2025年12月17日水曜日

入団17年 伝田陽美さんの本公演全幕主役デビュー東京バレエ団『ドン・キホー テ』11月21日(金)







11月21日(金)、東京バレエ団『ドン・キホーテ』を観て参りました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2025/donquixote/





振付:マリウス・プティパ、アレクサンドル・ゴールスキー、カシアン・ゴレイゾフスキー、ウラジーミル・ワシーリエフ

※キャスト等はNBSホームページより

新演出・振付:ウラジーミル・ワシーリエフ
音楽:レオン・ミンクスほか
美術:ヴィクトル・ヴォリスキー
衣裳:ラファイル・ヴォリスキー

キトリ/ドゥルシネア姫:伝田陽美
バジル:ヴィクター・カイシェタ
ドン・キホーテ:高岸直樹
サンチョ・パンサ:後藤健太朗
ガマーシュ:樋口祐輝
メルセデス:政本絵美
エスパーダ:柄本 弾
ロレンツォ:岡﨑 司

【 第1幕 】
2人のキトリの友人:中川美雪、加藤くるみ
闘牛士:生方隆之介、安村圭太、鳥海 創、中嶋智哉、南江祐生、本岡直也、陶山 湘、小泉樹聖
若いロマの娘:平木菜子
ドリアードの女王:中島映理子
3人のドリアード:中沢恵理子、長谷川琴音、橋谷美香
4人のドリアード:金子仁美、涌田美紀、工 桃子、安西くるみ
キューピッド:足立真里亜

【 第2幕 】
ヴァリエーション1:加藤くるみ
ヴァリエーション2:中川美雪

指揮:アントン・グリシャニン
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ団OB・OG、東京バレエ学校


まずは入団17年、全幕初主役伝田さんキトリに祝杯! ミルタやカラボス、ガムザッティ、妖精達の要、ベジャール作品等でも
主要役で舞台を引き締めてくださっている大職人がついに真ん中を踊る日が到来。序盤こそ緊張気味な様子はありましたが、
ぱっと華やぐダイナミックな美で魅了してシャキッとした踊りの爽快なこと。
とにかくほぼ全員後輩であろう団員の方々が伝田先輩へ大応援を周りから送り、また客席も東京バレエ団ファンはもとより
私のような、東京バレエ団公演へ足繁く通っているわけではないが、長年の大功労者であり献身的で職人な活躍が光る
伝田さんの全幕主役デビューならば駆けつけたいと思われた方が大勢来場されていたように思います。
伝田さんといえば、潔く格好良い姉御な印象が先行しておりましたが、バジルを見上げて甘えたりと恋する女子な要素も出しての表現もいたくチャーミング。

そういった乙女な新鮮な要素を伝田さんから引き出したバジルのカイシェタさんの功績も讃えたいばかりです。
いくら昨年世界バレエフェスティバル全幕プログラムのラ・バヤデールに客演(このときも代役だったらしい)されてガムザッティの伝田さんと共演済みであっても、
今回は伝田さんの前に上野水香さんと共演している点を差し引いても、とても急な代役とは思えぬ馴染みっぷりは驚き嬉しい発見。
団員達とのコミニュケーションが実に楽しそうで、賑やかに声かけして回りつつ自分の踊りとなればバネから繰り出す柔らか伸びやかな踊りで魅せ、
キトリのソロとなれば全出演者と一緒に盛り上げ隊長なムードメーカーとして大活躍。
ワシリーエフ版特有のプロローグでの床屋仕事情景やロマの野営地での人形劇をキトリと演じる場もしっくり馴染んでいた上に
終始キトリを明るく優しい受け止め、お姉さんキトリと無邪気バジルのバランス良き楽しいペアが誕生しました。

ソリスト陣も充実していて、政本さんのクールでスタイリッシュなメルセデス、平木さんの情念が沸き上がるロマの娘、
そして足立さんキューピッドの何処を切り取っても軽やかな身体能力から飛び出す可憐で活発、ふわふわな妖精っぷりもお見事。
他の団の2倍速かと見紛う急速テンポで踊るセギデリヤも、張りのあるアクセントを皆で付けながら誰も遅れを取らず
中でも工桃子さんと思わしき方が集団をパワフルに引っ張っていて、小柄であってもはち切れんばかりのエネルギーを駆使しての牽引力に天晴れでした。

国内ドンキでは演出としては最後の大団円まで街の人々やお父さん、ガマーシュも絡むワシリーエフ版が一番好きかもしれません。
熱量多くうねるような盛り上がりも見せつつスペイン人ダンサーのタマラ・ロホさんが2006年世界バレエフェスティバル全幕プログラムにおける客演時のダンスマガジンで
スペイン人の自身から見ると複雑に思えるドンキもある中、東京バレエ団のバージョンはエレガントでとても好きと仰っていたように
エネルギッシュながらも品良き仕上がりも魅力に映ります。全2幕構成のため夢の場の終わりまで休憩無しであるのは
少々長く感じるものの、お祭り気分で会場をあとにできる演出であると再確認です。
伝田さんの全幕本公演主役デビューにもぴったりで、気風の良さから愛くるしさまで、七色の虹の如く多色に輝くヒロインの誕生を心から祝したい思いでおります。
本公演白鳥の湖もいつかオデット/オディールを観てみたくなりました。

そして本日発表された2月3月のレジェンズガラのキャスト。ベジャール版春の祭典の生贄役に伝田さんのお名前あり。誠に楽しみでございます。




ロビーにて。



代役カイシェタさんについてのお知らせ。



キャスト



くるみ割り人形衣装



マーシャ衣装拡大。



日によっては、くるみ割り人形主演予定者が幕間に登場!秋山さん池本さん。



くるみ割り人形を掲げる池本さん!



帰りは近くのスペイン料理店へ。上野のお店にパンダが当たり前のように飾られる日はいつまででしょうか。
シャオシャオとレイレイが来年1月に中国へ返還されます。上野からパンダがいなくなることに。



スペインオムレツ。キトリ、段々状衣装は黄色です。



オムレツ拡大!断面にジャガイモぎっしり。



ラムチョップ。ソースと一緒に、ワインによく合いました。



ドンキの装置そのままな内装です。

2025年12月14日日曜日

三大バレエ作品踊る喜び... 三大バレエ作品踊る喜びキーウ グランド・バレエ・シアター『眠れる森の美女』 12月3日(水)




順番前後いたしますが12月3日(水)、キーウグランド・バレエ・シアター『眠れる森の美女』を友人の代わりに観て参りました。10年ほど前に設立された私立のバレエ団とのことです。
詳細は インプレサリオ東京 のページをご覧ください。


オーロラ姫:アリサ・ミハイレツ
デジレ王子:ユリアン・ポトゥナレンコ
リラの精:タマラ・マヨロワ
カラボス:アンナ・レズニチェンコ
白い猫:マーラ・チルチェリ
長靴をはいた猫:北口郁人
フロリナ王女:長澤美絵(特別ゲスト出演)
青い鳥:ルーカス・メアレス
赤ずきん:キーラ・アーヴィング
狼:コスチャンチン・マイオロフ
シンデレラ:オレクサンドラ:フリホリエワ
王子:エマニュエル・カペリ


本公演且つ全幕構成ながら日本のバレエ教室発表会での全幕眠り演出以上に短時間であろう2時間に纏められ、最小限な人員、装置美術での上演でした。
しかし未だ落ち着かぬウクライナ情勢を思うと、またウクライナの公立のバレエ団では三大バレエ含めロシアの象徴とみなされる
チャイコフスキー作品が上演できぬ事情を踏まえると、例え短縮構成で衣装等も簡素であっても(インプレサリオ東京さんのHP舞台写真とはだいぶ違うデザインでした)
踊れる喜びはひとしおであったと想像いたします。

ミハイレツのオーロラ姫は堅実なテクニックから繰り出す踊りがとても端正で、
これ見よがしに見せつけたり可愛らしい表情を過剰に出したりせずとも歯切れ良い踊りで語る、愛らしいお姫様でした。
衣装が淡いオレンジに近い色味で、オーロラ姫にしては珍しい色調デザインでしたが、何か事情があるのでしょう。
結婚式はきりっとクールに、されど格式高い威厳を持ち合わせて踊る様子が姫を超えて女王然とした姿に映ったほど。全体を引き締める支配力にも拍手です。
ポトゥナレンコのデジレ王子はバネの強さを生かした技術が力強く、2幕森でのペザント風な衣装にピラッとした短い赤マントな衣装を差し引いても
高貴な雰囲気はもう一歩でしたがオーロラに出会った歓喜がひしひしと伝わり、終始パワフルな存在感であった印象です。

レズニチェンコのカラボスがドレッシーな美しい妖精で、透け感のある長いスカートを翻しながらスタイリッシュに舞い、
すらりと背が高く優美で大らかなマヨロワのリラの精と同等の美で対峙。
糸車持つ村娘達が捕らえられ慌ただしく連行される最中に落とした針をカラボスが拾い、オーロラ命奪取りの策略を練る場面の挿入がなかなか面白い演出でした。
ちなみに王様お妃様も不在のため、捕らえられ連行されていった村娘達はどうなったのか。
オーロラ姫のお誕生日会だからと特例で許しを得る場面はなく、行く末を案じるはかりでございます。
特別ゲスト出演と明記されていた長澤さんはプロローグ妖精達の中にも入っていらっしゃり、フロリナ王女では決して好条件ではない身体であっても
強弱の付け方やポーズの繋ぎ方の隅々に至るまで職人な踊りで魅了。
長らくキーウクラシックバレエで活躍され、主役経験の豊富さが窺える舞台姿でした。

2時間で全幕眠りですから、しかし子供向けや初心者向け企画ではなく全席5500円均一の本公演。
いかにして短縮させるのか注目しておりましたがプロローグはあり、
6人の妖精は登場するもヴァリエーションはリラのみ。リラのお付きは4人程度であったと記憶。
16歳のお祝いではローズアダージョはそのまま通して、オーロラ友人達は花のワルツも兼ねていたかと思います。貴族も少数ながら周りを固めて活躍。
森の場は狩猟場面無しで王子が登場したらすぐさまリラに遭遇してオーロラ幻影に出会う素早い展開です。
3幕は祝福の余興はシンデレラもあり、しかしオーロラ姫とデジレ王子のグラン・パ・ド・ドゥの後は
マズルカ無しでアポテオーズでめでたしめでたしな幕切れでした。

観客は1階席のみに入っていて、2階から5階は開けずの対応。師走の平日水曜日で18:30開演、ウクライナのまだ新しいカンパニーであるためか動員は正直容易ではなさそうでした。
それでも古典しかも三大バレエを嬉しそうに踊る出演者達の姿は訴えかけるものがあり、カーテンコールでは主役2人がそれぞれウクライナと日本の大きな国旗を背中越しに掲げて登場。
観客の拍手に包まれる中、日本ツアーを行っている喜びがこれでもかと伝わるひと幕でした。




キャスト



模型



何十年も上野に通っていながら初入店した文化会館2階の精養軒。今年上野に足を運ぶのは最後で、来年ゴールデンウィーク後からの改修開始前に利用してみようと思い立ちました。



何十年も上野に通っていながら初入店した文化会館2階の精養軒。今年上野に足を運ぶのは最後で、来春の改修開始前に利用してみようと思い立ちました。
ボルシチが具沢山で丁寧な作り、すっきり味わいのあるスープでおすすめです。スメタナ溶かすと薔薇色に変化!



拡大。具が並々と。
改修後、文化会館に入っている資料室や、養軒等の施設、店舗はそのまま残るのか気にかかります。



ツリー



トナカイさん。東京文化会館、また来年!

2025年12月12日金曜日

カルメンの誇り高い生き様 篠原聖ーバレエリサイタル『カルメン』11月20日(水)








11月20日(水)、新国立劇場中劇場にて原聖ーバレエリサイタル「カルメン」を観て参りました。
形式を変えながら再演を重ねている作品で全2幕版、NHKバレエの饗宴2015での約40分版に続き今回3度目の鑑賞です。
https://seiichi-yurie.com/

カルメン:下村由理恵
ドン・ホセ:今井智也
スニーガ:浅田良和
エスカミリオ:厚地康雄
篠原聖ー


下村さんのカルメンは奔放な強さと艶かしさを放つヒロインで年齢重ねても歯切れ良く色香漂う表現で魅了。 ホセでなくても落ちてしまう魅惑的な美しさです。
筋肉とりわけ背筋のしなやかさにもうっとり。暗闇での立ち姿の凛としたお姿で語りかける潔さに連れるかと思えば、
ホセとの一夜は官能的な要素にピュアで愛らしい恋する女性なオーラも充満。ホセに包まれ、初めて味わう心安らぐひとときであるう
鮮烈な感情の芽生えが噴水の如く溢れ落ちていた印象です。
今井さんのホセは命を削りながら捧げる勢いあり好印象。濃密な下村さんカルメンに恋い焦がれ、道を踏み外して行く生真面目軍人を、
カルメンと互角に渡り合いながら生々しく描き上げていらっしゃいました。
ホセの甘さをとことん追い詰めて押さえつけるスニーガの浅田さんの、見た目からは想像付かぬ鋭い攻撃性も得ましや。
エスカミリオの厚地さんの、ここ数年の間で最もキレキレに思える踊りっぷりで(篠原さんマジック効果か笑)、
髪掻き上げたりとキザな表現の気恥ずかしさ皆無。客席へ薔薇を投げる決めどころも、白いキンキラ衣装もバッチリお似合いでした。

タバコ工場の女工同士の喧嘩騒動やら、物語の設定上どうしても品良く描くのは困難でありながらも最初と最後に儀式的な場の設定の工夫光っていた部分の1つ。
薔薇の花々の中でカルメンがゆったり凛然と身体を起こして佇みながら観客を物語の世界へいざない、誇り高く生きたカルメンの生き様を見せるような
美しい余韻を持たせる演出が全体に厚みと洗練した趣を与えていて、目に心に響く演出でした。
酒場等の場面にて、木の棒を組み合わせて背景全体に広げ、明かりが灯されていた美術も洒落た作りです。

舞踊場面もたっぷり用意され、女工達の群舞の色違いのくすんだ色味衣装の配置や入れ替わりの滑らかさ、
立体感とメリハリに富んだ踊りが颯爽と連なりビゼーの骨太な曲調と溶け合いながらの展開は息呑む面白さで満たされました。
音楽は所々オリジナルな編曲も挿入し、スニーガに問い詰められるホセのやりとりは現代風な音楽で心臓の鼓動をそのまま鳴らすような音を発していて違和感も多少はあれど、
崩壊していくホセの様子を抉り出す効果もあり、直後のカルメンへの突っ走りにも説得力を生み出していたかと思います。

それからカルメンの運命を司る篠原さんも忘れられず。カルメンを背後から見つめ、共同体のようにユニゾンで歩んだりと怪しくも神秘的な存在感。
それにしても、ご年齢を考えたら変わらぬ締まった身体にシンプルな白シャツ衣装で舞台にお立ちになる篠原さん。驚異的な若さです。

約90分間休憩無し演出であっても冗長な箇所はなく、締まりある展開で瞬く間に終演。バレ工界の第一線で活躍する主役級キャストが団の枠を越えて集う豪華さに加 え
中劇場の2階からの鑑賞であったため奥も含めて全体をよく見渡せ、隙のない洗練された篠原さん下村さんの世界観を堪能できました。
篠原さん下村さんの、仲良くも互いを刺激し合う敬い合う関係は長年不変なのでしよう。
カーテンコールでは下村さんが舞台に1人佇んでいると、カルメンを始め何度も共演を重ねた佐々木大さんがサプライズで花束を持ってご登場。
また近年では珍しい、花束投げ込みもあちこちから笑。下村さんの根強いファン達の熱意が飛び交う光景でございました。

会場には篠原さん、下村さんを慕う、ご縁ある方々が全国各地から集結。同じ版の「カルメン」を嘗て上演した大阪の佐々木美智子バレエ団関係者や
関西でよくお目にかかる舞台写真撮影スタッフの方々、篠原さん作品上演や篠原さん下村さんも度々指導に出向いていらっしゃる
愛媛県西条市の板東ゆう子ジュニアバレエの方々等と一斉に初台にて平日仕事帰りにお目にかかれて喜ばしい限り。
いつもは夜行バスや新幹線に乗って会いに行く方々が揃って初台上陸。ホームへようこそ(誰のホームやねん!?と言われるでしょうが笑)な不思議気分でございました。

※NHKバレエの饗宴2015ではカルメンを下村さん、ホセを山本隆之さん、スニーガを森田健太郎さんが務められ、
このときの濃厚ドラマティックな布陣も刷り込まれております。群舞の中には徳永由貴さんもいらっしゃいました。




休憩なし!



互いを讃えあう下村さん今井さん



集合!



ソワソワなさる下村さん⁈



佐々木大さんからサプライズ!



喜び溢れるお2人です。



篠原さんも駆け寄ります。



再度皆でカーテンコール!



帰りは赤ワインで乾杯。カルメンの後は赤ワイン飲みたくなるのです。
首都圏時々北陸各地の劇場常連さんと(年間観劇300回超えていらっしゃる!?)、
鑑賞もレッスンも観劇旅にも励んでいる我が後輩が初めてゆったり語らい。2人とも喜びな会話が弾みっぱなしでした。





すぐ横上にビートルズのポスター。今年は私も、それから秋頃には実は妹もロンドンにて観劇三昧な旅をしており、
妹はビートルズグッズのお店へ、私はアビーロードも探訪。2人揃ってロンドンとご縁ある年になりました。

2025年12月10日水曜日

華麗なるカラボス マユバレエスタジオ『眠れる森の美女』 11月16日(日)《京都府長岡京市》





11月16日(日)、京都府長岡京市にてマユバレエスタジオ『眠れる森の美女』を観て参りました。昨年に続き2度目の鑑賞です。
https://little-march.jimdofree.com/

毎年古典全幕物にチャレンジしているスタジオで、決して大人数ではない中で工夫しながら見応えある舞台を届けてくださっています。
今年は「眠れる森の美女』。楽しみに参りました。

オーロラ姫は全幕通して主宰の山田真由美先生。恐らくはベテランなキャリアでいらっしゃるかと存じますが
16歳の姫としてのエネルギッシュで明るいご登場からしっとりした幻影の場、華やぐ結婚式まで、体力の余裕にも驚きを覚えます。
ローズアダージョでのお衣装がオーロラにしては濃いめの赤色で珍しく映るも、山田先生の朗らかな雰囲気によくお似合いでした。
王子は福岡雄大さん。身体が以前よりシュッとされたのか若々しさが覗き、機敏な踊りもまだまだ健在。
まもなく開幕する新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』でのドロッセルマイヤー初挑戦も楽しみです。

そして、最大のお目当ては山本隆之さんのカラボス。10年前に大阪府内でのスタジオ発表会にて演じられていましたが残念ながら拝見できず。念願叶っての鑑賞です。
もう笑ってしまうくらいに美しく、邪悪さよりもチャーミングな美魔女に近い造形で長いドレスを両手で摘みながらのツーステップがお茶目で麗しいこと。
寧ろ宴に呼んだほうが儀式も盛り上がる、祝典の格式も上がるであるう存在感で楽しませてくださいました。
招待されなかったのが不思議に思えたほどでございます。 各妖精達の仕草を真似ながらの怒り沸騰ですら美しや。
手下達は全員子供の生徒さん達で、山本さんとの共演でとっても楽しそうに弾けつつ、結束力もあってお見事でした。

発表会の眠り全幕ですから、例えばマリインスキー並みのボリュームで上演したら恐ろしい長時間上演となってしまうため
所々カットしつつも、王様お妃様は不在でも、全幕観た気分にさせてくださる工夫が行き届いていました。
2幕冒頭は狩猟場面はほぼ無しで、すぐさまデジレ王子ご登場でさっさか展開。
また生徒さんたちは小さなお子さんも含めてほぼ全員が各幕に出演して物語を支えていて、
どうしても衣装替えの時間確保が難しい幕もあったもよう。
そのため場面によっては前の幕と同じ衣装で登場し、代わりに装飾を少し付けて変化を出していたりと(目視確認のため違っていたら失礼)総動員で対応していた印象です。
2幕の冒頭はローズアダージョでの4人の求婚者達がそのまま出てきて王子の友人として存在し、王子をお出迎えだったかと思います。
前回ドンキホーテ全幕上演時も、多くはない人数でいかに全幕を行うか、創意工夫が散りばめられていた記憶があります。
今回も猛スピードな準備に追われながらの舞台裏であったと察しますが、きっと上級生の方々が率先して小さい生徒さん達の準備を手伝ったり、
皆で声を掛け合いながら取りこぼしがないか確認を進めたりと生徒さん達の団結力の賜物でしょう。
装置や美術も整った美しさで、とりわけロイヤルブルーが輝く大掛かりなカーテンや幻影の場の優しく差し込む光も目に残っております。

2025年最後の旅観劇、長岡京市にてマユバレエの皆様の眠り全幕に、マレフィセントも霞むであろう山本さんの華麗なるカラボスで良き締め括りとなりました。



※前日に富山県魚津市にてコンクールのアンサンブル審査とエキシビションを観覧したあとにそのまま京都入り。しかも長岡京市が鑑賞地域でしたので越中での勤務もこなしていた大伴家持の所縁の土地を巡る気分で参りました。




早朝、京都到着。寒うございます。



駅から直進、本願寺から眺める星空。



お風呂のあとに、四条にて朝食。



朝は650円でおばんざいビュッフェ。京野菜を使った健康的な料理が多種用意。
ドレッシングも独自の作りでカブのすりおろしソースや紫蘇を使った種類もありました。九条ねぎと納豆のおばんざいが特に好みでした。
うどんはセルフで茹でて、薬味もお好みで。お味噌汁はビュッフェのサラダの京野菜を入れてもおすすめとあり試したところ、味わいがぐっと増して美味しい。
町家を改装したお店で2階は少し寒いかもしれませんが、心身が健康になりそうな、朝から活力が沸くメニューを取り揃えています。



野菜たち



パンもあります。コーヒーはマシンで挽いていただきます。いい香りです。



四条から鴨川沿いへ。いつ見ても穏やかになる景色です。紅葉も少しずつ色づいています。



何度も京都へ行ってながら未だ訪れていなかった三十三間堂へ。金色の仏像がずらりと壮観でした。



トロッコ・京都編はこちらが舞台です。記念撮影。2日連続で黒部宇奈月と嵯峨野のトロッコを乗り比べると
あくまで観光ありきでしっかり守られているソフトな嵯峨野、
保安業務路線から発展し、気迫ある険しく高い山々をワイルドに駆け抜けていくスリルある黒部宇奈月。どちらもそれぞれに魅力ありました。
むむ?!京都と富山、それぞれの地の鑑賞お目当てのお方によるレッスン指導、進行方法(あくまで大人向けオープンクラス時)にもそのまま各地のトロッコ特徴が通ずる気がいたします。



2011年春以来2度目の、そして前日の黒部宇奈月に続いてのトロッコ乗車です。この時期は予約必須、全車両満席。
前日に富山で予約して、ぎりぎり最後の席を確保できました。



嵯峨野から乗車し、まずはしらかわんも撮影。すると次の嵐山から乗車して同じボックス席にお掛けになった
海外からの観光客3人組の中の女性の方が興味津々にしらかわんを観察。
He is a dog、と説明し(表現これで良かったか!?)すると、何とロンドンからいらした方と判明。
ユニオンジャックのSキーホルダーに喜びの反応を示してくださいました。
7月にロイヤルオペラハウスへ日本のカンパニーのジゼルを観に行き、レスタースクエアで購入した旨を話すと更に嬉しそうな表情をなさり、
ロイヤルオペラハウスで観るくるみがお好きとのことで暫しライト版くるみの話で盛り上がり。
トロッコ最後の一席がこうにも幸運な交流をもたらしてくれるとは、黒部宇奈月といい嵯峨野といい、遡ればロンドンの往路や札幌の往路もですが
近隣席者と初対面と思えぬほどにあれこれ会話が弾む運に恵まれ、乗り物における座席運が良過ぎた2025年でございます



保津川を照らす紅葉と緑の葉が重なり合って美しい車窓風景です。
左右交互に見所な景色が見え、本来ならば私が日本へようこそとおもてなしをすべきはずが、
ロンドンのお方が率先して写真を撮りやすい角度など教えてくれたりと親切なお人柄にリードされながらの楽しい車内。
お連れの方々も気さくな上にマナーも素敵なお仲間達で、京都の観光問題については随分前から山積してはいますが
心から自然や文化を愛でては喜びを分かち合うお三方に囲まれ、気持ち良いひとときを過ごせました。



嵐山



長岡京市へ。京都駅からは20分程度で到着する好アクセス地でガイドブックにも載ってはいるものの長岡天満宮付近は実に落ち着いた地域。
地元の方々がのんびりと散策を楽しんでいる憩いの場です。夕暮れどきの、鏡紅葉!



長岡天満宮近くでしらかわんも記念撮影。前日は富山で、この日は京都で紅葉を見物。とても嬉しそうです。



無事終演、阪急線で四条方面へ。下車して朝食時のお店付近の路地裏をぶらぶら。
するとお洒落でお値段手頃そうなお店を発見。 おひとり様歓迎の文字にも安心しましたので入ってみましょう。



おつまみセットの種類豊富で、赤ワインに鴨の燻製とチーズを選択。赤ワインは渋みと深みたっぷり。
チーズは香ばしいオイルがかかっていてワイン益々進みます



メインを迷っていると、名物メニューと記されたトマト無水ドライカレーを発見。
トマトの瑞々しさと挽肉の旨味をしっかり包み込んだカレーで、身体に良さそうなお料理でした。おすすめです。
それにしても京都では気づけば朝から健康に良さそうなお料理をずっと味わっておりました。
ワイン、チーズ、鴨の燻製、カレー、合計で2100円であったかと思います。居心地も良く、スタッフの方も丁寧で親切で、大満足!
おひとりでお越しの男性のお客様も、好みのお酒や小皿料理をじっくり味わっていらして、どれも美味しそうなお料理ばかりでした。



考えてみれば、二大貴公子さまの旅観劇が同じ週末で2日連続であったのは初かもしれません。
慌ただしさを心配してくださる方もいらっしゃり、ありがとうございました。
昨年8月の、関東東海付近での悪天候に追われて東京大阪間の新幹線が運休になるなど交通手段も大混乱していた最中における
同日午後内での広島県福山市と大阪府堺市の梯子観劇に比較したらなんてことありません笑。
今回は2日連続、しかも年の締め括り。良きタイミングでございました。
あとは共演がいつか叶って、且つ客席から拝見できたら。今もまだ夢見ております。

四条から京都駅まで徒歩で移動。区画整理がなされ道が分かりやすいため三条京都駅間くらいなら大概は徒歩でございます。
京都タワーが近づき、京都駅のバス乗り場へ。さらば京都、また逢う日まで!!!


今年は日本地図全体が賑やかになる旅観劇が続き、夏は16年ぶりに旅券持っての観劇もございました。来年もあちこち、十津川警部並みに伺えますように。
現時点で初観劇する予定の県は来年2県あり、心待ちにしております。
観劇は2の次ですかと言われても仕方ないほどの観光飲食写真多数で余分な脂肪が多いと言われた回数は数知れず。お読みいただきありがとうございました。
このあと年内は東京での鑑賞が続きます。