
順番前後いたしますが3月29日(土)、新国立劇場小劇場で『オバケッタ』15:00公演を観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/dance/obachetta/
初日レポート。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet-dance/news/detail/77_029528.html
山田うんさんの制作段階時のインタビュー。子供達の感覚の鋭さの受け止めや生死をどうユーモアを交えて描くか、構想中のお話がたくさん飛び出しています。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet-dance/news/detail/77_029307.html
松岡修造さんも仰け反る、鑑賞日の真冬舞い戻り気温も吹き飛ばす熱い対談。
吉﨑さんと新国立の渡邊さんがお互いの3月公演について語り合っていらっしゃいます。
渡邊さん、説明が細かく詳しく分かりやすくそして熱く、もはやオバケッタ広報宣伝部長です笑。
⭐️対談記事⭐️
— Co.山田うん/Co. UN YAMADA 4/5『オバケッタ』 (@CoYamadaUn) March 5, 2025
フォーサイス作品初挑戦の新国立劇場バレエ団の渡邊峻郁さんと、Co.山田うん『オバケッタ』出演の吉﨑裕哉の対談です。ぜひご一読ください‼️さんと、Co.山田うん『オバケッタ』出演の吉﨑裕哉の対談です。ぜひご一読ください‼️https://t.co/DmxgNIJ9Cf
演出振付作詞:山田うん
音楽:ヲノサトル
美術:ザ・キャビンカンパニー
衣裳:池田木綿子
照明:櫛田晃代
音響:黒野尚
ゆめた:西山友貴
花壁 オバあちゃん:川合ロン
電気男 ライト:吉﨑裕哉
壁男 ウォーリー:望月寛斗
トイレの花子さん:飯森沙百合
透明人間:長谷川 暢
ざしきわらし:山口将太朗
メデューサ:仁田晶凱
カッパ:黒田勇
ホコリの妖精: クモマニヨンシャラリ:山崎眞結 クモマニヨンフワリ:山根海音 クモマニヨンヒラリ:田中朝子
2021年上演時は観ておらず初鑑賞。新国立劇場バレエ団のダンサーが出演なさらないダンス公演には
あまり足を運んでおらずで、一度お譲りいただいたNINJAを鑑賞したのみ。しかし上記で紹介した熱血対談をきっかけに今回は参りました。
最初から装置も美術も、そして登場人物達が皆カラフルで可愛らしく、目を奪われる色彩感。オバケッタ塗り絵があったら欲しいくらいです。
またキャラクターごとに個性は豊かながらそれぞれのテーマ曲あり、皆で一緒に踊り出す場も満遍なく組み込まれていてぶつ切り感はなく、あっという間の展開。
前半はゆめたの前に現れたオバケ達の自己紹介も兼ねた場面が次々と繰り広げられ、ゆめたのバナナ型のベッドがまたお洒落です。
中でも一時期全国の小中学校の子供達を恐怖に巻き込んだであろう存在であるトイレの花子さんは学校の怪談映画の題材にもなっており
当初舞踊化して果たして絵になるのか不安視しておりましたが心配無用。
とびっきりチャーミングに踊る白ブラウスと赤いスカート姿の女の子で、トイレのデザインも花をモチーフにしているのか可愛らしい。
3番目のトイレ、もう怖くない笑。
カッパは重心を下にしてのパワフルなダンスで、ホコリの妖精たちは雲のようなふわふわ頭とスカートで、あちこち飛び回ってゆめたを翻弄。
そして最も楽しみにしていた吉﨑さんの電気男はスレンダーな長身と柔らかさを生かしての滑らかな踊りでポーズの決め方はキザながら笑、
一流ダンサーの手にかかればどの箇所もセンス良く決まり、舞台袖に入ったかと思いきや
上手側にある巨大な電気スタンドのような装置のところにずっと乗って同化していらしたりと目が離せずでした。
透明人間の描写も面白く、実際に透明にはできませんから顔まで覆う黒白の水玉模様の無機質デザインな全身タイツな衣装で対応。
しかし踊り出すとスイスイと身体がお茶目に語り出して不気味さはなし。
メデューサはインド舞踊な音楽で、インド料理店のPVで流れていそうなゴージャスなダンスで魅了し、
濃いピンクでジュディ・オングさんの魅せられてをアップテンポにしたようなパフォーマンスでございました。
前半のハイライトであろう『オバケッタ』のテーマ曲はワルツ調で、メリーゴーランドで流れていそうなスケールある曲調。
オバケッタ~、と耳に残りやすく、暫くは脳内旋回しておりました。
後半は打って変わってしんみり切ない展開へ。ゆめたの亡くなったおばあちゃんが登場して語りかけてくれたりと再会を静かに喜び合う場が続きました。
おばあちゃんはロシア民話絵本に出てきそうなスカーフに民族衣装なデザインの格好で、
先日の新国立劇場バレエ団公演『火の鳥』にひょっこり登場しても違和感なさそうです。仮に『ペトルーシュカ』なら一層自然に群衆に溶け込めるでしょう。
ゆめたとおばあちゃんをキャラクター達が温かく心を寄せながら見守っていて、
おばあちゃんの死は悲しい事ではあれど、心にぽっかりと灯りをともすような望みある交流が感じ取れるひと幕でした。
あれよあれよという間に大団円フィナーレとなり、それぞれのキャラクター達の細かな位置づけまでは把握に至らずでしたが
強烈な見た目のキャラクター揃いであってもダンスレベル高水準な方々がなさるととびっきりお洒落なセンス光る舞台に化けると確認。
賑やかさとしっとり哀愁漂う場の対比もしっかり描かれていて、前回評判であったのも頷けます。定期的の上演を願いたい作品です。
そもそもおばけって何だろうとも考えさせられた今回。単に怖いだけでも可愛らしいだけでもなく、
そういえば松谷みよ子さんの絵本シリーズでは人間の環境破壊に立ち向かうオバケちゃん一家の奮闘が描かれていて、
大切なことを教えてくれる師のような存在でもあるのかもしれません。もう一度手にとってみようかと思います。
となりのトトロも大きな森である塚森の主であり、草壁一家は変に怯えずに好奇心旺盛な心で捉えていて、
お化け全般に共通するのは恐怖にとどまらぬ不思議な力が備わった生き物なのだろうかと考えさせられました。


見開き

THE PITの文字。アルファベット作文もテーブルに書かれています。例えばEはEnchant 魅了する、など。
開演前、幕間、カーテンコールは写真撮影可。私の座席からは斜め遠方写真しか撮れずでしたが、宜しければご覧ください。

1幕開演前。

2幕開演前。

カーテンコール。色遣いがとっても鮮やかです。

初台駅通路にて、初台芸術。ジャック~!

帰り、友人と合流。オバケッタを勧めつつ、春らしい食材が入ったアクアパッツァと白ワイン。オバケッタ美術装置と同様にカラフルな春の宴です。
新ジャガのカリッと揚げと芽キャベツソテーもワイン進みます。

そら豆のシュレッドチーズがけ。春らしい一品ですがこの日は真冬日!数日前の25度超えの夏日はどこへ。

ボルケーノピザ。きのこもたっぷり。

カプチーノ。ふわふわでミルクとコーヒーの輪郭くっきりでございます。

桜も凍えています。翌日は晴天でしたが翌々日以降は再び雨がちな寒さ。そろそろ満開でしょうか。