2020年7月31日金曜日

【お茶の間観劇】英国ロイヤル・バレエ団『眠れる森の美女』

英国ロイヤル・バレエ団から配信中の『眠れる森の美女』を鑑賞いたしました。まだご覧になれます。(恐らく8月7日まで)



金子さんのオーロラ姫第1幕ヴァリエーション。瑞々しさ、華やぎがぱっと広がる踊りです。


英国ロイヤル・オペラ・ハウスシネマ公式ホームページより抜粋

【振付】マリウス・プティパ
【追加振付】フレデリック・アシュトン、アンソニー・ダウエル、クリストファー・ウィールドン
【プロダクション】モニカ・メイソン(ニネット・ド・ヴァロワとニコライ・セルゲイエフに基づく)
【美術】オリバー・メッセル
【デザイン追加】ピーター・ファーマー
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【指揮】サイモン・ヒューイット


【出演】
オーロラ姫:金子扶生
フロリムント王子:フェデリコ・ボネッリ
国王フロレスタン24世: クリストファー・サウンダーズ
お妃: エリザベス・マクゴリアン
カタラビュット:トーマス・ホワイトヘッド
カラボス:クリステン・マクナリー
英国の王子:ギャリー・エイヴィス
フランスの王子:ニコル・エドモンズ
インドの王子:デヴィッド・ドネリー
ロシアの王子:トーマス・モック
伯爵夫人:クリスティーナ・アレスティス
フロレスタン:ジェームズ・ヘイ
フロレスタンの姉妹:マヤラ・マグリ、アナ・ローズ・オサリヴァン
長靴を履いた猫:ポール・ケイ
白猫:レティシア・ストック
フロリナ姫:ヤスミン・ナグディ
青い鳥:マシュー・ボール
赤ずきん:ロマニー・パイダク
狼:ニコル・エドモンズ

~プロローグ~
澄んだ泉の精: ロマニー・パイダク
お付きの騎士:アクリ瑠嘉
魔法の庭の精: マヤラ・マグリ
お付きの騎士: ヴァレンティノ・ズケッティ
森の草地の精: クレア・カルヴァート
お付きの騎士:カルヴィン・リチャードソン
歌鳥の精: アナ・ローズ・オサリヴァン
お付きの騎士: ジェームズ・ヘイ
黄金のつる草の精: 崔 由姫
お付きの騎士: セザール・コラレス
リラの精:ジーナ・ストーム=ジェンセン
リラの精のお付きの騎士:ニコル・エドモンズ



オーロラ姫の金子さんは瑞々しさと華やぎがふわっと広がるヒロインで煌々とした輝きが眩しいほど。
とても当日の代役で登板したとは思えず、花が零れるような表情に指先脚先からも気品が香り立ち目を見張る麗しさでした。
役柄上は勿論日頃からもカンパニーに愛され、だからこそオーロラ友人や求婚者、国王と王妃からも
それはそれはにこやかで安心感を与える祝福を受けていたと窺えます。
当初はリラの精の予定だったそうですが、包容力のある妖精も観てみたいと思うと同時に
当日に告げられリラの準備を封じ込め、こうも初々しいまさに薔薇の蕾の開花を見届けるかのような姫として舞台に登場できるのかとすっかり見入らずにいられず。
2幕の幻影であっても隠しきれないプリンセスオーラも魅惑的で、3幕は金粉を振り撒いているとも錯覚させる格式と煌きを放つ姿には恍惚と魅了されました。
金子さんの舞台はロイヤルの来日を除いては2012年の大阪にてMRBスーパーガラにて蔵健太さんと披露されたでの『眠れる森の美女』グラン・パ・ド・ドゥを鑑賞。
最前列にて拝見し、近くの小さな女の子がじっと集中して観ながら綺麗綺麗と何度も口にするほどの美しさであったのは今も記憶しており
あれから8年。映像ではあっても全幕主演舞台を鑑賞できたのは幸運でした。

フロリムント王子のボネッリは真っ直ぐで柔和そうなお人柄が覗き15年程前と容姿が不変で技術も衰えも見えぬ点にも驚かされた次第。
とにかく姫を立て、金子さんが落ち着いて踊れるよう心の砕きようが伝わる王子でした。
ダイナミックな潔さで盛り立てていたのはリラのストーム=ジェンセン。背が高く長い手脚、スパッと腕を掲げて城内を落ち着かせる様子は
王子より遥かに強そうではあったが、金子さんと同じく急な登板とは思わせぬ堂々たる舞台姿でした。

パイダクの滑らかで場を持て余さない澄んだ泉の精や崔さんの威厳ある黄金のつるぎの精も印象に刻まれ、
フロレスタンの姉妹とは何ぞやと疑問を抱いていたら宝石の場面に登場。
ロイヤルの眠りを全編通しで観るのは初で、精通者からしたらお馴染みであろう場面や設定も斬新に映り
プロローグの妖精達に至っては名前が覚えられず笑。「優しさ」「鷹揚」といった2、3文字に慣れてしまうと暗記は困難でございます。
衣装が1点1点異なる模様が大胆に彩られた凝ったデザインで、観察も楽し。

そういえば、英国ロイヤルの眠り衣装は何回か改訂されているのか私が長きに渡ってロイヤルをそこまで注目せずにおりましたため
フロリナの衣装が明るめの青を重ねていたはずが随分と渋くシックになった印象を持ったり
黒を基調とした迷宮のような宮殿を模した舞台美術は誰の版であったか思い出せず(ダウエル版であろうか)
学びの範囲を更に広げて行きたいとも思えた英国ロイヤル眠りでした。

2020年7月26日日曜日

【速報】【おすすめ】5ヶ月ぶりの公演再開 新国立劇場バレエ団「竜宮 りゅうぐう」~亀の姫と季(とき)の庭~




※ご訪問いただき誠にありがとうございます。長くなりましたが、東京公演総括の感想はこちらです。
https://endehors2.blogspot.com/2020/08/5-724729.html

5か月ぶり劇場での舞台鑑賞復帰第1弾、新国立劇場 こどものためのバレエ劇場 2020
森山開次さん振付の世界初演・新作バレエ公演「竜宮 りゅうぐう」~亀の姫と季(とき)の庭~を3回鑑賞いたしました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/turtle-princess/

◆【必読】来場者へのお願い
https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017576.html


◆【必読】分散入場のお願い
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/26_017674.html


◆写真付き・入場までの流れ。大変分かりやすい案内です。
https://www.facebook.com/150537605092987/posts/2157562827723778/


◆森山開次さんインタビュー
新国立劇場ホームページ
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/26_017638.html

スパイスイープラス
https://spice.eplus.jp/articles/272776

チケットぴあ
https://news.yahoo.co.jp/articles/4ba7867660c6b7a511a78f03c43b84e3eb70b454


◆舞台写真多数のゲネプロと感染拡大防止対策レポート
バレエチャンネル
https://balletchannel.jp/9724

シアターテイメント
https://theatertainment.jp/japanese-play/57945/


まだ公演が続いておりこれからご覧になる方々も大勢いらっしゃいますので詳細な感想は控え、東京公演全日程終了後に総括して参りますが
子供騙しでは全くない、大人も十分に楽しめるスケール感のある作品です。
馴染みある浦島太郎の話を和洋織り交ぜて膨らまし海のチャーミングで風変わりな生き物たちと四季のめくるめく展開や衣装もユニーク。
四季とはいってもアシュトン版『シンデレラ』とは大きく異なり、例えば秋ならばポップな面と陰を含んだ面の両方を含ませたりと
日本の四季ならではの魅力を繊細に丁寧に描いています。
是非注目いただきたいのが変化に富む床の波模様照明で、寄せては返す優しい波のまことに美しい揺らめきや
吸い込まれそうな渦の迫力が舞台上に広がりを見せます。浦島太郎の外せない要素である
いじめられている亀の救出や悪ガキな子供たち、玉手箱を受け取りおじいさんに変身する箇所も勿論あり、物語の世界へすっと入り込める流れですのでご安心ください。
浦島太郎の出番は実に多く、三者三様の個性ある造形を堪能できます。可能ならば全キャストご覧いただくことをおすすめいたします。
登場時から、いわゆる我々が思い浮かべる太郎そのものな格好です。

座席は一席置きの販売で観客数は定員の半分ですが、2月末の『マノン』公演中断から約5ヶ月。
待ち焦がれた公演再開の喜びが鳴り止まぬ拍手となって表れ、劇場全体が一体となり鳥肌が立つ感覚を久々に味わえた幸せにまだ浸っております。

劇場側は万全な対策をして迎えてくださっています。上演に漕ぎ着けたのは関係者の方々の並々ならぬ努力があったからこそ。
観客としてもその行動や思いを忘れず胸に当て、引き続き通いたいと思っております。



連絡先を記入する用紙はこちらに。クローク(今回は利用不可)前にもあります。



モニターでも呼びかけ



衣装のイラスト。和、洋、海の生き物のモチーフが融合。



保管の都合上、誕生日ケーキ(詳細は前記事参照)から取り外し冷蔵庫にてお留守番していた我が家の太郎さん。扉を開けるたびに目が合いキリッとした視線に鼓動止まず笑
真っ直ぐ帰宅し、昨日夜公演にて笑ってしまうほど髷姿が違和感の無い、タイムスリップしてきた疑惑が大いに浮上した待ち焦がれた太郎さんの登場の余韻に浸り
物語にぴったりな銘柄の日本酒で乾杯。太郎さんそして付き人を務めたがっている執念深い笑蟹さん、本日こそ食する予定です。

2020年7月23日木曜日

節目2020

梅雨明けが来週以降と予報が出るなど7月下旬に差し掛かっても晴れ間は少なく雨天が続いており
今年は連日の感染関連ニュースが報じられている夏でございますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
呟きな記事でございますのでお急ぎの方は恐れ入ります、明後日あたりに更新予定の新国立劇場バレエ団『竜宮』速報まで今しばらくお待ちください。

この時期恒例の内容で恐縮ですが管理人、先日人生の節目を迎えました。12に適当な数をかけた年齢に達した年女でございます。
産声を上げた頃はちょうど夏季オリンピックの時期。体操でコマネチが10点満点を叩き出し旋風を起こしたモントリオールそれとも
1964年の東京大会で銅メダルを獲得しながらも金メダルの「東洋の魔女」達の陰に隠れた悔しさから
大会前より練習を定期的にドキュメンタリー番組にて公開してまずは注目度を高めさせ見事本番では劇的な金メダル獲得によって
日本男子バレーボールに光が当たったミュンヘン、或いは更に遡ってソビエト連邦(当時)が初参加したヘルシンキかいずれとも異なる大会か
具体的な大会や年はご想像にお任せいたしますが、4歳違いの妹も同様に夏季オリンピックの時期生まれ。
スポーツ一族では全くない我が家であっても、世界規模の大会ながらも何処か身近に感じながら過ごして参りました。
しかし今年開催予定であった東京大会2020は延期。本来ならば今頃は大勢の選手団が到着し
昨日は先立ってサッカーの試合が行われ、特例で制定された明日スポーツの日は開会式が執り行われる予定でした。
戦争以外の理由で中止や延期になるとは以前は想像もいたしませんでしたが、
4年経てば当たり前のようにあたかも着実なサイクルの如く開催されると頭の何処かで思っていたのかもしれません。
東京大会2020に関してはロゴの疑惑や新国立競技場建設も迷走するなど負の部分も報道が多くなされていて関心を寄せてはおりましたが
それでは華やかな側面にしか目が行かず、予算にしても開催を支え関わる人員にしても何もかもが莫大なイベントであり
開催までには想像を遥かに超えた長期間に及ぶ入念な準備が不可欠であることを忘れがちであったようにも感じております。

オリンピックと言えば、リオデジャネイロ、ロンドン、北京とここ数大会は夏の旅先でのテレビ観戦の機会もあり
ロンドンだったか、大阪帰りの夜行バス乗り場ロビーにて乗車を待つ方々と大人数でテレビを見守り応援していたあの一体感も忘れられません。
宿泊先のホテルで1人のんびり観戦した日も懐かしく思い起こされますが、今夏は14年ぶりに首都圏から出ぬ生活を送ることとなりそうです。
寂しい気もいたしますが、東京近郊での公演を存分に満喫いたします。

ここ数年の節目当日は休前日や休日が続き、2017年は金曜日、2018年は新国立劇場バレエ団こども『シンデレラ』午前が米沢唯さん午後が細田千晶さん主演
そして昨年はエイフマン・バレエ『アンナ・カレーニナ』東京公演2日目、と盛大且つゆったり寛いだ祝福でしたが今回は平日火曜日。
当日は出勤し寄り道もせず帰宅した、通常の平日と変わらぬ過ごし方でしたが不安が過る報道が連日続くこのご時世
十分に幸せが身に沁みる1日でございました。お祝いのご連絡をくださった方、ありがとうございました。
変わらずとは言いつつ、当日夜は劇場閉鎖が続いたここ数ヶ月お世話になっている動画サイトから
特に心震わせときめかせる映像選を勝手に行い満喫していた管理人でございました。
昨年東京ではない某所での公演に足を運び当日券購入の際U25チケット対象者ではと係の方に案内され、気遣ってくださったのか
それとも中身も見透かされ相当幼く見えたのか定かではありませんが、それはさておき少なくとも中高大生の頃より現在のほうが比較にならぬほど
心身共に元気に過ごしており若い頃に戻る願望が一切無いのは幸せなことであると思う日々です。

今年に限って(来年もか?)明日はスポーツの日ですが、私にとっては芸術の日。明日からいよいよ、劇場でのバレエ鑑賞復帰です。
生バレエ鑑賞復帰第一弾は新国立劇場バレエ団『竜宮』。世界初演の新制作ですので予想も付かぬ舞台で楽しみも一段と強まり
亀の背中ではなく電車に乗って、連日竜宮城へ通います笑。最後に劇場で鑑賞した2月末のバレエ公演新国立劇場バレエ団『マノン』から約5ヶ月、
久々のオペラパレス足の踏み入れに高鳴りが止まりません。勿論感染防止対策は万全にして、劇場発行のガイドラインも熟読した上で参りたいと思っております。
映画においては先月下旬にボリショイシネマ『ジゼル』で劇場鑑賞復帰いたしましたが、映画であっても向かう1週間以上前から妙な緊張が解けず
そしていざ200を有する客席のスクリーンを目の前にすると高揚感が募り、現在のボリショイでの『ジゼル』理想の配役揃いであったため映画にも終始集中。
公共の場での芸術鑑賞におけるどっぷりエネルギー消費に身体がついていかず帰宅後早々に居眠りしてしまった恥ずかしさも残る1日でしたが
映画でこうも興奮したのですから生のバレエ、しかも新国立劇場バレエ団公演となれば管理人の様子はいかに。遠のいていた感覚の取り戻しが今から楽しみでございます。
皆様、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。





さて明日はスポーツの日ですが本日はいつの頃からか変動制となった海の日。そしてこれまた勝手に『竜宮』前日祭及び管理人の節目祝いとして
オリジナル円形菓子を地元のお店で作っていただきました。今年のこどもバレエは極力サービスや装飾を削いだ路線のため(こればかりは仕方ない。上演実現だけで十二分)
毎度本公演も含め心待ちにしている恒例の公演限定デザートも無いようで、あくまで想像ですが亀さんのタルトや乙姫様のゼリーパフェ
竹の葉で包んだ太郎のおにぎり(ちょいと渋いか笑)など販売予定をしていたでしょう。
ならば自身で考え食でも堪能しようと思い立った次第です。管理人の星座である蟹、加えてタニシとサザエも海底にて太郎の出迎え役をさせてもらっている点にも注目を笑。
カードのイラストは画伯の妹が描いてくれました。ラッコの頭に亀が乗っており仲睦まじく、縁には蟹さんもおります。



ご参考までにもう1枚、太郎の着物や髪を結う紐?も似せて作ってくださいました。

それにしても、妹とは正反対で絵心皆無の管理人が描いたイメージ図に呆れもせずケーキを作ってくださったパティシエさんに深謝。
公演チラシも持って行きもし可能ならばと要望も伝えてはおりましたが浦島太郎、特徴を捉えてくださりきりっとした目や眉のあたりが第三キャストに似ています。
私が特に好きな言葉の1つで金閣寺より銀閣寺派である理由の「侘び寂び」を始め美しい日本語が自然と織り成す
お話が詰まったインタビュー映像に再度耳を傾け釘付けとなって鑑賞に備えたいと思う昼下がり、更にはツイッター埋め込みに初成功した記念なる2020年海の日でございます笑。


2020年7月21日火曜日

【今宵は祝杯】日本三景に負けぬ熟視凝視映像祭

本日は7月21日、日本三景の日でございます。江戸時代に全国を旅し、風光明媚な景観地として
松島、天橋立、宮島を記した「日本国事跡考」執筆者である儒学者林春斎の誕生日にちなみ、
宮城県松島町、京都府宮津市、広島県廿日市市で構成された日本三景観光連絡協議会が7月21日を「日本三景の日」と制定したそうです。
http://nihonsankei.jp/index.html

林春斎には及ばぬものの旅多き管理人、天橋立は6年前に京都でのバレエ鑑賞前日に出向き宮島は高校の修学旅行で訪れましたが松島は未だ行っておらず。
松尾芭蕉も好きであるため、憧れを募らせております。旅といえば明日からのGo To トラベル、東京は除外され二転三転する決定に旅行業界は大混乱のもよう。
まだまだ問題が山積みであり、そもそも感染拡大が止まらぬ中での実施も首をすぐさま縦には振れる状況ではない気がしております。

それから『太陽にほえろ』の放送開始日も本日、1972年の7月21日でした。石原裕次郎さん主演で長きに渡り放送され今も語り継がれる名作ドラマですが、
管理人、再放送含め視聴したか否かよく思い出せず。恥ずかしい話、2階以上の建物の階にてブラインドを目にすると
つい指で上下に広げ目を凝らして外を眺める癖があり笑、その都度『太陽にほえろ』と『西部警察』を混同しているわけです。
適当な性格が露わとなるのは今に始まったことではございませんが、ここ最近眺めているといえば、バレエ映像配信も満載な動画サイト。
ほぼ毎週劇場に足を運んでいた時期は特例を除いては滅多に視聴しておりませんでしたが、まだ各地で完全再開できぬ状況下
まことに嬉しい日々の友としてこれまで触れていなかったバレエ団の映像鑑賞や昔の映像見直しての勉強など、たっぷり活用しております。

そんなわけで流し見から派生のブラインド真似事とは異なり、毎度お世話になっている動画サイト内に保存されている
熟視凝視したくなる目も心も奪われるほぼ短編映像選をいたしました。現在当ブログで連続化し、目指せ映画『釣りバカ日誌』を唱えて良いものか
【お茶の間観劇】シリーズでは取り上げてはおりませんが、管理人にとって目も心も奪われる映像選でございます。
一応公式配信中心でございますが、そうでないものもあるかもしれず。その辺り、本日はご容赦ください。

特に解説は付けておりません。またこれかいと突っ込んでいただいても、初視聴或いは懐かしい映像であれば鮮烈な驚きも沸き上がるかもしれません。
最後の映像はおまけ、ちょうど1年前の本日と昨日に本家本元が来日し東京では2日間上演されたエイフマン・バレエ『アンナ・カレーニナ』宣伝映像です。
昨年の来日公演の中では断トツで印象の強い公演であり、日本のバレエ団に置き換えた配役妄想で夢は膨らみ胸一杯な公演でもありました。





















































さて、前半ではいずれも海に面した日本三景、釣り映画に触れましたので次回は開催予定であった東京五輪2020開会式の日程に合わせて今年は23日に迎える
海の日にちなんだ話を綴る予定でおります。但し海だからと言って加山雄三さんは登場しません。お好きな方は各自『海・その愛』を熱唱なさってください。

2020年7月19日日曜日

【お茶の間観劇】シュツットガルト・バレエ団 マリシア・ハイデ版『眠れる森の美女』

シュツットガルト・バレエ団から配信されている2019年12月収録のマリシア・ハイデ版『眠れる森の美女』を鑑賞いたしました。
来日公演でも度々上演されていますが観るのは初。今春に続く再配信と思われ、現地時間の7月18日22時まで視聴できるようです。



タマシュ・デートリッヒとマリシア・ハイデからのメッセージ

https://www.nbs.or.jp/stages/0811_stuttgart/sleeping.html 2008年来日公演時の解説


オーロラ姫:エリザ・バデネス
デジレ王子:フリーデマン・フォーゲル
カラボス:ジェイソン・レイリー


バデネスのオーロラ姫は登場時から弾むような明るさを超えて快活溌剌。少し跳ぶ際も顔や上半身を思い切り捻ったり
屈託のない笑みを浮かべたり、天真爛漫なお転婆娘といった趣きある姫君でした。
2幕では一変して物憂げな表情でしっとりと、3幕の結婚式では赤い花模様の可愛らしい衣装も違和感なく、晴れやかさと可愛らしさを備えた姫として式に臨んでいた印象です。
バデネスと言えば2018年開催の世界バレエフェスティバルにおける『じゃじゃ馬ならし』にて
パワフルであってもダニエル・カマルゴ扮するペトルーチオへの体当たり突っ込みが絶妙な加減で嫌味がなく観ていて爽快だったカタリーナが強烈で
姫のイメージは沸きにくかったものの、徹頭徹尾華麗なる王朝絵巻を貫く例えばマリインスキー・バレエ団のセルゲイエフ版とは異なり
貴族たちや花のワルツの面々も襟を正してではなく場をわきまえるつつも寛ぎながら姫を見守る演出で
姫もローズ・アダージオ最中に恥じらいを募らせるとはしゃぐように友人のもとへ駆け寄るなど
人間味豊かな面を描写した親しみやすいハイデ版にはよく合っていると感じさせました。

もう1人の主役はレイリーのカラボス。紅白歌合戦の小林幸子さんを彷彿とさせる裾の長いドレスを巨大に見せる、回廊からの登場シーンに驚愕し
舞台上に現れてからも裾を器用に翻しながらの身のこなしの軽やかさにも目を見張り、対角線上に横切っては姫が眠る揺りかごへと近寄り脅かす表現も恐ろしや。
ストレートなロングヘアでてっぺんに髪飾りで纏め、腰のあたりが締まった黒いドレスで古代中国が舞台の映画に登場する悪女な雰囲気であった点も斬新に映りました。
プロローグと1幕の間には他の版では大概リラが王子を導く場面で流れるパノラマの音楽で、舞台のカーテンと化したドレスの長い裾を
舞台スタッフも仰天であろう手捌きで全身で引いては捲り、3段階ぐらいで成長過程を交互に見せていく(恐らくは子役を3人程度起用)オーロラの様子を眺め
遂には花束に毒針を仕込む作戦を実行していざ、16歳の誕生日祝いへと向かう流れを表現。執念を滲ませて行くカラボスの心情も伝わりあっと唸らせる仕掛けや演出でした。

4人の求婚者の国は設定せず、東西南北の王子として登場。(パゴダの王子に似ている笑)
東洋系の王子が2名いるのは珍しく、挨拶の仕方からしてトルコ周辺ともう1人は分からず。着物なデザインにも見えなくもなく、髪は髷に近い形で中国か?
ローズアダージオ後も4人で踊り、姫と国王夫妻の前に進み出てはアピールを行うまるでオーディション状態で
そういえば花のワルツの最中に気づけば回廊に登場していた記憶もあり、さほど格式ばった誕生日祝いではなく自然な行動をすっと溶け込ませた流れでした。
結婚式にも臨席し見せ場を盛り上げ、勝者つまりはデジレ王子を讃え祝福。求婚中断で100年が経過してしまい、4人の行く末が気にかかるところですが。

順番前後してプロローグ6人の妖精たちは明るめの色味を放つチュチュで全員同色のカバリエ付き。
リラの精のお付きコール・ドは無く、代わりにカバリエの見せ場は盛りだくさん用意されていました。
壮大な絵巻物とは一味違った、絵本やおもちゃ箱の中を覗いているかのような可愛らしさ、親しみやすさが詰まり
加えてカラボスの執念も事細かに描いた、なかなかユニークな演出の眠りです。再来年の来日公演にて、1度は生で鑑賞したいと思っております。


NBS第31回バレエの祭典ラインナップ
https://www.nbs.or.jp/saiten/lineup/

2020年7月14日火曜日

【お茶の間観劇】キーロフ・バレエ団 コンスタンチン・セルゲイエフ版『眠れる森の美女』

1982年収録のキーロフ・バレエ団(現マリインスキー・バレエ団)『眠れる森の美女』を鑑賞いたしました。私の中での眠りの原点の映像です。
今年はチャイコフスキー生誕180年、『眠れる森の美女』初演から130年そして7月14日は原振付マリウス・プティパの命日でございます。
ウィールドンの次はコルパコワへ飛ぶ当ブログの謎な時間感覚はご容赦ください。



我が家にあった、レーザーディスク。幻影の森の場でのこの神秘的な表情、静かに語りかけるようなコルパコワのポーズには今見ても溜息が零れます。


2枚組でしたので見開きは写真集の如き立派な作り。何度じっと眺めたことか。


音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ
演出:コンスタンチン・セルゲイエフ
美術・ 衣装:シモン・ヴィルサラーゼ
演奏:キーロフ歌劇場管弦楽団
指揮:ヴィクトル・フェドトフ
映像監督:エレーナ・マシュレ
収録:1982年11月 キーロフ歌劇場

フロレスタン王:ウラジーミル・ポノマリョフ
王妃:アンジェリーナ・カバロワ
オーロラ姫:イリーナ・コルパコワ
デジレ王子:セルゲイ・ベレジノイ
リラの精:リュボフィ・クナコワ
カラボス:ウラジーミル・ロプホフ
カタラビュート:ゲンナーディ・セリュツキー


コルパコワのオーロラ姫は至極シンプルで余計な装飾がなく、型を厳守して指先から脚先までどのステップもポーズも丹念にコントロールしながら紡ぎ上げ
内面から滲み出る品位や気高さで魅了。この当時49歳だったようですがお若い頃の映像と比較しても益々磨き抜かれた美しさに感嘆するしかなく、
ワガノワ最後の弟子の映像が全幕収録され現在も観ることが可能である幸運に再度喜びを覚えた次第です。
ローズ・アダージオでは序盤、脚を高く上げ過ぎていない点も印象宜しく育ちの良さやゆかしさ慎ましさが一層引き立っていたと見受けます。
(コルパコワ、決して身体が硬いのではない。誤解無きように)ぴたりと180度或いは更に高く上げている方もいますが、身体の柔らかさは伝わるものの
姫の中の姫であるオーロラにしてはお転婆過ぎる印象が先行してしまうと感じております。
1幕よりもむしろ少女らしさがあった2幕幻影の森の場にも見惚れ、薄暗い光を帯びながら神秘的な表情、静かに語りかけるようなポーズに吸い込まれそうになり
絢爛な結婚式場面ではなく、上の写真にもあるようにレーザーディスクのジャケットにも使われた点にも納得がいきました。

ベレジノイのデジレ王子は可もなく不可もなく(失礼)、肩近くまで伸ばした不思議なカールヘアが最大の印象でしたが
キーロフのダンスールノーブルは控えめ、個性出し過ぎるべからずが理想であったのでしょう。
(そうは言っても華やぎと整ったラインが鮮やかであったザクリンスキーは印象にあるのだが。メゼンツェワとの白鳥の湖は我が白鳥の原点かもしれません)
自然と目が行ったのは意外にもセリュツキーのカタラビュート。1980年収録コルパコワ主演のセルゲイエフ版『ライモンダ』にてアブデラフマンを務めていたものの
一昔前の演出とは言えいかんせん濃厚メイクで極悪人な容貌に仕上げ、かといって踊る場面や見せ場もさほどなくスキンヘッド鬘も違和感のある
描き方にやや問題ありきな役止まりでした。しかしこのカタラビュートでは出しゃばり過ぎず、尚且つ思わず目を引く細かな表現でさりげなく見せ、
例えば序盤から姫がすやすや眠っている様子を伝える際にはオーロラ姫の役にとことん入り込み両手を頬の下につけて眠る仕草の真似もわざとらしさ皆無。
1幕ではオーロラ姫の登場から親族!?として心配そうにじっと眺め、周囲がめでたい歓声で溢れていても
生誕祝いの失敗を16年経過後もひきずっているのか緊張度合いが妙な説得力を持たせていました。
思えば1次審査や精査も行ったにもかかわらず生誕祝いでの招待客記名漏れトラブルはなぜ防げなかったのか。
目視のみならず常にシャチハタ持ち歩くなり印鑑必須(現代においては脱印鑑風潮高まっておりますが)であったのか、後のこの宮廷にて教訓が生かされていると願います。

クナコワのリラは優美さよりも強く毅然とした表現で魅せる妖精。背がすらりと高く、研ぎ澄まされた肢体で場を覆う姉御肌な統率力に惚れ惚れいたしました。
勿論高雅さも備え、長い腕の動き1つ1つで何もかもを包み込み導く姿や全身で音楽をたっぷり使ってのソロも印象に刻まれております。
チュチュと長い裾の衣装、両方ともお似合いです。いつの間にか子分たちに輪の中から姿を現す登場シーンが分かりづらいのは難点で
曲調が晴れやかに変わるあたりで堂々と登場させれば良かろうにと毎度思うわけですが、クナコワの存在感ならば問題無し。

そして忘れてはならぬ、高精度な群舞。ただびしっと揃っているだけでなく滑らかで鷹揚とした趣きもあり、更には体型が見事なまでに綺麗。
この頃のソビエトのチュチュは現代よりも短く、また派手な飾り付けも無し。
そのため腰の位置が高く身体が抜群なラインを持っていなければ罰則着用と化すデザインですが
簡素なチュチュがかえって容姿を一層引き立てる効果大で、つまりそれだけ均整のとれたスタイルのダンサー揃いです。
特にプロローグにおけるパ・ド・シスコーダでのリラの精たちの群舞が横1列で一斉に前方へと進んでいく箇所では足並みの揃いっぷりや真っ直ぐ伸びた脚線美に仰天し、
この映像を初めて観た頃の前年あたりの夏に公開された『となりのトトロ』ねこバスを彷彿させたほどでした。

3幕の結婚式は序盤から仰々しい展開で、オーロラ姫と王子は早々に登場し姫はロングドレスをお召しで
そして下手側に移動し、赤頭巾ちゃんや青い鳥たちなど延々と入ってくる笑(セルゲイエフ版は多し)客人をしっかりお出迎え。
近年の演出では最後の最後グラン・パ・ド・ドゥでようやく登場が主流ですが主役は序盤に入場して招待客お出迎えは私がこの版で特に好きな演出の1つでございます。
また宝石たちも早くに登場し、新郎新婦出迎え担当。その際、後ほど踊るときには使わない各々の宝石らしき飾りが先端に付いた棒を掲げながら歩いて位置につく
この流れが何とも幸福を運んでくれる要素大。たった数秒であっても気分が一気に華やぎ光が零れ落ちてきそうな場面です。

美術と衣装はシモン・ヴィルサラーゼ。絢爛ながらも派手で華美な装飾は抑え(宝石のみ光沢押し出しであったが)
きらりと品良く光る具合を大事に徹底した宮廷王朝絵巻とおとぎ話の世界に浸れます。
作品初演バレエ団の誇りを感じさせる古式ゆかしき、色褪せぬ魅力が詰まった公演映像です。

新国立劇場バレエ団でも開場記念公演の1997年10月から2007年2月まで上演を重ねてきたセルゲイエフ版眠りですが私は2005年の1回と2007年の4回、計5回しか目にできず。
当時は感想記を綴っておりませんでしたので、花のワルツが色彩からして違和感及びとうもろこし畑に見えた鬘そのまま使用問題など取り上げていくかもしれません。
今年は初演から130年、『眠れる森の美女』行脚を引き続き行って参りたいとおります。

それはそうと7月14日と言えば歴史を揺るがした一大事の日。フランス革命記念日です。
フランス絶対王政へのオマージュを盛り込み、クラシック・バレエの最高峰として名高いとされる『眠れる森の美女』が代表作であるプティパの命日と
そのフランス王政を滅亡に追い込んだ革命記念日が同じであるのは、単なる偶然とは思うものの功績や歴史の不思議な巡りを感じずにはいられません。




コルパコワの教え子でありセルゲイエフ版眠りのオーロラ姫を幾度も踊ったラリッサ・レジュニナが監修を務めた
今年2月の東京シティ・バレエ団『眠れる森の美女』でも紹介いたしましたが、昭和に出版された我が眠り手引き書。
求婚者たちにリフトされているのがコルパコワです。当時からこれを読みつつ映像を観ておりました。
この本に目を通し、青い鳥や赤ずきんといったバレエにおける眠れる森の美女の特殊な展開、キャラクターの知識を蓄積。
セルゲイエフ版の全容を辿れる書籍です。後半ページにはソビエト(当時)の新鋭からスターダンサーまでが紹介され
コルパコワ、アナニアシヴィリ、アンドリス・リエパ、ベスメルトノワ、ムハメドフ、ルジマトフ、
タランダ、アスイルムラトワといったバレエ史に刻まれる方々を掲載。
うっとり眺めてソビエトバレエを憧憬しておりましたが瞬く間にソ連崩壊。
報道番組が連日赤の広場とゴルバチョフ一色になっていたと記憶しております。



コルパコワ、最近はオンラインでの対談にも度々登場。昔と変わらず、きりっとした佇まいが美しい。アナニアシヴィリとの対談。
(アナニアシヴィリはマラーホフやボッカ、ウヴァーロフ、そしてラブロフスキーなど錚々たる方々と対談。まさに『ニーナの部屋』。



針山愛美さんもインタビュー。

2020年7月12日日曜日

【お茶の間観劇】イングリッシュ・ナショナル・バレエ団 クリストファー・ウィールドン版『シンデレラ』

イングリッシュ・ナショナル・バレエ団で配信されていたクリストファー・ウィールドン版『シンデレラ』を鑑賞いたしました。
ロイヤルアルバートホールの大きな円形舞台で繰り広げられ、360°の角度から出演者を見渡せる大迫力の公演でした。
全編をざっと観てまたじっくり観ようと思っていたものの配信終了となってしまいうっかり。簡単な感想ではございますが
ダイジェスト映像やリハーサル、衣装製作現場映像、360°ではない正面側のみの客席劇場での公演映像など動画サイトに映像が充実しておりますので是非ご覧ください。



アルバートホールでのシンデレラ予告映像


シンデレラ:アリーナ・コジョカル
王子:イサック・エルナンデス
継母:タマラ・ロホ


コジョカルのシンデレラはその昔新国立劇場でのアシュトン版ゲスト出演時に観たときの元気溌剌な様子とは打って変わり
悲観的で内向きな少女。義姉たちと一緒に踊る箇所が多く一見仲が良さそうな家族にも見えなくはありませんでしたが
継母がとにかくおっかなく笑、義姉たちの陰湿な仕打ちが徐々に露わとなってシンデレラがより哀れに見て取れました。
舞踏会では黄色と金色のドレスで。目の前の別世界に徐々に目を覚まして行くかのように解放感いっぱいに踊り出す姿がいたく愛らしく映りました。
圧倒する存在感であったのはロホによる継母。目の前にした相手をじっと送る視線の使い方といい不変の達者な技術といい
決して大柄な身体ではなくてもダイナミックに示して且つ荒っぽさもなく、厚手の光沢ある素材の衣装も似合い
ちょっとした腰の捻り方や顔の付け方の魅せ方にも長けていて団長の貫禄十二分。
娘を嫁に出したい、玉の輿に乗せたい気持ちは誰にも負けず笑、巨大な金槌で叩きながら靴に足を入れさせようと奮闘する姿には思い切り笑わせられました。
エルナンデスの王子は親しみやすい印象で、宮殿でやんごとなき生活を送るより窮屈な空間を飛び出しての生活のほうが合っていそうな青年。
シンデレラを探し出す際は床に描かれた世界地図の照明を真剣に眺めたり、シンデレラの家到着時にはバネの強いジャンプで沸かせたりと
苦難続きの冒険でもむしろ楽しむ余裕を持っていそうな王子でした。

先にも述べた通り、ロイヤルアルバートホールでの360°から見渡せる大円形舞台での披露は圧巻。
舞踏会の人数も多めで舞台床には視力回復本に載っていそうな湾曲した模様が全体に照明で描かれ
翻る濃い青の衣装の魔力にも吸い寄せられ摩訶不思議な世界へと一気に迷い込まずにはいられません。
前後左右からの観客の視線を感じながら踊ることはどれだけ緊張を強いられるものかと気にもなりますし
他のバレエ団では同じプロダクションを正面側のみの客席劇場で上演しているはずですから、舞台転換や振付も変更して臨んだと思われます。
そして英国バレエのお決まりなのか、被り物たちのキャラクターも大活躍。藁を組み合わせたのか人の大きな顔の被り物や大掛かりな鳥もあり。
そういえば、アシュトン版『シンデレラ』には不在だが、珍しい例なのでしょう。



アルバートホールでの『白鳥の湖』予告映像。白鳥60羽が登場し、360°の客席に配慮して四羽の白鳥は2組が登場します。


アルバートホールでの『白鳥の湖』を目にして思い出したのは、小林紀子バレエシアターや新国立劇場バレエ団で活躍後
バレエスタジオAngel Rでの全幕舞台総合演出や、新国立劇場バレエ団の福田圭吾さんと組んで監修にあたっている公演DAIFUKU及びDAIこと大和雅美さんの鑑賞記。
記念すべき第1回公演360°Nutcrackerの告知にて、ロイヤルアルバートホール公演からヒントを得たと書かれていました。
http://トウキョウダンスマガジン.com/?p=1854

大和さんの鑑賞記。アルバートホール内部や前後の記事にはウエストミンスター寺院やバーミンガムの美術館など英国の古くも美しい建造物の写真も満載です。
http://blog.livedoor.jp/masamifc/archives/2018680.html

舞台を取り囲む形での鑑賞の経験は2012年の7月11日、12日に青山円形劇場にて開催された(まさにちょうど8年前)下村由理恵さんのリサイタルにてありましたが
コール・ド・バレエを360°の角度から鑑賞するのはこの第1回Daifukuが初。ぐるりと全方角を意識した片側に偏らぬ振付に驚かされ一層立体的に見えた記憶がございます。
また昨年2019年のDaifuku Home(バレエ版サザエさん)は横浜公演では360°客席でしたが矢上恵子先生追悼公演で上演された大阪では
正面側のみ客席のホールでしたから、違いを堪能できたのは幸運であったと思っております。

※3月公演が延期となったDAIFUKU vol.6 Strong.Bが2020年9月26日(土)27日(日)の上演が決定したそうです。時間は後日発表のこと、楽しみに待ちたいと思います。
https://www.angel-r.jp/event_ar/daifuku/daifuku-vol06/27087/

2020年7月10日金曜日

【お茶の間観劇】シュツットガルト・バレエ団 マーティン・シュレプファー振付Taiyo to Tsuki ジョン・クランコ振付『フルートとハープのための協奏曲』

遡るものもありますが、シュツットガルト・バレエ団が配信していた作品を2本鑑賞いたしました。
シュツットガルトの配信映像を多くご覧になっている精通者より教えていただき、鑑賞に至った次第です。



ハッピーインターナショナルダンスデイ2020。屋外で踊る様子を繋げた映像です。アジアな建築も見えましたが何処か気になります。


Taiyo to Tsuki
振付:マーティン・シュレプファー
音楽:シューベルト 交響曲第三番 細川俊夫 遠景Ⅲ

http://www.tanz.at/index.php/kritiken/kritiken-2020/2322-stuttgarter-ballett-douglas-lee-louis-stiens-und-martin-schlaepfer
作品解説。毎度無責任ですみません、ドイツ語の日本語訳はご自身で願います。

クラシックとコンテンポラリーの中間あたりな振付で、女性はポワントで踊ります。
フォーゲルやオサチェンコら主役級も複数投入され、特にグレーや茶色中心で一見部屋着風な男性の衣装も
シュツットガルトの実力者たちが着て踊ればそう言わせません笑。(我が記憶内での部屋着バレエ衣装格付け上位に君臨する
ミルピエ版ダフニスとクロエに次ぐデザイン)女性はシンプルな長袖ワンピース。
ユニークであるのが音楽構成で、前半がシューベルトの交響曲第三番で後半が細川俊夫さんの遠景Ⅲ。(恐らく)
前半はフォーゲルを中心に歯切れ良い調子が主で、後半はじんわりゆったりとした曲調に乗せて身体の自在な交錯や
ポーズ1つ1つに至るまでの過程も含め摩訶不思議な世界へと誘われました。
恥ずかしい話、細川俊夫さんについては存じ上げず、オペラ『松風』の作曲者と教えていただきお名前はちらりとようやく浮かんだのでした。
また調べたところ遠景Ⅲは福山の海風景を描いた作品だそうで、知っていれば3年前の愛媛でのバレエ鑑賞翌日、
宿泊先の瀬戸内海に浮かぶ大三島からしまなみ街道自転車走行からの船で尾道に渡り
帰りの尾道から福山駅(駅のホームから福山城が見えます。管理人、高校の修学旅行でも参りまして感激した覚えあり)経由での
新幹線乗車時に曲を脳内再生するなりして旅情に浸ったものですが、次回機会があればと願います。


『フルートとハープのための協奏曲』
振付:ジョン・クランコ
音楽:モーツァルト フルートとハープのための協奏曲



映像ほんの少し収録。最初の18秒あたりまで、短くまとめられています。
他に『ラ・バヤデール』より影の王国、『シンフォニー・イン・C』を上演したトリプル・ビル公演のようです。
インCの女性は白いチュチュですが、銀色の細かな装飾で彩られお洒落なデザインです。


言わば男女逆転プティパ或いはバランシンな作風、役割分担で1人の女性ダンサーの周囲や後方で男性ダンサーが大勢で踊る振付。全員白い衣装で統一しています。
主軸は森田愛海さん。惜しくも今春のNHKバレエの饗宴が中止となりソロでの舞台姿を鑑賞できなかったため嬉しいご出演です。
キビキビと美しく輪郭がはっきりとした踊りで、大勢の長身男性ダンサーを従えても埋もれぬ存在感。
そして最大の見所!?男性群舞。大勢の長身男性ダンサーたちが、大真面目に優雅に
全員呼吸を合わせながらポーズのラインの隅々まで気を配り一生懸命折り目正しく踊る姿に失礼と承知ながら笑いが止まらず。
満面の笑みの人もいれば緊張気味な人もいて、しかし技術が皆しっかりとした基盤があるからこそ
モーツァルトの可愛らしい旋律も相乗効果をもたらし何もかもが微笑ましく絵になって見えました。
※綺麗な体型のダンサーが揃った新国立劇場男性陣にも合いそうです。過去のレパートリーには云々申したくはありませんが
勇猛さや野性味、裸体物に走ろうと男性強化計画として取り入れた『トロイ・ゲーム』やMen Y Menより遥かに宜しいのでは笑。
クランコと言えば、『オネーギン』や『じゃじゃ馬ならし』といった全幕物語バレエの印象しかありませんでしたが
こんな純クラシックな振付でユーモアのある作品も生み出していたとは驚きでした。

ところで、NBSの発表によれば再来年2022年にシュツットガルト・バレエ団の来日公演を予定。
1本はマリシア・ハイデ版『眠れる森の美女』で恐らくは2008年公演以来か。
もう1本はケネス・マクミラン振付の『マイヤリンク』。本家本元は英国ロイヤルですが、映画では観たものの生では未だ叶っておらず今から楽しみでございます。

2020年7月5日日曜日

【お茶の間観劇】パリ・オペラ座バレエ団ヌレエフ版『白鳥の湖』

パリ・オペラ座バレエ団ヌレエフ版『白鳥の湖』を鑑賞いたしました。今年4月頃に期間限定で配信されていましたが
アップの主や経緯は謎ながら映像が残っておりましたため、また2006年の来日公演の白鳥には足を運びましたが
本番中の主役降板もあり場内騒然で落ち着いて臨めず、今のオペラ座ダンサーで全編じっくり観てみたいと思い鑑賞した次第です。

オデット/オディール:レオノール・ボラック
ジークフリート王子:ジェルマン・ルーヴェ
家庭教師/ロットバルト:フランソワ・アリュ
パ・ド・トロワ:セウン・パク、オニール八菜、ポール・マルク



ヌレエフ版『白鳥の湖』歴史。アマンディーヌ・アルビッソンとマチュー・ガニオの主演映像あり。


ボラックのオデットは力強くも不安げな心境を右往左往しているような姫。
滑らか細やかな腕捌きではなく上体もたっぷり使いダイナミックでパワーを思わせつつも王子に向ける目は潤みが宿り
危なっかしさもまた王子を惹きつける理由の1つであったのだろうと想像いたします。
オディールは小悪魔な魅力全開で、手のひらで王子を自在に転がす行為を心底満喫している余裕もあり
パ・ド・ドゥでの大胆な誘惑も嵌っていた印象です。2017年のバレエ・スプリームでは絶不調であったと耳にしたフェッテも
少し冷や汗であったとはいえ回り切って一安心。

ルーヴェは甘い甘いお菓子を彷彿とさせる瞳きらりの甘美な容貌で、好みは別として(失礼)青く、我儘で幼さが残る王子は絵になると好印象。
ヌレエフ版では王子の陰の部分をとことん描き、密接な関係を持つ家庭教師/ロットバルトに操られるままに終幕へ向かい
闇部分が余りに濃いとそれはそれで観ている側も陰鬱になる一方になりそうですがその手前止まりであったのは
醸される瑞々しさが上手く調和して良い方向に作用した効果と捉えております。華と陰のバランスが丁度良い塩梅でした。
1幕の終盤辺り、他の版では道化が急ピッチで踊る箇所でのソロでは顔の傾け方や不安を募らせる伏し目がちな表情と
明るい曲調がかえって急ぎ足で闇へと突き進む危うさを孕んでいるようにも聞こえるほど引き込まれるものがありました。

豪胆な怪しさで魅せたのはアリュの家庭教師/ロットバルト。黒と玉虫色を合わせた厚みある衣装やマントにも負けぬ体躯で場を攫って王子を意のままに操り
王子の両肩に手を置いたり、耳元で囁く仕草だけでも不吉な予感を持たせていました。
この役といえば2006年の来日公演で観たカール・パケットの光を帯びた色気が圧巻でしたがアリュはまた違ったタイプで
より剛健、更には温厚そうな場面と鋭さを見せるときの落差がはっきりとしていて双方とも魅力ある造形であった印象です。
トゥールーズのキャピトル・バレエ団でのヌレエフガラにおけるダイジェスト映像でも黒鳥トロワが含まれており何度も観ておりますが
ロットバルト、ちょいと弱そうでございました笑。

舌を巻いたのは白鳥たちの群舞の振付。三角形を3箇所に作る配置や縦横の列に戻る際も左右対称にせずあえてずらしながら形作る流れ、
向かい合って片手を繋ぎながら鎖状に連なったりとユニークなフォーメーションで、嬉しいことに上からもふんだんに撮影されており
群舞観察がこれほどまでに面白いとは予想外でした。ヌレエフの全幕作品の群舞の振付にも誠に今更ながら注目して参りたいと思います。

1点1点手の込んだ衣装にも目を奪われ、決してボリュームのあるデザインではないものの
胸元の刺繍やビーズ装飾のきめ細やかさ、殆どの役を抑えたピンクの同系色で整えながらも
一見簡素なグレーの装置との相性も宜しく、物寂しさを感じさせぬ色彩感でした。
見事な統一感に感心し、ふと手がけた人物を確認すると美術はエツィオ・フリジェリオ、衣装のフランカ・スクァルチャピーノ、照明はヴィニチオ・シェリ で
ヌレエフ版『ラ・バヤデール』やボリショイの新装こけら落としからの『眠れる森の美女』と同じ布陣。
お馴染みの方々なのか、勉強不足で存じ上げずですが手にかかれば間違いない絶大な信頼を寄せられている3人組なのでしょう。

1990年前後のヌレエフ黄金世代ばかりを未だイメージとしてすぐさま浮かべがちな時が止まった状態の管理人。
旬のパリ・オペラ座ダンサーたちにも注目していきたいと思えた、予想外に集中し見所満載な『白鳥の湖』2019年公演映像でした。
過剰な嗜好偏重にならぬよう、引き続きパリ・オペラ座博士にも学びながら視野を広げていきたいと思っております。

2020年6月30日火曜日

マイ ジゼルとは何ぞや


テレビ画面の貼り付けは宜しくないとは思いますが、迷宮状態なためお許しください。


突如不可解な記事名で失礼いたします。本日までは勝手にジゼル週間でございます。前回と異なり短めの内容ですのでご安心ください。
当ブログでは度々話題となっておりますボリショイ・バレエ団グリゴローヴィヂ版1989年収録の『くるみ割り人形』映像、
元々はレーザーディスクで所有しておりましたが随分前から機材も故障し修理にも出せず、2009年のモスクワ滞在時にグリシコで購入したDVDを今も時々観ております。
ウェアには興味を示さず、DVDそしてお店に置かれていたロシアのバレエ雑誌をもっと読みたいと片言にもほどがある英語で伝えたところ
裏からバックナンバーを何冊も持ってきてくださり、全冊購入。変わり者と思われたでしょうがそれはさておき
雑誌のある号には、ちょうどその約2ヶ月前にモスクワ国際バレエコンクールでペアを組み銀賞を受賞した、 現在ロイヤルシネマにてリラの精の予定のはずが主役の当日降板により急遽代役でオーロラ姫を踊り大成功を収めた話題沸騰英国ロイヤル・バレエ団の金子扶生さんと
東京都内のバレエ公演再開の弾みとなればと願う7月下旬開幕の新国立劇場バレエ団新作『竜宮』のトレーラー映像に浦島太郎役で登場された
奥村康祐さんの写真も掲載されていました。お2人ともまだ大阪を拠点に活動なさっていた頃です。

さて話を戻します。くるみのDVD主演はナターリア・アルヒーポワとイレク・ムハメドフ。『くるみ割り人形』役以外は恐らくは子役無しで
おもちゃの兵隊たちとネズミ軍団の戦争場面は『スパルタクス』さながらの男性群舞が大活躍。
また通常は2幕から登場する各国のお人形さんたちが不気味な真夜中の場面からクララと共に怯えたり、
戦争がおさまったときには喜びを分かち合ったかと思えば雪が降ってきたらはしゃいだり
2幕では花のワルツへの場面転換を誘導するかのように盛り上げクララと王子の結婚式のお手伝いや付き添いもこなすなど繋がりを色濃く描いた演出も特徴です。

そのDVDにはボーナストラックメニューがありつい先日初めて再生してみたときのこと。
Ballet's trailerとしてグリゴローヴィヂ版作品シリーズとして同時期に発売された映像の一部分が数分程度収録されています。
『イワン雷帝』、『石の花』、『ロミオとジュリエット』、『眠れる森の美女』、『ジゼル』、『愛の伝説』、『ライモンダ』、
ここまでは分かるのですが、最後の8本目に記された文字は MY GISELLE。マイ ジゼルとは何ぞや、と疑問を持たずにはいられません。
先に挙げた『ジゼル』はグリゴローヴィヂ版でナターリア・ベスメルトノワとユーリー・ヴァシュチェンコ主演。
勿論市販化されレーザーディスクは我が家にもございました。しかしMY GISELLEとは誰にとってのMyであるかも分からず。
再生してみるとグリゴローヴィヂ版ではなくラヴロフスキー版のようで、舞台美術や衣装もだいぶ色彩感が異なり
ジゼル役は可憐で愛らしいリュドミラ・セメニャカ。(先週のシネマでのラトマンスキー版における肝っ玉母さんも素敵でしたが笑)
決して上質とは言い難い不鮮明な映像ながら、1幕ワルツでの全員一列で両端にジゼルとアルブレヒトの姿が見える場面が収録されています。
説明の文字からして1990年の映像と思われますが、ただこの頃にはグリゴローヴィヂ版も発表されており、1990年の来日公演でも上演。
私も鑑賞予定でしたがベスメルトノワの舞台化粧に対する苦手意識が働いたのか発熱して断念。教訓としているのか以来体調不良による鑑賞断念はございません。
ひょっとしたらこの時期は両方をレパートリーとして現地では上演していたのかもしれませんが真相は分からず。
ともあれどなたかセメニャカご贔屓のバレエ研究者が携わった経緯からであるか、市販化映像にはより詳細な内容が収録されているのか気になるところでございます。

それにしても当時の連なる指導者たちの名前には興奮を覚え、ウラノワ、コンドラーチェワ、セミョーノワそして1週間ほど前に逝去したニコライ・ファジェーチェフまで
歴史に名を刻むダンサーばかりです。こう言ってはなんだが、映像では何度か目にしているご子息アレクセイ・ファジェーチェフよりも
モノクロ写真でしか触れていないニコライ・ファジェーチェフのほうが印象に残っているのは不思議でございます。
特にウラノワとのジゼル1幕で腕組みしてのジャンプだったか、微笑むジゼルににっこり笑いかけている場面は幸せに満ちた躍動感が伝わる写真でした。
ああ、ミルタ役はグラチョーワ。強い念力や情念を備えていそうで、想像だけでも胸が高鳴らずにはいられません。
一昔前の『ジゼル』、現代の『ジゼル』、魅力はそれぞれに詰まっており
ましてや管理人版「マイ アルブレヒト」なんぞ始動すれば語りが止まらなくなりそうですのでこの辺りでお開きといたします。
このままですとボリショイ街道まっしぐらブログと化すのは目に見えているため、次回はまた違うお国へ行って参る予定でおります。
日本で特に絶大な人気を誇るバレエ団でファッション関連を始めメディア登場も多しカンパニーにも拘らず
ロシア系に比較すると我が鑑賞回数は格段に少なく更に学びを広げていきたいと思っております。

2020年6月28日日曜日

ボリショイ・バレエ in シネマ Season 2019 - 2020『ジゼル』

約3ヶ月ぶり劇場鑑賞復帰第一弾は映画から、6月24日(水)ボリショイ・バレエ in シネマ Season 2019 - 2020
アレクセイ・ラトマンスキー改訂版『ジゼル』を観て参りました。
https://liveviewing.jp/contents/bolshoi-cinema2019-20/#information

スパイスイープラスでの紹介
https://spice.eplus.jp/articles/270675


音楽:アドルフ・アダン
振付:アレクセイ・ラトマンスキー
台本:テオフィル・ゴーチェ、ジャン・アンリ・サン=ジョルジュ
出演: ジゼル:オルガ・スミルノワ
アルブレヒト:アルテミー・ベリャコフ
ハンス(ヒラリオン):デニス・サーヴィン
ミルタ:アンゲリーナ・ヴラーシネツ
バチルド:ネッリ・コバヒーゼ
ベルト:リュドミラ・セメニャカ
モイナ:クセーニャ・ジガンシナ
ズルマ:アナスタシア・デニソワ
ペザント・パ・ド・ドゥ:ダリア・ホフロワ、アレクセイ・プーチンエフ


ボリショイ劇場ホームページより収録当日の詳細キャスト
https://www.bolshoi.ru/en/performances/7095/roles/#20200126180000



ダイジェスト映像




リハーサルやインタビュー


スミルノワのジゼルは登場時から快活で朗らか。上背もあり孤高崇高な姫のイメージが先行し村娘役はなかなか想像し難かったのですが
夢見る不思議ちゃんな趣で、目をパチパチさせながらアルブレヒトを探し回る健気なところや
アルブレヒトが懸命に話しかけても上の空な表情を浮かべるなど、掴みどころのない愛らしさがありました。
身体が弱いからと大事に大事に育てられ、外との交流も余りなかったであろう事情を思えば他の娘たちとはだいぶ異なる風変わりな魅力があった点も納得。
狂乱は静かに静かに、目を見開いたかと思えば虚ろな目つきで壊れていくさまに痛々しさが募りました。
ラインの美しさは絶品の一言で、アルブレヒトと戯れるときも精霊となった後も指先から脚先に至るまで神経が行き届き微塵も崩れず。

ベリャコフのアルブレヒトはジゼルに対して純粋な反応を見ては喜びされど花占いでは元気付けようと必死に励ましたり遊びか純情か序盤では見え辛かったものの
ジゼルの死を眼前にしたときの行動が圧巻。農夫たちに何度も取り押さえられながらも突き放してはジゼルに縋り付き
常日頃から力仕事に従事する農夫たちも仰天の怪力男である設定か否かはさておき、それだけジゼルへの執念が凄まじかったと見て取れる1幕終盤でした。
惜しむらくは髪型で、中途半端に長く且つぱっくり真ん中分けで角度によってはルネッサンスと杯を掲げるネタで知られるお笑いコンビ髭男爵のひぐちくんを彷彿。
恐らくは制作側からの指定かと思いますが(初演時のアルブレヒト像かもしれぬ)その点を除けばプロフィール写真など素顔はそこまで古めかしくないのだが
舞台上ではいわゆる少女漫画系ではなく一昔前の銀幕の世界に登場しそうな古風な容貌に均整のとれた抜群のスタイル
雄々しくも品性を持ち合わせた踊りといい深く熱が迸る表現といい『ライモンダ』でのジャンに引き続き我が好みのツボをだいぶ押された次第でございます。

3月のシネマ『ライモンダ』にてスミルノワとベリャコフは見た目は中世の宮廷歴史絵巻に相応しい美女美男で誠に宜しいバランスと惚れ惚れしましたが
崇高で凛然とした姫と懸命に尽くす騎士なるお2人で心震わす感情の通わせがあったかと聞かれたら2幕後半のあわや誘拐な緊急時における救出劇以外は大きくは頷けず。
舞踊絵巻な作品ならば良いのでしょうが、ドラマ性が濃い『ジゼル』でのパートナーシップはやや不安もありました。
しかしいざ観ると心配無用、1幕序盤でのアルブレヒトが捕まえようとしてもすり抜けてしまうジゼルのやりとりでは
会話が聞こえてきそうなほどはしゃぐように戯れていて、高身長の2人ですから容姿と行動の対比にも殊更微笑ましく頬が緩んでしまいました。
2幕では度々ジゼルの墓から離れようとせず、従者の催促に見向きもせず後悔の念に駆られるアルブレヒトを
空気に溶けて消え入りそうに儚くもそっと優しく包み込むように接して細やかな感情の行き来が見え、しかも2人とも一瞬一瞬が絵になるフォルム。
ドラマ性の強い作品においても予想に反してお似合い且つ化学反応も香り立つペアでした。

舞台をビシッと引き締め盛り上げたのはハンスのサーヴィン。『パリの炎』ジェローム(2017年来日公演で観て感激)や
シネマでの『くるみ割り人形』における軽やかな身のこなしで見せ場を作っていたドロッセルマイヤー、長過ぎる『海賊』で辛うじて目を開けていられたのは
サーヴィンのビルバントの存在があったからこそ、など舞台に登場すれば必ず厚みと面白味を加える
名前が目に入ると鑑賞を何倍にも楽しみにさせてくださるダンサーで今回も期待以上。
やや濃い目のメイクのせいか遠目で見ると博多華丸さん風にも見えなくもなかったが笑、
序盤から木陰に立って「ハンスは見た」な立ち位置でアルブレヒトとウィルフリードの会話を聞き逃すまいと覗き見る姿や
アルブレヒトの身分暴露の機会を窺いまずは証拠の剣を落ち葉で隠す行動から粗暴そうであってもジゼルに尽くす情熱、不正を許したくない正直過ぎる性格は誰にも負けず
もう少しジゼルに歩調を合わせてそっとアプローチをしていたならば恋は成就したであろうにと思えてならずでした。
2幕、音楽と呼応するようにウィリたちからの囲い込みに狼狽える姿から劇的に盛り立て突き落とされる最期に至るまで劇的に盛り立てる活躍です。

そして最たる嬉しい配役の1人がコバヒーゼのバチルド。当ブログのプロフィールに明記しているほど好きなダンサーであり(虜になってかれこれ15年目)
出演だけでも喜びが込み上げてくることに加え事前に読んだ情報によればジゼルとも交流をしっかり行う姫君である設定と知り
ぴたりと嵌りそうと想像しておりましたが神秘的な美しさを秘めたお顔立ちに醸される性格も含め絵になり過ぎる姫君。
明るめのブルーのドレスを纏い、本物の白馬に跨って登場する姿からしていよいよ中世ドイツのおとぎ話の絵本の世界に迷い込んだ心持ちにさせられました。
ジゼルと出会い、もてなし準備のために一旦引っ込んだジゼルの印象を雄弁なマイムで何と可愛らしい少女と感激しきりな様子でクールランド公に伝え
その後はジゼルと仲睦まじくお互いの婚約者について語らいのひととき。見間違いもあるかもしれませんが
バチルドは背景画のお城に向かって手を掲げ、結婚式の日には踊りを披露に来て欲しいとジゼルを招待する意向を示していたほどで
ジゼルを妹のように可愛がる優しいお姉さんにも見えました。ベルトに止められてももう暫く話をさせて欲しいとまで訴えていましたから
余程ジゼルが愛おしくて仕方かなかったのでしょう。聞き上手でジゼルの婚約者自慢の話にもじっと耳を傾け
間近に迫ったお互いの結婚を我がことのように祝福し合う光景に、まさか婚約者が同じ男性であるとは本人たちは知る由も無く、結末が分かっているとはいえ
2人が会話に花を咲かせ仲睦まじくなればなるほど切なさに押し潰されそうになりました。
アルブレヒトの二重婚約発覚後も戸惑いはあっても露骨に怒りは見せず、それよりも仲良くなった愛おしいジゼルが発狂し苦しむ姿に胸を痛め
狂乱の様子も顔を時折覆いつつ手を差し伸べたくても出来ずもどかしさや悲しみを募らせていた印象です。
初演時の振付通り2幕最後は憔悴しきったアルブレヒトを皆で迎えに訪れ慰める中で幕。2人にとってジゼルは束の間の幸福をもたらしてくれたのは紛れもない事実で
きっとこの慈悲深いバチルドとアルブレヒトならばジゼルの月命日には必ず花を手向けに墓を訪れ祈りを捧げるであろうと想像いたします。

そして往年のバレリーナであり現在は教師を務めるセメニャカによる母ベルトも忘れられず。ジゼルにウィリの悍ましさを語る場面がたっぷり時間を取る演出で、
ジゼルの経験に裏打ちされた悲哀と冷たさが宿るポーズ1つ1つに説得力をもたらしていました。
セメニャカがジゼルを踊る写真はボリショイ劇場ホームページにも掲載され、異次元の美しさです。

眺めているだけでも恐怖感とひんやり冷風に包まれそうになったウィリたちの群舞も見事。
衣装の柔らかな素材やデザインの影響もあるのか一層軽やかで幽玄な雰囲気と化し、ジゼルが登場後急速回転を行った直後に一斉に移動して十字架の形を作り
ジゼルが交差部分に入る仲間入り儀式の流れは身の毛がよだつ恐ろしさでした。
パ・ド・ドゥ直前には復刻曲なのか厳粛で弾みのある音楽に乗せてジゼルとアルブレヒトを追いかける場面もあったかと記憶。
唐突に思えたのはほんの僅かで、新米ながら規定に逆らいミルタに刃向かうジゼルとすぐさま殺めたい対象であるアルブレヒトを追い詰める効果大でした。

改訂振付、演出を手掛けたアレクセイ・ラトマンスキーはかなり初演時の舞踊譜や史料を読み込んだようで、
音楽も振付共にもはや改訂しようがないのではと勝手に思い込んでいた作品ですが初演時の振付や音楽を違和感なく取り入れ、
幕間の解説によればソ連寄りであった傲慢冷酷な貴族のイメージ解釈をヨーロッパ寄りに戻してバチルドとジゼルの仲睦まじい関係を描いたり(聞き間違いがあったら失礼)
マイムを多用したりと新鮮且つ古色蒼然に見せぬ上質な舞台でした。以前目を通したシリル・ボーモントの著書
『ジゼルという名のバレエ』を再度読み、初演時からの変遷を紐解いて学ぼうと思います。
1つ欲を言えば、墓参りの場面は薔薇の花束を持ちウィルフリードの肩にもたれかかりながらではなく1人で百合を持って登場いただきたかった思いもいたしますが
従来の演出の印象先行による望みですし従者との関係性もより覗ける演出も宜しいかと考えを転換。
男性目線であると捉えるご意見もあるかもしれませんが、終幕ジゼルがアルブレヒトに対してバチルドのもとへ行くよう促し
戻ってきたアルブレヒトをバチルド優しく赦す演出にも私はいたく納得。
明らかに遊び人なアルブレヒトならば疑問を投げかけたくなるでしょうがジゼルにも本気で愛情を注いでいたとするならば
結果として三角関係になってしまったもののお互いを尊重し合う仲に発展していた女性2人は見捨てたり復讐に燃える行動には走らないと思うのです。
別れの場面はお墓ではなく、反対の上手側前方の茂みに横たわったジゼルが離れたがらないアルブレヒトの手を握りつつ
安堵の笑みを浮かべながら消え行く流れは胸を締め付けられそうになりながらも浄化される余韻を残しました。

また主要キャスト4役(アルブレヒト、ハンス、バチルド、ベルト)が現在のボリショイの中では我が脳内で描く『ジゼル』理想の布陣だったこともあり、
特にボリショイの男性ダンサーでは即座に名前を挙げたくなるベリャコフとサーヴィンの熱い対決は夢の共演実現でしたしそこへコバヒーゼが絡んで並び
セメニャカも出演。前回のボリショイシネマ『ジゼル』には足を運ばず今回もキャストが分かるまでは鑑賞する気はそこまで進んでおりませんでしたが
発表された途端脳内花畑。先に挙げた4方の嵌りようは勿論、スミルノワの空想好きそうな少女っぷりも響き
今までに観た海外のバレエ団やダンサーの『ジゼル』で生、映像含め一番心に刻まれる公演でした。再上映があれば是非ご覧ください。
名物司会進行のカテリーナ・ノヴィコワさんの登場シーンにも驚かされるかもしれません笑。



余談
※ベリャコフについて、ボリショイ・バレエ団2020年来日公演ジャパンアーツ特設サイトの写真や来日公演チラシ掲載写真は端正で知的な風貌が大変素敵なのですが
ボリショイ劇場ホームページの写真が風に吹かれた怪しい兄さんな写りで、誰が掲載を決めたのか知りたいものです笑。(プロフィール写真、大事)


※ここ最近はバレエを映像で満喫する習慣が身に付き、せっかくですから予習も兼ねてベリャコフの映像を辿ってみたところ驚愕。
初めて海外のダンサーのファンの方が運営のSNSを覗いてみると、写真のみならずいかにして映像を入手そしてアップしたのか分からぬと考える隙も与えぬほど
多岐に渡る映像満載。まとめられているため検索も不要で20本程度は映像があったかと思いますが、驚きに拍車をかけたのが務めてきた役柄の幅広さ。
『白鳥の湖』王子とロットバルト両役の経験は知ってはおりましたが、グリゴローヴィヂ版『ロミオとジュリエット』でもロミオとティボルト両方務め、
(ラトマンスキー版ではロミオのみ)白と黒両方で惹きつけることができる大変魅力あるダンサーであると再確認。
他のボリショイ男性プリンシパルのレパートリー事情はよく調べていないため詳細は分かりかねますが(失礼)
昨年夏頃プリンシパルに昇格したばかりとは思えぬ主役経験の豊富さに仰天いたしました。(リーディングソリスト昇格時は2階級飛び級だったらしい)
しかも古典のみならず『明るい小川』でのシルフィードに扮した生真面目姿には深夜に大笑いしてしまい
ロシアの報道番組内で放送されたらしき、マクシモワとワシリエフの共演が刷り込まれている『アニュータ』でのしっとりしたパ・ド・ドゥも視界に入り
ノイマイヤー版の『アンナ・カレーニナ』ではヴロンスキーを務めたようですがお若い年齢にしては貫禄があり過ぎ、カレーニン役のダンサーが気になります。
そういえば、何年か前には『じゃじゃ馬ならし』では先輩クリサノワのカタリーナを娘に持つ設定のお父さん役でした。
マイヨーの要望だったのでしょうが今思えばよく若手に託したと思います。
3月のシネマ『ライモンダ』直後に少し調べただけでも驚いたものですが、
既に主役のツム(ボリショイ劇場隣の百貨店。赤の広場のグムより使い勝手が良さそうな印象)
到達かと思わせ今回は映像も多々目にできたこともあって、ロシアバレエ界の噴水の如き自由な映像放出事情にはおそロシアと呟くしかありません笑。
そして来日公演の実現を願い、『スパルタクス』やガラのみならず平日昼公演の『白鳥の湖』にも足を運ぼうと思っております。




平日の昼間にこの場所へ来たのは初、青空を背景にゴジラがお出迎え。



タイムスケジュール。観客は200人収容の会場に20人程度でした。



スタジオジブリ作品の上映もあるようです。



帰りはこちらへ。3ヶ月ぶりの劇場鑑賞後の一杯はドイツ居酒屋へ。



陶器に入ったビールとバワンレバークネーデル(肉団子のきのこソースかけ)料理で乾杯。開店早々であったため、貸切状態でした。
それにしても、3ヶ月ぶりに公共の場で芸術鑑賞しかもこれまでのボリショイシネマで最も終始集中してじっと見入る映像で終映後にはたっぷりのビール飲み干しと
久々の行為に身体もついていかなかったのでしょう。酔いの回りが早く、帰宅後早々に就寝。自宅で焙じ茶飲みながらの鑑賞に慣れ切っていた管理人でした。



レジ近くにあった貴族を描いたと思われるレリーフが美しい瓶。写真どうぞと言ってくださり、喜んで撮影。



※ところで、実は3年前から疑問の不思議なジゼルの法則がありましてこの度もびっくり笑。
今回は映画ですが、東京で観た印象に残るジゼルの公演3本が全て6月の3連続日に集まっております。
※愛媛のジゼル(2009年2018年)は殿堂入り


2020年は6月24日


2006年は6月25日


2017年は6月25日、26日

偶然か周期があるのか分かりかねますが、毎年6月24,25,26日はジゼル感謝祭としてドイツのお酒を嗜む日にしようと制定。
そして奇しくも本日6月28日は『ジゼル』パリ・オペラ座での世界初演の日。当初の予定では今頃は群馬県高崎市に滞在していたはずですが
都内から出ぬ1日、『ジゼル』の映像や写真を眺めながら過ごしたいと思っております。

2020年6月21日日曜日

【お茶の間観劇】ミュンヘン・バレエ団 ガラ Gala mit Stars des Bayerischen Staatsballetts

バイエルン州立劇場(ミュンヘン・バレエ団)から配信中の2017年1月上演のガラ
Gala mit Stars des Bayerischen Staatsballettsを鑑賞いたしました。バレエ団の公演は初鑑賞です。
様々な時代の作品が組まれたプログラムで現在も配信中ですので(恐らくは6月27日まで)是非ご覧ください。感想は短めですのでご安心を笑。
https://t.co/3d08gwEOJE



レッスン再開の様子。



Der Nussknacker - Grand Pas de deux
Choreographie Vasily Vainonen
Musik Peter I. Tschaikowsky
Tatiana Tiliguzova, Dmitrii Vyskubenko
Vladislav Dolgikh, Konstantin Ivkin, Wentao Li, Erik Murzagaliyev

『くるみ割り人形』よりグラン・パ・ド・ドゥ。但し女性1人に男性複数人の構成で見覚えのある振付と思ったらワイノーネン版。
衣装が本家マリインスキーのメルヘンな趣からはかけ離れたすっきりスタイリッシュなデザインであったため
また男性も白い丸みある鬘も無く違和感は拭えなかったものの、名物鯱リフトも決まりお見事。
芸術監督がゼレンスキーだからこの振付を採用と思われるが詳細は分からず。


Parting
Choreographie Yuri Smekalov
Musik John Powell Assassin's Tango
Maria Shirinkina, Vladimir Shklyarov

一昨年2018年のマリインスキーバレエ団来日公演にてエカテリーナ・イワンニコワとコンスタンチン・ズヴェレフ組で観て気に入ったスメカロフ振付『別れ』。
純朴で愛らしい印象が先行していたマリア・シリンキナが驚くほどに色っぽく、身体の線がよく見える腰までスリットの入った赤紫のドレスもお似合いで
大胆な開脚で絡む流れも嫌味を感じさせず。永遠の少年とどうしても思ってしまう(失礼)ウラジーミル・シクリャローフがタンゴの曲で踊る姿も新鮮。


Schwanensee - Weißer-Schwan-Pas de deux
Choreographie Marius Petipa, Lew Iwanow
Musik Peter I. Tschaikowsky
Prisca Zeisel, Erik Murzagaliyev

アダージオであってもプリスカ・ザイセルのオデットは実にダイナミック、特に肩から腕、背中にかけての筋肉も立派で王子よりも遥かに強そうでオディールも観てみたい。
ムルザガリエフはぱっと目を惹く華は控えめだが勤勉そうな雰囲気に軍服衣装がよく合います。


Raymonda - Grand Pas de deux
Choreographie Marius Petipa, Ray Barra
Musik Alexander Glasunow
Ksenia Ryzhkova, Alexander Omelchenko
Luiza Bernardes Bertho, Antonia McAuley, Vera Segova, Freya Thomas
Vladislav Dolgikh, Konstantin Ivkin, Wentao Li, Dmitrii Vyskubenko

レイ・バラ版『ライモンダ』よりグラン・パ・クラシック。セルゲイ・ポルーニン客演時にダンスマガジン2019年2月号にてカラーで大きく報じられていたため
記憶の片隅にございました。(随分と野性味がある印象だったが)
ライモンダは嘗てモスクワ音楽劇場バレエ団に在籍していたクセーニャ・リシュコワ。そういえば2015年の来日公演時はゼレンスキーが芸術監督を務め
入団2年目ぐらいの新進気鋭ダンサーとしてプログラムで紹介されていたと思い出しました。
まろやかで上品な踊り、少し憂愁を帯びた神秘的なお顔立ちにも自然と惹きつけられる姫君です。
ジャンのヴァリエーションは新国立劇場にて毎年夏開催のガラ公演バレエアステラスフィナーレで馴染み深い『バレエの情景』Op.52 より第8曲 ポロネーズを使用し
格調高く力強く気分が高揚する曲調で聴くたびに惚れ惚れする曲でまさかヴァリエーションでの使用には驚かされましたが舞台を一気に盛り立てる効果大。
衣装は全員薄めの金色とオフホワイトと合わせ、太い縁取りがアクセントになったデザインで
中世(とは言っても時代はまちまちだが)らしく胸元が平たいカッティングである点も嬉しく結婚式の場面だけでも全編通して観たいと思わせます。


Spartacus - Pas de deux Aegina-Crassus
Choreographie Yuri Grigorovich
Musik Aram Chatschaturjan
Prisca Zeisel, Erik Murzagaliyev
そうでした、グリゴローヴィヂ版『スパルタクス』をミュンヘン・バレエ団でも採用しているのでした。
エギナのザイセルはオデットよりずっと生き生き。ギラついた陽性オーラを放ち、全幕で群舞を従えても負けぬ存在感があると想像。
ムルザガリエフは茶色いクルクルカールの鬘無しであったためか健全クラッススに見えたが、エギナにお仕えしている感はなかなか良いかもしれません。



スパルタクス上演時のゼレンスキー、グネーオ、ザイセルへのインタビュー。



Frühlingsstimmen
Choreographie Frederick Ashton
Musik Johann Strauß Frühlingsstimmen-Walzer
Mai Kono, Javier Amo

アシュトン振付『春の声』。英国ロイヤル・バレエ団以外でも採用されているとは知らずにおりました。
2006年の世界バレエフェスティバルでの初鑑賞時に登場時の振付から「花咲かコジョカル」と勝手に名付けた記憶がございます笑。
花びらと共にほんわかと幸福感を振り撒き、スパスパっと素早いポーズの切り替えも含め河野舞衣さんがいたくチャーミング。


Le Corsaire - Pas de deux
Choreographie traditionell
Musik Adolphe Adam, Léo Delibes
Maria Shirinkina, Vladimir Shklyarov

ここはマリインスキーの誇りを示したかったのか、シクリャローフはブルーのパンツ。謎の網襷も無く、腰部分の煌めく装飾も二重丸。(私の中でアリといえばこれです)
シリンキナは一見ロシアのものではなさそうな、抑えたゴールドで整えられたデザインで2人のバランスが今ひとつでしたが各々は似合っていましたから良いか。
ヴァリエーションはシェル男爵作曲『シンデレラ』の中の1曲、何度聴いても歌えない曲調です。シクリャローフのヴァリエーションカットの理由は不明。


Romeo und Julia - Balkon-Pas de deux
Choreographie John Cranko
Musik Sergei Prokofjew
Ksenia Ryzhkova, Jonah Cook

クランコ版『ロミオとジュリエット』よりバルコニーのパ・ド・ドゥ。リシュコワのジュリエットはロミオとの再会に高鳴る鼓動を必死に抑え
徐々に心を解放していく表現が実に細やか。同性でも蕩けそうになり、品位ある舞台姿も好印象。全幕を観ているかのようでした。
『ライモンダ』でも『ロミオとジュリエット』でも全幕主演舞台を鑑賞したいと感じさせたダンサーです。
ドラマティックな表現はダンチェンコ時代によく訓練され培われたのかと思います。


Don Quijote - Grand Pas de deux
Choreographie Marius Petipa
Musik Ludwig Minkus
Ivy Amista, Osiel Gouneo
Irina Averina, Luiza Bernardes Bertho, Shuai Li, Antonia McAuley, Vera Segova, Freya Thomas

イヴィ・アミスタのキトリは輪郭がはっきりとした鮮やかさで魅了。勢い任せにせず、ポーズも1つ1つ丁寧に描き出していました。
ボリュームのあるチュチュで、表は白地に緻密な金色レース模様ですが裏側は赤。翻る度に赤色が覗き、明るさやめでたさが倍増です。
グネーオのバジルは胸元が開き過ぎる衣装が気になって仕方なかったが笑、2月のコジョカル「救済プロジェクト」で鑑賞したときの『海賊』とは異なり
決してステップを詰め過ぎず過剰なバランスも取らずあくまでシンプル路線。


冒頭ではプログラムと一覧と共に夜の灯りと雪に包まれたプリンツレーゲンテン劇場の光景が映し出され、ミュンヘン旅情にも浸れます。どうぞお楽しみください。


余談:自宅でも旅気分と思い、以前にも触れましたが焙じ茶を飲みながらサスペンスドラマの再放送をよく観ております管理人。
昨夜は渡瀬恒彦さん主演の『タクシードライバーの推理日誌』を視聴していたところ、舞台は広島県尾道市。
2017年夏に愛媛でのバレエ鑑賞後すぐに瀬戸内海に浮かぶ大三島に移動し、翌朝からしまなみ海道を自転車で走り
途中からは船で渡り降り立った場所で何かしらバレエを思い出す日々でございます。
県外移動が解禁されても暫くは都内から出ぬ日は続きそうで、バレエ映像や2時間サスペンスで旅気分を味わいたいと思っております。

2020年6月17日水曜日

【お茶の間観劇】ペルミ・バレエ団 ミロシニチェンコ版『ラ・バヤデール』

ペルミ・バレエ団が配信していたアレクセイ・ミロシニチェンコ版『ラ・バヤデール』を鑑賞いたしました。
バレエ学校のドキュメンタリーは見たことはありましたが(リュドミラ・サハロワ先生が恐ろしかった印象ぐらいしかないが)初めて鑑賞するバレエ団です。
ミロシニチェンコは映画『マチルダ』での振付も担当していたバレエ団首席振付家とのこと。



メイキングドキュメンタリー。主演者へのインタビューやインド人エキストラを交えたリハーサルの様子も映されています。


ニキヤ:ナタリア・オシポワ
ソロル:ウラディスラフ・ラントラートフ
ガムザッティ:マリーヤ・アレクサンドロワ


オシポワは失礼ながらニキヤのイメージが当初は沸かず、半ば恐る恐る鑑賞いたしましたが(失礼)
抑えてはいても反骨心露わな表情が前面に出ていてこれはこれで魅力ある強者舞姫。かえって大僧正の心をくすぐってしまうのでろうと推察です。
しかしガムザッティとの修羅場では身分財力全てにおいて勝ち目がないと俯きなら悟り、瞬時にして悲哀感に包まれた姿に祈る思いで見入ってしまったほど。
花籠は随分とブンブン振り回していた印象ですが、とにもかくにもパワフルで四肢の可動の激しさがそのまま執念の滲みに繋がっていたもよう。
影となったあとも儚さは無く、弾むように鋭く踊り熱や体温を感じさせ続けていた姿は寧ろソロルを引っ張っていた何処までも頼もしいニキヤでした。
順番前後して登場時、被っていたベールが頭から外れてしまい冷や冷やしましたが肩に乗せたまま維持。
顔が見えぬよう真下に折り曲げ、状況を察した大僧正も肩から力を込めて取り外し、ニキヤが顔を上げるのを今か今かと待ち侘びる心も伝わり見事な咄嗟の判断でした。

ラントラートフのソロルは登場時からお人好しそうな雰囲気でもう少し見るからに戦士らしさがある方が好みですが
強気過ぎる女性2人の板挟みになる姿が絵になるのも説得力があると言い聞かせた次第。
記憶が正しければガムザッティとに対面時に剥ぎ取った虎の皮らしきものを肩から掛けていましたが
米国アニメ版の熊の物語のキャラクターな色合いで思わず笑いが込み上げ、
その後ニキヤが舞を披露する1幕後半では隅っこの壁に隠れて項垂れている有り様で、情けなさに更なる拍車をかける効果がありました。(笑)
白っぽい衣装であった点も猛々しい戦士ではなくすっきり品のある人物に見せていたのかもしれません。

大きな見どころであったのがアレクサンドロワのガムザッティ。ただ怖い、意地悪ではなく将来は藩をしっかり治め繁栄させるであろう
知性や政治能力にも長けていそうな女性で、登場での美しさを見せびらかそうとせず落ち着いた足取り、表情で現れる姿から明らかでした。
赤い模様を彩った衣装や蝶を模した金色の髪飾りも似合い、最前列からでも見え辛い画廊に展示されているサイズ館の小さ過ぎるソロルの肖像画を目にしても
いかに魅了される男性であるかと全身で表現。観客に伝えてくださいました。
2幕冒頭ではピンク色の長い裾のある衣装でメイクも濃いめでまさに『ムトゥ 踊るマハラジャ』あたりに登場するインド映画の王女様。
その後はチュチュに着替え、久々に大作にてクラシック・バレエを踊るアレクサンドロワを目にでき
嘗ては天を突き刺すような潔い脚先に驚愕したイタリアンフェッテを始め技術は少々衰えは否めなかったものの
場の支配力や絢爛な空間にて祝福されるに相応しい王女っぷりは健在。感激もひとしおでした。
ニキヤのソロではガムザッティは姿勢崩さずじっと見据え、ソロルは下げたままの顔を上げられず笑。2人の力関係が明確過ぎます。

立ち役の従者やニキヤのお付きにインド人エキストラを採用した点も話題になったようですが、
映像のせいかさほど気に留まらず。ただ生で劇場で鑑賞したら壮観であったかもしれません。それよりも、インド人の視点からこの作品の感じ方を知りたいのだが笑。
(2006年のボリショイ来日公演では近くにインド系のご家族の観客がいらしていたが、時々笑いながら鑑賞していました)

気にかかったのはパ・ダクションと影たちの衣装がよく似た形状、色合いでもう少し違いがあれば尚良かった印象。
チュチュは全体が大きく膝にかかりそうな丈でプティパ作品の世界初演時代を彷彿させ、ボリュームがあり過ぎる気もいたしました。
影の群舞は手に汗を握らせるダンサーやばらつきもかなりありましたが、チュチュの雲海と化した光景はなかなかの迫力。

2006年のボリショイ来日公演におけるガムザッティ役でアレクサンドロワの虜となり早14年。好きな海外の女性ダンサーと聞かれたら最初に名を挙げ
プロフィールにも明記しているほどの存在になるきっかけとなった役柄を2014年以来久々に鑑賞でき、幸運でございました。
またオシポワのニキヤに対抗できるダンサーは恐らくは数少なく笑、アレクサンドロワとマリアネラ・ヌニェスぐらいでしょう。
そして先述の2006年におけるアレクサンドロワのガムザッティ日本初お披露目当時はコール・ド・バレエに属しながらも
影のヴァリエーションで頭角を現していたオシポワ(他にも影トリオにはニクーリナやクリサノワ、コバヒーゼと宝庫状態であった)が
火花を超えて火山級の対決の実現映像の鑑賞にも喜びに浸った次第です。


インドの踊り(太鼓の踊り)ソリストをエンジン全開で務めていた宮原詩音さんのブログより、衣装の作りがよく分かる写真を載せてくださっています。
くす玉の例えに思わず納得。
https://ameblo.jp/miyahara-shion/entry-12430065365.html

2020年6月14日日曜日

【お茶の間観劇】1984年6月11日収録 アメリカンバレエシアター アットザメット ミックス・ビル




1984年6月11日に収録された、メトロポリタンオペラハウスでのアメリカンバレエシアターミックス・ビルを紹介いたします。
動画サイトにも作品ごとに経緯不明なるアップがされていますが、DVDもまだ何処かでは入手できそうなため少しでもご興味を持たれましたら購入して損はありません。
かれこれ30年ほど前から繰り返し観ているやや古めながらも今観ても色褪せない魅力が凝縮した映像で、どこかの機会で綴りたいと思ってはおりましたが
劇場での鑑賞や講座受講など日々充実していたため市販化された映像の紹介にまでは手が回らず。
この機会に、また開催が36年前の3日前でしたのでこじ付け感がある点は目を瞑んでいただけますと幸いでございます。
是非ご覧いただきたいお勧めの映像ですので紹介は簡潔に済ませますが悪しからず。但しいつも以上に独断と偏見が多いかもしれません。





『レ・シルフィード』
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:フレデリック・ショパン

マリアーナ・チェルカスキー
シンシア・ハーヴェイ
シェリル・イエガー
ミハイル・バリシニコフ

シルフィードたちが巧者集団で、妖精らしい軽やかさがありつつも凛然として揃っているクールな雰囲気。
1978年のガラとは衣装が変わり独立提灯袖となったため、肩から腕の部分が見えるようになった点も
華奢なフォルムの一層の引き立ちに効果をもたらしたと思えます。
微笑みを湛えて大らかに舞い、パステル画を彷彿させるマリインスキーの『ショピニアーナ』と比較するといたく面白く
音楽構成と振付は同じであってもあたかも全然違う作品を観ている心持ちにさせられ、
どちらが良いか否かではなく各カンパニーの持ち味や表現はそれぞれで、双方甲乙付けがたい魅力があると感じ入ります。
チュチュのたなびきと連動しての柔らかに弧を描く腕運びが見事なチェルカスキー
派手な技巧は無しでも、音楽と溶け合うようなロマンティックな趣きも似合うバリシニコフにも引き込まれます。
恐らくは3、40年前のABT得意演目で節目やミックスプログラム時には頻繁に上演されていたのか完成度が実に高く、私の中では『レ・シルフィード』の決定版。
ー 演奏が澄み切った空気の中を流れるように細やかで清々しく、誠に上品な点も気に入っております。
冒頭では夜のメトロポリタンオペラハウス前のライトアップされた噴水や内部の煌々と輝くシャンデリアも映し出され、METに入場した気持ちで鑑賞できる点も嬉しい。


シルヴィアーパ・ド・ドゥー
振付:ジョージ・バランシン
音楽:レオ・ドリーブ

マーティン・ヴァン・ハメル
パトリック・ビッセル

派手な要素を求めず振付、音楽に忠実に踊るハメルの折り目正しさが目に胸にじわりと響き、お手本を眺めているかのよう。
ビッセルは『ドン・キホーテ』におけるバリシニコフのバジルとガンを飛ばし合いながら笑、火花を散らしていたエスパーダの印象しかありませんでしたが
やや前のめりな音取りが一瞬気にはなるものの気づけば演奏とぴたりと合い、ダイナミック且つさらりと端正。
パートナーシップも頗る良く、特にアダージオ後半にてハメルが斜めに身体を傾けながらの回転では
遠心力までもが音楽がぴたりと噛み合いビッセルのサポートの上手さが光るところの1つ。
ブルーを基調にピンクの小花や銀色模様に彩られたゴージャスで煌びやかな衣装も必見です。
何度も観ているパ・ド・ドゥですが、ダンサー、踊り、衣装、音楽すべてが調和していてこれまた私の中の決定版でございます。
1996年の第1回マラーホフの贈り物にて、アマンダ・マッケローとマラーホフが踊っていますが、すっきりしたデザインの衣装を着用していました。
後に劇場で鑑賞したアシュトン版やビントレー版、ノイマイヤー版も良作であるとは思いますが、
轟いていた雷鳴がおさまり打って変わって寄せては返す漣を思わせる曲調へと変化したところでクラシカルな装いの2人が登場する
独立したグラン・パ・ド・ドゥ形式が管理人、この映像を初めて観たときから好みでございます。


トライアド
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ

ロバート・ラ・フォス
ヨハン・レンヴァル
アマンダ・マッケロー

2人の双子の青年と1人の女性の三角関係と取り巻く青年たちを描いているらしいがすぐさま明確には分からず。
しかしプロコフィエフの劈くヴァイオリンの音色が渦巻く思惑や良からぬ関係性を暗示していると窺え
身体を思い切り傾けたり、手を真っ直ぐに繋いだ青年の腕に干された布団の如くパタリと身体を折り曲げた状態で引き摺られたり
人体綾取りと名付けたくなる複雑に絡みながらの造形といったマクミラン特有の振付が散りばめられ、陰鬱な作品であっても気づけば堪能。
衣装はシンプルで、マッケローはピンク色のレオタードに切り込みの多いスカート、男性陣は赤系マーブル模様の総タイツです。
気まぐれなのか鬱っぽさがあるのか掴みどころのない女性をマッケローが好演。


パキータ
改訂振付:ナタリア・マカロワ
音楽:ルートヴィヒ・ミンクス

シンシア・グレゴリー
フェルナンド・ブフォネス

レスリー・ブラウン、スーザン・ジャフィ、シンシア・ハーヴェイ、ディードラ・カーベリー

タイトルロールのグレゴリーの型を厳守した踊りにこれまた恍惚と魅了され、とにかく肩から腕にかけてのラインが崩れず
また余計なことはせずとも深紅のバラがぱっと花咲くような舞台姿、経過年月問わず記憶に残り続けると確信。
ブラウンの軽やか達者で抜群のコントロール力に、間延びを一切思わせぬ音楽を全身でたっぷり魅せるジャフィも唸らせ
ハーヴェイの優雅さを持たせつつ豪快な跳躍や軸のぶれぬ安定感から繰り出す職人級の連続回転も圧巻でした。
カーベリーの伸びやかで音楽にぴたりと嵌る踊りも心躍らせ、凄腕揃いであった1978年の『テーマとヴァリエーション』に比較すると
群舞はばらつきが目立ってはいたものの舞台を華々しく盛り立てていた印象。
対角線上に女性陣が勢揃いした中を堂々ゆったり登場するブフォネスも場に相応しい華や品、躍動感とエレガント魅力を備え
当たり前であるとは重々承知していてもグラン・パのリュシアンは相当な人物でないと務まらないと再確認。
来年2021年1月に新国立劇場バレエ団が18年ぶりに再演を予定しており、配役が今から気になるところです。

※ケース記載の順番と異なり、私が観る限りヴァリエーションの順序は1ブラウン、2ジャフィー、3ハーヴェイ、4カーベリーに見えましたが
違っていたら申し訳ございません。


いつも以上に勝手な気ままに綴りまして失礼いたしました。同時期の1980年代から1990年頃にかけて鑑賞した
テレビ放送録画を含む映像も当時から紹介したいものは山々ございますが、いかんせんその頃はインターネットも無く
またちょうど就労もせず学校へも行かずな時期でしたので鑑賞の感想を語り合う知り合いもおらず、30年の時を超えて現在に至ってしまいました。
当ブログでもまだ触れていないながら何処かでの紹介を考えている映像としては、ベスメルトノワやヴァシュチェンコの『レ・シルフィード』や
ムハメドフの『スパルタクス』抜粋上演したボリショイのロンドン公演や、キエフバレエのアンナ・クシネリョーワ主演『眠れる森の美女』
ガリーナ・メゼンツェワとコンスタンチン・ザクリンスキー主演レニングラードバレエ(当時)『白鳥の湖』など色々ございます。
ただそうこう言っているうちに管理人の劇場鑑賞復帰(但し映画)も近づいて参りましたので、タイミングを見つつ紹介して参りたいと思っております。

2020年6月10日水曜日

アリス事件ー下巻ー

今月に入って以降電車通勤者も増え、分散ではあっても学校の授業も再開されつつ
映画館や美術館図書館、習い事の教室なども制約を設けながらも営業再開の様子が伝わってきます。
映画館においてはパリ・オペラ座『真夏の夜の夢』や私も3月に鑑賞したダンスの饗宴、マシュー・ボーン版『ロミオとジュリエット』やロイヤルシネマシリーズ、
英国ロイヤル・バレエ団『ロミオとジュリエット』再映も始まりご覧になった方のご感想を楽しく拝読しております。
しかし管理人、映画においてはバレエ関連作品も多々公開されているにも拘らず未だ足を運んでおらず
平日の出勤はほぼ通常通りで電車利用は何ら問題ありませんが、3月中旬以降休日は自宅周辺徒歩圏以外には出向かぬ習慣が根付いてしまい
毎週末のように劇場通いしていた日々が遠い記憶状態でございます。勿論バレエ公演再開後は劇場へ足繁く通う予定でおりますが
『雄大の部屋』も終了し、まだ暫くの間の週末昼下がりは焙じ茶を飲みながらバレエ映像そしてサスペンスドラマの再放送を視聴する生活が続きそうです。

さて文庫本でもシリーズを度々読み、時刻表を用いたり目的地へのありとあらゆる移動手段を絞り出しては捻った経路を導き出したりと日本各地を巡る
旅情に浸れる作風や十津川警部と亀さんこと亀井刑事のコンビぶりも好みで先週末も毎度のように西村京太郎トラベルミステリーを視聴していたときのこと。
映し出された駅を見ると上野駅の公園口そして群馬県の高崎駅!前者は東京文化会館目の前の改札で下車回数は数知れず。下半期は可能なら何度も通いたい駅でございます。
後者は今年上半期の最後を飾る予定であった新国立劇場バレエ団『不思議の国のアリス』千秋楽の地であり初の群馬公演会場である高崎芸術劇場の最寄駅で
駅看板には群馬県のキャラクターぐんまちゃんが描かれご当地感も十二分。ちなみに舞台となった特急列車名は「あけぼの」で
『眠れる森の美女』や『コッペリア』を彷彿させ、一見バレエに絡みがなさそうな作品であっても常に身近にご縁のある芸術であると再確認です。

ところで事件と言えば、今年の年明け早々に紹介したアリス事件ー上巻ー。早5ヶ月が経過いたしましたが
本来であれば初台にて連日『不思議の国のアリス』の世界に入り浸りな時期ですので下巻も綴って参ります。
身内絡みの話のためお急ぎの方は次回のお茶の間観劇更新をお待ちください。

遡ること2年前の11月、WOWOWのバレエ・プルミエールにて新国立劇場バレエ団によるアリス初演特集が組まれ放送されました。未加入のため複数の友人より
感想をお寄せいただいたりその後は録画を見せていただき(感謝)、自宅で堪能できた次第です。
主要な役を務めた4人のダンサーが出演し、アリス役の米沢唯さん、ハートのジャック役の渡邊峻郁さん
白ウサギ役の奥村康祐さん、ハートの女王役の本島美和さんが集まり、大貫勇輔さんと本田望結さんによる司会進行で楽しいお話が繰り広げられました。
各々のキャラクターになりきって1人ずつの登場で、放送当時は公演の終了後でしたので舞台を思い起こしながら鑑賞。
そして聞き取り調査を行ったお互い(1人のダンサーの対して他の3人がそれぞれ回答)印象を大貫さんが発表なさり
米沢さんは鉄人(確か)、本島さんは女優、奥村さんは動物が似合い絵が上手(新国立画伯の先駆け)、渡邊さんは知的エネルギー溢れる真面目スーパージャンパーだったか
他にも多数の印象が語られていたと曖昧な部分もございますが記憶しております。

特に面白かったのが盛り上げ係なのか奥村さんのお話。渡邊さんに対して、見ての通り真面目であること。またスーパージャンパーだが
ジャンプが得意な人は割とちゃらんぽらんな人が多い!?と発言なさり笑、しかし渡邊さんは例外であると主張する奥村さんは跳ぶときの渡邊さんを
真剣な顔つきで(恐らくは奥村さんにとって精一杯の渡邊さんの顔真似であると思われる笑)「ウー、ッハー!!」な感じですと、椅子に掛けたまま口頭で再現。
この光景には隣で見ていた母も大笑いし、真面目なんだねえ、きっとお侍さんのような人なのであろうと捉えておりました。(間違ってはいないと思う)
映像は最初から一緒に見ており、渡邊さん登場時は名前の漢字が読めないとの一点張りでしたが(このときは字が読めない人)、
本島さんの美しさやハートの女王の嵌りっぷり、同年のNHKバレエの饗宴『くるみ割り人形』2幕にて
奥村さんのネズミ王がいたく気に入っていたため楽しいお人柄にも感激していた様子でしたが
すぐ近くにいる長女が同年の『眠れる森の美女』着物イベントへ出かけたお目当てとは知る由も無く
真面目ジャンパーを再現したウー、ッハー発言には笑いたい放題でございました。

最後視聴者に向けたメッセージとして、米沢さんの「新国立劇場は… … 初台駅のすぐ近くです」発言にも出演者一同笑い転げ米沢さんも壁側に逃亡笑。
我が家も笑いに包まれましたがただ笑っただけではなく、妹が東京都で最も交通の便が良好そうな学校の卒業生で
学校説明会に参加した際にもらった案内に最も目立って記されていたのが「アクセスナンバー1」の文字。
公立の進学校ですしそこまで強調せずとも入学希望者は集まるであろうと思うものの
妙に感心してしまった不動産業者の如き宣伝と米沢さんの思わぬ発言が重なる部分も大きく、勝手に親しみを感じていたのでした。
すかさず大貫さんが「雨に濡れずに行けます!」と救いの手を差し伸べ、番組終了。
再演のアリスは全公演中止になってしまいましたから振り返れば誠に貴重な映像と思います。

さて、事件は翌日に発生。前夜見たアリス特集が余程面白かったのか平日の慌ただしい朝にも拘らず、母が話題にしておりました。

「米沢さんの不動産屋さん発言面白かったねえ」
「本島さんは舞台でなくても美しかったねえ」
「ネズミの王様の人、良い人そうだったねえ」

(管理人の心境、あと1人!)

「あら、もうこんな時間」

(管理人、椅子からずり落ちた。母気づかず…)

まあ仕方ない。それに翌年1月は長女が目的は伏せたまま突如オペラに行くとの話に観たいと言い出し
藤原歌劇団『椿姫』初日を別席で鑑賞しテレビ放送も視聴。(放送録画を視聴時も字が読めなかったらしい)
加えて3月には『ラ・バヤデール』3月9日(土)昼公演を1階前方席で鑑賞し、ソロルも好印象だったようですし帰宅後にアリスや椿姫闘牛士を思い出したのか
字の難しい人だ!と繋がったもよう。今年に入ってからは配信の『ロメオとジュリエット』を通りすがりにチラッと見た程度でしたが
果たして記憶の片隅にあるのか分かりかねますが、まあ良いか。

そして本日は言いたい放題をお許しください。予定通りであれば本日6月10日は『不思議の国のアリス』東京公演日程で最も待ち望んでいた日でございました。
新国立ダンサーペア主演且つ2018年『眠れる森の美女』でも参加した、きものサロン主催のイベントに今回も参加予定でおり、
要項を目にしたときから着物や忍ばせる役柄、モチーフを考えていた管理人でございます。
舞台の余韻に浸りつつ花が咲き誇るお庭付きのまさにアリスが住んでいそうなお洒落な洋館を改装したお店にて食事を堪能しつつ、
また当日主演のお2人がゲストとして登場されお話を聞くことも心待ちにしておりました。ううう。
ただ忘れてはならないのは、参加予定者よりも遥かにお辛い思いをなさっているのは主催元の関係者やレストランの方々。
日程調整、お店の確保、参加者の募集や連絡に会の進行プログラム、料理のメニュー決めなど大型の催しですから企画の段階から大変骨の折れる作業であり
レストラン側はこのイベントにとどまらず結婚式や歓送迎会なども何件もの予約がキャンセルとなっていると思われ
誰が悪いわけでもなくお互い開催したい気持ちは山々ながら中止せざるを得ない事態にはお気持ちを察するばかりです。

長くなりましたが、ご参考までに2018年『眠れる森の美女』初日終演後に行われた着物イベントの様子です。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-1.html

参加者は約70名で筋金入りの新国立ファンは3人。ゲストにとっても我々筋金入り!?にとってもアウェイ空間でしたが
(そして着物着慣れていないのは管理人1人であったと思うが)同じテーブルの日本舞踊好きな方々とも会話が弾み
何よりバレエの魅力を工夫しながら伝えてくださるゲストお2人のお話や目の前でのマイム再現にも感無量になった、和やかな雰囲気の催しでした。
時間を要するとは思いますが、再びこういった催しが開ける日が戻りますように。




偶然ですが、2018年『眠れる森の美女』着物イベント公演日は『不思議の国のアリス』バレエ団初演のチラシが初めて配布された時期でした。
薔薇の花が重要なポイントであるのは共通である点から、着物を入れて記念に撮影。気分だけでも本日に置き換え、想像を巡らせたいと思います。



当日に着用した着物の上前部分。レンタル店のホームページにて白地にピンク色の薔薇模様が視界に入り
イーグリング版『眠れる森の美女』のイメージに合うと即決でした。黒みがかった色彩は追ってくるカラボス!?

※次回はお茶の間観劇再開です。36年前の明日、つまりは1984年6月11日にメトロポリタンオペラハウスで収録された
アメリカンバレエシアターのミックスプログラムです。本日ジャック役で舞台にそしてトークイベントのゲストとご登場予定であった
渡邊さんが昨年のニューイヤー・バレエに向けて参考になさっていたとインタビューで仰っていたバリシニコフ主演の『レ・シルフィード』が収録されています。
バレエに興味を持ち始めた頃からかれこれ30年繰り返し観ている思い入れの強い映像でございますが、週末あたりをお待ちくださいませ。

2020年6月7日日曜日

新国立劇場バレエ団2020/2021シーズン開幕公演『白鳥の湖』から『ドン・キホーテ』に演目変更

新国立劇場バレエ団2020/2021シーズン開幕公演演目がピーター・ライト版『白鳥の湖』に代わり『ドン・キホーテ』上演決定の発表がありました。
https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017511.html

ホームページも更新されています。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/donquixote/



2013年公演動画 3分でわかるドン・キホーテ


吉田都舞踊芸術参与(次期舞踊芸術監督)のメッセージ。就任最初の演目変更に心境を察しますが
ダンサーたちに寄り添いながら一丸となって成功させたいお気持ちが伝わってきます。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/26_017520.html

新国立劇場における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインも発表されています。定款や約款並に膨大な内容ですが観客も必読。
https://www.nntt.jac.go.jp/common_files/pdf/20200605_guideline.pdf


海外での準備を伴う新制作の上演はもしかしたら厳しいかもしれないと予感はしており、
万一変更の場合は再演を重ねている古典作品且つ劇場で保管している衣装や装置で対応可能な演目であるとするならば
今年のゴールデンウィークに上演を予定し、上演可否が見えぬ中で練習を重ねながらも中止となってしまった『ドン・キホーテ』が理想であろうと思い描いておりました。
何よりも幕を上げること、公演を行うことがまずは大事ですから変更しての上演は大歓迎です。

また吉田次期監督が大原監督の思いを汲み取っての決定にも頷き、2019/2020シーズンガイドブックにおけるラインアップについてのインタビューで大原監督は
<『ドン・キホーテ』は私の思いで(笑)、6回公演を主役は6キャストで上演します。><ぜひ毎公演楽しみにしていただけたら。>と配役を熱弁。
特別演劇要素の濃いわけでもなく、ボリショイの演出振付で話も音楽も明快なズンチャッチャ系統ですから大原監督が心底好んでいらっしゃる作品ではないと思いますが
バレエ団の層の厚さを証明したいお気持ちで今だからこそ可能な、しかもゲスト無しの自前でキトリ5人バジル6人のバレエ団史上最多に組んだキャストは
とりわけの以前シーズンラインアップ説明会でも仰っていた男性ダンサー強化を目標に掲げた
大原監督の集大成の1つとも窺えていただけに速水渉悟さんの主役デビューも含め、年内の実現に繋がって安堵もしております。
キャストはそのままスライド、小野さん福岡さんペアが1日増える日程となりました。

ピーター・ライト版『白鳥の湖』は来年秋に延期とのこと。新制作の上演に向けて準備を進め
またご自身も主演経験のある吉田次期監督の任期最初を彩るに相応しい演目での開幕とはいかなくなりましたが
これまでにない厳しさに直面しているダンサーたちに寄り添い、公演を成功に導いてくださると思っております。
再演を重ねてきた、何もかもがスカッとしそうな明るい陽気な作品で無事来シーズン開幕できますように。気を緩めずこれまでと同様感染防止に努めて参りたいと思います。
来シーズンの開幕、序奏が終わり陽光降り注ぐバルセロナの港町に切り替わった瞬間込み上げてくるものがありそうです。

開幕演目変更やシーズンチケット中止、払い戻し作業など対応が山積みで終わりがなかなか見えぬスタッフの方々の労苦は想像に難くなく、敬意を表します。
劇場再開後は一層感謝の思いで、通い詰めたいと思っております。

ところで気になるのは2021年4月に延期となった山形公演。当初は牧阿佐美さん版『白鳥の湖』上演の予定でしたが
来年への延期に伴い新制作のピーター・ライト版を上演予定と発表されました。しかし本拠地初台において2021年秋の初演予定となりましたから
それ以前に山形での上演はまずないと思われます。そうなれば、山形交響楽団との共演も話題を呼んでおりましたし
『白鳥の湖』の演奏リハーサルも進んでいた点を踏まえると、当初の予定通り牧さん版『白鳥の湖』上演となりそうな予感がしておりますが
管理人の勝手な予想ですのでどうぞ発表をお待ちください。

牧版上演だそうです。

2020年6月4日木曜日

【お茶の間観劇】新国立劇場バレエ団『ロメオとジュリエット』

新国立劇場より、巣ごもりシアターシリーズとしてバレエは第3弾ケネス・マクミラン版『ロメオとジュリエット』が明日6月5日(金)14時まで配信中です。
https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017336.html

スパイスイープラスにて巣ごもりシアターの見どころを紹介してくださっています。
https://spice.eplus.jp/articles/270063


収録は2016年11月4日公演、主演は小野絢子さん福岡雄大さんです。
これからご覧になる方もいらっしゃることと思いますのでこの場ではあれやこれや語りはいたしませんが(但し自信はない)
第1弾の『マノン』と同じく著作権が厳しいであろう2本目のマクミラン作品配信に発表時は誠に驚きました。
劇場スタッフの方々の交渉の賜物そして事態が事態なだけにマクミラン財団側も許可を下したのかと想像いたします。大変嬉しい配信です。

この年の『ロメオとジュリエット』小野さん福岡さん主演日は1度しか観ておらず、また米沢さんムンタさん日を含む鑑賞した3回全て上階末端席でしたので
アップ映像で表情や装置美術の細部まで観察できるのは喜ばしいこと。映像ならではの魅力でしょう。
舞踏会にやってきた福岡さんロメオがジュリエットを見るなり、恋に落ちましたと言わんばかりのマスク越しでも火照った表情であった点や
娼婦長田さんの大胆で気風の良い踊りも懐かしく思い出しながら鑑賞いたしました。明日6月5日(金)14時まで配信中ですので是非ご覧ください。


以下はお時間の許す方のみお読みください。お急ぎの方は恐れ入ります、次回のお茶の間観劇まで今暫くお待ちください。
さて、本題渡邊さんのパリス。(主役やないねんとの突っ込みは流します)昨年2019年の小野さん福岡さん主演日にも渡邊さんはパリスを務められ
容姿は耽美な貴公子ながら3幕では約束が違うと怒りを滲ませていく表現が秀逸で腕組みした後ろ姿のみでも高圧的な態度に背筋を戦慄が走るなど絶賛いたしましたが
私の鑑賞眼の乏しさを物語る恥ずかしい話、同じ役柄であってもこの2016年公演当時は好印象一切持てず心にも響かずでございました。
当時の感想を前ブログで読み返しても、パリスについては出演者一覧の明記のみ。
茶髪が不自然に思え、また七三分けの髪型の古風を超えた不自然さが真っ先に目に飛び込んだまま
ジュリエットへの接し方云々に我が目が行き着く間もないまま終演。(当時の自身が恨めしい)
きちんとご覧になっていた方によれば小野さんジュリエットと米沢さんジュリエットに対してそれぞれ異なる役作りで臨んでいたとのちに聞いて驚きを覚え
気にも留めずにおり、また普段から醸す雰囲気だの打ち震わす表現力だの諸々連ねながらも結局は容姿、
しかも同一人物でも写真にしても舞台姿にしてもそのときによって脳内で気ままに印象を変化させている我が単純な性格を思い知らされたわけでございます。

公演映像配信開始早々、このときのパリスは好みではないと勝手過ぎる私の感想を知るお世話になっている複数の方々が
パリスの印象情報をノーブルで表情も素敵だから、訴えるものがあるからと文面にて送ってくださって
とにかく早う鑑賞するべきと助言をいただき、先週末に鑑賞した次第です。結果、正面から見るとどうしても先にも述べた
髪型メイク共に自然であった点も合わせて昨年の名演渡邊さんパリスと比較してしまいましたが
横顔、中でも1幕のジュリエットとの初対面時に手をそっと取って甲に口づけし、何か語りかけようしている高貴な表情や立ち姿にうっとり。
そういえば、偶々通りかかった家族も作品は知ってはいてもパリスの役どころを忘れていたのか
一瞬王子であると勘違いしたほどです。(そして我が家全員ファンである本島さんキャピュレット夫人を観るなり、ああ姐さんと大興奮笑)
そして舞踏会でのゆっくり優雅に滑らせるサポートにも見惚れ、3幕拒否の姿勢を崩さぬジュリエットに困惑と少し怒りも込められた表情で迫る姿
特に横顔の真剣な眼差しには予想以上に心臓を射抜かれました。
思えば1幕、結婚相手としてパリスに初めて会ったときのジュリエットは嫌がってはおらずむしろ興味津々な様子。
恥ずかしがって乳母のもとにすぐ駆け寄ってしまっても視線はパリスに向けられていたりと優しそうなお兄さんが突如目の前に現れ
驚きや喜びが交錯した状態で見つめていたのでしょう。この場面の小野さんジュリエットがいたくあどけない無邪気な少女で同性から観ても頬が緩みっぱなしです。
もしジュリエットがロメオに出会わずこのまま予定通りパリスと結婚していたら、両家の決め事であったとはいえ
兄のように慕う新婦と妹のようにたいそう可愛がる新郎の姿を妄想いたします。

そして可愛がるといえば、菅野さんティボルトがパリスと一緒にジュリエットを眺めるときだけは束の間の緊張中和時なのか実に仲睦まじい光景。
お互い親族関係になる将来を喜び合っているとも思えるほのぼのとしたやりとりでした。
この年の末頃に発売された『ダンススクエア』に菅野さん渡邊さんが対談インタビューで登場され、
前にも新国立ダンサーが掲載されていた旨は知っておりましたため試しに手に取り開いたところ アイドル雑誌に団内でとりわけ似つかわしくないお2人の登場は違和感あり過ぎでしたが(褒め言葉)、個性の強い役も好きと語る菅野さんのお話や
チキン南蛮弁当の楽屋持ち込みを迷った渡邊さんのエピソードが思い起こされます。
本屋で雑誌を見つけたのが2016年末、この時点での渡邊さんに最も惹かれたお姿はおけぴの柴山さんとのシンデレラ初主演リハーサル写真で
パリスとは別人か!?と目を疑う大人の貫禄や渋めのオーラにほんの少しときめきましたが、
大晦日から数日後の衝撃お正月火の鳥事件勃発はまだ知る由も無いダンススクエア立ち読みでした)

話を戻します。全体を通して映像は既に2回は鑑賞しており、より胸を高鳴らせた大きな理由の1つがテレビ画面に映しての鑑賞であったため。
携帯電話上のYoutube等動画の画面をテレビに映す機械の購入については以前記事でも紹介いたしましたが、
新国立劇場の配信はホームページに埋め込まれた形態のためテレビでの鑑賞は断念しかけておりました。
機械にある程度精通している方ならばさっさか可能にするのでしょうが、いかんせん嘗ては「化石」と呼ばれていた管理人。
『マノン』、『ドン・キホーテ』は携帯電話画面での鑑賞で満足できたものの『ロメオとジュリエット』はどうにかテレビ画面で鑑賞できぬものかと
願望を募らせるも機械操作の研究を伴う作業は半ば諦めておりました。しかし執念に突き動かされたのか調べに調べたところ
携帯電話上の操作をそのままテレビ画面に映すアプリケーションなるものを知り、利用してみると
Youtube等を映す機械と連動するのか見事、テレビの大画面にて再生成功。但し画質は少々粗めで音は携帯電話からしか発しないため
テレビ画面とはややずれて聴こえてくるものの、渡邊さんパリスがしかも全幕版でテレビに映ったのですから万々歳!
2016年のパリスは何も響かなかったと言い走っていなかったかとの突っ込みは受け流します笑。
時々様子を眺めていた家族も、スマートフォンの扱いすら怪しい私の行動に対して妙に感心してくれたのか『マノン』『ドン・キホーテ』は携帯で観たが
『ロメオとジュリエット』はテレビ画面に映したいと思って調べた事の成り行きを話したところ、真相を未だ知らずにいる家族から一言。

思う念力岩をも通す

これで何度目の呟きか、人間とはかくも身勝手で単純な生き物でございます。




2016年当時の公演プログラムを再度眺めながら久々の一杯。主要役での出演者による直筆(勿論印刷です。井澤さんはこのときは怪我で降板、昨年ロメオデビュー)
メッセージが添えられ、「一文字入魂」精神で懸命に書いていらっしゃるパリスの姿が目に浮かびます。

2020年6月3日水曜日

【お茶の間観劇】アメリカンバレエシアター 1978年リンカーンセンターガラ

リンカーンセンターから配信されている1978年のアメリカンバレエシアター(ABT)ガラを鑑賞いたしました。情報提供いただいた方に深謝。
スターたちが大競演、タイムスリップして観に行きたい公演の1本です。指揮は遠藤明さん、長らくABTの指揮をなさっていたそうです。



リンカーンセンター制作のステイホーム映像


『レ・シルフィード』
レベッカ・ライト
マリアーナ・チェルカスキー
イワン・ナジー

ABTの『レ・シルフィード』といえば、少しあとにバリシニコフ主演で映像化された公演の空気と舞っていそうでありつつも
毅然とした妖精たちの印象が強く残っておりますがこの公演ではより柔らかでふんわり。
フォーキン時代の作品ながら、ゆかしいポーズの取り方やおっとりとした風情といい
ロマンティック・バレエ全盛期へ時空旅行した気分となりました。特にチェルカスキーの夢見心地な表情と滑らかな腕使い、
今にも宙に浮きそうなポワントワークにうっとりするばかり。見間違いでなければ、
コール・ドにエレイン・クドウさん(バリシニコフ主演ドンキでのキトリ友人、青いほう)らしき方の発見も嬉しうございます。


『ドン・キホーテ』よりグラン・パ・ド・ドゥ
ナタリア・マカロワ
フェルナンド・ブフォネス

マカロワが赤紫と黒を重ねた独特の衣装で登場。小柄な身体から放つパワー、オーラの強さに照明が何倍にもなったかと思わせるほど。
ブフォネスの奇を衒わず規範からはみ出ず、跳躍も高いが力みがなく品のある踊りが好印象。グレゴリーとの『パキータ』、また観ようと思います。
そしてマカロワの自伝、もう1度読もうと決意。



先月5月21日にマカロワ版『ラ・バヤデール』初演から40周年を迎えての映像。マカロワからのメッセージもあり。


『テーマとヴァリエーション』
ゲルシー・カークランド
ミハイル・バリシニコフ
※前記事にて書いておりますので割愛しますがゴージャス且つコール・ドの技術、呼吸の合い方も宜し。プリンシパル2人は文句の出ようがない。


『火の鳥』(フォーキン版)
火の鳥:シンシア・グレゴリー
イワン王子:ジョン・ミーハン
王女:レスリー・ブラウン

幕開けから、衣装は新国立劇場バレエ団で採用と同じデザインに懐かしさが込み上げ、
上下が赤く同色の三角帽子で小さな塔のような塀を登って登場するイワン王子のサンタクロースぶりを突っ込むのはお決まりとして笑
そうこうするうちに火の鳥登場。グレゴリーの研ぎ澄まされた肢体、鳥だからと言って過剰に手をヒラヒラバタバタさせずとも
音楽と躍動して孤高で絶対的な存在感。煌めきを抑えつつも装飾多き真っ赤なチュチュよく映え、フォルムの美しさにも身震いがいたしました。
実はグレゴリーは私の鑑賞の原点で、人生初バレエ鑑賞の主演ダンサー。1989年のABT来日公演『白鳥の湖』で
いわゆる可憐系では全くないすらりと背が高くきりっとした佇まいに今回も平伏し、グレゴリーが最初のダンサーである鑑賞歴を誇らしく思えた次第です。
ブラウンのチャーミングで吸い込まれそうに大きな瞳のある姫が愛らしく、侍女たちのりんごキャッチボールも成功と見えたもよう。

近年はベジャール版や(リハーサル場面映像中心ですが)中村恩恵さん版を目にする機会がありましたがフォーキン版は久々に鑑賞。
カスチェイの登場あたりからは舞台を人が覆い尽くし、複数のグループで交互に踊りながら徐々に熱気を帯びていく流れや
中間部からの曲調変化場面における足踏みしながら一斉両手掲げと言いロシア民話の絵本そのままの色彩感と言い、大所帯作品ならではの醍醐味も堪能いたしました。
大人数が必須であるためコール・ドの中にもソリスト投入の事態にもなったと想像。思えば新国立での初演時は
入団間もない菅野さんや米沢さん、他にもソリスト級の方々もコール・ドに入ってのご活躍であったと記憶しております。

昔は良かったとの表現は好ましくありませんし、現在のABTの状況を私が把握していないだけで魅力あるダンサーが今も揃っていることと思います。
しかしそれにしても、この時代の綺羅星なダンサー競演、しかも余所からのゲスト出演や参加ではなく生え抜きのスターが揃っていた時代は
100年が経過してもバレエ団の歴史に刻まれているに違いありません。のちにプリンシパルとして活躍するシンシア・ハーヴェイやシェリル・イエガーも
当時はコール・ドに名前があり、層の厚さにも仰天。ハーヴェイがキトリ、イエガーがキューピッドを務めた
バリシニコフ主演『ドン・キホーテ』が収録から約40年経っても色褪せぬ名映像であるわけです。

2020年5月31日日曜日

【お茶の間観劇】【バランシン周遊】ニューヨーク・シティ・バレエ団『ドニゼッティ・ヴァリエーション』他

ニューヨーク・シティ・バレエ団から配信されていたバランシン振付『ドニゼッティ・ヴァリエーション』を初めて鑑賞いたしました。
日本では20年前に小林紀子バレエシアターが上演し、もしやと思い調べたところ<ステイジド・バイ:ナネッタ・グルーシャク>の文字に胸躍り
もっと遡れば足川欽也さんがガラで踊っていらしたと記憶しております。
女性7人と男性4人程度の構成の入れ替わり立ち替わり踊る緩急に富んだ展開で、
主軸を務めたアシュリー・ボーダーの身体コントロール力、突き刺すような脚力の強さに惚れ惚れ。
ボーダーは一昨年の『世界バレエフェスティバル』Bプログラムにおける黒鳥グラン・パ・ド・ドゥでの
優雅さが無いに等しい(失礼)体育会系オディールに驚きを覚えましたが、2013年のNYCB来日公演では『タランテラ』で
急速テンポでも一瞬たりとも揺るがぬ盤石のテクニックを披露して本家本元の誇りを示し、このとき以来の好印象。濃いピンク色の村娘衣装もお似合いでした。

音楽はガエターノ・ドニゼッティの『ドン・セバスチャン』より、ニューヨークシティ・バレエ団初演は1960年でメリッサ・ヘイドンが主役を務めたとのこと。
ドニゼッティはバレエではなかなか聴く機会がないものの2006年の世界バレエフェスティバル幕開けを飾った
オーストラリア・バレエのルシンダ・ダンとマシュー・ローレンスによる『ラ・ファヴォリータ』にしても
ルグリ振付のパ・ド・ドゥにしても(曲は恐らく同じ構成)クラシカルで祝祭感があり、また観てみたい作品です。
兄ジュゼッペ・ドニゼッティの音楽は昨年八王子での発表会における魔王登場時、時代劇の大物参上を彷彿させた曲で強烈な印象に残っております。

さて、ほぼ毎週末劇場での鑑賞を当たり前のように行っていた以前では特例を除いては考えられなかった動画延々検索行為に走ってしまったところ
先に述べたNYCBよりも心を掴まれた映像を発見。ゲルシー・カークランドとミハイル・バリシニコフが踊る
1978年のアメリカンバレエシアター『テーマとヴァリエーション』です。公式ではない配信経緯不明のため大々的には紹介いたしませんが
カークランドと言えば1977年にスタジオ収録されたバリシニコフと組んだ『くるみ割り人形』での幸が薄そうな(失礼)クララと
麻薬中毒に陥り楽屋でも倒れ、のちに執筆した暴露本の印象ぐらいしかありませんでしたが、まさに完成されたプリンシパル。
ステップやポーズ1つ1つがクリアで正確、実にエレガントでクラシック・チュチュを着けた姿は初見でしたが脚がすらりと真っ直ぐ伸び
クラシック・バレエの真髄に魅せられた気がいたします。バリシニコフの無駄のない美しい跳躍や澄み切った品の良さにもこれまた見入り
コール・ドも精度高く、誠にゴージャスな舞台。総合力に圧倒された次第です。尚衣装はプリンシパルは白、他は赤系で纏められていました。
1980年前後辺りのABTのコール・ドにも憧れを抱き、シンシア・ハーヴェイとバリシニコフの『レ・シルフィード』や
シンシア・グレゴリーとフェルナンド・ブフォネスの『パキータ』は30年前から映像で目にしておりましたが
大人数のバランシン作品においても呼吸の合った舞台を堪能です。

その後は『ユニオンジャック』に到達。同じベースの振付で披露された関西や四国の舞台を思い返し再び県境を跨いでの移動が自由になる日を夢見つつ
(大阪にて井澤駿さんが踊られたこともあり、セーラー服でスキップなさっていても王室から派遣されたであろう随分上品な水兵さんでした笑)
『スターズアンドストライプス』では日本のバレエ団としては全編初上演を果たしたNBAバレエ団の公演が思い起こされました。

ところで余談ですが管理人、今春以降飲酒量が激減。劇場帰りの乾杯が習慣化していたにも拘らずお茶の間観劇においては酒瓶に手を触れる行為にはなかなか至らず
この日は焙じ茶を飲みながらのバランシンでした。肝臓は弱まったか、それとも肝臓の働き方改革遂行によりむしろ丈夫になったか
新国立の巣篭もりではイタリアワインを用意して臨み確認したいと思っております。

2020年5月29日金曜日

【できるかな】【お茶の間妄想】新国立劇場バレエ団で『スパルタクス』

緊急事態宣言は解除されましたがまだまだ油断できぬ状況が続いております。
時々当ブログにも登場する管理人の妹は子供達と接する仕事をしているため暫くの間休業状態でしたが、来月から通常勤務に近い状態で再開予定。
ただ在宅時間が長く続いたとはいえ遊んでいたわけではなく、再開の準備や子供達が家で楽しく過ごすための策を練っていたとのこと。
その内の1つが工作絵本で、各々好きな絵を描いて着せ替え人形のように絵柄が変わる絵本の作り方の図解説明書を製作しウェブ公開または配信していたそうです。
幸い私と似ておらず、幼い頃から一般教科のみならず図画工作も得意であった妹ですので
(4歳違いのため小学校は2年間在籍が重なりましたが、妹の担任の先生と廊下で会うたびに何回褒められたことか)
従事する職業においても素質が存分に生かされており、一族の誇りでございます。(対する姉の管理人は幼稚園児の頃から趣味だけは確立するも人生迷走、現在に至る)

さて工作といえば、ウェブ配信がない時代から大勢の子供達に支持されていたテレビ番組が2本ありました。
両者とも教育テレビ(当時の名称)で『つくってあそぼ』(7年前頃まで放送)と『できるかな』です。
前者はわくわくさんと心優しい熊のゴロリが、後者はノッポさんと何の生き物かは不明なゴン太くんがペアを組み
身近にある材料を使って工作を楽しむほのぼのとした子供番組でした。『できるかな』は大長寿番組で私も好んで視聴しておりましたため
昨今バレエ関係の会話にて英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルのワディム・ムンタギロフさんの多種の愛称の1つ「ムンタくん」を最初に新国立劇場で耳にした際には
思わずゴン太くんが浮かび、鋏と紙を手にして工作に勤しむムンタさんが脳裏を過ったものです笑。

さて本題。『できるかな』を懐かしく思い出したつい先日、ちょうど福岡雄大さんが司会進行を務めるインスタグラムライブトーク通称『雄大の部屋』にて
渡邊拓朗さんが登場された回でのこと。挑戦したい役や作品を尋ねられ、『白鳥の湖』王子とロットバルト両方と回答した後にもう1本
新国立では難しいと思いますがと前置きした上で口にしたのは『スパルタクス』
福岡さんも思わずおお!!と声を上げ、鎖付けたスパルタクス役が拓朗さんに似合いそうと嬉々として語っていらっしゃいました。
そういえば、拓朗さんは10代の頃にカルロス・アコスタ主演の『スパルタクス』をご覧になり
男性らしい魅力が詰まった作品から受けた大きな衝撃を2018/2019シーズンガイドブックでのインタビューにてお話しになっていて
今回のライブトークも視聴した限り、また昔のバレエ映像研究家でもある兄上の存在もあり笑(複数のインタビューで拝見)、恐らくは振付も全て頭に入っていて
ムハメドフやワシリエフなど往年のボリショイキャスト映像も目に焼き付けていらっしゃることでしょう。
『スパルタクス』なら役柄問わずやりたい、男性ダンサー達が一斉に行進して雄々しく踊り出す箇所に憧れを抱いているなど『スパルタクス』愛に溢れたお話でした。

私も好きなバレエ作品で上位13選に入っており、ソビエト時代のバレエ作品に絞った半期講座のみならず
2017年には『スパルタクス』特集の講座にも足を運んだオタクではございますが
当時新国立劇場バレエ団に当て嵌めたときには主要4キャストは瞬時の妄想が巡ったものの
男性ダンサーの平均身長も上がり、層も厚くなってきている傾向があるとは言いながら
グリゴローヂヴィヂ振付作品には不可欠な長身且つ筋骨隆々な体型でなければスパルタクス側クラッスス側何れにしても男性群舞は困難であろうと想像しておりました。

しかし今回のライブトークから、ある程度の上背は必要でしょうが何も皆が皆ボリショイ男性な体格である必要はなく
踊りこなす技術があるのは前提として、要所要所にはイーグリング版『くるみ割り人形』アラビア常連隊を配置してあとは踊り方の工夫、スタミナの持続
そして内面から沸き出るパッション(最重要かもしれない)を持ち合わせていれば実現できそうと妄想。
「できるかな」から「できそう」、「できる」、観たい!と考えが徐々に変化していった次第です。
多少は筋肉増強が望ましいでしょうが、筋トレの帝王!?貝川鐵夫さんに弟子入りし、
劇的な色合いを込めた近頃話題の「ドラマチック筋肉体操」の考案者福岡さんに入門して実践すれば自ずと作品の理想体型に近づきそうです。(勝手な推進で失礼)
大原永子監督も説明会でしばしば男性ダンサーの強化を課題に掲げ、『トロイ・ゲーム』や「Men Y Men」といった
男性のみによる構成作品のレパートリー化も行ってはいますが、私の見る目が無いのか今一つ印象に残るものが無いままでございます。(お好きな方、すみません)

そんなわけで、拓朗さんのお話からつい妄想が膨らみ今も膨張状態。まずは幕開け、中央に集合したローマ軍の一斉に前方への突進と
足踏みしながらのクラッスス凱旋場面を初台でも観てみたいと欲が妄想が止まりません。
本島美和さんによる毒々しさと華々しさを兼備するエギナも想像するだけで平伏してしまいそうです。そしてボリショイ、どうか予定通り来日できますように。



ボリショイシネマの宣伝映像。43秒あたりの盾を持って身を潜めていた軍たちが豪快に飛び出して踊り出す箇所、生で早く観たいものです。