2020年11月9日月曜日

色付きが楽しみになる今だからこそのフレッシュ感 新国立劇場バレエ研修所公演 バレエ・オータムコンサート2020 11月8日(日)




順番前後いたしますが先にこちらから。11月8日(日)、新国立劇場バレエ研修所オータムコンサート2020を観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/autumnconcert-2020/

※新国立劇場ホームページより抜粋 詳細キャストはまた後日載せる予定

『ラ・シルフィード』第2幕より (音楽:H. ルーヴェンシュキョル 振付:O. ブルノンヴィル)
服部由依 石山 蓮

シルフィードの服部さんは少し緊張気味のようでしたが初々しさといじらしさが伝わる愛らしい妖精。
はっと目を惹いたのは石山さんのジェームズで、音楽の抑揚とぴたりと合うメリハリに富んだ踊り方、
中でも上体をしっかり保ちつつ膝から爪先にかけて素早く伸ばしては曲げる慌ただしくなりがちな振付も丁寧で余裕を感じさせました。
コール・ド・バレエはより浮遊感が出ると尚質の高い舞台になると想像。


『ボーイズ・アンシェヌマン』 (振付・曲:ボリス・アキモフ ピアノ伴奏・編曲:吉田育英)
青木恵吾 𡈽屋文太 髙橋隼世 竹花治樹
[ピアノ伴奏]吉田育英

稽古着姿の男性4人で基礎のレッスンを次々と展開させていき、衣装も振付も至ってシンプルな分
誤魔化しが効かず、ある意味難しい作品かもしれません。日常のレッスン風景を次々に捲っている気持ちにさせ観ている側は楽しい。
(観客を前にしてさらけ出し状態にある踊る側はいたく緊張でしょう)


『シェヘラザード』より ゾベイダと金の奴隷のアダジオ (音楽:R. コルサコフ 原振付:M. フォーキン)
狩俣瑠風 趙 載範(ゲスト・新国立劇場バレエ団)

狩俣さんのよく伸びる肢体やほんの少し香る艶かしさもなかなか宜しく、大胆になり過ぎぬ美しいゾベイダ。
ひたすらお仕えする趙さんの金の奴隷も品があり、好印象を持たせました。
(研修所発表会でマハリナとルジマトフ再来なる濃密パ・ド・ドゥを披露されたらそれはそれで客席動揺でしょう)


『ロマンス』(音楽:F. ショパン 振付・指導:貝川鐵夫)
加藤里佳 服部由依 菅沼咲希 根本真菜美 福田天音 山本菜月 縄田花怜

2016年秋のDance to the Futureにて発表された作品。音楽は恐らくピアノ協奏曲第1番ホ短調で、
我が記憶が確かならノイマイヤー版『椿姫』終盤に使用されている曲であるはず。
全員少しのフリルの付いたピンクを帯びたレオタードを着用し、心がこめられたしっとり瑞々しい魅力を放っていました。


『パキータ』より グラン・パ・クラシック (音楽:L. ミンクス ほか 原振付:J. マジリエ 改訂:M. プティパ)

パキータ:吉田朱里
リュシアン:小柴富久修(ゲスト・新国立劇場バレエ団)
ヴァリエーション
根本真菜美 縄田花怜 𡈽屋文太

『パキータ』にしてはスペインらしさは薄めで綺麗止まりであった気もいたしますが
これから経験を積んで行く前段階ならではかもしれません。
2日目は手拍子が出てしまいましたがそれでも集中を切らさず主軸を務めた吉田さん
周りと呼吸を合わせようとするコール・ドの懸命さにも触れ、益々応援したくなりました。
プログラムの福田一雄さんによる解説を読みつつ、いったいグラン・パの中のヴァリエーションは
全部網羅すると何曲か、そして各々作曲者は誰か、一覧にしてみたくなります。
根本さん、縄田さんのどちらが踊ったかは失念いたしましたが、アルミードの館のヴァリエーションも含まれ
(チェレスタらしき楽器音で始まる曲)福田さんの解説講座を思い出しながら鑑賞。

余談だが、来年1月新国立劇場バレエ団ニューイヤー・バレエでは本拠地でのバレエ団公演としては
18年ぶり『パキータ』を再演。誠に嬉しくも、管理人の中では特段好きな作品ではないが思い入れも強く
女性ダンサーがずらり整然と対角線上に並んだ奥側より仰々しく登場するリュシアンに対して目は厳しいのはお許しを。
(リュシアンの我が基準は山本隆之さんとフェルナンド・ブフォネスである。壁は高し)
来年抜擢されたお2人はきっと高水準な舞台を見せてくださると期待しております。

中盤にはレッスン風景や海外研修の様子の映像を上映。踵の付いた靴でバーレッスンを行う
キャラクターダンスのレッスンの風景がユニークで、そういえば2007年9月の公開レッスンでは舞台上で披露されたと記憶。(益田裕子さんや加藤朋子さん達の世代)
ANAスカラシップも大々的にアピールされ、ANAの宣伝映像の如くブルーの機体が雲間を飛翔する映像は飛行機好きには結構嬉しいもの。
ワガノワバレエアカデミーの建物内案内映像は美術館映画のような作りで、
伝統あるバレエ学校で学べる喜びやレッスン中のみならず寮でも真剣な面持ちで復習に励む姿から貪欲な吸収力が窺え、
同時に現在はこの状況。研修はこの先も行われるか心配にもなっております。
今回、行けなくなった方の代わりに鑑賞いたしましたが、研修生たちのフレッシュな魅力
そして伸び盛りな時期に大変な状況下で過ごしながらも懸命に打ち込もうとする姿は目に残り
努力が開花する日が来るようにと応援していきたいと思っております。




帰り、カウンセラー友人と。カレー、しっかりとスパイス効いていてレーズンが良いアクセント。美味しうございます。
初めて呑んだクラフトハイボール、ローズマリーらしきものが入っていてお洒落。
締めはビールでございます。

2 件のコメント:

ひふみ さんのコメント...

研修生たちのひたむきさが伝わってくるような素敵なご感想をありがとうございました。
研修生たちのこれからの活躍を祈りたくなる舞台であったろうと嬉しく思います。
来年の『エトワールへの道程』は是非鑑賞したいと思っております。

管理人 さんのコメント...

ひふみ様

こんばんは。この度はありがとうございました!
純粋に一生懸命に取り組む研修生たちがどんなダンサーになっていくのか
舞台や研修所での日常映像を観ながら私までわくわくとしてしまいました。
貝川さん振付の『ロマンス』も、研修生たちが踊ると何とも初々しい魅力が広がって
DTFで観たひたすら美しい印象とはまた違った素敵な舞台でした。
エトワールへの道程も楽しみです!