2022年5月10日火曜日

【お茶の間観劇】コール・ドに力を注ぐ大切さ  Angel R  ODORIGOKORO(オドリゴコロ)Vol.10  5月8日(日)

順番前後いたしますがこちらから。5月8日(日)、Angel R  Dance Palace  ODORIGOKORO(オドリゴコロ)Vol.10を配信にて視聴いたしました。
https://www.angel-r.jp/event_ar/odorigokoro/%E3%82%AA%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%B4%E3%82%B3%E3%83%AD-vol-10/32496/






劇場にてカウンセラー友人を通して知り合ったとても素敵なお方が出演、また出演作品の構成や音楽の使い方、衣装の印象も気になり
Angel Rさんの舞台にも何度か足を運んでおりますため視聴。会場の三軒茶屋を最寄駅とする昭和女子大学人見記念講堂に向けて拍手を送りながら観劇いたしました。

オドリゴコロはAngel Rさんにて定期的に開催されているようで、スタジオのときもあれば渋谷の大和田さくらホールといった劇場での開催もあったようですが
今回は過去の全幕作品上演の発表会会場にもなった昭和女子大学の人見記念講堂。作品は17本に及び
古典から創作まで、初級者から上級者まで、心から楽しんで踊る皆様の姿が清々しい余韻を残しました。

全体を通して大きな魅力に感じた要素の1つが、古典にしても創作にしても初級や上級といったレベル関係なく
大人数作品が大半を占め、コール・ド(群舞)を踊る重要性に力を注いでいた点。
ヴァリエーションや王道のパ・ド・ドゥは無く、皆で息を合わせて揃え、協調性を大切にしながら丁寧に踊る
バレエの舞台の基本をまずはしっかりと学ぶ姿勢が伝わりました。
作品も古典から創作、コミカルなものからしっとり優雅なものまでバランスの取れた構成で
生徒さん達のレベルに即した作品が揃い、観ていて楽しさと安堵感を持たせるプログラムです。

特に舌を巻いたのは約20名構成であった長谷川智佳子さん振付『ライモンダ』第1幕より夢の場。
全幕における、ライモンダとジャンのアダージオが始まる直前の音楽で幕が開け、ワルツ・ファンタジアとコーダ部分を用いた構成で
知人が出演していたことも理由の1つではあるのですが最たる驚きは全体の調和力。
幻想的な美しさは勿論のこと、ビシッと締まりある仕上がりで、夢の場だからといって柔らかになり過ぎずされどばたついた歩き方にもならず
入り組んだフォーメーション場面やポーズや立ち位置を変化させていく過程でも乱れ無し。全員がきりっとした美と優雅な趣きの両方を
全身から表していた印象で、集合して左右対称にふわりと花が開いたような幕開けから目を見張りました。
振付指導の長谷川さんは東京バレエ団ソリスト時代の舞台を何度も拝見しており、準主役な立場で舞台を引き締める職人肌なダンサーでいらしたと記憶。
持ち味が作品にも反映されているのか、腕の運び方や移動時の脚の出し方といった細部に至るまで事細かな指導が窺えました。
皆で呼吸を意識し協調性を重んじ、派手さはない1つ1つの要素も決して疎かにしない練習が
結果として全体の質向上に繋がったのでしょう。大人の趣味バレエであっても妥協や甘やかしは一切ないと思われます。

それから作品に興味を惹かれた理由がもう1つ、事前に衣装の写真を見せていただいたとき、新国立劇場の『ライモンダ』2幕の主役衣装
(もし1着だけ好きな衣装を着用させてもらえる願いが叶うならば管理人、これを希望)に似た、青と金色を組み合わせた私好みなデザインで凝視していたところ既視感が募り
辿って調べてみると昨秋愛媛県西条市で鑑賞した篠原聖一さん版の2幕での友人と同じ衣装であったもよう。
昨年2021年約90回の鑑賞上位に入っているほど思い入れのある舞台で、つまり私の中ではライモンダの友人衣装として脳裏に刻まれているデザインを
今度は同じ作品の夢の場で使用されたときに受ける印象にも関心を持たずにいられなかったのです。
結果、青を基調とした照明と衣装による落ち着いたトーンの生み出しにも目を奪われ、今では夢の場と友人双方の好印象衣装となりました。

そして知人も発見。普段からそれはそれは謙虚さの塊なお人柄で、まだバレエ鑑賞歴はそう長くないからといつも謙遜していらっしゃるのですが
踊りの随分と細かな部分まで目を行き届かせ、同じ振付でも出演者による僅かな差異にも気づいていらしたりと冴え渡る鑑賞眼から毎度私も学んでおります。
鑑賞感想を好き勝手にぼやく捻くれた性格の私にもたいそう優しく、接すると間違いなく心穏やかになる寛大なお方です。
次回また近いうちに劇場でお目にかかれますように。

それから人数を増やしたパ・ド・カトルことPas de neufの春めくボックスフラワーの箱を開けたかのような薔薇ピンクの集いも華やぎ、この作品、題名通りに4人で素明かりで踊っても
例えプロでも余程の大スター陣でなければ冗長になりやすく、(吉田都さんと酒井はなさんの共演は身震いしたが。今夏のNHKバレエの饗宴布陣も興奮極まりない4人になりそう)
寧ろ人数を増やしての振付のほうがピンクのロマンティックチュチュが舞台を覆い、観ていて心が浮き立つと思っております。
ゆったりとした足取りや見つめ合ってからに鷹揚とした動きも実に丁寧で、好感を持ちました。
子供の頃発表会でも大人の生徒達が題名はそのままに8人ぐらいでプロローグとヴァリエーションを分け合って踊っていて
カトルのはずが4人でない点に疑問を投げかけておりましたが、すぐさまバレエ作品ガイド書籍にて
時代を代表するプリマ達の競演が原型であったと知り、素人4人では物寂しい舞台になっていた可能性も十分あり得ると思えたものです。

最後を飾ったのは『エスメラルダ』よりフルールとフェブの婚約の宴で披露されるグラン・パ・ド・フルール。
大概はカットされる場面ながら今年3月の日本バレエ協会ブルラーカ版上演では丸々入り、全幕の中で観るとああ長い笑。
しかし抜粋で観る限りはソリスト、コール・ドが次々と登場する典雅なクラシックを堪能でき、こうも印象が違うのかと捉える好機となりました。
フルール役は講師でいらっしゃる岡陽子さんで、佇まいがきりっと美しく、きらりと輝くオーラと誇り高さも感じる令嬢。

実は岡さんは7年前の10月、私がAngel Rさんの体験レッスン時にクラスを担当されていた方で
(同年9月の10周年記念発表会ドン・キホーテを観に行き、プログラムに無料体験レッスンチケットが付いていました)
大手スタジオらしくクラスが多彩で細分化されていて電話でスタッフに相談したところ私には初級も難しいと思えたため確か入門チャレンジの受講であったと思いますが、
明るくからっとした優しい教え方で、ワルツのとき皆でカウントを取りながら踊りやすい道へと導いてくださり
バーでは身体をじっくり楽しく引き上げる練習として『テーマとヴァリエーション』冒頭部分の音楽を使って自然と背筋が伸びる快い感覚を
体感させてくださったことも忘れられず。大人になってからの再開後、今日に至るまでただ1回、平日仕事帰りに受講したレッスンでもありました。
(私の性分上、レッスンは基本休日、つまりは他の用事がない真っさらな日でないと困難らしい)
しかし岡さんのレッスンによりAngel Rさんの印象が益々良いものとなり、レッスン受講状況を尋ねられたあとき、
2年前(2013年)に再開し但し年に2、3回の受講と申し上げ、驚かれながらも励ましながら受け止めてくださりその節はありがとうございました。

初めて鑑賞した企画舞台でしたがかれこれ10回記念を迎え、作品選びや出演者のレベルを考慮した振付、上演順序に至るまでこなれていて工夫に富んだ演出。
何よりも初級者から上級者まで、大人数で呼吸を合わせて踊る喜びを全身から放っている様子が目に入り、日々のたゆまぬ努力に今一度拍手を送りたい思いでございます。

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