2021年3月3日水曜日

代替演目とは思わせぬ新鮮味を示した監督の手腕 新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』2月20日(土)〜2月23日(火)




2月20日(土)〜2月23日(火)、新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』を計4回観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/sleepingbeauty/

2月20日(土) オーロラ姫:小野絢子
デジレ王子:福岡雄大
リラの精:木村優里
カラボス:本島美和
フロリナ王女:池田理沙子
青い鳥:奥村康祐

2月21日(日) 13:00
オーロラ姫:木村優里
デジレ王子:奥村康祐
リラの精:細田千晶
カラボス:寺田亜沙子
フロリナ王女:柴山紗帆
青い鳥:速水渉悟

2月21日(日) 18:30
オーロラ姫:米沢 唯
デジレ王子:渡邊峻郁
リラの精:木村優里
カラボス:本島美和
フロリナ王女:池田理沙子
青い鳥:奥村康祐

2月23日(火・祝)
オーロラ姫:小野絢子
デジレ王子:福岡雄大
リラの精:細田千晶
カラボス:寺田亜沙子
フロリナ王女:柴山紗帆
青い鳥:渡邊峻郁


※キャスト詳細は何処かのタイミングで明記予定。
※感想の続きは随時書き足して参ります。この1週間程度は内容追加が頻繁に発生するかもしれませんが、相変わらず更新が遅い点及び無責任な性分をお許しください。
※新国立劇場2021/2022バレエ&ダンスシーズンラインアップが発表されたばかりですが、『なまさだ』のさだまさしさんもびっくりであろう、
当ブログ恒例次シーズンの演目についてのあれこれ身勝手な語りは来週末あたりに行う予定でおります。
(ひとまず一言、大晦日も正月もオペラパレスフル稼働。オペラシティのHUBさん、正月に営業していたら箱根駅伝放送なさるだろうか。
時間帯からして直前にゴールを見届けから会場入りも夢ではない、そして管理人、ぐうたら正月とはおさらば笑)


小野さんオーロラ姫は幕ごとの闊達、静寂、威厳、それぞれの色味の体現に目が眩む変わりよう。
1幕は勿論気品はあるのだが大人しく読書や刺繍を趣味としてはなさそうな笑、両親もちょこっと手を焼く常日頃から宮殿の裏山を動物達と駆け回っているお転婆娘と想像でき
表情は満面の笑みを湛え脚捌きが素早く音楽に軽やかに乗り、王子達を見つめる目も天真爛漫で好奇心旺盛。
幻影では翳りと静けさを秘めた近寄り難い存在を示し、消え入るかいないかの瀬戸際を彷徨う神秘性を柔らかに表して
3幕の荘厳な姫たるや厳格なポジションを保ちつつも黄金オーラを放つ姿に恐れ入った次第。
オーロラの幕ごとの変化においては毎回鮮やかに見せてくださっている印象がありましたが、以前にも増して前へ前へと全身が歌うように躍動する姫君でした。

木村さんは主要キャストの中で最たる過酷日程であっただろう事情を全く思わせぬ力演。
登場時これまでは時々苦手な様子も覗いていた速い曲調にも軽やかに乗って手脚を持て余さず愛らしさ全開で
両親に駆け寄っては促されて王子達のところへ進み行く恥じらいの所作も自然に映り好印象。
ぼやけがちで魅せることが難しい幻影の場も、これまで以上にメリハリに富んだ踊り方となり、されど儚い美もしっかりと表していて
王子が追いかけたくなる行動に説得力を持たせていました。
結婚式における厳か且つ雅びやかな踊りも宜しく、目に見える深化に拍手です。

心技体全てにおいて充実の極みを迎えたであろうと思わせたのは米沢さん。
登場時の素早いテンポのソロからして正確で細かな、且つスケールのある踊りで可愛らしく魅了。
中でも息を呑んだのは2幕で、これ以上にない淀みない滑らかさで寸分の隙も無し。踊り1つ1つで語りかける流れを生み出し
静けさの中にもちょっとした顔の向け方や指先の仕草から王子に救いを求める感情もそっと覗かせていて表現も秀逸でした。
思わず息を止めてでも集中して見入ってしまう、繰り出される尊いまでの厳格な美の連鎖にも痺れ、
クラシック・バレエの教則本のようなお手本から煌きが放たれているかと見紛う3幕でした。

福岡さんのデジレ王子は出から他の者とは生きる次元が異なる身分を示し、真っ直ぐ見据えながら歩く姿も格高し。
帽子は最初から被らず脇に抱えていたと記憶しており(渡邊さんは被ってご登場。各自に任せた表現なのでしょう)
福田紘也さん務める知人ガリソンへの目隠し鬼命令も突き刺すような指示が大胆で、ほんの短い場面でも間の取り方、やりとりも面白みがありました。
3年前の眠り公演では小野さん福岡さんペアにしては珍しく3幕でひやりとする箇所がありましたが、今回は大盤石。
長年看板ペアとして再演演目ではより新しい魅力を出さねばと殊更重圧もあると思いますが、
香りが立ち上がるような高さのあるリフトや等間隔移動も見事でございました。
ただ私が単に何度も観ているためか、そろそろ違うペアでも各々観てみたい欲も益々募り、とりわけ木村さんと福岡さんが初ペアで主演臨む『コッペリア』は楽しみです。そしてソネットや、主演同士ではないが
『ロメオとジュリエット』でのジュリエットとパリス、『マノン』でのマノンとレスコーで互いに魔物が潜んでいそうな危うさをほのめかしていた
小野さんと渡邊さんの再びの共演も期待が高まり、軽妙な表現とはまた違った方向へ走りそうな予感大ですが笑
小野さんスワニルダと渡邊さんフランツにも注目したいと思っております。

代演とは信じ難く好調であったのは奥村さん。一時期よりも登場オーラや求心力が強まり、堂々と歩いて伯爵夫人に近づく姿から
直前から急ピッチで仕上げたとは思えぬ安堵感すら与えていました。
表現も奥行が広がり、基本人々とはにこやかに応対しながらもふと物寂しそうな表情へと変わりその対比をはっきりと示し、
リラに対して自身の身の上を語る様子も雄弁。オーロラに出会い、イーグリングさんお好みな笑、連続リフトも浮遊させるように決まった上に、
アダージオでも木村さんとの身長バランスが全然気にならなかった点も驚き。立ち位置や見せ方の工夫もあったかと思いますが、
むしろお伽話の姫と王子な見栄えがぴったりですっかり見惚れてしまったのでした。
3幕のヴァリエーションはいつにも増して勇ましく気品に豪快さも加わって6月の『ライモンダ』も期待が高まり、頼りになる騎士となりそうです。

渡邊さんは悩める姿からのソロや心情変化の表現が傑出。少々神経質そうな、時代は後になるがロダンも彫刻も驚愕するであろう
悩み始めるとじっと考え込んでしまいそうな憂愁を帯びた表情から吐露するように身体で語り、憂鬱な感情を広げていくソロも秀逸でした。
貴族達とのやり取りも会話が聞こえてくるような様子で作り込みが細かく右往左往だけの狩にならず、遠い目をして物思いに耽る姿の美しいことよ。
(この姿を眼前で観たいがために、3年前の千秋楽と同様執念でチケット購入、結果前回と似た席となり万々歳)
オーロラの幻影に恋せずにはいられない心の内や徐々に近付いてそっと触れていく過程も丁寧な描写で説得力があり、
演出の都合上リラのお膳立てで王子殆んど戦わず剣で2回茨をツンツンしてカラボス打倒はどうも納得し難いはずが笑、
この王子ならば愛と恋の力が増大で自ずと姫を引き寄せた結論が自然と浮上いたします。
威風堂々たる3幕のパ・ド・ドゥは王家の栄華そのもので、古風な和顔が髪の結び目にリボンを留めた西洋貴公子も絵になる不思議な魅力に夢見心地の極致でございました。
さて久々に行います、髪型考察。前髪を少しボリュームを出して固め、パックリ七三にならず自然な纏まり具合でリボン効果もあり、二重丸を掲げた次第です。
オーロラを起こすとき、布団をがばっと剥がさずにまずは気持ち折り曲げていた点が医師の回診にも見えかけ、ツボでした。
(福岡さんは一気に外していらして、各自に任せているもよう)

今回の最たる驚き収穫は木村さんと奥村さんの相性の良さで、急遽且つ初組み合わせとは思わせぬ、美しい純愛物語を描画。
目覚めにおける、夢うつつ状態からまだ抜けず互いにぼんやりした状態から
じっくりと愛を確信していく流れが音楽と優しく溶け合い何ともロマンティックで
2人の並びも麗しくお伽話の絵本を捲りながら眺めている感覚を与え、2018年夏に貝川さん振付作品『人魚姫』で八王子にて主演されていますが
新国立での他の全幕作品でも観たいペアであると声を大にして申したい限り。
夜公演に備えて気楽に観ようと鑑賞に臨むはずが全くそうはさせぬ、脇のフレッシュ感も含め鮮烈な驚きや歓喜に沸く昼の3時間半で
急遽の主演ペア公演を支え応援しよう、そしてこれまでには考えつかなかった組み合わせを見届けようと
舞台上と客席双方の集中度、熱量が恐ろしいまでに高かった印象です。

そして、様式美をひたすら貫く作品であるが故にドラマ性が生まれにくい印象の先行を覆したのは米沢さんと渡邊さん。
2幕にて序盤から磁力にように惹かれ合っていき、緻密なドラマを重ね塗りしていくかのように舞台に厚みが加わっていったのは明らかです。
目覚めでは目が合った瞬間から互いに確信をし合っていた様子で、余りに晴れやかな変容であったため太陽とニワトリ達が祝福する絵が浮かんだほど。
例えが宜しいか否かではございますが、高級家電ダイソンの掃除機よりも(管理人、家電量販店での勤務経験が有りおかしな例えをお許し願います)
遥かに吸引力がありそうな渡邊さんの力強い瞳がにこりと姫を見据え、どぎまぎするように米沢さんが蕩けるような表情で見つめる視線の交錯が
一気に恋が上昇するような喜びが零れていた印象。米沢さんが音楽の抑揚と渡邊さんに恐れず身を委ね幸福を高らかに歌っていた姿も忘れられず。
他の版でよく見られる、ファンファーレな目覚めも好む身からすると当初は唐突にも思えていたこのパ・ド・ドゥでありながら
今回は挿入効果をどのペアで観ても身に沁みて感じましたが、米沢さん渡邊さんは特出していた気がいたします。
驚きは3幕のグラン・パ・ド・ドゥでも続き、戴冠式(友人の表現を拝借)のような厳粛と華麗さが凝縮した世界が出現。
お2人が更に上へ上へと目指し徹底して作り上げたのは想像に難くないパ・ド・ドゥのフォルム、立体感、厚みが
重厚濃厚な舞台美術と新郎新婦の淡泊な白い衣装とのアンバランスな条件すら忘れさせる、目と心を震わす完成度でした。

木村さんのリラの精は昨秋の札幌公演時にも益々の貫禄の表れに驚かされておりましたが、今回は更に迫力増強。
本島美和さんカラボスといよいよ互角な対決で、並んで立っても遜色無く、また力任せに対決ではなくきりっとした強さと揺るがぬ優しさを合わせた対抗を見せ、
個性豊かな妖精達を従えた姿も背中から頼もしさが伝わりました。

完成され過ぎた感すら漂っていたのは細田さんで、抑制を効かせつつも音楽を奏でるような磨き込まれた踊りで会場を優しさで包んで満たし、
非の打ち所が無くもはや天女のような存在感。マイムの美しさにおいてもここまで魅せられる方には滅多にお目にかかれないと思わせる出色ぶりで
カラボスからぶつけられた怒りや憎悪はしなやかな優しさで撥ね退ける芯の強さも感じさせ、手を合わせて拝みたいリラでした。

初演から務める本島さんのカラボスは年々恐ろしさと美が増強。押し出しが強く瞬時に黒の世界に染める圧巻のオーラは勿論
恐怖感1つとっても様々なエッセンスを放ち、艶かしい笑みすら漂う高笑いから本気でおっかない凄みまで、変幻自在。
マイムから視線の運び、踊りに移る間合いも絶妙で魔力に平伏すしかなく、
リラと王子に倒されても何処かでしたたかに怨み節を唱えながら生存していると想像いたします。

初挑戦の寺田さんは冷徹さを醸しつつ突如悍ましさを表出する突拍子の恐怖感を与えるカラボスでこれはこれで恐ろしや。
蜘蛛の乗り物から降りて前に進み出る箇所では最初はすうっと冷たさを帯びていたかと思えば突然ニカッと表情が一変し、
予期せぬ変わり様もまた不穏な状況を増幅。本島さんとはタイプが全く異なる、冷ややかな妖しさ美しさが宿っていました。
2幕で正体を現した際の蜘蛛巻きが初回順調に行かなかったのはそれだけ扱いが難しいのでしょう。
2回目は蜘蛛の巣と共に怨念をこれでもかと放っていて悪役であっても無事を祝してしまったのは、
寺田さんの初挑戦を讃えたい気持ちが先走ってしまったためかもしれません。善と悪、両方できるのは強みです。
そして細田さんのリラと寺田さんのカラボスによる同期美女対決も夢の競演。
対峙や横並びの場面は、コール・ドとして入団された2005年から観ている者としては胸熱き瞬間でした。
いつか逆キャストで寺田さんリラと、インタビューでもカラボスを踊りたいとしきりに語っていらした細田さんカラボス対決も観たいものです。

プロローグ妖精ソリストがフレッシュなキャストも組まれたのは喜ばしく、監督の適材適所な采配が当たっていた印象。
中でも木村優子さんのにこやかな立ち姿、中島春菜さんの大らかな踊りが印象深く、また既に妖精の経験者でも違う役目の妖精であったりと
意表を突く配置も新鮮。小柄なダンサーが務めるイメージがある歓びの精を背の高い廣川さんが溌剌とダイナミックに踊ったり、
まさにパン屑をゆったりと振り掛けているような手の揺らめく動きも目を惹いた池田さんの寛容の精も好演でした。
一斉にがらりとは入れ替えず少しずつの若手投入の動きは嬉しく、この演目においては新国立でのセルゲイエフ版最後の上演であった2007年2月、
当時入団から約1年半のコール・ドであった寺田さんが抜擢されていた日が思い起こされます。
モンチッチと呼ばれ皮肉られていた笑、奇妙な鬘もロシア人と張り合えるレベルでお似合いでした。

フロリナ王女と青い鳥はどのペアも魅力が開花していましたが千秋楽の柴山さんと渡邊さんが持っていきました。
柴山さんは明瞭正確な技術で魅せるにとどまらず表情の付け方や以前よりも晴れやかさも増して会心の出来であった印象。
渡邊さんは踏切を感じさせぬ跳躍がふわりと弧を描き、双眼鏡を手にして眺めていると舞台鑑賞ではなく野鳥観察に来た感覚を呼び起こさせたほど。
(初台青い鳥の会か。ちなみに管理人愛用の双眼鏡は自宅に40年近く前から家族が所有していた本来は野鳥観察用らしい)
この作品における数ある不思議な衣装グランプリは決定であろう布地予算不足或いは材料誤発注とも疑いたくなる
透け透け鯉のぼりな爆死衣装でも原作のシャルマン王を彷彿する高貴な鳥で、時には誤解も生じつつ長年に及ぶ試練を乗り越え結ばれる
原作の物語がそのまま重なる、睦まじい語らいが聞こえてきそうな好ペア。札幌公演に続き心から満喫です。

赤ずきんには赤井さんが初挑戦。狼に怯えつつ、技術達者でサクサクと刻むエシャッペからふわっとポワントで立つ力みの無いバランスも爽快。
それから札幌と比較し大挽回したのは速水さんのゴールドで、冷や汗物のサポートが随分と改善され一安心。
ヴァリエーションも滞空時間が長く伸びやかで音楽をたっぷりと使っている点も好印象でした。
前髪のメッシュは相変わらず気になるが、チャームポイントとして捉えておきます。

全日貝川さんの国王は場をぐっと締め且つ平和な空気感を与え、プロローグはまだしも、その後の王家衰退を予見していたかと疑念を抱かせる
打倒王朝カラーな三色配置の変テコな1幕の衣装も、3幕は孫悟空な王冠と青い上着もさまになる救いっぷり。
太陽のような晴れやかな輝きで包む本島さんと、月のような涼やかな美をもたらしていた関さん両王妃とのやりとりも
額縁におさめたくなる宮廷画でした。本島さんは21日昼公演、急遽のペアであった木村さん奥村さんによる結婚式のパ・ド・ドゥが無事終わると
本気で緊張が解けたのかカタビュートにもしきりに語りかけ、人間味豊かな王妃の一面を覗き見た思いでおります。

ドイツ、ロシア、イタリア、スコットランドの4人の王子は貴重なセンス良き衣装で笑、繰り返しになりますが華やぎを備えつつ東洋人にも似合うデザインに2014年の初演時から注目。
特にロシアの中家さんが頼もしく、初日ローズアダージオにて小野さんが終盤に落としてしまった薔薇を中家さんさらりと拾って腰に挿し好対処。
時間を戻しまして、我こそ先にと姫と最初に踊る順番をドイツ王子を押しのけて前に出る箇所も立ち振る舞いが堂々と映りました。
王子達は入場時や姫を巡る競争心からしばしば互いに会話を交わし
何語で話しているか気になるところですが、全員フランス語の教養はあるのであろうと勝手に判断しております。
ただ再三の話になりますが、4人の王子で生涯忘れないであろう夢舞台が2017年公演で、白い羽やフリルが似合う井澤駿さんのイタリア王子と
韃靼風の衣装にやや切れ長の目元をした容貌が笑ってしまうほど自然な絵となり、馬に跨り草原を駆けて来たであろうと容易に想像がつく
渡邊さんのロシア王子の並びが強烈で、金閣寺と銀閣寺が同時出現したようなオーラに大興奮。
欧米のバレエ団でも求婚者のお国柄衣装がここまでさまになっている並びは未だ目にしておらず
この年の眠りは全公演求婚者達が入場する花のワルツ中盤からローズアダージオでエネルギー消耗していたとは言っても過言ではありません。
(何と言っても、渡邊さんが全日程ロシア王子であったのだ)何しに初台へ通っていたかとのご指摘は受け流します笑。
当時は周囲には殆んど打ち明けておらずひっそり黙って連日目を心臓印にしていたわけですが、再びの実現、まだ諦めておりません。

2014年の初演からかれこれ20回以上観ており目は慣れてきたものの振付からしても揃って一斉跳躍そして着陸とブルーインパルス(名付けは友人、リラ並に名手)な
カヴァリエの青やプロローグ妖精ソリストがティアラと胸元の色以外は皆一色である点を始め毎度突っ込みどころ満載な
不可思議衣装博覧会であるかの如く要改善衣装多数ですが、緊急事態宣言下において、22時近くに終演する夜公演も含め全公演完走できたのは大きな喜びです。
観客は定員50%制限がかけられ、S席を中心に販売していたのか1階はほぼ埋まっていましたが2階、3階席は寂しく、
初日の3階は中央ブロック中心に集約され約25名で売れていない公演のような物寂しさがあったのは否めません。
状況を察すれば仕方ないことですが、売ろうと思えば人気演目ですから完売に近い売れ行きであったと思うと、やるせない思いが残ります。
また今シーズンは眠り全幕は札幌公演のみの予定で、2月のトリプル・ビル 吉田都セレクションの代替として上演。
しかし思わぬ珍しい主演ペア誕生や三大バレエでは初めて組むペア、フレッシュな脇のキャストなど新発見の連続で
幻影のコール・ドもただ揃うだけでなく身体の角度や使い方、顔の向け方にも監督の指導が更に行き渡ったのでしょう。
より穏やかな息遣いが感じられ、花のワルツは人数少なめの構成ながら1人1人が一層大きく見えた点も喜ばしい収穫でした。
変更発生が当たり前になってしまったシーズン始動以降も 屈するどころか良き方向へと舵取りしてくださっている
吉田監督の手腕が今後も格段と楽しみになった、代替演目とは思わせぬ初台での眠り全幕でした。

※冒頭でも記した通り、また思い出したことがあれば随時書き足して参ります。
この1週間程度は内容追加が頻繁に発生するかもしれませんが、相変わらず更新が遅い点及び無責任な性分をお許しください。





幕間、マエストロで食した苺ミルフィーユ。生クリームとカスタードクリームが挟まり、苺は瑞々しく品ある甘さが誘います。
ただし集中力を要するケーキで、ナイフとフォーク両方を用いて慎重に 切らねばならず、複数人数で行ったとしても
蟹と同じく自然と黙食です。(今のご時世ちょうど良いか)



公演前に乾杯。眠りですからロゼでございます。
夜のデジレ王子プロフィール写真、いつ見ても男前です(心臓印)。



前菜、薔薇にも見える酢漬けでございます。



ゴルゴンゾーラとほうれん草のスパゲッティ。森の中を彷徨うような色彩で濃厚なチーズクリーム、2杯目の白のスプマンテも進みます。



3度目の訪問、カレー店青い鳥。新国立劇場から頑張れば徒歩で行けるかもしれません。2017年以降初台で眠り全幕を観る時期に毎度訪問しております。
ちなみに1度目は2017年、主演以外の主要キャスト発表を目にし、なぜ青い鳥に名前が見当たらぬことに不満を覚え(身勝手で失礼)、
発表を目にした職場の前でがっくり肩を落としそのまま直行。ただ当時は秘めやかに虜になっており
周囲には殆ど明かしていなかった為、ひっそり慰めた次第。(関東にとどまらず関西、四国でも喋り過ぎているその後は如何なものか笑)
2度目は2018年、念願の祝・配役で喜び勇んで訪問いたしました。

お店のコンセプト解説文を黙読していると、陰と陽の意味合いが込められた料理法らしく、
眠りで陰陽と言えばそうです前回2018年公演時初日終演後に開催された、きものSalon × 京都きもの市場特別企画読者イベント。※当時の記録はこちら。
雑誌きものSalonでその年に着物モデルを務められた木村さん、渡邊さんをゲストに迎えたトークショーが開かれ、
木村さんの第一声がこの日6月9日(土)における陰陽に関するお話で、独創性に富んだ切り口に我々参加者一同
そして一番驚いていらしたのはお隣で話す番を待っていらした渡邊さんでしょう笑。
ああ返す返すも、昨年のアリスでは米沢さん渡邊さんを迎えた着物イベントが企画されていただけにうう涙。管理人、この先着物に縁はもう無いであろう。



薩摩芋のココナッツカレーと大根のココナッツカレーの2種盛り。スパイスの調合が体内に馴染み、すっきりとした気分になります。
青い鳥さんのぬいぐるみやプリザーブドフラワー内には青い薔薇と青い鳥。



千秋楽自宅にて、青い鳥記念に撮影と乾杯



吉田都監督は『眠れる森の美女』は非常に思い入れの強い作品と思われ、ゲスト出演された新国立劇場開場記念公演やその前年には日本バレエ協会公演にも主演し、
遡ればサドラーズウェルズ時代の来日公演ではオーロラ姫とフロリナ王女を
(英国ロイヤル時代もオーロラは多々踊っていらっしゃるかと思いますが来日公演では務めていらしたかどうか分からず知識不足ですみません)
更には、英国ロイヤルバレエ学校卒業公演ではフロリナ王女に抜擢され、大役を果たし高く評価された写真入りの記事はこちらの書籍『バレエクラス』で
何度も繰り返し目にいたしました。青い鳥はエロール・ピックフォードさん。「吉田都嬢」との翻訳が時代を思わせます。イーグリングさんが踊る『アポロ』写真もあり!
サドラーズの来日公演での眠り主演はちょうど私がバレエを観始めた頃で、来日レポート記事としてバレエ雑誌の巻頭カラーで大々的に掲載。
1980年代後半にヨーロッパで活躍する日本人ダンサーの存在に驚きつつ、3幕グラン・パ・ド・ドゥと金色の紙吹雪を浴びるアポテオーズ写真を何度眺めたことか。
ちなみに表紙右下は1989年の日本バレエ協会『ドン・キホーテ』写真で客演したABTのスター、シェリル・イエガーと
新国立バレエ次回公演ローラン・プティの『コッペリア』で指導来日予定であるフリオ・ボッカ。
まだ予断を許さぬ状況が続いておりますが、指導者の来日含め、バレエ団としての次回公演も無事完走できますように。

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