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2024年10月4日金曜日
ロックな平安絵巻 ロックバレエ GENJI 9月14日(土)
9月14日(土)、大田区民プラザにて平山素子さん演出・振付のロックバレエGENJIを観て参りました。
https://balletartsjapan.com/
光源氏:今井智也
頭中将:池本祥真
紫の上:奥田花純
六条御息所:伝田陽美
惟光:伊坂文月
蛍宮/末摘花:吉留諒
明石の君:平山素子
音楽:笠松泰洋
衣装:萩野緑
約70分休憩なしに踊りでひたすら紡いでいく作風で、『源氏物語』に登場する8人の人間模様が織りなす展開です。
現在放送中の大河ドラマも観ておらず、中学校高校でも古文は『奥の細道』以外に興味が持てず
今回も全ての展開が把握できたかと聞かれたら即座に頭を縦には振れずである『源氏物語』知識が大欠乏な私であっても
プログラムの解説や人物相関図が鑑賞の助けとなり、予想以上に堪能できました。
衣装はまさか十二単等が出てくるわけではなく、ゆったりめのノースリーブにパンツスタイル。
光沢のある素材を生かした派手めな色彩感で、一見ギクリとする色味の並びでしたが
バレエ界の職人な舞踊家達が元々は大長編の物語を少数精鋭で体現していくため、
また踊りの流れに沿っての動きが音楽ともなかなかしっくり。照明の当たり方によって
くすみがかったりと変化も楽しめ、このプロダクションではちょうど良いと思えました。
何より、今井さん光源氏の内側から発出する翳りも含ませた色男オーラが強く、見るからに光源氏な存在感。
容姿も素質も申し分ないきらりと華やぐ部分よりも鬱々と悩める負の部分に焦点を当てていて
黒っぽい衣装でじわじわと孤独や寂しさを雄弁に歌い上げていた印象です。
池本さんによる頭中将の、深い部分まで腰が入る張りある踊りも見どころで、音楽の緩急表現も自在。
2021年のロックバレエクイーンにおいても踊りの上手さが断トツで光っていたことを思い出します。
嫋やかで可憐に魅せてくださったのは奥田さんによる紫の上。原作では10歳で光源氏に見初められるも
ずっと悲しみに暮れていた悲劇の人物として描かれているようですが、そこまで悲しみを前面には出さず、あどけない愛らしさを優美に体現されていました。
伝田さんの六条御息所が斬れ味鋭く締めていらして、スパッと刃のように空気を裂く脚線にもうっとり。まさに職人です。
キャラクター達の中でも異質な豪快さがあったのは伊坂さんの惟光。ガシッと太い線を描くような大胆なパワーを吹き込み、
光源氏が信頼を寄せる確固たる結びつきもデュエットで力強く見せてくださり
光源氏の異母兄弟で親しい間柄にあった蛍宮の吉留さんの軽やかな足運びも見事でした。吉留さんはもう1役、ひたむきな末摘花も兼任。
振付者ご本人の平山さんは明石の君。今回の個性豊かな人物達の纏め役な立ち位置なのか、たっぷり踊りつつも全体を見守るような安心感もあり。
音楽は笠松泰洋さんによる今回のための書き下ろしもあれば、ジェフ・ベック、ゴットハードの曲も組み合わせたユニークな構成。
プログラム解説によれば、奈良や平安時代に存在した竪琴の箜篌(くご)や管楽器の大篳篥(おおひちりき)に似た楽器も取り入れ
箜篌に似ているアフリカのコラ、大篳篥と同系統の楽器である中東やトルコ周辺のドゥドゥックやメイ(一見リコーダーに似ている)を採用しているとのこと。
ロックではあっても不思議な物が渦巻いていると思わせたのはこれらの楽器の音色も影響しているのかもしれません。
知識不足と珍しいカラーの舞台で、所々首を傾げてしまった箇所や間延びしていた印象の場面もありながら
透け感のある暗がりを帯びた背景もよく合い、舞踊で語り尽くすロックな日本の古典絵巻の不思議な魅力を堪能いたしました。
再演或いは次回企画も心待ちにしております。
会場近くは2002年に多摩川の下流域の丸子橋付近に出現し、流行語までになったアザラシのタマちゃんで話題となった地域。(私も見に行きました、もう22年前)
今も地域の交通機関はタマちゃんに由来した名称で親しまれているようで嬉しうございました。
たまちゃんバス停
たまちゃんバス時刻表
会場外観。大田区民プラザは初めて参りましたが、とても綺麗で見易い劇場で、最寄駅からは改札出るとすぐの位置でした。
大田区での鑑賞は7年ぶり2度目。羽田空港以外、大田区にはなかなか行く機会がないのです。
鑑賞後は訳あって大崎駅へ移動。3度目くらいの降車です。時節柄中秋の名月、おうさきに会えて喜びもひとしお。
日本酒と参考書籍。
湯葉、お寿司。湯葉を食すと京都での滞在を思い出します。宇治にも何度か出向き、昨年6月は源氏物語ミュージアムにも初訪問。
良い子の皆様と一緒に作品を分かりやすく学ぶアニメ映像も鑑賞いたしました。
うさぎの型。満月の中でお餅つきするのでしょうか。
この後は大崎駅近くの銭湯へ。
金春湯(こんぱるゆと読む。こんぱるって、名古屋の海老フライサンドの喫茶店思い出してしまう)、
ふらりと立ち寄り易く湯上がりも寛げて良い銭湯でした。その後は西へ移動!
ラベル:
Kバレエ トウキョウ,
新国立劇場バレエ団,
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