2024年3月25日月曜日

2時間弱にまとめて復刻  日本バレエ協会『パキータ』 3月10日(日)夜




3月10日(日)日本バレエ協会アンナ=マリー・ホームズ版『パキータ』夜公演を観て参りました。
http://www.j-b-a.or.jp/stages/2024tominfestival/


パキータ:米沢唯
リュシアン:中家正博
イニゴ:高橋真之





米沢さんはロマ姿であっても頭1つ抜けたキラリとした品を宿すパキータで、デコルテや腕にかけてのラインもいたく綺麗で色香もあり
身につけた立派なペンダントも含め周囲は何とも思わなかったのか不思議なほど。
音楽と空間をたっぷり使ってのソロも花が開くように艶っぽく、人々に愛されている様子が窺えます。

中家さんのリュシアンは見るからにまもなく昇進しそうな逞しい軍人で、軍服が違和感なく似合うお姿。歩き方や腰掛け方は威風堂々。
パキータとの一目惚れな出会いではハッとする衝動をお互い周りに気づかれないよう恋心を静かに抑えて秘めていたのは健気に映りました。

鮮やかなテクニックを駆使して集団を率いていたのは高橋さんのイニゴで、とにかく見せ場が多く
グラン・パでお馴染みなパ・ド・トロワをイニゴとパキータ友人との構成にして1幕で披露したり、一方で悪事を企てたりと大忙し。
しかし技術も芝居力も確固たるものをお持ちで、中身があるようで無いあらすじ(失礼)を浮き立たせて伝えてくださいました。

2幕は結婚式まではだいぶ芝居中心でしたが、リュシアンから命を奪おうとするイニゴの悪事計画を消滅させようとパキータがあの手この手で大奮闘。
卓球台のようなテーブルに向かい合って座る2人を前にして、わざとパンを落とした隙にコップをすり替えたり寝たふりをするようリュシアンに命じたりと
機転を効かせた作戦で挑んでいました。大舞台で長らく活躍しているこの3人だからこそ、場も持たせて楽しい掛け合いに展開したと思われます。
忍者屋敷のような回転扉な仕掛け、及びイニゴに苛立つ(確か)リュシアンが誰もいない間に格闘技の技を1人ひっそり繰り出していたのはびっくりしたが笑。
そういえば大山倍達さんは、バレエダンサーの身体能力で格闘技をされたら敵わないと、インタビューで語っていた記憶が過ぎりました。
加えて中家リュシアンとの対戦ならば試合前から勝ち目なさそうです。
パキータとリュシアンの結婚式グラン・パは大人数編成のコール・ドはよく揃っていて、隊列変化も見事。
米沢さんはクリアな踊りで涼やかなフェッテも爽快。1幕序盤の友人達との戯れや恋に落ちた場面から、打倒イニゴ作戦、
そしてテクニックフル回転な結婚式まで卓越した描写力で舞台を引っ張っていらっしゃいました。
衣装が白地に銀だったか、頭飾り含めてガムザッティのようなデザインであったのは惜しく思え、誰が見てもパキータと思わせる何かがあれば尚望ましかったかとも感じます。

『パキータ』全幕は18年前にパリ・オペラ座バレエ団来日公演でラコット版を観ておりますが記憶が彼方で、
パキータがスワニルダのように機転を効かせていた点とグラン・パしか覚えておらず。
ちなみにこの年はNBSにおけるラコット年だったようで、4月にパリ・オペラ座『パキータ』、
5月にボリショイ・バレエ『ファラオの娘』、11月に東京バレエ団『ドナウの娘』と続きました。
3作品とも観ている者としてはファラオは古代エジプト歴史浪漫をボリショイのハイレベル技術に裏打ちされた人海戦術でこれでもかと見せつけられ
バレエ団好きとしては喜ばしく3回も足を運んでしまったが、オペラ座パキータは記憶がうっすら、東バドナウに関しては横断幕のセンスに言葉を失い汗、以下は略。

それは横に置き、ホームズ版パキータは中身があって無いような話を削ぎ落として休憩1回の2時間弱にまとめ、
ケープダンス(ロマの女性、それから女性達が闘牛士に扮して踊っていた)キャラクター舞踊も充実させて活気ある場面を設けてなかなか面白く、見飽きぬ仕上がり。
リュシアンがグラン・パ以外は腰掛ける、歩く、加えて芝居中心で踊りの見せ場もう少し有れば尚望ましく思えましたが
全幕上演で目にする機会が滅多にない演目を新制作しての披露には拍手を送りたい思いでおります。




帰りは頼まれていたパンダグッズを購入後に上野駅アトレで赤ワインで乾杯。
食べてみたかったかつサンド、メニューの見本写真の倍はボリュームがある印象でしたが
食べ始めたら1人でもスルリといただけました。肉汁ジュワリ。チョコ柿ピーやナッツ類はチャージに含まれ、これまた止まりません。

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