2024年10月13日日曜日

痺れる3種の語りかけ   トリプル・ビル  スターダンサーズ・バレエ団Dance Speaks2024 9月22日(日)《さいたま市中央区》





9月22日(日)、スターダンサーズ・バレエ団Dance Speaks2024を観て参りました。
https://www.sdballet.com/company/c_archive/p2024/2409_dancespeaks/





ワルプルギスの夜
振付:ジョージ・バランシン

2017年以来の鑑賞。白や薄紫なワンピース型の衣装で揃えた女性群舞が次々と変わる音楽を丹念に表現していき、
整然としつつ涼しげな空気から怒涛の終曲まで瞬く間の20分でした。 すぐさまもう2、3回観ても飽きないであろう、
神秘的で何処か哀愁も含みながらもカチッとしたグノーの音楽も聴く度に心を擽って好みでございます。
塩谷綾菜さんの力みのない軽やかな回転やほぼ助走なしでも高く跳び上がるテクニックもお手の物。
渡辺恭子さんの優美で高嶺の花な存在感、音楽をぴたりと掴んで決めるポーズの連なりも美しや。
終曲では女性全員が髪を振り乱して激しく狂うように舞っていても誰も『リング』貞子状態にならない、つまり顔がきちんと見えるような状態を保っているのは
振付が自然とそうさせているのか出演者1人1人が気を配っているためなのか、毎度不思議です。

詳しい作品解説はバレエ団のブログをご覧ください。
https://www.sdballet.com/blog/20240705/





『マラサングレ』
振付:カィェターノ・ソト

2年前の初演時に大衝撃受け、今回は曲目も増えると聞き心待ちにしていた作品です。マラサングレとは直訳すると悪い血、とのこと。
キューバの歌手で政治にも翻弄されたラ・ルーペの曲で構成されています。
一段と全身でセクシーに奏でて、腰をぐっと落として捻ったかと思えば脚を蹴り上げたり
自分の身体を両手で抱くようにしてズカズカと歩いて出てきたりと全出演者の吹っ切れた魅せ方に痺れました。
カルディコーヒーファームの店内て流れていそうなラテンの血が賑やかに騒ぐ曲の数々とこの度も思いましたが
ただ賑やかだけでなく、黒々とした毒々しさや痛烈な刺激も身体を伝うようにて表現していて振付も音楽もやみつきになる作品。 スタダンの1週間前に上演した貞松浜田バレエ団との共同制作で、貞松浜田からの出演者の1人で
8月半ばの野間バレエ団『ボレロ フェニーチェ』で目に留まった水速飛鳥さんを再び鑑賞できたのも喜びです。
とにかく再演熱望作品!

※バレエ団のブログでの解説がとても分かりやすく、2022年の団初演と拡大上演の2024年の大きな違いなど、詳しく綴られています。

https://www.sdballet.com/blog/20240709/

https://www.sdballet.com/blog/20240814/




Traum-夢の中の夢-
振付:森優貴





森さんの振付は2017年のNHKバレエの饗宴にて貞松浜田バレエ団が上演していた暗がりの黒っぽい作品で観て以来かもしれません。
エドガー・アラン・ポーの詩を基盤にして振り付けられたそうで、題名からして今回も黒系の色で統一した作品であろうかと想像していたら概ね当たってはいたものの
あらゆる色合いの夢の連鎖をじんわりと描画していた印象です。調度品や装置に沿うようにして次々と隊形の変化を見せたりと
この続きはどうなるのだろうかと終わりのない夢の果てが気になる展開でした。
私自身睡眠中に夢はかなり見るほうで、しかも現実を把握した状態で夢の中を過ごすも抜け出せない
摩訶不思議な事態に至ることも多々あり、他人事ではない心持ちにもなったほど。


小山久美総監督による森さんへのインタビュー・前編。ドイツの舞台芸術事情やレーゲンスブルクでの芸術監督としての日々など、大変濃い内容です。
森さんの強さがひしひしと。異国での芸術監督任務、並の心身ではやっていけません。
https://www.sdballet.com/blog/20240828/

後編は今回の新作について。
https://www.sdballet.com/blog/20240829/

ステージナタリーのインタビュー
https://natalie.mu/stage/pp/dancespeaks2024


整然とした群舞が見どころな作品、やみつきになる刺激や挑発も痛快な作品、そして抽象的ではあれど吸い込まれそうな夢うつつな作品、と
全てカラーが異なるプロダクションでしかも作品を解釈して踊りこなす力量にこの度もたまげるばかりでした。
スタダンのトリプルビルは出演者や作品問わず極力足を運んでおり、今後も同様に通うこととなりそうです。
そして小山久美さんによるプレトークもわかりやすく、しかも原稿等無しで語ってくださり、毎回鑑賞の助けになっております。




会場近くの学校にバリィさん!今治市と交流があるそうで、つい最近も今治市には私もお世話になりました。



さいたま芸術劇場外観。



帰り、ライトアップ。



刺激な余韻に浸ってハイボール!


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