2025年9月26日金曜日

新国立劇場バレエ団『ジゼル』ロンドン公演滞在期間2025年7月22日~28日(月) 第6回:滞在5日目7/26編 昼:柴山紗帆さん&速水渉悟さん主演夜:米沢唯さん井 澤駿さん主演 英国式くまさんドイツパブとビートルズの所縁の場所で祝福




お待たせいたしました。(お待ちくださっている辛抱強い方は2、3人くらいかと思いますが)
新国立劇場バレエ団「ジゼル」ロンドン公演7月26日(土)、この日は昼夜公演です。
昼の主演は柴山さん速水さん、夜は初日に続き米沢さん井澤さんでございます。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/giselle_london25/

https://www.nntt.jac.go.jp/ballet-dance/news/detail/77_029712.html


昼公演
ジゼル:柴山紗帆
アルブレヒト:速水渉悟
ヒラリオン:渡邊拓朗
ミルタ:山本涼杏
ウィルフリード:小柴富久修
ベルタ:中田実里
クールランド公:中家正博
バチルド:内田美聡
ペザント・パ・ド・ドゥ:飯野萌子 石山蓮
モイナ:東真帆
ズルマ:飯野萌子
バッカスの少年:DIMA DOBRYNIN-LAIT(ロイヤルバレエスクール生徒さん)


夜公演
ジゼル 米沢唯
アルブレヒト 井澤駿
ヒラリオン 中家正博
ミルタ 吉田朱里
ウィルフリード 中島瑞生
ベルタ 関優奈
クールランド公 小柴富久修
バチルド 関晶帆
ペザントパ・ド・ドゥ 池田理沙子 水井駿介
モイナ 花形悠月
ズルマ 金城帆香
バッカスの子供 WILLIAM BRIERLEY(ロイヤルバレエスクール生徒さん)



※夜公演分は明日あたりにこの記事の中に追加する予定です。ひとまず昼公演から。

柴山さんは純水がふわっと広がるようなピュアなヒロインで、控えめにはにかみながら丹念にステップを踏む姿がいじらしくて仕方ありません。
アルブレヒトを好きではあるけれども何処か不思議そうに見つめたり、しかし愛情を確認して縋り付いたり、恋に恋する可愛いらしい少女でございます。
音楽をそれはそれは大事に踊っていたのも好印象で、清楚な踊り方の中にもメリハリ、強弱が東京公演以上にくっきりと付いていて
気づけば観れば観るほど、音楽と踊りの楽しい呼応を満喫しておりました。
とりわけヴァリエーションの前半のゆったりとした回転が演奏の余韻も優しく奏でるように舞い、そして村人達に笑みを送る姿が忘れられません。
狂乱は早々から空虚な目つきで何処かへ飛んでいってしまいそうな危うさで
回想しながらの花占い再現は、信じたくない思いに駆られた怒りまでもが充満しているようなおどろおどろしさに身震い。
ウィリーになると、楚々とした味付けや浮遊感もありつつ、アルブレヒトを守り抜こうとする信念の強さが光っていてすっとポーズが移る度にすっと伸びる四肢も美 しや。

速水さんは登場時、吹き出しからおはようございます〜と爽やか挨拶が読み取れる明朗太陽系貴公子。ロンドンの霧も瞬く間に晴れそうな勢いです。
ジゼルに会いたい気持ちが昂ぶるのを抑えられない様子もここまで来ると微笑ましく映り、ロンドン4ブレヒトの中ではダントツの愛想の良さでございます笑。
自ずと小柴フリードも、子供を叱るお父さんのように見えた気がいたし、相手それぞれの造形が異なるからこそ発する感情も変わってくる様子を観る醍醐味を、
そして全回鑑賞インロンドンで正解であったと再確認です。
ジゼルに対しては笑顔の集中投下で、身体が弱いがために行動は制約だらけであっただろうジゼルからしたら
何をしてもニコニコ受け止めてくれるアルブレヒトの朗らかさの沼にすっかり落ちてしまうのも頷けますし
しかも柴山さんジゼルが4人の中でも最たるお淑やかな雰囲気であるためか深窓の令嬢のように閉鎖的に育てられた感が一層あり、
これまで会ったことがない人種であろう笑みと優しさの宝箱な速水さんアルブレヒトに途端に恋してしまった、心を許してしまったのも説得力がありました。
ジゼルが狂乱の最中にいるときは、取り返しのつかないことをしてしまったショックを撒き散らしていて今にも泣き出しそうであったほど。
若さゆえに突っ走ってしまい、まだまだ心は幼いアルブレヒトの制御が効かない心境がリアルに表れていたと思えます。
真骨頂は2幕でのミルタから命じられる死への踊りでバネが仕掛けられていると疑うほどに高く、
加えて苦しさもじわりと零れ落ちていく姿に客席が沸き立っただけでなく、
終演後ロビーにて懸命に再現しながらいかに速水さんアルブレヒトのジャンプに魅せられたか
身体を張って説明している男性客にも遭遇いたしました。スーツ姿で頑張って再現なさっていたのです。

まことに失礼な話、この柴山さん速水さんペアのパフォーマンスや魅力がロンドンでしっかり伝わるかは当初は少々心配で、
化学反応のドラマが決して密度濃いタイプではなく、しかし美しいテクニックは確固たるものを持つお2人。
2公演観た時点で観客の反応からしてロンドンでは踊りの細かな上質さよりもドラマ性や伝える力が前面に出ているか否かが鍵なのではと感じるようになり、不安もあったのです。
ところがどっこい。端正な揺るぎない技術の強さはそのままに、伝わってくるものがたっぷりとございました。
しかも私の座席は全席中、最も見え辛いであろう最安値の見え方不利な席にも拘らずです。
恐らくは、それぞれの人物造形をよりはっきり見出したか、またただ一緒に歩く手を繋ぐにしてもどんな感情が走るか伝えるべきか、
ロンドンに向けてより細かく考えて話し合ったのであろうと想像いたします。
また先に述べたように、特に柴山さんが清楚さはそのままに踊りや感情の味付けにほんのり刺激を増強。
受け止める速水さんも一段と存在が大きく見え、だからこそ観え辛い我が着席位置まで伝わってくるものが膨らみを持って届いてきたのでしょう。
2幕では、少し大人になったウィリーのジゼルがずっと励ますように接していて、応えるアルブレヒトの後悔も迸り、
お2人の強みである端正なテクニックはそのままに内側から滲む要素の豊かさが加わっていた柴山さんと速水さんでした。

渡邊拓朗さんヒラリオンは、村の中では異質な巨人感(褒めております)が森番が特異な仕事人であると窺わせ
村一番の育ちの良い清楚なジゼル、謎の太陽系貴公子との三角関係にぐっとパッションやスパイスを与えてくださいました。
速水さんアルブレヒトとの青いぶつかり合いも観ていて爽快。ジゼルは恐怖で震えていたでしょうが。
中田さんはおせっかいが身体から溢れんばかりに出てくるようなベルタお母さんで、娘の汗を見る度に命が縮む思いであったはず。
アルブレヒトの怪しさに早々に気づいていて、娘に近づけまいとガンを飛ばす表情は、怖くも母としての務めが窺えるひと幕でした。
職人な飯野さんと若く勢いあるお祭り男な石山さんによる爽やかさを真っ直ぐにもたらすペザントも印象に残っております。
山本さんのミルタは東京公演以上に威厳、振る舞いの気高さも増して、速水さんアルブレヒトをひたすら踊るよう命じる仕草といい、静かなバトルも見応えありました。
ドゥ・ウィリーは東さんの首筋から脚先に至るまで空気に溶け入るような柔らかなライン、無垢な踊りも目に響き、つい目でずっと追ってしまいます。

ウィリー達はこの日も大人気で、ミルタを前にしてシャキンと並び終えたら大拍手。ヒラリオンを沼に落っことして任務完了儀式な並びにも歓声付きの大拍手。
幽玄な舞いの連鎖から繰り出す、ヒラリオン追い詰めていく攻撃性にも興奮を覚えますし、
そうかと思えばミルタには忠実に仕える部下達としての徹底して乱れぬ統制美にも感嘆。24人の立ち姿で静止の尊いことよ。
抑制した中で静と動の双方を美しく揃えて描き出す新国ウィリー達、バレエ団の誇りです。
時間軸戻って、ウィリー達が登場して一斉にベールが飛んでいく光景にも周囲の観客、息を呑んで眺めていました。冷気がひんやりと肌を伝う感覚も毎回が鮮烈です。
勿論カーテンコールは割れんばかりの拍手で讃えられていました。

それからロイヤルオペラハウス名物か、開演時間が迫ってくるとロビーにいる観客達に係員が大きな鐘を鳴らしながら知らせていて、豆腐屋さんか福引一等賞を彷 彿。
ロイヤルシネマ好きな方からは、牧羊犬の名残説もちらりと話題になり笑、追い立てられている感は肌で感じておりました笑。
オペラハウス出入り口では荷物検査があり、警備員さんは職業柄新規であってもリピーターの顔を覚えるのか、
25日(金)公演では帰りがけに日本語で「気をつけて、また明日!」と声をかけてくださった方もいらっしゃいました。
日本に関心があるのか、来英団体に合わせて言語を合わせてくださっていたのかそのときは分からずでしたが
初台にいるときと同じ会話を繰り広げていたロイヤルオペラハウスの一角でした。
千秋楽に判明しましたが、日本の上手さを日本語で褒めましたところその警備員さんはどうやら日本での生活と少しご縁があったとのこと。(聞き間違いでしたらす みません)
日本からの団体の来英公演に日本語が飛び交う観客達に嬉しい懐かしさが込み上げてきたのかもしれません。
職業柄一見おっかない風貌の警備員さんですが、少し心開いてくださり私もホッと和んでしまいました。


※明日あたりか、夜公演レポートはここに追加いたします。先にカーテンコール写真は載せております。

夜公演
主要役陣も初日より肩の力抜けて、一層ドラマ深まりました。
特筆すべきはベルタの関優奈さん。マイムの間の取り方や身のこなしの何処か翳のある深みといいウィリーの恐ろしさの説明時における冷たさが肌を伝うような凄みある亡霊なる姿、
賑やか楽しい収穫祭の雰囲気を瞬時に変えて暗い森の不気味な風を吹き起こすような空間支配力にゾワゾワと鳥肌が立ちました。
グローブ座の舞台にいらしても違和感がなさそうな芝居力に再度平伏した次第です。
夫を亡くしてからはずっと葡萄園を切り盛りして経営手腕も高く、ジゼルを支えてきたのであろう人生までもが目に浮かびます。

それから米沢さんジゼルの狂乱が静かな中にぽっかりと穴が空いた見るからに危うい恐怖感、
語りかける中家さんヒラリオンの熱い訴え、既に引き裂かれそうになっている井澤さんアルブレヒトに
全てを把握していただけに隙を突かれて壊れ行く事態に動揺するも坊っちゃまを最後まで守ろうとする中島さんウィルフリードが寄せる悲しみが充満し
そこへベルタの嘆きが加わるのですからそれはそれは悲劇の濃縮度が上昇。遂にジゼルが息絶えると、
アルブレヒトとヒラリオンのぶつかり合いのヒートアップに錯乱し人目をはばからずに大泣きして悲嘆に暮れるベルタの突き飛ばしからの
アルブレヒトに立ち去りを再三体当たりで説得するウィルリードの並びから、 観ているこちらまでもが悲しみの沼へと落ちていきそうな凄みある1幕幕切れでした。
この回も舞台から遠目で観易いとは言い難いベンチシートで鑑賞しているにも拘らず。

2幕ウィリーの米沢さんは登場から安定するどころか、身体の向こう側が透けて見えてきそうなほどに亡霊感が増しての登場。
無に近い佇まいながらアルブレヒトへの語りかける身体は優しく、ふわりと余韻を持たせての腕遣いから繰り出す抱擁に心蕩けそうになったことか。
吉田さんミルタを筆頭にウィリー達の美しさに潜む怨念も上向きに表れて、恐ろしさのあまりロンドン塔の霊達も萎縮しそうです。
怖ければ怖いほど観客の応援もノリにノッてしまい笑、ヒラリオン突き落としには毎回笑い声が発せられ、
鳴り止まぬカーテンコールの喝采にはウィリー達からも手応えある笑みが広がりました。

当初は牧さん版「ライモンダ』を持って行きたかったとお話しになっていましたが欧州での上演困難な筋運びから『ジゼル』に決めたといった吉田監督のインタビューがあり
数ある版の中でも壮麗で繊細な写本の絵巻物の如く美が詰まったプロダクションに対してワシントンD.C.での成功を目にしていた者としては、
また男性も3幕には大所帯で出演必須な大迫力作品ですからロンドンでの披露がなくなったのは残念に思いましたがまあ話が話なだけに仕方ない。
しかし今回、コール・ドへの大拍手や上演中にまで沸き起こってしまった歓声も、結果として演目選定の成功を物語っていたかと思います。




昼のカーテンコール。



後ろ姿。恐らく柴山さん⁈綺麗な背中です。



夜キャスト



夜公演。米沢さん、花束の中をゴソゴソ。皆さん注目しています。



お花を一輪抜いて井澤さんへプレゼント。



受け取る井澤さん、嬉しそうです。喜びの輪はウィリー達にも。吉田さんミルタも思わず拍手で讃えていらっしゃいました。さっきまでは苦しみ懲罰を与えていた貴公子を笑。



お花持ってご挨拶。



無事終演。



幕の隙間。


※以下は観光写真多数です。お忙しい方は無理に読もうとなさらずに。



おはようございます。この日は朝は近所を散策。そして昼間はピカデリーサーカスにあるアルバートシュロスで食事兼お祝いです。
アルバートシュロス、素敵名称です!このタイミングのロンドンにて。



くまさんがマークです。英国式パブにてドイツ料理を届ける働き者のくまさん。
パブで食事注文は初めてで少々緊張。しかしスタッフの方から食事しますかと聞かれて、
はいと答えると、メニューを渡してくださり、席は自由である旨も親切に教えてくださいました。
まだそこまで混み合っておらず、注文は初台のHUBと緒でカウンターかなと考えながら行ってみると合っていて一安心。
飲みたいビールの銘柄を発音してサーバーを指しながら伝え、メニュー見せながら食事も注文。
所謂ランチメニューは無さそうで、1人で食べ切れそうな、そうお高くないメニューを選択。どれくらいの量でくるか、どきどき。



飲み物はその場で受け取ると、店員さんが味変調味料を「置いておきますね」と目で合図しながら席にセッティングしていてくださっていました。
パブでの食事注文全英デビュー、無事完了!
そしてこちらです、ホームページ写真眺めては行きたいと欲が募っていた、チャーミングな柄のくまさんジョッキでのビール。
ロンドンでジゼルを観る、ロンドンでドイツ、ロンドンにあるドイツ料理出すパブで食事してお祝い、店名はアルバートシュロス。
絶好の機会と思いで参りました。しかもくまさんがお店のマーク。
この日7/26は忘れもしない、2020年にお家時間をダンサーもファンも楽しもうと福岡さんが企画してくださったインスタライブ雄大の部屋にて
大きく描かれたくまさんのパーカーで登場されたロンドン千秋楽アルブレヒトさまのご年齢重ねる節目の日でございます。
更にはそうです。ロンドン公式ツアー参加者へのプレゼントのテディベアにサインなさっている映像にて、 千秋楽アルブレヒトさまはくまさんとしっかり視線を交わしていらして、お話しなさっていたかと読み取りました。或いはテレパシー⁈
そんなわけで、本番を明日に控え、昼から1人黙々と祝杯です。



チキンシュニッツェル。恐らくは1人で食べ切れそうかと予想して注文したら大正解。ポテトもたっぷり付いてきましたが笑、
シュニッツェルがふわっとサクッと柔らかく、揚げ方もカラッとした仕上がりで重たい脂っこい感が皆無。これは驚かされました。
バジルソースらしきソースも良いアクセントで変な塩っぱさもなし。半切りの焼きレモンも爽やかな香ばしさが効いて嬉しい。
それからポテトはローズマリーが効いていて香り高く、量は多めであってもホクホクした食感といい味付けも濃すぎず、チキンもポテトも美味しく食してしまいました。
本来なら複数人で取り分ける人が多いメニューでしょうが笑、ビールの量とのバランスも良く、ロンドンでドイツなお祝いを実現です。ダンケシェーン!
ロンドンで私はいよいよ「美味しくない料理」とはご縁がないまま帰国しそうな予感がこの頃からして沸々としておりました。



ビアサーバー



コヴェントガーデン駅。地下鉄は丸みを帯びていて、かまぼこにも似ています。



新国バレエ好きな方々からチケット代に貢献していない点についてお叱りを受ける、
まではいかずとも不思議に思われる或いはご理解いただくのは難しいかもしれませんが
この日昼公演は立ち見席で鑑賞。最安値7ポンドの席でございます。
周囲にはてっきり当日券か何かかとお思いになった方もいらっしゃいましたが日本でのチケット購入です。
わざわざ日本から行くのになぜ安い見づらい立ち見席かと驚かれましたが、予算の都合だけでなく、色々な座席、
例えば照明が頭のすぐ真上にあったりと変わった席でも鑑賞してみたい、内装を見渡してみたい欲があったためです。



立ち見席から舞台眺める。見切れはあります。仕方ない。



オペラハウスのテラス。爽やかな風が吹いてきます。



座席から。本当に奥まで満席。奥へと呑まれそうな構造です。



頭上注意。そして金色の立体模様がどこまでも。竪琴も。



足元に席番あり。最初気づかず、観客同士教え合いながら立ち位置確認!ベランダから皆で花火大会、或いは広場のパフォーマンスを眺める気分です。



こんな感じの立ち見席。



さて、昼公演後は友人とちょいと買い物へ。店員さんと話す友人の英語はエレガントなマダムらしい響きで、お店の方との会話も花が咲くように優雅。
当方は「ディスイズアペン」のレベルからから脱却できる日が到来しそうにありません汗。
その後移動、セントジョンズウッド駅のエスカレーターにジゼル発見!



そうです、この駅はビートルズ所縁の地区。改札前にポスター。



ショップもあり。



アビーロード。車はかなり通るため車道での撮影は危険な気も。しらかわんにささっとモデルをしてもらいました。5分で退散です。



トトロもありました。



夜公演へ。クラッシュルーム入口。中は分からず、壮麗クラシカルな空間のはず。



5Bから入ります。ベンチシートです。



ベンチ入り完了。



舞台見渡す。



頭のすぐ真上は金キラキン。



お水サーバーがロビーにあり。センサーにカップを近づけるのにコツが要ります。
スーパーのセルフレジでポイントカードをスキャン時のやや距離感置いてかざすあの感覚に似ています笑。



夜公演も終演。獅子座おめでとうございます、からのオペラハウスすぐそばのパブ、ホワイトライオン。外観のみ撮影。ウエストミンスターにはパブ レッドライオンもあるはず。
それはそうといよいよ翌日は千秋楽。管理人、大本命の日です。獅子の如き王者感あるアルブレヒトご登場でございます。
2025年はこの日のために生きてきたと言わんとばかりに舞台近い席から撮影したカーテンコール写真多数あります笑。撮影技術はさておき。
数々のメディアが取り上げているため当ブログはもう需要無いに等しいかもしれませんが、記録も兼ねて綴り投稿する予定でおります。

2025年9月22日月曜日

新国立劇場バレエ団『ジゼル』ロンドン公演 滞在期間2025年7月22日~28日(月) 第5回:滞在4日目7/25編 小野絢子さん&福岡雄大さん主演 憧れのロンドン塔に友人の提案でクリームティーとサンドイッチ




さて大変お待たせいたしました。新国立劇場バレエ団『ジゼル』ロンドンロイヤルオペラハウス公演。2日目主演は小野絢子さん福岡雄大さんです。
もう来年2月公演のバレエ・コフレの一部キャストも発表されていて、ロンドンジゼルはだいぶ遠のいていらっしゃる方が大半かと存じます。
バレエチャンネル阿部さや子さんが書かれたような美しいまとまりは、当方のレポート皆無でございます。ミルタの如く懲罰を下さないお優しい方は宜しければお読みください。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/giselle_london25/

https://www.nntt.jac.go.jp/ballet-dance/news/detail/77_029712.html



ジゼル:小野絢子
アルブレヒト:福岡雄大
ヒラリオン:木下嘉人
ミルタ:根岸祐衣
ウィルフリード:小柴富久修
ベルタ:中田実里
クールランド公:中家正博
バチルド:内田美聡
ペザント・パ・ド・ドウ:奥田花純 上中佑樹
モイナ:東真帆
ズルマ:直塚美穂
バッカスの少年:DIMA DOBRYNIN-LAIT(ロイヤルバレエスクール生徒さん)



小野さんのジゼルは登場時から小鳥のさえずりがそのまま聞こえてそうなステップで、歯切れ良い足取りもまた恋する幸せが表れ伝わってきます。
ちょっと遊び人ぽい福岡さんアルブレヒトからの全てを前向きに受け取っては何倍にも喜びを露わに返すやりとりから舞台そして客席の温度もみるみると上昇していた印象です。
ヴァリエーションでは音楽をふっくらと吸い込むようにして歌う序盤のポーズにも周りの観客の集中を更に惹きつけていたようで感嘆の声がこぼれてきたほど。
狂乱にてすぐさま抜け殻絶望状態にはならず、冷静さを保ちつつまだ生きたいアルブレヒトを言じたいと言わんばかりに花占いを再現していく姿も胸を突きました。
ウィリーになってからも無の中にまだ意思が残り香っているように思え、アルブレヒトへの身の寄せ方や仕草から
許しを超えた、まだ愛情がある気持ちをそっと伝えていたとも捉えております。
ミルタに対しても決然としていて、弱さ皆無の怖いもの知らずな新米ウィリーでございました。

福岡さんはちょこっと遊びな風味が覗くアルブレヒトで、何をしても愛らしく朗らかに返してくれるジゼルの行動をニマニマ見守っていた印象。
余裕ありそうに見せて花占いでのジゼル落ち込みにはビクッとしてしまう人間味も魅力的に映り、憎めないお貴族さまです。
花占いはこの日も観客の笑いが絶好調で、くすぐったい恋のやり取りに気恥ずかしくなる感情がそのまま笑いとして表れている、
観客からの愛情表現と思っております。(前向きに捉える管理人笑)

そんなお貴族さま坊っちゃまにお仕えしつつ、アルブレヒトの身元がばれぬよう準備に抜かりなく勤しんでいる小柴さんの振る舞いもナチュラルでいて説得力があり
狩猟の進行管理も万全に、村へやって来ると少々偉ぶって(褒め言葉)貴族ご一行入場を村人達にアピールしてはクールランド公達のアテンドもこなしたり
収穫祭の最中には思わず感情内に芽生えるのであろう早う帰りたい欲が募る中弛み気分も覗いて、
滞りなく業務を終えたいお仕事モードには同情すら覚えました。常時神経擦り減らしてアンテナを張っていねばならぬおつとめ、お疲れ様と労いたいばかり。
登場時の浮ついたアルブレヒトに対して、一線を越えてはならないと口を酸っぱくして忠告するお姿も、あとを思うと泣けてくるひと幕です。

ビシッとロイヤルオペラハウスの空間を引き締めてくださった大貢献者の1人は木下さんのヒラリオン。
今回ロンドン公演では3キャスト各々個性も魅力もある方々が配されましたが木下さんはマイムにしても踊りにしても
極細分化しての伝え方で、間の取り方も自然に見えても計算し尽くされた上手さ。序盤の遮りもただ嫉妬したり情熱的にジゼルに訴えるのではなく、
何がどういけないのかを素早い中にもゆったりと言葉を連ねて整えて伝えているように見えました。
真骨頂はアルブレヒトの身元を暴く場面で、瞬時に緊迫感を広げてジゼルに問いかけ、アルブレヒトには不自然にへりくだり、
そして村人達にも呼びかけて注目を寄せつつアルブレヒトの剣を持ってくる、この流れは今思い出しても身がぎゅっと締まります。
時間軸戻って、アルブレヒト家宅捜索からの証拠物品つまり剣の発見時も、家から出て歩いてきて角笛を取って持ってきてからの紋章との答え合わせも
音楽とぴたりと連動していて隙がなく微塵も冗長にならず。例えるならば上質な山椒をぴりっと場面に効かせていて
だからこそ観客の集中も、まだまだ続く収穫祭への盛り上がりもより高まり、起伏の描写が一層鮮やかになっていました。
花輪を持っての丘の上に立ち尽くす2幕冒頭の憂愁帯びての佇まいも迫るものがあり。
死に際踊りもシャープにされど切迫感がひしひしとこぼれ落ちる舞いで、沼へのぶっ飛びも前日に続き観客は声をあげて大喜びです笑。
(絶命場面、そんなに楽しいのだろうか。こちらももう笑うしかなかったが笑)

バチルドの内田さんは素直で優しそうだった東京公演よりも少し傲慢な令嬢になっていた印象で、ジゼルへもツンとした顔で交わしたりとクールな美しさで魅了。
対する小野さんジゼルがはにかみながらも生き生きと反応していくためバランスも見応えありました。
貴族達の上から目線な偉ぶる仕草も、数あるジゼルの中でも最重装備な厚手の衣装もオペラハウスで観ても見事に絵になっていて
冷たさをも醸す連なりはこの日の公演前に訪れたロンドン塔の重厚で闇深い空間にも絵として成立しそうな見栄えです。
ペザントは初組み合わせと思われますが、優しげな職人奥田さんとキレキレに楽しそうな上中さんの化学反応が面白く映って堪能。

2幕パ・ド・ドゥでの小野さん福岡さんの滑らかなパートナーリングも光り、阿吽の呼吸を超越しているのでしょう。
本当はミリ単位で調整しているのでしょうが何もせずともふわっとフォルムが描き出されているように見え、
何度も組んでいるからこその一段と上を行きながら踊るお2人でございました。

そしてひょっとしたら主役以上に!?大歓声を浴びていたのはウィリー達。
一段落し勢揃いしてシャキンとする場において既に終演かと見紛う歓声で、次に登場するアルブレヒトが出づらくなるのは必須な盛況ぶり。
フィギュアスケートの大会で、優勝候補が会心の滑りをした直後の新入りな選手の気持ちがよく分かる事態でしたが
そこは福岡さん。歓声の余韻残る跡地をそっと、堂々と登場して空気を変える存在感はさすがございました。
3列でぞろぞろとヒラリオンを追いかけ追い詰めていく、統制のある柔らかな美から放出されるウィリー達の不気味な攻撃性にも観客、大興奮!
もし日本でしたら、ミルタ&ウィリ坂24のコンサートかいと批判すらありそうな2幕の観劇反応でしたが例え悲劇であっても、
感情が高揚したら歓声も上げて笑いも声にするのがロンドンスタイルなのでしょうきっと笑。

時間戻って1幕村人達の交差や出入りが激しいながらもスムーズな足運びや緩急の自在な踊り方、上体を目一杯豊かに使っての表現や周りにいるときの芝居も目を惹き
吉田監督が4月の東京公演時にマイム等にもかなり力を入れたとのお言葉が思い起こされます。
新国立劇場で観たときは雄弁になり過ぎているかとも一見思ったものの
ロイヤルオペラハウスで観てみると内装の壮麗さにも負けず、観客の好反応も呼んでちょうど良い加減です。
今年は国内ではジゼル上演のバレエ団が多く、1幕を見比べると新国立の版が最たる運動量しかも男性も出番多き振付で、
油断するとゴチャゴチャとした印象になりかねない版ですが賑わいや活気を見せつつも交通整理は安全安心。
前日に左隣の男性の観客が褒めていらした、全体のムーヴメントがスムーズで良い!エモーショナルな点も良い!との賛辞が脳裏を過ぎりました。

カーテンコールは温度高めで喝采も鳴り響き、一安心の2日目公演でございます。
小野さん福岡さんにとっては英国で舞台を踏まれるのはバーミンガムでのアラジン、パゴダの王子に続いての登場ですが
バレエ団としての英国公演での主演は格別な思いで臨まれたはず。カーテンコールでは何度もコールドのダンサー達にも目を配りながら前進して挨拶なさるお姿も目に刻まれております。

さて、翌日は昼夜公演。昼は柴山さん速水さん、夜は初日に続いて米沢さん井澤さん主演です。
どんな公演になるか、レポートはまた後日載せて参ります。更新だいぶ遅くなりそうですが、
日付だけ見れば当方の節目に発売されたあみんの代表曲の歌詞以上に待機力に自信ある方はお待ちください。 お若い方はご自身でお調べください。




キャスト表



座席入口。案内表示を見ながらでないと辿り着けません。



客席見渡す。本日は上階端から。



晴れやかな小野さんと福岡さん。当方の撮影、下手写真ばかりですみません。綺麗な写りのものは各自検索願います。



お花にびっくり木下さん。ジゼルもアルブレヒトも、ウィリー達も喜びに満ちたお顔で讃えていらっしゃいました。
振られてしまったジゼルにも、敵対するアルブレヒトにも、ミルタやウィリー達にも、ヒラリオンの誠実な心は伝わっています!


※以下、観光写真含めて30枚ほど続きます。

朝のオペラハウス。爽やか。



コヴェントガーデン。まだ人はまばら。



マーケット反対側へ向かう途中に通ったときに見かけた時計。



さあ、念願の2階建てバス乗ります。オイスターカードはコヴェントガーデン駅にて購入、日本語案内もあります。
しらかわんもミャクミャクさんもワクワク!2階からの眺めに興奮止まらず。



バス内から



移動して、ロンドン精通者な友人が企画してくれた、クリームティーを味わいにフォートナム&メイソンへ。



可愛らしいカラフルな内装!皆でティータイムです。



クリームティーセット!私がクリームティーに関心があることを覚えていてくださり、おかげでしっとりサクサク美味しいスコーンを味わえました。量もちょうどよし!
バッキンガム宮殿近くで今ひとつなスコーンを食べてしまったと話してくれていた同僚も、美味しいクリームティーに恵まれたことを喜んでくれました!

この後は友人が渡英のたびに訪れているサンドイッチ屋さんに案内していただき、優しい店主や店員さんの接客、絵本に出てきそうな可愛らしい外観にも感激。
そして友人の英語はスマートで綺麗!



サンドイッチ購入後、私は観光へ。タワーヒル駅にジゼルポスターございました!



必ず行きたいと計画に入れていたロンドン塔。曇り空のときに来たかったのです。午後から曇りがちになってきたため向かいました。
元々ヨーロッパのお城や教会建築には幼少期の頃からありましたが、最近は新国が白鳥の湖はダーク路線、ジゼル2幕はゴシック風味で、
どちらも英国スタッフ結集プロダクション。ロンドン塔へも行きたくなったわけです。



堅固でダークな建造物。



陰鬱な霊気を放っています。もう一つ、行きたかった理由は千秋楽アルブレヒトさまのイメージが自ずとロンドン塔の翳りにも重なりまして
黒いマント装着の騎士姿で佇まれたらどんなに美しいだろうかとも想像。



チケット購入場所。王族達の視線からして既に暗黒な空気感あります笑。カラス達も敷地内では飼育されています。
からぴょん(初台に乗り入れている京王線の千歳烏山駅近くの地域のキャラクターです)と違って愛くるしくは見えずでしたが、大事にされています。



入口案内。



目の前はタワーブリッジやで!ミャクミャクさん、万博内にある英国館も楽しいでしょうが、実際に英国へ来た歓喜を誇らしく表現しています。



ベンチがあちこちにあり、タワーブリッジ眺めながらサンドイッチいただきます!カニ入りの具材で、パンも具もたっぷり!
夜に公演鑑賞しますので今のうちにしっかり食事しておきましょう!友人がリピーターになるのも納得!



さて入場。おどろおどろしい雰囲気満点。中世の世界へ足を踏み入れます。血みどろな事件も絶えず起こっていた場所でございます。



一見学校の校舎のような建物。衛兵も見張っています。



中央に聳えるホワイトタワー。王家の王冠や宝石が展示。内部エリアは撮影は禁止です。



ガシッと太い塔。



絵本でもよく見る、謎めいた扉。



窓辺から光。石造りが重厚です。



暖炉ある部屋。



広間。回廊のような造りで、帰国後に白鳥の湖3幕やドラゴンクエスト観ると、まさにこの世界観がそのまま。



ステンドグラス。



タワーブリッジが見えます。



騎士、正面から。今にも猛突進してきそうな荒ぶりに、全身プレート鎧がギラギラと大迫力。



騎士、斜め左から。ついじっと眺めてしまいます。



騎士、右斜めから。デザインとしてはもう少し前の時代の鎖帷子と一部分プレートの組み合わせが好きですが、重量感や耐久性はこちらの方がありそうです。



馬達。



礼拝堂と思わしき場所。



ドラゴン!少し前にディズニーの眠れる森の美女が放送されましたが、ロンドン塔ドラゴンは今にも襲いかかってきそうな恐怖感でございます。



横からドラゴン。攻撃性強そう、全身が武装仕様です汗。
このドラゴンに襲われそうになったら、助けに来てくれる勇猛な騎士は果たしているでしょうか。
いません。頑張って自力脱出を試みましょう





四角い塔。



ゲーム好きな方々からしたらドラクエな世界観に興奮するかと思います!



迫力ある塔。ここに幽閉されたら、助けに来てくれる勇猛な騎士は果たしているでしょうか。
いません。頑張って自力脱出を試みましょう汗。まさにリアル脱出ゲームの出番です。




武士ではなく(武士やお侍さんの想像は福島県白河市の小峰城にて行いましょう)、騎士として目の鋭さはそのままに颯爽と駆けているお姿が目に浮かびます。きゃっ。



馬に跨って全速力で疾走するお姿も目に浮かびます。きゃっ。



勝手な想像はほどほどにして帰ります。尚、中央のホワイトタワーでのエレベーター取り付け作業?と発掘作業中に人骨が多数発見との報道が私が見学した3日後にございました。
そういえば、立ち入り禁止区域で作業を行っているのは見た覚えがあり。
そんなわけで、私から霊気が漂っていましたら失礼。当方は鈍感人間のため、難なく健康的な生活を送っております。



下から見るタワーブリッジ。細かな石組み、装飾。お城のようです。



タワーブリッジの反対側へ。



テムズ川。ワシントンD.C.ではポトマック川、モスクワではモスクワ川、新国海外公演の行く先々で大河の景色に癒されます。



ユニークな梯子のような通路が繋がる建築。



テムズ川越しにロンドン塔。



二階建てバスで劇場近くまで行き、ホテルに戻ってから劇場へ。そして無事終演。
帰りは劇場すぐそばのパブへ。ロンドン大精通者でお世話になっている方とその方のお友達のお2人組が先に入店なさっていて私も合流!



お店オリジナルのビールがあり、注文時に先着組のお2人が教えてくださり注文も手助けしてくださいました!乾杯〜!


翌日は昼夜公演。昼は柴山さん速水さん、夜は米沢さん井澤さん。いつになるかは分からずですが、またレポート綴って参ります。