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4月7日(金)、The 9th BALLET TRADITION『ジゼル』を観て参りました。
http://www.shinobutakita.com/ballettradition/bt9.html
ジゼル:田北志のぶ
アルブレヒト:アレクサンドル・ヴォルチコフ
ヒラリオン:イーゴリ・コルプ
ミルタ:根岸祐衣
田北さんのジゼルは儚げで長い腕が優しく語るジゼル。流れるようでいて流されぬステップ、ポーズ1つ1つが美しく
脚先から手先まで、細部に至るまで神経を行き届かせたきめ細かな余韻が残る踊りに度々はっとさせられました。
椅子から立ち上がったりアルブレヒトやベルタにぎゅっと身を寄せるときも体勢の美しさはそのままに、育ちの良い上品な少女を造形されていた印象です。
狂乱の場も表情で走るのではなく徐々に崩れていく身体で苦しみを体現され、ウィリになってもひんやりとした冷たさよりも
腕で包む優しい空気をそっと広げているようで
精霊達が場を支配し更に悲劇へと進む2幕であっても、踊りを観れば観るほど田北さんのジゼルからは救いを与えられている心持ちとなりました。
アルブレヒトも同様であったことでしょう。
ボリショイ好きと言いながらもここにきてようやく主演全幕鑑賞が叶ったヴォルチコフは、
ご年齢からしても古典全幕踊り切れるか当初は心配募らせておりましたがとんだ失礼でございました。
全盛期のようなパワフルなテクニックは抑え目ではあったとはいえ、変わらぬ身体の綺麗な線から繰り出す品が宿る踊り方や
ジゼルの反応を大らか穏やかに受け止める温もりといい、明らかに村人ではないのは外見からしてバレバレでもジゼルが心惹かれていくのは納得。
本気か遊びかは表情が見えにくく、恐らくは本気が8割強であろうと想像いたしましたが、どっちつかずな挙句に悲劇を招いてしまう、ユルブレヒトでございました。
昨秋の初台での新版にて一挙に個性様々な5ブレヒト鑑賞に恵まれ、良いブレヒトやらダメブレヒト、ワルブレヒト等
つい勝手に印象を名前に当て嵌める習慣が付いてしまった点、悪しからず。
先述の通りヴォルチコフの全幕主演公演は今回初でしたが過去に観たのは田北さんプロデュースの東日本大震災チャリティーガラにて
マリーヤ・アラシュと『ライモンダ』と『スパルタクス』を抜粋で披露。後者においてはいわゆるガラ形式なパ・ド・ドゥではなく
全幕の中から選りすぐりの見せ場を集約した、しかも主役スパルタクスとフリーギアではなくクラッススとエギナの濃密狂宴メドレーな構成。
これぞボリショイの真髄、魂なる舞台で、会場は大盛り上がりでございました。
そんなわけでヴォルチコフの貴公子は初見で、あのクラッススが新宿でアルブレヒトかと当初はさほど期待感もなく幕開けを待っていたのも束の間
エレガントな踊りで田北さんとのパートナーシップも優しく打ち解けるような雰囲気で、熟練者なお2人による主演をこの機会で目にできたのは大きな収穫でした。
そして作品をびしっと引き締めていたのはコルプのヒラリオン。身体も踊りも切れ味があり、
常日頃から全身を研ぎ澄ませながら村の番人として村を守ってきた使命感に満ちていた印象です。
アルブレヒト住まいの家宅捜索ではドアが開かず、確か窓から侵入。大胆な手法での不法突入でございましたが
手がかりを掴んだときの勝利確信の眼差しの鋭さに、物語の展開は分かっていても身が痙攣しそうな転換地点を示し繋げていました。
圧巻であったのは2幕での根岸さんミルタとの対決。俊敏に跳び上がって許しを訴えるかと思えば床を這って命乞いをする叫び声の如き姿と威厳沸々な根岸祐衣さんミルタが向き合う光景は大迫力で
凄みが尋常でないコルプと対峙しても動じず岩壁のように頑強に君臨する根岸さんの女王っぷりなことよ。復活を待ち侘びておりました。
それから高評価に値すると唸らせたのはコール・ドの仕上がり。皆様所属もばらばらな上に、バレエを職としてはいない方もいらっしゃり生活基盤も様々。
しかし基礎の高さが窺え、例えばアラベスクの交差場面の肩位置の正確さや走り去りながらのフォーメーション移動でも脚の角度やチュチュの揺れ方も揃うほど。
1幕2幕ともにこれ見よがしに派手な振る舞いは一切せず、されどきちんとした美しさを追求する意識の方向性が一致していて
ポーズの角度やメリハリの付け方の統一感始め実に統制のとれた纏まりのあるコール・ドでした。全員に拍手を送りたいばかりです。
昨夏のオープンクラス発表会における田北さんのプログラム挨拶はさっぱりとした中にも響く言葉が多々ありましたが今回も同様。
特にこの情勢下におけるロシア人のビザ取得が困難ながら助けてくれたのはポーランドに避難中のウクライナ人であったことや
助けてくれた理由がその人は戦争に関係ないからと潔く言い切るご友人の姿勢に、国境や国籍にとらわれず芸術を深め合う者達への優しい視線が感じ取れる思いがいたします。
キエフ、ボリショイ、マリインスキーでそれぞれトップを張ってきた芸術家達の競演と
しっかりと纏まったコール・ドが丁寧に織り成す、愛おしい舞台を堪能いたしました。
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帰り、東新宿駅近くにて久々のご登場ムンタ先輩(ワディム・ムンタギロフがお好きな素敵な人生の先輩)と食事へ。
ジゼルですから管理人、まずはワインで乾杯。お互いトラディション初鑑賞で、ヴォルチコフ目当てにいらした先輩も全体に大満足。
基礎レベルの高さが窺えるコール・ドの整った仕上がりやこれ見よがしな派手さを求めず
きちんとした美しさを追求する姿勢が全体に行き渡っていた点にも好感を持った等、話が良い方向へ弾みました。
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タコのガリシア風だったか。タコのお出汁がたっぷり。
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2杯目は赤ワイン。ピザに備え付けの蜂蜜は一切残さず、多めと思えても全部かける主義な管理人。
蜂蜜やジャム、ピーナッツバターやスプレッドクリーム等、瓶に入った甘いものは好物な分野でございます。
毎春播州にてアーモンドバター購入も毎度検討するも、塗り過ぎ警報が発令されていると思えてならず笑。
さてムンタ先輩、2月の件もよくよく耳を傾けてくださり、当ブログをお読みになりながら随分と心配してくださっていたようでした。
2月下旬から3月末までのジェットコースターのような1ヶ月間と言い表してくださったりと、ありがとうございます涙。
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