バレエについての鑑賞記、発見、情報、考えたことなど更新中
2020年よりこちらに引越し、2019年12月末までの分はhttp://endehors.cocolog-nifty.com/blog/に掲載
2022年2月24日木曜日
コンパクト構成ながら多彩で見応えあるガラ Kyoto Ballet Gala Special 2月19日(土)《京都市》
2月19日(土)、ロームシアター京都にてKyoto Ballet Gala Special を観て参りました。
http://www.kyoto-ballet-academy.com/a_ballet.php
http://www.kyoto-ballet-academy.com/upload/a_ballet/1638416121_1.pdf
京都バレエ団のダンサー、そして京都バレエ団と所縁の深い方々集結しコンパクトな構成ながら趣き様々な作品で楽しませてくださいました。
幕開けはショパンの軍隊ポロネーズで全員が登場。『ショピニアーナ』の序奏として演奏される、景気付けにも良さそうな勇壮な曲調でございます。
トップバッターはゼンツァーノの花祭り。京都バレエ公演での『くるみ割り人形』での気高く馨しい金平糖の女王が今も尚印象に焼き付いている
北野優香さん(京都バレエ団)の村娘役を初めて拝見。おっとり柔らかく丁寧な踊り方で魅せ、振り返るときのふわりと香る余韻に至るまでも美しや。
長谷川元志さんとも波長が合っていて、無背景であってもお花畑が見えたのは(これ大事)お2人が互いを思いやるように優しく物語を紡いでいたからこそでしょう。
『ライモンダ』よりパ・ド・ドゥは鷲尾佳凛さん(有馬バレエでバレエを習い始めジョージア国立バレエにて活躍後2020年より京都バレエ団に拠点を移されたとのこと)と
佐々木夢奈さん。演目柄どうしても目を光らせてどころか抜粋であってもジャンのマント姿が絵になるか
生死のかかった大試練を乗り越えた2人に見えるか、と爛々として観てしまうのですが
佐々木さんはきりっとゴージャスな華を広げるようなダイナミックな踊りに引き込まれ、衣装が少々ガムザッティ寄りにも見えた気はしたものの
(頭飾りは冠に豪華なヘッドドレスで中世ヨーロッパの姫らしい風味あり) 仮にグラン・パ・クラシックの面々を従えていても頭一つ抜けた存在感で牽引なさると想像できます。
鷲尾さんは昨夏東京の新国立劇場におけるバレエ・アステラス2021での初日、研修生演目3本カットである旨の開演直前告知によって
まだ観客も動揺が隠せない重たい空気の最中、登場が急遽最初になりながらも優しい雰囲気を湛えて『コッペリア』を披露し
観客をリラックスさせてくださったお姿が忘れられず。またアステラス2日目のランゲデムが観客を市場に来た人々に見立てて賑わいへと雄弁に誘い込み
カーテンコールやフィナーレにおいても全幕を観ているような気持ちになった記憶も新しいところです。
貴公子系の役は初見で、アステラスでのインパクトに比較すると手堅く抑えめだった印象もありましたが
しなやかな技巧を散りばめながら佐々木さんと力強く盛り上げていらっしゃいました。
第1部最後はブルノンヴィル版『ラ・シルフィード』より、コール・ド付きでのパ・ド・ドゥ。
シルフィード役の前澤芽依さん(京都バレエ団)が優美で脚捌きも軽やか。意思をはっきりと示す仕草もいじらしく映って妖精達を率いるリーダー格もあり。
ひょっとしたら1番の話題であったかもしれないジェームズには二山治雄さん。ローザンヌ入賞直後の2014年春のPDA東京公演以来の鑑賞ですから約8年ぶり。
細い身体の中に強靭なバネが宿っているのでしょう。一見華奢ですが跳び上がると繰り出されるパワーに驚かされました。
なかなか観る機会のない『ラ・ヴィヴァンディエール』を鑑賞できたことも嬉しく、主軸を踊られた梅本悠羽さん
(京都バレエ専門学校を首席で卒業後スターダンサーズバレエ団ジュニアカンパニーに入団)の
ゆったりめの曲調であってもぐらつかず安定感のある技術、村娘な衣装の可愛らしい着こなしにも和みました。
京都バレエ団、京都バレエ専門学校生からなる4人の女性ダンサー達の息もよく合い、中盤の全員で脚を各々高さを変えて上げる千手観音風のポーズも綺麗に静止。
『海賊』第1幕より奴隷市場のパ・ド・ドゥは牧阿佐美バレヱ団の光永百花さん(京都バレエ専門学校出身)と石田亮一さん。
光永さんは楚々とした悲しみ漂うグルナーラで淡い紫や青を重ねたチュチュもよく似合い
石田さんは奴隷商人にしては随分と品がありましたがすらりとした上背で光永さんとのバランスも良い印象です。
大トリは藤川雅子さん(京都バレエ団)と山本隆之さんによるTHE MAN I LOVE。照明が一転して満天の星々が瞬く夜空へと変わり
リフトからの降下の僅かな箇所に至るまで絡み合ったものがするりと解かれるかの如く滑らかさが宿って
手を取り合って見つめ合いながら佇む場は下手すれば時間を持て余してしまうわけですが、いつまでも浸っていたくなる静けさに溶け込む余韻にもうっとり。
大人の芳醇な色気と香りが広がっていたのは明らかです。女性はピンク色の膝上くらいの丈のワンピース風衣装で男性は上下黒で
シンプルながらいたくスタイリッシュ。この数分のみ、摩天楼が光り輝くニューヨークのブルックリン辺りに身を置いた気分で鑑賞いたしました。
フィナーレは『威風堂々』にのせて出演者総登場。演目数は少なかったものの多彩な作品や近年はお目にかかる機会が滅多にない作品も揃い、見応え十二分。
特に今回は東京にて鑑賞予定であった公演の突如の中止告知が前日になされた翌日でもあり、出演者の皆様が心の隙間を優しく埋めてくださった気がいたします。
最後に登場された代表の有馬えり子さんの嬉しそうな笑みからも、観客の前で披露開催ができて良かったと心底思えたのでした。
ロームシアターは京都会館時代も含めれば3度目の来館ですがサウスホールは初めて着席。
2階席で鑑賞したところ段差が急で階段は慎重な歩き方が求められますが、その分どの席からも見易そうな印象を持ちました。木目調の座席も腰掛け易く綺麗な内装です。それから京都弁、全く話せぬ東京人による呟きをこの場ではお許しください。
やはり舞台は生が良いどすえ。
※今回はガラでしたが京都バレエ公演の中でひときわ印象に刻まれているのは2018年『京の四季』と『屏風』の2本立て公演。
生け花との共演で着物とチュチュ両方を取り入れても繊細な美しさが彩る四季の移ろいに魅せられた前者、
冷徹さや恐怖を一層引き立てるサティの音楽が見事なまでに怪談に嵌っていた後者、と衝撃の2本でございました。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2018/11/httpwwwkyoto-ba.html
以下、ひとまず写真何点か。その他の写真等はまた後日、ワクチン3回目接種日までには少しずつ掲載予定。
さて、今回の京都滞在は当初は2月19日(土)、20日(日)の1泊を予定しておりましたが、
2月18日(金)に行われる東京での新国立劇場バレエ団吉田都セレクション舞台稽古見学会に当選。
それならば金曜日休暇を取り、見学会終了後そのまま京都入りして美味しい夕食を味わっておこうと2泊3日に変更。
但し、1月末の新国立枚方公演の本番2日前に中止告知の例や、1月半ばのニューイヤーバレエにおいては本番は無事開催できましたが
見学会は前日の15時か16時頃に非公開の連絡が対象者に渡っていた例もありましたので直前まで待とうと様子をうかがい
枚方とは異なりセレクションは本拠地公演ともあって本番1週間前から直前にかけてメディア掲載情報更新や
なぜだかアラジン財宝の洞窟場面のルビー限定(私は歓喜したが)リハーサル映像アップと
順調に準備が進んでいると捉えておりました。
そして見学会の2日前の夜にまずはホテルを2泊3日で予約。新幹線は時間の融通がきくよう自由席にし、見学会前日に購入。
見学会前日の18時、19時と連絡は無くさあ予定通り公開、本番も開催と安心しきっていた矢先の20時30分過ぎに着信。予感は的中し、見学会は非公開に。
ホテルは2泊分決済済み予約でしたがこれはもう仕方ないと思い、予定を早めて白昼から東京を出発。
本番はどうか開催をと願いましたがそれも束の間。13時過ぎた頃、中止の発表を新幹線の車内で読んだ次第。
そんな経緯から、いつもは切り替えが早い管理人も今回ばかりは気持ちが沈んだままの京都入りとなり
到着時は晴天にも恵まれていながら行動にも至らず、まだ日が昇っている最中での夕食後はチェックイン時刻すぐにホテル入りし大浴場でしんみりでございました。
しかし翌日以降は救い、励ましにもなる滞在でございました。
諸々長くなりましたが以下写真多数ございます。忍耐力がまだ持ちこたえそうな方はどうぞご覧ください。
ホテルから徒歩10分程度のところにあるコーヒー店アストレア。苺とクリームチーズのホットサンドがまろやかさと甘酸っぱさの比率が良く、美味しい。
抹茶が濃く苦味も強い抹茶ラテも味わい深し。
清水寺。宿泊先から徒歩約30分、雨予報は出ていましたが午前中は雲間から光が射す、歩きやすい気候でした。午前9時過ぎでも人通りがまばら。
10年ほど前に、拝観時間開始直後の朝の6時に訪問したときと同じくらいかと思います。
このご時世ですので、朝10時過ぎ頃でも空いていました。時代劇のセットを見学或いはタイムスリップした心持ちとなり
お侍さんが颯爽と歩いているまたは悪党退治のため全速力で突っ切っていく姿を想像。
お店の方曰く、以前は写真を撮っても人の頭しか写らなかったほど賑わっていたようです。
ジブリグッズを扱うどんぐり共和国、京都にもございました。町家風の建築で街に溶け込んでいます。
トトロのぬいぐるみを購入し、マイバッグ、ならぬマイ風呂敷に包んで愛おしそうに手に持って歩くお侍さんが目に浮かびます。
裏側の入口には、トトロに登場する井戸やバス停もございます。
何度か京都を訪れていながら湯豆腐をいただいたことがなく、歴史ある総本家ゆどうふ 奥丹清水へ。
おきまり一通りをいただきました。澄み切った熱さが身に沁み渡ります。庭を見渡し、時折鳥のさえずりが音楽として耳に入ってくる静かな空間でした。
12時頃ホテルに戻り、その後暫くすると予報通り降雨。会場へ向けて出発する16時頃までは室内のテレビで動画鑑賞しておりました。
最近できたホテルでテレビ画面が大きく、画質も綺麗。複数の動画サイトも視聴可能。
京都に来てまで何をしているんだか、と思われるのは重々承知しておりますが、前日に発表された新国立劇場バレエ団2月19日(土)、20日(日)、23日(水祝)の
吉田都セレクション全日程中止のショックをこのときはまだ引き摺っており、新国立バレエやオペレッタ『こうもり』演奏会映像を視聴せずにはいられませんでした。
五輪のフィギュアペアやカーリングもこの画面で視聴できたのは嬉しいことで、インテリアの和風なランプも素敵でございます。(ああ、アラジン涙)
ちなみにお風呂はバスとサウナの2種あり、男女日替わり制。バスは所謂大浴場で、浴槽の上からほんのり神秘的な水色の照明が射し込む作り。
何かで見た記憶が過ぎり、そうです。こちら京都府ご出身で現在新国立劇場バレエ団ファーストソリストとして活躍中の木下嘉人さん振付『人魚姫』の照明を彷彿。
この作品は昨秋の中劇場公演にて初演され、そしてファン投票で選ばれ吉田都セレクションにてオペラパレスでも上演予定でした。(ああ、人魚姫)
大浴槽の中央に浸かって揺らめく水色の光を浴びていると、気持ちだけは人魚姫。しかしのぼせないよう気をつけましょう。
フラリとしても、王子はおろか誰も支えに来てはくれません。これが現実。
終演後、ホテルに戻り、1階にてハイボールで乾杯。
ホテルでの朝。勝手に名付けた、京都でニューヨークな朝食。朝食つきプランではなかったため別料金を支払い帰りの朝、いただきました。
サーモンベーグルとアボカドマフィン。自家製レモネードがきりっと酸っぱさがあり目覚めにぴったり。
サーモンベーグルは写真で目にしたときから食してみたかった一品でございます。
そういえば、Who care's?は関西の発表会であったか、一度しか観たことがなく(似通った作品は各地で観ているが)本家の舞台でも観てみたい。
ポークとチーズを挟んだホットサンドと卵サンド。サンドイッチとレモネード、美山産ソフトクリームは注文制。
サラダやスープ、デザート、コーヒー紅茶はセルフサービス。どれもおかわり自由です。種類こそ多くはありませんが、全部制覇。
(中高年のいずれかに達しても我が胃袋はよく働いてくれております)
パッケージも艶やかな和の美、京(みやこ)紅茶。ああ、セレクション涙。
アイスティーの香り高さ、味の濃さが誠に好みで、茶葉の種類が気になるところ。
帰り道、京都タワーを眺めながら徒歩で京都駅へ。このあと新幹線でそのまま東京の初台へ直行、の予定を変更し墨田区のスカイツリー周辺へ。
東京での公演中止の悲しみを引き摺ってしまった感もあり、またゆっくり観光はせずの帰京となりましたが、西の都の滞在に救われた思いでおります。
さらば京都、また会う日まで!!
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