順番前後いたしますが5月10日(日)、スターダンサーズ・バレエ団リラックスパフオーマンス「シンデレラ」15時公演を観て参りました。
鈴木さん版の鑑賞は初演、昨年の渡辺恭子さんのラスト公演に続き3回目です。
https://www.sdballet.com/performances/2605_rp/
シンデレラ:塩谷綾菜
王子:吉田周平
父:大野大輔
継母:中川郁
義姉妹:石山沙央理 前田望友紀
王子の友人:小澤倖造
臣下:鴻巣明史
家来:飛永嘉尉
仙女:角屋みづき
シンデレラの小さなお友達:髙橋麗 愛澤佑樹 早乙女愛毬 加地暢文
洋服屋:関口啓
父の秘書:若宮嘉紀
大臣:福原大介
塩谷さんのシンデレラはしっかり者なヒロインで、継母や義姉妹達からのいじめにも容易には屈さず平然としている様子が健気。
ただ1人になったときはポロポロと涙する姿がいたく哀れで、我慢続きな日常が窺える一コマです。
何処を切り取ってもテクニックが安定している上に、感情の沸き上がりと溶け合って自然と駆使しているため、非常に難しいことをやってのけていても一切そう思わせず。
それどころか今回は入団後の初舞台となる王子役の吉田さんを頼もしくリードなさっていて、
されど王子からの救いの導きには戸惑ったり誘いを拒絶してしまったりと守ってあげたい感もあり。とてもチャーミングなヒロインを造形なさっていた印象です。
スタダン団員デビューとなった王子の吉田さんは、Kバレエ時代のハイパーテクニシャンな道化の印象が余りに強く、
序盤こそシンデレラの曲で王子様を踊っていらっしゃる姿が妙に不思議に思えたもののノーブル過ぎない姿は(前向きに捉えてください)
幕開けに街中を散策する王子と友人らの冒険心あふれる若者らしさが自然に表れていて
シンデレラとの出会いも、お城の煌びやかな空間に馴染めずなかなか心を開けないシンデレラをそっと、無理なく舞踏会の輪に入れていく過程も好印象。
(シンデレラと王子が一瞬で恋に落ちてからシンデレラがすぐさま王子と踊り出し、あたかも昔から宮殿に住んでいたかとも見紛うアシュトン版は、
全てが滑らかに行き過ぎている気も最近はしてきたが、それぞれ魅力があるのでしょう)
待機中や次の場所への移動時の歩行はもう少しノーブルな雰囲気が宿ると尚良きかと思います。男性ダンサーにとって最たる難関課題かとは想像いたしますが。
鈴木版名物であろうJRAもびっくり、シンデレラを探しにお馬でGO!!は乗り方といい手綱捌きといいすっかり馴染んでいらして、
新宿や池袋駅改札前広場で時々開催されているリアルな馬模型に乗るイベントへのご参加経験がおありとしか思えず笑。
愛馬のお顔を撫でてあげたりと細かい箇所も行き渡り、お城に戻ったあとはご褒美にたっぷりの人参を食べさせてあげていることでしょう。
お馬でGOは、一番後ろの一頭には臣下と家来がコアラの親子の如く抱きつくように騎乗していたのもツボでした。
初演の頃に比べれはソフトになりつつあるとはいえと継母や義姉妹によるいじめはなかなか苛烈で、掃除した箇所をわざと汚したり、
極めつけはシンデレラが着用しているドレスをスカートから順々にビリっと外して最後は暖炉へ放り込む行為は行き過ぎかとは思えます。
ただ継母も、仕事が多忙な夫に家庭を全く気にかけてもらえず愛情に飢え続けているストレスが蓄積しての悪循環が
シンデレラへのいじめのエスカレートに繋がってしまっている、現代でもあちこちで起きているであるう家庭内問題に踏み込んだ演出。
救いは例えば洋服屋さんなどシンデレラの家に出入りする人々が、せっせと働き回るシンデレラを目で追い、結局は破られてしまうが、ドレスを喜んで用意していたり
父親も常時仕事人間ではあってもシンデレラへの愛情はしっかり示していて、洋服屋さん達にも娘は3人いる旨を伝達。
そして最後、シンデレラがガラスの靴の持ち主であると判明したときに納得いかず騒ぎ立てる継母や義姉妹達を叱り飛ばし、
すると家族で本気で向き合う自身に驚く父と、叱ってまで自分達のことに心を寄せてくれて喜びが募った継母達、両者の間にあった壁が崩れ落ち
やがてシンデレラも加わって輪になって抱き合いながら家庭内和解がなされたこと。一部始終を見守っていた王子や家臣、家来達の視線もあたたかで、
空間いっぱいに広がっていくじんわりとした温もりがいつまでも響き渡りました。
継母や義姉妹達も意地悪ばかりしているのではなく、1幕の家での騒動も、舞踏会も踊る場場面が非常に多し。 喧嘩しながらのドタバタ踊りも、舞踏会にて王子友人を慌てさせながらトラブル起こしつつ達者に踊る場もお見事なもの。
そして小さなねずみさんが大きくなって被り物の紳士淑女なねずみさんとなったお友達の愛らしさよ。
パチクリする瞬きも可愛らしいながら、パ・ド・ドゥのプロムナードも軽快な踊りもきちんと行う、折り目正しいねずみさん達でございます。
そして人間のお友達に変身すると、シンデレラが王子と安全に過ごせるよう舞踏会の中で踊りながらさりげなく継母や義姉妹達に仕返ししていく様子も痛快。
早乙女さん加地さんともに、身体の表情も巧みに変えながらシンデレラ安全確保のために舞踏会の輪を辿って行く作戦踊りもお手の物でした。
モダンな味わいある仙女の角屋さんの、妖精達をダイナミックに取り仕切る姿も目に残っております。
王子と再会できても古びた仕事着である服装にコンプレックスを持ち、そんなシンデレラの願いをまた叶えようと仙女が魔法をかけようとするも王子が阻止し、
着飾らずそのままでいて欲しいと訴える結末も、分かってはいても毎度清らかな余韻が沁み入る中で終演。
また今回はオーケストラ演奏付きで、生でプロコフィエフの流麗な音楽を次々に聴ける喜びたるや。
リラックスパフォーマンス企画もスムーズな進行で、開演時のプレトークでの洋服屋の関口さんの楽しいマイム講座や小山さんの分かりやすい解説、
そして誰でも舞台鑑賞しやすいよう客席の配置や、ロビーに出てからも安心して過ごせるようにするための声かけも優しく、とても良い企画であるとこの度も感心いたしました。
是非継続して欲しい企画です。

青空を背景に、新緑が美しい季節です。



シンデレラを導く星空彷彿な銀河羊羹。

お馬でGO!
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