願います。
相関図
帰り、上野広小路近くにて英鮨。お通しのお魚の煮付けも味がじわっと染みていて美味しい。夕方は涼んできたこの季節、熱燗で乾杯。
ネタが大きい!特1人前セットだったはず。半端な時間帯でも1人でも入りやすい雰囲気です。
お一人でいらしていたお若めの男性の方で、お刺身の豪華な盛り合わせを注文されそれはそれは美味しそうに召し上がっていました。
それにしても武士の群舞、締まりがありつつも面白かった。
アトレにある上野ハイボールバーにてコーヒーパルフェ。後ろ側まで凝った作りです。
メニュー説明によれば、ヘーゼルナッツが香る、珈琲チーズテリーヌ、珈琲アイス、珈琲ゼリー、グラノーラの層に生クリーム、
珈琲ソース、トップに香ばしい自家製チュイルを飾っています。とのこと。
コーヒー抽出ハイボールもあり、コーヒーの香り立つ不思議なハイボールでした。是非ご注文ください。
※以下は昨年2023年4月半ばに、姫路市での観劇前日に兵庫県赤穂市へ行ったときの写真を参考までに再掲載して参ります。
目当ては赤穂駅近くのジブリ内装の定食屋さん五月メイや、赤穂駅からバスで海辺方面に出たところにある日帰り利用可能の海を一望できる銀波荘温泉露天風呂でしたが
せっかくですから忠臣蔵の歴史に触れつついつの日かに巡ってくるであろう『ザ・カブキ』鑑賞に備えようと、駅前観光案内でもらった地図を頼りに行って参りました。
大快晴の土曜日の昼前頃の時間帯にもかかわらず、赤穂城も武士道資料館も見学者は私しかおらず自身が移動する音しか聞こえず。是非お出かけください。
赤穂城跡。
重厚な門。城内貸切状態。
討ち入りそば!どんな蕎麦であろうか。お侍さんがささっと胃に入れて颯爽と陣地に向かっていったのかもしれません。
和菓子の岩佐屋。塩大福を購入。写真撮り忘れた汗。嘉永6年、管理人生まれておりません。一応明治維新以降の生まれです。
花岳寺
武士道資料館。鍛錬、稽古を終え汗ばんだ顔のお侍さんが今にも颯爽と出てきそうな武家屋敷です。
2階に上がることもでき、係員がいるわけではありませんが、開館していれば閲覧見学は自由のようです。武士の鑑であったらしい赤穂浪士の資料も多数展示されていました。
隣には武家屋敷の建築を生かし、改装したカフェもあり。お侍さんが休息をとっていても違和感無さそうです。
赤穂市立民俗資料館。元塩務局の庁舎らしい。ここまで歩いて来たが観光客に1人も会わず。
大石神社へ。ようやく観光客がちらほら。神社だからか、隣の姫路市が生姜の産地としても名高いからか
大石ジンジャードリンクも販売しています。討ち入り瞬間のような緊迫感のある辛口なのだろうか。
忠臣蔵太鼓も迫力あり。因みに管理人、よく時代劇に詳しそう、たくさん視聴していそうと思われがちですが実のところ殆ど見ておりません。
水戸黄門は見たことありますが、必殺仕事人や大岡越前は多分見ていない、ただ双方テーマ曲は知っている程度。
忠臣蔵関係も一度も視聴経験なく、 知識皆無でございます。東京バレエ団のザ・カブキはまた観てみたいと今回興味を再度持つきっかけとなりました。
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