2022年4月8日金曜日

バレエカレッジ バレエ音楽の魅力と秘密〈第22回〉「ライモンダ」~舞曲を愛した作曲家グラズノフの絶頂~

バレエカレッジ開催、バレエ音楽の魅力と秘密〈第22回〉「ライモンダ」~舞曲を愛した作曲家グラズノフの絶頂~を視聴いたしました。(今回はオンラインのみの開催)
https://balletchannel.jp/22000





当ブログでは度々触れておりますが、管理人が全バレエ作品の中で振付、音楽含め最も好きな、思い入れもいたく強い作品でございます。
バレエに興味を持ち始めてからそう時間が経たぬ間に『ライモンダ』を知ってしまったためか、
当時バレエ鑑賞初心者であったにも拘らずチャイコフスキー三大バレエよりも遥かに好んでしまう、曲者となった契機とも言える!?作品かもしれません。
井田さんによる作曲家グラズノフや『ライモンダ』の音楽についての講座は『四季』も合わせての内容で3年前の8月下旬の金曜日にも開催されましたが
コロナ渦前でしたので会場開催のみで、また当日は千葉県浦安市における鑑賞でアダンやドリゴ辺り(海賊のパドドゥは誰の作曲か未だ覚えられぬ笑)や
グラズノフとしばしば比較対象として取り上げられるチャイコフスキーの音楽に浸かっておりましたため受講できず。
一昨年2月に表参道のバレエスタジオAngel Rにて開催された福田一雄さんによる『海賊』『ライモンダ』2作品構成講座は受講いたしましたが
井田さんの『ライモンダ』は初で、大変心待ちにしており、ようやくの受講です。
※以下、ざっくり記録ですが、悪しからず。またアーカイブにて確認しつつ視聴する予定でございます。

前半はグラズノフの生い立ちや家族、子供の頃から作曲の才能を開花させていた早熟性も紹介。
思わずくすっと笑ってしまうチャイコフスキーによるグラズノフについて綴った皮肉めいた手紙や、
師匠と駆け出しの作曲家な関係かと思いきや食事しながら延々語り明かすほどの仲睦まじさまで
のちに交流を深めるチャイコフスキーとのエピソードも面白さが詰まっていて、タイムスリップできたら居合わせて耳を傾けてみたいものです。

『ライモンダ』の音楽については、とにかく大作で曲も多数ですからとても全曲紹介は叶わずであったものの
(仮に全曲辿っての説明であればお正月の時代劇も仰天な7、8時間コースとなるでしょう)
1幕グラン・ワルツの聴き心地の良さや2幕バッカナールに秘められた要素、楽譜を追いながら
装飾多き夢の第2ヴァリエーションなど主たる聴きどころの特徴を分かりやすく説明してくださいました。
『ライモンダ』以前に着手し、のちの『ライモンダ』を彷彿させる旋律であると紹介してくださったニコライ2世戴冠式カンタータは初めて鑑賞。
夢の場の幕開けを思い起こす繊細且つ麗しい膜で包むような曲調で、通ずるものがありました。
戴冠式はモスクワのウスペンスキー大聖堂で執り行われたようで様子を描いた絵も登場し
その大聖堂ならば扉前の階段にて私も記念撮影した思い出深い場所でございます。

3幕を彩るハンガリーの舞曲2本の詳細や、(1曲は現在は披露の機会が少ないと思われる子供達の踊りで
グリゴローヴィヂ版では3幕ジャンのヴァリエーションで使用、もう1曲はチャルダシュとして大変馴染みある曲)
ライモンダ5本のヴァリエーションの中でも名高いとされているらしい3幕の曲とハンガリーの伝統楽器ツィンバロムについてのお話もありました。
先述の通り曲数膨大であるがゆえ1回では網羅し切れず、続編もお待ちしております。

講座では全幕中3幕に焦点を当てられ、ライモンダ5本のヴァリエーションといえば(少々表現異なっていたかもしれませんが)3幕の曲、と
抜粋での上演機会が多い3幕が大概は印象に残りやすく、1、2幕はなかなか浸透しにくいのかもしれません。
曲者な私は3幕よりも寧ろ1幕2幕の方が好きで、1幕のグラン・ワルツは今回映像と共に紹介された後半部分よりも
前半のなだらかな旋律が徐々に壮大さを増していく展開が実に気に入っており、順番前後して吟遊詩人を思わす軽やかで抑制の効いた幕開けの曲も好んでおります。
2幕でのライモンダとアブデラクマンによる誘惑なるアダージオ誕生やジャンとアブデラクマンのテーマ曲が拮抗するのも聴きどころと思っており
次回機会があれば2幕の曲も多数取り上げてくださると嬉しく存じます。マントでジャン!の帰還が作品のハイライトであると思っております管理人です笑。
ライモンダのヴァリエーションは2幕のホルン、オーボエ、フルートと思われる吹奏楽器が交互に主旋律を奏で、徐々に近づくジャン再会の期待と緊張入り混じる心境が表れた
美しくも可憐で、格高さもあるこのソロが他の作品も含めあらゆる女性ヴァリエーションの中で1番好きですが、同意見者は東京都民に1人いるかいないかの確率でしょう。

そういえば、これまでの私の考えにちょこっとメスが入るお話もあり、ライモンダの登場シーンが眠りのオーロラの登場と似通った音楽構造とのこと。
姫の成長過程を見せていく展開は2作共通と捉えておりましたが、登場に関しては夢一杯花一杯な姫であるオーロラに対し、ライモンダは婚約者との別れ(この時点で既に出征後か或いはこれからかは版にもよるが)の感情を抱いた状態での登場で
決して幸福ばかりではなく物憂げな内面を醸しているため一層心惹かれ、登場からして全く異なるものであるとざっくり解釈しておりました。
しかし音楽の面からすると、井田さんの細かな説明を聴いていると似ているとも思え、心理状態のみで決めつけてしまったのはうっかりであったと感じております。

明日からはルーマニア国立バレエ団で牧阿佐美さん版『ライモンダ』上演が始まり、衣装装置や現地の反応及び
新国立での上演時は毎度笑いを誘っていたジャンの肖像画の出来栄えも気になるところです。




図書館でまたも書籍を借りてきてしまった。他も含め現在計10冊は借りており、貸出期間延長したとしても読破できるか。
そうは言っても、バレエ作品の成り立ちや物語の歴史背景について本で学ぶのは楽しく、勉強している感覚も皆無。昔から変わっておりません。
この類の書籍は18年ほど前から時々借りては目を通しておりますが、物語の中での騎士がいかに上澄みを汲み取った状態で美化して描かれているか毎度思い知らされます。
しかし『ライモンダ』における危機的状況時に身体を張って助け守り抜く場面を(当ブログで話題頻発マントでジャン!)
思い返す度に全身が蕩けそうになるのは、しかも昨年ならば6月11日の初台限定の言い分。矛盾にも程があります。

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