2025年12月14日日曜日

三大バレエ作品踊る喜び... 三大バレエ作品踊る喜びキーウ グランド・バレエ・シアター『眠れる森の美女』 12月3日(水)




順番前後いたしますが12月3日(水)、キーウグランド・バレエ・シアター『眠れる森の美女』を友人の代わりに観て参りました。10年ほど前に設立された私立のバレエ団とのことです。
詳細は インプレサリオ東京 のページをご覧ください。


オーロラ姫:アリサ・ミハイレツ
デジレ王子:ユリアン・ポトゥナレンコ
リラの精:タマラ・マヨロワ
カラボス:アンナ・レズニチェンコ
白い猫:マーラ・チルチェリ
長靴をはいた猫:北口郁人
フロリナ王女:長澤美絵(特別ゲスト出演)
青い鳥:ルーカス・メアレス
赤ずきん:キーラ・アーヴィング
狼:コスチャンチン・マイオロフ
シンデレラ:オレクサンドラ:フリホリエワ
王子:エマニュエル・カペリ


本公演且つ全幕構成ながら日本のバレエ教室発表会での全幕眠り演出以上に短時間であろう2時間に纏められ、最小限な人員、装置美術での上演でした。
しかし未だ落ち着かぬウクライナ情勢を思うと、またウクライナの公立のバレエ団では三大バレエ含めロシアの象徴とみなされる
チャイコフスキー作品が上演できぬ事情を踏まえると、例え短縮構成で衣装等も簡素であっても(インプレサリオ東京さんのHP舞台写真とはだいぶ違うデザインでした)
踊れる喜びはひとしおであったと想像いたします。

ミハイレツのオーロラ姫は堅実なテクニックから繰り出す踊りがとても端正で、
これ見よがしに見せつけたり可愛らしい表情を過剰に出したりせずとも歯切れ良い踊りで語る、愛らしいお姫様でした。
衣装が淡いオレンジに近い色味で、オーロラ姫にしては珍しい色調デザインでしたが、何か事情があるのでしょう。
結婚式はきりっとクールに、されど格式高い威厳を持ち合わせて踊る様子が姫を超えて女王然とした姿に映ったほど。全体を引き締める支配力にも拍手です。
ポトゥナレンコのデジレ王子はバネの強さを生かした技術が力強く、2幕森でのペザント風な衣装にピラッとした短い赤マントな衣装を差し引いても
高貴な雰囲気はもう一歩でしたがオーロラに出会った歓喜がひしひしと伝わり、終始パワフルな存在感であった印象です。

レズニチェンコのカラボスがドレッシーな美しい妖精で、透け感のある長いスカートを翻しながらスタイリッシュに舞い、
すらりと背が高く優美で大らかなマヨロワのリラの精と同等の美で対峙。
糸車持つ村娘達が捕らえられ慌ただしく連行される最中に落とした針をカラボスが拾い、オーロラ命奪取りの策略を練る場面の挿入がなかなか面白い演出でした。
ちなみに王様お妃様も不在のため、捕らえられ連行されていった村娘達はどうなったのか。
オーロラ姫のお誕生日会だからと特例で許しを得る場面はなく、行く末を案じるはかりでございます。
特別ゲスト出演と明記されていた長澤さんはプロローグ妖精達の中にも入っていらっしゃり、フロリナ王女では決して好条件ではない身体であっても
強弱の付け方やポーズの繋ぎ方の隅々に至るまで職人な踊りで魅了。
長らくキーウクラシックバレエで活躍され、主役経験の豊富さが窺える舞台姿でした。

2時間で全幕眠りですから、しかし子供向けや初心者向け企画ではなく全席5500円均一の本公演。
いかにして短縮させるのか注目しておりましたがプロローグはあり、
6人の妖精は登場するもヴァリエーションはリラのみ。リラのお付きは4人程度であったと記憶。
16歳のお祝いではローズアダージョはそのまま通して、オーロラ友人達は花のワルツも兼ねていたかと思います。貴族も少数ながら周りを固めて活躍。
森の場は狩猟場面無しで王子が登場したらすぐさまリラに遭遇してオーロラ幻影に出会う素早い展開です。
3幕は祝福の余興はシンデレラもあり、しかしオーロラ姫とデジレ王子のグラン・パ・ド・ドゥの後は
マズルカ無しでアポテオーズでめでたしめでたしな幕切れでした。

観客は1階席のみに入っていて、2階から5階は開けずの対応。師走の平日水曜日で18:30開演、ウクライナのまだ新しいカンパニーであるためか動員は正直容易ではなさそうでした。
それでも古典しかも三大バレエを嬉しそうに踊る出演者達の姿は訴えかけるものがあり、カーテンコールでは主役2人がそれぞれウクライナと日本の大きな国旗を背中越しに掲げて登場。
観客の拍手に包まれる中、日本ツアーを行っている喜びがこれでもかと伝わるひと幕でした。




キャスト



模型



何十年も上野に通っていながら初入店した文化会館2階の精養軒。今年上野に足を運ぶのは最後で、来年ゴールデンウィーク後からの改修開始前に利用してみようと思い立ちました。



何十年も上野に通っていながら初入店した文化会館2階の精養軒。今年上野に足を運ぶのは最後で、来春の改修開始前に利用してみようと思い立ちました。
ボルシチが具沢山で丁寧な作り、すっきり味わいのあるスープでおすすめです。スメタナ溶かすと薔薇色に変化!



拡大。具が並々と。
改修後、文化会館に入っている資料室や、養軒等の施設、店舗はそのまま残るのか気にかかります。



ツリー



トナカイさん。東京文化会館、また来年!

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