2021年4月30日金曜日

踊れ、その身体がドラマになるまで~振付家・矢上恵子 作品上映会&メモリアルトーク~





神保町のブックハウスカフェ2階ひふみ座で開催されたバレエチャンネル主催の矢上恵子先生作品上映会トーク
「踊れ、その身体がドラマになるまで〜振付家・矢上恵子 作品上映会&メモリアルトーク〜 」に行って参りました。
https://balletchannel.jp/14798

※バレエチャンネルさんのサイト内のイベント紹介映像や、作品映像、佐々木大さんへのインタビュー編集全て福田紘也さんが手掛けてくださっています。センス抜群です。
※内容が実に濃く、何処から纏めるべきか分からずいつも以上に纏まり欠如な記事ですがお許しください。

ゲスト登壇者として愛弟子の山本隆之さん、福岡雄大さん、福田圭吾さん、紘也さん、と全員同じスタジオで育ち
新国立劇場で活躍なさる4名が集結し解説は恵子先生とも長年所縁が深かった桜井多佳子さん。
恵子先生のお姉様でいらっしゃる矢上久留美先生のご挨拶や佐々木大さんインタビュー映像もあり、
山本さん達は愛弟子且つ踊り手側から見た恵子先生、作品の魅力など真摯にたくさん語ってくださいました。 多数の作品上映もあり、著作権が厳しく動画サイトにもまず載らなかった為東京で、また配信でもこんなに一気に鑑賞できるとは誠に喜ばしい限り。
関西、四国、山陰でも鑑賞しておりますがもっと東京での披露機会もあればと願ってきた為歓喜。大変嬉しく中身ずっしりな企画でした。

上映作品は全7本。初見作品もあれば鑑賞当時を懐かしく思い起こす作品まで、集中して見入った次第です。
まずは1999年2月の世界バレエ&モダンダンスコンクールで田中ルリさん、佐々木大さんが踊られ
田中さんが金賞、恵子先生が振付賞を受賞されたaccordanceから。(佐々木さんは田中さんのパートナーとして出場)
司会進行のバレエチャンネル編集長阿部さんも仰っていましたが、本当に20年以上前とは思えぬ洗練度に驚嘆。
特別派手なテクニックが繰り出されていく展開ではないながら、近未来を突き抜けていくような徐々に詰めて行く踊りの連なりを凝視せずにいられず。
桜井さんによる詳細なコンクールレポートが掲載された書籍が手元にあり読み返し思い出したところ
恵子先生のお名前や作品についてはまだ意識をせずにおり、田中さんの金賞受賞や田中さん佐々木さんによるグラン・パ・クラシックの伸びやかな写真、
エレーナ・フィリピエワ、デニス・マトヴィエンコ、サラ・ラム、アリーナ・コジョカル、遅沢佑介さん、そしてモダンダンス部門では平山素子さん、と
このままガラ公演開催が可能であろう強者揃いの出場者ばかりに気を取られてはおりましたが、恐らくは初めて目にした恵子先生作品であったかもしれません。

順序や過程が異なるかもしれませんが、accordanceは大人数構成でも上演され、翌年2000年あたりの開催であろうKバレエスタジオの公演での写真が
ダンスマガジンに掲載。上から銀色の渦巻きのような装飾が吊るされ、リフトされて天を仰ぐ恵子先生?や囲うダンサー達のスケール感ある場面が写っています。
また私の記憶違いでなければ、Kチェンバーカンパニーのダンサーが改訂し子供の生徒さんのみによるaccordance Ⅱも数年前に披露されていたかもしれません。
近年では振付は全く違う趣向で福田圭吾さんも同名の作品を発表されているかと思います。

2本目は『舞踏への勧誘』に振り付られたFrozen Eyesー凍りついた目ー。初演は田中さん佐々木さんが名古屋のコンクールで
もう1本の恵子先生振付コンテンポラリー作品として踊られたときですが 今回の映像は紘也さん。
恐らく昨年10月の恵子先生によるコンクール作品上演集にて披露されたKバレエスタジオの舞台映像でしょう。
既に恵子先生がお亡くなりになっていたため圭吾さんが教えていらしたそうで、心が壊れた少女に寄り添うストーリーや
注意すべき視線など、踊る上でのポイントを語ってくださいました。あらすじを頭に入れた上で観ると、少女の冷淡な壊れ具合が一層怖ろしいと感じさせます。

3本目はWitz long。圭吾さんが出場された2003年のローザンヌのコンクール映像によって最も知られている作品とのことですが
実は私はその映像はちらりとしか観ておらず、昨年のDAIFUKUにて福岡さんで初鑑賞。
今回の上映も福岡さんで、身体がバラバラになってもおかしくはなかろう激しい展開や随所に盛り込まれたギリギリのバランスもするすると踊りこなす姿に天晴れ。
漫画に疎い管理人、つい数日前に知りましたが近年は漫画でも取り上げられた作品だそうです。
4本目のSalutは初鑑賞で、2002年のジャクソン国際バレエコンクールにて初演。サンサーンスの『死の舞踏』で
椅子と長めのシャツを巧みに使いながら圭吾さんがおどろおどろしい空気を醸して踊り、圧巻でした。
福岡さん、圭吾さんによればシャツ問題椅子問題が生じたそうで、汗でシャツ貼りつき呼吸困難に陥ったときや
椅子を持ってそのまま床で回転して起き上がるなど無謀な要求もあったとか。(やるしかないそうです涙)

次がBourbier。福岡さんが2008年に出場されたヴァルナ国際バレエコンクールにて踊られ3位入賞、そして恵子先生は振付賞を受賞されました。
初演は恵子先生も出演された大編成上演で2007年と思われます。(改訂や構成変更などこの辺りの事情知らず失礼。
2009年にはバレエ協会公演における東京上演もそれはそれは嬉しいもので、ようやく東京の観客にもご覧いただく機会に嬉しうございました)
福岡さんにとってはとりわけ思い入れの強い作品とのことで、 作品のコンセプトやいつもとはピリピリとは少々違った雰囲気の中
先生と一緒に作り上げた、 魂を磨き天へ返す、と先生の教えをじっくり振り返りながら語ってくださいました。
カヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲ソロ部分はKバレエスタジオの舞台では節目に踊られる機会が多い作品なのか、山本さんも何度か踊られていて
(2014年の恵子先生舞踊生活50周年小品集、2015年東京にて佐藤勇次さんスタジオ公演、2016年香織先生追悼公演)
福岡さん山本さんお2人が最後の魂天に返す振付をその場で順々に再現してくださいました。
福岡さんは舞台のときとほぼ同様に全身を大きく使って再現され、対する山本さんはだいぶ遠慮がちで笑
両手で包んで掲げる箇所では後輩達から「おむすびみたい」と笑われてしまったほど。
しかし、舞台を観た者から言わせてもらいますと、「神降臨」な心を震わせ浄化させる踊りでございました。うう、また拝見したい。

続いては出ました!大作『ノートルダム・ド・パリ』より圭吾さんのカジモドと山本さんのフロロ。
とにもかくにも山本さんの美しくも苦悩を押し殺すように熱を帯びていく姿が胸に迫り、一部分だけでも映像を通して再度鑑賞でき感激。
フロロ、このあとみるみると冷酷な面を露わにしていきますが、全編もう一度観たいものです。
2011年に大阪で1回上演したきりで、特に多くの方にご覧いただきたい作品でフェビュスは福岡さんでした。
桜井さんが演出の特徴として、バレエのノートルダムには珍しく山羊が登場する点をご説明。
登場するバレエ映画は1本あるくらいとのことでそういえば、他の版では観たことがなく
矢上版では恵谷彰さんが俊敏に踊っていらっしゃいました。そして佐々木大さんも群舞の中に入り、
太い線で描かれた巨大な鐘や骨組みの大掛かりな装置、と重厚且つスタイリッシュな作品です。
一方笑うに笑えぬ、山本さんが明かしてくださった布団逸話には恵子先生の無茶ぶりに再度触れた思いでございます。

最後はToi Toi。スピード感とユニークな魅力も光る、観ていて気持ちが前向きになってくる大人数構成作品で2003年に大阪で初演されました。
複数のグループに分かれて組まれ展開していくフォーメーションと言い、後方に設置された壁を用いて飛び出してきたり引っ込んだりと
面白い変化をもたらす振付と言い、一時も休む間もなくエネルギーが上昇していく振付に痺れるばかりです。
冒頭の男女のデュエットは恵子先生と福岡さん。実は恵子先生ご自身の作品でたくさん踊っていらっしゃるお姿は多くは拝見しておらず、5本の指で数えられる回数。
記憶のある限り初ケイスタ鑑賞での2007年Bourbier、青少年に贈る舞台鑑賞会でのâme、2008年MRBスーパーガラでの
眠れる森の美女パ・ド・シス音楽に振り付けられたFee×6、2009年のADOです。
Toi Toiでのしなやかさ、強靭なバランス感覚と挙げたらキリが無く、恐れ入りながら見入ってしまいました。
今回の映像は冒頭のデュエットは2003年、大人数で繰り広げる後半は出演者の顔ぶれからして恐らくは2014年公演かもしれません。2016年には出雲でも上演されています。

佐々木大さんのインタビューも大変面白く、恵子先生との出会いや踊った作品について。
そして恵子先生の名を広めたいと密かに地道に営業活動を1人でなさっていた逸話まで、それだけ恵子先生という人物、作品に惚れ込んでしまっていらしたと見受けます。
また同じ作品でもデュエットからソロに変えたものや、恵子先生の愛弟子達の追い込みを目にしたときの衝撃など、
温か且つ尊敬の眼差しで語ってくださっていました。お話の内容や言い回しも分かりやすく、インタビュアー紘也さんの質問も的確で素敵コンビな対談です。

それから桜井さんの解説も細かな箇所まで知り尽くした内容ばかりで、恵子先生作品を初めてご覧になる方にも何度も鑑賞している方にも分かりやすく
あっと驚かせるお話満載でした。20年以上も前から取材を重ねられ、恵子先生と愛弟子達双方との親交が
余程深くなければ知り得ないお話を溢れんばかりに伝えてくださり、感激でございます。

身内として同僚としてずっと過ごしてこられた久留美先生のお話もじっと聞き入り、不安になるほど生徒に対する厳しい教え方や
仕事をたくさん入れて猛烈な忙しさで過ごす恵子先生をずっと心配なさっていたようです。
また今は恵子先生の作品をいかにして残し踊り継いでいくか、日々模索し著作権などの知識をもっと得ていきたいともお話しになっていました。
最後福岡さんが、恵子先生作品はまだまだたくさんあり、踊りたい方はKバレエスタジオに連絡くださいと宣伝営業し呼び掛けていらしたこと、
久留美先生も嬉しがっていたことでしょう。昨年の舞台のプログラムには確か今年の9月中旬にKバレエスタジオの舞台開催予定で、私も観に参りたいと思っております。

最後に(まだ続きますが汗)、愛弟子の皆様。この方々が人前に一堂に会して話をしてくださる機会はこの先無いであろう貴重な時間で感謝してもしきれず。
バレエに真剣に誠実に向き合い、恵子先生の愛情と指導を一身に受けてこられたお話や
今も変わらぬ先生に対する尊敬の念など、数々のお話を真摯に丁寧に語ってくださいました。
山本さんは何処までも控えめな語り口でいらっしゃいましたが、恵子先生の最初の弟子として重圧もあり?
そして厚い信頼も得ていらしたと窺え、トークイベントにおいてもやはり別格なオーラが漂いました。そしてふと飛び出す一言が面白いのです笑。
恵子先生の格言や教えを最も詳しく話してくださったのが福岡さんで、背骨の歪みや贈り物のスニーカーの意味、魂を磨き続けることの大切さなど
1つ1つじっくりと回想するように伝えてくださいました。

濃い関係性のエピソードについて触れていらしたのは圭吾さんで、恵子先生作品を踊る他の教室の生徒さん達で苦手そうな子や時間がかかっている子がいると
すかさずアシスタントの圭吾さんに恵子先生の目の合図が走り、フォローに回っていらしたとのこと。
目での会話が可能になるほど濃い間柄であり、また絶対出来るようになると出演者のレベルを結果として引っ張り上げる指導であったとのこと。
そういえば、徳島や愛媛の教室の舞台で恵子先生作品も何度か観ておりますが、皆しっかりと踊りこなしていて練習方法が気になっておりました。

3人の愛弟子達とは少し異なる関係性を築いていらしたと打ち明けていらしたのは紘也さんで、弟子史上初!?正直に「無理です」と言ってしまったところ吹っ切れて
創作の話など正直に色々話せるようになったとのこと。追悼公演プログラムでの恵子先生へのメッセージ欄においても、
寂しいや悲しいといった言葉はなく中華をご馳走したときの先生の素っ気ない!?反応を記されたりと
何処までもユニークな感性は恵子先生からも大そう愛されていらしたと想像いたします。

それから恵子先生に、恵子先生作品に着目し東京にてイベントを企画され、更にはオンライン配信も実現に漕ぎ着けてくださった
バレエチャンネル編集長の阿部さんには感謝するばかりです。素晴らしい作品を多数生み出しながらも恵子先生は大阪を拠点とされていた為
公演の新聞記事は大阪や関西圏止まりであり、また著作権も厳しく世間に映像が出回ることはまずありませんでした。
立て続けに複数作品の上映を東京にて実現させオンラインで全国発信されるとは、アーカイブを通して自宅の大画面にて
Toi Toiを何度も眺める日が訪れるとは1週間が経った今も夢のようです。
佐々木さん、桜井さんも仰っていたように、恵子先生の作品を初めて観たときからすぐ募ったのは多くの方に知ってもらいたい衝動であったそうで
それだけ瞬時に観る者や踊り手も惹きつける恵子先生、作品の魅力を全国規模で発信してくださり、感激の一言では言い尽くせません。
バレエチャンネルさん、本当にありがとうございました。
恵子先生の作品を初めてご覧になった方も、もっとたくさん観てみたいと興味を持たれた方は大勢いらっしゃるに違いありません。

それにしても、バレエ音楽や作品史関連の講座で何度も足を運んでいる神保町ひふみ座に
山本さんがお越しになり登壇される日が到来するとは。ひたすら拝みながらお話に聞き入りました。




帰り、地元で1人静かにビールで乾杯。恵子先生、ビールが大好物でいらしたと聞いております。


※以下、今回のイベントに関連しているであろうKバレエスタジオのプログラムや記事掲載の書籍などを紹介しております。



恵子先生作品を初鑑賞した2007年Kバレエスタジオ舞台プログラム。チケット申し込み時、大阪に電話をかける行為も慣れずでまだまだ小心者であった私は
送付先住所を聞かれ郵便番号を申しかけたところで「東京から来はるんですか!?」と強烈な大阪弁にたじろぎかけましたが
恐らくは香織先生がとても優しく案内をしてくださったことは今も覚えております。その後も関西、四国、九州の団体の公演申し込みにて
遠方在住に電話口でびっくりされる事件は度々ありましたが笑、(追っかけあるある)
回数を重ねて行くうちに慣れてきたものです。そして年を重ねるごとに私の神経も図太くなったかもしれません。
2007年以降Kスタさんの舞台は、昨年2020年まではスタジオ移転のため舞台開催が無かった2017年を除いては毎年1、2回は大阪なり、山陰なりで鑑賞しております。



2007年夏、初めて恵子先生の作品鑑賞が叶い感激と興奮の坩堝であった管理人でしたが、振付の意図や中身に至るまで考えが及ばず余裕もなく
これといってじっと深く観てはおりませんでした。スタイリッシュでパワフルな大作をこんな単純な見方をして果たして良いのか
もっと緊張感を持って鑑賞するべきかと不安になっていたところ助けられたのが桜井さんの解説でした。
同年12月に大阪にて開催された大阪市主催の青少年のためのバレエ鑑賞公演にて『コッペリア』(山本さんが夜の部にフランツ役でご出演)
そして恵子先生振付のコンテンポラリーâmeの2本立て上演に、大阪市民でもなく青少年な年齢でもない身ながら足を運び鑑賞。プログラム解説を執筆なさっていたのが桜井さんでした。
恵子先生作品の鑑賞法についてはごくシンプルで、理屈ではなく、こころで受けとめてくださいとの文字。
心をぐっと持っていかれる、パワーを貰えた、これで良いのだ!と肩の力がだいぶ抜けた気がいたしました。
後年恵子先生と話をした際にも、先生の作品は宇宙まで導かれそうな力に溢れていて拝見すればするほど好きになりますと素人の訳の分からぬ感想に対して
「楽しんで観てくれるのが一番嬉しいねん!ありがとなー」と豪快に笑いながら語りかけてくださり、難しく考えずに観て欲しいと強調なさっていました。




抜粋上映された2011年の大作『ノートルダム・ド・パリ』プログラム。毎回プログラムデザインもスタイリッシュです。
ノートルダムも痺れる作品でしたが、2009年に鑑賞したカルメンも好きで、少女時代のカルメンから描き、人間の心の闇にも迫る大作でした。
山本さんのエスカミーリオ、色男過ぎました。



2016年出雲公演プログラム。Toi Toiの最後、全員で両手を掲げる場面、星空へと導かれそうな写真です。



今回のお話で、あからさまに仲良しな面は見せないながら、福田兄弟は実はとっても仲が良いとよく分かりました笑。
新国立劇場バレエ団には複数兄弟ダンサーがいて、福田兄弟と後輩兄弟との対談記事が2017年7月に発売されたダンススクエアVol.20に掲載されています。
発売日が我が節目であったことと諸々目的の事情があり、発売早々に購入し読みました。
福田兄弟、ちゃっかりお互いの良いところを褒めつつもここではそう仲の良さをアピールなさっていませんが
いかんせんおしどり夫婦の如く!?仲が良すぎる後輩兄弟の微笑ましい関係に衝撃を受けたり優しく話を引き出したり
立ててあげたりと気遣いと思いやりに溢れた先輩兄弟です。



音楽之友社1999年5月号に田中ルリさんが金賞受賞、恵子先生が振付賞を受賞された世界バレエ&モダンダンスコンクール取材記事と田中さんへの単独インタビューも
掲載されています。執筆者は勿論桜井さん。私服姿の出場者フィリピエワに圧倒されたり、心の持ち方を佐々木さんから学んだり
恵子先生を佐々木さんに紹介いただき『アコーダンス』と『凍りついた目』の2本を振り付けてくださったが両方とも難しく、
ファイナルにまで残れるかの不安や本番中のひやりとしたことも話してくださっています。



20年前に大特集された関西バレエ事情。Kバレエスタジオの紹介では前半でも少し触れたaccordanceの大人数構成版のカラー写真が掲載。
関西エリアのカンパニーの一挙紹介バレエガイドはこちらも桜井さんが案内なさっていて、
法村友井、貞松浜田、佐々木美智子バレエからKバレエスタジオ、地主、野間、ワクイバレエ団など数々の団体や特徴を紹介してくださっています。
山本さんへのインタビューもあり、恵子先生の指導については厳しいが愛情がこもっているから受け止められる、とのこと。
来シーズンより新国立劇場契約ソリストと紹介され、時の経過は早い。王子貴公子系の役以外も挑戦したいとも仰っていて、のちには古典、コンテンポラリー問わず主役の百貨店です。

そして時が流れ20年、ダンスマガジン2021年4月27日発売の最新号にてこのゴールデンウィークに無観客上演され4キャスト無料配信される
新国立劇場バレエ団ローラン・プティ版『コッペリア』最終日の8日に山本さんコッペリウスと共演するフランツ役ダンサーのリハーサルレポートでは
執筆者は「バレエ団のレジェンド」と山本さんを表現しています。4キャスト全て楽しみですが、中でも8日、楽しみでございます。



バレリーナへの道57号、表紙は新国立劇場バレエ団初演時の『ライモンダ』主演は現新国立バレエ監督の吉田都さん。
間もなく配信が始まる『コッペリア』の次公演演目であり、次こそは観客入れての上演が出来ますように。
また今年と同様コッペリア当たり年だったのか偶々なのかコッペリア公演記事が3本続き、スターダンサーズバレエ団(延期に次ぐ延期で6月開催予定。スエズ運河事故影響とは)、
貞松浜田バレエ(5月末開催)、塚本洋子バレエ団(間もなく始まる新国立コッペリア配信トップバッターの米沢さんらしき姿が友人?役で写っています)
話を戻します。Kバレエスタジオの設立について詳細に紹介されていて、取材は勿論桜井さん。矢上三姉妹の子供の頃の写真や貝谷バレエ時代の舞台写真もあり。
幼い頃から仲良しであったことや3人揃っての留学までの道程、恵子先生が遊園地の着ぐるみの仕事で自らも踊りショーの振付もなさり引っ張りだこであった時代や
恵子先生は当初指導の仕事が嫌で厳しくすれば生徒は辞めると思ったものの生徒達が必死についてきたため何時の間にか教えることに夢中になった、
「生徒は自分の鏡」とインタビューで答えていらっしゃいます。福岡さんも今指導もする立場になって恵子先生の格言としてご自身に言い聞かせていらっしゃるようです。

ところでKバレエスタジオ紹介の次ページには2005年1月開催のNBAバレエコンクールレポートがあり、
コンテンポラリーの部の入賞者1位から3位までの6名のうち、2名がKバレエスタジオ、
2名が恵子先生が指導に出向きスクール公演でもほぼ毎年恵子先生作品を上演していた徳島の清水洋子バレエスクールの生徒さん。
作品名のみで振付家名の明記はないもののケイスタの方は当然恵子先生の作品でしょうし
清水バレエの生徒さん達の2作品も恵子先生に特訓された作品であった旨を耳にした覚えのある作品で、
つまりは少なくとも入賞者4名分の指導を同時進行で先生は行っていらして多忙極まるスケジュールをこなしていらしたと思えます。
イベントにて久留美先生も挨拶にて、恵子先生が仕事をどんどん入れてストイックに邁進していく為心配で仕方なかった、
香織先生と2人して案じていたと話され、コンクール以外にも多岐に渡ってこなしていらしたと窺え、猛スピードで生き急いでしまったのかもしれません。



大阪、及び関西でのバレエ鑑賞が増え始め、関西と関東のバレエ文化の違いについての記事は時々見かけその度に熟読はしておりましたが
最も面白く何度も首を縦に振りながら読み進めてしまったのが、7年前に紹介した、上方芸能の書籍。執筆者は桜井さん。
大阪のバレエ記事は大阪版にしか載らず全国区にはなかなか伝わらないなど、頷いてしまう箇所多数。
フェッテにてほぼ100%の確率で発生する手拍子文化にも言及され、私の記憶の限り大阪での舞台でフェッテのときに拍手が起きなかったのは
2019年9月新国立劇場バレエ団こどものための『白鳥の湖』フェスティバルホール公演ぐらい。
当初の主演予定ペアが直前降板し、代役ペアを知ったのは前日。大急ぎでチケットを申し込み、知った24時間後には大阪に来ておりましたので
行きの新幹線車内ではどう過ごしていたか記憶は彼方ですが、ただ今回ばかりは手拍子無しを願っていたのは覚えあり。
主演がお2人も急遽の代役でご出身地やキャリアからしても関西では踊り慣れてなさそうでいらっしゃいましたから手拍子が起きず誠に安堵したものです。
話を戻します。上方芸能別ページの一般アンケートとして大阪に対するイメージランキングもお馴染みな要素ばかりで笑、
私が大阪を初訪問した太古の昔である高校の修学旅行時とたいして変わっていないようです。






そんなわけでせっかく掲載されたKバレエスタジオの大きな記事も東京では入手できず、取り寄せても良かったのですが幸い大阪には年10回程度通っていた頃は掲載を知った翌訪問時に
梅田近辺の販売所へ。午前中に突如やってきた、標準語をまくし立てて新聞購入希望を伝えてくる変わり者にも販売所の方、親切に対応してくださいました。
どちらも2013年の記事で、スタジオ設立30周年記念の夏公演恵子先生新作Logosリハーサルレポート(矢上三姉妹が並んでいらっしゃる)と夏公演の山本さんの写真付き記事です。
リハーサルレポートの方は公演当日に購入、夏公演記事は佐々木美智子バレエ団バフチサライの泉鑑賞で西宮に行く前に購入。
佐々木さんがヌラリ、山本さんがワズラフ、福岡さん圭吾さんが剣の踊り、紘也さんが貴族、
そして福岡さん圭吾さん紘也さんはダッタン兵士も兼任。今回のゲスト陣総出演でした。
今回のイベント、恵子先生と香織先生は愛情かけて育てた弟子たちを揃って近くから笑いつつ目を細め、時として心配そうにご覧になっていたに違いありません。
そして、最前列に座っていたところ数列後ろから馴染みある大阪弁が聞こえ、振り向くとにっこり微笑む久留美先生そして、
となりのトトロの如くニイーッと笑い「やっぱりな、一番前におるな〜!」と楽しそうに声をあげていらした
恵子先生の表情にに思わず肩の力がふっと和らいだ 2016年11月の国立劇場にて山本さんが日本舞踊家と共演され在原業平を踊られた公演のときと同様
今回も腰掛けた我が席位置を面白がっていてくださっていたら、喜ばしうございます。

大変長く、そして私情も多々含む記事で申し訳ございません。お読みいただきありがとうございました。

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

toi toi 出雲公演のものです。
さすがすぎます!
よくわかりましたね!!

管理人 さんのコメント...

おはようございます。この度はコメントいただきありがとうございました。そして早速お読みいただき感謝申し上げます。長くなってしまい、また余計な事柄を綴っておりましたら申し訳ございません。

初めて拝見したときから恵子先生の作品がとても好きで、東京の方々にももっと知っていただきたいと願っておりましたため東京での今回の企画はあまりにも嬉しい、忘れられない1日となりました。
記憶力は良い方では無いのですが、身に余るお言葉恐れ入ります。
出雲の舞台は香織先生がお亡くなりになった年の夏で、予定通りの開催に先生も幸せな表情でご覧になっていたと思っております。Toi Toi、この時は最前列で鑑賞し、押し迫るパワーに鳥肌がずっと立ちっぱなしでした。サンライズ出雲で帰京した復路も思い出の一つです笑。

Unknown さんのコメント...

素晴らしい催しに、お誘いお連れ頂きありがとうございました。
あの日の感激は忘れられません。
緊急事態宣言が出される前日で、緊張感がある中、本当に感動的な作品上映とトークでしたね。
私と同名のホールでの催しというのも、とても感慨深いものがありました。
改めて感謝申し上げます。ひふみ

管理人 さんのコメント...

ひふみ様

こんばんは。こちらこそ、ご参加ありがとうございました!
恵子先生作品の魅力に取り憑かれ多くの方々、特に東京でももっと知っていただきたいと願い早14年ですが
存在感埋没まっしぐらな当方の発信物では限界があり、
バレエチャンネルさんのこの企画は嬉しさで一杯でございました。 
宣言前ギリギリでの段階で、目の前で愛弟子の皆様のお話に映像上映と
夢のようなひとときでしたよね。今も思い起こしてはうっとりしてしまいます。
はい、同名のホールにも是非お越しいただきたいと願っておりました笑。
こちらこそ、ありがとうございました!