
3月30日(日)、東京バレエ団コレオグラフィックプロジェクト2025を観て参りました。
目黒の東京バレエ団スタジオでの開催鑑賞は2018年2月以来で7年ぶり。目黒駅から徒歩約20分、通り沿いの異質な宮殿風建築を目にするのもワクワクです。
https://www.nbs.or.jp/stages/2025/cgp-2025/index.html
行方
振付:宮村啓斗 音楽:Tak_mfk
宮村啓斗 陶山湘
teenage dream
振付山下寿理 音楽:フレデリック・ショパン
山下寿理
Sweet and Sour
振付:涌田美紀 音楽:アントニン・ドヴォルザーク
伝田陽美 中沢恵理子 山下湧吾
Juice
振付:山田眞央 音楽:Les Zeoles
山仁尚 青木恵吾
カプースチン組曲よりトッカティーナ
振付:木村和夫 音楽:ニコライ・カプースチン
足立真里亜 橋谷美香
Existence
振付:平木菜子 音楽:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
伝田陽美 陶山湘
Dear…
振付:金子仁美 音楽:マックス・リヒター
金子仁美 髙浦由美子
おばあちゃんとおじいちゃんの夢の世界
振付:ブラウリオ・アルバレス 音楽:エドヴァルド・グリーグ
福田天音 小泉陽大
In the Memory of…
ブラウリオ・アルバレス 音楽:サミュエル・バーバー
中川美雪 榊優美枝 瓜生遥花 大坪優花 前川琴音
Waltz
振付:岡崎隼也 音楽:オリヴァー・デイヴィス
井福俊太郎
宮村さん振付の行方は若い男性のパワーの四方八方への躍動から目が離せず。お互いに存在を確認し合うような、時折縋るような、感情の交差も目に留まりました。
自作自演ソロの山下さんは、大人になろうとするもまだ青さやあどけなさがせめぎ合う複雑な心をしっとりとした踊りで吐露。
お洒落でユーモアなセンスも光っていたのが涌田さん振付のSweet and Sour。中沢さんがパリをモチーフにしたポストカードに描かれていそうな可愛らしさで、紫色のスカートに小さなハンドバッグ持つ姿や艶っぽい踊り方もうっとり。
山下さんは上は白シャツに黒いパンツで一見昼休みのクールビズサラリーマンに思えるも踊り出すと実にエレガント。
このギャップが面白いのかもしれません。2人の仲に分け入る伝田さんのスパイスもよく効いていました。
山田さん振付のJuiceは暗闇から抜け出すようにもがきながらひた走る男性デュエット。
木村さん振付のカプースチン組曲よりトッカティーナでのそれぞれ白いチュチュ黒いチュチュで
足立さん橋谷さんが競い合いながらハイテクニックをスパスパっと繰り出していく展開に息を呑みました。
最も舌を巻いたのが平木さん振付Existence。ヘンデルの流麗な曲と溶け合うように伝田さんと陶山さんの身体が舞い上がり、
伝田さんの研ぎ澄まされたライン、媚びない潔さの美しいこと。陶山さんの身体能力の高さにも驚かされました。
創作物ではバレエ団問わず人気が高いのであろうリヒターの曲にのせた金子さん振付のDear…は、当初はまたリヒターかと思ったのも束の間で、
柔らかな友情の交わしが伝わる優しさ溢れる2人組。フィナーレの挨拶にて髙浦さんがこの公演をもって退団と知り、
込み上げてくるものが止まらなかったからこそのデュエットだったのだろうと納得です。
ホロリとしかし笑わせてもらったのがアルバレスさん振付の『おばあちゃんとおじいちゃんの夢の世界』。
ゆったりと音楽の強弱とも呼応しながら静かにお茶を啜るおばあちゃんとおじいちゃんにふとスイッチが入り
身体がみるみると切れ味鋭くアクロバティックに踊り出す楽しさとエネルギーに満ちた作品で、床を使ってのスリリングな振付もお手の物。
そうこうするうちに再び静けさに包まれたかと思えば再び覚醒したかのように踊り出して終了。
まだお若いでしょうに福田さん小泉さんお2人とも見た目が絵に描いたような縁側でお茶と和菓子で日向ぼっこしていそうな老夫婦ぶりでございました。
アルバレスさん振付のもう1本のIn the Memory of…はひりひりとした危うさが漂うSFのような作風で、
白いパンツと上も白だったか白系の衣装で揃え、光を発し合うようにじんわりと踊り紡ぐ作品。寂しさや悲しみを帯びた4人の表情も忘れられず。
岡崎さん振付Waltzでの井福さんが気持ち良さそうに、身体を自由に高鳴らせていく姿から混じり気のない叫びが身体から充満していました。
コミカルなものからシリアス系まで、予想以上に個性豊かな作品が揃い、バレエ団が普段から使用しているスタジオに足を踏み入れて鑑賞できるのも大きな喜びでした。
多量の椅子の背もたれへの席番号や床の列案内表示貼り付けもきちんとなされていて、スタッフの方の案内もスムーズ。
最初から照明を落とした空間のため、また普段劇場として使用されている空間ではない特設会場ですから自力ではなかなか席に辿り着けそうになく、
スタッフの方のきびきびと丁寧な誘導にも拍手を送りたい思いでおります。
スタジオの玄関には黒いスーツ姿のすらりとした方がいらっしゃり、平木さんでした。
来場者1人1人にこんにちは!とにこやかな笑みで声をかけてくださり、蕩けました私でございます笑。
開演前には映画館でよく目にする映画泥棒の映像のバレエ版な注意喚起を出演者達自身が行う手法で披露され、
以前から恒例になっているのでしょう。皆さん手馴れていらっしゃいました。
次回の企画も心待ちにしております。

目黒駅から徒歩で会場に向かう途中、目黒川の桜。まだ五分咲きくらいでしたが前日とは打って変わっての晴天で花見客も多し。
中目黒付近はもっと大勢の人出だったかもしれません。おとぎの国を思わすお城が視界に入り、桜との共演がメルヘンチックと思ってよく見たら宿泊施設でございました。

帰りは目黒駅近くのカレー店ケラクへ。今年度最後の鑑賞、ハイボールで乾杯!数種類のカレーがあり、合いがけも可能です。
遅めの時間帯であったため季節限定桜鯛カレーは売り切れでサザンビーフの1種類にしたが十分な量。スパイスがガシッと結集していて美味しい。
ご飯はパラパラとしていて香りも良く、これのみでもスプーンが進みました。

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アルバレスさん、1月の大和シティー・バレエ『西遊記』にて観音菩薩役のときと同じポーズなショップカード。
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