
タルト購入。ジャックにお皿を持っていきましたが、直後に私の胃袋におさまりました笑。女王様から厳罰が下りませんように。
だいぶ遅くなり、オペラパレスは6月末に目黒の四十七士達に討ち入りされたのち明治の長崎と化して、
その後は海外で活躍中の舞踊家が集結する時期の段階に来ておりましたが、6月半ばのオックスフォードに戻ります。
6月12日(木)~22日(日)、新国立劇場バレエ団「不思議の国のアリス』を観て参りました。
茶葉の量を間違えた味薄い紅茶と批判を受けるかもしれませんが、サッサカ参りま新国立では3年ぶりの再演。
シネマもDVDもこの間観ておらず、場面は覚えていても順序を忘れていたりと思い出しながら観ておりました。※誤字脱字多いと思いますがひとまず載せます汗。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/alice/
米沢さんのアリスは瑞々しく爽やかでいて、踊りの大きさで物語を伝える力は益々スケールアップ。
規範の枠からちょこっとはみ出つつ、爽やかな品は残したままであるため、どんな踊りもすっと心地よい余韻が覆ってくるのです。
この作品、場面がめくるめく展開で報も多く、カラフルで目も疲労困憊になりが
ちな作風ですが米沢さんアリスによる、
場面をがっしりとされど爽快に背負って踊りながら物語を統率していくお力は益々別次元へと向かっている気すらいたします。
そして米沢さんアリスと渡邊さんジャックのパートナーシップの練り上げにも感嘆。
お2人とも円熟の域に達して身体へのウィールドニズムはすっかり馴染んで一捻りある振付を自然に紡ぎつつ
甘酸っぱい恋模様から危機一髪な冒険の乗り越えをスリルたっぷりに瑞々しく表現できる、物語を深く踊り生きるお2人です。
どこを切り取っても飛び出す絵本のごとき迫力で、人間の身体の本能とは逆方向へと向かわせる奇抜なパ・ド・ドゥも
あたかも人間が最も動きやすい方向へ動いているかのように滑らかな会話として見せていらっしゃいました。
3回連続ファーストキャストに相応しいとこの度も唸らせます。
とにかくパドドゥが実に滑らかに音楽に乗っていて、流されずされど各ポーズはメリハリ付けてくっきり造形。
変化球三昧な振付を楽しく喜びの雫がきらりと光るように感じさせ、感情がほろりと細やかにこぼれ落ちてくるお2人でした。
来日とシネマで1回ずつしか観ておりませんが、本家ロイヤルでもここまで心迫り来るパドドゥなのでしょうか?
渡邊さんジャックは第一キャストに相応しい出来栄えで、技術は勿論だがぬりえの色分けが更に細分化されたように細やかな味付けが絶品でした。
ジャックの役どころも、名前は同じでも1本の作品の中で3役あり、庭師・騎士・現代青年、3人のジャックの物語を大満喫です。
丁稚奉公並みの扱いを受けているであろう庭師、少し情けないけれど騎士道精神は秘めているハートのジャック、再演のたびに亭主関白度が高まっている現代ジャック、と全く違うカラー。
しかし物語展開を自然に動かしていく切り替え巧みなお姿に再度天晴れです。
アリスに比較すると出番は少なく、うさぎに比較すると見せ場も少ないながら、個性が弱いだの印象に残りづらいなど言われる役柄と思わせません。
解雇されたジャックはハンチング帽に使い込んだトランク持つ姿が小津安二郎映画の古風な青年っぽく見えて、背中から哀愁が。
しかしハートのジャックはヘタレ等と言われがちですが、プログラム解説に記載の通り3幕は危険を冒してでも女王の庭園に侵入してアリスに会いに行くのですから、単なるヘタレではないどころか度胸据わった騎士であると思います。
しかもアリスとフラミンゴでくすぐり合って戯れるのですから窮地に強い性格かと、ジャック。
それにしても現代シーン、初台初演時は少年、2022再演時は青年、今回は「男」、きゃ!!
そういえば前から気になっていたが、ハートの騎士は普段どんな任務に就いているのでしょう?
女王様にとって特別な存在だからこそ、天草四郎風の手首襟元な特異な衣装で仕えていると思いますが、衛任務では無さそうですし!女王様の付き人な役目でしようか。
また庭師ジャックはアリスとそう変わらない年頃のはずですが、幼い頃から出稼ぎ、丁稚奉公な労働続きだったのでしょうか。バレエ版のオリジナルキャラクターですが。
アリスの時代は産業革命による社会変化がもたらされた頃で、しかし階級は厳格。
産業革命も聞こえは良いが、挿絵にも残っているほど働き手確保のために児童労働問題も多発していたようですから、
庭師ジャックもそのような華やかしヴィクトリア時代の負や影の部分の風刺も込められたキャラクターなのだろうかと捉えております。
当時の社会情勢、時代考証など、気になってしまう性分をお許しください。
6/19の米沢さん渡邊さん主演日は学校団体の生徒さん達でいっぱいな平均年齢若し客席。上階端席で観ておりましたが、生徒さん達が皆さん集中していて上演中のお喋りも無し。
フラワーシャワーの場面は思わず手を伸ばして花びらキャッチを試みたり、穴に入る映像では吸い込まれそうになっていたりと一生懸命な鑑賞態度に心洗われました。
カーテンコールでは手を振っている生徒さんも。学校団体の方々と隣り合わせになるのは私は好きで、新鮮な感性にハッと気付かされることもあって毎回面白い体験です。
幕間や帰りにアリスとジャックパネルと記念撮影して喜んでいる生徒さんも。
お着物のグループの方々が撮ってくださっている光景も目にし、短くも交流を楽しんでいる様子でした。
小中高時代の芸術鑑賞教室がきっかけで興味持つ方も多いようですから、未来の常連さんがこの中から現れるかもしれません。
ひとつだけ心配だったのは私がいた席エリア限定かもしれませんが新国通い歴20年超えの中で客席空調が最たる暑さであったこと。
日頃暑がりでもなく寒がりでもない大健康体な私が反応したほどですから、生徒さんや引率の先生方、体調崩していませんように。
この日はうっかり双眼鏡を忘れてしまい、学生時代にレーシックで矯正治療して裸眼生活は長くもラピュタのシータと違って
そこまで視力は良くはない私ですが、ジャックの存在がなんと大きく見えることでしょう!
上から観ると影までもが美しくて!!こうなったら実験で、暫くは影ばかり追ってみましたが美に惚れ惚れ。踊りそのもので目も心も掴んでいる証です。
手脚が長くてもコントロール力が抜群で、裁判ソロは忙しい変わり種転換多い振付をくっきり印象付けてエネルギーを迸らせて踊る訴えかけに心持っていかれずにいられず。
小野さんのアリスは勝気で潔い性格が前面に出るヒロイン。怒るときはおっかなく笑、不当解雇を受けたジャックの扱いを、
威厳ある母親に対しても閻魔大王のような雷を打ち付けていたほどです。
チャキチャキと笑い上戸かと思いきやドリンクミーの場面における飲み物口に含むときやマショマロを食べての目を据わらせならの酔いっぷりもとことん可笑しく怪しげ。
そうかと思えば2幕ソロでの緻密に組み立てるように紡いでいく踊りもハッとさせられ、内に秘めた寂しさや戸惑いを一別と露わにしていく姿に見入りました。
福岡さんはこれで本当にゲストプリンシパル移行が言じ難い若々しさで惹きつけ、
4月のアルブレヒトのときよりも身体もシュッと締まって赤白パックリ衣装姿も問題なく、機敏に動く様子に天晴れです。
意地悪上司な中家執事に対しては怯える萎縮する風でもなく、キツイ指示にも顎で頷く程度でなかなかの強者笑。
解雇されても勇んで転職先を見つけていそうなジャックです。
小野さん福岡さんのペアはこれまで数えきれないほどに観て参りましたが、ウィールドンやビントレーといった古典に一捻り加えた難易度の高いパ・ド・ドウにてより魅力を発揮なさっていたと回顧。
とりわけビントレーの「アラジン』パ・ド・ドゥでの自由に宙を舞うようなパートナーシップは忘れられず。
勿論アリスでも持ち味を発揮され、現代の場面になって最後ラジカセ持って捌けていくときの、
ジャックがアリスの頬をツンツンしながら帰って行く熱々カップルぶりも(このペアのみのアドリブかもしれません)
笑いよりも寂しさ募り、この先オペラパレスでは暫くお預けとなる鉄板ペアを目に焼き付けた次第です。
新国立バレエ全幕主演としては初登場、英国ロイヤルの高田さんのアリスは初回は余りの艶かしさに驚嘆し
新国立のダンサー達からかけ離れた感は受け止め辛くありましたが、しかし考えてみれば英国の本家でしかも様々なルーツを持つダンサー達に囲まれる環境下で
主役を多数務められているからこその強烈なオーラと納得。2回目は井澤さんジャックの遠慮もなくなくなって初回に抱いたちぐはぐなパートナーリングの印象も無くなり、
スリル満点な冒険を2人で睦まじく歩んで行く濃厚ペアとして魅了していました。
高田さんの日は両日とも上階隅っこで観ておりましたが、踊り1つ1つの精度の高さ、暗めの舞台上に1人でいてもすぐ飛び込えでくる仕草といいインパクト大でございました。
同姓同名の違う人物でない限りですが、高田さんは2002年9月の新国立劇場バレエ団「こうもり」子役として出演なさっていて(他に影山茉以さんや菅原梅衣さんも)
プロフィールからすると時12歳の頃でしょうか。友人から数年前に引き取った過去のプログラムにキャスト表が挟み込まれていて、
いつか周囲に言いたいと思いながら数年経過。今回良きタイミングでございます。
日替り交代出演と思われ、フェリか、湯川さんか、もしや山本さんの娘役もなさっていたのだろうかと
サッカー日韓W杯や多摩川にアザラシのタマちゃんが出現した(大田区まで見物に行きました笑)、
『笑っていいとも』のテレフォンショッキングでベラ役のお一人、草刈民代さんがプティさんデザインのポスター持ってきてタモリさんに宣伝なさっていた
夏を終えたあとの2002年当時に思いを馳せつつ、想像が巡ります。
池田さんは前回2022年の初役時と比べ格段に躍進。こなすだけでも精一杯であっただろう前回とは打って変わって、混沌とした場面もシャキシャキと頼もしく踊り捌く姿を見せてくださいました。
姉妹揃っての仮装をお母さんにこっぴどく怒られても平気そうなの強さもチャッカリ。
初役の速水さんは意外と言ったら失礼だが爽やかジャックにぴったりで、1幕での不当解雇も可哀想に見えたのも丸。
フラワーワルツや裁判のソロの変化に富む伸びやかさも目に残っております。
池田さん速水さんは何処か微笑ましい若さ放つコンビで、しっかり者のアリスとオロオロ頼りない(褒めています)ジャックの漫才っぽい掛け合いも楽しく映りました。
何より、池田さん好きな友人が速水さんとのペアに大満足していたご様子も嬉しうございました。
白ウサギは個性豊か。奥村さんは顔や鼻をモゴモゴとする表情がまさのウサギさん。
慌てん坊であってもアリスをまろやかに包み込む優しさも光り、そうかと思えば紙の舟に乗っての移動時にアリスとの口喧嘩はたいそう賑やかで倍速モードな展開でした笑。
木下さんは1コマあたりの表現技術描画がとにかく細かく、神経質で偏屈そうで、時計の針並の正確さ重視型ウサギさんでしょう。
捻り上げながらの跳びっぷりや瞬時の移動、椅子拭き拭きの仕草に至るまで、サインペンでいえば極細タイプなアプローチです。
前回、奥村さんの代役で抜擢された中島さんは、今回もとりわけ1幕前半、アリス達への読み聞かせやアリス父への挨拶、
そして華やぐお茶会を横にジャックが不当解雇されて落ち込むアリスへの慰めがとてもあたたか。
タルトお盆を持ちながらアリスとジャックの呑気な戯れをヒヤヒヤしながら待機している最中には
タルトの香りの誘惑に負けまいとするも浅草寺で匂いをかぐかのように香りを懸命に上半身に引き寄せていたのもおかしく
しかし後日焼きたてのスコーンを食すときの焼き立ての良い匂いの漂いから中島ウサギの気持ちがよく分かった次第。
ヘンテコ製や重厚なジャケットのもスマートで、古
き中流階級のオックスフォードに身をすぐさま置いた。気分で鑑賞です。
今回驚きの配役であった若手の李さんは、笑みも踊り方もキュートなうさぎさん。
脚がスラリと真っ直ぐ伸び、素早や動き回る裁判のソロもビュンビュンと跳ね上がって、アリスへの励ましも一生懸命な可愛らしさで裁判の仕切りもお手の物でした。
ハートの女王(アリスの母)も三者三様。木村さんは前回、身体のボリュームアップを頑張り過ぎてしまい
またメイクも少々やりすぎな眉毛だったりと
過剰な部分が目立っていましたが、今回は全てがバランスよく落ち着いた印象。
美しく締まった身体つきで冒頭は一家を取り仕切るマダムらしい出で立ちも素敵。
女王様になってからは単に変顔するだけでなく、クイーンらしい誇り高さや品格を持ち合わせてのマイムで楽しませ、
タルトアダージョは可笑しくも麗しい笑いを届けてくださいました。
首切り役人とのダンスや庭園のソロもタンゴ風の音楽によく乗っていてオフバランスしながらの両手振り振りもお手の物。
その後にベンチ入りしていた、女王様のタルトを奪いかけるもどうにか絶命危機を脱した陪審員を静かに厳しく名指しで咎める様子も大笑いです。
初演時から務めている益田さんは再演のたびに艶やかさアップ。タルトを口にするときも妙に色っぽさが香り、
本当に美味しそうに召し上がっているのでタルトへの広告起用を全国の製菓企業にお勧めしたいくらいです笑。
怒るときや首切りポーズもただ怖いのではなく、ちょこっと親しみやすさも含ませた可愛らしさも残り、ハートの乗り物に乗っての突進の仕草も格式がある、魅力的な女王様です。
抜擢に驚きの山本さんはどうしても若きが目立ってしまう箇所もありましたが、
タルトアダージョや庭園のソロでの自在なヘンテコポーズの繰り出しや堂々たる振る舞いは見事。何しる小野絢子さんアリスの母親役でございます。
(しかしカラボスといいミルタといい母親・女王といい、大人な役への抜擢が続くのだろうか)
新境地開拓されていたのは柴山さん。楚々としたイメージがありますが、思えば『夏の夜の夢」頑固勝気なテイターニアとして
変わり者妖精王(しかも怒ると星一徹よりも怖い笑)オーベロンと互角に夫婦喧嘩していてしかも打ち負かしてオーベロンをいじけさせていたのは鮮烈でございました。
今回、お茶会の冒頭から規律を重んじる厳格な母親ぶりで女学校の校長先生風な貫禄も兼備。
少しでも疑念を持たれる行為を取ったと映ったジャックに即刻解雇を下したのも頷ける造形でした。
変顔しても君臨する気高さはきちんとあって、乗り物に乗ってのパレードにおける振る舞い、呑気に飲酒する王様への叱り方も厳しく美しや。
クラシカルなポーズはどれも端正に纏めて品位を持ちつつ、タルトアダージョでの弾けっぷり、
特に終盤の平行四辺形が左右に揺れるような家臣達を巻き込んでの大騒ぎもチャーミングでした。
マッドハッターは元祖ゲストから新鋭までが揃い、英国ロイヤルでの世界初演時にも務められたゲストのマックレーさんはますがの名タップ。加えてヘンテコメイクであっても見せ方、り上げ方、周囲とのかけあいや裁判での煽りっぷりも当たり前といえばそれまでですが絶品もの。
怪我の影響か2幕のステージからクッションへの飛び降りは控えめではあったものの、
複数キャストのアリス、ウサギやネズミ達との騒ぎっぷりも極上のパフォーマンスを観た気分です。
そして福田圭吾さん、お帰りなさい!1年前、バレエシュースとは別れを告げていましたがタップシューズで戻ってこられました。
タップの音も表情もドヤッと決めていて気持ち良く、また初回は登場時、久タオペラパレスを祝うような客席からの大拍手も忘れられません。
『シンデレラ」義理の姉妹でのキュートな妹ぶりは思い浮かびつつも、いつもきちんと正しく踊る印象が強い小野寺さんは初役。
しかしタップの音の1つ1つが大きく響いていて、初役とは思えず。序盤硬さはあったもののじわりとイカれていく独特のペースも面白く映りました。
菊岡さんも初役で、アピール度が強いのは好みが分かれるかもしれませんが陽性イかれオーラはダントツであったかもしれません。
タップシューズでの爪先立ちは少々苦戦するも、カオスな裁判も派手捌く存在感はなかなかのものです。
アリスのお父さんとハートの王様はダブルキャスト。菅野さんはもうゲストキャラクターアーティストとして
定期的にご登場いただけたら是れ幸い。
在団時代の経験生かしたご指導は現団員達も嬉しいかと思います。
ジャックの訴えを聞こうと味方になってくれるいざというときの優しさ、包容力にジャックはどれだけ救われたことでしょう。
ハートの乗り物の中では新聞熟読している日もあればうずくまって暑そうに新聞で仰いでいたり
居眠りしていたり日によって変えてこられて見比べ引き出しが楽しい王様でした。
拓朗さんのアリスパパは紙幣に載りそうな風貌で(訳あって最近英国の紙幣を眺める機会があったが違和感なさそうです)新聞もお似合い。
そして王様、裁判での大騒ぎの最中もちゃっかり新聞をイモムシに見せてあげて交流が生まれ、楽しそうで案外したたかそう。
女王の尻に敷かれているだけではない、人生の喜びを日々見出していそうなハートの王様でした。
物語を彩る個性面白キャラクター達も皆大活躍。宇賀さんイモムシの踊りの床と仲良くするようにしなやかで長時間でも話せる身体能力も拍手!
水井さんはカチッとしたクラシックの舞台姿の印象が強いためか当初は想像しづらかったものの蓋を開けてみれば背中の腕関らおました軟体生物な恐ろしさ。
伸縮自在な身体の動きにも驚愕でした。ラジャーの豪奢なお衣装は高級カレーパッケージにそのままなりそうな自然な着こなしです。
木下さん魚の、纏った水の泡がそのまま弾けていきそうなピチピチ具合や、石山さんカエルのピヨンツ~と効果音をそのまま奏でるように跳びはねる様子もチャーミング。
そういえば1幕の人間時代?におけるお茶会の執事としては一方がティーカップセットを昔のお蕎麦屋さんも驚く高さに積み上げて運搬していますが
崩れ防止の仕掛けはあるとしても毎回ドキドキしております。そして運搬姿もスマートで綺麗です。
木下さん執事と赤井さんメイドの、仕事中にもかかわらず家主の目を盗んではいちゃつく関係性も微笑ましい。
のちに料理女、首切り役人となるメイドとフロアマネージャーな執事も1幕の段階からすれ違いと一目惚れの境目を彷徨っている訳あり恋愛にも見て取れのちの展開が一層ハラハラされど見守りたくなるおっかない男女の恋模様でございます。
3幕の名物であるタルト・アダージョの家臣達も皆面白く、ぶっ飛びサポートを可笑しくも盤石にこなす全員の技量に拍手。
コメディの印象があまりない森本亮介さんの意外な一面が覗いたのも嬉しく、ワナワナ足掻く様子が可笑しくてびっくり。
チームごとに特色もあり、ファーストの速水隊長チームは茎列時も皆ゆるっとしていて気をつけ姿勢も中途半端であったり、
小野さん福岡さん主演日は速水さんと井澤さんが服を握り合いながら怯えて整列に臨んでいたりとカラーが様々でした。
対する見るからに学級委員な風貌の原隊長チームは規律や風紀最優先型で背筋伸ばしてビシッと軽列。
何処まで任されているかが最早分からぬほどですがそれぞれ特徴があって何回観ても楽しさ継続です。
高田さん池田さん主演日に渡邊(峻)さんが前回のハートの2から変わって黒色クローバー4でご登場。冒頭で女王の手を取る必要がなくなっての安堵の逃げ腰やら見守りパートナー当番の広瀬さんへのカッツポーズやら、
料理女へのファイティングポーズやら(弱そうであったが笑)へっぴり腰でのピルエットサポート含めてどれも職人芸で
サポートの安心と安全は保証。女王様の足首掴むときも丁寧に尽くしていました。
ドミノ倒れでは最後尾。倒れたときれ朗理様にくっつきかけた?ときもあり、トランプ板の階段上にて仰向けに倒れ込んで見を閉じているお姿も美しや。
それはそうと家臣同士でお互いに押し付けや責任転嫁もあれど笑、実は強固な結束力がないとなし得ないアダージョ。
少しでもタイミングずれたら大事故になりかねません。家臣の出演者全員を讃えたいばかりです。
裁判の緊迫を高めていくトランプ群舞もビシッと締まっていて見どころ。誰もがポーズやパとパの過程をも深々とシャープに決め、
ある他のバレエ団の映像でチラリと観たら唐辛子入れ忘れたペペロンチーノのようなまろやかさに目を疑ってしまったほど。
ジャック達を追い詰めて行く笑顔なき場面ですから顔の表情では誤魔化しが効かず、身体そのもので、しかも後半に行くに従って全員で熱量を上げて行く見せ方も職人な仕上がりでした。
コールド陣もハイレベルながらソリスト4組の場となると更に高水準。中でも飯野さんと長谷川さんペアの
エレガントな要素と機敏な鋭さを持ち合わせたリード力に目を奪われておりました。
トランプに対してフラワーワルツは全員何処までも優雅でおおらかで、女性が被る巨大なお花も、男性の裏地もお洒落なロングジャケットもとてもセンス良し。
興奮するアリスを皆で見つめて包み込んだり、ジャックのもとへと促したりと優しい息遣いを感じる花々です。
おもちゃ箱を開けてはユニークな仕掛けが常時飛び出しでくるかが如く音楽も色彩豊か。マッドハッター始め耳に残る曲は多々あれど、冒頭のキンコン
マンコンと始まる序曲は毎回聴き惚れております。
トランプの紗幕開く前の場におけるカッコンカッコンのあたりの音楽、展覧会の絵のひよこに似ている気がするが空耳アワーでしょうか?
質や色を変えながら泉から水がどんどん溢れ出てくるイメージがあり、これから始まる奇想天外な物語を予感させてくれる曲調です。
所謂白鳥の湖やライモンダといった古典がお好きでバレエは上品な美しさが不可欠とお考えの知人はどうしてもアリスは受け付けられず
今回も鑑賞を見送られていましたが、そのお気持ちも理解はできます。
特にソーセージ製造の場面やタルトアダージョが苦手だそうです。
ただ単に騒々しい作品であるのではなく、アリスの大冒険をテンポ良く色鮮やかに描画して、ジャックとの恋模様のパ・ド・ドゥも随所に用意。
優雅なフラワーにクールで鋭い締まりあるトランプといった群舞の見せ場もあり、
場面を彩る音楽はどれも何か仕掛けを宿していそうなじわっと刺激伝う曲調ばかり。ギロやら鍋やら笑、珍しい打楽器の種類豊富さも効果的です。
そして何より、存在感薄めと言われがちなジャックを初演からファーストキャストとして踊られている渡邊さんの貢献ぶりよ笑。
入場料お高めであっても今や新国立のドル箱作品として根付き、きっと2年後か3年後には再演がある予感がしております。
2018年のバレエ団初演から観ていても今回初めて気づいた箇所もあり、何回観ても目が足りない仕掛け満載な作品です。

益田女王が当日のキャストをご案内。

Drink meのカクテル。

夜に飲むと灯りがマッドハッターのステージのポットの灯りを思わせます。身長は変わらず、ご安心を。酸味が甘さをすっきり包む味わいでした。

いちごタルト

マエストロ1回目、口当たり良いとうもろこし冷製スープ。

ジャックに敬意、赤で統一して乾杯です。

籠に入ったパン。バラは入っていません笑

ヌガーグラッセ。ねっとりしたクリームにナッツがコロコロ。

締めは紅茶です。

アリス前にヒレカツサンド。1幕の料理女場面を思うが笑。

クローバー4と女王様。

ホワイエの壁。ハートの王様、ポスター挟んでクローバー4!

幡ヶ谷のサンデーベイクショップにて。前回のアリス公演時に行き、好きになったお店です。焼きたてのお菓子が多種並び、迷ってしまうほど。
ヴィクトリアケーキは再び必ず食べたいと思っており、しかしクリームティーセットも美味しそうな上に、
最後現代に戻った場面にてクリームティーの看板が立っている点も毎回気になっている点。そんなわけで両方注文してしまいました笑

割って拡大、ホカホカ熱々の香りも良いスコーン。さっくりしっとりああ美味しい。焼きたてのタルトの香りをかぐアリス母や、
タルトへの欲とせめぎ合う白ウサギの気持ちがよくわかります。紅茶を注文すると、日本の湯のみでいただきます。敷物はブタさんです。

公演期間中、この店舗でビールを何杯飲んだでしょうか笑

やや大きめのフィッシュアンドチップス。本場のはもっと大きい??

黒色クローバー4に敬意を表してギネスビールで乾杯です。友人はアルコール苦手なため可愛らしいカクテル。

今回のヒット、ソーセージ春巻き。料理場面にちなんで選んだが、サクサクし皮とソーセージのジューシーな食感が合いました。翌日も食べたほど笑。

ソーセージ拡大!

ローストビーフ、ハーブの香りも十分。

エールです!

高田茜さんモデルのウェアです。

アリスな刺繍のウェアもあります。

新国バレエ2002年こうもり初演に子役出演?!まだこの頃は新国鑑賞前でしたが、後年に引き取った過去のプログラム内にキャスト表あり。

2回目のマエストロ。
庭園のようなマグロのサラダ。見た目も味も活力が出る前菜です。

海老とズッキーニのクリームソース。クリームがとろりと絡んで白ワインも進みます。

ポークグリルグリーンペッパーソース。ポークの旨味と酸味の効いたペッパーソースが良き相性。赤ワインも進みます

ヌガーグラッセとも赤ワイン、合います。ソースとワイン、色も似ています。
最後はミルクティーで締め括りです。

夜のオペラパレス。光り輝くジャック。

再演時も指先脚先視線まで美しいファーストジャックパネル、出現しますように。
変わり種衣装も何でも似合う整った身体のラインの持ち主で、端正で知性光るお醤油顔でございます。
そうこうするうちにまもなく新国ジゼルのロンドン公演。皆様続々渡英なさっているご様子です。きっと成功をおさめると信じて応援しております。