2025年6月30日月曜日

80分間カルメン全幕 バレエミュージカル「カルメン』6月26日(木)




6月26日(木)、バレエミュージカル「カルメン』を観て参りました。
https://balletartsjapan.com/

https://www.dancersweb.net/%E8%A4%87%E8%A3%BD-top-interview-2


構成演出振付:上島雪夫
音楽:笠松泰洋
振付助手:稲葉由佳利
歌唱指導:蛭牟田実里

カルメン:寺田翠
ホセ:菊地研
エスカミーリョ:秋元康臣
スニガ・トレアドール:吉留諒
ミカエラ:吉田早織

現代の恋人・オンブレ:東山光明(歌手)
現代の恋人・ムヘール:noyori(歌手)
街の女・ジプシー:佐藤彩未 テッラコーネ沙夜 長谷川未紗 中村優希


寺田さんのカルメンは研ぎ澄まされたラインが引き立つ艶かしいヒロインで
ウクライナやロシア圏の地域の大きなバレエ団にて長らく主役を張ってこられたキャリアを思わすオーラと身体能力、揺るぎない技術のすぐさま虜となりました
少し顔を上げての視線の向け方や余韻を残しながらすっと香りを放つ色っぽさといい、同性でも沼に落ちてしまいそうな危うさを宿すヒロインです。
寺田さんはこれまで3度舞台を拝見しておりますが2013年と2017年の新国立劇場バレエアステラスでのダイアナとアクティオン、
2016年大阪でのMRBスーパーガラのパリの炎、と全てガラで、しかもどれも超絶技巧お披露目路線パ・ド・ドゥの鑑賞。
幕物作品での主演が今ひとつ思い浮かびづらかったのは正直なところでした。
ところが、序盤にてシルエットが見えた瞬間から身体での語りかけに魅せられ、踊り出すとこれ見よがしなことをせずとも脚線や肩の使い方にも見入り、
色っぽさはありつつも磨き抜かれた職人気質な踊りに圧倒されっぱなしに。これはホセもエスカミーリョも心持っていかれるのも頷けました。
プロフィールを拝見するとモスクワ国際バレエコンクール入賞やノヴォシビルスクオペラ劇場の経歴しか書かれておらず、文字数制限等あったのかもしれませんが
実際にはタタールスタン歌劇場バレエやウクライナのオデッサ歌劇場でも主役級で活躍されてきた豊富なご経歴も掲載していただきたかったとも思っております。

菊地さんは見るからに優しそうなホセで、任務中は上官から何度も優しさに漬け込まれていそうな真面目青年。薄いブルーの軍服も雰囲気後押しです。
カルメンの誘惑に負け、純朴勤勉さがみるみると剥がれ落ちていくさまをおどろおどろしく体現され
カルメンに恋い焦がれて酔いしれて、遂には刃物を手に取るほどに凶暴化していく変わり様も内側から沸き上がるような熱を帯びて斬り込んでいらした印象です。
菊地さんの舞台は直近ではバレエ教室の記念発表会全幕『ドン・キホーテ』でのタイトルロールで
それはそれは上品で優しげな風を吹き込んで場を引き締めてくださいましたが、今回のような幕物の踊る主要役もまだまだ観たいと思わすホセでした。

エスカミーリョの秋元さんは出番少ないのが惜しく、されど短時間にぎゅっと詰め込まれた場にて花形闘牛士な空気を流していらして、
エルビス・プレスリーも仰天しそうな地にキンキラキン衣装もしっかり着こなしていたのも丸。
スニガとトレアドールで変幻自在な活躍を見せていたのは吉留さん。冷酷そうな鋭い上官スニガと、エスカミーリョを支える一歩引いた感のあるトレアドール、
一見別の人が出てきたかと思うほど、衣装だけでなく表情も見せ方も大きく変えてくる即座対応でこなす腕前でございました。

ただ清楚で一途な部分にとどまらない描き方でハッとはせられたのは吉田さんのミカエラ。
可愛らしいブルーの村娘風ワンピースな衣装でそれはそれは恋するピュアな愛くるしい娘である一方、罪に手を染めたホセを変わらず信じて励ます強さが光りました。
目を見張ったのはホセがカルメン刺殺後のシーンで、ホセだけでなく彼に関わってきた人々が
続々と心理崩壊していく展開をミカエラによるリードで描写。罪を犯したホセ本人のみならず
周囲をも悲痛の奥底へと突き落とす行動をホセが取ってしまったかを重たい余韻を引き摺りながら描き出す、印象深いひと幕でした。

今回80分間休憩なし1幕全幕仕立てでしかも少人数構成。ぶつ切りな面も出てくるかと思いきや
街の女やジプシーのダンサー達が役を変えながら間をスムーズに繋げて場面転換を後押しし、先述の通り吉留さんの即時対応活躍も大きな貢献であったでしょう。

それから最大の関門、歌との融合。本来言葉を使わずして伝えるバレエの中でどう描いて行くのか当初は心配でしたが笑、始まってしまえばしっくりとした仕上がり で
東山さんとnoyoriさんの穏やかな語り口で物語のドアが開いて19世紀のセビリアへ。
歌も多過ぎず、お2人とも出しゃばらずあくまでダンサーを引き立て一緒に呼吸するような歌唱で好印象でした。
「カルメン」の曲が余りに有名で、またあらゆる振付家によってバレエ化もされており
オペラは2年に1回観るか観ないかの頻度の私でさえほぼ全曲把握しているくらいですから
所々ロックな編曲や日本語歌詞での披露に全く違和感を覚えなかったわけではありませんが、よく纏まっていたと思います。
そうでした、2年前に歌やミュージカル、朗読とバレエの共同公演にて上演された別団体主催のラフマニノフの生涯を描いた作品にて
帝政から共産主義に変わる頃のロシア、ソ連の歴史内容も取り入れたりと台本はきちんと書かれていて学び多き面日さであったものの
劇中でラフマニノフとチャイコフスキーが坂本丸さんの名曲を熱唱する時空超過にもほどがある場面を目にしてからは
どんな構成でも受け止め可能になりました汗。今回の「カルメン」にはラフマニノフのときほどの腰抜かす衝撃場面はありませんでしたので、一安心。

最後は上島さん、そしてミュージカル風に一部の出演者によるご挨拶もあり。(ミュージカルは毎回そういう挨拶習慣があるのでしょうか)
バレエダンサーも例外ではなく笑、皆さん普段なかなか生の声を聞くことないですよ~と観客に対して上島さんが声かけなさっていたほどで
NHKの工作番組『できるかな』における、無言を貫いてきたノッポさんが最終回になって初めて声を出したときのような珍しさでしょう。
寺田さんと菊地さんが代表して挨拶され、特に菊地さんが、言葉無き芸術を日々追求し続けている身からすると当初は抱かずにはいられなかった歌との融合への不安は
バレエダンサーならば、またバレエ愛好者なら誰もが思うであろうことを誠実に代弁してくださり
しかし、リハーサルが始まってみると歌の感情にも乗せられてよりも入り込んで踊ることができた喜びを晴れやかに語ってくださいました。
上野の森バレエホリディでも感じましたが菊地さん、言葉の選び方といい聞き取りやすい口調といいお話がとてもお上手です。
そういえば、ラフマニノフ及び翌年のバレエやミュージカル共同企画公演にて終演後に挨拶なさった
男性プリンシパルバレエダンサーは校長先生風な口調で役柄とかけ離れた感がそれはそれで貴く思えたものです笑。
終演後の演出は今回のカルメンも、以前に鑑賞した別団体主催のラフマニノフや翌年の同主催団体によるプッチーニ企画もバレエとミュージカル合体型公演では
どちらかといえばミュージカルの手法が重視されている感がありますが、異文化体験を楽しんだ私でございます笑。

そんなこんな、バレエとミュージカルで名作文学を描いた公演、堪能いたしました。
バレエ芸術推進協会さん主催公演は、昨年のGENJIや2021年2023年のロックバレエと、所属団体を越えた共演企画も毎回面白く、次回も心待ちにしております。




※カーテンコールは写真撮影可でした!


集合ポーズ



決めポーズ!



色々な角度で撮影タイム。



バレエとの共演の楽しさを語るNoyoriさん。最初はダンサー達に圧倒されてしまったそうです。



お話上手な菊地さん。



寺田さんも、感謝を丁寧に語っていらっしゃいました!



亀有といえばこち亀。リリオに来る度に記念撮影しております。漫画に疎く、こち亀も漫画自体は読んだことありませんが、何故か撮影したくなるキャラクター達です。



赤ワインと生ハム等で乾杯です。プログラムも合わせて赤で統一!

2025年6月27日金曜日

新国立劇場バレエ団不思議の国アリス休演日バックステージツアー




6月23日(月)、新国立劇場バレエ団不思議の国アリス休演日バックステージツアーに参加いたしました。
2020年に企画されるも中止になったアトレ会員向けのイベントの代替ツアーとして実施されたとのことです。公演は8回観て参りまして、感想はまた後ほど。



初日カーテンコールの様子



休演日のバックステージツアーは2006年以来?約19年ぶり参加。ただ当時は500円支払う有料企画で、平日開催は変わりありませんがアトレ非会員でも参加可能だった気がいたします。
特に公演期間中ではない時期で、高所にてバトンの仕組みを見学したり、
大道具エリアにはセルゲイエフ版ジゼルの重厚なお墓やワイノーネン版くるみ割り人形の舟が置かれていた記憶もございます。

今回は技術スタッフの方の案内で、アリスの衣装や小道具、凝った装置の数々、特別仕様なオーケストラピット、客席の音響や搬入口に組立場、奈落等、大充実なツアーでした。
舞台の床は柔らかく、タップで音をしっかり響かせるのは至難の業でしょう。マッドハッターの皆様、職人です。組立場や搬入口も巡り、迷路を旅する気分で見学。

アリスの衣装や小道具を間近で観察できたのも幸せで、ジャムタルトは刻んで敷き詰めたルビーのような光沢、
ハートの女王号な乗り物の想像以上のサイズ、折り畳まれたトランプタワー、クローバー4も倒れ込むトランプ階段、女王と王の椅子もよく観て参りました。
舞台の背景奥側には小道具等を入れるトランクが並び、オーストラリアバレエ団に返却するための準備も万全。とにかく衣装数、小道具数が大量の作品のため、
返却漏れがないよう細心の注意を払いながらの作業に臨むスタッフの方々に頭を下げ続けたい思いでおります。

特殊メイク系部屋にも入り、フラミンゴや亀の鬘の作り、メイク落としの数も壮観。
廊下には名札付きで衣装がずらり!翌日もご登場予定と思わしきタルトクローバー4のお衣装前も通り、拝まずにいられませんでした。

終了後の質疑応答も活発で、一つの舞台作りにどれだけの人員、労力が注がれているのか再確認です。またあらゆる作品の中で装置転換や早替え多く映像もあり、裏方の働きのめまぐるしさはどれだけ忙しいことか。
白ウサギ以上に⁈時間と安全に神経を使いながらの作業に明け暮れていらっしゃると思うと、スタッフの方々の尊さが以前にも増して思えてきました。
大充実ツアー開催に感謝、ありがとうございました。またの企画を楽しみにお待ちしております。

ノートも記念にいただき、以前2022年ジゼル時期にいただいた物と同じかもしれませんが、中央に写る立ち姿と眼差しの美しさに見入る写真ですので何冊でも大歓迎!
会場入口は公演期間中、24時間体制でハートのジャックと白ウサギが管備にあたっていました。おつとめありがとうございます。




休演日も見守り警備任務にあたるジャック。キリッとした騎士です。



休演日も白ウサギさんがお出迎え。



入口



客席を撮影。4階隅までよく見渡せます!



吸い込まれそうな奈落。高所から撮影!



帰り、いつもの店に寄り道。オックスフォードの絵の席で。



苺のカクテル片手に乾杯です。



ノート、吸い込まれそうな深い眼差しと美しい立ち姿。



この先の再演時も指先脚先視線まで美しいファーストジャックパネル、出現しますように。
変わり種衣装も何でも似合う整った身体のラインの持ち主で、端正で知性光るお醤油顔です。

2025年6月23日月曜日

青山さんの全幕ラストステージ   牧阿佐美バレヱ団『ジゼル』6月14日(夜)





6月14日(土)夜、牧阿佐美バレヱ団『ジゼル』を観て参りました。牧バレヱのジゼルは初鑑賞です。
https://www.ambt.jp/pf-giselle2025/







リハーサル



バレエチャンネルさんリハーサル映像より



ジゼル:青山季可
アルブレヒト:清瀧千晴
ミルタ:土川世莉奈
ヒラリオン:米倉大陽
バティルド:久保茉莉恵
クールランド大公:京當侑一籠
ウィルフリート:石田亮一
ベルト:諸星静子
ペザント パ・ド・ドゥ:秦悠里愛  𡈽屋文太
ドゥ・ウィリ  ズルメ:高橋万由梨
ドゥ・ウィリ   モイナ:西山珠里



青山さんのジゼルは物静かで内気で、喜びをそっと示す淑やかな少女。最近は全公演には出演なさらず
以前観たとき以上に細身でいらしたため体力が心配になりかけたものの
ニコッと微笑みながらのポーズや、いったんひと呼吸してから紡ぐおっとりした仕草に残る余韻がたいそう美しく映りました。
アルブレヒトも、ジゼルに会うたびに彼女が醸す穏やかさに心和んでいたであろうと想像いたします。
ガラス細工に少しずつヒビが入ってやがてほろほろと崩れ落ちるような悲しみに暮れる狂乱も響き
そういえば、近年ジゼルを多々観ていると狂乱にて余りに情熱的表現に走る人をみかけなくなり
昔は髪の振り乱し姿が映画『リング』の定子か、或いはロックのコンサートかと思わす人もいたかと記憶。近年は自然な描写路線であるのかもしれません。
精霊になった2幕は空気にすっと溶け込み、ジゼル出現前に舞台後方を飛翔するベールを被ったウィリーらしき人形?とよく似た透け感を表現していて
腕の動きががチュチュの動きとそのまま連動しているほどに見える柔らかさにも注目せずにいられず。

清瀧さんはアルブレヒトデビューとのことで、恐らくは純愛寄りと思う造形で初披露。
ジゼルを愛してはいるが決して許された愛ではないことは分かっていそうな慎重ぶりで、恨めしいタイプではなかったと思います。
少なくともクズではなく笑、ジゼルとの時間を円やかに過ごす御坊ちゃまなマロブレヒト。
2幕でのゆったり足の裏を大切に踏み締めながらの歩き方が綺麗な軌跡で、ジゼルに再会して抱こうとするもすれ違ってしまう戸惑いや苦しさもしっとりと体現。
終盤、役柄の設定上はミルタの命令によって散々踊らされて大疲弊しているはずが、疲労困憊を見せつつも
高級裁ちバサミで裁断大移動しているような力強さに目を奪われました。強固なテクニックを誇示せずされど見せ場ではしっかり示していた印象です。
『ジゼル』で組むのは初であっても長年あらゆる作品で組んできたお2人なだけあってパートナーリングは観ていて安心感があり
とりわけ2幕パ・ド・ドゥでの静謐な中で丹念に描き出して行く許しへの懇願はスッと引き込まれる魅力がありました。

ヒラリオンは衣装がむさ苦しくない(笑)デザインで、見方によっては眠りの四人の王子にも思えそうなすっきり品ある装い。
ジゼルへの接し方もそこまでしつこくなく、スカートへの顔埋めもなく(これはアウト行為と思います汗)
だからこそ、哀れな最期と思わす説得力もありました。米倉さんヒラリオンは力強く迫るもジゼルが怯えるほどには近寄らずであった印象です。
ウィリに踊らされる箇所での大ジャンプの軽やかな鋭さにもびっくり。
いよいよアルブレヒトの正体を暴こうと貴族を呼び寄せるときに貴族の角笛を使うと、駆けつけた狩の隊長から怒りを買い
すぐさま没収される振付は初めて観ましたが、高身分者達の持ち物を無断使用した罰は大きいでしょうから納得な演出です。

ペザントはバレエの饗宴で2幕オデットデビューされた気鋭の秦さんと𡈽屋さん。品良くも若さ弾けるパワーで盛り上げました。
ウィリ達の交差はバヤデールの影の王国のような顔を下に向けてのアラベスク交差で
隣同士足並みを合わせているとはいえ、進行方向が見えぬ状態であってもよく揃った仕上がりでした。
青山さんと嘗ては何度も組んでいた逸見智彦さんや京當さんが貴族やクールランド大公で出演され、
青山さんのラスト全幕をどんな思いで見守っていらしたことか、胸に迫るものがあります。

カーテンコールは長く長く続き、第一線で主役を張ってこられた青山さんを讃える拍手がいつまでも鳴り響きました。
現在はミストレス仕事も始めていらっしゃるようで、幅広い作品経験を丁寧に次世代へ伝えていってくださることでしょう。





青山さんの主役デビューを観ております。2006年6月、ゆうぽうとでの『白鳥の湖』でした。



サイン入りポスター。ローマ字で一生懸命書かれたカワイイはパリ・オペラ座からのゲストのブルーエンさんでしょうか。
牧バレヱへの客演を楽しんでいらしたなら何よりです!



上野ではべらぼう企画。



帰りは白ワインで乾杯。青山さんの新たなステージに幸あれ~。


2025年6月16日月曜日

新作バレエミュージカル『カルメン』上演!




6月26日(木)27日(金)かめありリリオホールにて、 主催・企画制作 一般社団法人 バレエ芸術推進協会(BAJ)/ダンサーズサポートによる
新作バレエミュージカル『カルメン』が上演されます。 主演に寺田翠さんを迎え、主要役には主役級キャリアのダンサー達が集結。
ミュージカルな要素も加わっての、大変興味惹きつける公演です。
寺田さんはガラで何度か拝見しており、ダイアナとアクティオンでのスパッと伸びる身体や軽やかな踊り方に度肝を抜かれましたが、全幕ではどんな表現をなさるのか気になるところ。
国内メジャーバレエ団で主役を多数踊られてきたたダンサーや歌手の方々の歌声がどう絡むのか、演出方法にも関心が高まる企画です。
以下、様々な媒体にて掲載記事や動画等紹介して参ります!
https://balletartsjapan.com/


各メディアにてリハーサルレポート含め、告知がなされています。
https://balletchannel.jp/44763

https://theatertainment.jp/feed-allow-post/139376/


寺田翠さんのインタビュー
https://www.dancersweb.net/%E8%A4%87%E8%A3%BD-top-interview-2


-------------------------------------------------- 新作バレエミュージカル『カルメン』上演!

国内トップバレエダンサーとミュージカル俳優・歌手の共演が実現します。
カルメン役には、世界3大バレエコンクールの一つ、モスクワ国際バレエコンクール シニア女性部門・銅賞受賞歴の寺田翠が主演します。
オペラ「カルメン」の物語をベースに、ビゼーの名曲とオリジナル楽曲で描く、ミュージカル界の上島幸夫の演出・振付による新たなエンターテイメントの誕生にご期待ください!


≪あらすじ≫

舞台はスペイン・セビリヤ。奔放で魅力的な女性カルメンは街の男たちを魅了する。
婚約者がいる実直な衛兵ドン・ホセがカルメンに恋に落ちてしまったことから、ふたりの運命が狂いはじめる―。
 

「一度は本気で愛した男、ホセ。彼ほど私を愛した人はいない。
でも私はもう、彼を愛していない。ホセに殺される運命ならそれを受け入れよう。
それでも、誰も私から自由を奪えない。私はどこまでも自由。それがカルメンだから」


  〔出演者〕

寺田翠/元ロシア国立ノヴォシビルスクオペラ劇場ファーストソリスト(カルメン)

菊地 研/ 元牧阿佐美バレヱ団プリンシパル(ホセ)

秋元康臣/元東京バレエ団プリンシパル(エスカミーリョ)

吉留 諒/東京シティ・バレエ団プリンシパル(スニガ・トレアドール)

吉田早織/元Kバレエカンパニー・ソリスト(ミカエラ)

noyori/歌手(現代の恋人・ムヘール)

東山光明/歌手・俳優(現代の恋人・オンブレ)

佐藤彩未/バレエダンサー(ジプシー)

テッラコーネ沙夜/東京シティ・バレエ団所属(ジプシー)

長谷川未紗/俳優・ダンサー・シンガー(ジプシー)

中村優希/Somatic Field Project(ジプシー)


〔演出・振付〕上島雪夫

ミュージカル作品の振付多数。延べ251作品以上に携わる。
新国立劇場バレエ団の作品提供「DANCE to the Future ナットキングコール組曲」。二期会オペラ「椿姫」の振付。
バレエ映画『踊れ!昴』のダンス監督 「ダンス・オブ・バンパイヤ」「42nd street」 
「マイ・フェア・レディ」「サウンド・オブ・ミュージック」「アルジャーノンに花束を」演出・振付など。


  【寺田翠プロフィール】

2008年モスクワ国立舞踊アカデミーに留学。2017年に世界3大バレエコンクールの一つ、モスクワ国際バレエコンクール シニア女性部門・銅賞受賞。同年、文化庁長官表彰を受賞。
2018年からロシア国立ノヴォシビルスク・オペラ・バレエ劇場にファースト・ソリストとして活躍後、2022年日本に拠点を移す。

受賞歴/2004年 「YAGP日本予選」PC部門 第1位。2005年「OsakaプリコンクールJ2部 第1位 / 「NBA全国バレエコンクール」小学生の部第2位、
2008年「NBA全国バレエコンクール」ボリショイバレエアカデミースカラシップ受賞。
2009年「埼玉全国舞踊コンクール」Jr.部 第2位。2010年「ジャパングランプリ」JA女性部門「The Ailey Scool Full Year scholarship」 /
「The Young Ballet of the World by Grigorovich in SOCHI」ジュニア女性部門 第1位。
2012年「ペルミ国際コンクール:アラベスク」女性部門第2位 /「ガリーナ・ウラノワ賞」/「エカテリーナ・マクシモワ&ウラジミール・ワシリーエフ賞」 /
「The Young Ballet of the World by Grigorovich in SOCHI」シニア女性部門 第2位。
2016年「クラスノヤルスク国際バレエコンクール」シニア女性部門第1位、2017年「モスクワ国際バレエコンクール」女子シニア部門銅賞受賞、「文化庁長官表彰」(国際芸術部門)「豊中かがやき大賞」受賞。



集合写真



ハバネラ



リハーサル



寺田さん。脚線が美しや!



秋元さんと吉留さんのジャンプ!!













  新作バレエミュージカル『カルメン』

2025年6月26日(木) , 27日(金)かめありリリオホール

(JR亀有駅南口下車徒歩1分)

http://confetti-web.com/@/balletmusicalcarmen

2025年6月11日水曜日

浅草公会堂での大掛かり再演   日本舞踊の可能性  6月6日(金)




6月6日(金)、浅草公会堂で日本舞踊の可能性vol.8を観て参りました。
https://www.nbkanousei.com/

https://www.richessemag.jp/lifestyle/culture/a64683151/daily-news-250508/

https://balletchannel.jp/45404
バレエチャンネルさんによるインタビュー。蘭黄さん山本さんがお話しくださっています。実は1人3役な役どころのガルトマン!
日本舞踊とバレエの違いの面白さ等、尊重し合いながら語り合う内容に、舞台観る前から引き込まれてしまいました。


藤間蘭黄さんの動画チャンネルより。熱の入ったリハーサル風景です。




第一部は  鄙(ひな)のまなざし~一茶の四季~。小林一茶の俳句をもとに、作曲演出振付を藤間蘭黄さんが手掛けられ、
藤間聖衣曄さん、藤間鶴熹さん、藤間蘭翔さんの3名の女性で踊られました。
春夏秋冬それぞれの季節感や時にはユーモアある動物の仕草も取り入れ、照明演出も変化に富んでいて
良い意味で想像していた日本舞踊とは全く違った舞台と思えた次第です。
バレエとの共同企画がない限り日本舞踊を観る機会がないど素人の私はお恥ずかしい話、女性による日本舞踊と聞くと
ひたすらはんなり、優雅に内向き儚げな風情でしっとり舞う印象が先行しておりました。
ところが、一茶のほのぼの素朴で優しげな四季の風景を色鮮やかに体現して、ゆったりと舞うこともあれば
機敏に力強く舞う場面もあり、実に感情豊かに身体を使っての踊り方に驚きが止まらず。
猫の様子を表現する箇所は解説文によれば、プティパが『眠れる森の美女』猫の踊りを振り付けたときに指示した猫の声のように、
子猫のか細い声を三味線の音色で表して取り入れたとのことです。またクラシック・バレエでいうグラン・プリエに似た脚を開きながらのポーズもあり、
着物を着たまま上品な姿はそのままにパワフルなポーズも繰り出す練り上げられた技術に目を見張りました。

小林一茶については俳人としては名は知っていたものの生涯については初耳な事柄ばかりで、
幼い頃から恵まれない境遇を生き抜いたのち、各地を回りながら句を詠んでいたとは初めて知りました。
純朴で優しい、真っ直ぐに語りかけてくる数々の俳句の裏にはどれだけの悲しみ苦しみが潜んでいたかと思うと、一茶の人間力の強さを感じずにはいられません。

第二部は展覧会の絵。ムソルグスキーと親友ガルトマンの友情を描いた日本舞踊とバレエの共演作品で、初演は2017年。
作品の舞台であるウクライナのキーウの黄金の門にて蘭黄さんと、当時キーウバレエ学校芸術監督を務めていらした寺田宜弘さんが踊られ
本物のキーウの大門での披露された初演版の世界観はさぞかし圧巻であったであろうと想像いたします。
プログラムには初演時の終盤場面写真が掲載され、門の中の回廊のような空間の上部に掲げられている木組みの橋らしき場所にて寺田さんが佇む姿と
下から仰ぎ見る蘭黄さんのお姿があり、写真を眺めているだけでもどっしりとした厚みと昇華の輝きが伝わってきます。

今回は昨年7月に銀座の王子ホールで上演されて以来の再演で、銀座に続き日本舞踊を蘭黄さん、バレエを山本隆之さん、ピアノを木曽真奈美さん。
コンサート向けの小さめの王子ホールから、3階席まである大きな浅草公会堂に場所を移し、照明や花道も生かしての演出が加わって一層堪能いたしました。
蘭黄さんのムソルグスキーが大地を踏み締めるように力強く舞いながらガルトマンと語り合い、
しかしガルトマンが息絶えると苦しみに苛まれる様子は息が詰まりそうになるほど痛々しく、やがてガルトマンに励まされながら
徐々に生気を取り戻して行く過程をじっくり心刻むように踊られるお姿は胸打つ衝撃がありました。

山本さんガルトマンはしなやかでエレガントな踊りで引き込み、一挙手一投足から優しい言葉が聞こえてきそうな振る舞いにどれだけ心動かされたことでしょう。
前回の王子ホールより遥かに舞台から遠い席から鑑賞していたはずが、角度の転換や
音楽1つ1つを一段と細やかに身体で表していらしたのか双眼鏡無しでもくっきりとした連なりが視界を覆っていきました。
早々に倒れ込んで命を落としてしまう悲劇の人物でムソルグスキーが悲しみに暮れるのは当然の展開ながら
ガルトマンが単に可哀想な悲劇の人の印象ばかりが残らずであったのは、語りかけ方や励まし方に包み込むようなあたたかみと美しさが宿り、
演奏とも睦まじい関係性が見えてくるほどに生き生きとした情熱を発しつつ、悲しみを溶かし導いていく踊りが心に目に飛び込み、響き続けていたからこそでしょう。子供達が踊る印象が強い雛達の可愛らしい軽快な曲の部分も
山本さんが踊られると神々しい光の粒を撒いてくださっているとも感じさせ、体内が浄化されずにいられず。

木曽さんのドラマティックな世界が広がる演奏も魅力たっぷりで、基本この曲は壮大なオーケストラ演奏版を好む私ですが
お1人でピアノ1台で公会堂を突き動かすようなエネルギーと多種の楽器を操っているかの如くスケールを感じさせる木曽さんの演奏は格別です。
また日本舞踊とバレエが舞台上で同時進行していても一方通行にならず、お三方の踊りや演奏の調和力にも感激。
特に最後、公会堂バージョンとして奥側の舞台機構を生かし、オレンジやブルーの照明も加えて
半裸姿のガルトマンが高所に佇む演出は、客席全体にも光が降り注ぐようなパワーが充満したまま荘厳な幕切れへと繋がっていき
分野は違えど三者の味わいが一体化した、切なくも希望の光を見出すような厚みと美が濃縮した舞台でした。

それにしても山本さん、倒れ込んでも美しや。『ジゼル』において絶品アルブレヒトも各地で見せてくださった懐かしさも込み上げました。
木曽さんは演奏のみならずお姿もたいそう麗しく、銀色の模様で彩られたロイヤルブルーのドレスも何処かの公国の姫君の如くお似合いでした。
そして蘭黄さんの精力的な活動エネルギーにも脱帽です。

それにしても日本舞踊を観て再度思います。動きに制約のある着物を着ていかにして躍動感ある踊りが可能なのか。
バレエのように脚をスパっと大きく開く高く上げる振付は不可能であり、しかし大胆さも繊細さも自在に体現して魅了。
また演奏者を眺めていると、ずっと正座しながらの演奏はお辛くないのか、素朴にもほどがある疑問で失礼。きっと訓練の賜物なのでしょう。
自宅でも冠婚葬祭関連でも正座習慣皆無に近い環境で育ってきてしまった私からすると
日本舞踊を始め伝統芸能、文化に携わる方々の美しい正座の維持は見惚れてしまうお姿です。




行きはおのぼり気分でちょこっと浅草散策。仲見世通りの大半は閉店時間を過ぎていましたが、涼しい夕暮れ時で人出も落ち着き、歩きやすい。
お着物着てお出かけしたくなる風情です



この通りのお店で浅草メンチを購入して食べましたが、お腹空き過ぎて写真撮影忘れてしまいました笑。
お肉がぎゅっと詰まっているだけでなくザクザクと粗めに切られた玉葱の食感も丸でございました。




浅草シルクプリン。バニラもよく効いて、弾力と滑らかさ両方備わっています。



シルエット絵柄。



浅草公会堂とスカイツリー。



公会堂に入ると出迎えるシャンデリア。



浅草を一望できる妙に広い休憩スペース。



公会堂そばにて。オレンテくん。



帰りは会場近くでもんじゃ焼き!観劇帰りにお好み焼きを口にする機会は過去10回はございますが(全部大阪での観劇にて笑)
もんじゃ焼き店へ行くのは、約36年の鑑賞歴の中でも初です。1人でも入り易いお店で、入口の案内にはお店の方が焼いてくださると明記があり一安心。
奥側のカウンター席へ。まずは雷門サワーで乾杯です。



つぶ貝とジャガイモのバター焼き。
ジャガイモが芳醇なホクホク感で焼き目は香ばしく、つぶ貝はコリっとした歯応えでお酒進んでしまいます。
味付けはシンプルながら、美味しい素材を目一杯味わえました。少し唐辛子をかけるとピリッと味変できておすすめです。



さてもんじゃです。素もんじゃにチーズをトッピング注文いたしました。素もんじゃのもですと本当にキャベツのみとのこと。
トッピング種類は豊富で、他にも紅生姜や明太子、明太バター、と多彩な並びです。
チーズはお店の方からおすすめと教えていただき、決定!



きびきびとした手捌きでドーナツ型に整えてくださいます。



ダムも建設!私には到底不可能です。以前大阪の鉄板焼き店のテーブル席で自己調理たこ焼きをやってみましたがくるっと回転させることができず。
たこ焼き、バレエ、頭も、回転は永遠に苦手でしょう汗。



お好み焼きと違ってあっという間に調理完了。チーズを撒いたらもう食べ頃ですとのこと。段々と溶けていくのでちょうど良いのでしょう。
チーズの塩っぱさやまろやかさとたっぷりキャベツが合わさって、ボリュームもしっかり。美味しくいただきました!



浅草駅への帰り道、灯りが並ぶ夜の仲見世通り、ノスタルジックです。



時間があと1時間ほど早ければ、天気予報の上空からの映像に私も映っていたかもしれません。
キーウの大門を題材にした舞踊作品を鑑賞した帰りに眺める浅草の雷門でございます。

2025年6月4日水曜日

朗らかなエネルギーが降り注ぐヌレエフ版  オーストラリア・バレエ団『ドン・キホーテ』5月31日(土)夜







5月31日(土)夜、オーストラリア・バレエ団『ドン・キホーテ』を観て参りました。2010年以来、15年ぶりの来日公演実現です。
https://www.nbs.or.jp/stages/2025/australia/



バレエチャンネルさんの取材レポート。


※キャスト等はNBSホームページより

振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパに基づく)
音楽:ルドヴィク・ミンクス
編曲:ジョン・ランチベリー
衣裳デザイン:バリー・ケイ
装置デザイン:リチャード・ロバーツ(バリー・ケイデザインのオリジナル映画に基づく)
照明デザイン:ジョン・バスウェル
本作は、インターナショナル・アーツとオーストラリア・バレエ団が1973年に制作した映画「ドン・キホーテ」を舞台化した。

ドン・キホーテ:ジョセフ・ロマンスヴィッチ

キトリ:ジル・オオガイ

バジル:マーカス・モレリ

サンチョ・パンサ:ティモシー・コールマン

ガマーシュ:ジャリッド・マデン

ロレンツォ:ルーク・マーチャント

街の踊り子:イゾベル・ダッシュウッド

ドリアードの女王:キャサリン・ソネカス

エスパーダ:ダヴィ・ラモス

ロマの首領:イチュアン・ワン

キューピッド:山田悠未

ファンタンゴ:清遠ラリッサ、メイソン・ラヴグローヴ

ブライズ・メイド:根本里菜

友人たち:渡邊綾、リラ・ハーヴェイ

指揮: ジョナサン・ロー
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


オオガイのキトリは落ち着きと色っぽさを備えた大人の雰囲気で、きりっと纏め上げる踊りに感激。
どちらかといえば小柄な体型であってもステップやポーズの決め方が大きく且つ洗練された大胆さがあり、惹きつける陽のオーラもあたたかでした。
バジルに拗ねる箇所は可愛らしく、怒って思い切り足を踏んづけてもチャーミング笑。
バジルのモレリは軽やかでヌレエフ特有のややこしい脚捌きも余裕綽々で楽しそうにこなす技量に天晴れ。
サポートも大安定で、1幕のリフト見せ場では随分と長く数ミリも動かず片手で静止のまま、更には拍手を手招きするサービス精神まで繰り出していました。
狂言自殺はキトリにだけ仕掛けを明かす設定で、ちょこんと寝る姿も愛嬌いっぱい。
グラン・パ・ド・ドゥはよく観るロシア系の振付とはかなり違った構成で、2人で爪先立ちしてのポーズや身体捻り、更には走り込んできたりと息が合わないとおかしな経路になる振付。
しかし2人とも息ぴったりでマスゲームではなく明るい息遣いの中で自然とシンクロする朗らかさが広がる幸せに満ちたペアでした。

そして愛されキャラクターとして君臨していたのはマデンのガマーシュ!満開の薔薇の花園から出てきたようなラブリーな貴族、どころか王族に見え
白いレース地のパラソルや白いフリルのお洋服、パラソルや靴にもピンクのおリボンで、歩くピンク薔薇のアレンジメントなご活躍でした。
何をしてもお茶目で優雅で、サンチョのラッパ音噴射のときは自身のハンカチをラッパの傘の中に入れてミュート対策も行う細やかなお芝居も心躍らせました。
(大事なハンカチ、サンチョに鼻をかまれてしまう笑)
細かいといえば、野営地での人形劇ではキトリ、バジル、ロレンツォやガマーシュが登場し、子役が同じ衣装でそっくりに演じていました。
殊にロレンツォ本人はびっくりしていても何だか微笑ましそうにしていたのもほっこり。

パペットと言われなければ本物のお馬さんかと思わす、ロシナンテも精巧で大きく、表情は愛らしい作りで
ドン・キホーテが馬から下りるときは踏み台が必要なほど立派な馬ですが、
広場でドン・キホーテ達を囲みながら賑やかな光景を刻む一方でロシナンテは後方で旅の小休止と言わんばかりに人形師が持つ草をハムハム。
愛くるしいお食事タイムを披露です。街の人々もロシナンテに触れたり、お食事タイムを覗いていたりと
ロシナンテも人気者且つ大事な出演者として存在を示していました。カーテンコールにも人形師と一緒に登場して、喝采に対して深々とお辞儀。観客も興奮してしまいます。
そういえば、前回と前々回公演での『白鳥の湖』1幕では庭園の奥側でずっと釣りに勤しんでいる人がいたりと、隅々まで芝居心が息づく演出であったと思い出しました。

それから夢の場の衣装が壮観。森ではなく宮廷が現れて胸元のカッティングが平たい、中世風なゴージャス衣装の埋め尽くしに驚嘆いたしました。
金色系、ブルー系、青系な3チーム編成で模様も違いがあり、肩紐にも装飾が彩られたデザインや頭飾りや胸元にも大ぶりの真珠風飾りが散りばめられていて
ドンキと知らずに目にしたら『ライモンダ』と思い込んでしまう光景でした。考えてみればドン・キホーテは中世の騎士道に憧れを抱いていますから辻褄の合う設定です。
夢の場のみならず衣装や装置は豪華でしっかりした作りで、1幕はバルコニー付きの装置が迫力ある上に、
仕事中のバジルやお料理中の人もいたりと生き生きしたバルセロナの人々の生活ぶりが覗くのも楽しい。
結婚式では1幕と同じ装置であっても蝋燭の灯りがずらりと並んで天蓋も掛けられ、装置もドレスアップです。
船での運搬、そして文化会館への搬入、大変であったと察します。

唯一気にかかった場面が狂言自殺のあと、成功するとキトリとバジルはすぐ走り去ってしまい、ロレンツォが事態を把握できたのかよく分からずであったこと。
そのまま結婚式に移りましたから、裏では諸々状況整理をしていたのかもしれませんし、
通常酒場のフィナーレで行われる一斉指パッチン踊りが3幕最後に行われましたから、めでたしめでたしと捉えて良いのでしょう。

ヌレエフの振付と聞くと作品問わずややこしいステップの詰め込みな印象が先行しておりますが、今回はだいぶ変化。
忙しそうな振付であるのは想像通りであったものの、誰も必死な形相の人はおらずいとも易々と、
心から喜びを溢れさせながら踊っていて、コール・ドに至るまで技量の高さを確認。
加えて団特有の大らかさが全体を包んで朗らかなエネルギーを放っていたように思えます。
観ていて疲労感が伝わってこない感じさせないヌレエフ版全幕なんて珍しいはず笑。(褒め言葉です)

演奏は全体を通してエレガントで大らか、編曲はロシア系とはだいぶ異なる、節々に花が咲くようなお洒落な曲調満載で
所謂ズンチャッチャ!ズンチャッチャ!な音頭は控えめに思えました。オケピに貝を持ったラッコが何頭もいるのかと思わすような
カスタネットカチカチも抑え目。優雅さ繊細さの方が前面に出ていた印象です。

前回来日から15年も経ち、久々の実現に歓喜したと同時に次回は間を空けず、3年後あたりには来日してくださると嬉しうございます。
眠りのような古典も観たくなり、コンテンポラリーもバランス良く上演しているようですからミックス・プログラムも歓迎です

ヌレエフ版『ドン・キホーテ』はミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座来日公演で観ているはずが、
洒落た衣装やバヤデールの逢瀬の場面曲を野営地での使用、バジルのソロが多い点くらいしか記憶になし。(オーストラリアの曲構成にはバヤデール曲はなく、また違う演出らしい)
ダイジェスト映像で観た、日本人男性ダンサーがバジルを踊られたトゥールーズの3幕や舞台写真のほうが遥かに脳に刻まれており、人間とは身勝手な生き物です笑。
衣装はだいぶ違っていましたが、お洒落な色味の組み合わせであったのは共通。バジルは赤、黒、白で整えられていました。



ちらっと映像にも映っていらっしゃいます。ロットバルトも。


https://www.dansesaveclaplume.com/14688/en-scene/ballet-du-capitole-de-toulouse-dans-les-pas-de-noureev/

http://www.forum-dansomanie.net/pagesdanso/critiques/cr0242_dans_les_pas_de_noureev_28_11_01_12_2013.html
舞台写真はこちらに掲載。フランス語記事です。ヌレエフ・ビルな構成の公演。
当方批評内容の細かな部分までは把握できず、内容は各自でご解読ください。ロットバルトも観てみたい、興味持たせる役です。


http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?p=96507
アントレの大ジャンプ写真あります。真ん中あたりまでスクロールを。他にも魅力的な作品写真多数ございます。


https://lesballetonautes.com/2013/12/20/surprise-dautomne-hommage-tardif/
ポスターにもなっていたようです。わお!




話が干支一回り前近くの南仏寄りになりましたので南半球に戻します。私がオーストラリア・バレエ団に再度着目したきっかけでもある2022年のワールドバレエデーのレッスン。
ハイライトは残されており、最初の方にクラスレッスンが収録されています。
スタジオが広々としていて明るく、天井も高く開放感抜群。またバーの配置もあるのか
人数は多めであっても区画整理がきちんとなされた印象を受け、観ていて非常に爽快でございました。
常日頃から同様のレッスンであるのか、カメラが入るワールド・バレエ仕様であるのか詳細は分かりかねますが、何処を見てもすっきり。
そしてホールバーグ監督自ら指導をなさっていて、バレエ団のクラスでも美しくクリアなお手本を次々に披露しながら
丁寧に、加えて大変聞き取りやすいお声と話し方であったのも驚きを覚えました。
周囲がロイヤルやパリ・オペラ座で話題沸騰の中で、私はじっとオーストラリア派を貫いておりました。



リハーサル写真パネル。開演前にはホールバーグ監督とゲストコーチのギエムによるトークも開催。自然や動物に囲まれながら生活しているギエムのもとに
ホールバーグから突然依頼の電話がかかってきて、喜んで引き受けたとのこと。
ホールバーグは監督就任後の野望リストにギエムによるバレエ団指導を挙げていたほど、念願叶ってのリハーサルであったそうです。
型にはめずに色々試しながらダンサーに合った役作りを一緒に追求していくギエムの指導が紹介され、
ホールバーグはダンサーが持つ探究心の大切さを強調。時には厳しさも必要だが、
基本は一緒に作り上げる作業を楽しんで行いたいと思いながらリハーサルを進行しているそうです。
お2人の現役時代を何度も観てきた者からすると嬉しくも不思議な並びでした。
ロイヤル移籍時には国家的損失とフランスの国会でまで話題になっていたギエムですが、自身のキャリアについては一切触れず
終始オーストラリア・バレエ団での仕事の充実についてにこやかに語っていた真摯でピュアな姿勢にも頭が下がりました。









前年2006年に世界バレエフェスにてルシンダ・ダンとマシュー・ローレンスが抜粋で披露し、バレエ団来日と全幕上演を心待ちにしており
初めてオーストラリア・バレエ団来日公演を鑑賞したのは2007年。英国王室スキャンダルを取り入れた白鳥の湖を目にし、驚きを超えて英国上演はよく許可されたと衝撃。
スキャンダル慣れしたお国柄なのか、バレエに取り混ぜての風刺は王室側からしても許容範囲なのだろうかと今も記憶に残っております。三角関係なトロワ、ドロドロとしていたかと思います。

白鳥は翌来日公演でも鑑賞し、加えてくるみ割り人形も。バレエとしての場面は物足りなかったがオーストラリアのバレエ発展史をクララを3世代で紡ぐ、
朝ドラのカムカムエヴリバディのくるみ版なる時代超えていく演出は面白く鑑賞。
くるみには、初台の不思議の国のアリスでも大活躍されたハリス、マッデンのお名前もあり。
今やプリンシパルとして、バレエ・アステラスでもお馴染みで今回のファーストバジル、グオさんは水兵さんでした。




帰り、バルでオーストラリア産の赤ワインで乾杯。しっかりとした味わいがありつつすっと喉を通る爽やかさもあり、飲みやすいお味でした。



タコのお出汁いっぱいのアヒージョと、外はカリッと中はツヤツヤフワフワな食感のバケットです。
そしてお店名物のニュージーランド産のラムチョップ!お肉そのものが脂身なく、しかし旨味がギュッと詰まっていて、シンプルなスペイン塩での味付けがおすすめ。
焼き鳥と同様なのか、タレもありますが、まずは塩で是非。ジンギスカン好きな管理人、
塩味ならあと5本くらい食べられたかもしれません笑笑。次はビールと一緒にいただくつもりです。



焼いています!



拡大。ソースは辛くはなく、酸味がちょこっと効いている程度ですので辛さが苦手な方もご安心を。店員さんの説明通り、お箸で塗って付けていただきます。
上野広小路駅近くの、下町バルながおか屋です。メニューの案内や食べ方の説明も店員さんがとても親切で好印象でした。
今年はジゼルだけでなくドンキも当たり年。発表会含めると春から何回観ているんだ??夏も全幕観る、
秋はKバレエ、牧バレエ、東京バレエ団と続きます。上野でのドンキ鑑賞帰りにまた立ち寄りたいと思っております。