2024年9月17日火曜日

ガーシュインな組曲!ー東編ー   BALLET NOW  バレエナウ第17回発表会   8月27日(火)《東京都八王子市》




8月27日(火)、八王子市の南大沢にてBALLET NOW  バレエナウ第17回発表会を観て参りました。2019年、2021年、2022年、2023年に続き5回目の鑑賞です。
http://ballet-now.com/

世の子供達の夏休み期間真っ只中なこともあって毎回平日夕方開催ですが、仕事を終えて平日昼過ぎの京王線に乗車してのんびり下り方面への電車1本での移動からして
ワクワク感が止まらず。職場から電車で1本、京王線乗車時から、そしてゲストのみならず生徒さんの出番作品も含め毎年楽しみにさせていただいております。
主宰は川崎浩美さん貝川鐵夫さん。新国立劇場バレエ団から毎回ゲストが招かれ、お馴染みの渡邊峻郁さん速水渉悟さん、そして山田悠貴さんが初登場でした。

幕開けは子供の生徒さん達のフェアリーランド。タイトルからして可愛らしい妖精さんが大勢登場であるのは想像通りでしたが意外な組み合わせであったのが音楽で
メルヘンな雰囲気の曲を使用かと思いきや、グノーのファウスト『ワルプルギスの夜』。ちょうど先週末に神戸で貞松・浜田バレエ団が、
今週末にはスターダンサーズ・バレエ団が埼玉県にて上演予定でおり、どれも好きな曲であるため埼玉での鑑賞の楽しみが増しておりますが
フィナーレのフリネの踊りまで、私が5歳の頃から(初めての発表会にて上級生達が踊っていた)とりわけ聴き惚れているヌビア人の奴隷の踊りも含めほぼ全編曲順はそのままに
哀愁感を帯び、きりっと大人びた神秘的な曲の構成と子供達の可愛らしい無邪気さが不思議としっくり響きました。
貝川さん川崎さんご夫妻のご子息2人も随分と大きくなっていて、生徒さんをエスコートする振付も頼もしくご披露。
またとっても小さなお子さんも安心して舞台に立てるよう、上級生がさりげなく先導して立ち位置に案内する振付が自然に組み込まれ、
昨年夏のチャレンジセクションにてムードメーカーと紹介されていた生徒さんが優しく導いてあげていて、頼りになるお姉さんぶりに拍手です。
こういった優しさは幼児の生徒さんも何年経っても何処かしらで覚えているもので
(私自身そうでした。初めての発表会本番前に困り事があったとき、手を引いてくれたトレパックのお姉さんの優しいお顔や衣装、名前も今も覚えております)
バレエでもそうでない場所でも、次は自分が!と手を差し伸べて行動を起こすきっかけにも繋がることでしょう。

今回グラン・パ・ド・ドゥは3本あり、全てに共通していたのは楽しい美しい世界観や語り合いが伝わってきたこと。
まず『ドン・キホーテ』をアシスタントの方と山田さんが踊られ、苦難を乗り越えた様子も浮かんでくる、朗らかで幸せいっぱいな結婚式。
パ・ド・ドゥは大変久々とご自身の投稿にも綴っていらっしゃいましたが、勢い任せになりがちなドンキにて1つ1つを丁寧にしっかりと踊ろうとなさる姿勢に感激。
そんな真摯な踊り方に山田さんも応え、更にもう一段階引き上げるようにリードなさる明るく情熱的なバジルでした。
昨年のチャレンジセクションにて、海賊のヴァリエーションを踊り終えたあとに次月からアシスタントに着任と川崎先生から紹介があり、
実に謙虚そうなお人柄を思わすご挨拶や、それまでも例えばキャラクターダンス等で先頭に立って頼りになる存在なお方だなと
素敵な印象を持っておりました。アシスタントの立場でのパ・ド・ドゥ挑戦は大変な緊張もおありだったと察しますが、
きちんと丁寧に、のモットーは指導する上でも大切になさっていると伺えました。
よく劇場でもお見かけしており、以前から応援させていただいておりますが(指導者が劇場に足繁く通うこと、大事です!)今後も応援しております!

2本目が今秋からミュンヘンに留学される生徒さんと渡邊さんの『眠れる森の美女』。
お2人の組み合わせは2022年のアルレキナーダ、、2023年のグラン・パ・クラシックに続き3回目のパ・ド・ドゥで
2年前はまだまだあどけなかった生徒さんがぐっと美しく大人びた姿で登場され、麗しさにびっくりです。
独特の透明感もお持ちで涼やかな品格や堂々とした優雅さにも天晴れで、新国立プリンシパルの渡邊さんと並んでも組んでもパッと絵になる姫と王子。
先生の紹介によれば大変な努力を重ねてコンクール入賞常連となったとのことで、今年も数えきれないほどのスカラシップを獲得されています。
スタジオのエースとなり、留学前最後の舞台でもしかしたら以前よりも重圧もあったかもしれませんが芳しい気品を湛えながらの優美な踊りにもすっかり魅せられました。
今夏の眠り祭り前線の締め括りを迎えられた渡邊さんはオーロラ姫に対して宝物を愛おしむように大切に丁重にサポートなさり、
視線で身体で安心と安全はお任せくださいと言わんばかりの鉄壁デジレ王子。贔屓目かもしれませんが、あの語りかけや頷きで救われない人はいないと思っております。
加えてヴァリエーションも勇ましく凛々しく、ポーズの1つ1つがぴたりと美しい静止で、
マネージュでは会場外のイトーヨーカ堂を越えて駅反対側のTOHOシネマやアウトレットまで跳んでいきそうな勢いもあり
そして姫が登場すればあたたかな迎え入れをなさり何があってもこの王子様がいれば大丈夫と思わす説得力大。
少々王子の衣装がシンプルな気もいたしましたが、無背景であっても後方に王宮が現れたと見て取れる輝きに満ちたお2人でした。
是非またお2人で組んでいただけたらと待ち侘びております!

3本目は昨年パ・ド・ドゥに初挑戦された生徒さんが同じく速水さんと組んで今回はチャイコフスキー・パ・ド・ドゥを披露。
驚くほどに怖じ気づくことなく堂々と登場され、しかも溌剌と楽しそうで思わずこちらまで力が沸いてきてしまう踊りで楽しませてくださいました。
しかも溌剌で元気一杯ではあっても乱雑さは全くなく、あくまで美しく品良く踊るよう努め、バネやコントロール力も強いのでしょう。
速水さんとは昨年の『海賊』でもコミュニケーションがとても滑らかな印象で、初パ・ド・ドゥとは思えぬ舞台でしたが
更にすくすくと素直に伸びているご様子で、来年も益々楽しみな生徒さんです。
今回司会進行をアナウンスではなく川崎先生ご自身が舞台端に登場して行われ、スーパースター速水さんの紹介にてちらっと袖の中に目を届けると
出番寸前ながら速水さんが現れて特別スピーチ。勿論折り目正しい姿勢で登場されても華やかで、歌謡ショーのスターの如く舞台に出現。
生徒さんとたくさん練習したことや、是非皆さんにも楽しんで欲しいと挨拶なさって
実際お2人が実に楽しそうに踊りで会話を交わす光景が広がり、速水さんの爽快でぴたっとおさまるテクニックも炸裂。
今年8月の1ヶ月間で6組は鑑賞したチャイコですが、スピード感のある風を吹かせながら爽やかに踊られたお2人に再度大きな拍手を送りたい思いです。

バレエナウさんの名物として私も大変心待ちにしているキャラクターダンスも今回も上演され、今回はゴットシャルクの『タランテラ』。
音楽を聴くとタンバリン持ってのパ・ド・ドゥがすぐさま思い浮かびますが、生徒さん11人で賑やかなお祭りのように活発に踊る姿に心浮き立ち、
客席も肩肘張らずリラックスして舞台を満喫している様子も含めて気持ち良い一体感が生まれていました。
その後、高校生くらいの生徒さん2人で踊られた、Kiroroの『未来へ』に振り付けられた作品も
瑞々しくフレッシュな魅力が詰まっていて、きっと輝ける未来が頑張り屋なお2人を待っていると信じております。
急速なテンポ不変の『タランテラ』直後にも拘らず、すぐに切り替えてしっとりした作品を踊る体力にも拍手です。
『くるみ割り人形』1幕クララのような色違い衣装も可愛らしい着こなしでした。
川崎先生が曲紹介時に、Kiroroを知る世代について気にかけていらっしゃいましたがまさに今回『未来へ』にのせて踊られた生徒さん達の年頃に聴いていた私でございます。
一番好きなのは、NHK朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』主題歌のBest Friendで、休日等に再放送も視聴しつつ
その数ヶ月後に向かう予定であった沖縄についての学習を積み重ねていたものの9月に起きた世界を震撼させた事件により行き先が急遽変更となった出来事は
今も忘れられずにおります。代わりに広島市内や厳島神社、尾道市(福山駅も乗り換えで利用!)、人生初の大阪、
今では信じ難いでしょうが開業間もなく、どのアトラクションも待ち時間15分以内で乗れるほど
まだガラガラに空いていたUSJに滞在した修学旅行を思い出した次第です。

第3部では全員出演の作品『I Got Rhythm』。ガーシュインのいくつかの曲で構成され、ショーダンス風な総踊りもあれば少人数で踊る箇所もあり。
昔からガーシュインの曲は好きで舞踊化も多くなされていますが
今回より興味を持たせたのが、ゲストと生徒さんの混在型にした構成の箇所。
まず渡邊さん速水さんと、貝川さん川崎さんのご子息の生徒さん2人の4人で踊るパートがあり
公開された練習映像を見る限り速水さんと生徒さん達がリードしている感が強く笑、
手の振り方も抑え目で、一歩一歩頑張って3人について行く渡邊さんの素朴なご様子は私の2024年夏の日々の癒しとなったわけですが
(再生回数増加の犯人は私であると思います笑)
いざ開幕したら4人揃って弾けていてテクニックの熱い競演もバッチリ。南大沢がブルックリンの摩天楼に見えたほどです。
練習映像ではまだ遠慮気味であった渡邊さんも(失礼)、手の振り方やおでこから指先を放つ仕草も皇族や自衛官にならず笑、洒落たニューヨーカーと化していらっしゃいました。
渡邊さんと速水さんは月と太陽と例えるべきか、全く異なる個性の持ち主でそれぞれに得意分野、強味があり、中秋の名月の今夜もお2人の魅力について考えた晩でございますが
しかし速水さんもプリンシパルに昇格され、2人が並ぶ機会はめっきり減っている気がいたします。
何度か綴っておりますがお2人が対決した2021年の平日昼間における、気迫と熱がぶつかり合っていた『ライモンダ』決闘が未だ忘れられず
中世フランスが舞台のはずが揃って和の雰囲気も備えたお顔立ちのせいか巌流島の決闘も同時に脳裏を過ぎり、以来巌流島コンビと勝手に呼ばせていただいております。
揃ってガラに出演される機会は今年何度かあり、1月の山口県防府市(合わせて下関市の巌流島も行きました!)、8月の広島県福山市のガラの両方に足を運びましたが
久々に巌流島コンビの並びを同じ演目の同じ曲の舞台上にてテクニックの競い合いも目にでき、楽しい南大沢ニューヨークでございました。

もう1つ、山田さんと可愛らしい生徒さん達が大勢登場する曲で、山田さんがそれはそれは優しい保育士さん或いは小学校の先生のようで
身を屈めながら生徒さん全員とハイタッチしたり、手拍子もしたり、時にはご自身よりも生徒さん達が前に出て後方から支える役に回られたりと自在に大活躍。
2019年の長靴を履いたネコにおける福田圭吾さんや渡邊さんに続く、新保育士さんの誕生です。
全曲どの出演者の方々にも共通していたのが、皆さん表現力豊かで華やぐお洒落なショーダンスをお披露目していたこと。
ソロを踊られた講師の方のしなやかで瞬発力のある踊りもぱっと目に飛び込むインパクトでした。
衣装は女性は短めのスカートでシンプルでキュートなデザインで整えられ、
男性はバーテンダー風の黒い格好を予想しておりましたがクラシカルな装いで、上は白シャツ下は黒。
フィナーレはI Got Rhythmで全員登場。一斉に脚を鮮やかに蹴り上げる振付も、ブルックリンの夜景が一層浮かび上がるように華々しく決まっていました。
ところで題名に東編と記したのは実は南大沢の5日後、当初の予定では巌流島コンビも出演なさるガラ公演を観に大阪へ行く予定が悪天候のため延期となり、
行き先変えて天候をすり抜けてより西側地域へ出向き、篠原聖一さん版のガーシュイン組曲な作品(15年ぶりの再演、初演時も鑑賞)を鑑賞したため。
それぞれに魅力があり、どちらもまた観たいと思わすパワーを全身に浴びて参りました。

第4部は昨年から始まったチャレンジセクションでヴァリエーション挑戦企画。15名がチャレンジし、
最初の2本は眠りを踊られた生徒さんが幻想的な潤いが伝う作品を、チャイコフスキーを踊られた生徒さんが自由で闊達さもある作品を自作自演で披露され
感性の豊かさにも仰天。ご本人による解説や、指導なさっている中野綾子さんも登場されて
お2人の印象や指導する上で大事になさっていることなど穏やかな語りで紹介してくださいました。
その後は古典のヴァリエーションが並び、今回は選択制ではなく本当に自身が踊りたいものを披露したとのこと。先生、指導大変!!
それでも生徒さん自身で選んだからこその責任からか、とにかく皆が懸命でひたむきで、場合によっては振付を少しやさしめにした改訂で披露。
また早過ぎる無理なポワントも見かけず、バレエシューズできちんと踊れるようになることをじっくり取り組んでいると窺えました。
たった1分少々であっても全力を注いで踊るとエネルギーに消耗は半端ないようで、踊り終えた後のインタビューに答えるのも皆さん一生懸命!
楽しそうに答えたり、悔しそうだったり、将来の夢だったり、正直な素直さが伝わって再度大きな拍手を送りたくなりました。
お1人、小学生くらいであろう生徒さんが選んだのが『ライモンダ』2幕のヴァリエーション。
全幕の中では時間帯からしてジャンがそろそろ舞台袖でマントや剣を装着している頃に踊られるヴァリエーションですが笑
様々な管楽器が次々と主旋律を交互に奏でていく曲調や、単に幸せだけでない待ち侘びや不安も絡んだ感情が込められた振付で
私があらゆるヴァリエーションの中で一番好きな踊りのため(勿論踊ったことはございません念のため)、
ピチカートやベールでもなく夢の場でもない選択をした渋好みな感性に親近感を持ってしまいました。
バレエナウさんの場合、ソロばかり、ヴァリエーションばかりに偏るのではなく必ず全員総出演のアンサンブルを重んじた作品を上演している上で
1人で踊ってみるチャレンジ企画がなされたのはとても素敵な企画であるこの度も感じ入っております。

トリを飾ったのはミュンヘンへの留学を控えた生徒さんが最初の創作に続き再登場。
コンクールで何度も踊ったパキータ エトワールのヴァリエーションを披露されました。
これといった派手な曲調でもなければ勢いあるテクニックの見せ場も少ないため場を持たせて魅せるのが非常に難しい振付とプロの舞台を観ていても感じますが
いたく緻密に、エレガントに紡ぎ上げる踊り方で隙や粗が一切見当たらず。ここまで来るまでにどれだけの努力を重ねてきたのだろうかと思うと、頭が上がらずです。
設けられた質問コーナーにて、練習にて大事にしていることはと客席から聞かれると基礎を大事に大事にしているお心も伝わり、納得でございました。
そのヴァリエーション直後だったか、踊り終えた生徒さん本人へのインタビューの後
渡邊先生が大好きなその生徒さんのために、私服に着替えた状態で舞台袖でずっと見守っていらした!?渡邊さんがご登場。
チャイコ前の速水さんが舞台衣装でのスピーチであった点を差し引いても正反対な趣きで
恐る恐る、頭をぺこりと下げながらそっと登場され、されど語り口はまもなく留学される生徒さんへの優しい励ましやこの日の舞台も褒め称え、
更には先生のことも立てていらっしゃり、人間が出来上がり過ぎな渡邊さんでした。
何処かコンクールの総評或いは校長先生風な口調で笑、家に帰るまでがバレエ鑑賞と自身に言い聞かせた観客は少なからずいるはずです。
最後は留学する生徒さんに向けて、スタジオの仲間達からの応援メッセージやプレゼントが贈られ、生徒さんも思わず涙。
チャイコフスキーを踊られた贈呈役の生徒さんも涙。熱心な先生方やかけがえのない仲間達に恵まれた環境からの旅立ちに、観客からも大きな拍手が沸きました。

以上、東京西部における夏恒例の癒し行事2024が終演。ゲストも生徒さん達の晴れ姿も、
最初から最後までたっぷり満喫して余韻に浸りつつ南大沢駅から京王線で帰宅いたしました。早くも来年の夏を心待ちにしております!




クララの教室レポートコーナーにバレエナウさんが掲載、発売日の4/10に購入いたしました。今回のプログラムがないのは、発売日に撮影したためでございます。
生徒さん達へのアンケートインタビューも、多分この方の回答かなと予想がつくものもあり、楽しく拝読。
先生方からのメッセージもシンプルで、バレエ以外にも通ずる響くお言葉でした。
レッスンスケジュールの仕組みにびっくり、そして通いやすくなりそうな仕組みです。
足を運ぶきっかけになったのはゲストダンサーですが、プログラムが全部面白く特に貝川さんオリジナル作品やキャラクターダンスの演目は毎回夏祭り気分で満喫しております。
昨年今年はチャレンジセクションもあって生徒さん達のお顔とお名前もだいぶ一致してきました。





変わりやすい天気で往路の京王線、読売ランドは晴天でしたが南大沢着いたら土砂降り。 今後暫くは天気急変に気をつけましょう。



行きは南大沢アウトレット入口にあるお店へ。



黄色い牛さん



レモンパンケーキ! カスタードとレモンソースもたっぷり。



拡大!



土砂降り。しかしこの後は落ち着きました。



かばさんもいます。



道路!



会場到着!



帰りはブルックリンビールで乾杯!8月お疲れ様でした。あと1回ありますがひとまず区切り。



レジ横にスターウォーズ。

2024年9月15日日曜日

2年5ヶ月を経て叶った舞台上のアクティオン 修子バレエアカデミーThe 2nd Study Gala 8月25日(日)《葛飾区》


8月25日(日)、葛飾区のリリオ亀有にて修子バレエアカデミーThe 2nd Study Galaを観て参りました。
今年2度目の亀有、修子バレエさんの舞台は昨年の1st Study  Galaに続き2度目の鑑賞です。
https://shukoballetacademy.com/


ゲストと講師陣によるフィナーレ映像。ビゼーの交響曲ハ長調にのせて、めくるめく展開です。振付は高羽英美さん。
曲を聴くとどうしたってバランシンの『シンフォニー・イン・C』が思い浮かんでしまい
アクティオン(渡邊峻郁さん)やアリ(菊岡優舞さん)、ランゲデム(森本亮介さん)といった新国裸体系野性味トリオが勇壮に踊っていると不思議な味わいでございます。




主宰はNBAバレエ団や谷桃子バレエ団で活躍され、その前にはエジプト、近年は米国でも活動の場を広げていらっしゃる田山修子さん。
来年で5周年を迎えるスタジオで、幼児さんと小学生くらいの生徒さん達、そして大人の方々も熱心に通われ舞台出演にも情熱を注がれているようです。
クラシックのパ・ド・ドゥからアンサンブルの創作まで多岐に渡り、また生徒さんのみならず
講師の方々の出番もバランス良く混ぜていて、生徒も講師も皆で舞台でステップアップを図る方針があるもよう。

前半に子供の生徒さん達による『海賊』より花園が上演され、一部終盤にてフェッテがブンブンと含まれ、まだお子さん達には早い気もいたしましたが
殆どの生徒さんがバレエシューズで、舞台で踊るポワントを急がせていなかった点や全体も綺麗に整っていたのは好印象でした。
小学校2、3年生頃の年齢のお子さんもゲストとのグラン・パ・ド・ドゥやパ・ド・トロワ、
プロ顔負けなゴージャスなチュチュでのヴァリエーション等なかなか他の教室の発表会では見かけぬ演出もあり、驚きを覚えましたが
生徒さん達がとても楽しそうにうきうきとした表情で踊る姿に、晴れ舞台を今か今かと待ち望んでいた嬉しさが伝わり、子供の純粋な心に癒された私でございます。

大人の生徒さんはグラン・パ・ド・ドゥ、パ・ド・ドゥもある他、『白鳥の湖』3幕パ・ド・フィアンセは個々の特性を生かしたソロに加え纏まりあるアンサンブルを披露され
そのあとの加地暢文さん振付connectでは照明の切り替わりも工夫に富んでいて、光の陰影の中で入れ替わり立ち替わり踊りが紡がれて行く展開も見応えがありました。
また講師の片平成美さん振付『シンデレラ』よりシンデレラと妖精たちのハイライト集においても
大人の生徒さんで結成された四季の精達が基本のシンプルなテクニックを大切にしながら端正に息を合わせて踊っていらっしゃり、
片平さん三船元維さんによるパ・ド・ドゥもぱっと華やいで素敵な流れに仕上がっていた印象です。

さて、この日最大のお目当てが田山さんと渡邊峻郁さんによるディアナとアクティオンのグラン・パ・ド・ドゥ。
田山さんのご投稿の紹介文によれば渡邊さんは人生初のアクティオンだそうです。
実は私の夢の1つが渡邊さんアクティオンを「客席」から観ることで、2022年3月の渡邊さんがアーキタンツのレッスン初登場時
センターの最後のグランジャンプ時にこのパ・ド・ドゥのコーダ曲が伴奏され、おおよそは作品に沿った振りでダイナミックなアクティオンジャーンプ!を間近で拝見していたのです。
ただ私がそのとき初アーキ受講で、受講するレベルのクラスは怖い空間と噂に聞いていたため(この初回時だけは耳にしていた噂は概ね合っていたが)
前半終了あたりまではガチガチに緊張してしまっていたのが今も悔やまれると同時に
新国立劇場にレパートリーにも未だなく、以来アクティオン役の舞台姿にもお目にかかりたいと願って早2年5ヶ月経ち、ようやく実現。
原作を題材にした絵を前日に上野の国立西洋美術館常設展で鑑賞するほどに楽しみに待っておりましたがようやく叶ったのでした。
元々好きなパ・ド・ドゥであるため序曲のズンチャチャンチャンズンチャチャンチャンの曲調を聴くだけでも胸が沸き立つ思いに駆られ
そうこうするうちに田山さんが大拍手に迎えられてご登場。真っ赤な短いスカートで色っぽくもきりっと気高い女神なディアナでございます。
背丈も腰位置も高いため、脚を交互に上下させながらの前進も枠に収まらない華やかさで魅了。
そして渡邊さんアクティオン出現。俊敏で線が太めな豪快ジャンプの斬り込み登場で、ギラッとした眼光といい
その瞬間から獲物たくさん仕留めていそうな逞しいワイルドな狩人そのもの。
岩山や森を駆け抜けて狩の名手として人々から慕われていそうとも想像いたしました。(もののけ姫のアシタカかいな)
ヴァリエーションでは弓を射る仕草も随所に含ませてくださり時折慌ただしく映ったときもあれど、
品格は終始維持。こーれーが観たかった!と何度叫びたくなったことか分かりません。

そうでした、アダージョのときディアナから受け取った弓を袖へ滑らせて投入するときにまさかの弓が大破する事故が発生。
しかしアクティオンは道具投入の名手でもあるのでしょう。割れても欠片は殆ど飛び散ることなく、ビリヤードのように割れつつも袖へイン!
リハーサル映像では弓を壊さないためにも滑らせ投入はせず、随分と離れた棚に大急ぎで丁寧に置いては再び立ち位置に全速力で戻る、
そんなご様子が告知されていましたから、本番での破損は予想もしなかった事態だったことでしょう。袖にボウリングした弓の運命はいかに笑⁈⁈
それはそうと頭飾り等は無しで、できればヘアバンド?(渡邊さんですと鉢巻との呼び名のほうが相応しい!?)はあった方が
鋭く凛然とした眼差しが引き立って良かったとも思えたものの、衣装は原住民風紐パンツではなくしっかりとした茶色い素材のデザインで一安心。
凛として気高い女神な田山さんディアナともお似合いで、サポートなさる姿も美しや。
度々目でも語りかけて安心感を与えていらっしゃるご様子も、パ・ド・ドゥにおける男性プリンシパルの鑑と再度見て取れました。
田山さん、アダージョのときのほうが顔の強張りがほぼ皆無で、組むパートナーの大切さを再確認です。
そんなわけで管理人の夢も2月に続き叶い、王子貴公子から野性味系まで魂丸ごと生まれ変わるように舞台で生きる、振り幅広い魅力に再度心奪われました。

前回お2人が大トリで披露され、今回はポスターやプログラム表紙に掲載されたグラン・パ・クラシックがそれはそれは揃って格調高い上に
全生徒出演者の見守りを4時間に渡って終えた直後の田山女王を渡邊騎士が恭しくにこやかにお仕えするようなやり取もがインパクトにありましたが
今回は趣変わってより開放的で勢いのある、しかもグランパに続き全幕ではなかなか上演されぬガラならではのパ・ド・ドゥを選んでくださり、嬉しい珍しい新鮮な視点で拝見。
映像化の元祖な存在ルジマトフや、ヴァルナ入賞時にも踊られ同年の大阪での凱旋舞台やその後も度々外部でも鑑賞している
福岡雄大さんの印象が余りに強く刷り込まれておりましたが、この度初披露された渡邊さんの弓事件含め色々な意味での笑、いつもとは打って変わっての豪快な狩人の上書き決定です。

大人のパ・ド・ドゥは今や教室の垣根を越えた多種の舞台が設けられて(所謂ジョイント)、
主催者がしっかり目を行き届かせている舞台もあれば無法地帯(失礼)もあり、ピンからキリまで存在。
一度とある舞台の鑑賞時には、本当にポワントの基本的な立ち方すら危うい方々によるパ・ド・ドゥの連続で、
作品によってはこっそり録画してでも振付家の財団に映像を送ろうかと脳裏を過ったときもございます。
これといった努力もできていない踊れないぼってりズンドコ醜いドラム缶な私があれこれ綴る資格もありませんからこの辺にしておきまして
修子バレエさんではパ・ド・ドゥクラスが頻繁に開催され、男性ゲストを大々的に写した画像入りの告知や
ある程度のレベル要であっても一応は誰でも参加可能?なオープン式の募集内容から、大人のバレエ事情の変わりように目を丸くしております。
ただ発表会やスタディガラにしても、田山さんが目を光らせながら責任を持って練習には立ち会っていらっしゃるでしょうし
ご投稿においても、何でもかんでもありなパ・ド・ドゥ舞台に懸念を示す内容も書いていらしたので使命感を持って指導に臨まれていると窺えました。

フィナーレは生徒さんのみ構成が『ラ・バヤデール』影の王国のコーダ。ソロルが入る箇所に男性の生徒さんがジャンプをしながら登場してしっくり。
終盤は色とりどりの衣装で整列して一斉に踊りますが、きちっと纏まっていて見事。
ゲストと講師は冒頭で紹介した通りビゼーの交響曲ハ長調。一部の女性講師の方々がクラシックチュチュに着替えて登場なさるため
あたかもガラでグラン・パ・ド・ドゥ踊った出演者達全員と思いがちな構成ですが、ハイレベルな後味が残るので良き演出なのでしょう。
子供と大人の両生徒さん達と組まれた元NBAの高橋真之さんがあり得ぬ軸の強さ回転のコントロール力で率いていて恐ろしや。

兎にも角にも、2年5ヶ月を経て渡邊さんの舞台姿のアクティオン拝見でき、鶴亀以上におめでたいひとときを過ごした夏の亀有の夕刻でした。




The 2nd Study Gala前日、上野の国立西洋美術館にて開催されていた内藤コレクション いとも優雅なる中世の小宇宙へ、の展覧会へ行きました。
牧阿佐美さんがライモンダ新制作時に衣装や美術装置のイメージとして写本の色彩感を参考になさっていたことも、より興味を持つきっかけに。
金や青の品ある色彩や緻密な模様文様に昔から魅せられ、最終日前日にようやく鑑賞できました。
企画展チケットでそのまま常設展も鑑賞可能のため、2022年5月の上野での佐多達枝さん版『カルミナ・ブラーナ』鑑賞前の立ち寄り以来に
『アクタイオンに驚くディアナ』の前へ。(常設展と今回の企画展共にほぼ全作品撮影可能)
翌日にいよいよ亀有でお目にかかれると思うと、本来は鹿に変身させられる経緯をバレエでは描かれていないと把握していても心浮き立つ気分が止みませんでした。



鹿!!



亀有駅ホームから、夏空!



開演前、会場が入る店舗の1階にてやっと亀むらで買い物。マドレーヌを購入いたしました。亀の絵が入れ物に描かれています。



ぶれてしまいましたが、パーン!と弾ける勢いで、帰りはジムビームで乾杯です。



鹿次郎の夏。先日25日の余韻からもまだ抜けられず。ギリシャ神話の通りにバレエでは鹿に変身する場面は描かれずとも
亀有のお菓子を手に、狩人アクティオンに想いを馳せる我が家の宮島の鹿さんです。里帰りで初バレエ鑑賞した、福山市のアルブレヒトも忘れられない様子。
狩人といえば名曲あずさ2号の世界観を再現したくて、しかしするなら憧れのダンサー鑑賞へ出かけるときが望ましいと待っていたら、2019年9月23日に実現。子ども白鳥長野県岡谷市公演!
2号ではありませんが、8時ちょうどのあずさ(5号)に乗って旅立ちました。
友人達からは公演感想や、前々日の急遽の主役変更大阪公演に続くすぐさまの旅公演鑑賞よりも
あずさ2号の曲再現を行動に移したことに驚かれ笑われ、よく知る世代ではないはずが!?と人生において度々抱かれる年齢疑惑です。


2024年9月12日木曜日

【人生8度目】アーキタンツでレッスン受講







8月18日(日)、アーキタンツにて初級Ⅱクラスを受講して参りました。3ヶ月半ぶりの、今年4度目のレッスンです。
講師は元トゥールーズキャピトルバレエのバレエマスターでいらっしゃるミン・ファム先生です。
http://a-tanz.com/lecturer/1144

http://a-tanz.com/ballet/2024/07/27190104


なぜ受講したのかはもうお分かりかと思いますが、ミン先生の某お弟子さまがご投稿でおすすめと綴っていらしたことや
レッスンの2日前に開催された広島県福山市のガラに足を運んだ最大の目当てである
佐久間奈緒さん渡邊峻郁さんの『ジゼル』パ・ド・ドゥを真摯に指導なさる映像にも惹かれ
サポートのコツを伝えると渡邊さんがすぐさま汲み取ってそれはそれは佐久間さんのフォルムから幽玄な美しさが香り、変化が表れた様子にも見入っておりました。

さて、受講に向かう道中は緊張はいたしませんでしたが(大御所な先生ほど緊張しない私である)
ただレッスンは年数回レベルの私が受講して良いかは不安で、何しろミン先生は元トゥールーズのバレエマスター。
私のような初級未満な技量低レベル人間は途中退出処分もあり得ると思っていたものの、
教え方は優しく明るくエネルギッシュ。へっぽこ層な私も心底楽しめたレッスンでした。最後まで受講させていただき、安堵でございます。
毎年定期的にいらしているようで、ミン先生ファンが大集結。これまでに受けたレッスンの中で最たる大人数で40人程度はいたかと思います。

初見のミン先生、お弟子さまの写真や映像で度々拝見しておりましたからどんなお方なのか開始前はドキドキ。
プロフィール写真からすると気難しい性格かと思いきや、日本語も交えて「では始めましょう!」と
穏やかににっこりとご挨拶。良かった、怖くはなさそう、と管理人まずは安心です。
ランニングと短パンで脹脛もしっかり見せながらお手本を示してくださり、バーでもセンターでも身体が四方八方にたっぷり動く面白さを体感。
先生の股関節の柔らかさや爪先の美しさにも見惚れ、引き上げの説明にて、炭酸水ボトルを開栓したときのようなシュッ!!という掛け声も楽しく分かり易い。
バーでは軸足切り替えもあり、ただでさえ順番覚えが大の苦手な私がなかなか追いつけない部分でもありますが、
大助かりであったのはこまめな音声ガイド付きで、足を変えるタイミングでチェンジ!と指示を飛ばしてくださったこと。
これは本当に助かり、不安なく堂々と取り組むことができました。慣れている方や覚えが良い方には到底理解いただけないかもしれませんが、
私のような順番覚えられぬ出来損ない人間にはほんのちょっとの音声ガイドがあるだけでも、大いに救われるのです。
右、左、は日本語で、あとは大半が英語でしたが、パの用語は万国共通ですから
昨年夏に受講した山本隆之さんの師匠のイガール・ペリ先生のときと同様聞き取りやすく思えました。

センター時、何かの節で先生がグループ数を間違えてしまわれたときもありましたがお茶目なご反応で、全体が和んでしまったのはミン先生のお人柄があってこそ。
初級者も上級者も関係なく、和気藹々と楽しいリラックスした雰囲気で、特別難しいことはせず
身体の保ち方や腕のポジションといった基礎の部分をしっかり見直しつつ身体をたっぷり動かしていく気持ち良いレッスン内容でした。
カリカリした受講者も見当たらず(少なくとも私の視界には)、アーキ01スタジオ名物なのか強力冷風機の威力に見知らぬ者同士で驚いたり
終了時におけるミン先生に感謝し讃える拍手ではお祭りのような賑やかさ。
駆け寄っての挨拶や感謝を伝える人が続出で、プロを目指しているであろう子供から趣味の大人受講者まで、幅広い層に慕われる大人気な先生でした。
私の拙いにもほどがある駄目英語にも辛抱強く耳を傾けてくださり、レッスン2日前に足を運んだ広島県福山市のガラの『ジゼル』のこと、
佐久間さん渡邊さんに指導なさるお姿の映像に感激したこと、そして渡邊さんについて大切な教え子なんだと誇らしげに仰るご様子も拝見でき何重にも喜びが膨れました。

そんなわけで私なんぞ途中退室処分になる可能性もあるであろうと思い、伝えるなら事後報告が良かろうと
殆ど誰にも相談せずに行ってしまいましたが、受講して良かったと心底感じております。ミン先生ありがとうございました!


※投函数のほどは不明ですがアーキタンツ受付近くにアンケート投書箱があり、着替えたあとに次のクラスが始まっていて待機スペースにも余裕があったので
腰掛けて次クラスのウォーミングアップに伴奏されていた『もののけ姫』アシタカとサンの曲を聴きながら要望の反映を願いつつゆっくり綴って投函。
この曲、本来は映画の終盤における争いの経ての和解時に流れる曲のため物事の締め括りに聴けて、
ミン先生のクラスの感想や再び呼んで欲しいクラスを開講して欲しいかの講師名など綴りながら幸せに浸っておりました。




バスケットなさっている方々を横目に、諦めたらそこで試合終了と自身にも言い聞かせながら歩くのがすきなため行きは公園側を歩きたいのだが、暑さに負けてデッキ側を闊歩。



まだありました、看板!



音楽教室の看板らしい。



帰りは1人でもビール。



唐揚げもいただきます!

2024年9月10日火曜日

愛と執念の福山・堺バレエルートー堺編ー  野間バレエ団   Progressive Dance Part9  『みだれ髪』・・・晶子賛歌  『ボレロ・フェニーチェ』 『ロミオとジュリエット』よりバルコニー    8月16日(金)《大阪府堺市》





8月16日(金)、大阪府堺市にて野間バレエ団公演Progressive Dance Part9  『みだれ髪』・・・晶子賛歌  
『ボレロ・フェニーチェ』 『ロミオとジュリエット』よりバルコニーを観て参りました。
http://www.noma-ballet.com/schedule/schedule_240816_1.html


※1996年上演時のみだれ髪。山本さんがセクシーです。このときは裸体系衣装。
http://www.noma-ballet.com/gallery/cont_midaregami.html


野間バレエ団インスタグラム。今回のみだれ髪の写真も豊富です。



前記事の同日開催広島県福山市でのガラから続く、後編でございます。福山市のガラを前半のみ鑑賞して大阪へ移動。
結論から申しますと、関西山陽の交通機関が順調であった点に助けられて、また検索の○○路線よりもだいぶ速足で移動して乗り換え
無事に第2部『みだれ髪』には間に合いました!!!到着すると第1部終演後の休憩時間で
知った瞬間張り詰めていたものが解かれたのか全身から力が抜け落ち、客席への足取りがゆったりとなりました笑。
まず、おおよそのタイムテーブルや出演時間、プログラム順を問い合わせ時に丁寧にお答えくださった
福山SSBガラと野間バレエ団のご担当者様にも感謝申し上げます。ありがとうございました。


『みだれ髪』は野間バレエ団が拠点とする堺市が誇る偉大な文人与謝野晶子与謝野鉄幹を題材にした作品で、今回28年ぶりの再演。
10年前の野間バレエ団『ロミオとジュリエット』のときだったか、ソフィア堺での鑑賞前に与謝野晶子記念館にも足を運び
いつか観てみたいレパートリーとして再演を願っておりました。また2001年にダンスマガジンで特集された「関西バレエ事情」でも写真が大きく掲載され、
目を通したのは数年後の2005年頃でしたが日本に実在した文人をいかにしてモダンな風味も合わせた演出となったのか知りたい欲も募っていたものです。
山本さんのインタビューも掲載され、ちょうど新国立の登録から契約ソリストになられた頃でした。歴史の流れを感じます。


与謝野晶子:野間景
与謝野鉄幹:山本隆之
山川登美子:藤本瑞紀

晶子と鉄幹は野間景さんと山本隆之さん。野間景さんは前回28年前は登美子役で、晶子役は野間彩さんだったとのこと。
景さん山本さんともに驚異且つ円熟味ある美しさであると同時に、山本さんは複雑な感情が絡む多情で苦悩に打ちのめされながら色気を纏い中年へ達していくこの役を
20代前半で務めていらしたとはどういう青年だったのかと良い意味で不気味さすら募るほど。
そして私は、とても20代前半の若者が演じる踊るには土台からして到底困難そうな大人な役柄をもやってのける
成熟した感性、表現力を若い頃から持つ舞踊家に惹かれるらしい。
(ちょいと話はずれますがスルタンも22歳だったはず。東西のお2方の共通項だ)

話が福山に戻りかけたため堺に戻します。
舞台装置は至極シンプルで、後方にある大きな台を生かした場面転換も見どころ。
妻子ある鉄幹が晶子と危うい関係が発覚して誹謗中傷に悩まされる鉄幹の嘆きや、晶子の執筆完成の喜びも台の上でのダイナミックな佇まいで展開されました。
要所要所で簡素なレオタード姿な群舞も登場して2人を見守るようなときもあればガシッと追い詰める光景も描いて舞台進行を支え
加えて野間さんも山本さんも醸すオーラと時に重厚で時に繊細な心情の表れの何とも豊かなこと。
やがて結婚して12人の子供に囲まれての穏やかな日々や、鬱々と内向きになる鉄幹をパリに行かせようとの語りかけや
パリに着いてからの手を取り合い歩く様子は希望を見出すような姿に魅せられました。
最後は先に逝去した鉄幹を、『源氏物語』新訳を完成させた晶子が台の上で後ろを向き、飛び上がって幕。(記憶が正しければ)
淡くもダークな色彩を帯びた照明も効果的で、揺らぐ人間関係や感情の綾を包み込んで照らす摩訶不思議な魅力をもたらしていました。

私の感性の乏しさもあって非常に分かりやすい構成ではないながら、1場面1場面を再度じっくり味わいたい思いに駆られ、早くも再演が観たくなっております。
28年後と間を空け過ぎず、衣装は28年前は鉄幹も裸体系であったようですが時を経てお洋服付きに変化。3年後くらいにはまたの再演をお待ち申し上げます。


 『ボレロ・フェニーチェ』

ラヴェルの名曲で、振付は野間景さん。水速飛鳥さん(貞松・浜田バレエ団)が務めるフェニーチェ(不死鳥)を主軸に、
地、風、水、火をイメージした役柄がソロや群舞で表現され、記憶正しければ全員レオタードな衣装。
ほぼ全員女性の構成で、天を突き抜けていきそうな研ぎ澄まされたシャープな展開です。
ボレロと聞くと、音楽にも耳を傾けると、どうしたってベジャール版が目に浮かんでしまいがちですが
自然界の力が渦巻くカラフルなパワーが咲き誇り、その中で水速さんが(失礼ですが本名でしょうか。この作品踊るために名付けられたような素敵なお名前!)
身体のラインをきりっと描き出しては軽やかに飛翔したりと、目が離せず。こちらもまた観たい作品です。


『ロミオとジュリエット』バルコニーのパ・ド・ドゥ

トリは新国立の小野絢子さんと貞松・浜田の水城卓哉さん。2014年に全幕版で野間景さん佐々木大さん主演、ティボルトを山本さんで鑑賞した日が懐かしい。
スピーディーな移動が多彩に組まれていましたが、小野さんが羽根のようにふわりと可憐で、
水城さんの一直線且つ優しげなロミオとの吸い付くような新鮮なパートナーシップを構築。
お2人も眼力がキラリとしていて、見つめ合いながら互いの熱量がぐっと上昇していく化学反応がまた心を誘いました。

フィナーレは、恐らく第1部のクラシカルシンフォニーの曲であろうプロコフィエフの古典交響曲で全員登場。
『みだれ髪』に間に合い全て鑑賞できた歓喜と、鑑賞はできずでしたが第1部のクラシックな演目もあれば
緊迫する世界情勢と実生活の結び付きから生み出された新しい作品もあり、3作品ともどれも観てみたくなりました。
プロコフィエフ、プッチーニ、ショスタコーヴィチの選曲並びにも注目してしまいます。
それより何より、『みだれ髪』。遅れず到着できて全編鑑賞も叶って、フェニーチェ堺も初訪問。広島県福山市から大移動で来た歓喜が今も呼び起こされます。




堺到着!予定よりだいぶ早し。新大阪駅から地下鉄御堂筋線乗り換えは管理人、大得意分野ですので、○○路線よりかなり早くに移動ができ
南海なんば駅がなかなかの大きな駅であったものの小走りで移動すると予定より3本ほど早い電車に乗車。
まさかの急行橋本行き。え!?多摩センターや南大沢行くんちゃうかと不安になったもののそれは東京の京王線の橋本行きです笑。
なんばから出るのは和歌山県の橋本行でございます。
福山駅を出発した頃から、福山ガラを断念された東京の友人達と最初のうちはガラについて話題にしておりましたが少し時間が経過すると
野間バレエの話題に切り替え、また考えてみれば米沢さんと小野さんを1日の中で2箇所しかも西日本の異なる県府での鑑賞に私も驚いていると 「それよりも◯◯さんの中のツートップを観るのだから!!」と更に励まされ、そうや、二大貴公子!!
新幹線運休により本来ならば観るはずであった公演の鑑賞叶わず、しかしスリル満点な手段でノコノコ出向いている私に対し当たり散らすなんて一切なく
それどころか道中の心配よりも、きっと両方鑑賞できると励ましが絶えず。暴風雨の東京から声援を送ってくれていた友人達に感謝するばかりです。



フェニーチェ堺、初訪問。ライトアップも内装もとても美しい立派な劇場でした。
次はもっとゆっくりと、内部の構造も観察したい。



『みだれ髪』のあとビュッフェにて。冷えたビールありますと大宣伝。いただいてしまいました。
本当にキンキンに冷えていて、山本さんの鉄幹を鑑賞後に飲めて、ああ極楽。

会場ではお馴染みな顔見知りの方やお世話になっている方が驚愕の表情で迎えてくださり
交通の混乱もあったので今回来場できないと思われていたもよう。しかし、第2部の『みだれ髪』から来たのは福山市でのガラと掛け持ちであったからと知るやいなや
「はい????」と天を仰いでのご反応。しかもガラは前半のみ鑑賞でみだれ髪のためにすぐ移動した経緯を申し上げると、声にならぬ驚きを見せていらっしゃいました笑。
まず新幹線止まっているはずなのに広島にはどうやって行った?前半だけ観たって、お目当ての人はちゃんと観られたのか云々
驚きは一段と強まっていらしたようです。そりゃそうだ笑。
トラベルミステリー気分で、愛と執念で参りました!!
ちなみに前記事の福山ガラと当記事の野間バレエの題名、愛と執念の福山・堺バレエルートは
フェニーチェでのこの幕間に思い付き、寛大な心で聞いてくださいました。ありがとうございました!西村京太郎さんは偉大です。



野間バレエも無事終演。梅田に向かい、安堵の乾杯。一番搾りの名称を読みつつ
私の中の1番なお2人を同日開催公演にて堺市と福山市で鑑賞。こりゃあ奇跡だ。いや、可能であると天からの贈り物!?
当初は福山から堺東への移動がスリルな旅情サスペンス、トラベルミステリー犯人気分になりそうなんぞ冗談混じりで口にしていたのが
5月の東京都港区の田町駅近くで開催された池上直子さん振付の学園物コンテンポラリーEdenの公開リハーサル帰りの山手線内。
いやあ、まさか実現するとは笑。さあ、これからバスで名古屋経由で帰京だ。



たこやきトリプルビル!



夜行バスで名古屋駅到着。ジブリパーク、また行きたい!!次こそもののけ姫エリアに行く。昨年行ったときはもののけ姫エリア開園翌日で、早々に売り切れであった。



早朝の空が吸い込まれそうな深い青で綺麗。



改札。ひかりの自由席で帰京。意外とすいていました。



海老フライ!鹿次郎も記念撮影。昨年の新国立劇場バレエ団ドン・キホーテ名古屋公演滞在中の3日間で海老フライ8本食べた私でございます。
なぜかここ数年で揚げ物好きになり、大好物。ドンキ名古屋公演、鑑賞も観光も飲食も何もかも楽しい滞在でした。



広島県への里帰りも、初の大阪滞在も興奮の連続であった鹿次郎。そして十津川警部も仰天な、
天候不順や交通混乱すり抜けての乗り物駆使しては少しずつ早倒ししてインターネットの路線検索通りにいかぬ大移動を
どなたか2時間サスペンス(あっ、あまり重くない程度に)にしてください汗。そして十津川警部、亀井刑事の横には素敵な刑事さんを登場させてください笑。
(理想としては目元がきりっとしていて真面目一徹そうで、スラリとしていてですね。あれ!?福山ガラ第1部の中世ドイツ物の出演者なんてぴったりでは!?) それはそうと、しかしこれだけ時間を要しても2時間に纏められてしまうのか。



富士山眺めながら、やがて東京の田町駅を通過し、翌日行こうかと決意しつつ帰京。さらば大阪、また今週末!!!


2024年9月5日木曜日

愛と執念の福山・堺バレエルートー福山編ー  SSBガラ  第1部  8月16日(金)《広島県福山市》









8月16日(金)、広島県福山市にてSSBガラを観て参りました。高校の修学旅行や、2017年に愛媛県西条市での板東ゆう子ジュニアバレエ鑑賞翌日に
しまなみ海道を自転車と船で渡ってからの帰り道に福山駅で乗り換えたことはありますが人生初、広島県でのバレエ鑑賞です。
今年は1月の山口県に続いて人生初観劇県が増え、喜ばしい限りでございます。







交通手段関連の詳細は本編のあとに述べますが、この日8月16日(金)は東海道新幹線の東京名古屋間が悪天候のため終日運休。
発表がなされたのは8月14日(水)夕方で、予約やルート変更作戦時間も確保できたため事前告知はとても助かりました。
ちょうど発表を知ったのが前記事、亀有でのNEIGEさん発表会幕間で、最終部におけるシンデレラ王子の渡邊さんの舞台姿をうっとり拝見しながら
新幹線運休であっても何としてでも交通駆使して福山へ行き佐久間さんとのジゼルパ・ド・ドゥ観ると
西村京太郎トラベルミステリー犯人並みに執念が燃えた私でございます。
ただ東京から向かう予定でいらした何名もの方が鑑賞を断念され、(友人2人も安心と安全第一を最優先され断念。
私が申しても説得力皆無ですが笑、安心や安全、落ち着いた交通移動を希望するお気持ち大事です!)
鑑賞が叶わなかった方々の願いも背負ってしっかり観ようと決意。しかしこの度これまた人生初、関東以外の地域での掛け持ち鑑賞を計画しており
福山のガラは前半のみの鑑賞で、その後は大阪府堺市へ移動いたしました。後半について知りたい方は恐れ入ります、ご覧になった方の感想をお探しくださいませ。

まずオープニングは『パキータ』ポロネーズ、マズルカにのせて出演者達が登場され、
曲調は勇壮華麗ですがどの出演者もそれぞれの演目に即した振付で、この時点で作品の世界観を明示。早速スター達の実力が一挙に目に飛び込んできました。
例えば世界バレエフェスティバルやアステラスに比較すれば出演者は少数ながらまさに精鋭達が揃い、1組が放つオーラの恐ろしく輝きの強いこと!
オープニングでもたまげてしまうほどに壮観でしたから、本編への期待が加速したのは言うまでもありません。
後半に『眠れる森の美女』グラン・パ・ド・ドゥをご披露のため残念ながら鑑賞できずであった谷桃子バレエ団の大塚アリスさん今井智也さん組がとりわけ衝撃で
(記憶が正しければリフトあり)リフトされたときの大塚さんが差し出すアームスと脚のラインの大らかでエレガントな美しさや全身から宝石が付いた花が咲くような煌めき、
大塚さんを高く柔らかに持ち上げつつ、サポート時のたいそう幸せそうなお姿の今井さんに驚嘆。
オープニングですぐさま全幕の中の幸福の絶頂を表現してしまうお2人に圧倒され
眠りも観たいがその頃はもう既に移動中。そんな引っ張り合いな思考が瞬時に脳内を駆け巡りました。

さて、トップバッターは東京バレエ団の秋山瑛さんと、長らく東京バレエ団で活躍され退団後は
ゲストとして先月末のダイヤモンドセレブレーションにも出演された秋元康臣さんによる『ドン・キホーテ』。
このお2人のドンキがトリではありません、トップバッターなのです。どれだけ精鋭スター揃いなのでしょうか福山市にてと申したい叫びたい構成でございます。
観客の皆様ようこそ!と言わんばかりの晴れ晴れとしたお2人のご登場で、小柄であっても場の支配力、空間の使い方が大きい秋山さんと
ノーブルな魅力はありつつも勢いある強さも示す秋元さんの掛け合いでただでさえ暑い快晴の福山市の天候を更に燦然とさせそうなパワーがもたらされました。
ヴァリエーションがお2人とも益々パワー炸裂で、秋山さんの音楽とお話しするような繊細なステップに癒され
秋元さんのここぞというときのぐいっと見せるポーズの鮮やかさ、ジャンプのキレや素早さもお見事。
コーダがまたまた揃って波に乗っていらして、秋山さんは方角転換フェッテをいとも易々とご披露、秋元さんも負けじと高速大回転。しかも共に粗や雑味がない。
再三申し上げますが、トリではありません。トップバッターがこのドンキでございました。

次は打って変わって、恐らくは大勢の方が気にかけていらしたプログラムでしょう。
新国立劇場バレエ団の米沢唯さん、速水渉悟さんの『ガチョーク讃歌』よりある詩人の死。
東京からお越しになれなかった方々からも、よく観てきて欲しいと託された演目の1本です。
とにかく米沢さんが、踊る喜び一杯にピュアで楽しそうに踊る姿にまず安堵。もしかしたら久々に舞台に立つことに対して心配、緊張もあったかもしれない米沢さんを
速水さんがにこやかな笑みを交わしながら支えられ、2人で流れるようにしっとり爽やかな風を吹かせてくださいました。
私はこのパ・ド・ドゥは人生初関東以外の本腰入れての遠征であった2007年の大阪のKバレエスタジオ公演にて
初めてガチョーク讃歌の全編を鑑賞したため(ある詩人の死をそのとき踊られたのが石川真理子さんと山本隆之さん)
思い入れのある作品でもあるため見方が厳しくなってしまうのですが、腕を重ねたり顔に手をかざしたりする仕草も含め
お互いにすべてを愛おしむように踊られ、清流のシャワーを浴びた思いでおります。米沢さんの編み込みヘアやリボンの髪飾りも可愛らしい。
『アラジン』東京公演の1回と札幌公演の両方において米沢さんの途中降板に居合わせ、『人魚姫』と『眠れる森の美女』主演も降板が発表されていたため
どんなお姿で登場されるか私も少々心配でしたが、リラックスして純粋に楽しんで踊っていらっしゃる印象を受け、ほっといたしました。

続いて五島茉佑子さん振付「and」。五島さん含む8人の女性構成で、黒や白を基調としたスタイリッシュな作風で
光を追い求めるように交差したりアンサンブルでパワフルに見せたりと変化に富んだフォーメーション。
じっと見つめるうちに、あっという間に終わってしまった感すらありました。

さて瞬く間に第1部も最後。最大の目当てである、バーミンガムロイヤルバレエでプリンシパルとして長年活躍され今回のガラの座長佐久間奈緒さんと
新国立劇場バレエ団プリンシパルの渡邊峻郁さんによる『ジゼル』よりパ・ド・ドゥ。
背景が森の木々に変わり、下手側奥に重なって立つお2人が目に入った瞬間からすっと幻想的な世界へといざなわれました。
私がガラでも発表会でも抜粋上演でパ・ド・ドゥを観るときに特に重要視しているのが全幕を観ている気持ちにさせてくれるかである点ですが、まさにそう。
佐久間さんはまだかすかに体温残るジゼルで、アルブレヒトを守ろうと、不在であってもミルタの試練に立ち向かう覚悟が滲み
対する渡邊さんはジゼルに向けた立ち姿だけでも悲しみに暮れながら後悔を訴えるアルブレヒトで、胸の痛みが伝わるお姿。
ですからお2人が許しを乞う祈りのポーズでの交差を経て触れ合うと、柔らかさと緊迫感の双方が身体を走るような化学反応が発生。
佐久間さんが発する、ただ儚いだけでない独特の凄みを渡邊さんが全身でしっかりと受け止めていらしたからこそ、香り立っていたのでしょう。
またジゼルのラインが美しいだけでなく、指先脚先が音楽と共に空間の隅々まで伸びる究極なポーズを描出させる
渡邊さんアルブレヒトによる匠の技な横スライドリフトの重力の無さにも感嘆。顕微鏡の気持ちで笑、どれだけ凝らして観ても隙がなく目を疑いました。
単にドラマティックに再会を喜び悲しむのではなく、曲調の変化や間の部分も合わせての音楽の捉え方も美しく、
踊りの余韻までもが音楽と共鳴し合っている、情感豊かで品格あるジゼルとアルブレヒトでした。
常にぶつ切りにならず、なだらかな円形を描きつつもその中で葛藤や喜び、苦しみや後悔といった様々な感情が静かに膨れ上がっていた印象です。
佐久間さんの繊細で精緻なテクニックにも見惚れ、跳んでも降りても無重力な精霊そのもの。
思えば私が初めて佐久間さんを観たのが18年前のスターダンサーズバレエ団ジゼルでしたから(アルブレヒトはロバート・テューズリーさん)
18年のときを経て、近年にライト版白鳥の湖でコーチングにいらした佐久間さんと、指導を受けた渡邊さんによる、例えパドドゥのみでも同演目での共演、不思議な喜びが走りました。
渡邊さんアルブレヒトのヴァリエーションにおける悲しみを背負ってのジャンプや着地はぴたりの盤石ぶりに、観客からもはっと唸るお声も上がり
苦しそうに倒れ込んでも美しや。やがてジゼルにそっと手を持ち上げられ、殊更愛と許しを訴えては、優しさ伝う包容で応えようとするジゼルの健気な振る舞いのやりとりに
すっかり心を持っていかれ、上手側にミルタがいる気がしてならず全幕で観た気分になってしまったが実際には観ておらず、実現を夢見る私でございました。
ああ、執念で観に来て良かった!!!

そんなわけで、私のSSBガラ鑑賞は第1部で終了。広島県所縁のある方が総勢出演ではないため客席の反応はいかにと気にかかっていたものの
これだけのハイレベルなパフォーマンスで、幕開けの秋山さん秋元さんドンキが目覚まし時計の如き冴え渡る踊りだったこともあり
また次々と世界観がガラリと変わってはユニークなコンテンポラリーや至高のパ・ド・ドゥで進行し
拍手も熱く、福山市に来てくださったダンサーの方々へのありったけの思いが込められていると窺えました。ロビーの宮殿のような階段、内装にも注目。
人生初広島県での鑑賞、交通手段諸々忘れられない体験となりました。
第2部が気になる方は、ご覧になった方をお探しいただくか、感想投稿や記事等をどうかお探しくださいませ。



※さて、東海道新幹線東京名古屋間運休の発表があったのが14日夕方。16日朝の新幹線を予約しておりましたので
NEIGEさんの発表会後にそのままみどりの窓口へ行き、並んでいる間に前日入りするなら手頃なホテルがあるか調べたものの大阪や札幌といった大都市圏ではないため
直前の段階で予算におさまり、駅からも好アクセスな宿泊先はなさそうでございました。そこで夜行バス。広島方面は完売な様子で(隅々まで調べてはいないためあったかもしれずですが)
即時決済でなくて良いと安心して、ひとまず大阪行のバスを予約。運休は東京名古屋間ですから、
まだ走るか可能性は未知数ながら関西山陽方面は晴れ予報が出ており、ひとまず大阪まで出られれば何とかなるんじゃないか能天気アバウト精神で予約。
仮に新大阪から広島方面新幹線が運休になったとしても、朝10時頃までに大阪を発車すれば普通電車なら5時間あれば福山に着くのだからそうしてでも観ると決めた頃
そして順番が回って来て、窓口で前日15日(木)の新幹線の空席確認をお願いしたところ夕方早めの時間帯のみ空きありとのことでしたので考えること約5秒、
払い戻し決定!(余りに早く用が済んだせいか後ろのお客様がびっくりなさっていた)

さあ翌日15日。果たしてバスは出るのか否か。バスは東京駅発がお盆にしてはまずまずの価格で残っており、
東京駅へ向かう前に新宿に立ち寄ってちょうどバスタ新宿を通りかかったところ、
関西方面のバスがほぼ全て順調に出発している旨が把握できまずここで安堵。
ところがどっこい、管理人。往路の件で手一杯だったせいか帰りの予約をすっかり忘れ笑
16日夜の大阪発のバスがどこを見ても完売。そりゃそうだ、お盆です笑。
1泊して新幹線、では予算を超えてしまうため、そこで閃き大阪から名古屋への夜行バスはまだ余裕がありましたので予約。
そして17日ならば新幹線もきっと動いているであろうと見越しもしまだ運休なら名古屋駅朝出発バスか、鈍行か。
17日夕方の都内の用事に間に合えばもう何でもいいや精神で行って参りました。この能天気アバウト精神がなんだかんだ良い方角へ向かったように思います。
安全や落ち着きのある旅を優先なさる真っ当な方々から、私と旅すると心臓が10個あっても足らなそうとよく言われる所以です笑。(遠方への往復は毎度大概1人です)



まずは、大阪行きバス無事運行!!そして地下鉄御堂筋線で新大阪駅着。電光掲示板、名古屋東京方面は名古屋止まりのみ。
博多方面は順調に動いていそう、一安心。大阪駅周辺は大快晴でした。違う国にきた気分。



8時ちょうどの~さくら545で~、福山に向かいます。東海道新幹線以外はお盆期間でも自由席車両はあり、すんなり座れて混雑もせず。券売機も空いていました。
我が家に12年前にやってきた厳島神社のある宮島の鹿さんこと鹿次郎が里帰りも兼ねて、
また今回福山を断念された友人達の身代わりに(勝手に鹿にしてすみません。あっ、でも次は神話上では鹿に変えられるアクティオン鑑賞ですから笑)同行してもらいます。
チラシばっかり眺めていないで早くコーヒー飲もうよと言いたげです。ふかふかのパペットでございます。



福山駅到着!朝一の東京駅発の新幹線で来るより早い時間に到着です。窓から眺める福山城。
修学旅行での乗り換え時にここで撮影したため、ブログには載せませんが当時の写真掲げたり、同じように撮ってもらい再現もいたしました。
ご通行中の方、ありがとうございました。高校2年の冬と○○年後の現在、体型が全然違う管理人。



9時半頃には改札通りました。ようこそ福山市へ!



予想よりも大きなターミナル駅。ロータリーも広い!そしてバラの街に相応しく、ロータリーにもバラ園があるのです。
そういえばバラの街といえば、トゥールーズの紹介文と似ています。
加えてプログラムに載っていた舞台写真、渡邊さんはトゥールーズ時代のベジャール版火の鳥でございました。
新国の写真ではないが、私が虜になったきっかけの作品ですのでこれはこれで嬉しいのです。
さあ、午前中の目的地へ向かうバス停を探します。



福山駅から30分、着きました。鞆の浦!宮崎駿さんのアニメ『崖の上のポニョ』の舞台とされ、ゆったり時間流れ、人の声より鳥や風の音の方がよく聞こえる港町です。



鞆の浦に来て、宮島ではなくても海を背景に喜ぶ12年ぶりの広島県里帰りを果たした鹿次郎。



路地裏



昔の情緒残る商店が並び、こちらはちりめん屋さん。ポニョのぬいぐるみもさりげなく置かれていました。



御宿いろは。宮崎駿さんがリノベーション監修しています。



お昼は鯛飯御膳。むっちり美味しい鯛を、数種類の食べ方でいただきました。BGMはオールジブリ!!



和洋折衷で、ステンドグラスも美しい内装。



少し登ったところのカフェで、漁港眺めながらテラスにて巨大なアイスコーヒー。
ふと考える、東京の暴風雨はどうなっているだろうか。職場の人たちも皆出勤できているのか、
危なっかしい手段で私は快晴の地域に来たが、鑑賞断念された方々のことも心配に。
お土産屋さんにて放送されていた番組でも関東の天候の話題で持ちきりで
福山駅行のバスを待つ間、地元や大阪の方と話していても、東京から来た旨を伝えると随分心配してくださいました。



福山駅から会場のリーデンローズへは、循環バスまわローズが走っています。但し、その名の通りかなり回り道です。お急ぎの方はタクシーがおすすめ。



リーデンローズ到着。蓮華な照明が華やか!!



宮殿か!?この場でシンデレラ舞踏会シーン、できそうです。



ビュッフェもあり、とてもアットホームな雰囲気でスタッフの方々も気さくで楽しい人達でした。地域のパン屋さんのパンも販売。美味しそうに並んでいました。
最大の目当てはジゼルですからワインで乾杯。蓋つきカップでした。



リーデンローズに来る前に予約したタクシーを待つ。レンタルサイクル利用を検討しておりましたが全て出払い中であったため、タクシーに。
このとき第1部終了後。建物見上げながら、第2部も成功しますようにと願う。建物も大きく立派で、バスの中から眺めていても目立つ建造物。
テレビドラマに出てきそうな私立の学園っぽい外装にも見えるかも。
そして無事アルブレヒト鑑賞できて良かったと再度喜びが込み上げました。



タクシーの運転手さんもとても親切で、車内でこのあと大阪へ行くことや東京から来たこと、四国の水不足問題などあれこれ話しているうちに福山駅到着。
業者名はグリーンタクシーでした。ナンバープレートが広島カープ模様だったのが地域性強調があって素敵。
そして無事、17:16発の新大阪行新幹線に乗車。ひとまず友人達にジゼルやガチョーク報告。
当初は福山から大阪のみであったはずの西村京太郎トラベルミステリー犯人な乗り物駆使しての大移動が
東京から福山方面への道中からしてヒヤリ旅となってしまった。
さらば広島また会う日まで!!それはそうとさあ大阪へ!!間に合うか堺市の野間バレエ団公演『みだれ髪』!?
堺編へ続く。