2022年6月9日木曜日

アリスとお菓子

東京は梅雨寒が続いており、今宵も涼しい風が通り過ぎて行く気候でございます。
現在東京都の初台では楽しいお茶会が連日繰り広げられていますが、例によって管理人は感想を綴る行為が恐ろしく遅いため
2月の出来事及びやや場繋ぎな内容も絡んでおりますが悪しからず。

ここ何週間か英国の映像を目にする機会が多く、まずはエリザベス女王の即位70周年行事。盛大な祝賀パレードや女王とパディントンのお茶会まで開催されたとか。
お菓子とお茶で寛ぐ文化がこうもユーモアなお祝いにも発展するとは、驚くと同時に王室の出来事であっても何処かほっこりとする話題を目にした思いでおります。
『不思議の国のアリス』でもお茶会は欠かせぬ要素の1つですが、最近夜テレビをつけていたところ
英国でのアマチュアによる焼き菓子やパン、パイ作りのコンテスト番組『ブリティッシュ・ベイクオフ』を視聴。
シリーズ化もされているそうで、英国内では人気番組であるらしい。予選を勝ち抜いた実力者達がお題のお菓子作りの腕を競い合い
複数名の審査員の中には英国料理界のクロード・ベッシーを彷彿させる辛辣な批評をする方もいれば穏やかに励ます方もいて、視聴者の立場でも緊張をもたらされる番組です。
ダイジェスト映像を見ると英国の伝統菓子らしいものが揃い、アリスのお茶席を思い出してはお腹が鳴る食いしん坊の管理人です。






ちょうど先週の放送日はコンテストの舞台がコーンウォールの漁村マウゼル。この日は晴れ間が広がり、風光明媚な風景が覗く一方
波が鋭く荒涼とした海景色も映し出されては『トリスタンとイゾルデ』の舞台であると思い出させ、
2006年公開の映画も観に行ったほどこの話が好きな者としては胸を高鳴らせたわけでございます。(ワーグナーのオペラは長過ぎて観る自信が無い汗)
思い返せば1年前、新国立劇場6月公演『ライモンダ』上演期間中に開催されていたのがG7コーンウォールサミット。
連日報道映像でも目にし、映画版を思い出しては仕える王からも信頼される誉れ高く美しい戦士ながら王妃との禁断の関係から生じる苦悩が絶えぬトリスタンも
さぞ絵になり役としても嵌るであろうとお方が約1名初台に、と妄想が巡っておりました。どなたか英国版大河のような重厚感を帯びた全幕バレエ化してください。
地域は異なれど、まずは来年ゴールデンウィークの『マクベス』を待つことといたしましょう。

話を2022年に戻します。ブリティッシュ・ベイクオフを視聴していると料理の様子や審査のみならず料理の歴史を辿るコーナーも設けられ、
パイについては中世の宮廷ではだいぶグロテスクな見せ物な役目も果たしていたり、
やがては労働者の携帯食品として重宝されたりと発展の歴史は誠に興味を惹く内容でした。
そして思わず目を疑ったのはジョージ・クルックシャンクが描いたヴィクトリア時代の資本主義を批判する風刺画で
(以下文字化すると残酷な描写もありますがご了承ください)
ソーセージ製造機のような機械で人間をミンチにしてお金として出して行く風刺画でした。この絵を観て真っ先に浮かんだのは
現在初台で上演中の『不思議の国のアリス』料理女の場面で、製造機や後方の大鍋にも豚が丸ごとぶち込まれた美術や装置が毎度強い衝撃を与えていますが
話を戻しまして工業力を始めとして社会が発展していく一方労働者の過酷な環境や経済優先な政策が
いかに行き過ぎた面もあったか、クルックシャンクの風刺画に込められた皮肉は決して過剰な描写ではないと感じさせます。

さて私もいよいよアリス後半へ。お茶会は暫く続きます。英国な食、アリスな食にも出会えそうで、またこちらで紹介して参ります。




遡ること約5ヶ月前、吉田都セレクションが中止になってしまった日程にて、カウンセラー友人の提案で
アリス上演願掛けのため横浜でのアリスのデザートブッフェに行っておりました。薔薇がのったウェルカムドリンクと赤系デザートでまずは撮影。



うさぎさんや猫の肉球チョコレート付きケーキ、この他時計を模したチーズケーキもあり。
友人の3倍は食していたであろう管理人、胃袋はいつまでも成長期のままでございます。
アリスやジャックのパネルが置かれていたら更に気分も高まったかもしれません。
ひとまずは無事開幕し、安堵する日々でございます。



ファーストキャストジャックでない日は再演の今回もハートの2番!!女王様に命懸けでお仕えしているお姿、毎度注目でございます。

2 件のコメント:

aruyaranaiyara さんのコメント...

第二の故郷、GBを舞台にした。
チャールズ・ドジソンの名作、ばっちしバレエ向きですね。
トリ・イゾの映画素晴らしかったですね。
もう一つのGBの顔の風景ですね。

管理人 さんのコメント...

aruyaranaiyara様

こんにちは。コメントお寄せいただきありがとうございました!
アリス、バレエにもぴったりな題材で、原作のベースを大事にしつつあっと驚く仕掛けの連続で毎回発見が尽きません。

トリスタンとイゾルデの荒涼としたコーンウォールの風景も脳裏に残り、映画では登場人物達それぞれの苦悩や葛藤も丁寧に描かれていましたよね。
良作であったと今も思います!