バレエについての鑑賞記、発見、情報、考えたことなど更新中
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2020年1月17日金曜日
新国2020発車! 新国立劇場バレエ団 ニューイヤー・バレエ 1月11日(土)〜13日(月祝)
1月11日(土)から13日(月)、新国立劇場バレエ団ニューイヤー・バレエを3回観て参りました。
2020年バレエ鑑賞第一弾です。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/newyearballet/
※キャストは新国立劇場バレエ団ホームページより抜粋
『セレナーデ』
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー 振付:ジョージ・バランシン
【全日】<1月11日(土)14:00、12日(日)14:00、13日(月・祝)14:00>
寺田亜沙子、柴山紗帆、細田千晶
井澤 駿、中家正博
渡辺与布、飯野萌子、川口 藍、中田実里、
赤井綾乃、今村美由起、加藤朋子、
菊地飛和、北村香菜恵、小村美沙、
関 晶帆、中島春菜、原田舞子、
土方萌花、廣川みくり、山田歌子、横山柊子
宇賀大将、清水裕三郎、趙 載範、浜崎恵二朗
2007年の開場10周年記念式典における初演から翌年のワシントンD.C.公演を含め
再演を重ねているバレエ団得意演目。女性コール・ドの本領発揮で淡いブルーが織り成す繊細な美に酔い痴れました。
時にきびきびと素早く、かと思えばしっとりと歌うように踊る場面へと変化に富んだ展開も鮮やか。
ソリストも充実し、寺田さんが登場の瞬間から色気と華を醸しながら駆け抜けて涼やかな世界へと一気に引き込み、
跳躍を繰り返す際も型が崩れず狂いない緻密さで積み上げていく柴山さんの揺るぎない技術にも目を見張りました。
優美さや透明感、楚々とした印象が強い細田さんは打って変わって近寄り難いほどの堂々たるダークエンジェル。
衣装は他のダンサーと同じながらオーラはまるで違い、パとパの繋ぎ目に至るまで隙なく神秘性宿る踊りに魅せられました。
井澤さんはほんのり晴れやかな空気を広げ、中家さんの職人芸たるセレナーデ名物ダークエンジェルの脚回しも盤石でお見事。
『ライモンダ』より パ・ド・ドゥ
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
振付:マリウス・プティパ
改訂振付・演出:牧阿佐美
【1月11日(土)、12日(日)】
小野絢子、福岡雄大
【1月13日(月・祝)】
米沢 唯、渡邊峻郁
2004年の初演、2006年の1度目の再演、2008年のワシントンD.C.公演、2016年ニューイヤー3幕上演では披露されたものの
2009年公演ではカット。バレエアステラス2012では本島美和さんとマイレン・トレウバエフさんが踊られましたが
ヴァリエーションなどの有無は記憶曖昧でお許しを。
全幕におけるカットには再度頷けた振付で、グラン・パ・クラシックを目一杯踊った後に踊られるため
言い方は良くないが無駄に体力を消耗させる余計なパ・ド・ドゥに思え、音楽は仰々しい始まりで迫力はあれど
ボリショイのグリゴローヴィヂ版では3幕の冒頭にて演奏される曲であるため
前奏曲が2度流れたようにも思えて初演鑑賞の時点で違和感を覚えたと記憶。
そして今回、抜粋で披露するとあたかもお笑い公演の若手芸人による前座の如き扱いに感じる呆気ない短さ。
ニューイヤー特別構成にしてヴァリエーションを挿入するなり一工夫欲しかったのは正直なところで
お蔵入りするかそれとも来期の全幕上演で復活なるか行く末が気になるパ・ド・ドゥですが
2組とも格調高く纏め上げ、底力を見せた会心の出来であったのは救い。
小野さん福岡さんは威厳や気高さで、米沢さん渡邊さんは淀みない優雅さで各々異なる魅力を堪能いたしました。
脚掴みリフトも難なく決めた福岡さんと渡邊さんに拍手。
さて復活と言えば渡邊さんの髪型がやや古風な趣きに舞い戻った気がいたしましたが、2020年も観察に勤む所存です。
繰り返しになるが、来年2021年6月干支一回りぶりの全幕上演は歓喜に沸かずにいられず。
全幕においては、男性主演陣が十字軍から帰還した威風堂々たる騎士に見えると期待しております。
特に2幕のライモンダ救出でのマント着けて剣を携えた姿は要注目。
そして前回の全幕上演時と最たる違いはジャンのみならずアブさん候補もわんさか揃い、男性層が厚い点。
両役とも似合いそうなダンサーも複数浮かび、日替わりで白黒双方で登場願いたいと欲が募ります。
ワシントンポストで報じられた2008年ワシントンD.C.公演記事に
寺島ひろみさんとデニス・マトヴィエンコさん主演日の脚掴みリフト写真が大きく掲載されました。
帰国時にロナルドレーガン・ワシントン・ナショナル空港にて管理人が購入。
新聞購入時の店員さんやシャトルバス移動で地下鉄乗り場を教えてくださった運転手さん、
乗継地のデトロイトからワシントンまでの国内線機内にて、うっかり炭酸飲料を飲んで
むせる管理人を優しく気遣ってくれた隣の乗客2人組といった機内や空港でお世話になった方だけでも
外見やお名前からしてイスラム圏の方が何名もいて、『ライモンダ』アブさん陣営の描写や表現の難しさを
考えさせられたものです。
上記のワシントンポストや今回の公演チラシやポスターの通り、見栄えするポーズがふんだんにあるためか媒体登場率は高し。
ダンスマガジンでは初演時のゲストスヴェトラーナ・ザハロワさんとアンドレイ・ウヴァーロフさんによる
付録ポスターでも起用され、2005年の山本隆之さん服部智恵子賞受賞ニュースでは
志賀三佐枝さんと組まれた際の写真が掲載されました。
(隣ページには寺田さんや細田さんの新国立入団決定の告知記事も。年月の流れは早し)
『海賊』より パ・ド・ドゥ
音楽:リッカルド・ドリーゴ
振付:マリウス・プティパ
【全日】
木村優里、速水渉悟
初日と2日目はお2人とも本調子ではなさそうで悔しさも滲ませていらしたかと思いますが千秋楽で大挽回。
若さ溢れる攻め路線なパ・ド・ドゥを見せてくださいました。
ただ木村さんはオディールやキトリ、速水さんはベンヴォーリオや黄金の神像を以前観た限り
もっと力を発揮できそうな予感。既に活躍目覚ましく将来を嘱望されているからこそ次回に期待です。
木村さんメドーラの煌びやかなターコイズブルーの衣装はとてもお似合いで、瑞々しさで一杯。
速水さんアリはハーレムパンツ?はともかく上半身の斜めがけ網網は必要だろうかと疑問を持ち
歴史考証の結果ならともかく、アリなら潔くシンプルが管理人の理想でございます。
(潔くシンプルでうっとりできるか否かはダンサーにもよるが)
ともあれ千秋楽は勢い含んだ舞台で満足感は高かったものの以下は完成個人の趣味及び体験談であるのだが
いかんせん『海賊』我が鑑賞史上最大の衝撃であった昨年夏の浦安伝説と位置付けている
(海近くの会場であったが浦島伝説ではない。しかし今年はこどもバレエで竜宮を初演、浦島伝説誕生なるか)
舞台が刷り込まれており、登場するや否や心臓貫通とはこのことで客席からのずり落ちや仰け反り寸前たる状況で鑑賞。
1都4県計9回に及ぶ昨年8月の鑑賞最後の最後で『海賊』パ・ド・ドゥにおいて
単なる超絶技巧お披露目会ではない、1分弱のヴァリエーションであっても視線の送り方や腕の出し方など隅々に至るまで
密に作り込まれ、瞬時の低姿勢ポーズの締まりといい実にドラマが凝縮したアリを目にしてしまったがために
時空を飛び超えてフォンティーンとヌレエフの舞台でも観ない限り
当分は胸に響く『海賊』にはお目にかかれないと思っております。
この話は書き始めると夜明けを迎えますため、出発に乗り遅れぬようそろそろ列車乗車準備に入ります。
『DGV』
音楽:マイケル・ナイマン
振付:クリストファー・ウィールドン
美術:衣裳ジャン=マルク・ピュイサン
照明:ジェニファー・ティプトン
【全日】
第1区 本島美和、中家正博
第2区 小野絢子、木下嘉人
第3区 米沢 唯、渡邊峻郁
第4区 寺田亜沙子、福岡雄大
池田理沙子、木村優里、奥田花純、玉井るい、
広瀬 碧、益田裕子、朝枝尚子、廣田奈々
井澤 諒、福田圭吾、速水渉悟、原 健太、
小柴富久修、中島駿野、中島瑞生、渡邊拓朗
ウィールドン振付のバレエ団初演作品。電車をモチーフにしたバレエの振付といえば
エイフマン版『アンナ・カレーニナ』終盤の人間機関車の迫り来るパワーは強烈でしたが
ゆったりと旅情に思いを馳せながら旅をしていく感覚のほうがこの作品のイメージには近いと捉え
移りゆく景色を眺めながらの列車乗車気分で滑らかな疾走感に包まれる走行列車をセンス良く舞踊化した印象です。
新鮮ペア続出である点も見所で、冒頭の暗闇から本島さんと中家さんがクールにじわりと攻め寄り
早々からのめり込むように見入る展開。小野さんと木下さんの精巧な歯車の如く噛み合う力も集中を研ぎ澄ませ
吸い付くように繰り返すリフトもお手の物。このお2人が組むとは思いもしませんでしたが予想を遥かに上回る相性の良さでした。
ムード一転、色っぽく魅せたのは米沢さん渡邊さんペアで、両腕を掲げ飛行機のような体勢のまま
高々とリフトされた米沢さんのまあ艶かしいこと。リフトにおいて弧を描画するかのように
正確且つ滑らかに自然に見せる渡邊さんのサポート術にも驚愕するしかありません。
寺田さんと福岡さんの明朗快活な斬り込みも鮮烈で、どの場面にもじっと見入ったためか音楽が脳内旋回に陥ったほどです。
コール・ドの振付の語彙も豊富で飽きさせず、縦1列に並び肩幅に開いた足で立った姿で左右に揺れたり(恐らく踏切)
ソリストペアの場と場の合間にも薄い壁の隙間から身体をくねらせながら登場したりと目が離せず。
管理人が度々真似をしてしまったのは(絵には全くならんが笑)女性コール・ドが横1列に並び
片脚を横に差し出して同じ横向きに屈みながらアンオーもポジションをする箇所。
他にもユニークな振付が散りばめられ、次の展開に胸を高鳴らせるばかりでした。
終盤には両バルコニーに配置された太鼓演奏者による力強い叩きっぷりで
終着駅を知らせているのか会場中に鳴り響く太鼓の音色に興奮は極致へ。
そうかと思えばしっとり静かに、暗闇に消えていくような幕引きで
掴みどころがないと言ってしまえばそれまでだがイメージは観客に委ねられ、
だからこそ私も観る日によって装置も振付も異なる物を想像させられたり
ぽっかりと現れる月や太陽の背景も時間軸を明確にさせて過去の列車に乗っての旅路を何本も代わる代わる想起。
男女とも渋めの色を組み合わせたシンプルな衣装も洗練された印象を持たせていて早くも再演が待ち遠しく
テレビ放送も喜ばしい。ご覧になれる方はどうぞお見逃しなく。
バレエ団お得意のバランシンから古典のパ・ド・ドゥ、そして若手に属する振付家作品も含んだ構成で
新年からおめでたい心持ちとなる公演でした。
新国2020幸先良い発車、今年も通い詰めたい劇場であると心新たに決意です。
※来月テレビ放送が予定されています。是非ご覧ください。
2月17日(月)【2月16日(日)深夜】午前0時00分~ 早速舞台写真も掲載されています。
ライモンダパ・ド・ドゥ、小野さん福岡さんも素敵ではあったのは紛れもない事実だが
短いのだから別キャストも合わせてお届けしますと案内して放送しては…くれないか。
https://www4.nhk.or.jp/premium/
DGVを鑑賞し、まず目に浮かんだのは2016年のKバレエスタジオ出雲公演帰りに乗車した特急サンライズ出雲。
現在の状況は分かりかねますが最安値車両であったためベッドが硬い笑。共同部屋です。
堅固な鉄橋
まさにサンライズ。美しく眩しい日の出を寝床の窓から眺めました。
サンライズ以外に浮かんだ列車は2015年福島県のいわきアリオスでの
下村由理恵さん、山本隆之さんが主演された公演鑑賞の往復で利用した常磐線。
日立の海と夕日にうっとり見惚れておりました。
もう1車両は昨年新国立こども白鳥長野県岡谷市公演の往復で利用したあずさ。
往路は8時ちょうどの出発でしたので狩人の名曲とこども白鳥千秋楽及び
暫くはお別れとなるセルゲイエフ版踏襲振付演出に思いを馳せながら乗車。
バレエに限るが旅回数が多めで、2時間サスペンスや西村京太郎ミステリーを好み
自動車運転免許未所有で旅の足は公共交通頼みである中途半端な鉄道愛好者からすると
DGVは何かと心に迫る要素満載です。
遂にニューイヤーでも限定カクテル登場。スタッフの方にも新年の挨拶。(新国立カクテル常連客です笑)
トニック入りミカンとピーチカクテル、シュワっと爽快。
いちごのカーディナルケーキ。(名称の記憶曖昧) たっぷり入ったいちごにを生クリームとカスタードクリームが包んだ
しっかりとした甘さのケーキでございます。
イベントでいただいた四季折々の絵柄が可愛らしい福島のミネラルウォーターと一緒に。
先述の2015年以来福島での鑑賞はまだなく、再びの機会が訪れますように。
バレエ好きな中でも共通項の結束力が妙に強い3名揃って初食事。
まずはシャンパンで乾杯し、真鯖のマリネとじゃが芋のスモーク、鱸のカルパッチョ。
昨年の我が1人ひっそり誕生日祝いや当ブログで知り合った常連読者様との2017年の眠れる森の美女終演後の初食事でも
利用しており、何かと節目や記念日に訪問しているビストロです。初利用者のお2人にも喜んでいただけたようで安堵。
しらすとじゃが芋のキッシュ。香ばしくほっくりした味わいでワインが進みます。
お店の看板メニューとのこと。今回飲兵衛は私1人でしたが、好きなペースで飲むよう寛大に接していただき深謝。
クランベリーソースがかかった鹿肉グリル。脂身ほぼ無く締まった赤身、赤ワインが止まりません笑。
ちなみにワインは赤白ともにフランス南西部の地域ラングドック産とのこと。
メニューのワインの中でも一番手頃な価格とは思えぬ、特に赤の渋みと品ある重厚さがすっかり気に入りました。
ラングドックや仏南西部と聞くとある都市を思い浮かべ、ニンマリする3名でございます。
2日目は昔馴染みの3名でドイツ酒場へ。
私含む2名が飲兵衛で、ビールの後に赤ワインボトルとデカンタを飲み干した…笑。
適度なフランスワインを選んだところ、火の鳥を思わせるラベルが華やぐデザイン。
そうであった、干支一回りぶりの大事件であった心境の確かな変化は
3年前のお正月、前年に撮影されたフランスでの火の鳥リハーサル映像であったと回想。
来場者には3日間日替わりで異なるグリーティングカードをプレゼント。
全部集めましたが一番欲しいと願っていた分を千秋楽にようやくいただき嬉々たる思いでおります。
何度眺めても、見返り美男。
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2 件のコメント:
情報満載の更新ありがとうございます。
新国のライモンダの上演史、海外公演にも取り上げられていたのならいわば十八番、上演が途絶えていたのが不思議なくらいです。
今回のアダージョ、もとのロシア版のライモンダっぽい動きの牧阿佐美版ミクスチャーでできてるものなんでしょうか、お笑い芸人とかひどい(笑)
しかし前座感あふれる内容と時間だったのは否めませんで、この4人だからなんとかなったのですよね。
海賊は単独パドドゥでも物語が作ってあると魅力は倍増ですー やっぱり見たかったかのお方の海賊。
そしてDGVの第3区はきっと上演歴の中でもとくに物語性抜群なパフォーマンスだったのではと妄想しています。
カーテンコールのウィールドン氏が勝手に渡邊さんの隣に行って嬉しそうにしていらした姿、見ているこちらも嬉しかったです♪
さくらもち様
こんばんは。早速のご感想ありがとうございます!
新国立初鑑賞も海外でのバレエ初鑑賞もライモンダであったため思い入れが強すぎるようです笑。
仰る通り看板演目と呼んでも過言ではないのですが、リーマンショックによる客入り不振であった2009年公演の影響が全幕上演長期途絶えに繋がってしまったかと思われます。
話題の⁈牧版ライモンダパドドゥ、参考にされた振付があるか否かも不明でしてお役に立てずすみません。私も気になっております。
お笑いの例えは度が行き過ぎましたが笑、前座と錯覚させる短さでしたよね。
せめてテレビ放送は両ペアを…と望みたいところですが
実力ある4人だからこその上手い魅せ方であったと感じております。
平日夕方隣近所に顔見知りがいなかった作り込みがいたく密で物語が伝わる浦安海賊、返す返すも初台の観客にもご覧いただきたかったと今も脳内再生が止まりません笑。
第3区、濃密な色気がムンムンと湯気の如く沸き立つお2人でしたよね。旅路で更に関係性強まるカップル、といった設定を勝手にしておりました。
そして、嘗て乗車したサンライズの別車両個室には第3区なるカップル乗車も妄想していたかもしれないと妄想です笑。
はい、ウィールドンさんの正直そうな行動もびっくり嬉しい光景でした!
テレビ放送も楽しみです。
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