
順番前後いたしますが6月27日(金)、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団「シンデレラ」を観て参りました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2025/birmingham/
※キャスト等はNBSホームページより
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:デヴィッド・ビントリー
美術:ジョン・F・マクファーレン
照明:デヴィッド・A・フィン
シンデレラ:平田桃子
王子:マチアス・ディングマン
義姉たち:淵上礼奈、アイリッシュ・スモール
シンデレラの継母:ダリア・スタンチュレスク
仙女:イザベラ・ハワード
春の精:水谷実喜
夏の精:セリーヌ・ギッテンス
秋の精:ロザーナ・イリー
冬の精:ラケレ・ピッツィロ
ダンス教師:伊藤陸久
仕立て屋:カラム・フィンドリー=ミホワイト
理髪師:ルイ・アンドレアセン
かつら屋:メイソン・キング
カエルの者:トム・タイゼルビー
トカゲの従僕:イクサン・ロルカ・フェラー、マーロ・ケンプシー=ファッグ
王子の友人たち:ガブリエル・アンダーソン、エンリケ・ベヘラノ・ヴィダル、マイルズ・ギリヴァー、ウー・シュアイルン
執事:ローリー・マッカイ
ネズミのお小姓たち:東京バレエ団付属アカデミークラス
仕立て屋のアシスタント、お星さま、貴族たち、給:英国バーミンガム・ロイヤ ル・バレ工団
指揮:ポール・マーフィー
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
10年前の来日公演でも観ておりますが、記憶の彼方な部分も多々あり。新鮮な気分で鑑賞に臨みました。
平田さんのシンデレラはクリアで細やかなステップを丁寧に操りながら踊られ、
これ見よがしなことをせずとも自然に感情を描き出しながらの滑らかな踊り方が好印象。
ベテランの域に達しても尚美しいどころか更に磨き上げられたテクニックにも見入り、職人な踊りを堪能です。
華奢で小柄であるがゆえに最初はか弱いシンデレラに見えかけたものの、箒で応戦したり、落書きして明るく振る舞ったりとめげない心が覗き見えました。
舞踏会の登場は内側からじんわりと光り輝くようにゆっくりと慈しむように歩み、階段で王子のエスコートのもとでポーズを取りながら悠然と歩み進む姿の愛おしいこと。
最後はややシンプルな白いワンピース衣装であっても飾らぬ美しさこそ魅力たっぷりで、王子と誠実に真摯に生きていきそうなシンデレラでした。
義姉達を女性が演じているがゆえず裸足で過ごしているシンデレラを食事中のスープボウルを頭に無理矢理被せたりとややきつめで、靴も履かせてもらえず、陰湿で痛々しい要素は目立つも
平田さんシンデレラが健気に強気で応戦しているためそこまでグサリとはこなかったかもしれません。
義姉達が舞踏会へ出かけてしまい、1人取り残されたシンデレラが箒に顔をお絵かきして王子様に見立てて観客の笑いを誘い、
一緒に踊るユーモアなアイディアには、苦境にめげないしたたかさが伝わってきました。
ダンスレッスン中も出る幕もなく、1人ひっそり暖の側に座っていたほど寂しそうな悲壮感が漂っていた分、そのギャップにも驚かされた次第です。
姉の1人が非常にふくよかな体型の設定であるのは気になり、元々は過食症の設定表記があったようですが、
恐らくは人間誰しも弱さや苦しみを抱えている負の部分を取り入れた設定で、太りイコール醜いとの捉え方ではないにしても
どうしても視覚印象が強まってしまい、首を傾げてしまいました。しかしこの姉役を踊られた淵上さんが吹っ切れた爽快さで満たし
ふくよかさ強調のための詰め物を何とも感じさせずに卓越した技術で軽やかに踊っていく様子がチャーミングで、
舞踏会ではせっかくのダンス真っ最中であってもカップケーキの山を持つ給仕を見るなり突進!憎めない可愛らしさです。
いちごらしきクリームがたっぷりのった見るからにキュートなカップケーキでもこれは美味しそうとお腹が鳴りかけた管理人でございます。
英国ですとカップケーキが主流になるのでしょうか。先日の不思議の国のアリスでも何度も目にしたお菓子です。フランスならマカロンか。
ディングマンの王子は親しみやすい風貌で骨の髄まで気品が染み渡っているタイプではなかったものの、確実なサポート、心寄せる優しさは良き要素。
ただ王子だけでなく王子の友人も含めて立ち姿が今ひとつな方が見受け、肩が丸まりかけている人もいたかと記憶しておりますが
初台でシンデレラを観ている回数が多いこと、また今年1月にはKバレエにおいても王子友人達もよく訓練された熊川版を鑑賞しており
見方が厳し目になってしまいました。殊にお伽話の理想の結晶として描かれる『シンデレラ』の王子様には
背筋首筋がスッと伸びた、教会の尖塔の如き美しい立ち姿、佇まい必須と求めてしまい
仮に財務処理に追われている帳簿とお友達な実務真っ盛りな王子様であったとしても、少なくとも舞踏会やシンデレラの前では美しい気品の維持を望んでしまいます 笑。
装置美術の魅力も大きく、灰色の壁の無機質な家が動き出して仙女が出現し、満天の星空がシンデレラを包み込むように導く美術は壮観。
四季の精やお星さま達だけでなく夜空までもが丸ごとシンデレラの味方となって舞踏会の大広間にも流れ込んで包み込む壮大な空間が広がっていました。
衣装もユニークなセンスで四季の精のヴィヴィッドでスタイリッシュな色合い、舞踏会客人達の紺系で統一されたシックに煌めく夜会衣装な色彩、
お星さま達のキラキラゴージャスなチュチュも目に残り、お星さま達が8の字を描いて行く振付や
舞台を覆う大きな時計とシンデレラの関係性も吸い込まれそうな演出です。12時の鐘が鳴るとシンデレラが大時計の中へと飛び込んでいく流れも迫力満点。
舞踏会へ行くシンデレラのお支度を手伝うカエルさんやトカゲさん、ネズミのお小姓さん達がお洒落な着ぐるみでぴょんぴょん跳びはねたり
カエルさんは秋の精のソロにて腰掛けて眺めていたところパッションに圧倒されてひっくりカエル状態も(失礼)。
カエルさん、トカゲさん、ネズミのお小姓さんも、四季達の贈り物儀式にも参加する、王室から派遣されたにふさわしい品をる立派な動物仲間達です。
通常はトンボの踊りとされる軽快な音楽にのって踊る場面があり、飛び跳ねつつもあくまで抑制の効いた折り目正しさで魅了。お辞儀も丁寧でございました。
仙女と継母は役柄こそ異なれど2人とも締まった美があり、仙女は白、継母は黒い口ングドレスを纏っていて
ライト版「眠れる森の美女』のリラとカラボスな並びを彷彿。そういえばリラと仙女はどちらもジュディ・オング系の白ドレスで、
今回バーミンガムの眠りは観ておらずですが(2011年、2018年は鑑賞)決してたくさん踊る場がなくても
マイムや仕草、歩き姿それぞれに観る者は魅せられていくのでしょう。ハワードの謎めいた包容力ある魔法、たいそう吸い込まれました。
カルロス・アコスタ芸術監督の挨拶文を読むと古典だけでなくコンテンポラリーも力を注ぎ、底上げを図っていると見受けられ
嘗ての絵本をじっくりと捲るようなゆかしさよりも、よりモダンな雰囲気が強まっていると思えましたが、監督の指針や時代の流れ双方の結果なのでしょう。
今のバーミンガムロイヤルを、そしてビントレー版「シンデレラ」のリアリティと夢世界のめくるめく展開を
10年ぶりに目にでき楽しみつつも考えさせられたBRB来日公演でした。
王子役ゲストとして来日予定でいらしたブレイスウェルさん、どうかお大事に!


馬車拡大!精巧繊細な作りです。

主役変更のお知らせ。眠り(コジョカル)もシンデレラ(ブレイスウェル)も、両演目でゲスト降板でした。

帰りは駅前のパブへ。

ギネス認定!ギネスと言えば大晦日の紅白けん玉、今年もまた開催するのだろか。

ギネスビールで乾杯です。


東京で夜にいただくイングリッシュブレックファスト。ややこしい笑。メニューにも説明があった通りお酒に合うものばかり。
夜にも適したメニューで味濃いめです。ベーコンは元々苦手な食材ですがカリッとした焼き上がりなら好きで、嬉しい焼き加減です。
本場はこの他にブラックプディングやきのこのソテー、パンは食パンにジャムボターたっぷりなのでしょう。朝なら紅茶も一緒に、ですね。
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