2021年6月4日金曜日

深川秀夫さん追悼展示上映会『深川秀夫の世界』ー深川秀夫を想うー





順番前後いたしますが、5月27日(木)に代々木上原のムジカーザで開催された深川秀夫さん追悼展示上映会『深川秀夫の世界』ー深川秀夫を想うーに行って参りました。
深川さんと所縁ある方々、出演されていた方や舞台、衣装スタッフの方々から
作品がお好きな方まで様々な深川さんファンが集い、各々自由に映像を眺めたり展示品に見入ったり、ゆったり心地良い空気が流れる展示上映会でした。
https://www.fukagawa-b-w.com/fbw_news/docs/%E6%B7%B1%E5%B7%9D%E7%A7%80%E5%A4%AB%E3%82%92%E6%83%B3%E3%81%86_20210527.pdf

主催は『深川秀夫の世界』を継承する会-Fukagawa Ballett Welt-(フカガワ バレット ベルト)。深川さんと舞台で関わってこられた方々が
ご遺族代表の深川知巳さんと立ち上げた事務局で、作品管理や著作権関連等、体制を整備されているとのことです。
作品を残し、上演を重ねていくためにもきちんとした事務局立ち上げは誠に喜ばしく、これからまた鑑賞機会に恵まれる日を心待ちにしております。
https://www.fukagawa-b-w.com/

現在は動画サイトでも何本かの作品も視聴できます。宜しければご覧ください。
https://www.fukagawa-b-w.com/archives/index.html#video


今回の企画は予約不要で入場無料。入口を抜けると受付でお花を1輪受け取り、場内奥にて穏やかな笑みを湛える深川さんの写真が飾られ
感謝を込めてお花を贈りました。写真を囲む花々のシックな色合いに暖色を交えた洗練された色彩美にも惹かれ、深川さんの美的感覚を思い起こさせます。

すぐ横では映像上映もされ、『真夏の夜の夢』や『ナルシスト』といった舞台映像や子供時代の写真も公開。
頭が小さく、脚がすらりと伸びていて子供の頃から何処か貴い雰囲気に包まれていた印象です。特に眠りの宝石の踊りであったか、ノーブルな佇まいにびっくり。
30年ぐらい前の映像が殆どでしたが現役時代のお姿も振付共に今観ても古さを感じさせず、色褪せぬ魅力に驚きを覚えました。
美しいものを見た、と心からの満足感が募ってくるのです。そして事務局協力スタッフのある方に教えていただきましたが、そしてカーテンコールがまたお洒落。
カーテンを少しつまんで観客を見渡し一礼する、その姿が何とも粋でございました。
大塚礼子さんが踊られたPARCO劇場でのアリスの写真の先鋭的な姿も強烈で、腰掛けた状態で脚をすっと上に伸ばした体勢が妙に色っぽいアリスです。

場内の周りでは1階と2階にて愛用の品や舞台写真、ポスターを展示。衣装も多数展示され、年季は入っていてもだからこそ滲む
長年の美の蓄積が窺えじっと見入ってしまいました。振付ノートにはフォーメーションが事細かに記され、鉛筆で懸命に書いていらっしゃる姿が浮かびます。

先にも申した通り入場無料の自由観覧な企画でしたが、映像のある箇所によってはこの場に集結なさった当時の錚々たる出演者を拍手で讃えたり、
また閉館前最後の映像が流れた後には場内から一斉に拍手が沸いたりと一体感のある瞬間にも居合わせた喜びに触れた思いでおります。

深川さんの作品をそう多くは鑑賞しておらず好きな作品を1本選んで挙げる資格なんぞ無いのは重々承知しておりますが
京都で全編を、東京にて抜粋を鑑賞し、明日から連日三昧『ライモンダ』以外のグラズノフの繊細な旋律、構造に酔い痴れ
主な使用曲は『四季』であっても音楽と振付の溶け合いが見事過ぎてもはや夜空に瞬く満天の星々しか思い浮かばぬ『ソワレ・ド・バレエ』の公開も嬉しい限り。
高部尚子さんの強靭なテクニックから繰り出される緩急の付け方に目を留めずにいられず、上演とほぼ同時期には
谷桃子バレエ団公演にて赤城圭さんとの『シンデレラ』鑑賞も思い出したり、当時の日本のバレエ界にも浸るひとときでございます。
この頃は小林紀子バレエシアターがアシュトン振付『二羽の鳩』日本初演や、英国ロイヤル・バレエ団来日公演にて
熊川哲也さんが『ラ・バヤデール』ブロンズアイドルを踊られた時代であったかと記憶。どちらも鑑賞しております。
多数の映像や写真、衣装やポスターまでを集めて会を企画してくださった事務局の皆様には感謝が尽きず。
この状況下、対策を講じた上での企画はさぞ労苦もおありであったかと存じます。
誰でもふらりと気軽に立ち寄りやすい雰囲気の展示上映会で、私も肩肘張らずに訪れて深川さんの世界をじっくりと堪能できました。
この度は本当にありがとうございました。

ところで、今回友人も一緒に訪れましたが、大塚さんのアリス、また16歳の頃の森下洋子さんや第1回世界バレエフェスティバル
そしてマルセイユ・バレエ団来日公演にてローラン・プティ本人のコッペリウスもご覧になっている生き字引なお方で
会場の関係者の方々も驚愕の表情。まだまだ私はバレエ勉学、足りのうございます。





住宅街に現れたお洒落な建物



入場時にいただいたカード。闘病中であってもユーモアを忘れぬ心が伝わる色味と筆跡です。3年前の私の誕生日でございます。

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