2022年9月14日水曜日

良きご縁な地域と演目で今夏の鑑賞東日本編終了   エンドウ・バレエ発表会  8月27日(土)《東京都立川市》




8月27日(土)、立川市のたましんRISURUホールにてエンドウ・バレエ発表会を観て参りました。
主宰は遠藤康行さん、須永リエさん。お二方ともスターダンサーズ・バレエ団で活躍され、
遠藤さんは新国立劇場バレエ団が関わるコンテンポラリーの公演や横浜バレエフェスティバルの監修でもお馴染みでございます。初めて鑑賞するスタジオです。

http://www.endoballet.com/






遠藤さんが指導振付に携わっているためコンテンポラリー作品も複数あり。既に多くの振付家が使用しているであろうシャコンヌでの
生徒の皆さんの伸びやかな身体の使い方や瑞々しい感性の広がりにすっと寄せられたり、
まだ成長期にある身体を考慮されてか極端に酷使するような振付は抑えていた点も好感を持ちました。
何度か遠藤さんの振付は鑑賞したことがあり、作品によっては大変独創性に富んでいたためか決して好みではない箇所もちらほらあったものですが
このシャコンヌは難しい思考力を問われず(元来の私の鑑賞眼欠乏が原因ですが)、集中して終始鑑賞です。
小さな生徒さん達はフェアリードールやディズニー音楽で皆楽しそうに踊っていて、特に暑い時期はアンダー・ザ・シーも大歓迎。
どの作品もキャラクターに無理やり似せるのではなく
作品や音楽から想起させるお洒落なバレエらしい衣装で、キラッと可愛らしい光景で満たされました。
(容姿も実力も下層階級にあった私は通っていた教室のネタ班に属し、大概は被り物系や変わった役や衣装の担当でしたから、着用経験のない系統の衣装ばかり笑)
上級生の方々のナポリの息の合い方、綺麗な立ち姿にも見入り、色違いのパステルカラーの衣装が全員お似合い。
身体をくいっと捻ってのポーズや細かいステップでの脚先も疎かにせず、意識の行き届きが窺えました。

バレエ・コンサートの最後は『白鳥の湖』よりパ・ド・トロワでここでご登場今回唯一のゲスト新国立劇場の渡邊峻郁さん。
この後の『白鳥の湖』3幕に恐らくは王子役で出演されるであろうと予想はしておりましたが他の演目への出演有無は分からず
プログラムを開く瞬間まで立川記念ならぬ(競輪ではない笑)予想大会をしておりました。
渡邊さんの白鳥トロワはプリンシパルに昇格された現在拝見できる機会は滅多になく、最後に目にできたのは昨年春の新国立山形公演。
(それ以前にはファースト・ソリスト時代の2018年白鳥の湖本拠地公演にて王子と兼任)
しっかりと目に刻もうと臨んだわけですが、蓋を開けたらそれはそれは清く麗しいトロワがお目見えし3人揃って清涼感が漂うこと!
女性は澄んだ水色に白いレース模様も気品あるデザインで男性は白と銀で、発表会の定番な演目ながら
女性お2人は上級者で優雅さと安定感も十分、踊り方もいたく丁寧でこれみよがしなテクニック誇示も一切なし。
渡邊さんのちょっとしたタイミングもさらりと清流のように見せるサポートや、何度も観ている特別個性が強いわけでもないオーソドックスなクラシックの振付であっても
こうにも華やぐ加えてトメハネハライがきちんとなされる折り目正しさにも目を奪われて止まず。
隣国の王子が近場の王女2人を連れて遊びに訪れ、暫し雅な宴の真っ盛り感すら思わす誠に美しいトロワでございました。
瞬時に無背景の舞台がお城の噴水付き庭園へと眺めが変わったのは明らかです。

先述の通り、端正で一部コーダを除けば派手な大技がこれと言ってない白鳥トロワ。
しかし繰り返しにはなりますが、私が人生初のバレエ鑑賞ABT『白鳥の湖』にて最たる印象がトロワであったと同行者に語るほど
何故だかインパクト大であった縁ある場面で、カーテンコールに登場した当時の芸術監督バリシニコフについても触れず
トロワが相当気に入っていたらしい。きっと音楽や、衣装がピンクと緑で春らしく醸す優美な雰囲気にも惹かれたのでしょう。
このとき以来印象に残るトロワにはなかなかお目にかかれず、ようやく現れたのが2018年の新国立公演の白鳥における渡邊さんトロワでした。
そして衣装も場所も変わり、今回立川にていたく涼やかで品位あるお三方に巡り会えた幸運を今も思い出しては背筋がすっと伸びる思いでおります。

最後は『白鳥の湖』3幕。オディールの遠藤ゆまさんはスターダンサーズのジュニアカンパニー所属とのことで、
コンテンポラリーでもしなやかな強さが光る踊りに見入っておりましたが、オディール役においても有無を言わせぬ迫力や堂々たるポーズの数々がたいそう魅力的。
ロットバルトとの登場時少しハプニングに見舞われ大変そうなご様子であった気もいたしましたが
渡邊さんジークフリート王子を緩急つけて翻弄するダイナミックな姫でございました。
渡邊さん仰々しい音楽に相応しい気高いお姿と心ここにあらずな内面の双方が香ってくるご登場から磁力の如く引き寄せられ
宴の最中も上の空な腰掛け姿ですら王家の絵に描かれてもおかしくない美の集い状態。
技術も冴え渡り、空間を大きく捉えた踊りで場の格に厚みを持たせ、片脚着地の柔らかさにも大注目。
そうかと思えば泣き喚くように王妃に縋る姿も憎めず笑、前半のエレガントな歩行姿からは想像つかぬ懸命な走りっぷりに
宮廷の方々も愕然とするしかなかったであろう、王子の運命はいかに、と続きが観たくなるほどこれまた全幕を観ている気分にさせてくださいました。

小さな子供達からジュニアの古典、コンテンポラリーまで、スタジオの強みも取り入れたバランスの良い構成で終始楽しく鑑賞いたしました。

RISURUホールは2017年6月のNBAバレエ団スタジオカンパニー公演『白鳥の湖』以来の訪問で、
当時も最大の目的は3幕でオディールを踊られたまだカンパニー生であった岩田さんであり、その後着々と昇格し現在はソリストとして活躍中。
立川といえば子供の頃に学校行事で訪れた昭和記念公園が(マラソン大会。校庭を走り回るよりも遥かに楽しく公園そのものも好きになったのだが
それから数十年後の2022年8月末の同地域に現れた王子のように愛しの相手を追い求めるような懸命な走りではなかった点は反省)
真っ先に浮かんでいたものの、近年では白鳥3幕。私にとっては良きご縁な地域と演目でございます。





帰りはお世話になっているお2人立川駅ビル内のお店へ。お2人はエンドウバレエさんの舞台をもって今夏の鑑賞おさめ、私は東日本編は終了。
まずは乾杯、ああビールが美味しい。
7月末まで遡ると、お猿さんからアリ、正統派の王子貴公子、道化師、和物コンテンポラリー、お花なネオクラシック等実に広範囲で
昨年の騎士から妖精王子、中世パリの哀愁青年や青色ボンバーヘアアキラまでの
よりどりみどりなラインアップにも増して、今夏も多種多様なキャラクター図鑑が出来上がりそうです。



中央線のトラブルやらその影響でタクシー乗り場大行列でバス利用を試みるもバス停の位置が分からず交番で聞くなど(バス停、死角にありました)
諸々ございましたが無事終了し、皆ほっと一息です。ハンバーグの肉汁も胃に沁みます。
この後はお2人は帰宅、対する私はこのまま西日本へ移動。いよいよ2022年夏のゴールに向けて、立川の余韻に浸ったまま600km弱の旅へ出発。
勿論、オデットへの誓いを破ってしまったジークフリート王子のように走って追いかけるのではなく、バス移動でございます。


2022年9月11日日曜日

吃驚仰天の一族共演  Ballet Studio Planè  バレエスタジオプラネ第36回発表会『ジゼル』『コッペリア』他   8月21日(日)《福島県白河市》




8月21日(日)、福島県白河市にてBallet Studio Planè  バレエスタジオプラネ第36回発表会を観て参りました。昨年に続く鑑賞で今年は8月開催です。
新国立劇場の渡邊峻郁さん、拓朗さん兄弟のご出身スタジオで凱旋舞台となるお2人と中島瑞生さんがゲスト出演されました。
森に差し込む光のグラデーションや憂愁を含む瞳、儚さが誘う綺麗なポスターやチラシ、プログラムデザインが目を惹き、友人との間でも話題になっておりましたが
スタッフ欄を確認したところMYクラスの生徒さんが手掛けられたようです。バレエもできて絵もお上手、憧れます。
http://cominess.jp/event/26221

『シルヴィア』第2幕?の序曲(ラッパのマークの正露丸の宣伝曲に似ていると私は思うのだが)にのせての名前を呼ばれるオープニングの後に第1部は『コッペリア』より。
1幕の冒頭と3幕を組み合わせた構成で、村人衣装姿がいたく可愛らしい子供の生徒さん達が
賑やかに楽しく幕開けを飾ったあとに時のワルツや仕事、戦い、平和と続きました。
3幕だけでも祝福感は十分にありますが『コッペリア』といえば1幕前半のワクワク感を誘う民族舞踊の胸躍る曲も聴きたくなるため
そこへ見せ場多しな3幕も合わさり、程よい長さ且つめでたさも強まって良きメリハリ度でした。
(バレエ・コンサートと幕物両方の上演時は構成と時間配分のバランス、大事です)
フランツは渡邊(拓)さんで、ドンと構えた堂々たる勇姿が眩しく何があっても動じないであろう安心感と優しい笑みでスワニルダを迎え、
地元で出身教室の舞台である点を差し引いても頼もしさが倍増し。サポートもソロも危うい箇所や隙も見当たらず、
清楚な雰囲気を持つスワニルダ役の生徒さんも伸び伸び幸せそうに踊る様子でいたくエレガントなお2人でした。
因みにスワニルダの生徒さんは第2部では全く色の違うエスメラルダを披露し、
颯爽とした踊りで勝ち気そうな表情から色っぽさも出していて別人に思えたほど。印象に刻まれております。
そういえば、『コッペリア』の舞台背景が影絵のような美術で家々が並ぶ風景がシックに描かれた(映し出されていた?)珍しい作りで思わず観察いたしました。

第2部はバレエ・コンサート。まず『眠れる森の美女』グラン・パ・ド・ドゥで渡邊(峻)さんご登場で
気品の結晶の如く王子然とした歩き方や所作にも恍惚と魅了されるばかりでした。
昨年上演された眠り3幕のときとは異なる、白と金の重厚なデザインの衣装もしっくり。ソロでは優雅さのみならず勇壮ぶりも光り、
単調で短い音楽を(作曲者のチャイコフスキーには申し訳ない表現だが汗)余裕たっぷり、一層生き生きと芽生えさせていた印象です。
賛助出演の方によるオーロラ姫がそれはそれは喜びと幸福をこれ以上にないほどに前面に出されていて爽快な気持ちとなりました。

中島瑞生さんは『パリの炎』と黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥでご活躍。前者では冷や汗な着地が複数見られましたが
後者ではふとした瞬間に見せる腕の掲げ方や、もしやオデットでは無いのではなかろうかと疑念を募らす表現にはっとさせられ
経験を積んでいけば更に様々な魅力が開花しそうな予感がいたします。既に『不思議の国のアリス』の大役への代役抜擢に応えた白ウサギも記憶に新しいところです。
発表会の大定番『海と真珠』には渡邊(拓)さんが再びご登場。威厳と風格ある深海の王と初々しい真珠さんなトリオで海底遊泳を楽しませてくださいました。

第3部は『ジゼル』第2幕で、ヒラリオン不在である点以外はほぼそのまま上演。昨年『パキータ』にて主役を務めた生徒さんが
純情さが香り、ふわりと軽やかに宙を舞うジゼルを踊られ、ウィリーになっても一途さを失わず
アルブレヒトに心を寄せる姿がとてもいじらしく胸が締め付けられました。
アルブレヒトは渡邊(峻)さんでマント歩きや百合持ち、立ち姿も絵になる貴公子で取り返しのつかぬことを引き起こしてしまった後悔に病む様子が胸を突き続けました。
(この場面が絵になっていなかった時点で私の心は閉店ガラガラです笑。毎度目を光らせて観ております)
朝焼けに照らされ、命が助かるもジゼルとの時間を何度も反芻するように歩む姿も深く刻まれており
倒れ込んだときの表情もそれはそれは美しうございました。前方席で拝見し、眼福。
パ・ド・ドゥがまたすっと吸い寄せられるお2人で、精霊になっても初心な少女らしさが残るジゼルをアルブレヒトがそっと包み込んでいる造形と見て取れ、
悲しみの淵にいる状況であっても沸々と甘酸っぱい鼓動が自然と体内から発してくる感覚をもたらすパ・ド・ドゥでした。

最たる驚きは、主宰の鈴木寿雄先生のプログラム挨拶文によればミルタは渡邊ご兄弟のお姉様だそうで、
女王然たる美と貫禄、ウィリー達を従える支配ぶりにも平伏しました。ご兄弟どちらにも似ていらっしゃる、たいそう美人なお姉様です。
アルブレヒトと対峙しての命令や救いの拒絶も格高さを持ちつつああ怖し。
死に際まで追い詰められ踊らされながら全身から許しを求める震えが伝うアルブレヒトとの共演で、劇的な展開に押し上げていた印象です。
ご自身が先に習っていたことがきっかけでバレエを始め、遂には新国立劇場のプリンシパルにまで登り詰めた実の弟との共演のお気持ちはどんなものであったか
気になるところですが、思いがけず姉弟共演を目にでき吃驚仰天でございました。
ウィリー達のコール・ドも纏まりがあり、版によって醸す雰囲気も様々ですが静かに悲しみを語るウィリー達で
恐怖感を押し出し過ぎず、しかし呼吸を合わせてそっと淵に追いやろうとしたり一斉に拒んだりする仕草からじわりじわりと不気味さを放ち空気を覆っているように感じさせました。
『ジゼル』これといって役も多くはなく華やかな見せ場も少ない悲劇であるため発表会ではなかなか上演機会が無い、難しい作品であると捉えておりますが
開演し森が現れ、徐々にひんやりとした冷たさが肌を摩っていく状態に持っていかれたのも、
アルブレヒトが一層哀れに思えたり苦しみが同情を誘うのも、ウィリー達の集団結束力があってこそです。

カーテンコールには鈴木寿雄先生、麻矢先生も登場され、この状況下に無事開催でき胸を撫で下ろしたご様子が窺えました。
昨年の発表会終演後、すぐさま生徒さん達から次の発表会の日程や演目について質問攻めにあったと挨拶文で寿雄先生が振り返っていらっしゃり、
舞台が好きで仕方ない生徒さん達の願いが今年も叶って良かったと終演を見届けた観客の私まで安堵に浸ってしまいました。
それからプラネさんの大きな魅力の1つなのでしょう。プログラムの出演者欄に書かれた一言文を読んでいると、久々の復帰と記す大人の生徒さん達が何名かいらっしゃり
ふと再開したいと思い立ったとき、ブランクの期間問わず寛大に受け入れてくれるスタジオなのでしょう。目を通していて気持ちが和みました。

それにしてもカーテンコールにて渡邊(峻)さん、渡邊(拓)さん、中島さんが並び、華やいでいたのは間違いありませんが
2016年の渡邊(峻)さんの入団紹介におけるラーメン屋さんでの横並び写真を除けば、初台でもこのトリオとして収まった図は未だ目に触れていない気がいたします。
幻と化してしまった、渡邊(峻)さん振付で渡邊(拓)さん中島さんが披露する予定であった作品の上演まで、到来はしないままかもしれません。実現を願っております。



※以下、写真多数ございます。未だ8月の話なんぞ読む暇は無いとのお方は恐れ入ります、次回をお待ちください。 そうは言っても8月分、あと2回続きますが。



東北新幹線でいざ新白河へ。車両に描かれている絵が火の鳥にしか見えません。7月の東京バレエ団公演にて脳内置換を時折せずにいられずであったと回想。



新白河駅到着、しらかわんがお出迎え。昨年も思いましたが妹に似ております。この可愛らしさに加え心優しい、そして絵も得意な保育士ですから(自称アーティストらしい笑)
園児や保護者からも好かれるのは納得。私に一切似ず、外見内面共に良し芸術センスも抜群です。
実は報道取材班が勤務先の園を訪れたそうでこのご時世における保育の現場リポートがニュースで放送され、
録画もしていながら妹が映るたびに携帯電話でパシャパシャと写真を撮り続けていた私です。姉馬鹿発言を失礼いたしました。
新国立劇場バレエ団の『テーマとヴァリエーション』鑑賞が夢であったそうで
今年1月ニューイヤーバレエ土曜日公演、つまりは柴山さん渡邊さん主演日に来場し、大感激して帰途についていました。



新白河駅発のバス発車時刻までの間、駅にて購入しらかわん。今回のお供です。
白河駅の観光案内所で自転車を借り、今年こそは自転車でとら食堂へ。坂道も殆どなく、白河税務署やツルハドラッグが見えたらほぼ一本道のため分かりやすい。
30分程度で到着です。前回と異なり、整理券制となっていました。



呼ばれるまでだいぶ時間がありそうですから、その間に自転車で有賀醸造さんへ。
白河の酒蔵ガイドでも必ず目にし、昨年のプラネさんのプログラムの広告欄にも掲載されていましたので気になっておりました。
とら食堂から自転車で約45分で到着。酒粕クラッカーを購入し、再び自転車漕ぎ漕ぎとら食堂へ。
私は決して体力があるほうではなく、身体能力も運動神経も皆無でこれといって普段運動もしない性分なのですが
突如自転車を長時間漕いでも全く疲労感が出ず筋肉痛にもならず、脳が感知していない疑惑が益々浮上。
今回も有賀醸造へはやや遠いかと思ったものの、四国と本州を結び、5年前には大三島から因島あたりまでの区間を漕いだ
しまなみ海道横断に比較したら短距離であろうと、いくら白河の翌週に訪問する地域に近いとは言えだいぶ比較及び思考の規模がおかしい脳みそであろうと思っております。



1年ぶり、遂に来ました!今回は焼豚ワンタンラーメンです。喜びのあまり小さく拍手し迎えてしまいました。
まずはスープを1口、ああこれが味わいたかった、上品で澄み切った深みもある味を堪能です。
平打ちのコシある麺や脂身少ない焼豚、ボリュームのあるワンタンも口に入れるたびああ幸せ。焼豚おにぎりも味がよく染み込んでいてお気に入りでございます。
店内のテレビでは近江対下関国際の高校野球中継が流れ、1つ前の時間帯は福島の聖光学院と宮城の仙台育英の東北対決でしたからより注目が集まっていたかと思います。



途中雨に降られたり止んだり、持参したレインコートが役立ちました。白河チャリ子(リラの精のような名付けセンスが無き点はお許しを)にお礼を告げて返却。



昨年に続き、千駒酒造さんを見学。太く立派な梁や、杜氏さん達が泊まる場所の併設等の話も伺い、
重たい扉を開けると冷気が漂い、先人達から代々受け継がれ守られてき蔵だからこそ放っているのであろう神聖な空気をも肌を伝っていきました。



お待ちかねの試飲時間、今回は5種。昨年と同じ方が説明担当してくださり、親切丁寧。
そして一層打ち解け、白河に2年連続で来た経緯を話したところ喜んでくださり一安心いたしました。

左端は瓶やラベルが宇宙ロマンを誘うデザインで、宇宙で育った酵母を使っているとのこと。
https://senkoma.com/items/621eed7e4773a3765e9015ec

うつくしま夢酵母の2021年宇宙の旅についての詳細。
映画『2001年宇宙の旅』を知った頃、2001年には人類は容易に宇宙旅行が可能であろうと思い込んでおりましたが音楽も私も壮大な夢を描き過ぎました。
https://senkoma-shuzou.co.jp/campanella.html



だるまランドにも立ち寄り、撮影スポットにてしらかわん。


だるまさんと横並び。



白河は那須山系の水に恵まれた蕎麦の名所でもあり、ホテルすぐ近くのこちらへ。食べ終えたお侍さんがささっと出てきそうな外観です。



香ばしい噛み応えで美味しいお蕎麦をいただきました。地酒を青色が美しい薩摩切子でいただきます。(福島ですが文化においては鹿児島とも親しい間柄!?)
中学生の頃、会津出身の先生による薩摩批判がなかなか鋭く、今も尚恨めしさが募るとか。



晩酌。コッペリウスの気持ちが分からなくもない笑。



おはようございます。朝のスポーツ新聞、前日の東北勢対決が一面カラーで掲載です。
ただ選手達がひたむきに一生懸命頑張り、盛り上がっているのは分かるのですが
ここまで学校のスポーツが全国規模で放送され報道でもトップ扱いで発信される点に疑問もあり。
私自身吹奏楽部であった関係で夏の予選の応援演奏には出向いたり、社会人になってから関西での夏のバレエ鑑賞に合わせて
甲子園球場にて3回観戦したこともあるためあれやこれや言う資格もございませんが。



昨年と同じく晴天が祝ってくれる発表会当日です。白河駅のレトロな駅舎、保存が続きますように。



自転車で移動、前日も通った付近へ。青空の下ささっと市内を巡り、いつ何処で刀差したお侍さんが颯爽と出現しても違和感の無い城下町が広がっています。



大谷忠吉本店。隣には山田パン!



老舗の和菓子店玉家



通帳記入を済ませたお侍さんが颯爽と出てきそうな建築の白河信用金庫。



小峰城を門越しに。



小峰城正面。今回はこの場所で私も記念撮影いたしました。シャッターを押してくださったご通行中の方、ありがとうございました。



小峰城の階段。悪党退治するべく曲がった行いを好まぬお侍さんが走っている光景が浮かんでしまいます。



階段上るとこの風景。



新白河駅方面。爽やかな空と山々!



コミネス外観。



レストラン入口。しらかわんが迎えてくれます。



お昼は劇場内のレストランにて。昨年は終演後の食事でもお世話になりました。地元近藤農園さんのトマトを使ったトマトソースパスタとスパークリングワインで爽やかに乾杯。
https://www.gurutto-mazar.com/detail/index_179.html



レストランからふと外を眺めていたら、目の前の植え込みに松と百合が並んでいるではありませんか。
両方が似合うお方、つまり和と洋どちらも絵になるお方はなかなかいません。いや、この日この後にコミネスの舞台に現れました。



帰りの新白河駅。楽しい2日間をありがとうございました。松尾芭蕉の像の隣には、将来渡邊兄弟の像もきっと建てられることでしょう。




車内にて。1人静かに新白河東京ルート。 購入したお土産の一部で余韻に浸る新幹線車内。観光パンフレットに目を通すと、西郷のご当地キャラクターはニシゴーヌというフランス風なお名前らしい。
みきゃん、ぐんまちゃん、とシンプルな日本語名が占める中、珍しいと感じます。頭には新幹線のカチューシャ装着!
そうです、全国で唯一新幹線が停まる駅がある村でございます。
さらば白河西郷、また会う日まで!!



帰宅後、昨年里帰りに連れて行った白河だるまさん2体は今回東京でお留守番でしたので
お土産も携えてしらかわんが滞在を報告。白河にて凱旋舞台を鑑賞できた喜びを伝えています。

2022年9月9日金曜日

出演者全員で踊り祝うクラシカル・コンサート   BALLET NOW バレエ ナウ第15回発表会 8月19日(金)《東京都八王子市》





8月19日(金)、八王子いちょうホールにてBALLET NOW(バレエナウ)発表会を観て参りました。
主宰は川崎浩美さん、振付や指導には貝川鐵夫さんも携わっていらっしゃり、2019年の初鑑賞以来一般非公開であった2020年を除いては毎回足を運んでおります。
http://ballet-now.com/

今年の発表会概要告知記事。ご投稿が7月21日でございました。(管理人、小躍り笑)
http://ballet-now.com/news_topics/news/post-3606


バレエナウさんのSNSより。終演後の様子。川崎さん、貝川さん、そしてゲスト陣も晴れやか、紙吹雪がたくさん舞い降りました。第15回を祝す記念祭です。




第1部と第2部はバレエ・コンサートで最初は大勢の子供の生徒さん達による『ラ・ファヴォリータ』から。
パ・ド・ドゥは昨年神奈川県で久々で目にしましたが曲を最初に聴いた2006年世界バレエフェスティバル一発目における
オーストラリア・バレエ団のダンとローレンス組の印象が今尚残り、幕開け向きの華やぎ作品なイメージを16年が経った現在も未だに持っております。
ドニゼッティの歯切れ良い曲にのせて始まりを告げるファンファーレの如く、ぱっと明るい可愛らしさで記念発表会の幕開けを飾ってくれました。

続いては3年前以来、カラフルな衣装でうきうき楽しそうに踊る姿がそれはそれは微笑ましく映った
『スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス』(題名、生涯暗記できそうにありません。
スリランカの首都名より難題とこの度も思います)でも客席がほっこりと沸き立ちました。

ヴァリエーションやパ・ド・ドゥの他にバレエナウさん名物と私は思うキャラクターダンスの披露が今回もあり、感激。
3曲構成で、1曲目は小学校低学年くらいと思われる生徒さん達が5人でヨーデルらしき歌声入りの音楽で軽快に踊り、
背景には高尾山ではなくアルプス山脈を眺める気分となるほど魅せられておりました。
サウンド・オブ・ミュージックの音楽や風景、アルプスの少女ハイジの主題歌が好きな者にとって、趣味嗜好ポイントを掴まれた思いでおります。
続いて上級生の方々中心で、グラズノフ『バレエの情景』よりマズルカ。『ライモンダ』第3幕でもよく上演される作品で、数あるマズルカの中でも
特に気に入っている曲ですから分かった瞬間これまた上昇気流に乗らずにいられず。
村娘風の可愛らしい衣装で整えられ、踵の打ち鳴らし方やポーズの決め方は締まりがあり、振付は概ねライモンダを踏襲していたかと推察いたします。
終始全身でにこやかに踊っていた印象を持たせ、民族舞踊の訓練も身体に染み付いている成果を思わせました。
また他のプログラムではパ・ド・ドゥやヴァリエーションを踊った生徒さんもそうでない方も一緒になって目線の合わせ方からして笑みが絶えず、
楽しそうに作り上げる光景からどれだけ幸せを感じたか計り知れず。 皆で1つの作品をキャラクターダンスで表現する喜びが伝わるプログラムでした。
そしてこの曲を聴くと、昨年12年ぶりに全幕上演が実現した新国立『ライモンダ』の様々な場面、とりわけ貝川さんのアンドリュー2世王も思い起こされ、
一歩間違えれば西洋史のコントになりかねない金髪の鬘や王冠も違和感皆無な付けこなしでいらした上に
2幕終盤での姫を巡っていがみ合い火花を散らし合う者同士の間にさっと分け入り指揮をとられてた
修羅場における堂々たるお姿も忘れられぬ場面です。(特に6月11日金曜日公演)
3曲目は1曲目と2曲目の出演者全員集合で、ヨーロッパの何処かのテンポの速い哀愁も秘めつつみるみると熱を帯びていくフォークダンス風な曲にのせて大団円。
3年前の初鑑賞時からバレエナウさんによるキャラクターダンスが好きで選曲や振付に注目しておりましたが
今回も胸躍り、小さなお子さんの観客も含め客席も一体化して盛り上がる楽しい披露でした。

コンサートの中でもひときわ頬蕩けたのは、第1部最後を飾った『アルレキナーダ』グラン・パ・ド・ドゥ。
素直で純粋さが光る踊りで楽しませ、素敵な芝居心の持ち主な生徒さんと
屈託無き年齢不詳(褒めちぎり言葉です笑)、冒頭から愛しのコロンビーヌ捜索を客席とも可愛らしく嬉々と会話する渡邊峻郁さんの没入ぶりに目が何度垂れたことか。
お2人とも方向性が同じ踊り方でとことん役を生きていた印象を受け、顔をくっつきそうになるほど近づけてはお茶目な部分を一気に花開かせたりと
下手な人ならまだしも恥ずかしそうに行っていては鑑賞が苦行になりかねない表現も2人揃って奥底から弾け、加えて品もあり。
実はアルレキナーダのあらすじを知ったのはごく最近で、2年前に公開された映画『ミッドナイトスワン』にて
コンクールにてヴァリエーション踊る主人公に対して確か先生だったか、役の設定をさらっと告げる場があった気がいたし
そういえばガラ等でグラン・パ・ド・ドゥ鑑賞時には背景や話を知っておきたいと思っていながら
『アルレキナーダ』に関しては興味がそこまで至っていなかったのでしょう。把握しておりませんでした。
結婚を反対する父親によって閉じ込められた状況からコロンビーヌがようやく脱しての再会時に踊る場面のようで(調査能力不足で未だ理解仕切れずであるのだが)
そう考えると、アダージオやコロンビーヌのヴァリエーションの曲からはこれまで抱えてきたのだろう悲しみ、苦しみを震わす声が微かに聞こえるような旋律で
ただむやみやたらに可愛らしく踊れば良い作品ではなく、また人差し指を強調する仕草を始め
やり過ぎると媚を売っている行為にも見えてしまい、細かなバランスが難しい振付とも捉えております。
可愛らしくも互いをじっくり思いやりながらの掛け合いと丁寧に音楽を響かせるように踊るお2人で
生徒とゲストである関係性は一時忘れてしまったほど、加えて続きが観たくなるほど作品の世界にすっかり入り込んで満喫です。
そして道化師青年、仮面無しでああ一安心。

第3部はクラシカル・コンサート。『パキータ』を貝川さんが改訂され、大人子供、新国立4人ゲストも全員集合。
コール・ドの難度を調整してどのクラスの生徒さんにとっても踊り易くした箇所を増やし
本来1人でこなす振付を複数人で分担することで教室が一体となって全員で作品作る楽しさ伝わる上に
発表会ならではの豪華且つ全クラス出演型祝祭感満開なクラシック作品を観た気分に浸り、大変満足度高き演出でした。
アダージオでの対角線登場担当は速水さんで、登場シーンはまずまずといったところ(失礼)。
但し今回は所謂リュシアン役ではありませんから、華々しい歩き姿でドヤ!なご登場でもこれはこれで良き場面でございました。男性陣は全員上は白、下は黒で統一。
ヴァリエーションも各々あり、速水さんはバジル、中島さんがパ・ド・トロワ、渡邊さんがサタネラ男性、
木下さんがボリショイ版『ライモンダ』3幕ジャン。(記憶の限りこの4つであったはず。万一違っていたらご指摘ください)
中でも木下さんの角度の見せ方や晴れやかさ、渡邊さんの喜びを高らかに語るように縦横双方に渡って美しく舞う跳躍に目を奪われ
渡邊さんは更にエネルギーを注入したならばJR、ではなくより離れた京王八王子駅まで跳んでいってしまったことでしょう。
各々得意分野が占めるものを選ばれたと思われ、コーダではマズルカを踊った小さな子供の生徒さん達も冒頭にてきちんと1列に並んで登場。
ゲスト陣は4名体制で交差しながらの大跳躍や回転で沸かせてくださいました。
子供から大人までレベルも様々でありながら発表会出演者全員で披露し、しかもクラシックバレエをたっぷり堪能できた作品で満足度も高し。
全員が心から楽しんで踊っていたことは勿論、個々の魅力を引き出し舞台に花を咲かせるサポートをされた川崎さん貝川さんの手腕にこの度も天晴れでございます。

クラシックの全幕等は上演せず、バレエコンサートにはキャラクターダンスも含ませ、全出演者で貝川さんのオリジナル作品(今回は原型があるとは言え
バレエナウのアイディア満載な形であると思います)作り上げる楽しさを、15回記念を祝する舞台を客席で共有できる幸運に浸りました。
最後全員に向けたメダル表彰式においても達成感に溢れた表情が舞台いっぱいに広がり、継続の大切さを学んだ次第です。
時にはゲスト陣によるメダル授与の貴重光景も目を凝らして観察いたしました。
いちょうホール特有なのか地域性なのか、毎回のんびりゆったりとした客席の雰囲気も好きで、視界に入った親御さんの膝上に乗った小さなお子さんも集中して楽しみ
ミラーボールの演出にびっくりしたりと今回も未来の観客候補なお子さんも何名か目撃。八王子の夏の風物詩です。




※ご参考までに。去年と3年前のバレエナウさん発表会感想でございます。(一昨年2020年は一般非公開でしたが、一部分の映像を公開してくださり嬉しうございました)

2021年『真夏の夜の夢』ほか。笑いありうっとりする瞬間多々あり感覚フル稼働!
https://endehors2.blogspot.com/2021/09/ballet-now-825.html

2019年『長靴を履いたネコ』。近くに座っていた、出演者のご友人と思わしき部活帰りな若者達とも!?抱腹絶倒でした。
保育士な魔王は名キャラクターであると思っております。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-77ba7a.html




8月最後の職場早退をし、ぶらり京王線の旅。発表会の翌週に金曜ロードショーで放送された映画『耳をすませば』の舞台となった聖蹟桜ヶ丘を過ぎ、八王子へ。
1本早い電車に乗れたため昨年に続き、鑑賞前に八王子珈琲店にてお茶。ロートレックの絵がお洒落にシックに出迎えてくれます。
※余談にもほどがありますが、映画が公開された頃に周囲にて主題歌の替え歌編『甲州ロード』が流行り
山梨に続いてる気がすると口ずさむ声が時々聞こえてきたものです。甲州街道ならば当然でしょうが笑。



クラシックショコラケーキ。チョコレートしっかりな味で、古き良きヨーロッパな雰囲気の内装も気に入っております。
平日昼下がりからコーヒーとケーキでああのんびり、クラシカル・コンサートの内容を
想像真っ盛りと言いたいところだが昨年と同様うっかり寛ぎ過ぎてぎりぎりにホール到着汗。



帰宅後乾杯。第15回おめでとうございます!

2022年9月4日日曜日

名プロデューサーな田北志のぶさん   The 1st BALLET EDUCATION(第1回 バレエ・エデュケーション)8月17日(水)《東京都葛飾区》





8月17日(水)、田北志のぶさんプロデュースThe 1st BALLET EDUCATION(第1回 バレエ・エデュケーション)を観て参りました。
田北さんのオープンクラスを受講されている方々が中心で全体のレベルは高く
生徒さん達は田北さんの指導の下、基礎を見直し固めた上で派手な技巧に走らず、
丁寧で美しく、上体でも語る踊りを追求しているのであろう姿勢にも大変好感を持ちました。
http://www.shinobutakita.com/balleteducation/be01/be01.html


第1部は『コッペリア』3幕。新国立劇場の根岸祐衣さんと渡邊峻郁さんが組んでの主演が珍しいペアの実現で心待ちにしておりましたが
お2方とも貫禄ありながら、結婚式冒頭の皆に迎えられての登場にて目線の合わせ方からしてとろりと蕩ける可愛らしさが発生。
平和な温もりを届け広げてくださいました。また観たいと思わせる組み合わせでございます。
根岸さんは職人肌な技術の持ち主でひけらかすことは一切なく、されど顔の傾け方や視線の送り方といい見せ方を心得ていて
これといった見栄えする振付ではない、寧ろ粗が出やすい作品でも隙のない踊りから大らかな幸福感を滲ませああ眼福。
渡邊さんは爽やかな品が覆い尽くすフランツで、根岸さんスワニルダそして参列者への目配りも優しく、温水シャワーを浴びていた思いでおります管理人です。
ヴァリエーションやコーダにおいての高さと張りのある跳躍の連続では舞台面積がやや狭く、
本気を出したら会場目の前ではなく反対側の北口にも位置する黄金の両津勘吉像まで跳んでいったに違いありません。
また3年前に拝見したときの白地に金色模様で彩られたきらりとした衣装姿に再びお目にかかれたことや
パ・ド・ドゥのみ抜粋ではなくコッペリウスや市長不在を除けば3幕丸ごと上演の中でのフランツご披露にも喜びに一段と浸らせました。

戦いの踊りをいわゆる野性味全開な衣装や振付ではなくよりクラシカルな演出への変更や
通常は2幕のコッペリウス工房で行われるコッペリアの踊りを取り入れた以外はオーソドックスな展開で
時のワルツからあけぼの、祈り、仕事も含め総勢約20人構成、それぞれの質が高く息も合い纏まりのある3幕でした。

少し蛇足ですが、赤や青い屋根の家並みがすっきりと描かれた舞台美術に観客としてではない立場で見覚えがありまして
ひょっとしたら太古の昔に私が出演した発表会と同じ背景かと観察。会場の収容人数もほぼ同数の規模のホールでした。
そう頻繁に舞台美術を次々と新製作するとは思えず、ただ大昔の話ですから正確性には自信がございません。
仕事とコーダの写真は購入していたと記憶していたと思いますが埋没状態にあり(子供の頃の自身の姿なんぞ目にしたくない笑)
発掘したとしても白黒写真の時代ですから色味の確認は取れぬか否かはさておき
私が行うとくるくるパーにしか見えぬ或いは怠惰の踊りと化していた仕事やら、コーダで祈りの上級生と組んでひと踊りしてから
スワニルダとフランツを迎えたときに視界に入った風景に重なった舞台美術であったのは事実です。
もし写真を発掘し同じ美術であると確認が取れましたら、数十年後に巡ってきた舞台美術の運命として
コーダにてスワニルダか誰かを見つめながら立っている(確か中央部分は写っていなかったためフランツか、祈りか、誰を見ているかは分からぬはずだが)
当時小学生であった我が視線の先辺りの場所の真上からこの度2022年8月に東京の亀有に現れた
世にも爽やかで紳士然としたフランツの写真を貼り付けておきたいと密かに計画中でございます。

第二部、第三部はバレエ・コンサート。程よい長さでヴァリエーションやパ・ド・ドゥ、トロワをバランス良く飽きさせぬ構成で時間の経過が早い早い。
時々見かける、謎な珍配役も無く(発表会ではそこまであららな割り当てはないものの、代表格が世界バレエフェスティバルや今夏のロイヤル・ガラです笑)
生徒さんの個性や魅力が十二分に引き出された演目ばかりでした。
オダリスクはちょっとした余韻までもが呼吸がぴたりと合って、優美さも十二分。

そしてこの日最大の驚喜!?演目が『海賊』グラン・パ・ド・ドゥで、谷桃子バレエ団に入団された、長身で抜群のスタイルと美貌をお持ちの田山修子さんと
降板されたキム・セジョンさんの代役として渡邊さんが急遽登板。キムさんの状況を思うと手放しで喜んではならないのかもしれませんが
バレエ・アステラスに引き続き亀有でも渡邊さんのアリを拝見できるとは、まずは素直に喜んで鑑賞に臨もうと決意。
田山さんはエメラルドブルーや金色、クリーム色を合わせたチュチュに頭飾りは湾曲したラインが引き立つルイザ・スピナテッリさんデザインを彷彿とさせるセンスで
細身のスタイルとギリシャの「娘」ではなく姫君または女王な風貌と艶かしい雰囲気に口あんぐり(褒め言葉)。
渡邊さんはキムさん用の衣装をそのまま引き継がれたのか、上半身の上部分は隠れる、茶色系で整えられた衣装でしたが
忠実なお仕えぶりと秘めやかに滾る覇気の双方備わり奥行きな造形に骨抜き状態。
赤を帯びた背景照明で『海賊』にしては珍しく映ったものの、頭飾りの石が赤黒っぽい色合いで
尚且つ赤照明に負けぬ野心や情熱、鋭い眼差しも滲むアリでしたから心をガツンと持っていかれました。
コーダにおける下手側での高速減速混合回転ドリルもアステラスに続いて目にでき、サイコロが容易に乗っかりそうなほどに鍛え上げられた
筋肉隆起な肩甲骨が見えない衣装だ云々感じながらも、出番増加や田山さんとのペア実現と、珍しい嬉しさの連続に打ち上げ花火止まらず。暑くて熱い今年の8月です。
※葛飾の花火大会は3年連続で中止らしい。来年こそは実施できますよう願っております。

第三部では『眠れる森の美女』パ・ド・シスも上演され、根岸さんが優しさの精を好演。ヴァリエーションではゆったりテンポである上に跳躍や回転が1回もない、時間も短いため
手をヒラヒラさせて体力有り余ったまま呆気なく終了してしまいがちな振付であっても、柔らかく包み込むような魔法をかけられた心持ちに。
6人の纏まりも吸い込まれるような優雅さで、ベッドで眠る赤ちゃんオーロラが見えたのは幻ではないはず。
チュチュ部分が白いレースで覆われたデザインも可愛らしいお洒落なセンスでした。

大トリは田北さん、ニキータ・スホルーコフさんによるウィンナーワルツより寝室のパ・ド・ドゥ。
披露前の暗転時に椅子やらソファーが急ピッチで用意され、(舞台近くの席でしたのでスタッフの皆様の働きぶりも観察でき、私にとっては嬉し楽しみな光景)
故郷が戦争の惨禍となり、どうにか来日を果たし7月のキエフ・バレエガラにて品格を崩さずされどパワフルな要素も持ち合わせたソロルとアクティオンを披露され
好印象を持ったスホルーコフさんが亀有に、しかも大先輩の田北さんと踊られると知り、待ち侘びておりました。
譜面らしき用紙を手に取ったり、互いに近づいては離れたりとワルツの抑揚にのってエレガントに駆け引きをしたりと色っぽい味わいも生じるパ・ド・ドゥで
田北さんが以前にも増して美しくチャーミングな踊りに仰天。最後に拝見したのは2013年3月の東日本大震災復興祈念チャリティ・バレエ“グラン・ガラ・コンサートでの
ジゼルと瀕死の白鳥、その前には2008年のキエフ・バレエ来日公演『ライモンダ』にてエレーナ・フィリピエワさんの代役主演で、
このときの友人役の1人が現在新国立劇場バレエ団バレエマスターを務める菅野英男さんでした。
長年キエフにて活躍されてきた田北さんの経歴は存じ上げながらも姫や妖精役では今ひとつな印象を持ってしまい(失礼)
もっと遡れば、まだ情報が現在のように容易に入りづらかったソ連が崩壊して間もない頃における
ボリショイ・バレエ学校在学中にパキータのヴァリエーションを踊られた学内コンサートのレポートや、ゴロフキナ校長(当時)が食糧確保が最大の心配と
生徒達の生活基盤すら不安定である様子を語るインタビューも書籍を通して読んでおり、大困難な状況下で研鑽を積んでいらしたことに驚きを覚えたものです。
そのまま年月が過ぎたわけですが、今回のパ・ド・ドゥでの内側から踊る幸福を歌い上げるようにしなやかで流麗な舞台姿にすっかり虜となりました。
プログラム挨拶文によればお2人にとって思い出深い作品とのことで、 当時もぶっ飛ぶほど楽しかったと一見冷静そうな田北さんから想像つかぬご発言にこれまた驚くも
亀有で観ても、心を浮き立つ愉悦感に溢れるパートナーシップにこちらまでもが胸をきゅっと吸い上げられる歓喜に誘われた次第です。

フィナーレは『シルヴィア』グラン・パ・ド・ドゥコーダ曲に合わせて全員登場。これまた工夫が凝らされ、本来のこの作品における振付と
全員登場の賑やかさ、今回披露された役の振付それぞれに重なる演出がなされ、ただ踊って通り過ぎるだけではない演出で楽しませてくださいました。
特にパ・ド・シスが踊ってから去るときにリラだけ僅かに遅れて立ち去る振付は
役どころにも、本来のシルヴィアのコーダ振付双方にぴたりと嵌り膝を叩く思いでああ納得。
根岸さん渡邊さんは『コッペリア』衣装にお着替えしての登場で、再度の心溶かす大人可愛いオーラに私は全身垂れ下がり笑
そしてまだまだ終わらぬ亀有サービス、最後の最後には『シルヴィア』コーダ最終盤と類似し、
前方に渡邊さんとスホルーコフさんが並んで力強く連続回転大披露。まさかこの2人が並んで踊る日が来るとは、
盆と正月までとは言わないが(それは昨年5月の新国立劇場配信コッペリア千秋楽だ)盆と有給休暇が同時到来したかの如く驚倒し歓喜いたしました。

田北さんのプロデュース力に唸り感激した真夏の夜の亀有。田北さん、そしてオープンクラスに通う方々が
田北さんからの指導をしっかり吸収して臨むきちんとした舞台作りに大変好感を持ち
平日夕刻開演のためこれまた職場からぎりぎりで駆け付けてしまいながらも構成もよく練られ
終演後は特に楽しめた部分の思い起こしが止まらず。瞬く間の3時間でした。
それにしても根岸さん渡邊さんの主役ペアが実現し、渡邊さんは代役で『海賊』も再び踊られ、最後はスホルーコフさんと前方に2人並んで大回転。
もう夏の運を使い果たしたかに見えますが、8月内だけでも祭りはまだまだ続く2022年でございます。




亀有といえば、両さんこと両津勘吉。改札出てすぐ、北口側の黄金の両さん像。




こちらはホールが位置する南口側。お三方集結です。



掲示にびっくり。前週末の東京シティ・バレエ団『白鳥の湖』を降板されたキムさんが予定通り出演されるのか
気にはなっておりましたが、代役に急遽渡邊さん。2022年8月はまさかの海賊3発。



お世話になっている方より帰り道に教えていただきました、亀有の亀さん。
亀有でも心惹かれるアリであったと亀に伝える管理人。興奮が続き、地名と人名が混在混乱状態です。



帰り、ささっと白ワインで乾杯。思いがけずな2演目のみならず、フィナーレに至るまで構成に工夫が行き届き大満足な舞台でした。



お洒落なお通し。



ガーリック入りトマトソースたっぷりなブルスケッタも美味しうございました。



亀有の亀を教えてくださった方より、開演前に立ち寄られたお菓子屋さんにて購入されたお土産をいただきました。
『竜宮』、またの上演を再度願います。

2022年9月2日金曜日

怪談を再度面白い角度で企画 大和シティー・バレエ2022 想像×創造 8月14日(日)《神奈川県大和市》





8月14日(日)、大和シティー・バレエ2022  想像×創造『百華繚乱』  続・怪談『牡丹燈籠』『雪女』『耳なし芳一』『死神』を観て参りました。
第2部の続・怪談では2020年の上演4作品を他の振付家によって新制作する非常に面白い角度で迫る企画です。
https://www.ycb-ballet.com/2022summer



続・怪談4作品のリハーサル映像。




雪女。このお二方の主役共演を夢見ておりました。






※先に申し上げておきます。怪談の4作につきましては原作に対する知識不足により、大変単純な感想しか挙げておりません。
教養無き人間と言われたらそれまでではございますが、作品を深く掘り下げてのレポートをお読みになりたい方は、知識教養を備えた他のブログ等をご覧くださいませ。



百華繚乱
振付:草間華奈

女性は花そのものな風情の柔らかでカラフルな長いチュチュ、男性は陸上選手が透け透け素材の競技用ウェアのまま
胸にコサージュ付けて卒業式に臨む趣きな不思議衣装でしたが、バッハの曲の組み合わせの妙も光り、集合体から次々と繰り出される踊りの数々にうっとり。
上階にて観たら、花々が咲き誇る広がりの形がよりはっきりと見えた気がいたします。(今回は至近距離重視での座席選択でしたので仕方ない笑)
幕開けがブランデンブルク協奏曲第3番ト短調で、私の中のバッハお気に入り曲2作のうちの1作であるため既に狂喜乱舞寸前で
振付はネオクラシックな風味でたっぷり詰め込まれていながらも踊りこなせる技量の持ち主ばかりであるため1人1人から快い香りが立ち込めてくるような気分。
もう1作は2つのバイオリンのための協奏曲ニ短調で、バランシンのコンチェルトバロッコが刷り込まれている曲にて男性陣が一斉に踊り出す光景が鮮烈でした。
全体を通して想像以上にスケールある作品で見どころ溢れる振付でしたが、中でも主軸を踊られた
菅井円加さんの、前日のNHKバレエの饗宴におけるパ・ド・カトルやドン・キホーテとは打って変わっての緩急自在な踊り方、
孤高に見えつつも周囲とも調和し優しくも大輪の花を咲かせるが如きオーラを内側から発していて
バランス1つにしてもふと情感を覗かせ幸福をもたらす姿に目を見張りました。ただ明朗なだけでなく時折物憂げな表情やしっとりと奏でる踊りにも魅せられた次第です。

そして先にも述べた通り着こなしが難しい妖精と陸上選手の間を右往左往する風な男性衣装を
(昨年のハワイアンセンターに引き続き、大和シティーは男性陣の難関衣装限界挑戦が恒例なのか)
悟空も仰天、限界突破を果たしていたと見受けられたのは渡邊さんご兄弟。特に峻郁さんの、長身であっても花の妖精さんにも見え
恵まれた長い手脚の体型のみならず音楽といたく楽しそうに戯れ且つ一音一音を大切に捉えて全身で振り幅を豊かに体現、躍動なさっていた印象です。

ところで違っていたら失礼、『百花繚乱』ではなく華の漢字を用いたのは草間さんのお名前に由来かもしれぬとも想像。
また随分前に遡りますが、草間さんのお名前を初めて目にしたとき草月流華道がすぐさま思い浮かび、勿論関係性は無いのでしょうが
いずれは花に関する作品を振り付けられる日の到来を予想はしていただけにこの度の作品、
しかも心から尊ぶ舞踊家がご出演。我が心も花満開となったのは言うまでもありません。




草間華奈さんのSNSより、集合写真。衣装にもご注目ください。


プロデューサー佐々木三夏さんのSNSより。舞台映像を少し公開してくださっています。
他作品の舞台、リハーサル映像も色々。



続・怪談

牡丹燈籠
振付:櫛田祥光
曲:松田幹   堤裕介

紫色の着物な衣装に身を包んだお露を木村優里さんが妖艶に怪演。木下嘉人さんの新三郎を襲う姿が恐ろしく力強くも我が物にしたい一途な心も見えかけました。
池ヶ谷奏さんのお米が大変いじらしく、お露に引き寄せられ歯止めが効かない新三郎を取り戻そうと必死に縋り付く様子を大胆に斬り込むダンスで訴え、
新三郎は拒み、そこへお露が立ちはだかる息詰まる展開が繰り広げられました。
欲を申せば、下手側の畳上の1箇所で固まり団子状態な濡れ場が続いてしまったため、舞踊の割合が増えたら尚良かったかと思います。
ある瞬間には緊迫宿る立体的なポージングもあれど、結局は濡れ場として長引いていた印象が否めず。
みるみると自身のもとへと引き摺り込んでいくお露のおどろおどろしさと、追い詰められる新三郎とお米の切迫感の
双方を表していた、ずしっと接近する群舞の効果は宜しうございました。


雪女
振付:池上直子

本島美和さんによる雪女の人間離れした幽玄な妖気、美しさに感嘆。何度肌が凍りついた或いは絹の感触が伝ったか分からず
白い着物を纏った近寄り難いほどに神々しく威厳ある姿や鋭く冷徹な眼差しに、裾を持っての振り向きにも溜息が何度も零れました。
おゆきとして現れ男と再会し、ほのかな橙色を帯びた着物を身につけ束の間の一家団欒な光景が後の展開が分かるだけに幸福な場面ながらかえって胸を締め付け
子供達を守りつつ逃げ回る男と雪女の狂気の呼応が背筋が寒くなる凄まじさ。
惹かれ合うも命の危機に身を晒す男を渡邊峻郁さんが自在に体現され、手の翳し方や目の交わし方の全てが繊細に訴えかけ胸を静かに揺さぶられるばかりでした。
振付はコンテンポラリーがベースで時には突拍子もない脚の振り上げや重心を下に落としての動きもあったりと多彩に富み、
雪女に惹かれていく恋心や戸惑い、果てには凍らされ倒れ込む姿までを語り尽くす渡邊さんの心身の可動の豊かさにもたまげました。

本島さん渡邊さんともに腕や指が長く僅かな仕草でも心情を細やかに語り、加えて四肢の動きも雄弁で品ある慎ましさも兼備。物語の世界観に相応しいお2人でございます。
当ブログでは何度も取り上げておりますが着物雑誌及び『竜宮』にて着物が違和感無く絵になるのは証明済である渡邊さんによる和物作品を
今年も鑑賞できた喜びは大きく、深々腰下げて次の作品の福田紘也さんに扇子を渡す所作も自然体。
更には念願であった本島さんと渡邊さんの主演共演も実現。神秘的な美の極致なる並びに目が眩み、深みある表現者ぶりにも感激です。
今年6月の本島さん退団公演『不思議の国のアリス』での花束贈呈式におけるハートの女王様と忠実にお仕えする家臣のやりとりから早2ヶ月、
和物作品共演はそれはそれは歓喜いたしましたが、重厚な洋物での共演も夢が膨らみ
我が夢は『トリスタンとイゾルデ』。実写版を思い出しては主役2人の生い立ち含め、危うい道へと外れていき複雑に織り成す心情の絡みと言い役柄に嵌ります。
既に脳内再生回数が急上昇のため、次行きます。


耳なし芳一
振付:福田紘也
音楽:平本正宏
坊主に上は裸体でゆったりした青く長いパンツ?姿で登場した宇賀さんによる住職に仰天、しかし舞台の支配力が盤石。
宇賀さんの主役級での出演作品鑑賞はひょっとしたら2014年故郷でご出身の高知県のスタジオ記念公演『ドン・キホーテ』以来と思われますが
周りを福田圭吾さんや小野寺雄さん渡邊拓朗さんといった個性強き軍団に囲まれても一貫してどしっとした構えで臨む姿で、良き意味で裏切られた思いでおります。
朱色の衣装で身を固めた五月女さんの奇怪な役どころも目に留まり、平本さんが手掛けられた
琵琶の振動を思わす調べも摩訶不思議な世界へと一段と迷い込ませ、聴き入っておりました。


死神
振付:竹内春美
音楽:Wojciech  Kilar

NHK番組の古民家カフェを巡るふるカフェのはるさんこと渡部豪太さんが今年も登場。(渡部さんではなく、はるさんの印象が今も強し)
一番難解に思えてしまい、鑑賞眼の無さが原因であるのは承知で展開が把握できず混乱してしまいましたが
盆子原美奈さんの妖しい存在感、小出顕太郎さんの有無を言わせぬ分け入り方もはっとさせる刺激効果。
本にも目を通し、題材の知識を頭に入れておきたいと反省でございます。


4作異なりながらもキーパーソンが扇子をバトン代わりに次作品の人へ手渡す演出は、全体の繋がりが見えて面白味があり
怪談開演前には徐々に鈴の音が鳴り響いてくる演出も外の暑さから別世界へと誘われる効果を与え、名案でした。

バッハの調べにのせて華やかに咲き乱れる『百華繚乱』、話の土台の知識不足によりしっかりとした理解には至りづらかったものの
今回は4作とも冗長な箇所見当たらず、背筋がゾクゾクする怪談4作の日本の夏ならではの構成でした。
怪談シリーズ継続か、拡大して学校の怪談も取り入れるのか(それはないか)さておき、
オリジナル新作が誕生し披露されるバレエ界と大和市での夏の風物詩として来年以降も続けて欲しい企画です。





カーテンコールは撮影タイムあり。時間の都合上、及び私の執念も限りがありますため上手側の一角しか撮影しておりません。悪しからず。
当ブログは関西、四国地域からお読みくださっている方もいらっしゃり、私自身鑑賞を通して西日本各地で知り合った方が何人もいます。
福田圭吾さんは、木下嘉人さんは何処や、とのお声が聞こえてきそうでございますが1枚も撮れておりません汗。ご自身で検索願います。



今年も渡邊さんの和物バレエを拝見でき、ああ幸溢れる夏の夜。



百華繚乱のアレンジメント。カラフルな花々が咲き誇っていました。そして子供の頃にバスの車内放送にて暗記してしまった
(学業成績は底辺族、最下層民であったが学校生活には決して役に立たぬ事柄は好んで覚えていたらしい)
四季折々の花が咲き競う2万坪の別世界、が宣伝文句の運動練習場を懐かしく思い出した次第。
そういえば数年前のバレエ鑑賞講座の集まりにて四字熟語占いなる話題となり「百花繚乱」と回答した方がいらしたと記憶。
回答者の人生観に結び付くものらしく、美しく華やぐ心の持ち主であろうと容易に思え
対する私は咄嗟に浮かんだ「清廉潔白」となぜだか回答。我が身には全く不釣り合いなたいそうな発言をその節は失礼いたしました。



宝満直也さん振付『美女と野獣』の衣装展示。ベルの衣装の繊細な模様、色遣いに見入るばかり。
DVDも保有し携帯電話の待ち受けロック画面にも設定しているほど南仏で制作された思い入れが余りに強い演出があり
宝満さん版の公演鑑賞は行かずにおりましたが、配信で視聴したところショスタコーヴィチ作品からの選曲も振付もいたく面白く冗長な部分も皆無。再演時は参ります。



大和シリウスへ行く前に立ち寄ってみたかった駅から会場への途中に位置するおかげ庵。しかも和物メインな公演ですから、早めに行って甘味を堪能。
整理券を取り待っていると、あちこちの劇場でお世話になっている方と遭遇。一緒に期待に胸を膨らませておりました。
その方はぜんざいとわらび餅、『雪女』が楽しみで仕方ない私は梅味のかき氷。
かき氷は久々に味わいましたが(2011年酷暑の徳島バレエ鑑賞以来か。鳴門の渦潮見学帰りでございました)
なかなか溶けず、サクッと冷たい舌触りが継続。梅シロップをかけるとほのかな橙色を帯び、中間部における雪女の着物の色に似ておりました。



帰りに作品を彷彿とさせるラベル、銘柄の日本酒を近所で見つけ帰宅後乾杯。
本島さんと渡邊さん、心から好きな2名のダンサーの主役共演しかも初演の創作作品での実現の嬉しさや神秘的に美しい並びの余韻に何時間も浸っておりました。