新国立劇場より、巣ごもりシアターシリーズとしてバレエは第3弾ケネス・マクミラン版『ロメオとジュリエット』が明日6月5日(金)14時まで配信中です。
https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017336.html
スパイスイープラスにて巣ごもりシアターの見どころを紹介してくださっています。
https://spice.eplus.jp/articles/270063
収録は2016年11月4日公演、主演は小野絢子さん福岡雄大さんです。
これからご覧になる方もいらっしゃることと思いますのでこの場ではあれやこれや語りはいたしませんが(但し自信はない)
第1弾の『マノン』と同じく著作権が厳しいであろう2本目のマクミラン作品配信に発表時は誠に驚きました。
劇場スタッフの方々の交渉の賜物そして事態が事態なだけにマクミラン財団側も許可を下したのかと想像いたします。大変嬉しい配信です。
この年の『ロメオとジュリエット』小野さん福岡さん主演日は1度しか観ておらず、また米沢さんムンタさん日を含む鑑賞した3回全て上階末端席でしたので
アップ映像で表情や装置美術の細部まで観察できるのは喜ばしいこと。映像ならではの魅力でしょう。
舞踏会にやってきた福岡さんロメオがジュリエットを見るなり、恋に落ちましたと言わんばかりのマスク越しでも火照った表情であった点や
娼婦長田さんの大胆で気風の良い踊りも懐かしく思い出しながら鑑賞いたしました。明日6月5日(金)14時まで配信中ですので是非ご覧ください。
以下はお時間の許す方のみお読みください。お急ぎの方は恐れ入ります、次回のお茶の間観劇まで今暫くお待ちください。
さて、本題渡邊さんのパリス。(主役やないねんとの突っ込みは流します)昨年2019年の小野さん福岡さん主演日にも渡邊さんはパリスを務められ
容姿は耽美な貴公子ながら3幕では約束が違うと怒りを滲ませていく表現が秀逸で腕組みした後ろ姿のみでも高圧的な態度に背筋を戦慄が走るなど絶賛いたしましたが
私の鑑賞眼の乏しさを物語る恥ずかしい話、同じ役柄であってもこの2016年公演当時は好印象一切持てず心にも響かずでございました。
当時の感想を前ブログで読み返しても、パリスについては出演者一覧の明記のみ。
茶髪が不自然に思え、また七三分けの髪型の古風を超えた不自然さが真っ先に目に飛び込んだまま
ジュリエットへの接し方云々に我が目が行き着く間もないまま終演。(当時の自身が恨めしい)
きちんとご覧になっていた方によれば小野さんジュリエットと米沢さんジュリエットに対してそれぞれ異なる役作りで臨んでいたとのちに聞いて驚きを覚え
気にも留めずにおり、また普段から醸す雰囲気だの打ち震わす表現力だの諸々連ねながらも結局は容姿、
しかも同一人物でも写真にしても舞台姿にしてもそのときによって脳内で気ままに印象を変化させている我が単純な性格を思い知らされたわけでございます。
公演映像配信開始早々、このときのパリスは好みではないと勝手過ぎる私の感想を知るお世話になっている複数の方々が
パリスの印象情報をノーブルで表情も素敵だから、訴えるものがあるからと文面にて送ってくださって
とにかく早う鑑賞するべきと助言をいただき、先週末に鑑賞した次第です。結果、正面から見るとどうしても先にも述べた
髪型メイク共に自然であった点も合わせて昨年の名演渡邊さんパリスと比較してしまいましたが
横顔、中でも1幕のジュリエットとの初対面時に手をそっと取って甲に口づけし、何か語りかけようしている高貴な表情や立ち姿にうっとり。
そういえば、偶々通りかかった家族も作品は知ってはいてもパリスの役どころを忘れていたのか
一瞬王子であると勘違いしたほどです。(そして我が家全員ファンである本島さんキャピュレット夫人を観るなり、ああ姐さんと大興奮笑)
そして舞踏会でのゆっくり優雅に滑らせるサポートにも見惚れ、3幕拒否の姿勢を崩さぬジュリエットに困惑と少し怒りも込められた表情で迫る姿
特に横顔の真剣な眼差しには予想以上に心臓を射抜かれました。
思えば1幕、結婚相手としてパリスに初めて会ったときのジュリエットは嫌がってはおらずむしろ興味津々な様子。
恥ずかしがって乳母のもとにすぐ駆け寄ってしまっても視線はパリスに向けられていたりと優しそうなお兄さんが突如目の前に現れ
驚きや喜びが交錯した状態で見つめていたのでしょう。この場面の小野さんジュリエットがいたくあどけない無邪気な少女で同性から観ても頬が緩みっぱなしです。
もしジュリエットがロメオに出会わずこのまま予定通りパリスと結婚していたら、両家の決め事であったとはいえ
兄のように慕う新婦と妹のようにたいそう可愛がる新郎の姿を妄想いたします。
そして可愛がるといえば、菅野さんティボルトがパリスと一緒にジュリエットを眺めるときだけは束の間の緊張中和時なのか実に仲睦まじい光景。
お互い親族関係になる将来を喜び合っているとも思えるほのぼのとしたやりとりでした。
この年の末頃に発売された『ダンススクエア』に菅野さん渡邊さんが対談インタビューで登場され、
前にも新国立ダンサーが掲載されていた旨は知っておりましたため試しに手に取り開いたところ
アイドル雑誌に団内でとりわけ似つかわしくないお2人の登場は違和感あり過ぎでしたが(褒め言葉)、個性の強い役も好きと語る菅野さんのお話や
チキン南蛮弁当の楽屋持ち込みを迷った渡邊さんのエピソードが思い起こされます。
本屋で雑誌を見つけたのが2016年末、この時点での渡邊さんに最も惹かれたお姿はおけぴの柴山さんとのシンデレラ初主演リハーサル写真で
パリスとは別人か!?と目を疑う大人の貫禄や渋めのオーラにほんの少しときめきましたが、
大晦日から数日後の衝撃お正月火の鳥事件勃発はまだ知る由も無いダンススクエア立ち読みでした)
話を戻します。全体を通して映像は既に2回は鑑賞しており、より胸を高鳴らせた大きな理由の1つがテレビ画面に映しての鑑賞であったため。
携帯電話上のYoutube等動画の画面をテレビに映す機械の購入については以前記事でも紹介いたしましたが、
新国立劇場の配信はホームページに埋め込まれた形態のためテレビでの鑑賞は断念しかけておりました。
機械にある程度精通している方ならばさっさか可能にするのでしょうが、いかんせん嘗ては「化石」と呼ばれていた管理人。
『マノン』、『ドン・キホーテ』は携帯電話画面での鑑賞で満足できたものの『ロメオとジュリエット』はどうにかテレビ画面で鑑賞できぬものかと
願望を募らせるも機械操作の研究を伴う作業は半ば諦めておりました。しかし執念に突き動かされたのか調べに調べたところ
携帯電話上の操作をそのままテレビ画面に映すアプリケーションなるものを知り、利用してみると
Youtube等を映す機械と連動するのか見事、テレビの大画面にて再生成功。但し画質は少々粗めで音は携帯電話からしか発しないため
テレビ画面とはややずれて聴こえてくるものの、渡邊さんパリスがしかも全幕版でテレビに映ったのですから万々歳!
2016年のパリスは何も響かなかったと言い走っていなかったかとの突っ込みは受け流します笑。
時々様子を眺めていた家族も、スマートフォンの扱いすら怪しい私の行動に対して妙に感心してくれたのか『マノン』『ドン・キホーテ』は携帯で観たが
『ロメオとジュリエット』はテレビ画面に映したいと思って調べた事の成り行きを話したところ、真相を未だ知らずにいる家族から一言。
思う念力岩をも通す
これで何度目の呟きか、人間とはかくも身勝手で単純な生き物でございます。
2016年当時の公演プログラムを再度眺めながら久々の一杯。主要役での出演者による直筆(勿論印刷です。井澤さんはこのときは怪我で降板、昨年ロメオデビュー)
メッセージが添えられ、「一文字入魂」精神で懸命に書いていらっしゃるパリスの姿が目に浮かびます。
4 件のコメント:
今回の巣ごもりシアター配信、本当に嬉しく、何度も観ましたが、感動も一入です。
私は、この時は4回しか観ておりませんが、パリスは4回とも渡邊さんでした。
井澤さんがパリスを踊る予定だった日も、渡邊さんが踊られたのでしょうか?
私にとっては、それまで観た数々のパリスの中で、一番優しいパリスだったと記憶しております。
昨年の公演時もその印象は変わらず、ますます素敵なパリスになっていたと感じ入りました。
まあ、昨年は勿論、ロメオが素敵でしたわね。
とにかく、小野さんと福岡さんが組んだ最初の『ロメオとジュリエット』を、
このような形ででも観ることが出来、この点だけは本当に幸せな一週間でございました。
管理人さまのレポート、今回も愉しく拝読いたしました。
ありがとうございました。
巣ごもりシアター、渡邊さんがいると視聴の熱心さが違ってしまってすいません状態でした。
私が見たのは米沢さんの回だったのですが、小野さん米沢さん相手に表現を変えていたとは初耳です。
今なら緻密に分析していたでしょうに、むむむ。
ひふみさまのおっしゃるとおり、去年の場合はパリスはロメオにプラスのボーナス配役でしたね。
小野さんとのコンビネーションはさすがに去年のほうが面白く思えました。
でもこの映像でも二人の踊りはなめらかで、形もとてもキレイですねー。
戯曲では蝋細工のようだとか花の殿御とか言われるパリス、とっても適役だったと思います~
新国立劇場バレエ団の配信、思えば最初は3月末のDance to the Futureから始まったのですね。
渡邊さんも出演していたコンポジション・プロジェクトの無観客生中継でした。
ここで一旦締めくくりで、劇場のあく日をおとなしく待つことにいたします。
ひふみ様
こんばんは。結局長くなってしまったまとまり無き記事をお読みいただきありがとうございました!
おっしゃる通りです、井澤さんに代わり全日程渡邊さんが務められました。
確かこの年のアステラスも井澤さんに代わってのご出演だったのですよね。
とにかく代役でよく出演なさるダンサーだなと思いながらパリスを鑑賞した覚えがあります。
ジュリエットに対して、接し方も優しくされど怒りや困惑を滲ませる表現は
2016年当時も台詞が聞こえてきそうな気迫もあり、なぜ全く注目していなかったのか4年前の自身に問いたいものです笑。
昨年のパリスはそれはもう絶品でしたよね。吸い込まれる存在感でただ美しい貴公子にとどまらず
物語を力強く動かしていらしたと思い起こされます。
>小野さんと福岡さんが組んだ最初の『ロメオとジュリエット』を…
まさにそうですよね。お2人が組まれたマクミランの大作をしかも1週間全幕で配信してくださって嬉しうございました。
こちらこそ、お読みいただきありがとうございました。
本日新国立劇場バレエ団シーズン開幕公演演目変更が発表されましたが、とにかく幕が上がれば万歳です。
そして変更後の演目も大歓迎です。
さくらもち様、こんばんは!
本日、大きな発表がありましたね。とにかく幕が上がれば何でも歓迎したい気持ちで一杯でおります。
本題に戻りまして、長いだけの記事を丁寧にお読みいただきこの度もありがとうございました。
>視聴の熱心さが違ってしまってすいません…
私も全く同じでございます笑。複数回鑑賞に加えていかにしてテレビの大きな画面に映すか考えるなど
機械音痴な身ではなかなか行動に出ません。
相手によって表現を変える力量を初台本公演デビューで披露なさったのですから只者ではありませんよね。
今だったら目を凝らして観るでしょうね。
小野さんとの火花の散らし合いも忘れられませんよね。
ただ視線を重ねるだけでも不思議は反応を引き起こしていて、鳥肌が立たずにいられませんでした。
>蝋細工のようだとか花の殿御とか言われるパリス…
もうぴったり過ぎるではありませんか!!(目を心臓印にして書いております汗)
思えば配信が始まったのはコンポジションプロジェクトが最初で、桜が満開の季節の3月末。
今は初夏で本日はアリスの初日でしたよね。
そしてシーズン開幕公演について大きな発表がありましたね。
大原監督の強い思い入れも含まれた演目・キャストそのままの上演ですし明るい演目ですから、楽しみに待ちたいと思います。
コメントを投稿