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福岡市の博多座で、福岡市民芸術祭参加 博多座「市民檜舞台の月」公演西区フィルハーモニーオーケストラ&SUGAI BALLET STUDIO『くるみ割り人形』全幕を
観て参りました。福岡県での鑑賞は2007年坂本バレエスタジオ創立20周年記念公演『眠れる森の美女』全幕、
2015年田中千賀子バレエ団『ドン・キホーテ』全幕、2019年同団『真夏の夜の夢』以来4年ぶり4回目の訪問です。
演出振付は高田紀男さん、指揮は水﨑徹さん。雪の場面の合唱は福岡雙葉中学校高等学校の合唱部の歌声が彩りを添えました。
バレエは須貝バレエの皆様が務め、生徒さん達とゲスト男性数名が集うオープニングで開演。
(Noism1の庄島さくらさんすみれさん、新国立劇場バレエ研修所の堀之内咲希さん、東京バレエ団の山下諒太朗さんもご出身のスタジオ)
色とりどりのクラシカルな衣装で整えられ、前半はマイヤベーアの戴冠行進曲、後半はワーグナーの音楽で繰り広げられました。
前半の曲は世界バレエフェスティバルの開演曲として頭に刷り込まれておりますが(そういえば来年開催だ)
ふと見ると、奥側で雛壇上に乗ってポーズを取り、待機されている出演者達がいると思ったら
壇がそのまま降下して舞台とフラットな状態に。早速博多座特有の舞台機構の仕掛けに驚かされた次第です。
ワーグナーの曲はニュルンベルクのマイスタージンガーだったか。馴染みある曲ながら題名分からず。
休憩を挟んで次が『くるみ割り人形』全幕。概ねオーソドックスな展開ながら(変に改編するよりは遥かに良い、と東京方面に目を向け思った私である)
博多座特有の舞台機構を生かしたあっと驚く仕掛けも盛りだくさんな楽しいくるみでした。
またバレエスタジオ出演の舞台でありつつ今回は発表会ではない博多座での公演であり
くるみでは必然的であろうパーティー場面を始め小さな生徒さん達が大勢出演する場面も出入りや配置構成が上手く
ワラワラと子供が出てきて発表会状態になっていなかった点も工夫の行き届きが窺えました。
例えばクララは若手の講師の方が務め、テクニックや踊り方も癖がなく優雅で美しく好印象。
またクララの友人やパーティーに来る子供達は二層構成で、クララとクララの主なお友達は技術達者な方々が務め、各々に青年のパートナーが付いていて
要所要所でパ・ド・ドゥを踊りながら場面をリードして物語が進行する形を取っており見応え十二分。
勿論小さな子供達も活躍しつつも出番が多過ぎることなく、しかしいざ出番となれば
男女が組んでの堂々とした舞踏会スタイルもあったりと、子供であっても優雅できちんとした踊り方でダレる部分無し。今月上旬の札幌hitaruに引き続き感心いたしました。
それから両親とクララ、フリッツ達とのやりとりも温もりいっぱいで、何処かの団でクララ1人だけプレゼント貰えず大泣きしていても
親に気づいてもらえず放置のままである演出もございましたが(ありゃ可哀想である涙)
博多座須貝バレエの両親はホスト業務を行いながらもふと心配そうになっていたクララやフリッツに対し、
ドロッセルおじさんから特別なプレゼントがある旨を語りかけて不安を和らげるシーンもあり。
そしてドロッセルマイヤーに引き継いでくるみ割り人形を貰う場面へと移る進行もスムーズ且つ微笑ましい家族愛に満ちていた印象です。
クララがくるみ割り人形を貰うときやフリッツとの喧嘩も常に周りには友人や子供達、客人もいて物寂しさもなく
またフリッツ役の生徒さんが踊りのみならず芝居センスも抜群で、ゲストダンサーが踊る青年との掛け合いも物怖じ皆無な様子で対等に渡り合っていたほどでした。
ツリー巨大化は全てを見せるのではなく下部の右端を拡大させて舞台上に現し、
装置や美術の数が多くない分ダイナミックな仕掛けで大勝負。ネズミ王の登場は赤い光で覆ったりと、かえって迫力が引き立つ効果があったと見受けます。
またネズミさんは小さな子供達の大編成でしたが『スイミー』の話にもあるように、
身体は小さくても集合体フォーメーションとなって恐怖感を造形しながら押し進んでいく様子があからさまで
子供ネズミだからと侮ってはなりません。クララ、怯えきっていました。
そして須貝バレエで幼い頃から学び現在はブルガリアの劇場で活躍中の石郷朝睴さんによるくるみ割り人形がシャープな斬れ味で舞台を牽引。
駆け回るたびに舞台の立体感が一段と強まり、跳躍も高い上に力みもなく、仮に2回公演あるとしても同等のスタミナでこなせてしまいような余裕っぷりでした。
クララと出会ったあとはお菓子の国までずっと共に旅を続ける設定で一緒に踊る箇所も多々ありましたが
パートナーリングもすっきりと綺麗にまとめていて、また出会いの場はそこまで難度な技がてんこ盛りでない分(比イー版)
互いの心をじっくりと確認し合いながら距離を縮めて行く過程もクララと微笑ましく描き出していた印象です。
雪の場面は雪の女王が率いて、男性も入る構成。コール・ドは二構成で、大雪と小雪混在がまた雪景色に躍動感を加えていてエネルギーに満ちた銀世界でした。
そして福岡雙葉中学校高等学校の合唱部の歌声が深みと透明感があり、どこかミステリアスな趣きがまた心を柔らかな潤いで掴まれ、いつまでも聴いていたい歌声でした。
時間軸往来がばらけますが失礼。客席全体が思わずどよめいたのが2幕幕開け。360度回転する、円形の降下式装置を駆使し
クララや王子チーム、そしてネズミ王がそれぞれ違う台に乗って上昇した状態で舞台を大きく回転。
クララ達をネズミ王が追いかけている雲に覆われた空中戦のようにも見え大変な迫力に驚き喜ぶ声があちこちから聞こえました。
ピンクやブルーっぽい色?を帯びた幕がオーロラのような神秘的なデザインで、クララの不思議な心の内をより鮮やかに放出。
オープニングや1幕の上演時から、舞台を1周する太い線がよく見え、これは回転式の装置であろうかと
気にはなっておりましたが、想像以上に大掛かり演出効果をもたらす仕組みと知った次第です。
お菓子の国へのネズミ王再びの登場ではターザンのように吊るされたロープに掴まって揺られながら出現。
これまた特に子供の観客達もびっくり嬉しそうな声で歓迎でございました。
お菓子の国はピンクの洪水にならぬよう派手すぎず、ピンクな背景の手前に紗幕を下ろしていたかと記憶。グラデーションな色彩美で、舞台を美しく盛り立てていました。
各国の踊りは王道路線で、花のワルツを含めクララやくるみ割り人形青年も加わったりと賑やかで楽しい宴。2人の体力にも天晴れでございました。
グラン・パ・ド・ドゥのアダージオを主宰の須貝りささんとゲストの山本隆之さんが踊られ、アダージオのみであっても大国を司る風格や麗しさにうっとり。
山本さんの王子は久々の拝見で、相変わらず白や金系のお色の衣装も絵になることよ。イブの日に目にでき幸せでございました。
須貝バレエさんと西区フィルの共演は6回目とのことで、息もよく合って双方が楽しみながらの舞台作りが窺えました。
おもちゃの兵隊とネズミ達の場面にて、銅鑼が実に大きな音で響き渡り、豪勢な中華料理でも出てくるかと思ったほど笑。演奏者さん、ナイスな響かせ方です。
博多座訪問は初めてで、ミュージカルや歌舞伎は頻繁に上演されている旨は耳に入っていたもののまさかバレエ鑑賞で訪問するとは、
しかもクリスマス・イブにおける『くるみ割り人形』で、嬉しい機会でした。幕間、ゆったりワインやケーキも良いですが
博多座の場合は百貨店の物産展かと見紛うぐらいに地元に所縁深い店舗の出店がたくさん。
イブだからとご褒美のお土産を買ってもらっているお子さんも見かけ、一方で今夜のおかずにと蒲鉾屋さんを覗いている方もいらっしゃり
博多座マーケットも大盛況でした。
和洋折衷な空間で地元の舞踊、管弦楽、合唱団体が織りなすくるみ全幕を鑑賞でき喜びと刺激も一杯な2023年クリスマス・イブにおける博多座くるみでした。
友人から話に聞いていた、劇場スタッフの方々の上品できびきびとした振る舞いや案内も心地良く、博多座へお越しのときは是非ご注目ください。
※以下、写真色々ございます。年末、忙し過ぎない方はご覧ください。
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いざ、出発。今年最後の遠征は九州最大都市!海の中道、天橋立のような風景。リロくん(マリンワールドにいる雄のラッコ)のお家が見えてきた!。
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博多、寒うございます。気温も空も。まずは昼食に中洲川端駅のパブへ、かばさんの絵がチャーミングです。
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博多座ロビー。和洋折衷な建築。
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ロビーはブッフェの代わりに、クリスマスならぬ博多座マーケット。幕間、客席から下りていくとまず出迎えてくれたのは福岡の名産である八女茶の香りでした!
そして豆菓子やあまおう系のお土産、蒲鉾、氷川きよしさんがイメージキャラクターの明太子、
市内のフランス焼き菓子、博多座パン、オリーブオイル等、殆ど百貨店の物産展状態。福岡の味の大博覧会です。
これはこれで面白く、ついお上りさん状態で散策。そして博多座限定の芋栗饅頭をお土産に購入いたしました。休憩時間もあっという間に終了です。
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こんな撮影場所もございます。アクリルスタンド、ですか。
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風神雷神の木彫り画。柳広司著「風神雷神」をもとにした神奈川県の大和シティー・バレエ『宗達』が
ちょうど同日この写真を撮影した20分後くらいに開演。大和に繋げます!
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夜は中洲川端の博多郷土料理店博多おっしょいへ。福岡の銘酒飲み比べをゆっくり味わいながら鯖や蛸、いかのお刺身
(写真撮り忘れたが鮮度が誠に宜しく、柳橋連合市場で仕入れているようです)
そしてつやつやの明太子卵焼きや炭火焼き鳥と、どれも美味しく店内も清潔。おすすめでございます。
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キャナルシティ付近夜景
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博多に来たらやっぱり食べたい博多ラーメン。当初は屋台へまた行こうと思いましたが霙混じりな降雨で、また気候の関係で出店が減っていたのか
中州周辺はどこも大勢の並び客がいて、断念。しかしおっしょいの目の前にひっきりなしに地元と思わしき方々が入店していくお店があり入ってみた。
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1杯290円と思えぬ完成度で、不思議とすっきりとした後味な豚骨ラーメンでした。老若男女問わず親しまれているお店のようです。
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宿泊先のロビー。クララの家そのものな内装です。ここでくるみの1幕、スタジオ上演ならば可能かも。時計も豪華で緻密なデザイン。
つい甥っ子を探しそうに。(29日昼まで待たんかい笑)
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メリーロクリスマス。この日は12月25日です
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ついにラッコのリロくんと対面。雄で大きいが、お顔は可愛らしい。プロフィールによれば真面目で紳士的な性格らしい。
現在16歳。若いとは言い難いが、行動の1つ1つがほくほくと愛嬌があり。顔のマッサージはこの日も入念に行っていた。美容にも熱心。
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香椎駅で乗り換えて博多方面へ行く予定が電車がビニール袋の絡まりのため運休になったらしく、余裕を持っての空港到着が危うい!!
思い切ってタクシーで向かいました。(乗り遅れるよりはずっと良い) しかしタクシーの運転手さんがとても感じの良い楽しい雰囲気な方で
福岡空港の過密飛行スケジュールが以前から問題になっているためもう1箇所空港建設の話も出ていたが反対多数で建設に踏み切れていないことや
福岡空港隣に飛行機がよく見渡せる場所がありお子さんを連れていくと大興奮するお話等、地元の話題について色々お聞かせくださいました。
おかげさまで楽しい気分且つ時間にも余裕がある状態で空港にも到着。ふう。
ビニール絡まった電車はその後無事運行できるようになったか今も気になります。運転手さんも心配なさっていました。
そして福岡滞在、これまで計4回全てにおいて、バスで行ったら大渋滞し5時間遅れだったか北九州に入ると車内で拍手が沸いたことや
暴風雨による飛行機キャンセルでもう1泊したこと、往路LCCで早朝出発できたのは良かったがその代わり成田発で
何を思ったのか前日日付変わる頃から東京駅の京成バス乗り場屋内にて待機し不眠のまま福岡入りしたりと
何かしらトラブル発生に見舞われている私でございます。ここまで続くと、次回もでしょうか笑。
そんなこんなでまもなく搭乗。2023年の遠征もいよいよフィナーレ!
クリスマス当日で、搭乗口のANAのスタッフの方々は青いサンタ帽子を付けていらっしゃいました。
後ろを歩いていたお2人組が青いサンタ帽子の存在に驚きつつ、でも赤は絶対許されないはずだし、ライバル社の色だし、と
つらつら語っていらして面白いお若いカップル!?でした。
そしてこの日はお見送り体勢が豪華。ちょいとスター気分になったばい。
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クララは王子様の夢を、リロくんは帆立やイカの夢を見ていたのでしょうか。
さらば福岡、また来春!!
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往路と同様に備え付けオーディオでクラシックチャンネル聴きながら余韻に浸っていたら、(札幌の往復と機体が全然違うのか
各座席にモニターがなく、早送りや早戻しができず、コッペリアのときはすかさず演歌歌謡チャンネルに変えていた)
暫くしてクリスタルキングの「大都会」が聴こえてきたと同時に富士山が見えた!あーあー!!!
以上、2023年の遠征記を終了いたします。今年もお読みいただきありがとうございました。
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