
4月10日(木)に開幕した新国立劇場バレエ団『ジゼル』前半を複数日観て参りました。
2022年に新制作された吉田都監督の演出、アラスター・マリオットによる改訂振付版の再演です。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/giselle/
只今折り返し地点で4月18日(金)から後半日程の公演が始まりますので全体の感想は全公演終了後にまた綴って参ります。
現時点で4組観ておりますが、誰一人どのペアも似たり寄ったりな方々がおらず、別の物語を観ているかのような気分で満喫しております。
あらゆる作品の中で、出演者自身による役の解釈及び観客の捉え方や意見が最も多様に生まれているであろうと再度感じた次第です。
とりわけアルブレヒトは純愛系から悪い男系まで、今回も個性様々な◯◯ブレヒトが登場。全員前回と同じ布陣ではあっても変化があり、連日じっと見入っております。
また村人達と貴族達の身分差もより強調され、貴族達が村人達やバチルドに対して軽蔑する振る舞いは一層プライド高そうな仕草へ。
貴族達の奥様会も上下関係がはっきりしてそうな怖そうな会です笑。会長はきっと玉井さんでしょうか。
村人達の群舞は複雑な交差移動やフォーメーション変化も整理整頓されていてクリアに映っております。1人1人が村に息づく人間として、芝居量も豊富な印象です。
大概の版よりも舞台を目一杯使うハードなペザント・パ・ド・ドゥもエネルギッシュで見応えがあり、
ウィリー達の悲しみを帯びた柔らかな美しさや雲海の如く舞台を覆う霧、立ち並ぶおびただしい数の十字架の装置も息を呑みます。
少数派でしょうが私は2017年まで新国立のレパートリーにあったセルゲイエフ版も好きで、
リアリティを求める方々からすると庶民には有り得ぬインチキカラフル収穫祭やら即日対応の大型お墓職人を抱える墓地製作センターがあったのかと言われても仕方ないであろう
ピンクやエメラルドグリーンを用いた村人女性の衣装も、巨大で重厚なエレベーター付きのジゼルのお墓も村のおとぎ話な雰囲気でとても好みでございました。
ですからジゼル新制作と聞いたときは当初肩を落としていた管理人でございます。
吉田監督が携わるなら、ピーター・ライト版に近い、1幕は全体が茶色いジゼルになるのではなかろうかと。
しかしジゼルの衣装はブルー系のままで(これポイントなのです。茶色は苦手で笑。抑えたブルーとクリーム色の刺繍入りスカートで可愛らしい品があります)
村人達の衣装は茶系にまとめつつも地味過ぎぬ色彩で整えており、美術や装置が屋根やぶどうの房に至るまで凝った作りでめでたい収穫祭の光景を生き生きと描写。
殆ど踊らぬ立役の農民もいて、私が勝手にカールおじさんと名付けましたが舞台の下手側奥にいる麦わら帽子を被った男性にはつい注目してしまいます。
現時点ではペザント・パ・ド・ドゥの男性が日替わりで務めていらっしゃいます。
昨日は遂に、鷹匠の鷹の頭がヒクヒク動く瞬間も目撃!煙突の煙や月が消える場面など、自然風景の変化にもこだわって上手いこと取り入れて
リアリティを追求しつつも1幕は観ていて踊りも装置美術も華やぐ、2幕はウィリー達のスピーディーな振付と醸す幽玄さのバランスが取れた仕上がりと思える作品です。
7月にはバレエ団にとっては2009年モスクワでのボリショイ劇場『牧阿佐美版 椿姫』以来16年ぶりとなる海外公演
ロンドンでのロイヤルオペラハウス公演も控えており、練り上げに力が一層入っていることと思います。
18日(金)以降の後半日程、どうぞ足をお運びください。
それにしても11日に観た渡邊さんアルブレヒトは少女の口説きに手慣れた自信を秘めた色男。
例え身分詐称と結婚詐欺であっても、冒頭でのピンポンダッシュの原型であろう自宅をノックダッシュされても
ジゼルからしたら束の間ではあっても一生分の幸せを味わえたと思えて許してしまいそうな魅力に満ちていらっしゃいました。
千秋楽も楽しみでございます。

綿菓子パフェ。ウィリーのチュチュをイメージしているそうです。ふわふわと舞いそう。サーモンのライ麦パンサンドもワインと合います。

綿菓子拡大!背景が夜で灯りもあり、2幕を彷彿。

お盆があり、オペラパレス定食な並びです。友人がプログラム持ちを、ありがとうございました!

五者五様のブレヒト

マエストロへ

森のようなサラダ

アスパラとパンチェッタのクリームソースパスタ。シュレッドチーズが霧或いはチュチュのよう。

デザートはガトーショコラ
0 件のコメント:
コメントを投稿