5月26日(日)、東京バレエ団ジョン・クランコ版『ロミオとジュリエット』を観て参りました。
今回は5月下旬と6月上旬に跨る公演期間で、本日から6月公演が開始。まだ公演期間中ですので感想はさらりと控えめに綴って参りますが、
この週末の公演もお1人でも多くの方々にご覧いただきたい良きプロダクションです。
2年前のバレエ団初演にてクランコ版を初鑑賞し、非常に上質でマクミラン版の元になったとの話を踏まえると面白い発見も多々あり早い再演を待ち侘びておりました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2024/romeo/
※NBSホームページより
東京バレエ団「ロミオとジュリエット」全3幕
振付:ジョン・クランコ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
キャピュレット家
キャピュレット公:安村圭太
キャピュレット夫人:伝田陽美
ジュリエット:足立真里亜
ティボルト:鳥海 創
パリス:樋口祐輝
乳母:坂井直子
モンタギュー家
モンタギュー公:岡﨑 司
モンタギュー夫人:政本絵美
ロミオ:池本祥真
マキューシオ:生方隆之介
ベンヴォーリオ:山下湧吾
ヴェローナの大公:木村和夫
僧ローレンス:中嶋智哉
ロザリンド:加藤くるみ
ジプシー:榊優美枝、中沢恵理子、髙浦由美子
カーニバルのダンサー:岡﨑 司
工 桃子、本村明日香
井福俊太郎、海田一成
指揮:ヴォルフガングハインツ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
足立さんのジュリエットは確固たる意思のある少女で、乳母とのやりとりにおいても主張も悪戯も俊敏且つはっきり明快。
名家の伝統や古いしきたりには従わなそうな予感を既に与えていた印象です。パリスに対しては礼儀正しく振る舞うも
安泰な人生にとどまる風には見えぬ、大胆な事柄にも突き進みそうな強さが確立した姿で接していたと見て取れます。
舞踏会でのロミオとの出会いでは、ただでさえ大きな瞳が一段と膨らんで語り、しかし目線だけでなく
例えばちょっとした手を差し出す仕草のタイミングも前回より自然で加えて雄弁で、
恋心が高まって沸々と事態が急変していく展開を音楽の流れとも一体化して表現していました。
足立さん池本さんはペアとしては初鑑賞でしたがパワーと情熱をぶつけ合いながら愛を交わすロミオとジュリエットで
2人とも決して大柄ではないはずが舞台姿が迫力大。ジュリエットがバルコニーにやってきたロミオから持ち上げてもらいながら
下に降りて行く様子の2人はとびっきり可愛らしい姿でありつつ、ジュリエットとの恋を歓喜するように
池本さんの鋭く張りのあるテクニックでソロを披露され、すると足立さんもみるみるとロミオに引き寄せられてパワーを返して昂ぶりを体現。
足立さんの底知らずなスタミナとダイナミックで時にはしっとりと舞い、変化に富む音楽によく乗った踊りが
ジュリエットの心に芽生えたはち切れんばかりの感情を伝えてくださいました。
恋の加速の中にも、 ジュリエット抱っこやロミオを膝枕させたりとじっくり愛情を確かめ合う場も設けられた
クランコ版の丁寧な描写が音楽との響き合いと共に目に心に届きました。そして名物ロミオの懸垂接吻はジュリエットも応援体勢になっていたとも思え
驚きのあまり思わず笑ってしまっていた子供の観客がいたのも納得。池本ロミオ、
力振り絞るひたむきさやジュリエットとの別れを体当たりで惜しむ一途さは子供の心をも動かしていたようです。
終盤ジュリエットの墓場にやってきたロミオ、マントを引っ掛けながらの降下が消防士ロミオにも見えて仕方ないと前回と同様感じずにいられませんでしたが
懸垂接吻と同じく、怖い物知らずな若者の大胆さ伝わる演出と捉えております。
ヴェローナ消防団にて活動しているであろうロミオ、だからこそ訓練の賜物で懸垂もお手の物なのでしょう。
鳥海さんによる黒い翳りやキャピュレット家のプライドが滲む豪快なティボルト、
長身で長い手脚の持ち主ながら高難度で複雑な技巧を次々と繰り出していく、王子貴公子系役の印象が先行していた生方さんの鮮烈なマキューシオも印象に残り
見るからにおっかなそうなティボルトを茶化すのは並大抵勇気では不可能なはず。
そういえば珍しくロミオ、マキューシオ、山下さんのベンヴォーリオの3人全員爽やか系で纏まったトリオでした。
樋口さんの何処か冷たさを帯び傲慢さが見え隠れする、終盤ジュリエットに対しては冷ややかな怒りが凍るように伝わってきたパリスも忘れられられずにおります。
貴族達のクッションをしっかり手に持つ鷹揚とした踊りや茶や黒で緻密な模様で彩られた統一感ある衣装の凝った、特に全て形状が異なる帽子のデザイン観察も楽しく
厳粛な場に飛び込んでくる白地に赤いリボンをあしらったドレス姿のジュリエットの眩しさとの対照的な色味もくっきり。
1幕での作物までもが飛び交う街の喧騒の光景も目に焼き付いてきっとこの年は豊作だったのであろうと想像が巡り
2幕のカーニバルのキュートなカラフル衣装や、女性ジプシー3人組の弾け散る喜びも、訳ありな事情が多き3人でしょうが何だか晴れやかに映るのは
お祭りを徹底して明るい賑わいに重点を置いた描き方によって晴れ晴れとしためでたさがまさって見えるのかもしれません。
最後はジュリエットがロミオを抱いた状態で幕が下りるためか、来世では結ばれて自由に青春を謳歌しているあろう2人が脳裏を過ぎり
悲劇ではあっても温もりがふわりと覆うような余韻を残す幕切れと思えました。
何より、カーテンコールにて池本さんロミオが両手を大きく広げて足立さんジュリエットが胸に飛び込んでくる挨拶が反則な甘酸っぱさで魅了。
最後の最後までロミオとジュリエットの世界観を観客に見せ続けてその光景を目に残しながら帰途につけたのは幸せなことです。
5月公演は空席が目立っていた点が惜しく、今週末もしお時間の許す方は是非足をお運びください。
※足立さん、池本さんへのインタビュー。互いの信頼感が伝わり、池本さんをあるキャラクターに例える足立さんの表現にクスッと笑ってしまいました。是非お読みください。
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— バレエチャンネル公式アカウント (@balletchanneljp) June 5, 2024
6/7(金)より後半日程3公演が上演される#東京バレエ団『#ロミオとジュリエット』🌕
主役2人のクロストーク特集
第2回は6/8(土)主演#足立真里亜 さん #池本祥真 さんが登場✨
“二人は「悲劇の結末」ではなく「幸福な未来」に向かって生きた”https://t.co/OZdgc59vv4 pic.twitter.com/DR6WpQPOZj
足立さんの使い込んだポワント。文字も美しい。
ビュッフェにパンダさん
多言語対応のキャスト表、解説。学習中の言語がある方、ご興味のある言語のある方はどうぞお読みになってみてください。
帰りは会場近くの酒場CONA上野へ。お酒はカクテルが中心な当ブログレギュラー後輩と。
生ハム盛り合わせ。後輩の大好物です。クランコ版では第1幕前半に美味しそうな作物がたくさん出てくる演出も、
自称・バレエ公演使用飲食物監視員な管理人は好きでございます。
(お世話になっている方の中に、落下物処理監視員がいらっしゃいます)
クランコ版での野菜の投げ合いにはびっくり笑。但し、もし本物のニンニク投げられて仮に割れて目に汁が入ったら激痛が走りそうです。
そして今回の、どころか5月後半における当方観劇後の飲食物ヒット上位に入るであろう、イタリアン水餃子。
どちらかと言えば小籠包に近い厚めの皮の香ばしい食感、肉汁の多さで、しっかり果肉の味を感じるトマトソースと合うのです。
クリアな盛り付け方も綺麗でございます
白赤ワイン飲んでからのビール。店名のCONAの文字が入っています。毎回こんな呑んでばかりの先輩ですまんのう笑。
ハーフアンドハーフピザ。お互いに好きな種類を選択したら、後輩は明タラポテおもち。
和物ですみませんと言うていたが、美味しそうな組み合わせなのだから大歓迎。それに場所柄か、下町スペシャルなるピザもメニューにあり。
渡り蟹のトマトソースパスタも蟹が想像以上に多めに入っていて万歳。このご時世を考えたらお手頃で破格価格なメニューばかりなのだが、
どれも満足度の高い味でした。店員さんの接客もさっぱりと丁寧な口調で、好印象です。調理トラブルで提供する料理の遅れについても丁寧に説明に来てくださり、
こちらは時間はたっぷりある上に寧ろどんな料理か、楽しみ度が増した後輩と私でございます。そしてスタッフさん渾身の水餃子の美味しいことよ!
後輩と行くと大概デザートも必須です。(ティラミスを美味しそうに頬張っていて、可愛いのう)そういえばティラミスはヴェネト所縁のお菓子だったか。
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