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2024年5月8日水曜日
近年では貴重 幕物作品のみの構成 グラッシオバレエスクール第43回発表会 『ライモンダ』 『アラジン』 『キャンディの国』4月29日(月祝)《兵庫県姫路市》
4月29日(月祝)、兵庫県姫路市にてグラッシオバレエスクール第43回発表会を観て参りました。
今回で6回目の鑑賞で、グラッシオさんのおかげで姫路を堪能する機会をいただいております。
http://www.grazio.jp/news/
基本バレエコンサート形式がなく、オリジナル創作のクラシックや全幕作品を毎回上演していて纏まりがあると観るたびに感じさせてくださっているスタジオです。
最初は子供達による『キャンディの国』。2019年以来の鑑賞で10本くらいのパートで構成され、
可愛らしいチュチュや衣装の生徒さん達が次々と登場して楽しませてくださいました。
背景の美術はお菓子柄の甘美な色彩ながら曲は『くるみ割り人形』より様々な場面からの抜粋で、1幕のクリスマスパーティー場面の曲を抜粋式で聴くととても新鮮。
少子社会の現在、これだけたくさんのお子さんが集まり大きな作品の上演が可能なスタジオも今や珍しいかと思います。
次は『アラジン』全幕。振付は赤松優さんで、2019年にグラッシオさんで観ておりますが
偶然なのか前回も今回も東京の新国立劇場バレエ団の『アラジン』上演と同年に鑑賞。不思議なご縁です。
音楽はディズニーもあれば、『ラ・バヤデール』パ・ダクシオンやジャンペもあり、
インドではないはずが妙にしっくり。これまた偶然でちょうど新国立劇場でバヤデール上演真っ最中で、この日29日も上演していて
既に3回鑑賞してからのグラッシオさん鑑賞のため、東京でも姫路でもバヤデール三昧。
国は違えど大まかに捉えれば同じ東洋圏の物語であるせいかアラジンであっても違和感なく、面白味ある嬉しさでした。
また東京でお世話になっている方が、新国立での演目がバヤデールの次がアラジンで衣装にあまり変化が無いと話していらした旨も脳裏を通過したのでございます。
子供達も総出演で、市場での賑わいや宮廷での宴を順々に彩ったりと大活躍。ジャスミンは生徒さんの交代制でしたがぶつ切りにならぬようバトンの受け渡しがなされ
アラジン役の地主薫バレエ団の石神航一さんはディズニー映画からそのまま出てきた感のある姿で市場でいたずらしてばかりかと思えば
何人ものジャスミンとのパ・ド・ドゥもスムーズに映りました。。
ジーニーは全身タイツな衣装で登場。ここ最近訳あって6月に上演を控えている新国立劇場バレエ団デヴィッド・ビントレーさん版『アラジン』における、
地肌を青く塗って眼光はギラリ、腹筋がバキバキに割れているランプの精ジーン(ジーニー)が大々的に写されたチラシやポスターを穴が空きそうなほどに眺めているせいか
赤松さん版のジーニーはまろやかに思え、また子供達にも優しいためほのぼのとした雰囲気があると感じさせました。
1時間弱に纏められていながら装置転換も巧みになされ、工夫が散りばめられた演出です。
3作品目は『ライモンダ』全幕。グラッシオさん初鑑賞の2017年に鑑賞して以来の再演の高岸直樹さん振付版で(土台はグリゴローヴィヂ版と思われる)
夢の場面は全てカットされているため正確に申すと「ほぼ」全幕な構成ながら、満遍なく網羅されている印象を受けております。
発表会はもとより全幕版はプロの公演でも上演機会が少なく、ましてや昨今の世界情勢を鑑みると19世紀末のロシアやヨーロッパの視点で描いた
イスラム側を倒した十字軍の正義と勝利万歳なあらすじが問題視され、特に近年はヨーロッパや周辺地域での上演は非常に難しい状況。
殊にガザ地区の痛ましい報道を目にするたびに、デンマークロイヤルやイングリッシュナショナル、オランダ国立が新制作したような
時代設定の変更や決闘で絶命ではなく和解の演出にするなど、大改訂版でないと上演不可能と感じます。
先述の通りちょうど新国立劇場バレエ団が上演真っ最中である『ラ・バヤデール』も脳裏を過ぎり、インドの描写が問題になりがちですが
いくら19世紀末に完成した作品とはいえヨーロッパ側の優位を誇張しているとも受け止められかねない『ライモンダ』のほうが上演の壁が高い気がいたします。
しかしグラズノフの音楽が繊細且つ格調高く、中世のフランスやハンガリーとイスラム圏の交差を描いた舞踊展開もあって
作品そのものは面白い味わいがありますから「ほぼ全幕」であっても上演は大変嬉しく、再演を待ち侘びておりました。
ライモンダは前回と同じく主宰の先生のお1人で、登場から清楚で優美なオーラを纏う貴族の令嬢。
ジャンとの暫し(実際は10年くらいか?)の別れが待っている、決して夢いっぱい花いっぱいではない切なさも帯びた踊り方も印象深く残っております。
(私がもし容姿端麗ならこの登場シーン、いつかやってみたい笑。そんな日は来ないと思うが汗)
ジャンは山本隆之さんで、この演出では最初からたくさん登場なさるため、凛とした眉目秀麗なお姿に喜ばしい限りです。
アブデラフマンも前回と同じく地主バレエの金兌潤さん。パワフルに縦横無尽に、特にスペインでも見せ場たっぷりに踊りながらも
悪人にはならず品を崩していなかったのが好印象。(これ大事)ライモンダに求愛する
危うい香り漂うアダージオもカットであったため、スペインやソロでの濃縮求愛も見応えがありました。
1幕ワルツやサラセン達の踊り、結婚式でのハンガリーは大人数構成で、呼吸合わせて大勢で踊る生徒さん達の協調性から学びが多々あり。
子供の頃の私なら、対応困難であるのは間違いない。
衣装、特に貴族や伝令が時代数百年先取りなデザインであったのは気になりましたが、例えば実在したジャンが活躍した第五回十字軍の時代である1200年代を現す衣装なんぞ
メジャーなバレエ団の公演でない限り確保は難しいはずで、そこは『眠れる森の美女』な趣になっても仕方ない。
まずは発表会のレパートリーとして全幕を持っているだけでも貴重であり、感激でございます。
決闘でのジャンの剣が記憶が正しければ前回は護拳付きで、これまた随分と近代開発な種類の出現と思ったものですが
今回はより当時の時代に寄せた平たく大きな形状の叩き割る系なデザインでしたので、より好印象。
(小姑のように煩くてすみません。史実を題材にした作品であるため時代考証の面も気になるのです)
決闘は臨場感と迫力があり、20年前に東京の初台で興醒めしてしまった、これぞ会議室ではない現場での「打ち合わせ」状態にならず。
マントでジャン!な帰還姿も目にでき、大満足でございます。
グラン・パ・クラシックは通常は別場面で披露されるヴァリエーションも挿入され、ヒュルヒュルと流星のような旋律が耳に残る夢の場の第2と、
それから2幕にライモンダが踊る帰還のヴァリエーションもあり。特に後者は発表会でお披露目される機会は滅多になく、もしかしたら初めてお目にかかったかもしれません。
吹奏楽器による主旋律が次々と変わり、私の中では世界一好きなヴァリエーションなのですがこれといって派手な技巧もなく披露されることが殆どないため、
今回は笑みが何度も零れました。昨年『ラ・バヤデール』影の王国のニキヤを務めた講師の方が踊られ、
ポジションの切り替えやメリハリも美しく、鮮やかな軌跡を残していくお姿をじっくり観察した次第です。
さてフィナーレの後に少しの時間が空き、ゲストのお1人酒井直希さんが観客に対してもう少々待つよう合図してくださってきっと何か始まるのであろうと眺めていると
出演者が続々と可愛らしい包みを客席に投げ入れるサービス。一生懸命投げても近くに落下してしまうのも微笑ましく
一方で野球経験者か、或いは阪神戦の見過ぎなのかアクリエ姫路ではなく六甲おろしが流れる甲子園球場と思い込んでいらっしゃるのか笑、
遠方まで投げてくださる方もいて、皆さん様々。私も1包みいただきました。キャンディ(兵庫でも飴ちゃんと言うんやろか笑?)が何種類か入っていて職場で重宝しております。
ヴァリエーションやグラン・パ・ド・ドゥ中心では全くない、大人数作品の毎回の上演に
先生方の指導、何より生徒さん達の協調性の強さに毎回頭が下がっております。
アラジンだったか、ずっと泣いてしまっていた小さな子供の生徒さんをそこまで年齢も変わらないであろう隣の生徒さんが手を繋いであげたり、
音楽や振付に遅れないようにささっと誘導してあげたりと大人顔負けの細やかな気配りをしていて、見習いたいと思いました。
今年は例年の4月半ばよりも1週間後のゴールデンウィーク真っ只中の開催で、姫路に行くようになって6度目にして初めて快晴に当たらず
午後からは雨に見舞われましたが、気持ちは晴れ晴れとしてアクリエを後にいたしました。
相変わらずオタク気質である。しばしば出向いている図書館の方にもそう思われているかも。
古代インドの戦闘の歴史本が見つからなかった分、こちらの時代に走ってしまった。
『ラ・バヤデール』の音楽が脳内旋回する中で東京の新宿から夜行バスにて三宮到着、そして姫路駅へ。
姫路駅を出ると姫路城が見える構図な駅前。バスの上にお城が乗っているようにも見えます。
朝風呂後、まずはみゆき通りを歩いてはまもと珈琲へ。
姫路へ行くと必ずアーモンドトーストを食べますが、これまで4店舗訪れた中で、スライスアーモンドをたっぷり使用したはまもとさんのトーストが好み。
保存ができぬため、アーモンドバターのお土産や通信販売は不可能らしい。食べたくなったら直接店舗へ。
ライモンダの時代よりだいぶ先の頃の時代の甲冑。お店の守護神とのこと。
今年も来ました姫路城!
毎度のアングル。しかし藤の花が今回は咲いていない。いつもは4月半ばに来ていたためか。
姫路へ来たら必ず立ち寄っているはりかい。今回で6回目で、いつも席も同じ。姫路城を目の前に眺められるテラスの立て看板前の席に毎回座っております。
播州の日本酒で乾杯。私が文豪ならば、毎年座っていた席として語り継がれていくのでしょうか。
毎回同じメニューを注文、蒸し牡蠣。ふっくらむっちり大きく、貝汁もたっぷり。姫路の昼の食は6回とも不変。
自転車、徒歩ともに整備された道を歩きながら姫路駅方面へ。
姫路は駅近くもお城周辺もオーバーツーリズム状態にはなく、交通混乱や渋滞もなく、程よい賑わい。
しろまるひめにご挨拶。
アクリエ姫路へ。
アクリエから眺めるロンドンな景色、タワーブリッジ。来年夏は本家のタワーブリッジを目にできますように。
帰りは2022年の終演後に訪れた郷土料理のお店へ再び。ビールが爽やかきめ細かな味わい。姫路では不思議と私も口にできる、焼き穴子も。
銘酒、白鷺の城。
姫路おでんと。生姜醤油が品良きぴりりとした辛さ。
白ワインに締めの鯛茶漬け。穏やかに締め括りです。 さて宿泊先は姫路駅周辺ではなく訳あって大阪府内。
翌日は4年半ぶりのある大行事へ行って参りました。その話は次回。
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