2020年6月10日水曜日

アリス事件ー下巻ー

今月に入って以降電車通勤者も増え、分散ではあっても学校の授業も再開されつつ
映画館や美術館図書館、習い事の教室なども制約を設けながらも営業再開の様子が伝わってきます。
映画館においてはパリ・オペラ座『真夏の夜の夢』や私も3月に鑑賞したダンスの饗宴、マシュー・ボーン版『ロミオとジュリエット』やロイヤルシネマシリーズ、
英国ロイヤル・バレエ団『ロミオとジュリエット』再映も始まりご覧になった方のご感想を楽しく拝読しております。
しかし管理人、映画においてはバレエ関連作品も多々公開されているにも拘らず未だ足を運んでおらず
平日の出勤はほぼ通常通りで電車利用は何ら問題ありませんが、3月中旬以降休日は自宅周辺徒歩圏以外には出向かぬ習慣が根付いてしまい
毎週末のように劇場通いしていた日々が遠い記憶状態でございます。勿論バレエ公演再開後は劇場へ足繁く通う予定でおりますが
『雄大の部屋』も終了し、まだ暫くの間の週末昼下がりは焙じ茶を飲みながらバレエ映像そしてサスペンスドラマの再放送を視聴する生活が続きそうです。

さて文庫本でもシリーズを度々読み、時刻表を用いたり目的地へのありとあらゆる移動手段を絞り出しては捻った経路を導き出したりと日本各地を巡る
旅情に浸れる作風や十津川警部と亀さんこと亀井刑事のコンビぶりも好みで先週末も毎度のように西村京太郎トラベルミステリーを視聴していたときのこと。
映し出された駅を見ると上野駅の公園口そして群馬県の高崎駅!前者は東京文化会館目の前の改札で下車回数は数知れず。下半期は可能なら何度も通いたい駅でございます。
後者は今年上半期の最後を飾る予定であった新国立劇場バレエ団『不思議の国のアリス』千秋楽の地であり初の群馬公演会場である高崎芸術劇場の最寄駅で
駅看板には群馬県のキャラクターぐんまちゃんが描かれご当地感も十二分。ちなみに舞台となった特急列車名は「あけぼの」で
『眠れる森の美女』や『コッペリア』を彷彿させ、一見バレエに絡みがなさそうな作品であっても常に身近にご縁のある芸術であると再確認です。

ところで事件と言えば、今年の年明け早々に紹介したアリス事件ー上巻ー。早5ヶ月が経過いたしましたが
本来であれば初台にて連日『不思議の国のアリス』の世界に入り浸りな時期ですので下巻も綴って参ります。
身内絡みの話のためお急ぎの方は次回のお茶の間観劇更新をお待ちください。

遡ること2年前の11月、WOWOWのバレエ・プルミエールにて新国立劇場バレエ団によるアリス初演特集が組まれ放送されました。未加入のため複数の友人より
感想をお寄せいただいたりその後は録画を見せていただき(感謝)、自宅で堪能できた次第です。
主要な役を務めた4人のダンサーが出演し、アリス役の米沢唯さん、ハートのジャック役の渡邊峻郁さん
白ウサギ役の奥村康祐さん、ハートの女王役の本島美和さんが集まり、大貫勇輔さんと本田望結さんによる司会進行で楽しいお話が繰り広げられました。
各々のキャラクターになりきって1人ずつの登場で、放送当時は公演の終了後でしたので舞台を思い起こしながら鑑賞。
そして聞き取り調査を行ったお互い(1人のダンサーの対して他の3人がそれぞれ回答)印象を大貫さんが発表なさり
米沢さんは鉄人(確か)、本島さんは女優、奥村さんは動物が似合い絵が上手(新国立画伯の先駆け)、渡邊さんは知的エネルギー溢れる真面目スーパージャンパーだったか
他にも多数の印象が語られていたと曖昧な部分もございますが記憶しております。

特に面白かったのが盛り上げ係なのか奥村さんのお話。渡邊さんに対して、見ての通り真面目であること。またスーパージャンパーだが
ジャンプが得意な人は割とちゃらんぽらんな人が多い!?と発言なさり笑、しかし渡邊さんは例外であると主張する奥村さんは跳ぶときの渡邊さんを
真剣な顔つきで(恐らくは奥村さんにとって精一杯の渡邊さんの顔真似であると思われる笑)「ウー、ッハー!!」な感じですと、椅子に掛けたまま口頭で再現。
この光景には隣で見ていた母も大笑いし、真面目なんだねえ、きっとお侍さんのような人なのであろうと捉えておりました。(間違ってはいないと思う)
映像は最初から一緒に見ており、渡邊さん登場時は名前の漢字が読めないとの一点張りでしたが(このときは字が読めない人)、
本島さんの美しさやハートの女王の嵌りっぷり、同年のNHKバレエの饗宴『くるみ割り人形』2幕にて
奥村さんのネズミ王がいたく気に入っていたため楽しいお人柄にも感激していた様子でしたが
すぐ近くにいる長女が同年の『眠れる森の美女』着物イベントへ出かけたお目当てとは知る由も無く
真面目ジャンパーを再現したウー、ッハー発言には笑いたい放題でございました。

最後視聴者に向けたメッセージとして、米沢さんの「新国立劇場は… … 初台駅のすぐ近くです」発言にも出演者一同笑い転げ米沢さんも壁側に逃亡笑。
我が家も笑いに包まれましたがただ笑っただけではなく、妹が東京都で最も交通の便が良好そうな学校の卒業生で
学校説明会に参加した際にもらった案内に最も目立って記されていたのが「アクセスナンバー1」の文字。
公立の進学校ですしそこまで強調せずとも入学希望者は集まるであろうと思うものの
妙に感心してしまった不動産業者の如き宣伝と米沢さんの思わぬ発言が重なる部分も大きく、勝手に親しみを感じていたのでした。
すかさず大貫さんが「雨に濡れずに行けます!」と救いの手を差し伸べ、番組終了。
再演のアリスは全公演中止になってしまいましたから振り返れば誠に貴重な映像と思います。

さて、事件は翌日に発生。前夜見たアリス特集が余程面白かったのか平日の慌ただしい朝にも拘らず、母が話題にしておりました。

「米沢さんの不動産屋さん発言面白かったねえ」
「本島さんは舞台でなくても美しかったねえ」
「ネズミの王様の人、良い人そうだったねえ」

(管理人の心境、あと1人!)

「あら、もうこんな時間」

(管理人、椅子からずり落ちた。母気づかず…)

まあ仕方ない。それに翌年1月は長女が目的は伏せたまま突如オペラに行くとの話に観たいと言い出し
藤原歌劇団『椿姫』初日を別席で鑑賞しテレビ放送も視聴。(放送録画を視聴時も字が読めなかったらしい)
加えて3月には『ラ・バヤデール』3月9日(土)昼公演を1階前方席で鑑賞し、ソロルも好印象だったようですし帰宅後にアリスや椿姫闘牛士を思い出したのか
字の難しい人だ!と繋がったもよう。今年に入ってからは配信の『ロメオとジュリエット』を通りすがりにチラッと見た程度でしたが
果たして記憶の片隅にあるのか分かりかねますが、まあ良いか。

そして本日は言いたい放題をお許しください。予定通りであれば本日6月10日は『不思議の国のアリス』東京公演日程で最も待ち望んでいた日でございました。
新国立ダンサーペア主演且つ2018年『眠れる森の美女』でも参加した、きものサロン主催のイベントに今回も参加予定でおり、
要項を目にしたときから着物や忍ばせる役柄、モチーフを考えていた管理人でございます。
舞台の余韻に浸りつつ花が咲き誇るお庭付きのまさにアリスが住んでいそうなお洒落な洋館を改装したお店にて食事を堪能しつつ、
また当日主演のお2人がゲストとして登場されお話を聞くことも心待ちにしておりました。ううう。
ただ忘れてはならないのは、参加予定者よりも遥かにお辛い思いをなさっているのは主催元の関係者やレストランの方々。
日程調整、お店の確保、参加者の募集や連絡に会の進行プログラム、料理のメニュー決めなど大型の催しですから企画の段階から大変骨の折れる作業であり
レストラン側はこのイベントにとどまらず結婚式や歓送迎会なども何件もの予約がキャンセルとなっていると思われ
誰が悪いわけでもなくお互い開催したい気持ちは山々ながら中止せざるを得ない事態にはお気持ちを察するばかりです。

長くなりましたが、ご参考までに2018年『眠れる森の美女』初日終演後に行われた着物イベントの様子です。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-1.html

参加者は約70名で筋金入りの新国立ファンは3人。ゲストにとっても我々筋金入り!?にとってもアウェイ空間でしたが
(そして着物着慣れていないのは管理人1人であったと思うが)同じテーブルの日本舞踊好きな方々とも会話が弾み
何よりバレエの魅力を工夫しながら伝えてくださるゲストお2人のお話や目の前でのマイム再現にも感無量になった、和やかな雰囲気の催しでした。
時間を要するとは思いますが、再びこういった催しが開ける日が戻りますように。




偶然ですが、2018年『眠れる森の美女』着物イベント公演日は『不思議の国のアリス』バレエ団初演のチラシが初めて配布された時期でした。
薔薇の花が重要なポイントであるのは共通である点から、着物を入れて記念に撮影。気分だけでも本日に置き換え、想像を巡らせたいと思います。



当日に着用した着物の上前部分。レンタル店のホームページにて白地にピンク色の薔薇模様が視界に入り
イーグリング版『眠れる森の美女』のイメージに合うと即決でした。黒みがかった色彩は追ってくるカラボス!?

※次回はお茶の間観劇再開です。36年前の明日、つまりは1984年6月11日にメトロポリタンオペラハウスで収録された
アメリカンバレエシアターのミックスプログラムです。本日ジャック役で舞台にそしてトークイベントのゲストとご登場予定であった
渡邊さんが昨年のニューイヤー・バレエに向けて参考になさっていたとインタビューで仰っていたバリシニコフ主演の『レ・シルフィード』が収録されています。
バレエに興味を持ち始めた頃からかれこれ30年繰り返し観ている思い入れの強い映像でございますが、週末あたりをお待ちくださいませ。

4 件のコメント:

さくらもち さんのコメント...

今日は渡邊ジャックの初日、そしてきものサロンの日だったはずなんですね(しみじみ)
しかし30度超えの真夏日、マチネからディナーまで着物で動いたら辛かったかもしれませんね。
2年前は眠りの森の美女と着物のナゾ空間でしたが、トークショーは和やかで同席の方たちとも楽しい時間でしたよね。
新国立劇場ときものサロン、オペラは今までにもあったけれどバレエは初めてだったそうで、良い手ごたえだったからの今年の企画なのでしょう。
ただ、米沢さん渡邊さんコンビを狙ったせいでなのでしょうか、平日の観劇会、それも学生団体と着物の団体が同居する公演になったはずで(笑)
無理を通してくださったのでしょうかね、かなわなくて余計に残念です。
次の機会があるならまた渡邊さんの登場を待ちたいところです。
あと、単衣じゃなくて袷の季節にしてほしいです~ 手持ちのレパートリーが。
お似合いだった薔薇のお着物、写真を見せてくださってありがとうございました。

管理人 さんのコメント...

さくらもち様

こんばんは。左様でございます。渡邊さんいよいよ登場の日でしたよね。
予定では朝から着付けに行って、、、と空を眺めておりました(しみじみ)
前回も相当暑かった記憶がありますが、本日は真夏日で汗が止まらぬ1日だったかと想像いたします。

バレエをたくさんご覧になってはいない方も多数ご参加だったようですが
お2人のお話に惹きつけられて、そして京都きもの市場の社長さんの人気ぶりにも我々筋金入りトリオは驚いたり
同席の方々とも会話が弾みに弾んで幸せなひとときでしたよね。忘れられぬ出来事です。
会自体も大変好評でしたしまたバレエ観劇会開催の希望の声が上がって今年のアリスに繋がったのでしょうね。

思えば大勢の学校団体が入る平日の昼公演ですから、観劇会用の席確保も容易な道のりではなかったはずで
そういった主催元の奮闘経緯を思うと尚更中止は残念ですよね。
はい、きものサロンのモデルご出身者として渡邊さんのご登場をこれからも楽しみに待ちたいと思います!
雑誌のグラビア関係でもしお姿を披露されるならアイドル雑誌ではなく笑、
着物姿を拝見したいと願っていただけに
書店で格調高い着物雑誌を手に取ったときの喜びは今も脳裏を過ぎります笑。
朝ドラに違和感なく溶け込みそうなお姿ですよね。

>袷の季節にしてほしいです

着物も季節によって種類が全然違うのですよね。もう少し秋深まる時節のさくらもちさんのお着物姿にもお目にかかってみたいものです!

ピンク色の服は普段まず身につけることはないのですが、
2年前の、◯◯年ぶりに着た薔薇柄は我ながらよく見つけたと思っており
『眠れる森の美女』観劇会だったからこそ気分も高まって嬉しく着用できました笑。
恐れ入ります、こちらこそ前回の柄を眺めつつもし今年予定通り開催されていたならと
気持ちだけは華やぐイベントに傾けた日でございました。

ひふみ さんのコメント...

こんにちは。
何とも恨めしい想いのここ数日ですが、これは梅雨入りしたばかりの雨のせいだけではありません。
そうでしたか、10日に公演があれば、またあの美しい管理人さまのお着物姿を
見られたのですね、返す返すも残念でした。
もう2年前になるのですね、つい昨日のことのように思い起こされます。
また、来年にでも機会のあることを楽しみにしております。

管理人 さんのコメント...

ひふみ様

こんばんは。どんよりとした空、降雨が続きますね。
そして本来ならばこの時期は…と考えると鬱々とした気持ちにもなりますよね。
本日休日出勤であったため14時からの午後業務開始時はつい時計を眺め、開演を想像してしまいました。

はい、真夏日であった10日、着物での来場を予定しておりました笑。
私にとっては生涯に数回あるか無いかの頻度ですので心待ちにしておりましたが
またいつの日かと願っております!

覚えていてくださりありがとうございます。
2年前のあの日はひふみさんにも会場にて身に余るお言葉をいただき、
会場到着時にはボックスオフィスの方もお褒めのお言葉をかけてくださり
いつもとは一味も二味も違った大変嬉しく幸せな一日となりました。
成人式の日を含めて、あの眠り着物日の前にも後にも、道を歩いていて
見ず知らずの方に呼び止められ褒められたことはなく、生涯の記念です笑。
せめて心だけでも常に薔薇色でありたいと思っております(無理矢理な展開ですみません)