
不思議の国のアリスの舞台国へ行っていたため更新が遅くなりましたが、
7月12日(土)昼夜13日(日)、新国立劇場バレエ団 Young NBJGALA 2025を3回観て参りました。
投稿終える頃には都内にいる予定でおりますが、今この記事の続きを帰国便にて書いており汗、表示されている時刻にギョッとしております。
(ただでさえボケが多い管理人に時差ボケが加わる事態に汗)
https://www.nntt.jac.go.jp/dance/young-nbj-gala/
海賊よりグラン・パ・ド・ドゥではメドーラの堀之内咲希さんが初回から堂々とした度胸でお披露目。トップバッターでまだ会場も温まっていない、
しかも普段は主役級ダンサーが踊る作品であり本公演でもそこまでまだ役が付いていないながら溌剌と涼やか、美しいクリアな踊りで魅了です。
清らかな品もあり、ニューイヤーやアステラスでお馴染みの水色のキラッとした衣装もとてもお似合いでした。後方には海が見えた気すらいたします。
森本介さんはアリスでは芝居中心の陪審員のみに出演なさっていたため怪我明けかと思われ、
途中で体力が切れてしまったのか回転にてバランスが崩れかけてしまったりとご本人も少々悔しい心残りがあったかもしれません。
しかし恵まれた体で伸びやかなラインの持ち主で本来は端正な味があるはず。次は魅せてくださることでしょう。
森本さんといえば、昨年だったかWeb上でのアーティストダンサーインタビュー連載にてご当地くまのぬいぐるみ集めがお好きとのご発言に驚くも、
余りに幸せそうに鮭を持つくまさんとアイヌ衣装のくまさん(どちらも北海道版)を紹介なさっていた様子の印象が今もあり、
きっとパディントンかテディベアをロンドンでお買い求めになっていたのでしょうか。
「ラ・シルフィード』は東真帆さんと李明賢さん。シルフィードの東さんは人間ぼさが完全に消えた、かといって冷たいのではなく愛らしい魅力いっぱいのふわりと舞う妖精。
仕草も表情の付け方も細かく丁寧で、初回だけ中盤辺りのソロでやや息切れ気味な印象はあったものの捻りある回転を始め
難度の高いテクニックも盛り込まれていながら2回目3回目は終始キュートに飛び交う妖精さんでした。
ジェームズの李さんは笑顔と跳躍に身体でにっこりと語りかける力が強く、ジェームズも妖精だったっけ?と疑問が過るほど滞空時間長く脚捌きも鮮やか。
2人が紡ぐ繊細で初々しく愛らしい恋物語、たった数分のパ・ド・ドゥ抜粋であっても満喫でございました。
「白鳥の湖」黒鳥は、本公演では着実に役が付き華々しいテクニックで毎回沸かせてくださっている花形さんが大緊張だったのか調子が今ひとつ出ず。
これまでのいつも磐石安心感なイメージから、フェッテでヒヤリとさせられてしまうとは意外でしたが3度目は肩の力も抜けて決めどころもよく決めました。
3本の中では時間も長く技術もパートナーリングも最も難しい振付でしたがもっと本領を発揮できると思っており、次に繋げていただけたらと思っております。
仲村さんは公爵夫人から王子様に変身。きっちりマナー良き、そしてお人好しそうな王子様。
オディールが黒い光をガンガン放っていてもピュアな笑みで応え続けるほど、一途さが伝わるパ・ド・ドゥでした。アダージ当部分のサポートはもうひと頑張り!
O Solitude
中村恩恵さん振付のソロ作品。以前に宝満直也さんと五月遥さんが踊っていらっしゃり久々の再演です。
中島瑞生さんは儚く白い夢を描くようなしっとり感。対する大木満里奈さんは静けさの中で雄弁に饒舌に語り尽くす踊りやポーズの繰り出しに驚嘆。
手や脚を掲げる差し出すその先を更にぐっと深く入るように空間を描画なさっていて、身体から歌声を奏でて引き込む姿に舌を巻きました。
本公演にて大人な役柄やキャラクター系の踊りにおいても是非配役されて欲しいダンサーです。
Theory of Reality<新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演>
2024年のアラジンを最後に退団され、今年はアリスのマッドハッターで再び登場された福田圭吾さん振付の世界初演作品。
宇宙をテーマに星空や幕の降下も用いたり、最初から暗闇で何組もの男女ペアの群舞が舞台を所狭しと踊る迫力も面白く、
途中に山本涼杏さんと思わしき女性ソロにおける股関節もダイナミックに生かした身体能力の高さも驚嘆。
主役はダブルキャスト。大木満里奈さんのLUNAはクールにされど大きく四肢を操りながら近寄り難い威厳ある存在感を造形。
Roverの渡邊拓朗さんは豪快に斬り込むパワーで魅せ、そうかと思えばThe Science に追い詰められていく様子も色濃く描写されていた印象です。
もう1キャスト、吉田さんのLUNAはしっとり柔らかな透明感な輝きが全身から放たれる存在で、森本亮介さんRoverのシャープ入り込むテクニックの切り出しもお手のもの。
そしてヤングではない(失礼)ベテランが華を添えたのがThe Science。渡邊峻郁さんは歪んだ、謎めいたいかれ具合と狂おしい征服欲を吐き出すが如く身体を俊敏に且つ捻りの効いた動きもスピーディーに自在に披露。
真っ黒ではない僅かに透ける茶色のサングラスをおかけになっていたせいか、もうラピュタのムスカにしか見えず
容赦なく拓朗さんRoverを追い詰め背後から手を握らせる様子なんぞ、シータの幽閉と引き換えにパズーに金貨を持たせるムスカの場面に思えてなりませんでした笑。 (ラピュタネタ、オタクな内容が続き申し訳ございません)
もう1人のキャスト、米沢さんは正反対で、女学校の学長の如し厳格で少しの規律の乱れも許さなそうな人物。軽やかに易々と踊り切る身体能力にもあっぱれです。
渡込さんも米沢さんも、短時間のソロで場の空気をガラリと変えて引き締める力量はさすがのベテランプリンシパル。出番こそ少ないながら印象を強烈に残すお2人でした。
ぶつ切り感があるなど賛否両論分かれた作品でしたが、私としては浦安市の夢の国にかつてあったアトラクションのスターツアーズや、
大阪の映画の楽園におけるこれまたもうなくなってしまったE.T.といった宇宙を描いた世界観が好きであるため
しかもバレエ団で長年活躍されてきた福田圭吾さんの作品ですから、初台での宇宙な作品誕生を心から祝福したい思いでおります。
若手ダンサーが前面に出る企画としてはまだまだ誕生間もないヤングガラですが、今回はパ・ド・ドゥ集ではなく大掛かりな新作品にも挑戦。
全幕では先日のアトレであったか、シンデレラで新キャストを出したかったが指導者の意向で叶わずといったお話も掲載され、
監督の意向はあっても新人主演発掘がなかなか難しい事情を推察。
その分、若手の発掘絶好の機会であるヤングガラにて、きっとこの先も面白い上演を盛り込みながら継続されていくと思っております。
日曜日午前中には公開クラスレッスンもあり、若手に負けじと鉢巻締めて(鉢巻は違うか笑)目をメラメラさせて挑む渡邊(峻)さんのお姿が熱く映ると同時に、
後輩達からすれば素敵手本でしょう。全体を眺めつつもつい渡邊さんを見ようとして双眼鏡を覗き込んで、天体ではなく定点観測満喫いたしました。

ハイボールで乾杯。インタビューで福田圭吾さんはハイボールは欠かせないと愛着を語っていらした記憶。

月の絵柄を眺めながらよなよなエール。

毎度の場所ではブラックアンドムーン。

新作らしき、チキンサラダ。ハラペーニョの辛さが効いていて夏場にぴったり。

トマトジュース入りのレッドアイ。目が〜目が〜。

レッドアイを飲んだ翌週、テムズ川に聳え立つロンドン・アイ。(現地時間7/28朝に当方撮影)
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