
6月6日(金)、浅草公会堂で日本舞踊の可能性vol.8を観て参りました。
https://www.nbkanousei.com/
https://www.richessemag.jp/lifestyle/culture/a64683151/daily-news-250508/
https://balletchannel.jp/45404
バレエチャンネルさんによるインタビュー。蘭黄さん山本さんがお話しくださっています。実は1人3役な役どころのガルトマン!
日本舞踊とバレエの違いの面白さ等、尊重し合いながら語り合う内容に、舞台観る前から引き込まれてしまいました。
藤間蘭黄さんの動画チャンネルより。熱の入ったリハーサル風景です。
第一部は 鄙(ひな)のまなざし~一茶の四季~。小林一茶の俳句をもとに、作曲演出振付を藤間蘭黄さんが手掛けられ、
藤間聖衣曄さん、藤間鶴熹さん、藤間蘭翔さんの3名の女性で踊られました。
春夏秋冬それぞれの季節感や時にはユーモアある動物の仕草も取り入れ、照明演出も変化に富んでいて
良い意味で想像していた日本舞踊とは全く違った舞台と思えた次第です。
バレエとの共同企画がない限り日本舞踊を観る機会がないど素人の私はお恥ずかしい話、女性による日本舞踊と聞くと
ひたすらはんなり、優雅に内向き儚げな風情でしっとり舞う印象が先行しておりました。
ところが、一茶のほのぼの素朴で優しげな四季の風景を色鮮やかに体現して、ゆったりと舞うこともあれば
機敏に力強く舞う場面もあり、実に感情豊かに身体を使っての踊り方に驚きが止まらず。
猫の様子を表現する箇所は解説文によれば、プティパが『眠れる森の美女』猫の踊りを振り付けたときに指示した猫の声のように、
子猫のか細い声を三味線の音色で表して取り入れたとのことです。またクラシック・バレエでいうグラン・プリエに似た脚を開きながらのポーズもあり、
着物を着たまま上品な姿はそのままにパワフルなポーズも繰り出す練り上げられた技術に目を見張りました。
小林一茶については俳人としては名は知っていたものの生涯については初耳な事柄ばかりで、
幼い頃から恵まれない境遇を生き抜いたのち、各地を回りながら句を詠んでいたとは初めて知りました。
純朴で優しい、真っ直ぐに語りかけてくる数々の俳句の裏にはどれだけの悲しみ苦しみが潜んでいたかと思うと、一茶の人間力の強さを感じずにはいられません。
第二部は展覧会の絵。ムソルグスキーと親友ガルトマンの友情を描いた日本舞踊とバレエの共演作品で、初演は2017年。
作品の舞台であるウクライナのキーウの黄金の門にて蘭黄さんと、当時キーウバレエ学校芸術監督を務めていらした寺田宜弘さんが踊られ
本物のキーウの大門での披露された初演版の世界観はさぞかし圧巻であったであろうと想像いたします。
プログラムには初演時の終盤場面写真が掲載され、門の中の回廊のような空間の上部に掲げられている木組みの橋らしき場所にて寺田さんが佇む姿と
下から仰ぎ見る蘭黄さんのお姿があり、写真を眺めているだけでもどっしりとした厚みと昇華の輝きが伝わってきます。
今回は昨年7月に銀座の王子ホールで上演されて以来の再演で、銀座に続き日本舞踊を蘭黄さん、バレエを山本隆之さん、ピアノを木曽真奈美さん。
コンサート向けの小さめの王子ホールから、3階席まである大きな浅草公会堂に場所を移し、照明や花道も生かしての演出が加わって一層堪能いたしました。
蘭黄さんのムソルグスキーが大地を踏み締めるように力強く舞いながらガルトマンと語り合い、
しかしガルトマンが息絶えると苦しみに苛まれる様子は息が詰まりそうになるほど痛々しく、やがてガルトマンに励まされながら
徐々に生気を取り戻して行く過程をじっくり心刻むように踊られるお姿は胸打つ衝撃がありました。
山本さんガルトマンはしなやかでエレガントな踊りで引き込み、一挙手一投足から優しい言葉が聞こえてきそうな振る舞いにどれだけ心動かされたことでしょう。
前回の王子ホールより遥かに舞台から遠い席から鑑賞していたはずが、角度の転換や
音楽1つ1つを一段と細やかに身体で表していらしたのか双眼鏡無しでもくっきりとした連なりが視界を覆っていきました。
早々に倒れ込んで命を落としてしまう悲劇の人物でムソルグスキーが悲しみに暮れるのは当然の展開ながら
ガルトマンが単に可哀想な悲劇の人の印象ばかりが残らずであったのは、語りかけ方や励まし方に包み込むようなあたたかみと美しさが宿り、
演奏とも睦まじい関係性が見えてくるほどに生き生きとした情熱を発しつつ、悲しみを溶かし導いていく踊りが心に目に飛び込み、響き続けていたからこそでしょう。子供達が踊る印象が強い雛達の可愛らしい軽快な曲の部分も
山本さんが踊られると神々しい光の粒を撒いてくださっているとも感じさせ、体内が浄化されずにいられず。
木曽さんのドラマティックな世界が広がる演奏も魅力たっぷりで、基本この曲は壮大なオーケストラ演奏版を好む私ですが
お1人でピアノ1台で公会堂を突き動かすようなエネルギーと多種の楽器を操っているかの如くスケールを感じさせる木曽さんの演奏は格別です。
また日本舞踊とバレエが舞台上で同時進行していても一方通行にならず、お三方の踊りや演奏の調和力にも感激。
特に最後、公会堂バージョンとして奥側の舞台機構を生かし、オレンジやブルーの照明も加えて
半裸姿のガルトマンが高所に佇む演出は、客席全体にも光が降り注ぐようなパワーが充満したまま荘厳な幕切れへと繋がっていき
分野は違えど三者の味わいが一体化した、切なくも希望の光を見出すような厚みと美が濃縮した舞台でした。
それにしても山本さん、倒れ込んでも美しや。『ジゼル』において絶品アルブレヒトも各地で見せてくださった懐かしさも込み上げました。
木曽さんは演奏のみならずお姿もたいそう麗しく、銀色の模様で彩られたロイヤルブルーのドレスも何処かの公国の姫君の如くお似合いでした。
そして蘭黄さんの精力的な活動エネルギーにも脱帽です。
それにしても日本舞踊を観て再度思います。動きに制約のある着物を着ていかにして躍動感ある踊りが可能なのか。
バレエのように脚をスパっと大きく開く高く上げる振付は不可能であり、しかし大胆さも繊細さも自在に体現して魅了。
また演奏者を眺めていると、ずっと正座しながらの演奏はお辛くないのか、素朴にもほどがある疑問で失礼。きっと訓練の賜物なのでしょう。
自宅でも冠婚葬祭関連でも正座習慣皆無に近い環境で育ってきてしまった私からすると
日本舞踊を始め伝統芸能、文化に携わる方々の美しい正座の維持は見惚れてしまうお姿です。

行きはおのぼり気分でちょこっと浅草散策。仲見世通りの大半は閉店時間を過ぎていましたが、涼しい夕暮れ時で人出も落ち着き、歩きやすい。
お着物着てお出かけしたくなる風情です

この通りのお店で浅草メンチを購入して食べましたが、お腹空き過ぎて写真撮影忘れてしまいました笑。
お肉がぎゅっと詰まっているだけでなくザクザクと粗めに切られた玉葱の食感も丸でございました。

浅草シルクプリン。バニラもよく効いて、弾力と滑らかさ両方備わっています。

シルエット絵柄。

浅草公会堂とスカイツリー。

公会堂に入ると出迎えるシャンデリア。

浅草を一望できる妙に広い休憩スペース。

公会堂そばにて。オレンテくん。

帰りは会場近くでもんじゃ焼き!観劇帰りにお好み焼きを口にする機会は過去10回はございますが(全部大阪での観劇にて笑)
もんじゃ焼き店へ行くのは、約36年の鑑賞歴の中でも初です。1人でも入り易いお店で、入口の案内にはお店の方が焼いてくださると明記があり一安心。
奥側のカウンター席へ。まずは雷門サワーで乾杯です。

つぶ貝とジャガイモのバター焼き。
ジャガイモが芳醇なホクホク感で焼き目は香ばしく、つぶ貝はコリっとした歯応えでお酒進んでしまいます。
味付けはシンプルながら、美味しい素材を目一杯味わえました。少し唐辛子をかけるとピリッと味変できておすすめです。

さてもんじゃです。素もんじゃにチーズをトッピング注文いたしました。素もんじゃのもですと本当にキャベツのみとのこと。
トッピング種類は豊富で、他にも紅生姜や明太子、明太バター、と多彩な並びです。
チーズはお店の方からおすすめと教えていただき、決定!

きびきびとした手捌きでドーナツ型に整えてくださいます。

ダムも建設!私には到底不可能です。以前大阪の鉄板焼き店のテーブル席で自己調理たこ焼きをやってみましたがくるっと回転させることができず。
たこ焼き、バレエ、頭も、回転は永遠に苦手でしょう汗。

お好み焼きと違ってあっという間に調理完了。チーズを撒いたらもう食べ頃ですとのこと。段々と溶けていくのでちょうど良いのでしょう。
チーズの塩っぱさやまろやかさとたっぷりキャベツが合わさって、ボリュームもしっかり。美味しくいただきました!

浅草駅への帰り道、灯りが並ぶ夜の仲見世通り、ノスタルジックです。

時間があと1時間ほど早ければ、天気予報の上空からの映像に私も映っていたかもしれません。
キーウの大門を題材にした舞踊作品を鑑賞した帰りに眺める浅草の雷門でございます。
2 件のコメント:
いやーーーー!観たかったです、りゅーちゃんの舞台姿、踊り、眼差し。
ずるいですよ、管理人さんの独り占め。
次は必ず、お知らせ下さいな。
観客の入りはどうでしたか?
マスクはまだ皆さんしてますか?
aruyaranaiyara様
お待たせいたしました!
お読みいただきありがとうございました!
ああすみません、もっと強力宣伝するべきでした涙。
展覧会の絵のピアノ演奏にのせて、浅草公会堂の奥の席まで伝わる凄みに痺れました。
私は2階席でしたが、一部後方を除いてはほぼ満席でした。
照明効果や高所を使った演出がよく見えてより満喫できました!
マスクは半々くらいの割合であった印象です。
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