


3月14日(金)から3月16日(日)、新国立劇場バレエ団バレエ・コフレを計4回観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/triplebill/
『火の鳥』
【振付】ミハイル・フォーキン
【音楽】イーゴリ・ストラヴィンスキー
【美術】ディック・バード
【衣裳】ナターリヤ・ゴンチャローワ
【照明】沢田祐二
火の鳥: 小野絢子(3/14 3/15夜) 池田理沙子(3/15昼 3/16)
イワン王子:奥村康祐(3/14 3/15夜) 渡邊拓朗(3/15昼 3/16)
カスチェイ:小柴富久修(3/14 3/15夜) 中家正博(3/15昼 3/16)
ツァレヴナ王女:益田裕子(3/14 3/15夜) 内田美聡(3/15昼 3/16)
小野さんは音楽と呼応する腕使いに緊迫感があり神々しい魔物のような存在。
繊細で音楽のままに火花が飛び交うような羽ばたきに鳥肌が立ちっぱなしに。(鳥だから、ではない)
細い腕ながら群衆を押さえ込んでは煽るように上手側で取り仕切る腕の動きや表情、
全編通して迷宮が入り組むようなストラヴィンスキーの複雑な音楽を全身で支配している姿も凄みがありました。
イワン王子に対しては猛獣なおどろおどろしさ、野性味で対抗していて攻撃性も強し。
奥村さんは通称サンタクロースな真っ赤な衣装に存在が少し負けてしまっているようにも思えたものの
おっとり優しげな王子様で、火傷も考えずに好奇心旺盛に火の鳥捕まえてしまう行動もあどけない若さが覗きます。
火の鳥の猛烈な反抗を寧ろ楽しんでいそうなわくわくとさせる笑みも可愛げがあり、
まさかこの後に王女と出会ってカスチェイと対峙するなんて想像もつかなかったことでしょう。
群衆の中の強面な警備隊風の2人(長谷川さんと朔さん)に両脇を掴まれてしょんぼりした困り顔からのカスチェイへの対抗、そして宝箱持ってきて卵を割るまでの流れが
一時は火の鳥と群衆中心の場を挟むことになってもスムーズに思えたのは、混沌とした舞台上をも
生き生きと捉える奥村さんの表現がそのまま続いていた点も大きいはず。
艶のある美しさの益田さんツァレヴナの色香も場をきらりと潤わせていました。
カスチェイの小柴さんは初日は頭飾りの冠トラブルがあれど、独特のおかしみを醸していてあからさまに怖いとはまた別の印象で覆い尽くす魅力あり。
イワン王子とはお互いに対峙するとパワーではなく飄々とした摩訶不思議な要素をぶつけ合う2人でした。
池田さんはきりっと強い火の鳥で俊敏に飛び交う鳥っぷり。決して恵まれた体格条件ではないかもしれませんが
肩からの腕の動かし方が柔らかく自在な羽ばたきで見せ、起伏に富んだメリハリで強弱をよく付けていて予想以上に鳥、しかも森を支配するリーダー格に見えた次第です。
池田さんのイメージに抱きがちな親しみやすい可愛らしさは一切封印しての姿で近寄り難いオーラも十二分。
そして本当に今回が主役デビューかと驚かされたのが拓朗さんのイワン王子。まずは主役デビューおめでとうございます!
ロシア民話の絵本の世界観にぴったりな逞しい王子で、舞台で1人立っていても
スカスカ感がなく振る舞いもよく考えて臨まれていたと思え、物語を力強く動かしていた印象。1回目は4階隅から観ておりましたが双眼鏡不要であったほどです。
カスチェイにもすぐ勝てそうで、両脇から警備隊2名に捕らえられてもふりほどいて逃げ切れそうでございました笑。
池田さん拓朗さんペアのビジュアルも興味を持たせ、イワン王子が火の鳥を捕まえる場は腕の中にすっぽりとおさまってしまいそうな火の鳥を楽しそうに見つめる王子と
キッとした鋭い顔つきで刃向かう火の鳥の攻防戦で、妖しい旋律にのせて2人が近づいては離れる不穏な空気感が浮き立って伝わりました。
中家さんは豪胆に歪んだ体勢がおどろおどろしく、見るからにおっかないカスチェイで
王子達を苦しめる様子もいたく楽しそう。イワン王子と向き合うとガツンとパワー炸裂。
木陰から次々に悠然と1人ずつ現る王女達の耽美な並びも眼福でしたが(双眼鏡で眺めていてもとにかく美女しか出てこない)
トリで出てきた内田さんツァレヴナ王女の飛び抜けて現実離れした美は圧巻。肩を見せながらの横移動の短いソロも芳しくデコルテのラインも綺麗な上に
拓朗さんイワン王子と並ぶと身長だけでなく存在の大きさにも目を見張り、動くロシア民話の巨大絵本と化。ロシアのバレエ団による上演以上に迫力ありそうな2人です。
新国立では久々12年ぶりの上演で、低音リレーな前奏の長さや、りんごキャッチボールだけでなくボウリング披露もあったかと手探りで思い出しながら鑑賞。
キャッチボールは初日はエラー続出で笑、エアーボウリング選手も見かけましたが王女達が慣れぬ遊びに取り組んでいたと思えば納得です。
群集をよく観察すると衣装の渋みを帯びた色鮮やかな面白い色調にも魅せられ、コサック隊達の座り込んでの股関節運動もハードでしょうに、上の階から観ていると
怒涛になだれ込んでいそうでフォーメーション移動がきちんと計算し尽くされた並びが壮観。
踊る部分は勿論、最後の式典は更に大人数の立ち役が必要で、他の作品出演者も合流して式を盛り立てていました。
その中に君臨するイワン王子とツァレヴナ王女は埋もれぬ存在感がより光り輝くことが不可欠ですが
王冠被った拓朗さんイワン王子は戴冠式状態で、国をおさめる権力を持ち合わせているとしか思えず。
内田さんツァレヴナもマントにくるまれての王冠着けた様子は女王の貫禄。他のクラシック作品に比較すると火の鳥以外は忙しなく踊る部分は少ないものの
ゆったり、しかしまったりせずに見せるのが非常に難しいであろう作品挑戦での堂々たるデビュー、めでたさで満ちていました。
冒頭から玉葱型屋根の建築群の絵を観るだけでも、数日間ではあれどモスクワで過ごした日々にて散歩中に突然現れる正教会の光景を思い出しました。
今はロシア観光や観劇、文化についても語りづらい情勢になってしまったが今回火の鳥の舞台を目にしながら民話の魅力や音楽、美術の色彩感に再度感激。
ストラヴィンスキーの音楽、なせこうも魂揺さぶられるのでしょう。動くロシア民話な世界観に見入り
楽器の細胞までもが一斉に暴れ出して踊り狂うような中間部を始め、やはり傑作です。
皆で揃ってYの字祭りな振付も、劇場全体を鼓舞するパワーを放っていて何度観てもクセになります。
再演まで干支1回りの年月を要しましたが時間を空けず、こういったバレエ・リュス作品上演にもまた取り組んで欲しいと願います。
前回、前々回は山本隆之さんのイワン王子の名演が忘れられませんが、前回は当時研修生ながら
今も山本さんのイワン王子が印象深いとアトレのインタビューで語っていた拓朗さん、ありがとうございます!
※外苑前のPieBirdにて。散歩番組のテレビ放送で視聴してFirebirdに似ている気がし、鑑賞前に訪問。アップルパイが名物でりんごの形の膨らみもあります。
地層の如くりんごが詰まっていて、おすすめ!しかも場所は神宮球場すぐそば。
王女達のりんごキャッチボールをつば九郎も応援してくれているに違いありません。今も周囲はつば九郎のポスター多数あり。
しかしボウリングもあるのはすっかり記憶から抜けていた笑。
他にも種類多数で、ピスタチオヨーグルトパイやキャラメルパイも食べてみたい。


断面
『精確さによる目眩くスリル』
【振付】ウィリアム・フォーサイス
【音楽】フランツ・シューベルト
【美術】ウィリアム・フォーサイス
【衣裳】スティーヴン・ギャロウェイ
【照明】タニア・ルール
【ステージング】ホセ・カルロス・ブランコ
3/14 3/15夜
米沢 唯、直塚美穂、根岸祐衣、速水渉悟、渡邊峻郁
3/15昼
花形悠月、山本涼杏、東 真帆、森本亮介、上中佑樹
3/16
米沢 唯、山本涼杏、東 真帆、森本亮介、上中佑樹
ポスターになった初日組を、もっと辿れば昨年10月発売のシーズンガイドブックにて
ビジュアルのみ公開されていた渡邊さんがきっとファーストキャストであろうと想像して自分の中の世界初演にしたいと決めてあえて予習せずに鑑賞。
猛スピードで斬り込んで捻り崩しては端正なポジションに戻る、めくるめく過酷振付に口あんぐりでした。使用曲も初耳です。
ソロもあればパ・ド・ドゥもあり、音楽が止まることなく風を切るようにせめぎ合う5人に全日程天晴れでした。
ファーストチームは超絶熟練職人組合で、それぞれに突き抜けた魅力の持ち主。
『くるみ割り人形』ではアラビアのみに出演されていた米沢さんが新制作に登場してくださったのも喜ばしく
スイスイとステップを軽快に繰り出してオフバランスのポーズもキビキビと造形していく姿に拍手。
直塚さんの、股関節の奥から脚をぐいっと力強く上げてしかも音楽に全く遅れることなく意図せぬ場所からの強靭な回転やバランスへの繋ぎもお手の物。
根岸さんはよく研がれた上質な包丁のような身体捌きが妙にお洒落に見えて
急速なテンポであっても楽しそうに四肢を操ったり少し溜めてからの角度の決め方も凛としていて痺れました。
速水さんは音楽の中で端正でありつつ躍動感溢れる踊りで全体のムードを高め、ドヤドヤニヤ顔もこういう作品ではよく活きると納得(失礼)。
初日、幕が下りた瞬間に叫び声上げてしまったのもご愛嬌笑。それに対して観客も笑いつつも再度拍手。
しかし観客としては再び賛辞を送る機会をもらえましたので、結果オーライです。
※ちょいと長くなります。
渡邊さんはギリギリまで攻めてハイスピードで突き進むもポジションは美しく、ヒリヒリとした興奮がおさまらず。ベテランらしい余裕、牽引力も座長そのものでした。
素早い音の中でどうポーズを描き出しているかスローモーションで観て検証をしたいほどです。
身体には叩き込まれているのは勿論のこと、ただやみくもに突っ走るのではなく音楽を細部に至るまで解析して
どう見せていくか、思考回路の中に組まれた工程管理表で自ずと細かく処理しながら進めていると考察いたします。
『エチュード』で観たかったなんぞ延々とぼやいていた(今もまだ望みは捨てていないが)私の勝手な望みにガツンと衝撃与え、スリルの作品全体が好きになったのは
音楽と仲良く時にはストレートのみではなく変化球に戯れつつ美しく崩し攻め帝王として君臨なさっていた渡邊さんのお力が大きかったのは確実。
身体から凄まじい熱量を発していても、ドラゴンボールも仰天であろう限界突破級に極限まで捻りや回転、跳躍をこなしていても1ミリも粗削りにならず。
あくまで音楽を大切にされながら異次元のコントロール力で身体を美しいままに、
素早い中にも清々しい造形美、余韻が残るようにメリハリつけて奏でていらっしゃいました。
渡邊さんと速水さんによるタイプ異なる男性プリンシパル同士の火花の散らし合いや
その一方で戦友な熱い視線交わしも多々見受け、お互いが精神的支柱な存在だったのでしょう。パッションとエネルギーも大全開でした。
セカンドチームは威勢と若さ充満組合で(1回は米沢さん投入。ファースト時とはまた違った雰囲気に見え、全体を落ち着いて取り纏める長でした)
花形さんは柔らかな身体が喜びの声を上げるように、変わり種な動きも易々と披露。過酷な振付であっても場をカラッと明るく照らす天性のオーラにも脱帽です。
山本さんの軸の強さ、身体能力にもたまげ、思えば2023年1月ニューイヤーにおける
ドウソン振付のミリオンキッスでも冒頭からの飛び出し登場も衝撃があったのはしっかり記憶。身体の捻り出しや描き出すポーズの流れも粗がなくパワーもあり。
東さんは今もスタダン時代のロビンズ振付『牧神の午後』のゆっくり微睡みスラリと伸びる脚を差し出すニンフの印象が強く「スリル」の言葉が浮かばずにおりましたが
大変失礼な思い込みで、身体を音楽と溶け合わせながら軌跡を涼やかに描きつつもびしっと決まるオフバランスや伸びやかなポジションに釘付け。
上中さんの底知れぬ強みにも驚かされ、闊達に動き出す身体や勢い良く刻み込んでいくも捻りポーズの美も見事。
森本さんは一番豪快で、されど思えば急ピッチリズム且つクラシックの規範からのはみ出しも多き振付を
スタミナ切らさずに常にエネルギーを押し上げるようにこなしていたのは凄腕かもしれません。
両チーム共通していたのはチームワークの良さ。パ・ド・ドゥ場面はあれどこれといった物語はなく
ひたすら舞踊で突き進む作品ながらぶつ切り個人プレーに見えなかったのは
複数で踊る箇所や入れ替わり時での視線の交わしがバトンリレーとして生き生きと浮き立ち、興奮と喜びを互いに重ねていくように踊りこなしていたからこそでしょう。
幕開けと最後、整列して基本のポジションを組んでいるときですらメンバー同士身体で目配せを行っていると思わせるほどの結束を感じさせました。
女性ダンサー達が動くたびにボヨンと翻る円盤チュチュの視覚効果も面白く、下手すれば昔の五輪水泳選手にもなりかねない形状の
紫タンクトップ短パン衣装も着こなす男性ダンサー達も讃えるしかございません。
オフバランスの連鎖の美しさは、コフレの期間に家族の1人がイタリア旅行に出かけており、今にも倒れそうになった体勢でありながら
ぴたりと綺麗に斜めに止まっていてじっと見つめてしまう建造物だったと話すピサの斜塔を思い起こさせました。
『エチュード』
【振付】ハラルド・ランダー
【音楽】カール・チェルニー/クヌドーゲ・リーサゲル編曲
【ステージング】ジョニー・エリアセン
【アーティスティック・アドヴァイザー】リズ・ランダー
【照明】ハラルド・ランダー
3/14 3/15夜 木村優里 井澤駿 福岡雄大
3/15昼 3/16 柴山紗帆 水井駿介 山田悠貴
もし男性ダンサーになれたら一番踊りたい役がプリンシパルであるほどとても好きな作品でございます。(可能ならカブリオール隊員)
未だ初台でのレパートリー入り実現が不思議な嬉しさで、バーから始まりセンター、キャラクターダンスと基礎レッスンの展開をそのままバレエ化。
しかもTシャツやカーディガン、ストールやレッグウォーマー等は身につけず
ライン丸見えの形状のお揃い舞台衣装で行うわけですから誤魔化しは許されず。世界一基礎力試される作品でしょう。
初めて観たのは19年前の2006年のマリインスキー・バレエ団来日公演オールスターガラで
当時20代前半であったソーモワ、サラファーノフ、シクリャローフの3人が主軸。
若さとテクニックでぶっ飛んだ舞台であった記憶しかなく、以降見方が厳しくなってしまいました。
半世紀前からレパートリー入りしている東京バレエ団の締まりあるエチュードも好きであるが故に
初日は全体が大人しくゆるりとした空気に思えて山椒入れ忘れた麻婆豆腐と思ってしまったものの、翌日からは格段にレベルが上がって締まりも良くなった印象です。
濃厚系なファースト組は木村さんが大安定感の貫禄プリマ。両腕を上向きに掲げながらのバランスやポーズの切り替えも微塵も揺らぎがなく
それどころか失礼ながら物語無き作品にて何処を切り取ってもテクニックと音楽のみで晴れ晴れとした気分を与えてくださるとは驚愕の連続でした。
ロマンティックチュチュでの登場も白い大輪の花が広がるように包み込む踊りで魅了。
大ベテランの域に入ってからの初挑戦となった福岡さんは想像以上のお祭り隊長で、
井澤さんも意外にも(失礼)颯爽とした技術の駆使にびっくり。主役は慣れているお2人ならではの斬り込み力で群舞を統率です。
主役陣同士張り合いつつもトライアングル調和も万全。品格、円熟味の全てのバランスが良く、
終盤のマズルカでは主役級の3人が我こそはと畳み掛けてくるパワフルな踊りで舞台を突きながら興奮は最高潮へ。押しの強い舞台を届けてくださいました。
清涼系なセカンド組は柴山さんが初回は緊張からかポワントが落ちてしまう箇所がいくつもあり、少々心配でしたが2回目は大挽回。
クリアで美しいテクニックで涼しげにステップを紡いでいました。私プリマです!オーラがもう気持ちあれば尚良かったかと思いますが、
新天地での初主役の水井さん、初主役の山田さんとチームワーク良い構築で皆を率いていました。
水井さんは跳んだときの爪先がいたく綺麗で余分な物が削ぎ落とされた鮮やかなテクニック、勢い任せにしない落ち着きを帯びた踊りも爽快。
山田さんはとにかく熱く頑張っていて笑、少々粗削りな部分はあれど周囲を統率していこうとする気概は頼もしく映りました。
戻りまして、幕開きのグラン・プリエ担当は奥田さんと赤井さんのダブルキャスト。
シンプルな音階の中、暗がりにぽっかり光が当てられた場所での披露でここからして基礎の強さが求められます。
やがてバーに並んだダンサー達の身体のシルエットや脚だけに光が当てられたりとこれまた表情や衣装での誤魔化しも効かぬ、
行っているのは簡素なことであれど舞踊作品として飽きさせずに見せる難しさを再確認。
初日は不揃いな箇所が散見されるも、2回目以降はタンデュですら統制のとれた美しさが視界を覆いました。
女性のみ、男性のみの場もあればパ・ド・ドゥ2組が並んだりとレッスンの展開といえど多彩な振付が散りばめられていると思え
中盤の2010年入団組奥田さん五月女さん広瀬さんが3人並んでの場面の職人ぶりたるや。 最大の難所であろう6人くらい並んでの横一列フェッテは完璧な出来上がりとは言い難かったが、早期の再演で是非精度向上を!
終盤にマズルカ太鼓音頭での男性達が一時静止しながら斜めに進んでくる振付に差し掛かるといよいよ終盤への突き進み開始が窺えて、
暗闇での光の対角線上における駆け抜けも要交通整理!と思えたのは初日のみで以降はシャープで均等な駆け抜けに。
最後の女性達が縦一列に並んだ状態から跳躍での横移動を繰り返していく箇所や男性達のその場で一斉鹿ジャンプな部分も一挙に熱量上昇。
チェルニーの音楽のオーケストラ編成も聴けば聴くほど時にチャーミングで時には大地を揺るがすような重厚さもあり、耳に響く音楽です。
終盤のマズルカ祭りも嵐が起こりそうなうねりに興奮しきり。木琴音のスパイスも効果的で、何度でも観たいくらいに高揚が連鎖しておりました。
ところで終盤のザンレール連発は1回おきに変わっていましたが、(確か東京バレエ団、マリインスキー、シネマのボリショイ全て連続でビュンビュンと行っていたはず)
初演時はどちらだったのか、正しいのはどちらか、気になる振付です。
ちなみに15日夜は東京バレエ団の指導スタッフのお姿も見かけ、新国立の新制作をどうご覧になったか感想を伺いたいものです。
とにかく新国立レパートリー入りは喜びいっぱい。早めの再演お待ちしております。
オペラパレスでのトリプルビルでこんなに連日満席に近い盛況になったことにも感激。
セカンドキャスト日は両日3階4階で観ておりましたが、空席もあまり見当たらず。
例えば11年前は中劇場での開催であってもトリプル・ビルは空席が目立ち、ホワイエが図書館よりも静けさに包まれていたときもございました。
4回のみが寂しく、しかしスリル陣を思うと回数増加は厳しいか。来年のコフレも4回のみですが、きっと今回とはまた違った色味の宝石箱となることでしょう。
ドキドキしながら開けると3種の刺激の飛び出しが止まらないコフレ2025でした。
ちなみに、渡邊さんは最初は『エチュード』主演かと思っており、かれこれ8年前のボリショイシネマ上映時から
ザンレールやカブリオール連発等をチュージンやオフチャレンコに重ねて想像。
いつの日か新国立にレパートリー入りしたら観たい役として心に刻んでおりましたので、スリルの座長も素敵でしたが次回は是非『エチュード』で!
渡邊さん速水さんによるプリンシパル競演も『エチュード』レパートリー入り決定時から想像を巡らせており
叶えば2021年6月のライモンダ巌流島対決以来となるであろう火花バチバチ負けん気のぶつかり合い、観てみたい願望が募るばかりです。
それにしても劇場や駅に掲示されたポスターやプログラム。いつ見てもキリッと凛々しい男前な飛翔紫侍でしたなあ。

ボックスオフィス前にもスリル!

偶然でしょうが、火の鳥、スリル、エチュードすべて網羅しているお花。

初日打ち上げ!ダンサーは身体で、私は座って泡で弾けます。メニューはエチュード主軸陣。

ミネストローネ。温泉卵とふわふわチーズ入り。

サルシッチャと新じゃがのクリームソースペンネ。本日はハッピーホワイトデー!ソースがこってりとペンネに絡んでいてワインが進みます。

ティラミス。程よい苦さでございます。フルーツものって華やぐお皿。管理人の家族が無事イタリアから帰宅し、これを書いている日は安堵の1日。
コフレ前から3都市と少し郊外へ出かけていたそうだが、フィレンツェは洪水警報だったとのこと。アルノ川が氾濫し、ウフィッツィ美術館も休館したらしい。ああ。

矢印より鋭い脚線美!

拓朗さん主役デビュー!

市松模様のプログラム置き場。

夜の灯りを背景に。一層美しいお2人。星空を飛翔しているようにも見えます。

ベテランから新鋭まで、多彩な面々。

渡邊さんのエチュードプリンシパルも観たいと願ってかれこれ8年超。この写真観ると、カブリオール担当側に姿を重ねてしまいます。
しかしコフレ千秋楽の1週間後、思いがけず上州にてぐんまちゃんもびっくり、1/50ほど叶う機会があり、また後日綴って参ります。

火の鳥新国立初演は2010年。タイトルロールは小野さん、イワン王子は山本隆之さん。お2人とも前回の2013年も同役でご出演。

千秋楽。研修生時代から拓朗さんを応援なさっている方と祝杯!堂々たる主役デビューを無事2回ともご覧になれて感無量なご様子でした!
山田さんのサインが丸みがあって可愛らしい。
甘海老のマリネがのったホワイトアスパラのパンナコッタ。生い茂る森の中の火の鳥にも見えなくもない。

鰯と新玉ねぎトマトソース。新玉ねぎのシャキシャキ感も良きです。

筑波清流豚のグリル コルニッションとハーブのソース。甘辛いソースからスッとハーブが香り、旨味が凝縮。ブルゴーニュの赤ワインが進みました。

赤ワイン

赤ワインとティラミス。合います!

締めはエスプレッソ。

その後には紫なサングリアで乾杯。ポスターやプログラムにチラシを飾られた紫侍、キリッと凛々しい男前でございました。

新国立劇場側の改札からの通路。
『火の鳥』の音楽を連日4回聴き、燃え盛る情熱帯びた骨太な旋律を耳にするたびに再度思います。いつか拝見したいベジャール版を踊られる渡邊さん。
2016年の映像で、初めて目にしたのは翌年1月。既に貫禄を備えていらっしゃる印象を受けておりましたが、
しかし今の心身が円熟期に差し掛かった大黒柱な存在感で踊られるとどんな感じになるか。観てみたいと願望は諦められずです。