2025年3月4日火曜日

東京で愛弟子達と初挑戦者達が作り上げる継承の大きな第一歩   矢上恵子メモリアル・ガラ  2月15日(土)





2月15日(土)、ティアラこうとうにて矢上恵子メモリアル・ガラを観て参りました。
https://yagamikeiko-gala.com/TOKYO2025/


矢上恵子先生は大阪のKバレエスタジオ教師でありコンテンポラリーの振付家、ダンサーとして活躍され
山本隆之さんや福岡雄大さん、福田圭吾さん、福田紘也さん(現在はバレエ公演のスタッフに転身)ら、多くの優秀なダンサーを育てられました。
しかし2019年に57歳の若さでご逝去。早過ぎる旅立ちは6年が経とうとしている今も信じ難い思いでおります。
先生の作品上演は関西中心でしたが、今回は東京にて恵子先生作品を一挙に上演です。

前半は小作品中心で、恵子先生が書き記した文献を1ページずつ大事に捲るようにリレー式で次の作品へと移り
(2020年秋のKスタでの恵子先生小品集もこの方式で、わくわくと胸躍る繋ぎ方でしたのでこの度も嬉々として鑑賞。今回は全体構成も含め圭吾さんによる演出です)
後半は恵子先生が映る貴重なリハーサル映像や佐々木大さんへのインタビューののちに大作のToi Toiへ。大充実の内容でした。
お叱り受けるかもしれませんが、もしも『居酒屋矢上恵子』があるならば、初心者も歓迎特選コースといったところ。
ソロ、デュエット、女性のみから大人数構成の大作まで、多彩な作品が並びました。
プログラム冊子も立派な装丁、中身で、もしかしたら恵子先生の上演作品解説がこうにも詳しく掲載されたのは初めてかもしれません。
執筆者は恵子先生と所縁深かった舞踊評論家の桜井多佳子さん。恵子先生の告別式では山本さんと共に弔辞を読まれました。


※今回広報をこまめにたくさん行ってくださったバレエチャンネルさんによる舞台写真が多数掲載されています。
公演終了後も日々更新してくださっていますので、是非ご覧ください。
https://twitter.com/yagami_gala?s=21


Witz

福田圭吾さんがローザンヌのコンクールで踊られたソロ。元は福岡雄大さんに振付けられた作品とのこと。
恵子先生の作品の中で最も知られているとされていますが、実を申すと私は映像に観たのは2021年のメモリアルトークイベントのときが初めてだったか。
生ではDAIFUKUにて2020年に鑑賞しております。ローザンヌの解説者による発言が広まって通称アトムと言われているらしい。
17歳の頃に踊った体力消耗激しい作品を昭和末期生まれ世代の圭吾さんが難なく踊りきるスタミナにまず脱帽で、
小刻みに動いたかと思えば突如軸を思い切り斜めにして緊迫感あるポーズを描出しては
すぐさま跳び上がったりと、1フレーズの中でこなすことが山積みな振付をいとも易々軽快に自在に繰り出して魅了。
暗がりの舞台の上でたった1人、しかも浪速圏と違って恐らくは多くの方が恵子先生作品を初めて生で鑑賞する観客が占めるであろうお江戸の会場にて
瞬時に舞台を温め、摩訶不思議な世界へと誘い込んでくださいました。客席からの拍手に、圭吾監督もほっと安堵の表情。1発目、まずは大成功です。


Multiplex Personality〜多重人格〜

プログラムによれば上演回数が非常に多い作品で、1990年代の初演時は恵子先生と4人の女性が出演。
主軸1人の周りを4人が固める構成で、配置も性別も問わずこれまで様々な方が踊っていらっしゃいます。
今回の主軸は井本星那さん。Kスタでも研鑽を積まれ、その後Noism1で活躍されました。周りを、Kスタでも学びスターダンサーズ・バレエ団で活躍された井後麻友美さん、
恵子先生作品の主な指導を担われている愛弟子の石川真理子さん、Kスタ舞台へ賛助出演経験もある佐々木美智子バレエ団の佐々木夢奈さん杉前玲美さんが務めました。
井本さんは昨年のKスタの舞台でこの作品にご出演予定でしたが直前のお怪我で降板され、
(プログラムに出演者変更告知の別紙が挟まっていましたので本当に直前だったかと思います)
ようやく鑑賞の機会に恵まれました。まず音楽の冒頭からして禁断の魔の世界に足を踏み入れていくようなおどろおどろしさが折り重なって行く曲調に心を持っていかれ
内面の葛藤を不安そうに怯えながら曝け出していく井本さんと、周りの4人が誘惑或いは
時に助けるように近づいては離れる崖っぷちに追い詰められた状況が重々しくダークに展開していきました。
2020年秋のKスタ舞台にて、当初は恵子先生の大掛かり作品を教室外の方も一緒に踊る企画がなされていたところコロナで延期になり、
代わりに恵子先生の小品を集めた構成に変更したプログラムにて初鑑賞いたしましたが(主軸は恵谷彰さんでした)、
闇に溺れていくような、されど癖になる恐怖感は今も強烈な記憶として残っております。
昨年のKスタ舞台では新国立の木下嘉人さんが周囲を固める役柄に初挑戦。
恵子先生作品自体がお初だったはずで。直系弟子達と並んでも違和感のない技量に驚かされました。


FROZEN EYES〜凍りついた目〜

心が壊れた少女と、彼女を救おうと奔走する青年を描いた作品。音楽はウェーバーの『舞踏への勧誘』、薔薇の精と同じ曲です。
初演は1999年の世界バレエ&モダンダンスコンクールにおける田中ルリさん佐々木大さんとプログラムにて紹介されています。
(大さんは田中さんのパートナーとして、コンクールは不参加だったとのこと)
曲が始まる前にパリン!!と硝子が割れるような音が響き渡ると同時に米沢さん少女の心が崩壊し、目が虚ろになって危うさを描出。
1脚の椅子を多用しながら昇降を繰り返す中で少女の内面に生じていくジェットコースターの如き浮き沈みを体現していた印象です。
顔の表情は殆ど変わらず無に徹しているため、壊れ行く心に反して身体の息遣いの熱は上昇して
周囲を張り巡らすような踊りそのものから少女の声にならない叫びが沸々と表していたのはお見事。
木下さんは少女が取り巻く状況を理解しようと苦悩しながらも空間を大きく使い、
椅子から落っこちそうに倒れこんでくる少女を万全に支えつつ縋るように踊る姿が目に残っております。
この作品を生で観るのは3回目で、ともにKバレエスタジオの舞台にて2020年には今回も映像編集等の裏方で大活躍の福田紘也さんがご出演。
女性がご名字を失念してしまいましたがファーストネームがあやさん、だったかと記憶。
静けさの中から沸き上がるパワーと時折落ち着く箇所の落差を事細かに踊り分けていらした印象でした。
もう1組は2023年、共にUSAジャクソン国際バレエコンクールにて踊って金賞を受賞された地主薫バレエ団の徳彩也子さんと
佐々木美智子バレエ団を経て欧州の団にも所属され、現在ジョフリー・バレエ団にて活躍中の佐々木嶺さんがKスタ舞台にゲスト出演。
若さゆえの大胆さを放つ身体能力も目を惹き、両組とも共通していたのは触れると凍傷を引き起こしそうな刺激がピリリと充満していたこと。
対して米沢さん木下さんは何処か落ち着きが調和していた印象がまさりましたが、これはこれで興味を持たせる造形です。


Butterfly

福田圭吾さんによるソロで、2006年のUSAジャクソン国際バレエコンクールで踊られたとのこと。今思えば新国立入団直前の時期かと思います。
ひらひらと舞うはんなりとした蝶々とは別物な、生命力に溢れ力強く生きようとエンジン全開にして空中でのポーズも多彩な上に滞空時間の長いこと。
急ピッチなテンポで踊っている最中に服に隠されていた羽が出てきて翻しながら舞う姿も息をつかせぬ展開で、最後は力尽きて魂が抜け落ちるようにして倒れ込んで終了。
これまた圭吾さんが、いくら経験ある作品とはいえコンクールで踊った作品を若者も仰天な体力で踊り切る力量に脱帽。
作品自体を観るのは2回目で、初めて観たのは2022年のKスタ舞台にて佐々木美智子バレエ団から客演された佐々木嶺さん。
空中での柔らかな身体のしなり具合にも驚かされ(お父様譲り?!)、また目にしたい作品と願っておりましたのでプログラム入りしていて喜びもひとしおでした。


Bourbier

福岡さんの代名詞な作品かもしれません。2008年のヴァルナ国際バレエコンクールにて3位そして恵子先生は振付賞を受賞。
前半における、ビートの強い曲調の中ではち切れんばかりのエネルギーをダイナミックに、ときに痙攣の如き刺激が身体を伝うヒリヒリとした連鎖は
何度観てもこちらにまで電流が貫通していくような感覚に襲われます。途轍もないスピードで極限状況の苦しみをこれでもかと吐き出していくものの
例えばオフバランスから倒れ込んでから起き上がる過程も音楽から1ミリもずれずに踊る
正確な技術といい身体能力といい恐れ入りましたとしか申せません。ご年齢を考えたらお化け級です。
後半のカヴァレリア・ルスティカーナの部分になると一転し、音楽としっとり溶け合いながら全てを浄化して天を仰ぐように捧げる姿がいつまでも目に残り、
福岡さんがインタビューでも大切に語っていらした「魂を磨いて天に返す、と恵子先生から教わった」とのお話がすぐさま浮かび上がりました。

この作品は拡張版があり(ソロ部分の独立形と拡張版の関係については私も把握できておらず失礼)
初演は2007年夏のKバレエスタジオの舞台。ベージュ色な透け素材の衣装を纏った大人数の群舞を従える構成で恵子先生ご自身、そして山本さんも出演されていました。
私にとって初の恵子先生作品鑑賞でしたから、とにかく凄いものを観た記憶しかなく、
具体的な内容は飛んでしまっていて失礼。このちょうど1年後に福岡さんはヴァルナで入賞されました。
そして幸いにして間を空けず上演の機会が巡り、2009年東京での日本バレエ協会の秋公演。
初めてご覧になった方はぶったまげていましたが当然のことでしょう。もしこの頃SNSが発達していたら
もっと広報や宣伝も上手く行って、2回公演ありましたから例えば初日鑑賞者の口コミで伝わったりと
恵子先生作品の魅力もより広まっていたかもしれませんが、それでも会場の仰天喝采な空気は今も忘れられません。
2021年2月には日本バレエ協会創作バレエの記録上映会開催時に渋谷にて上映されましたが客入りは今ひとつ。
2021年4月のメモリアルトーク、そして今回のメモリアルガラの効力たるや!!Kスタ関係者様、バレエチャンネル様の双方のお力の結集あってこそです。
ソロの部分は福岡さんを始め山本さん(目黒区でのYUJI SATO  バレエフェスタやKスタでもお披露目)、
圭吾さんもKスタで披露なさっています。近年では山本勝利さんが福岡さんの指導を受けてGGGプロジェクトで踊られています。


Cheminer

元々は恵子先生が内弟子達に向けて振り付けられた作品で、初演は2006年12月に鹿児島県霧島市で開催されたみやま・ガラ・コンサートとのこと。
主軸を恵子先生、周りを内弟子達が固めて踊られていたそうで、音楽はラヴェルのボレロ。
今回は小野絢子さんが主軸、周りを柴山紗帆さん、池田理沙子さん、五月女遥さん、
川口藍さん、金城帆香さん、橋本真央さんが彩り、全員新国立のダンサー且つ恵子先生作品初挑戦です。
喜びだけでなく時には確執や衝突もあったかもしれないであろう、恵子先生と内弟子達との濃密な関係性描写や毒々しいまでに押し迫るパワーとはまた違った
神秘的で清々しい流れに乗った新国ダンサーズならではの綺麗な空気感はこれはこれで魅力的。
実のところ中盤に差し掛かるまでは迫力不足に思えていたものの、それは私が大阪で内弟子達や、
主軸を山本さん(2019年のKスタ恵子先生追悼コンサート)や圭吾さん(2014年恵子先生舞踊生活50周年記念コンサート)が務めていたときの
直系弟子構成による舞台も観ていたからであって、AIではありませんから違う人が、
ましてや全員が恵子先生作品初挑戦のダンサー達の身体からは全く異なるエッセンスを放つのが当たり前でしょう。
真っ新な状態からのスタートだからこそ、また日頃クラシックを初台にて端正に踊っていらっしゃるメンバーだからこその
上品されど陰のある何処か近寄り難い美しさの並びを満喫いたしました。
暗闇からぽっかりと現れ、小野さんの静けさに包まれる中での隙のない統率力や、ふとした瞬間に脚をスパッと蹴り上げる姿はクールで潔い女神にも見て取れ
小野さんに向かって磁力のように引き寄せられては緊迫感を発する6人の駆け引きにじわりじわりと呑まれていく感覚が生じた心持ちでおります。
全員黒い椅子を用いての振付で、椅子使用のコンテンポラリー作品は多々あれど
横1列に並び座った状態から1人ずつが踊り出し、踊るカノン方式で一定のリズムを刻んでいく光景は
上の階から俯瞰して観ると立体パズルが儀式を規則正しく執り行いながら動いているよう。
1人でも少しでもテンポが狂ったら一斉崩壊になる鬩ぎ合いな振付で、だからこそ余りに有名な曲にのせた作品であっても最後まで観る側も集中力が切れず
終盤小野さんが椅子から後方へ消え入るように椅子の背もたれの上に脚を引っ掛けながら飛び込む瞬間と
ハの字型フォーメーションとなって座り倒れ込む6人の締めが、見果てぬ夢への渇望を静かに叫ぶような余韻が広がりました。


Toi Toi

大人数構成のエネルギッシュな連なりが楽しい作品で、Kスタでの上演回数もかなり多いかと思います。初演は2003年のKスタ公演で恵子先生も出演されていたとのこと。
序盤は福岡さんと石川さんのデュエットで、宇宙を思わせる緊迫する曲調の中から突如激しいリズムを刻む振付に変わり、
あとはひたすら猛スピードで突っ切っていく展開に。精密機械の如く身体を素早く駆使し移動して行く集合体フォーメーションや
後方に設置された4枚の板から延びる光の道しるべの照明をなぞりながら1人1人前進してきたりとパワーとスピードの洪水な振付を誰もが楽しそうに踊る光景は壮観でした。
ひょっこりと顔を出したり隠れたところから勢い良く飛び出してきたりと板の活用法はユーモアに富んでいて
今回上演した恵子先生の作品の中では最もお茶目な要素も含ませた作風かもしれません。
2014年の大阪、2016年の出雲、2023年の大阪に続き4回目の鑑賞作品ながら2階から観るのは初のため、照明効果の秀逸さにはやっと気づきました。
最後は舞台中央前方に全員集合して跪いて天に向かうように片腕をピンと伸ばし、そして両腕を斜め上に掲げると銀色の紙吹雪が星屑のように舞い落ちる中で幕。
エネルギーをたっぷりと吸い込んでから一呼吸置いての高鳴りを更に昇華させる幕切れで、何度観てももう1回最初から丸々観たくなる作品です。

第2部開演後はまず恵子先生の人生を振り返る映像が流れ、Kスタでの数々の貴重なリハーサル映像も拝見。
そしてお若い頃から常にあらゆる病と隣り合わせであった中でもエネルギーを失わないどころか自らを極限まで追い込むようにして仕事に邁進していらしたそうで、
お病気についての解説文を読む限り、仕事ぶりからすると常人では考えられぬ精神力や熱量を備えていらしたと思われます。
踊るにしても振付指導にしても命を削りながら全身で語り尽くす、人対人で厳しくも愛情深く向き合う仕事など大概の人にはとても不可能でしょう。
振付や指導に一身に情熱を注ぐ姿が映し出されていました。雄大!!と叫ぶお声も。
2021年のメモリアルトークで好評であった佐々木大さんへのインタビュー映像も流れ
田中ルリさんのコンクールのパートナーとして出演するに至った経緯や恵子先生との出会い、
恵子先生の知名度を上げたいと奔走なさっていた営業活動の思い出まで、心から慕うエピソードが溢れんばかりに飛び出していました。

プログラム冊子の内容も充実していて、恵子先生の作品についてこうにも詳しい説明付きでの掲載も初めて読みました。
長らく恵子先生と親交が深かった舞踊評論家の桜井多佳子さんによる解説文にも記されていましたが、基本恵子先生の作品は解説なし。
観る者に委ねてくださっていたからか詳細は分からずですが、直球勝負な訴えかけが強い作品だからこそ、説明は不要とお考えであったのかもしれません。
或いは観客もごちゃごちゃ考えず、とにかく観ろや!!感じろや!!とのメッセージだったのか笑。(あくまで私の勝手な想像です)

久留美先生によるご挨拶文では、誰よりも教育者であった恵子先生の情熱的な性格や、香織先生(2016年にご逝去)と3姉妹揃って教え子の舞台鑑賞や旅行へ出かけた思い出、
これから恵子先生の作品をいかにして伝えていくか上演を重ねていくか日々考えていらっしゃる旨を語られ
そして今回のガラを新国立のダンサー達も出演して開催できる喜びと感謝が丁寧に綴られていました。

圭吾監督の冒頭の挨拶文、それから山本さんによる恵子先生の回想録インタビューにもありましたが、
とりわけ山本さんのお話の中には恵子先生の壮絶な厳しさの具体例が事細かに綴られていました。
恵子先生のような修羅になっての指導はできないと圭吾監督も語っていらっしゃり、親戚か否かは関係ないはっきりとした師弟関係が覗き見えます。
山本さんもまた、恵子先生のように生徒の心にまで入り込んでの厳しい指導はできないと仰っていました。
今の時代、当時の恵子先生と全く同じ教え方をしたら大問題になってあいまうでしょう。
おけぴのインタビューにおいても圭吾さんは、ピリついた空気の中で得も言われぬエネルギーを生み出していく追い込みアプローチの仕方ではなく
前向きなエネルギーを引き出せるよう指導したいとの旨をお話しになっていました。
しかし過酷さ極まりない作品であっても、恵子先生が聴力のお病気にかかっていたために
かえって音楽の奥底の音色も捉えていらしたであろう緻密なリズム感や踊り切る体力の鍛錬等
意図を入念に伝えたいと模索しながらの作り上げであったことと想像でき、結果として多彩な作品をいくつも上演を実現。
愛弟子達による伝承から初挑戦者達の新たな息吹まで、しかも恵子先生作品がそこまで馴染んではいない東京にてガラ公演ができたこと、心底讃えたいばかりです。
作品を継承する、再演を重ねるにあたり、恵子先生作品の未経験者や恵子先生との接点がない方も
挑戦していく機会は今後増えていくはずで、今回新国ダンサーの中には初挑戦者も多数。
指導方法や上演機会の開拓までまだまだ模索続きと察しますが、まずは継承及び東京の観客にも知ってもらう大きな第一歩に繋がる公演でした。

それからバレエチャンネルさんによる広報宣伝やSNSが発達した現代の時代も好影響したと思えます。
Bourbierの箇所でも少し触れましたが恵子先生の作品は近年東京でも何度かは上演、上映機会がありました。Bourbier以外にも
2014年春には出演者全員が男性ダンサー構成で挑んだPDA東京公演にて零戦の悲劇を描いたZERO、
同年日本バレエ協会夏の全国合同バレエにてCheminer(主軸は圭吾さん)、
2015年は青山劇場閉館公演にて2012年のPDA大阪公演にて初演された、男性ダンサーのみでエトワールもソリストもコール・ドも踊る
コメディ要素てんこ盛りに味付けして『パキータ』グラン・パをコンテに読み替えたPQ組曲(音楽はそのままミンクス等)、
一昨年頃には愛弟子達が埼玉県にて多重人格を上演。関東においても何度か上演機会はあったのです。
(もっと遡ると、2002年シアターアクトシリーズのスターダストin上海も振り付けられ、こちらはVHS化されました。真矢みきさんや山本さん、福岡さんらご出演)

しかし恵子先生の作品は著作権が非常に厳しく、一部分であっても映像が出回ることがまずなく
集合写真や後日の記事に掲載された舞台写真、プログラム掲載の練習写真が頼みの綱。
ですから2021年にバレエチャンネルさん主催のメモリアルトーク開催時に恵子先生の作品が何本も映像で紹介されたときは夢ではないかと思うほどにもう大感激。
司会の阿部さん曰く、著作権の厳しさについては口を酸っぱくしていらっしゃり、映像公開もあらゆる壁を乗り越えての実現と推察いたします。
Kスタ第30周年記念舞台時の幕間にこれまでの歴史振り返る映像が流れたときも貴重機会に驚きましたが
バレエのメディアとして全国規模で名高く絶対的な信頼性もあるバレエチャンネルさんによる
2021年のメモリアルトーク企画は一挙に話題を拡張させてくださったはずです。
オンライン視聴対応もまた、全国各地の視聴者に魅力を届ける大効果があったことでしょう。

そして今回、バレエチャンネルさんが日々リハーサルレポートやインタビューをこまめにインターネットやSNSにて宣伝してくださり、
広報力にも恐れ入りました。本番1ヶ月前には出演者登壇の催しも開催。 現在はバレエ公演のスタッフに転身された紘也さんによる宣伝映像制作を始め
愛弟子として恵子先生の作品を知り尽くしているからこその、裏方としての行き届いた働きも、公演をより厚みあるものにしてくださったに違いありません。

映像やインタビュー記事、トークでのお話においても恵子先生イコール怖い厳しいおっかない、そんなイメージを持たれた方も多くいらっしゃるかもしれません。
しかし親交が深かった桜井さんの解説によれば、会うといつも元気で明るい人だったようです。
以下、私が一観客としてKスタのプログラムを開き、客席から観たときの厳しさ怖さとは違った印象の恵子先生ですが。(素人目線で失礼)
Kスタが舞台開催時は恵子先生のコンテンポラリー作品だけでなく必ずクラシック作品も上演。
そのとき、恵子先生はどうなさっていたか。時々ですが、ちゃっかり脇役として出演なさっていたのです。
例えば2012年の『ジゼル』では1幕で貴族の1人。リハーサル中にカメラを向けられてウフフ!とポーズを取って微笑むお姿がプログラムに残されています。
2013年の『くるみ割り人形』ではマダム・ギゴーニュ。顔を白く塗って、巨大可動式衣装にも負けぬ小林幸子さんもびっくりな存在感だったわけですが
リハーサル写真では共演の子供の生徒さん達に一生懸命声掛けするエネルギーに満ちた恵子先生のお姿が。
本気で役に、舞台に向き合う、更には生徒さん達を鼓舞させて活力を引き出す先生に、子供は正直ですから楽しそうに頑張ってついていっていました。
この役はコンテンポラリーの指導も担当されていた徳島市の清水洋子バレエスクールでのくるみ全幕でも務められ、
首でフラフープをブンブンと回して笑いをドカンと沸かせる恵子先生でした笑。
最たる抱腹絶倒であったのは2010年のKスタ『コッペリア』での、福岡さんフランツを脅かすスペイン人形。
コッペリウスの家でお人形達が一斉に動き出す場面にて、お扇子を上下に振りながら舞台前方までフランツを追いやり
フランツからは許しを乞う叫びが聞こえてきたと思えたほど。笑いのセンスも王者そのものでした。

長くなってしまいましたのでこの辺りでお開きといたしましょう。ただ最後にこちらを。
プログラムにて山本さんが、ワークショップやオープンクラスを行っているが恵子先生のように
あそこまで生徒の心まで入り込む指導は僕にはできないと謙虚に仰っていましたが
山本さんのオープンクラスにおける、内容は難しくも穏やかな優しさに導かれ日々の心身の栄養としている受講者は多数。謙遜なさらないでください笑。
圭吾さん福岡さん石川さんが今の時代に即した伸び伸びとした空気を作りながら指導している様子を
とても頼もしく感じていらっしゃるようで、あたたかな眼差しで見守るご様子も窺えました。
今回は受付にお出ましで、お姿は変わらず爽やかでノーブル。別格なオーラを醸されていて、私の友人達も興奮しきりだったのは言うまでもありません。

恵子先生の夢でもあった東京でのガラ上演の実現と大盛況な客入りも心から祝します。
福岡さんや圭吾さんの原点を知ることができて良かった、また周囲からももっと色々な作品を観たいとのお声が沸いていて、
レパートリーハイライト映像で流れていた眠りの男性版パ・ド・シスが挿入されている『ジュール』が鮮烈で観たいとの要望も。
鷹揚を山本さん、呑気を秋定さんだったか。リラが佐々木大さんでした。梶原さんも何処かに出演なさっていたはず。私も初めて観る作品映像でした。
あとは『ノートルダム・ド・パリ』、『カルメン』、『PQ組曲』、バッハのロ短調ミサに振り付けられた『Logos』(荘厳で美しい作品です!)、
『Stress』(コンクール用に振付けられたソロ作品で今回Toi Toiに出演の平井美季さんが2020年にKスタ舞台で踊られ、
押し潰されそうな苦しみを凄まじいパワーで体現され印象深し)まだまだ思い浮かびそうです。振り返ると私も多数の作品を拝見してきたと回顧する今日この頃です。
恵子先生、今頃は香織先生とビールを酌み交わしながら変わらぬ厳しさと、
しかし夢を実現させてくれた愛弟子達や作品に果敢に挑戦したダンサー達を喜びの目で見つめてくださっていることでしょう。
近々のガラ開催、心より待ち望んでおります。


※以下、ご参考までに。
恵子先生について  2019年春
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-61f0.html


2021年4月のメモリアルトークイベント。
https://endehors2.blogspot.com/2021/04/blog-post_30.html




3枚の写真展示。山本さんも写っていらっしゃいます。



右側から。



カーテンコールは撮影可でした。指導の3人!



Toi Toiチーム



新国ダンサーズ。



全員で!



圭吾監督!



ToiToiラストを思わす、ティアラこうとう入口付近。



帰りは久々5年ぶりに再会できた友人も交えて乾杯。まずは恵子先生がお好きであったビールから。



4種チーズピザも。最初から切り分けてくださっていて、食べやすい。チーズもたっぷり。



監督の圭吾さんにも敬意を。アトレのインタビューにてハイボールがお好きと拝読。一昨年、3年前のダイフク帰りはハイボール飲んでおりました私です。
海老のクリームパスタ、海老のお出汁しっかり出ていてハイボールともよく合います。



まん丸いふっくら鉄鍋チーズオムレツ!ぐりとぐらの絵本思い出します。



Toi Toiラストの余韻を想起させるきらきら泡のスパークリングワイン。今年のKスタ舞台も今から心待ちにしております。


2025年2月23日日曜日

渡辺恭子さんのラストステージ  スターダンサーズ・バレエ団  リラックスパフォーマンス『シンデレラ』 2月16日(日)




順番前後いたしますが、2月16日(日)スターダンサーズ・バレエ団  リラックスパフォーマンス『シンデレラ』を観て参りました。
スタダンのシンデレラは2009年以来16年ぶりの鑑賞。この日のシンデレラ役をもって退団される渡辺さんがコール・ド・バレエをなさっていた頃です。
https://www.sdballet.com/performances/2502_rp_tokyo/






シンデレラ:渡辺恭子
王子:池田武志
父:大野大輔
継母:中川郁
義姉妹:石山沙央理   前田望友紀
王子の友人:久野直哉  渡辺大地
臣下:鴻巣明史
家来:石川聖人
仙女:角屋みづき
シンデレラの小さな友達:
髙橋麗   愛澤佑樹
早乙女愛毬  加地暢文



渡辺さんのシンデレラは儚い透明感があり、脚先指先から優美な光をそと零すような踊りが繊細で美しや。
しかし芯は確固たるものがあり、回転やポーズへの流れも丁寧なおさまりです。
いじめられている薄幸な姿がいたく似合い、16年前に比較すればいじめの場面でのぶつかりや押しやる行為が抑え目にはなった感はあれど
心折れそうに逃げ場のない様子がそれはそれは可哀想に映りました。

抑え目になったとはいえ、シンデレラが試着した真新しいドレス破いての暖炉への破棄はやはり胸が痛くなりますが
同時に家の中でも舞踏会でも素早く踊る場面がふんだんにある義理の姉妹で、技量が盤石でないと務まらない役柄。
石山さん、前田さん共に寸分の狂いもない身体捌きで場面を切り盛りしていて目を見張る活躍でした。
Kバレエもですが女性が義理の姉妹を務めるとどうにもきつさが増してしまう印象がありますが、スタダンの鈴木稔さん版では融和剤な役どころがあり。小さなお友達です。
最初は1幕にて、もふもふの小さなぬいぐるみな姿で床を這いながら登場し(恐らくは差し金で動かしている?)
シンデレラとお話したり、チーズのご飯を貰いにいったりと仲良しな関係性が出来上がっています。用が済むと退散していきますが
継母や義理の姉妹にいじめられているシンデレラの姿もしっかり目撃していて、倍返しな行動の機会を2匹はひっそり窺っていたのかもしれません。
そう考えると仙女の魔法によってネズミ達がまずは大きくなり、やがて人間へと変身して
舞踏会に行くシンデレラの手助けをお城に着いてからも全て担っていく展開に納得です。
大きなネズミ型マスクを被った姿が可愛くそして被り物しているとは思い難いほどに軽快にシンデレラと踊る光景が
ちゃんと雌のネズミを雄のネズミがエスコートしている点もふくめて微笑ましくお洒落。お耳や目がヒクヒク動くのも可愛らしさ後押しです。
従来四季の精達のコーダで踊られる演出が多い曲にて、マスク被ったネズミ達が妖精達と一挙に上手側そして下手側へと捌けていくと
交互に人間(加地さん早乙女さん)となって登場する変身もスムーズ且つあっと驚く仕掛けです。
到着後もマズルカやワルツの大団円の中に溶け込んで踊りつつ目線は360度方向へ向いているのか
シンデレラと王子を継母や義理の姉妹達から守ろうと追い出したり別方向へと案内したりと賢い奮闘が頼もしいお友達です。偶に失敗してもめげずに再チャレンジ。
加地さんは穏やかでエレガントに、早乙女さんはチャキチャキと勝気な愛らしさでシンデレラを手助け。
目の前にいる王子から逃げ出そうとする内気なシンデレラの背中を押してあげる様子は、シンデレラにとってどれだけ心強かったことか。
12時が近づくとお友達もネズミ姿に戻り、シンデレラを急がせて帰宅まっしぐら。運命共同体な3人です。

また中川さんによる継母がヨーロッパの宮殿か由緒ある邸宅の肖像画として飾られていそうな威厳ある女帝ぶり。
2人の娘達とトリオで踊る箇所は息ぴったりで、舞踏会中は娘達の唯一の応援係として
あちこち歩き回りながらアピールする様子も、玉の輿も夢じゃない状況となればお母さん頑張るわけです笑。
牧時代の中川さんの『三銃士』ミレディは観ておりましたが、他の作品では姫や村娘のイメージがあり、
今年に入ってからNHKバレエの饗宴での『コンサート』といい今回の継母といい初挑戦作品にて大人の役柄での新境地開拓が目覚ましい限りです。

鈴木さん版は独自な演出がいくつかあり、1つは先にも挙げたネズミのお友達の存在で、それからプロローグ。
市場で買い物中に老婆を助けているシンデレラをお忍びで遊びにきていた王子と友人達が目撃し、既にこの時点で出会いの構図が出来上がっていること。
だからこそ、靴の持ち主がシンデレラと判明していざ王子との結婚が決まったときにボロ服だからと自己否定するシンデレラに対して
着飾った姿ではなくそのままの姿で来て欲しいと語りかけながら一緒にお城へと向かう光景は心温まる幕切れです。
お友達もマスクネズミ姿のままで端で見守り、目をぱちぱちさせながらネズミ達同士も愛を育んでいる仕草がほんわかと深まる余韻でした。
それから家庭内問題の描写。継母の意地悪な態度はそもそも仕事ばかりに熱中して家庭を放置している父親にも原因があった背景が描かれ、
継母が話しかけにいっても知らん顔なそぶりで対処。相手に全くしてもらえない寂しさが蓄積して、
もしかしたら娘達とのシンデレラいじめにも拍車をかけていたのかもしれません。
シンデレラがガラスの靴の持ち主と判明したとき、納得いかずに騒ぎ立てる継母達に対して父親がとうとう一喝すると
優しさでも怒りでも何でもいいからもっと心に接触して欲しいと望んでいたのであろう継母の内側から寂しさが抜け落ち、
父親は家庭を放置状態にしていた自身にようやく気づいて継母と姉妹、そしてシンデレラの4人で肩を寄せ合い抱き合っての解決に安堵すると同時に
現代の社会でも何処においても発生あり得る問題でしょう。父親の状況をも事細かに演出に含ませた解釈に
再度驚きを覚えますし、シンデレラの結婚だけでない喜びが二重に増す演出です。

それから名物と申し上げて良いのか、王子達によるガラスの靴の持ち主捜索時におけるJRAもびっくり、お馬でGO!な演出は久々に観ても腹筋の波動が止まらず笑。
3体だったか4体だったか、実際には走らぬ、リアルに作られた馬に王子達が跨って音楽に合わせて手綱捌きつつ疾走感を出しながら身体を揺らしていくのですが
16年経っても不変であるのは嬉しいやら、しかし笑いがこみ上げてしまいました。しかも2回あり。
前後に揺れるときもう少し腰を深く入れた方がより疾走感が出たように思いますが、降りるときにお馬さんのお顔を撫で撫でしていたのは好印象。大事な相棒です。
池田さんがお好きな方は白馬の王子様な姿がご覧になれて歓喜の声を上げていらしたことでしょう。
新宿駅や池袋駅辺りの改札出たスペースにて時々競馬のイベントで実寸大のリアルに作られた馬に乗って
記念写真撮影する企画を見かけますが、スタダンのお馬さん達を観たら担当者も驚倒すること間違いありません。

池田さんは最初から最後まで熱い王子で、プロローグにて友人らと市場へやってくる姿も、
この王子ならお城に閉じこもっているより外の空気浴びているほうが似合いそうと説得力あり。
カーテンコールでは渡辺さんに対する溢れんばかりの敬意と感謝から大号泣されていて、
そうはいってもひたすら引き立てて渡辺さんのラストステージをしっかり支える王子でした。
鈴木さん版、ガラスの靴の持ち主捜索も王子が友人を引き連れて行くのも魅力的で、熱い友情で結ばれた王子の真の友人であろうと観察。
(アシュトン版は王子と友人の間には形式ばった壁がありそうで、そこまで密接な友情ではなさそうと毎度思います笑。英国ロイヤルシネマでの上映真っ最中に失礼。)
仙女角屋さんの白いユニタードな衣装もきりっと決まってシャープな統率力、四季の精がいない代わりに
シンデレラが大事にしている小さな2匹のネズミさんを大切に預かってまずはマスク付きのおめかししたネズミさんに変身させ、やがては人間の姿に変身させて
シンデレラのお供をしてもらうように整えて行く工程もきっちり丁寧に捌いていました。

それからリラックスパフォーマンスは初めて鑑賞する企画で、舞台芸術には興味があっても事情があって通常公演鑑賞が難しい方々にとって、とても嬉しい企画です。
途中の出入り制限緩和やホワイエでの舞台映像鑑賞も可能にしたり優先席配置など、心を寄せた企画力と感じさせました。
プレトークにて暗転を試しに行って心の準備を皆で共有したり、鑑賞時の注意点も小山さんの分かりやすい口調や、隣で洋服屋さん役の関口さんが身体を思い切り使って体現して手助け。
何より、リラックスパフォーマンスの名の通り、まずは安心して楽しんで欲しいとの語りかけがとても優しく響きました。

渡辺さんの次のステージも幸溢れる道のりとなりますように。そしてリラックスパフォーマンス開催の意義をバレエ団から教わった公演となりました。



撮影スポットに可愛らしいお友達ネズミさん



美しい渡辺さんのポーズ。



ポストカードも可愛らしく素敵なデザイン。渡辺さん、塩谷さん両方入っています。ネズミのお友達もバッチリポーズです!

客席には前日に鑑賞した矢上恵子さんメモリアルの出演者や関係者の方々も多数ご来場。一段と華やぐオペラパレスのホワイエの光景を思い出しつつ綴っている今年の本日2.23。
ちょうど2年前の同会場で起きた事情によりこの時期は何かとヒヤヒヤしてしまいがちですが今年は昨年に引き続き平和に迎えられて安心しております。
心穏やかに訪れた2025年2.23でございます。

2025年2月20日木曜日

新国立劇場2025/2026シーズン  バレエ&ダンスラインアップ発表




2月13日(木)、新国立劇場2025/2026シーズン  バレエ&ダンスラインアップが発表されました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet-dance/news/detail/77_028710.html



シンデレラ  12回
※先立って2日間札幌公演もあり。

伊藤郁女『ロボット、私の永遠の愛』<日本初演>  4回公演

くるみ割り人形<新制作>18回公演

バレエ・コフレ2026  4回公演
A Million  Kisses to my Skin/ファイヴ・タンゴ<新制作>/テーマとヴァリエーション

マノン   6回公演

フレンズ・オブ・フォーサイス<日本初演>  5回公演

ライモンダ  10回公演

こどもバレエ エデュケーショナル  白鳥の湖  2回公演

白鳥の湖  10回公演

新国立劇場バレエ団ダブル・ビル  4回公演
ストリング・サーガ(仮題)<新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演>/暗やみから解き放たれて

こどもバレエ   人魚姫  8回公演


以下、バレエ団上演作品中心に勝手に語って参りますが非常に多彩な、綴っていても万華鏡の如く色とりどりな作品が並びました。
まず開幕はアシュトン版『シンデレラ』。カレンダーにも採用されているためもしやと思っていたら予想通り入りました。
1999年の新国立初演以来ずっと版は変えず、例え衣装が頗る年季が入っていても変えて欲しくない版でございます。
明日あたりから英国ロイヤルシネマで同版同作品上映がまた始まりますが、数年前に一新したロイヤルの衣装は張りがあって綺麗なのでしょうがモダン過ぎる印象もあり。
どんなに古くても、古きおとぎ話の絵本を大切に捲るような世界観がある、元祖なクラシカル衣装が好きでございます。衣装部御中、メンテナンスに感謝いたします。
シーズンガイドブックを読んでいても好きな衣装についてのインタビューにて、
水色のきらきらとしたチュチュに銀色の星ティアラを付ける星の精を挙げている方が何名もいるのも頷けます。
シーズン開幕に先立って札幌公演もあり、(当方片方しか行けそうにないがこればかりは致し方ない。
毎度のラーメン道場と次こそは再びの搭乗ロビーでのソフトクリーム儀式できたら!)
hitaruの劇場は広そうですがかぼちゃの馬車は1周半可能か??2002年アクロス福岡では直進だったらしく2007年新潟県民会館は人件費抑制対策兼ねた全国公演特別版配役で
王子の友人達が馬車引きを務め、江本拓さんや冨川祐樹さんらがエッホエッホと息を合わせながら奥行き広いとは言い難い舞台にて
地元の至宝さいとう美帆さんを乗せて猛集中しつつ巧みなカーブ運転をこなしていらしたご様子が懐かしや。

くるみ割り人形は新制作でマクベスを手がけたタケット版へ。ワイノーネン版終了して以降2009年以来迷走が続く新国立くるみですが笑、
タケット版はどんな舞台になるかは占い師でないため私も分からず。
イーグリング版の、クララが恋した紳士的な甥っ子が王子様へとなっていく、クララ自身も大人の階段を上る台本自体(振付ではなく)はロマンティックな魅力があり
また甥っ子軍服や客人衣装、金平糖と王子のシャンパンゴールドな衣装はとびっきり洗練されているだけに、そのまま再利用はいかんかなあ。
SDGsにも繋がり、ダンサーの身体にも地球にも優しいくるみを!

マクベス思い出す限りはスコットランドとは捉えづらい足首が見えるスパッツやら、
スローモーションな最後の決戦にて戦士達が持つ白い棒が蛍光灯に見えてしまい、これで脚立があればショムニか?と首を傾げた記憶もあり。
まあ王道クラシック作品となれば変な手の入れ方はしないと思いたいところ。2幕の各国の踊りをお菓子に見立てるらしいが果たして??
少なくともヘンテコリフトや捻りサポートの連続、携帯電話(スマートフォンの時代になっても最後までガラケーが踏ん張っていた牧さん版汗)、
ラジカセ、ビニール傘、ブレイクダンス、及び東京都庁の出番はないと思いたい笑。

バレエ・コフレ2026は今年と同じく4回公演。もう少し増えても良い気が。ただコロナで流れたファイヴ・タンゴ上演は本当に嬉しい。
男性のセクスィーソロはどなたが担当かしら??ウクライナ国立バレエの公演で観たときのスハルコフさんの大人な芳醇な色気、素敵でございました。
テーマとヴァリエーションは前回1回きりであった中日土曜日キャスト再び観たいところですが叶うだろうか。
ミリオンも喜ばしい再演。前回は直前に怪我人続出で、次回は予定者全員落ち着いて本番迎えられますように。

それからようやくのマノン。2020年に上演期間中に止むを得ず中断され、井澤さんがデ・グリュー踊れずであったのは悲しうございました。
今回は英国ロイヤルから衣装等借りるようで、レスコー衣装がオーストラリアの深緑が好きなのでそこだけ少々残念。
しかしジョーディアディスの衣装による新国立舞台も観てみたかったので楽しみです。2003年公演はまだ新国立観る前だった私でございます。
渡邊さんのレスコーをもう一度観たいが、前回から6年経ち、キャリア重ねてより厚みや逞しさ増したレスコー観たい気持ちが高まる一方デグリューも勿論観たいが、
いやレスコーのほうが欲は上回るか私は。恩田陸さんとの対談にてもう一度やりたいと語っていらしたのも嬉しく、どちらも観たいですね。

そして来ました、ライモンダ全幕!!!しかも10回公演!あの2幕のライモンダの金とブルーのチュチュも10回目にできる、1幕グランワルツも10回聴ける!!
世界情勢を考えると全幕は難しいと諦めておりましたが牧さん版はサラセンも品良く敬意を持って描いていて2幕でのライモンダも戸惑ってはいても決して嫌そうではなく
異文化交流会を堪能しているようにも見て取れるので、サラセン軍団イコール敵の構図があからさまではない点もまた全幕上演可能に繋がっているのかもしれません。
ジャン帰還時も陣営同士では対決せず、あくまで婚約者の連れ去りを試みたアブさん個人に対してジャンが雷落としていると思われます。多分。それに援軍無しだ笑。
とにかく衣装が繊細でブルーの照明と合わさって美しい宝石箱のような精緻な美が結集。
私にとっての2004年初新国立鑑賞作品でもあり、渡邊さんのマント姿(火の付いた矢を放っている眼光を含め観られますように)と共に大変楽しみです。
あっ、ふっくらし過ぎていてお饅頭の騎士ですと言わんばかりの肖像画は書きかえてもらえないだろうか。
遠征先でグルメ三昧ですとしか思えません笑。(平成と令和の札幌観劇遠征中の管理人じゃあるまい笑)
バレエ協会のアリエフ版のように、額縁付きの紗幕の後ろに本人が佇んでポーズの演出、願い出て取り入れてはいかがでしょう。

白鳥の湖はピーター・ライト版再演。衣装や装置が重厚過ぎる、また葬儀で始まるのが暗闇過ぎるとのご意見もあり、
私も当初はそうでしたが回数重ねて観て行くと良さも満喫。オディールの衣装は牧版がさっぱりし過ぎていたためライト版のシルバーたっぷり装飾は嬉しい。
王子の内面描写が全ての鍵となると思うが、次回はどうなるでしょう??
前回は急遽の代役で吉田朱里さんが主役デビュー。大きな話題となりましたが、
成功を支えた立役者の渡邊さん王子の存在も忘れてはなりません。高純度な美しいパートナーシップを構築されていました。

オリジナルなダブルビルでは新国立ご出身の宝満直也さん新作を上演。貝川さんや福田圭吾さんも同様に、こういった団出身者との繋がりがあり続けること大切です。
小柴さんと宝満さんのボーリングとピンを題材にした作品や三匹のこぶたもいつか新国立での再演是非。
暗やみ〜は2014年に中劇場でのトリプルビルで初演したが新国立バレエ史上最たる空席だったかと記憶。
パリオペラ座来日と被っていたとはいえホワイエが図書館並みに静けさに包まれていた。
特出した印象は残っていないが、久々に観たら面白みを味わえるかもしれません。

こどもバレエが複数作品入るのも初かと思います。ライモンダの直後にエデュケーショナル白鳥の湖、7月に貝川さん版人魚姫再演。
竜宮もどうか再演を。今こそ海外からのお客様も多数見込めるかと思います。(長引く円安は困るが)
仮にそのまま時代劇に出演なさっても、太秦撮影所を歩いていらしたとしても何ら違和感のない渡邊太郎の髷姿、再び鑑賞できますように。
何の纏まりもなく綴り続けて失礼いたしました。

ところでライモンダのものがたり紹介の欄にて、ジャンはベルギー王の家臣としてと書かれていますが、ハンガリーではない!?初耳でございます。
チャルダシュは何のため?グランパにて頭の後ろに手を添えるポーズの意味合いは??
あるバレエ教室の発表会にて上演時のプログラムに「ベルギー」の文字を見たとき少々違和感を覚え、
考証していった結果なのかそもそも初演はベルギーが設定であったのか。
新国立劇場の公式ページでも発見し、深まる謎でございます。以前までの新国立上演時のプログラムはハンガリーの記載でした。



※実は、発表前日に気分は赤鉛筆持って初台記念ダービー予想を以下の通りしておりました。
まずまず当たったんちゃいますか!?先週末には他団によるオペラパレス公演2幕にてJRAイベント担当もびっくり初台ダービーございましたが笑。

※上演時期順番不同

シンデレラ

夏の夜の夢 マクベス

白鳥の湖

ミックスプログラム:リラの園 ファイヴ・タンゴ ライモンダ3幕

石井潤版カルメン或いはドミニク・ウォルシュ振付オルフェオとエヴリディーチェ

ビントレー版カルミナ・ブラーナ

ドン・キホーテ



 
2022年お正月くるみ割り人形にて入口でいただいた新年カードには12年ぶりに全幕上演した前年の淑やか貴族令嬢と愚直騎士の並び。
来年はゴールデンウィークに久々の全幕、喜ばしい限りです。

2025年2月17日月曜日

ビジュアルそのままに巧みな舞踊化   大和シティー・バレエ『西遊記』1月31日(金)




1月31日(日)、大和シティー・バレエ『西遊記』を観て参りました。
https://www.ycb-ballet.com/2025winter

演出・振付:竹内春美

斉天大聖  孫悟空:林田海里
三蔵法師:本島美和
猪八戒:福田圭吾
魔王:櫛田祥光
山神の爺さん:小出顕太郎
平天大聖  牛魔王:五十嵐ゆうや
小川莉伯:沙悟浄
観音菩薩:ブラウリオ・アルバレス
燦:紅孩児
鉄扇仙女:池ヶ谷奏
魔王の妻   百花羞公主:古尾谷莉奈
金角大王:窪田夏朋
銀角大王:田中杏奈
玉面公主:室屋しおり


林田さんの孫悟空は、無鉄砲でやんちゃな様子から三蔵法師や猪八戒、沙悟浄らと出会いながらやがてはヒーローへと変貌して行く姿を躍動感たっぷりに描写。
失礼ながらお名前は存じ上げておりませんでしたが、1コマごとの身体の動きが生き生きと俊敏に弾け、全身から茶目っ気や時には狡賢さ頼もしさも放って釘付けに。
牛魔王達との対決での如意棒持っての跳躍や移動も生まれながらの孫悟空かと思わすほどにお手の物でした。
猪八戒とのお饅頭?の奪い合いも、座り姿勢からの隙を見ての強奪に大笑い。
少しでも間がずれれば全部が台無しになる緊迫と喜劇のバランスが崩れてしまう高難度な場面であっても自然な展開でスリルを見せ、楽しませてくださいました。

猪八戒の福田さんは、配役知ったときから間違いないと確信させる期待度でしたがそれ以上。
一歩間違えればコントになりかねない衣装や付け鼻も何ともチャーミングで、台の後ろから出現して食いしん坊な性分をゆったり可愛らしく表現。
しかしいざ孫悟空と対面するとすばしっこい追いかけっこが始まり、その落差にも笑いが詰まっておりました。
冒険中に、飾られた肖像画を眺めるときのボーッと見入る様子もほっこり微笑ましい要素を注入。
小川さん沙悟浄の、水の底でもがきながらやがて地上へと出て踊り出したときの秘めたパワーや腰の入り方も力強く映りました。

そして最も待ち焦がれていた本島さんの三蔵法師の余りの美しさと踊りの達者ぶりも感嘆。
誠に不思議ですが、本島さんは見た目も踊りも年齢を重ねる度に研ぎ澄まされた美の凄味が増していて
実のところ役柄からして今回は芝居中心のキャラクターかと思いきや、着物の裾をさっと翻しながら颯爽と踊る場面の豊富なこと。
いざこざを取り仕切るときの澄み切った存在感も、波乱万丈な物語にふと安堵感を与える魅力がありました。

荘厳な寺院に佇んでいても違和感皆無なアルバレスさん観音菩薩の悠然とした足運びや
豪快に斬り込んでくる牛魔王始め、とにかく各々のキャラクターが挿絵から飛び出してきたかの如くぴったり。

群舞の使い方も工夫が行き届き、扇持って艶かしく優雅に舞い踊って彩ったかと思えば
孫悟空達の対決にて、簡素な白衣装でしたので恐らくは雲としてかと思われますが台を動かしつつ
対決に浮遊感を持たせるよう演出に注力。場面ごとにめくるめく変化で周囲を固めて行く技量も大迫力でした。
そして衣装の凝り方も見所で、孫悟空達主要キャラクター達だけでなく、鉄扇仙女や魔王の妻   百花羞公主を筆頭に
女性衣装が髪型含め細部まで凝っていて中国の宮廷歴史絵巻を見た気分です。
音楽は世界遺産番組で流れている悠久のときを描き出すような壮大な曲もあり。天竺への旅によく合っていた印象です。

西遊記の話を詳しくは把握しておらず、ガンダーラの曲は知っていても堺正章さん主演ドラマも観たことがなく
前日に書店の小型絵本ラックで見つけて大急ぎで立ち読みして鑑賞に臨んだわけですが
明快な物語展開でコンテンポラリー職人達が結集しての胸躍る冒険を堪能いたしました。早期の再演、お待ちしております。
1点要望を申し上げると、平日開催の場合は18時半以降の開演ですと大いに助かります。




カーテンコールは撮影可でした。チャーミングな猪八戒!



奪い合い!



三蔵法師様、笑みが炸裂!



一斉に後ろ向きダンス!



ご挨拶!



徹頭徹尾観音菩薩。



ロビー階段にて!



帰りはぶらり途中下車小田急線。素敵店名!



紹興酒で乾杯。並々入っていました。徳利も艶やか。



チャーハン!!クーポンで餃子もサービス。美味しく、価格も抑えめ、寛げる空間でした。

2025年2月13日木曜日

団体出演が減少傾向 NHKバレエの饗宴2025  2月1日(土)




順番前後いたしますが、2月1日(土)NHKバレエの饗宴2025を観て参りました。
https://www.nhk-p.co.jp/ballet/


※3月23日(日)にEテレクラシック音楽館にてテレビ放送予定のため、さらりと参ります。


牧阿佐美バレエ団『白鳥の湖』2幕
オデット:秦悠里愛
ジークフリード王子:小池京介
フォン・ロットバルト:米倉大陽


牧のウエストモーランド版『白鳥の湖』は2006年以来観ておらず19年ぶり。演出等記憶の彼方にあり、新鮮な心持ちで鑑賞です。
秦さんは新国立のイーグリング版くるみ初期の頃の2017年、2018年に子役クララとして出演されていて、いつの間にか背もスラリと高くなって驚き。
(いかんせんイーグリング版くるみにおける過酷な王子陣は2017年の初演時のダンサーが全員毎年、今年に至るまで出演。8年の間に、子クララはオデットになりました)
長い手脚から繰り出す抜群の美しいラインにまず目を見張り、一方まだまだピュアで初心な要素が強いのは今ならではのオデットでしょう。
恐らくは主役デビューでいきなり全国放送の舞台ですからバレエ団の期待は相当かと思われますが、きっとこれから化けていくことでしょう。
王子の小池さんは昨年の団員振付作品上演のDANCE ALOUDにて、美術館の警備員さんを
警備室にてマグカップでコーヒー飲む姿からしてたいそうリアルで笑わせてもらったのは記憶に新しいダンサー。
恵まれたスタイルで秦さんとのバランスも良く、王子の友人達も大勢出てくる演出の中で
白鳥達を撃たないよう訴える様子の表現もくっきりで歩き方も綺麗。アダージョは2人で1つ1つを丹念に作り上げる姿がいたく清らかに映り、とても良き若手主演でした。
大きな白鳥陣を三宅さんや久保さんら、ベテランな職人達が固めていたのも心強し。
冒頭、情景の音楽の最中から舞台中央に霧がかった中からオデットが登場していた気がしており(確か)、
なかなか面白いと思えた次第です。テレビ放送にてよく確認いたします。


『ラ・シルフィード』からパ・ド・ドゥ
前田紗江    中尾太亮   ともに英国ロイヤル・バレエ団

前田さんが、それはそれは麗しく可愛らしい妖精で目を合わせただけでも蕩けそうな魅惑的なヒロイン。
上の階から観ていても、横に長い舞台空間を思い切り使って軽やかに爽やかな空気を吹かせながらジェームズを虜にしていました。
中尾さんジェームズは婚約者がいる身でフラフラと妖精には走らなそうな実直さも伝わってきたものの笑
シルフィードに恋する純朴な青年ぶりが微笑ましく、踊りは端正に決まって脚捌きが鮮やか。今や次々と大きな役も得ているようで、
旬なお2人のパ・ド・ドゥを目にできたのは幸運でした。そうでした、演出として切り株はもう気持ち大きめサイズが宜しいかと思います。中尾さん座りにくそうでした笑。
ところで、前田さんのファーストネームは携帯電話にて漢字変換すると候補欄にすぐ出てきまして、羨ましい。


『Five Brahms Waltzes in the Manner of Isadora Duncan』 振付:フレデリック・アシュトン
佐久間奈緒

佐久間さんが踊る裸足のソロで、イサドラ・ダンカンとアシュトンの組み合わせが当初は今ひとつ結び付かず。
しかしいざ幕が開くと、佐久間さんの円熟した魅力が全開で大胆に、ときにしっとりとブラームスのワルツに乗せて披露。
そういえば、NHKホールの最寄り駅の1つである原宿駅近くの裏道に、ブラームスの小径があるはず。


『椿姫』から3つのパ・ド・ドゥ
振付:山本康介
中村祥子  厚地康雄

椿姫、3つのパ・ド・ドゥと聞くとどうしたってノイマイヤー版が思い浮かんでしまいますが、
曲も衣装も振付も全くの別物。音楽はリストで、愛の夢も使用されています。
元々は関西のカンパニーウエストジャパンでの瀬島五月さん主演の幕物作品として上演されたとのこと。
3つそれぞれ違う色の扉をそっと開けて入り込んでいくような気分になり、
繋げ方や装置転換もぶつ切りにならず、前の段階の余韻をそっと引き継ぎながらスムーズに進行していきました。
1つめのパ・ド・ドゥでの中村さんが艶やかな香りを振り撒く社交界の華で、見惚れている男性客人達が自ずと見えてくるような
近寄り難い凛とした美しさで、深紅の衣装もよくお似合い。最後は咳込む姿が痛々しく、
本番中のたった10分少々で更なる病魔に襲われて身体がやつれて弱っていくような描写力にもたまげました。
厚地さんは上品でロマンティックな表現が作品にもぴったりで、1月のバレエトラディションではちょいと辛口感想になってしまいましたが
序盤からずっと中村さんを優しく包み込む、そして舞台上で詳細に描かれていなくても確執や後悔を経た後であろうラストシーンもじんわりと余韻残す幕切れでした。
 

『ロミオとジュリエット』からバルコニーのパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
高田茜  平野亮一   ともに英国ロイヤル・バレエ団

高田さんジュリエットは愛くるしくも恋する意思の強さがひしひし伝わる少女で、すいすいと流れるようにロミオへの恋心を体現。
ジェットコースターのように上下の移動も豊富な振付を何とも滑らかな踊りこなしです。
平野さんはロミオにしては少々豪胆な印象が否めずですが、高田さんジュリエットが
天にも昇る心地な様子を支える鉄壁サポートの連続に恐れ入りました。人体乱高下ジェットコースターな振付の連続を再確認。
バルコニーはもう気持ち大きめサイズが望ましかったかと思われ、手を伸ばせばすぐさま触れてしまう高さは、いくら抜粋披露とはいえ演出として疑問でした。


スターダンサーズ・バレエ団『コンサート』

振付:ジェローム・ロビンズ
渡辺恭子  林田翔平  中川郁
ピアノ:本田聖嗣


スタダン初演から3回目の鑑賞。広大なNHKホールで対応できるのか少し不安もあったものの
客席でのマナー騒動の数々から(最近上野で何かと話題、いや問題になっているらしいが)
厳格なルール、タイミングを死守している上に盤石の技術芝居力があってこそ笑いが起きるミステイクワルツやヘンテコな格好でのリフト横切りもお手の物。
本田さんの芝居心もチクリと響き、初役中川さんによるへそ曲がりな妻役もモノにしていてお見事。
渡辺さんの仰天空気椅子から次々と大胆さを炸裂させていく不思議バレリーナで、今週末のシンデレラを最後に退団されるのが寂しい限りです。

ただでさえ大箱なNHKホールにて2日間開催のためか空席が非常に目立ったのは心残りで、初期の頃や2022年の満席まではいかずとも
いくつものバレエ団が纏まった部分を上演するため傾向が減少しているのも一因か。
後日のテレビ放送も各地の方々にご覧いただけると思と喜ばしく、継続を願う企画です。



牧のオデット秦さん、2017年には新国くるみ上田公演にも出演されていました。私も現地で鑑賞。



どーもくんがクラシカルな指揮者に。気分はモーツァルトかハイドンでしょうか。



夕空に輝くシャンデリア。



夜空に輝くシャンデリア。



郷ひろみさんが久々に電車に乗って代々木八幡で下車してNHKホールへいく電車でGO企画番組を思い出し(お父様は駅員さんだったらしい)
行きは渋谷駅周辺の混雑を避けるため代々木八幡駅方面から徒歩でホールへ。富ヶ谷交差点を曲がると案外近いと判明。




帰りは3度目の訪問、パルコの地下にあるグッドラックカリーへ。ハイボールが白くも銀色にキラキラ。グラスの文字も嬉しい。
前田さん、何て可愛らしい華のある美しさでしょう。



カレーの饗宴。ルーローとほうれん草豆の2種盛りに煮卵トッピング。付け合わせの刻みりんごの甘い酸味も全体のバランスを図っています。
カレーの辛さは控えめですが、スパイスが爽やかなに凝縮していて身体に良いものをいただいたと思える後味です。



カレー上から。

2025年2月11日火曜日

田北さんの企画力光る3作選   The 11th  BALLET TRADITION(第11回バレエトラディション)  1月24日(金)




1月24日(金)、The 11th  BALLET TRADITION(第11回バレエトラディション)を観て参りました。
http://www.shinobutakita.com/ballettradition/bt11.html


『ライモンダ』夢の場より
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
原振付:マリウス・プティパ
振付指導・演出:田北志のぶ

ライモンダ:神野日菜
ジャン・ド・ブリエンヌ:厚地康雄
第1Va:荒木彩
第2Va:大城美汐
第3Va:冨士原凛乃

幕が開き、紗幕越しに整然と集まって並ぶ左右対称に片腕を掲げるポーズや、
青いチュチュで揃えた幻想的な美しさにに感嘆。2階席からはフォーメーションの緻密な変化や出入りのタイミングの揃え方、
とりわけ上体の動かし方の豊かさに統一感を持たせる群舞の落ち着いた品が調和したコール・ドに魅せられました。
2023年のトラディション『ジゼル』でひょっとしたら錚々たる主役3名以上に衝撃を受けた、統制の取れたコール・ドを再び眺めることができ感激。
所属団体も活動拠点も様々とは思えぬほどの纏まりがあるとこの度も感じた次第です。
今回の衣装、薄い青のチュチュにカチッとした濃い青地を重ねた美しいデザインで、他の団体における同場面上演時や
愛媛県西条市にて上演された2・3幕ハイライト版での第2幕でも目にしたことがあり、ライモンダでは選ばれがちな馴染み深い衣装であるのかもしれません。
ソリスト陣は皆様これまでにも拝見している方々で再度鑑賞の機会に恵まれ嬉しい限り。
第1Vaの荒木さんは昨年8月の江戸川区にてチャイコフスキーパ・ド・ドゥでのキビキビと切れ味のある踊りが印象に残っており
今回は新たに追加された初めて聴く曲でしたが(確か)、どの箇所もきちんと決まる職人な味わいで楽しませてくださいました。
第2の大城さんは2022年の田北さんオープンクラスの発表会でのダイアナとアクティオンで光る潔い強さあるテクニックに驚かされ
今回は細やかなポワントワークやポジションのおさめ方の正確さに惚れ惚れ。
第3冨士原さんはシティ公演やエンジェルアール等何度か観ており、ぱっと華やぐパワーで支配する空気の変えように目を見張りました。
それにしても、グラズノフの音楽は傑作と再確認。夢の場ソリストのよく知られたヴァリエーション2曲にしても
真珠と星屑が仲良く転がるような曲調と、流星の宴を思わす瞬きに満ちた曲の双方に聴き惚れました。新たに追加されたVaの曲が思い出せず、お許しを。
ライモンダの神野さんは長い手脚のラインから優雅さを放つヒロインで、音楽をたっぷり使いながらの大らかな踊りも魅力的。
厚地さんは正直ソロは少々ヒヤヒヤであったものの、ライモンダを優しく導く夢の中の騎士を体現。
(しかし夢の中とはいえ出征中の騎士にしては線が細くも感じたかもしれぬ)
マントが中途半端な長さ、素材に見えたのは自称マント評価委員東日本支部長な私の厳格基準の影響かもしれずですが笑
お2人揃って白がお似合いな、気品ある主役ぶりでした。


ワルプルギスの夜

音楽:シャルル・グノー
原振付:レオニード・ラヴロフスキー
振付指導・演出:田北志のぶ

巫女:秋山瑛
バッカス:秋元康臣
パン:森本亮介

全編通して観るのは2回目くらい。大阪のMRBガラにて観た記憶があるが、音楽がどれも心底好きであるため
また涼しげなバランシン版は近年スターダンサーズ・バレエ団で2度観ていながらラヴロフスキー版はまだ観ておらず。上演を待ち侘びておりました。
まず巫女の秋山さんが衣装は真っ赤で情熱的ながら、技術は余りに涼やか軽やかに刻んでいく余裕っぷりに口あんぐり。
爪先のコントロール力もお手の物で、更にはガラやコンクール等では目にする機会も多いであろうソロでの
達者でお茶目なサチュロス4人を引き連れての女王然とした姿もまた天晴れでした。往年のボリショイ思わす、少し演歌テイスト入ったプレゼンテーションも作品にぴったり。
前半、秋元さんバッカスとのアダージョの天高く聳える塔の如きリフト移動からの横倒しキャッチされる空間遊泳の雄大なことよ。
そしてパンの森本さんが今まで観た役柄の中で一番魅力が花開いていた印象で、闊達に跳ね回ってはキャラクター達とコミュニケーションを取りつつ舞台を力強くリードされ、
舞台中央奥にて横笛を吹く仕草もリアル且つ音楽に乗って雄弁。目が離せませんでした。
ニンフ達の滑らかで気持ち妖しげな彩り、ベールの踊りトリオの哀愁吹かせる踊りも音楽としっとりと溶け合って、
フィナーレでの全員の大団円は狂うような高揚感。是非早期の再演お待ち申し上げます。


ウィンナー・ワルツ

音楽:ヨハン・シュトラウスⅡ世、ヨーゼフ・シュトラウス
原振付:アニコ・レフヴィアシヴィリ
改訂:ニキータ・スホルーコフ
振付指導:田北志のぶ

カルロ:田北志のぶ
フランツ:ニキータ・スホルーコフ
カイザーリンク伯爵:ヤン・ワーニャ

2022年の田北さんオープンクラス発表会にて田北さんとスホルーコフさんによる抜粋版鑑賞以来全編観てみたかった作品。
スホルーコフさんがウクライナ国立に移籍して初めて踊った、思い出深い作品でもあるとのこと。
バレリーナのカルロを巡って裕福なパトロンのカイザーリンクと若き作曲家フランツの三角関係が織りなす
シュトラウスⅡ世やヨーゼフ・シュトラウスの名曲に乗せた、切なくもお洒落な展開です。
田北さんは以前よりも更に細身になられて少々心配になりましたが、身体で語りかけて物語を動かして行く踊りや
フランツへ想いを持ちつつも伯爵主催の舞踏会で板挟みになる戸惑いや苦しみの陰も切々と表現。
スホルーコフのフランツがまさに愛に生きる作曲家で、寝室でとうとう2人きりにカルロへの首っ丈な気持ちを溢れんばかりにぶつけ
しかしどんなにエネルギッシュでも品を失わず、滑らかなサポートも美しや。
結局はカルロは立場を譲れず、フランツは1人舞踏会を去ってしまうものの、ドナウ川にてカルロへの想いをしたためていると
最後は美しく青きドナウへと繋がって爽やかな群舞で締め括り。清々しい後味で幕が下りる作品でした。

今回は3作品全て音楽構成が好みである点も大きく、またスホルーコフさん(発音としてはスハルコフさんとどちらが近いのだろうか)もご出演で楽しみに足を運びましたが、
作品や配役選びともに手堅くもワクワクさせてくださる田北さんの毎回の企画力や演出力に脱帽です。
気品ある古典、躍動感ある作品、そしてお洒落なセンス光る作品のバランス良きトリプルビルでした。
それから毎回の楽しみの1つが田北さんのご挨拶文。変にかしこまっておらず、紙面越しに読み手と会話するような文体にすっと引き込まれます。
頻繁にパートナーを組んで、伯爵役も踊っていたアレクサンドル・シャポバールの戦死を悼む文には胸が痛み、
スホルーコフさんがドネツク出身と知った3年前からお生まれの故郷も心配で、11年前のクリミア併合時から対立や混乱がずっと続いています。
ドキュメンタリー放送でも惨状に苦しむご様子が映し出されて。まだまだ終わりが見えぬ事態が続いていますがどうか平穏な日が1日でも早く訪れますように。




会場



タイムテーブル。ライモンダとワルプルギスの間はヴァイオリンとチェロの演奏が行われました。出演者やスタッフは早替え早転換タイム!!



ビールで乾杯!ビール短編集で缶ビールを綺麗に注ぐ方法を読み、実践。まずまず上手く注げた気がいたします。



レモン付きで酸味が効いたボルシチ。

2025年2月7日金曜日

ENB イングリッシュ・ナショナル・バレエ団シネマ デレク・ディーン版『白鳥の湖』




先日川崎市の新百合ケ丘にて、ENB イングリッシュ・ナショナル・バレエ団シネマ デレク・ディーン版『白鳥の湖』を観て参りました。
https://www.culture-ville.jp/enbswanlake





演出:デレク・ディーン
オデット/オディール:イ・サンウン
ジークフリート王子:ギャレス・ハウ
ロットバルト:ジェームズ・ストリーター


今回延長による上映で鑑賞が叶い、好評のようですのでもしかしたら再度延長上映もあり得る?かもしれず、さらり程度にとどめて綴って参ります。
以前配信で視聴した、同じくアルバートホールで開催されたクリストファー・ウィールドン振付の360度『シンデレラ』も
特に舞踏会はブルーのドレスがめくるめく翻って舞台上を広がって大迫力でしたが、白鳥となれば渡り鳥か⁈いや、スイミーの白鳥版か⁈と思わす壮観ぶり。
360度の角度から眺める、大型円形舞台で踊られるスケール大きな演出で白鳥コール・ドは60人とのこと。
カメラワークも多彩な位置からの撮影で、湖畔の場を真上から観るとチュチュの揺らぎが海月に見えたりと目が離せず。
幾何学模様のフォーメーション変化もよく練られ、上からの映像では数学や化学番組における図形の移動や粒子の集合と分散の仕組み解説を観ている気分。
時には白鳥コール・ドに呑まれそうな錯覚になる、王子と同じ目線で駆けていく撮影映像もありました。
360度客席ですから背中、後ろ姿でも一層雄弁に語る伝える力が必須な中、どのダンサーも背後の観客を意識していたのでしょう。背中からのパワーも張りがあった印象です。
冒頭はロンドンの街並みやアルバートホールを上から俯瞰しての映像で幕開け。日本の川崎市にいても、気分は現地ロンドンの観客です。

ソリスト人数も大掛かり対応していたり、ロットバルトはサッカーやラグビーの主審彷彿させる走りっぷりでホイッスル持っているのではないかと確認したくなったほど。
マントも巨大で重そうながら豪快な羽ばたきで舞台を力強くリードしていました。
例えばトロワや四羽は組数を増やして分散化させ、360度広大舞台に柔軟に対応できていたものの、主要役3名はそうもいかず。
高難度条件付きであっても、少なくとも今まで私が映像含めて観てきた中で最長身女性ダンサーであろうオデット/オディールのイ・サンウンは
182センチの細身の身体を涼やかにコントロールするラインで魅了。パ・ド・ドゥも、オディールのフェッテも
方向転換を行いながらぐるりと取り囲む観客全てに向けての踊りがお見事でした。
群舞60人を従えても埋もれずであるのは身体条件を思えば当然かもしれませんが、主役として惹きつける崇高で気高いオーラから繰り出す美しいテクニックもあってこそ。
これまでのキャリアについては把握しておらずですが、組めるパートナーは限られているでしょうし
仮に日本であったら、女性で180センチを超えそうであればバレエではなく宝塚や他の舞台芸術への転向を周囲も勧められてきそうですが
360度白鳥における主役を観た印象からすると、バレエを継続してくださって良かった。
王子のハウは歩き方や表情が少々庶民っぽく、もう少し背筋をすっと伸ばした美しさが観たかったのが正直なところ。
ただ通常の版と比較すると走行量が何十倍も増えた事情を考えると、粗が出がちになっても致仕方ないかもしれません。
皆、とりわけ王子やロットバルトの走る量は自ずと多くなり、途中からは爆風スランプのランナーが脳内を駆け抜けたほどです笑。

衣装デザインも全体通してセンスが良く、1幕ワルツは2グループだったか村人風な集団と宮廷の人々風な集団の構成で、
宮廷チーム女性の抑えたエメラルドグリーンのスカートが品良き色合い。3幕舞踏会はどれもずっしり重厚。
それからワルツ等に元新国立劇場バレエ団の横山柊子さん、池田紗弥さんのお姿も目にできました。
中でも、2023年のDAIFUKUにおいてもスタイリッシュな舞台姿で活躍された横山さんの独特のパワー溢れる踊りが好きで観ていて幸せになり、
大所帯の中にいても埋もれぬ存在感。また舞台姿に会えたらと願っております。
大谷遥陽さんのパワフルゴージャスに舞台を牽引するナポリや(だだっ広い舞台で2人っきり)、1幕での柔らかく滑らかな身体の使い方が巧みな猿橋賢さんも印象深し。
猿橋さん、かれこれ長いキャリアをENBで築いていらして、ご出身教室の記念公演に凱旋出演された2016年びわ湖ホールでの『コッペリア』フランツや
翌年ENB来日公演にて様々な場に出演されていた『海賊』が懐かしく思い出されます。

実質休憩無しでお尻が少々痛くなってしまったものの、数字で読み解くディーン版白鳥の湖と題してのコール・ドや出演者人数、衣装完成までの日数や
教育プログラムやパーキンソン病療養へのダンス取り入れに協力する体制等、幕間映像も見応えある内容。
舞台と1列目の客席は非常に近く、大相撲中継のように1階前方客ははっきりと映し出されていました。開演前には客席も映し出されるため、内部構造を楽しく観察です。

360度舞台の鑑賞は元新国立劇場バレエ団所属団員の大和雅美さんと福田圭吾さんが発案や企画を行なっている
DAIFUKUシリーズにて、公演によってはスタジオを使って360度型舞台公演を実施。
『くるみ割り人形』ハイライトや、日本の古き良き家族模様(只今スポンサー問題が色々とありそう汗)を描いたHOMEを横浜のスタジオで観ております。
大和さんも元々はアルバートホールでの舞台に憧れ、日本でもやってみたいと意欲が沸いた旨を記事で話されていたことをふと思い出し
映画館の大スクリーンや整った音響で360度『白鳥の湖』鑑賞できたこと、興奮な体験でございました。
https://www.angel-r.jp/staff-blog/10009/




映画館へ行くと、まもなく公開の話題作品について知識が広がるのは嬉しい。しかし管理人、ホラー映画が苦手で予告も目を背けたくなる性分。
その昔予告で『リング』が紹介され、咄嗟に気分が重くなってしまったものです。ただ色々なジャンル作品を知るのは大切と思っております。
今回観た中では、中世の世界へと飛び込んでいくドラえもんの最新作に興味を持ちました。



新百合ヶ丘駅前の街並み



実写版『白雪姫』も上映とのこと。我が家には何体か可愛らしい鹿のぬいぐるみがあるため、鹿さん目当てに観に行ってみようか。
(奈良或いは宮島に行けや、と言われそうですが笑)
またあくまで個人の趣味嗜好ですが、昔からバレエを多く見過ぎているせいか王子様のハードルが自然と高くなり、ディズニーの王子貴公子にはなかなか惹かれず。
バレエにおける『白雪姫』は大阪にて矢上恵子さん振付のコンテンポラリー版と(再演希望)、新国立劇場での2017年子どもバレエにて(お蔵入りだろうか)観ており
それぞれどなたの王子で観たかはご想像がつくと思いますが笑、当然白雪姫王子のハードルが更に上昇でございました。
新国立子どもバレエ版では、森の中で白雪姫の背後から王子が姫の頬に接吻する場面も設けられ、それはそれは甘酸っぱい恋模様であったのは言うまでもありません。



幕間の映像も見逃せず、3時間座りっぱなしであったためエネルギーを大消耗。
今回はアルコールではなく、駅近くの喫茶店ダージリンにてダージリンブレンドとアップルシュトゥルーデル。
ショーケースに何種ものケーキが並んでいました。ドイツオーストリア系のケーキも複数あり。
少し前にテレビ放送されていた『サウンド・オブ・ミュージック』を視聴していたらオーストリアのお菓子を欲し、こちらに決定です。
煮詰めたりんごぎっしりで温かい状態で出してくださり、シナモンの香りも豊か。こんもりとクレープ風の丈夫な生地に包まれ、ボリュームもしっかりあります。
あ、白雪姫もりんごか。




雪を被った山のようです。



ポットにたっぷりの紅茶。お湯の注ぎ足しは1回可能で、店員さんが行なってくださいます。
すると砂時計も置いてくださり、3分待つようにとのこと。
物覚えとは反対に、ノンアルコールな飲み物を飲むスピードは早い管理人。待機中落ち着かず、ソワソワ。ムスカの気分で、3分間待ちましょう。3分経ったら、時間だ、紅茶を飲もう!です。
ムスカ3分タイマーも存在するらしい。



ENB、また来日叶いますように。前回観たのは2017年来日公演での『海賊』でした。
直後に愛媛県西条市での鑑賞に合わせてしまなみ海道自転車縦断(実際にはとても完全縦断はできず、途中からは船で尾道へ)にも行ったため、
日本の海賊の縁の地でチラシ並べて記念撮影!このとき帰りに新幹線乗り換えのため、修学旅行以来2度目の福山駅利用を体験いたしました。
2度の乗り換えのみ利用を経て、ようやく初めて下車したのは昨年のSSBガラ福山のとき。
想像以上に大きな駅で、バスターミナルも立派。少しバスで移動すれば大らかな鞆の浦に到着。
バレエ鑑賞を通して全国津々浦々へ出向いており、目指せ伊能忠敬!まではいかずとも、楽しき人生です。

そうでした、新百合ケ丘からの帰りに通った沿線駅に幼い頃に通っていた水泳教室があり。
西城秀樹さんの名曲思わすアルファベット4文字の名称で、子供の頃この曲を知らずにいたため
水泳教室名を口にすると周囲から両腕掲げてのアルファベット4文字を体現され、何のこっちゃ?と疑問符が浮かんでいたものです笑。
帰りにその駅を通りかかった頃にちょうど7月の新国立劇場ヤングガラの概要が発表され、手が震えるような驚き嬉しい抜擢もありました。
そんな出来事もあって、また昨日は朝から気持ちが重たくなる列車事故が発生し、
帰宅後は九州のある教室での熱血特別講師と元気いっぱいボーイズが繰り広げる映像も再度目に触れたりと、以後自宅ではヤングマンばかり聴いております。