2025年2月2日日曜日

甥っ子/くるみ割り人形/王子4回!!!   新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』2024年12月21日(土夜)~2025年1月3日(金)





だいぶ遅くなり、節分も過ぎてもうお待ちの方もいらっしゃらず需要もないかと存じますが2024年12月21日(土夜)~2025年1月3日(金)まで、
新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』を6回観て参りました。
(東京は全18回公演、とても全部は行けず笑。制覇者は果たしていらっしゃるでしょうか)

※ここ最近も色々観ており、明日以降はスピード上げてサッサカ更新目指します。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet-dance/news/detail/77_028965.html



※キャスト等は新国立劇場ホームページより

12月21日(土) 18:00 【ぴあスペシャルデー】
クララ/こんぺい糖の精:木村優里
ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子:渡邊峻郁
ドロッセルマイヤー:菅野英男(新国立劇場バレエ団 元プリンシパル)
ねずみの王様:木下嘉人
ルイーズ/蝶々:五月女 遥
雪の結晶:直塚美穂、花形悠月*
スペインの踊り:花形悠月、山本涼杏、仲村 啓
アラビアの踊り:益田裕子
中国の踊り:奥田花純
ロシアの踊り:水井駿介
花のワルツ:直塚美穂、赤井綾乃 原 健太、森本亮介

12月22日(日) 13:00
クララ/こんぺい糖の精:廣川みくり
ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子:速水渉悟
ドロッセルマイヤー:小柴富久修
ねずみの王様:渡邊拓朗
ルイーズ/蝶々:飯野萌子
雪の結晶:直塚美穂、花形悠月*
スペインの踊り:花形悠月、山本涼杏、仲村 啓
アラビアの踊り:関 晶帆
中国の踊り:奥田花純
ロシアの踊り:樋口 響
花のワルツ:直塚美穂、赤井綾乃 原 健太、森本亮介

12月24日(火) 19:00
クララ/こんぺい糖の精:木村優里
ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子:渡邊峻郁
ドロッセルマイヤー:菅野英男(新国立劇場バレエ団 元プリンシパル)
ねずみの王様:木下嘉人
ルイーズ/蝶々:五月女 遥
雪の結晶:飯野萌子、廣川みくり
スペインの踊り:花形悠月、山本涼杏、仲村 啓
アラビアの踊り:益田裕子
中国の踊り:奥田花純
ロシアの踊り:水井駿介
花のワルツ:直塚美穂、赤井綾乃   原 健太、森本亮介

12月29日(日) 13:00
クララ/こんぺい糖の精:木村優里
ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子:渡邊峻郁
ドロッセルマイヤー:菅野英男(新国立劇場バレエ団 元プリンシパル)
ねずみの王様:木下嘉人
ルイーズ/蝶々:五月女 遥
雪の結晶:飯野萌子、廣川みくり
スペインの踊り:花形悠月、山本涼杏、仲村 啓
アラビアの踊り:益田裕子
中国の踊り:奥田花純
ロシアの踊り:水井駿介
花のワルツ:直塚美穂、赤井綾乃   原 健太、森本亮介

12月31日(火) 16:00
クララ/こんぺい糖の精:小野絢子
ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子:福岡雄大
ドロッセルマイヤー:中家正博
ねずみの王様:小柴富久修
ルイーズ/蝶々:奥田花純
雪の結晶:花形悠月、金城帆香
スペインの踊り:直塚美穂、原田舞子、中島瑞生
アラビアの踊り:米沢 唯
中国の踊り:五月女 遥
ロシアの踊り:木下嘉人
花のワルツ:吉田朱里、内田美聡 仲村 啓、渡邊拓朗

2025年1月3日(金) 14:00
クララ/こんぺい糖の精:木村優里
ドロッセルマイヤーの甥/くるみ割り人形/王子:渡邊峻郁
ドロッセルマイヤー:菅野英男(新国立劇場バレエ団 元プリンシパル)
ねずみの王様:木下嘉人
ルイーズ/蝶々:五月女 遥
雪の結晶:直塚美穂、花形悠月*
スペインの踊り:花形悠月、山本涼杏、仲村 啓
アラビアの踊り:益田裕子
中国の踊り:奥田花純
ロシアの踊り:水井駿介
花のワルツ:直塚美穂、赤井綾乃  原 健太、森本亮介






初演時から経験積んでいる4人のインタビュー。再度目を通してみても、面白い視点がたっぷりです。



※日程順ではなく参ります。

2024年締め括りとして大晦日公演を務めたのは小野さんと福岡さんの大看板ペアで、
息も僅かなタイミングもぴたりと合わせてのリフトを始め複雑なパ・ド・ドゥも余裕綽々。
失礼な話、初演から8年連続でしかも最年長ペアですから過酷くるみの年内の3回目と思うと疲労もおありかなと思ったものの
インタビューでも仰っていた「夢の世界を壊さない」を有言実行。或いはくるみマラソンにおけるお2人の出番はこの日が最終日である吹っ切れ感もあったのか笑、
冒険を心底楽しむクララと王子に見えて、至芸に天晴れでございます。ソロも福岡さんはいよいよ年齢不詳な様子でパリッと張りと厚みある跳躍で、
美しい金平糖の粒をそっと並べるような小野さんの繊細ステップはいつまでも観ていたくなる細やかさ。
上階から眺めていると頭飾りや衣装に反射する光をも纏っているお姿に手を合わせたい思いに駆られます。

昨年1月にこの作品で主役デビューを遂げた廣川さんは一層感受性の強い少女を造形され、レディーになったクララとして真夜中の登場から
おどろおどろしい空気をリードしつつ、事態に不安を募らせていく様子をくるみ割り人形と共に語りかけていた印象です。
2幕冒頭の危険なブランコパ・ド・トロワは空中浮遊を描きたいのかもしれないが無理があるとしか言えぬ脱臼しそうな振付であっても
胸を躍らせながら旅へと突き進むクララの好奇心旺盛ぶりが伸び伸びと大きく使う身体から伝わりました。
ヴァリエーションは最後だけポーズが定まらなかった点だけ惜しかったのですが、グラン・パ・ド・ドゥ全体はよりお姿が大らかになっていた印象です。
速水さんは甥っ子のとき、士官学校生にしては髪の長さが気にかかりましたが(失礼)パーティーでの動き方もこなれてきて、客人へのご挨拶もナチュラルに。
前回くるみで廣川さんと組んだときは主役デビューをしっかり支えることに重きを置いていたかと思われますが
以降2人が組んできた経験を重ねてスムーズな流れになるだけでなく顔を見合わせたりする余裕も一段と出てきてパ・ド・ドゥの中で会話も成立。(一安心)
技術は申し分なく、ソロはさらりとして無駄のない回転や力みのない踏み切りにも注目していた次第です。
『人魚姫』や『眠れる森の美女』でも感じましたが感情をはっきりと描き出す廣川みくりさんと
さらりと涼しげな速水さんの持ち味が合わさるとちょうど良い塩梅に中和されるのか好相性に思えます。

木村さんは益々真ん中に似つかわしいオーラだけでなく体幹の強さに天晴れ。ヴァリエーションのポーズ1つ1つが余裕ある優雅さで決まり、
戦闘シーンにおいてもあちこち走り回ってはネズミ王に担がれたりと忙しない中であっても全ての行動にメリハリが効いていて
大勢の兵隊やネズミ達に囲まれていても今どこで何をして考えているかが伝わってくる描写力でした。

渡邊さんは、甥っ子として菅野ドロッセルマイヤーとの絡みに喜び隠せぬ様子からの勇敢な人形、煌めき弾ける王子迄きめ細やかな踊り分けが見事。
甥っ子として、パーティー会場を隈なく歩き回るときの、大聖堂の塔ようにスッと伸びる背筋の美しさや品位ある振る舞いから虜にさせられ
クララの祖父の背中に手を当てて労わる様子や祖母に対してもゆっくり丁重に接する姿は士官学校のカリキュラムに組まれた介護実習受講済と思わず想像。
まだまだ子供で小柄なクララにはびっくりさせないよう心を砕いていらっしゃるのか目線を合わせるときにじっと見過ぎず、
そっと頷きながら穏やかに笑みを送る心配りがあまりにスマートな紳士ぶりでございました。
クララ、益々恋心を募らせてしまうでしょう。当方も気づけば両手を握り締めながら首を縦に振りつつ感情移入しておりました。

菅野さんドロッセルとの共演も嬉しく、恐らくは昨年夏の神奈川県平塚市でのドン・キホーテ以来で
渡邊さん甥っ子が菅野さんドロッセルを追う姿も背中に笑みが見え、こちらまでニンマリ笑。
人形劇前のお洋服を整える作業も入念に甥っ子が担当したり日によっては敏腕社長のような厳しい目つきで最終チェック者として監視をこなすお仕事も。
一方でプレゼントをなかなか貰えず悲しんでいるクララにもしっかり気づいて不安、心配の視線を送っていて
だからこそ、背中に隠しながら持ってきたくるみ割り人形を差し出して喜ばせる行為がより引き立って伝わってきました。
何しろ作品名の人形がクララの手元に渡る大重要局面な物語の転換点を甥っ子が担っている版なわけですから、
渡邊さん甥っ子による前段階からの行動の描き方も説得力があると見て取れます。

汗ばんで呼吸が苦しいのは容易に想像がつく、身動きも視界も制約祭りであろう戦闘シーンでのお面装着中も身体から闘志発する鋭さが光り、
放たれた矢の如くネズミ王やネズミ達に向かって俊敏に斬り込んでいくさまや、
木下ネズミ王との息を合わせて移動経路を刻む職人な対決も、それぞれ経験の豊かさに裏打ちされた腕の見せ所となっていた印象です。

出色であったのが2幕グラン・パ・ド・ドゥで、街中のどのイルミネーションよりも輝き眩しく迫り出す立体感で舞台を支配し、殊に24日は聖夜に相応しい仕上がり。
また手脚の軌跡の描き方や余韻の残し方も木村さん渡邊さん共に呼吸がぴたりと合い、舞台に加える厚みと発光の具合も理想な完成形と見て取れました。
モデルルーム状態のスッカラカンな舞台の上で、これでもかとシャンパンゴールドの煌めきを放つお2人の眩しいことよ。
また非常に細かな点に注目いたしましたがアダージョの中盤における、木村さんの手を引きながらの渡邊さんの後ろ歩き姿の整った美にも思わず見惚れ
更にはもう片方の腕は雲或いは羽根を撫でるかのように柔らかでエレガント。そうかと思えば
すぐさま切り換えてのサポートも立ち位置の移動に至るまで実に滑らかで隙がなく、熟練の技の緻密な積み重ねを随所で楽しませていただきました。
ヴァリエーションでの勢い任せにビュンビュン高く跳んで回ってではなく、音楽を一段と大事に手に取るように
エレガント且つ強弱の美しさもぐっと華やぐように付けての踊りも目の保養でした。
今年最初のご出演日であった1月3日を、管理人にとっての2025年観劇はじめの日、
渡邊さんの2023年インタビュー記事でのお話を拝借し「明けましてくるみ割り人形」にして良かったと心底感じております。

ネズミ王も三者三様。木下さんは統率力に加えてお茶目な会話聞こえてきそうなネズミ王。
折りたたみ自転車かと思うほど、飛び上がっての身体反らすポーズの変化もパキッと締まりがあり
1コマの中で描き出す仕草が細かく豊富なこと。チーズ大砲を撃つ前に部下に味見させてあげたりと対決後も生還を願わずにないられない部下思いな理想の上司です。
チーズを口に含んで頬っぺた落ちる仕草で途端に可愛らしさ全開であったのは小柴さんネズミ王。
怖さを前面に出すのとは違った、内側から愛嬌が覗き、クララにもうっとりひょっとしたら恋心を抱いていたのか愛情表現しているようにも見える一幕も。
今回は初役のドロッセルと兼任で日によっては昼がネズミ王夜がドロッセルな配役日もあり、過酷極まりなかったことと察します。
期間中の途中からはネズミ王を降板され、木下さんが連日代役を務められるなど双方が心配になってしまう事態になってしまい、
配役日を最初からもう少し工夫出来なかったのか、問いたくなる振り分けでした。
渡邊拓朗さんはクララの寝室に回転隠し扉?から現れたときの上背のある迫力は恐怖感は3人の中で最強クラス。
ただ、大きいだけでなく踊りに自由な振り幅あるネズミ王で、ツリー巨大化を鼓舞する海老反りの柔らかさからの振り返っての決めポーズへのアップダウンのメリハリや
くるみ割り人形を追いかけ回すときのビュンビュン突っ切る素早さといい多彩な要素を放つ王様でした。
あっ、年末年始アドリブ隠し芸大会は誰一人として把握できず、流行文化に疎い点をお許しください。
拓朗さんがコサックダンスらしき舞踊を披露され、あの大きくがっしりとした身体を支える足腰の強靭さにびっくりです。
もし初演があと1年早かったら、ピコ太郎さんのりんごとペンのネタを取り入れたネズミ王もいらしたかと思います。多分。

中家さんドロッセルマイヤーは安定の貫禄だけでなく、隅っこでのさりげない遊び心なお芝居も注目。
仕切りの上手さは言うまでもなく、今回も大晦日は魔法をかけてメッセージを投映させ、ステッキの合図で紅白歌合戦風テープ発射。
初台野鳥の会を逆転版にした気分で双眼鏡で眺めていると、李さんが素で大喜びなさっているのが分かりやすかった笑。
米沢さんも、アラビア姿でにっこり楽しそうになさっているのがまた新鮮でした。
小柴さんは初役と思えぬ嵌り方で、ほっくり温もりあるドロッセルマイヤー。お家にいるときはにこやかで愛情深いおじさんぶりで、クララが懐いているのも頷ける接し方。
イーグリング版ドロッセルの正念場でもあろう、2幕での蝶々とのパ・ド・ドゥも、
苦戦強いられそうな布に当たりやすい謎蝶々衣装であっても、目線の交わしも優しげなサポートで観ていて心和みました。

そしてプリンシパルを務めたのちにバレエマスターとして活躍されていた菅野さん、おかえりなさい!
急遽呼ばれての配役であったと察しますが舞台引き締める捌き方は健在で、安心感の塊でございました。
何より、渡邊さん甥っ子が菅野さんドロッセルマイヤーとの絡みに喜び隠せぬ様子で、舞台袖へと入るときに背後をついていくときまでも歓喜に満ちていて
蝶々のサポートも指先でふわりと客席には見えないがこのあとお部屋で2人仲良く再会を喜び合う団欒であろうかと容易に想像いたしました。
きっとこの甥っ子は士官学校で総代も務めるほどのあらゆる訓練科目において優秀な成績おさめた卒業生で
例えば抜き打ち風紀検査も毎回難なくクリアするも常に気を張る生活が続いていたと思うと
ドロッセルおじさんだけは自然体で甘えられる、童心にかえることができる存在であったのかもしれません。
弟子且つ甥っ子に1幕は愛されすぎて困っていたかもしれませんが、微笑ましい展開で嬉しうございました。

もう1つ、3ドロッセルに共通していたのが、ドロッセルにも与えられるイーグリング版試練その2と思える
各国の踊りと踊りの間にて、スッカラカンの空間でたった1人で次のプログラムを案内する様子で、空間をしっかり使っての案内がお手の物。
合わせて6本だったか柱それぞれの下に作られた、ドロッセル専用椅子に場所を変えながら腰掛けて眺める姿も随所にお国柄に合わせた振りを取り入れたりと工夫満載。
初演時、各柱を囲う椅子が目に留まったときは、他の版では時々見かける、
踊り終えた方々が腰掛ける用かと思いきやまさかのモデルルーム状態に驚愕した瞬間が今や懐かしい。

役デビューで印象深かったのは、まずロシアの樋口さん。元々達者なテクニックの持ち主で、
公開レッスン見学でも基本の動作から全身を伸びやかに大きく使っている姿が目に残っておりましたが
確か2017年の男性ダンサー中途採用にて入団以来初めてのソロな役でしょう。お城の奥の扉からの登場から爽快にジャンプを繰り出してのロシアデビューとなりました。
上の階からの鑑賞であっても序盤から飛び出す絵本の主人公のような鮮烈さに拍手。何より4人の女性ダンサー達とも楽しそうに踊る姿に、感激しきりでございました。
それから今シーズンから加入の長谷川さんの詩人。所作のエレガントな見せ方も目に響き、
特にルイーズを抱えるときの柔らかな腕運びや青年と老人との駆け引きもくっきりとした描写力に驚嘆いたしました。

それから大きな話題となったトピックの1つ、米沢さんのアラビア出演。閉ざされ秘められた世界からベールが外されて出現したような神々しいアラビアで
妖艶さを強く押し出すのとはだいぶ異なる、内側からそっと祈りを捧げている静かで崇高な踊りで、4人の男性陣も恭しくお仕え。
関さんはクールな女王然とした降臨ですっと柔らかに伸びる手脚のラインも美しや。
益田さんはより情熱的で誘い込むような香りが立ち、それぞれ皆違ったアプローチを堪能いたしました。

雪の精緻な美しさや素早く大きな雪印が出来上がるフォーメーションは何度観てもうっとり。
白いチュチュに輝く雪の結晶模様もきらきらと反射し、集合体となると踊りと調和して輝く光景に圧倒されっぱなしです。
温もりで包む合唱は観る度聴く度にうっとりし、2階バルコニーからの歌声は1階には降り注ぐように、
上階には優しく昇華していくように響き渡り、合唱もまた様々な座席からの鑑賞を満喫です。
幕が下りると事細かに各パートを褒め称える指揮のバクランさんですが、
合唱団に対しても、しっかりと視線を送りながら各パートに毎回賛辞を送っていらっしゃる光景も心温まる場の1つでした。

優雅な魅力よりも緩急自在に描くダイナミックでパワフルな花のワルツも、女性のマンゴー&オレンジ色衣装にもすっかり慣れたせいかより堪能。
ソリスト陣では赤井さんが決して大柄ではない身体条件を感じさせぬ、内側からぐっと跳ね上がるような
パワーでのリードに目を奪われ、それでいて見た目は愛らしいお花そのもの。4階から観た日も、存在が実に大きく見えて驚かされました。
全体の隊形をカタカナのハの字に作り上げていく過程といい、舞台一杯に対角線を描きながらの移動といい、全員の距離感計算に再度脱帽でございます。
そういえば、1幕子供達が手を繋ぎながら輪になっての捻り形は、花のワル終盤の大輪の花が咲く振付への予兆であろうかと初演から8年経って思うのだが真相はいかに。

かれこれ50回ほど観てきて振付や展開に関しては申したいことは山々ありますが、甥っ子軍服やグラン・パ・ド・ドゥでのシャンパンゴールドな主役2人、
1幕客人のシック且つ洗練された衣装等は良い部分もたくさんあり、連日楽しみました。
本当に主役男性は過酷な役で、散々踊ったあとに腕が捥げそうなパドドゥてんこ盛り。
約8年経っても初演時の甥っ子/くるみ割り人形/王子キャストが皆同じ役で出演し続けていることも恐ろしや。
例えば初演時に20歳前後の若手だったならともかく、誰も該当者なし。皆様着実に年齢を重ね、中には昭和生まれ世代もいらっしゃるのに、
お○さまではなく全編通して踊りまくりの「王子様」としてのご健在、頭が下がります。ちなみに初演時の2017年に子役クララを踊られた秦悠里愛さんは
先日のNHKバレエの饗宴2025にて牧阿佐美バレヱ団『白鳥の湖』2幕にてオデット役に抜擢。背も随分と伸び、時の流れを感じずにいられません。
2幕冒頭、王子がお面外したあとの捻っては持ち上げてを繰り返す、しかも客席に伝わりにくい複雑さで無駄に難しいパ・ド・ドゥも考え直していただきたい案件です。
その後に振付も技巧も華麗なるグラン・パ・ド・ドゥが用意されているわけですから。
お野菜詰め放題にてビニールがはち切れそうになってもまだ詰め込みを試みるような振付であっても
難なくスイスイとこなしてしまう各ペアの技量の高さは只者レベルではありません。

それよりも、2幕に登場する気球や各国踊りのおもちゃを既にパーティーの子供達は手にしていたわけですが
羊ぬいぐるみ滑車は2幕のどこにも見当たらず、葦笛は蝶々に出番を持っていかれて出番なし。どこへ行った笑??
グリゴローヴィヂ版での羊滑車のリボンを持ち引っ張りながら踊るフランスの踊りが好きでたまらぬ私からすると、羊さんの待遇アップも求めます。
救いは31日だったか、客人役の長谷川さんが羊さんを一時預っている間にて、お耳を優しく撫で撫でしてくださっていたこと。羊さん、報われたことでしょう。

以上長くなりましたが、思い出したことがあればちゃっかり追記していくかもしれませんが悪しからず。
年末年始の橋渡し行事として定着してきた初台くるみ。出演者人数も多く、
中には最終の上田公演も含めて全19回?全ての公演に登板なさっていたダンサーもいらしたことでしょう。
お正月返上で劇場を支え盛り上げて観客にとって居心地の良い環境作りをしてくださったスタッフの方々にも頭が下がるばかりです。
くるみ演出にはあれこれ注文をつけている身ではございますが、おかげさまで祝福感いっぱいな年末年始を過ごすことができました。
そして、とにかく4回渡邊さんのパーティー到着のナポレオンなお帽子とコート姿からのパーティーでの軍服甥っ子/勇ましいくるみ割り人形/気高い王子様を
クリスマス時期からお正月にかけて4回も鑑賞でき、幸福な2024/2025年末年始でございました。



※節分過ぎてもクリスマスな内容に耐える自信のある方は以下、どうぞ。



夜空に映えるクリスマスツリー



1回目のマエストロへ。煌めくツリーやくるみ割り人形達がお出迎えです。



気分は客人で、シャンパンをいただきながら、凛として美しい甥っ子~!!



サーモンと紋甲烏賊のカルパッチョ ローストビーフ  ラタトゥイユ



和牛のボロネーゼ。もっちりパスタにしっかりソースが絡みます。金縁のお皿も華やいでいます。



鱈と帆立のヴァプール生海苔のブールブランソース。あっさりとした帆立や鱈の身が海苔入りのソースで面白い味わいに。白ワインが進みます。



ぎゅっと旨味詰まった熟成牛のビステッカ。ブルゴーニュの赤ワインが進みます。



パンをおかわりいたしましたら熱々を布入りの籠に入れて持ってきてくださいました。お祖母さんの家へ行く赤ずきんの気分。2024年は眠り祭りであった。
そうでした、夏場にコロナではないとはいえ眠り祭りと同時にかかってしまった気管支炎は辛かった。
喧しい性格の私が4日間限定で物静かになったのは良かったかもしれないが笑、4文字以上の発音ができず声は出ない上に咳が出やすく
7月終わりと8月初日に観たとはいえ人魚姫と椿姫合体型状態であったが両者のような美もない私は哀れでもなんでもなく笑、もうかかりたくない汗。



とちおとめのジェラート。甘くも爽やかに締め括りです。劇場で毎度お世話になっている方とご一緒できて嬉しいひとときでした。
コフレでは『火の鳥』セカンドイワン王子日に興奮や研修生時代から大注目なさってきた感慨深さで卒倒されないよう、見守って参ります!!



クリスマスに所縁ある方々を乗せてくるくる回っています。



夜のオペラパレス。賛助会員やアトレ会員募集チラシに掲載されていそうな写真ですが、撮影者は私でございます



この日は休鑑日であったが、我が後輩が鑑賞するとのことで、退勤後にオペラシティへ行き合流。まずは客人気分で乾杯です。休肝日ではない。



チーズ盛り合わせ!



赤ワイン。並々入っていて祝福感もひとしお。ネズミ王に敬意を表してチーズ料理を2種注文。
ペンネは4種チーズ入りのソースで、赤ワインが進んで仕方ない。後輩はお洒落爽やかカクテルを注文。
サラミやイカリングフライも食べたかったとのこと。私も好きである。



2駅隣で購入。どちらもくるみとチーズのパン。幡ヶ谷のパン店で作っているそうです。
左側はたっぷりクリームチーズとくるみ入りのふかふか生地。右側は平たい生地にチーズクリームを薄めに、
その上にくるみとクランベリーがのったクリスマスらしい華やかな色合い。
イーグリング版のネズミ王を観ていると、本当はくるみ割り人形やクララ達と仲良くしたいがためにちょっかいを出しながら追いかけているような気がしてならず。
殊に12/21夜、12/24、12/29、1/3のネズミ王が余りに部下思いでチーズの味見させてあげたりと優しい上司っぷりで
きっとくるみ割り人形達とチーズの宴を開きたかったに違いないと想像。
多種のチーズ料理準備時も厨房の取り仕切りが上手そうであり、ネズミ王のチーズと、くるみ割り人形甥っ子のくるみ、それぞれ持ち寄った材料で
睦まじくパンを焼く姿もまた容易に浮かびました。ネズミ王はチーズ柄エプロンと三角巾、くるみ割り人形甥っ子は前掛けと、頭には手拭い或いは鉢巻、でしょう笑。
そうでした、この紙パックワインが意外にも侮れず渋みやコクがきちんとあって美味しい味でした。



しんこくまさん、光に向かって祈り中でしょうか。本名は新国くまさん??



あちこちにコフレポスター掲示。



雪が舞うかの如くふわふわのシュレッドチーズに覆われたペンネです。



宝石のようにきらっと光放つとちおとめジェラート。



アラビアの曲に心を寄せながらコーヒーで締めます。マエストロのコーヒー、コクがあって好みな味であると毎回感じながら喉を通っていきます。



迎春に向けて。クリスマスとお正月合体。あけましてクリスマス!



いよいよ大晦日。クリスマスツリー眺めながらの初台立ち食い蕎麦もすっかり定着。今年は鴨葱蕎麦で、葱の焼き具合が甘くも香ばしい仕上がり。鴨肉も多め。
これを食べないと年越しできず。大人気商品で幕間の列の途中で品切れだったらしい。ビールはアサヒ!!
この日の主演ペア、そして年明け最初に観る主演ペアを視界に入れながら2024年最後を彩るお食事です!!!(帰宅後、乾き物つまみやお菓子は口に含んだが)
我ながら、なかなか整った盛り付けに出来上がりました。



初台立ち食いそば。さあ、いただきましょう!



終演後、しんこくまさんは入口に移動して鏡餅や大入袋持ってお正月準備。仕事納めはまだまだ先です。ひとまず今年もお疲れ様でした!
鋭いジャンプが美しいバレリーナと、真剣な眼差しで颯爽と飛翔する紫タンクトップ短パン侍が写るコフレポスターが背景にありますから、
この写真を新国立劇場における2024年最後の撮影といたしました。



2025年一発目!!一昨年の渡邊さんへのインタビューにて、「明けまして『くるみ割り人形』」は名言です!



あけましてクリスマス!新国立初登場か、バターチキンカレー。しっかりスパイス濃縮で気持ち晴れ晴れする味でした。



オアシスにてカウンセラー及びストイックレッスン人(私とは大違いで、少なくとも10年以上週に2回は通っています。私は年に3回か4回笑。これでも増えたほうです)と。
こちらでもチーズメニュー。右側のマカロニチーズは初注文で、濃厚チーズに胡椒が効いていてワイン進みました。



締めにビール。今年もお世話になります!


以上、2月を経過してからの長々とした初台くるみについての管理人と同様な高脂肪なる感想をお読みいただきありがとうございました。

2025年1月19日日曜日

妖精達との交流で変身前から内面が変化するヒロイン K−BALLET TOKYO『シンデレラ』 1月11日(土)




再び順番前後いたしますが1月11日(土)、K−BALLET TOKYO『シンデレラ』を観て参りました。2013年、2021年に続き3度目の鑑賞です。
https://www.k-ballet.co.jp/performance/2025cinderella.html


シンデレラ:飯島望未
王子:ジュリアン・マッケイ
仙女:日髙世菜
シンデレラの義姉:戸田梨紗子  小林美奈
継母:ルーク・ヘイドン
バラ:塚田真夕
トンボ:木下乃泉
キャンドル:長尾美音
ティーカップ:弟子丸智絵
4頭の雄鹿・王子の友人:石橋奨也  栗山廉  田中大智  山田博貴
2人の道化師:吉田周平  栗原柊
オレンジマン:堀内將平
2人のオレンジガール:島村彩  布瀬川桃子






飯島さんのシンデレラは1幕前半はいたく薄幸で細身過ぎる身体から常に涙を落としていそうな悲壮感もあり。
しかし少し踊り出すだけでも伸びやかな四肢が空間を大きく使ってはっとさせられる光を放って、オンボロ姿であっても生来の美しさは隠しきれない魅了がありました。
舞踏会に現れるとそれはそれは内側から眩いばかりの発光で満たし、金色に彩られた衣装が霞んで見えたほど。クリアで繊細な足運び、腕のラインにも惚れ惚れです。

2人の義姉は女性ダンサーが務めるためか、またシンデレラを床に転倒させたり布で丸め込んで苦しそうにさせた挙句に母親の肖像画を火が灯る暖炉に投げ捨てるなど
虐める場面が過剰に尖って見えて少々辛辣過ぎる気もいたしましたが、戸田さん小林さんコンビの寸分の狂いもない阿吽の呼吸でサクサクと踊り続ける息の合い方が痛快。
半端な技量者や下手な人がやったらただ痛々しいだけにとどまって舞台の格も大崩壊になりかねません。技術も芝居心も十二分に備えた物でないと務まらない役でしょう。
登場して手を一振りしただけでも空気をピリッと変えていくヘイドンさんの継母も存在感の重みあり。

仙女の日髙さんはしっくりと装着するのが難しそうな白いショートカット鬘も違和感なく(鬘にする必要性については初演時の2012年から疑問で聞きたいところだが)
暗闇にたった1人で踊っていても魔法の広がりをしなやかに体現され、細くも強靭な軸や手脚の先端からふわりと柔らかな光を散りばめていて見事な空間支配力でした。

マッケイは2023年『蝶々夫人』ピンカートン以来に鑑賞。今回もきらめきがあったのは事実ですが
豪華な美術装置やスピード感ある妖精4人や妖精コール・ドに囲まれる、更には王子もたっぷり友人達と踊る場面もあるためか
とりわけ踊り満載の場における頭1つ抜けるオーラに関してはピカピカピンカートンのような仰け反るまでのインパクトは抑えめだったかもしれません。
シンデレラの王子は名前もなく、物語バレエでは貴重であろうこれといった過ちもやらかさず、欠点無き王子の中の王子でしょう。
版は違えど全幕は定期的に観ている作品であり、なにしろ初台の『シンデレラ』にて
2016年クリスマスイブにこの作品で本公演全幕主役デビューされた王子のような、
上の台から人々を見守り取り仕切るプレゼンテーションにおいても抜群なセンスのある、パートナーへの気遣いといい
友人達に囲まれて踊るワルツにて容姿のみならず踊りからオーラを燦然と放つ王子を何度も観ているためか、余程の強烈さがない限り心動かされないのかと思います。
ただ再三申し上げますがマッケイはきらり輝く王子であったのは間違いなく、飯島さんとの見た目のバランスも好ましい上に虐げられてきた可哀想な少女が
光り輝く王子と出会い、ガラスの靴の持ち主探しを経て再会を果たして結婚式にてお城に向かって並んで歩む姿は美しく目に残り続ける風景です。
舞踏会で義姉達に迫られ、継母にも捕まって逃げ場がない危機を歪んだ顔で観客に主張する場面は笑いがあちこちから起こりました。

1幕にて四季ではなく身近な愛用品が4人の妖精に変わる演出や、仙女からの問いかけに対して何を変身させるか、シンデレラが提案する場も設けられているのは
素敵な展開。仙女や妖精達との交流によって変身する前からシンデレラが薄幸な少女からみるみる積極的な女性にまず変化していく様子が温かく胸に響きます。
バラ、とんぼ、蝋燭、ティーカップそれぞれ変身直後は頭飾り含めてバラやキャンドルの被り物、トンボのリアルな羽等の奇抜なデザインに驚かされますが
ソロが終わって1幕途中の段階でシンデレラお見送り係となると早替えでクラシカルにお色直しして登場!
ティーカップの精のウェッジウッドなチュチュ模様がまたお洒落で、トンボのきらりとした透け感あるエメラルドグリーンも目を奪われました。
それぞれのソロも見応えがあり、バラの塚田さんは大ジャンプや軽やかさで大輪の花を体現され
トンボの木下さんは優雅に伸びやかな身体で語る涼しげな踊りが印象に刻まれております。木下さんのことはまだジョン・クランコバレエスクール留学前の2018年に
ご出身の三重県での小原芳美バレエスタジオ発表会『シンデレラ』全幕にて冬の精を踊られ、クールで透き通るように麗しいお姿を目にしていただけに
今回は夏(トンボ)の精の音楽のソロで観ることができ感慨深さが込み上げてきます。

長尾さんは強く潔く鋭い回転や駆け抜けるステップで炎を現し、ティーカップの弟子丸さんの巧みで職人気質な正確なポワントワークも目を見張りました。
全員個性は様々ながら、1幕や2幕にて、星の妖精コール・ドとの猛スピードで絡む展開も誰1人音に遅れることなく機敏に踊りこなしていた点にも仰天!
もう1つ嬉しい演出が、馬車が何周もしてくれる点。パレードのようで、馬車
(Kの場合は雄鹿が引っ張るため鹿車でございます。シンデレラ変身の時間確保のため踊り見せ場もたっぷりあります)に乗って
希望に溢れるシンデレラの表情もじっくりと、また馬車が豪華な作りなため観察たっぷりできるのは喜びも増幅させます。
加えて到着場面も重視され、お城のシルエットや門が現れると背を向けて堂々と入城するシンデレラで1幕が下りるのも胸躍らせる演出です。
オレンジマンとオレンジガールの黒塗りや舞踏会男性達のグレー色の鬘は改善したほうが良い気がしており、
特にオレンジマンとオレンジガールは黒がかなり効いていて令和の時代にびっくり。
オレンジ大玉送りな振付を生き生きと踊るダンサーの姿で十分オレンジ隊の魅力は伝わるでしょう。
(当方太古の昔に通っていた教室での発表会にてシンデレラを上演しましたが、
オレンジ運搬の踊りの役の人達、素肌でございました。オレンジ持っていればそれで十分かと思います)

一部意見も申し上げましたが、めくるめく魔法が織りなす壮大なおとぎ話なプロダクションであるのは間違いなく、だから今回の再演にも参りました次第でございます。
シンデレラが舞踏会で思い切り踊れるよう心を砕きながら支え、盤石な揃いっぷりで弾けつつも出しゃばらず、
されど会を盛り立てる仕事をこなす吉田さんと栗原さんによる2人の道化師の舞台捌きも気持ち良いものでした。
ロイヤル時代にアシュトン版の道化は思い入れがお強い熊川さんでしょうから高度な技の連続で、
身体に染み渡ってナチュラルに揃えて踊りこなすのは並々ならぬ技術不可欠でしょう。
ガラスの靴の持ち主探しにて世界のお国探訪記は描かれないものの、本来はアラビアにて流れる
ゆったりした音楽を用いて靴職人達の奮闘を描いていたのもユニークに思えました。

それにしてもバレエは長年観ておりますが、1幕バラの妖精とトンボの妖精ソロあたりで謎の館内放送が流れてしまい、観客ソワソワ。
1階で何かトラブル発生したと思いきや、やんわりと人の声が聞こえて館内放送ならば災害か、
舞台監督や指揮者にも伝達不可能なほどの緊急事態かとヒヤリといたしました。
しかし一瞬音楽が静かになるタイミングで「グッズ販売を〜」との文言が聞き取れ、放送の予行演習をうっかり大ホール客席に流してしまったのか、真相は謎です。

それはさておき、舞踏会でシンデレラが履いているガラスの靴に見立てたラインストーンで彩られたポワントが夢を一層きらっと瞬かせ、
最後の最後、結婚式でめでたしめでたしと言わんばかりに流れ星が夜空を走る景色がまた、夢見心地な気分を引き伸ばしてくれる演出です。
ホールの事情なのか日程が短期でキャストが多彩なキャストを組めなかったのは惜しく、再演があればまた観た作品でございます。




ポスター色々



展示の海賊衣装、間近で見ると何ともゴージャス!! 涼しげなメドーラ。



ラジャ達も装飾が細かい



メドーラ正面から。トロワのときはチュチュ派ですが、水面が輝く海を思わすこの涼やかなブルー衣装は美しや。膝丈スカートも歓迎です。



メドーラ斜めから。水色に輝く凝った作りの頭飾りもずっと観ていたくなります。



被り物も豪華。



アリ。こんなに宝石が精巧に鎖に付いているとは驚き。選ばれし奴隷だからか。



終演後に電車で2駅移動して、2023年の英国ロイヤル・バレエ団のミックスプログラム帰りに徒歩で向かった
ブリティッシュパブTHE R.C. ARMS 秋葉原店です。当ブログレギュラーの我が大学の美女後輩も一緒です!
後輩はバラの花が飾られたローズノンアルコールカクテル、私はヴィクトリアンアルトビール。シンデレラ家の一輪挿しのバラは妖精に変身!



クリスピーチキン。カリッとしていてガーリックが少し効いたクリームがかかっています。マッシュポテトは滑らか。



ローズハイボール。私に似合わぬ名称で普段まず飲みませんが、ハッピーアワーでした。



一口キッシュ。後輩はKもよく観に行っていますが、私とはキャスト違いの日や別日程が殆どでしたが今回は珍しく同日鑑賞。
飯島さんが大好きだそうで、2回観に来たそう。大満足な様子でした!



デザート。キャロットケーキとレモンケーキ。後輩はケーキかよく似合う可愛らしさです。
キャロットケーキは一昨年私がロイヤル帰りに食べまして、クリームたっぷりでにんじんもぎっしり。
おすすめです。 予約制でアフタヌーンティーセットのメニューもあります。

2025年1月17日金曜日

鑑賞で支援 震災から1年が過ぎた今できること  石川県復興支援公演『ロミオとジュリエット』  1月10日(金)




順番前後いたしますが1月10日(金)、大田区民ホール・アプリコにて石川県復興支援公演『ロミオとジュリエット』を観て参りました。
https://event.lartgroup.co.jp/


主催・企画はハンガリー国立バレエ団やKバレエカンパニー(現K-BALLET TOKYO)で活躍されてきた高橋裕哉さんが代表を務める株式会社LART GROUP。
挨拶文によれば高橋さんは被災地を訪問されて未だ厳しさが続く状況を目にして芸術を通しての復興支援を決意され、振付家も出演者も錚々たる方々が集結。
そしてオーケストラ演奏付きでの公演を実現させ、その行動力企画力には頭が下がるばかりです。


振付:ジョバンニ・ディ・パルマ 

 指揮者:稲垣 宏樹
ジュリエット:マイヤ・マッカテリ
ロミオ:高橋裕哉
神父:塩谷瞬
乳母:鷹栖千香
ベンヴォーリオ:今井智也
ティボルト:浅田良和
マキューシオ:益子倭
ロザライン:ジェシカ・マカン
パリス:中野吉章
キャピュレット:高橋斐乃
ピーター:小笠原征諭

織山万梨子  清瀧千晴  池本祥真  渡辺恭子  阿部裕恵  高谷遼  冨岡玲美  林田翔平  
中沢恵理子  生方隆之介  吉留諒  新里茉莉絵  渡辺与布  三船元維  鳥海創    平木菜子
刑部星矢  渡辺栞菜   土橋冬夢  石井日奈子


高橋さんのロミオは純朴で優しげな青年で、決して大柄ではない身体であっても伸びやかに踊る姿で舞台を牽引。
しかしマキューシオの死を目の当たりにしてカッと血が上ると煮えたぎる怒りが瞬く間に沸き上がり
ジュリエットへは後悔の念を切々を語りかける様子が哀れでならず。高橋さんの舞台の鑑賞は
ひょっとしたらKバレエ時代2022年1月のシンプル・シンフォニーのみかもしれませんが
石川県への現地入りからの企画発案、キャスティングに主演までこなすお力に脱帽です。

2006年の世界バレエフェスティバル以来に鑑賞が叶ったマッカテリは身体のラインの変わらぬ美しさに加え
肉体で自在に物語る力も雄弁で乳母との戯れはそれはそれは可愛らしくあどけなく、
心を許している存在だからこその無防備な愛らしさが刻一刻と迫っている悲劇を把握しているだけに胸にくる魅力です。
先述の通りマッカテリを観るのは久々で、18年前はお人形のような可愛らしさでお兄様のデヴィッド・マッカテリとロミジュリバルコニー披露していたかと記憶。
兄妹で踊る瑞々しい情熱溢れるカップルに、踊りづらくないのか要らぬ心配もいたしましたがそれはそうと
滅多に来日されす、この先日本で鑑賞する機会はもうないかと思っておりましたので全幕のヒロイン役で鑑賞できたのは大きな喜びでした。
マッカテリと高橋さんのペアは観る前は未知数ながら、しっとりと感情を歌い上げる表現の相性が宜しく、
バルコニーの歓喜もあからさまではなく感情を丁寧に紡ぎ上げるように表したりと方向性がしっかり一致。
最後は2人が互いに息絶える前に触れ合う瞬間が描かれ、だからこそ計画のすれ違いが恨めしく運命の残酷さを、
そして僅かであっても命ある状態での再会が叶った喜びが沁み入る物語る幕切れでした。

そしてあちこちで沸いている共通事項な感想でしょう。ソリストもコールドも国内のメジャーカンパニーにおける主要役経験者揃いで私も言わせてもらいます。
何処観たら良いか分からない笑。実はこの日うっかり双眼鏡を忘れてしまったにも拘らず、舞台姿から放つオーラが皆さん強くあるせいか
シータと違って決して視力が良好な数値ではない私の裸眼でも問題なし。
殊に、ティボルトの手下としてダークな色で舞台を覆い尽くしながら踊りは達者で職人芸が光りに光る、清瀧さん池本さんの悪党コンビのエネルギーたるや。
悪さする人間の役のイメージがないだけに(特に清瀧さん)、鮮烈な風で吹き荒らす2人組でした。

やまちゃんこと益子さんは一昨年夏の札幌市での小泉のり子バレエ公演『真夏の夜の夢』オベロン以来ですが、意外と申したら失礼だが
キビキビとしたテクニックで物語を刻むムードメーカーで、プロコフィエフの音楽にもよく乗っていて技術もしっかりとしていたのは驚き。
よく研いだ刃の如くシャープに縦横無尽に駆け回る浅田さんティボルトとの対峙も堂々たるもので
一歩引いた場所から冷静に見据えて仲間達を静かに見守る今井さんベンヴォーリオの配置もバランス良き造形でした。

最も心を掻き乱されたのが、2幕ジュリエットと乳母とのやり取り。愛するロミオをの結婚を主張するジュリエットの想いを受け止めたいのは山々だが
家の厳格なしきたりが許さぬ事情との板挟みになり、ジュリエットの叫びを泣く泣く拒絶するも遂には手を上げてしまう苦しみを鷹栖さんが痛切に表現。
やがてジュリエットも乳母に心を寄せ、互いに悲しみ合う様子が心に刺さりました。
それから俳優の塩谷さんの出演も話題に。戦隊物のテレビ番組への出演で人気を博した旨はお恥ずかしい話今回初めて知り、
バレエの舞台は初出演とのことですが、歩き姿や振る舞いを観る限りバレエの舞台にもよく馴染んでいた印象です。

衣装は和の趣がありロミオとジュリエット以外は着物風のデザインが多し。街や舞踏会の女性達は新国立劇場バレエ団『パゴダの王子』さくら姫を思わす着物とワンピースの合体型なデザインで
キャピュレットの高橋さんは長い髪を下のほうで1つ結びにして赤紫色の和服な衣装であったせいか、
『るろうに剣心』の何かのキャラクターに見えなくもなかったが(作品の詳細はよく存じません。失礼)

舞踏会帰りの古典交響曲を始め所々カットしながらも2時間弱に上手く纏められた構成で、何よりオーケストラ演奏付きであったのは喜ばしいこと。
せっかくのプロコフィエフ音楽を、しかも『ロミオとジュリエット』を生で聴きながら全幕バレエ鑑賞でき、再度高橋さんの企画力に頭が下がります。
冒頭に何本もの剣が天井から落下して床に散らばる演出も悲劇へ走る物語への没入を駆り立て
装置はシンプルであっても隅から隅まで主要役経験者揃いな出演者構成でしたから、舞台の躍動感を巧みに見せる手腕に長けた強者ばかりで物足りなさは皆無でした。

会場では輪島塗の販売もあり、見ているだけでも人の手で大切に作られたからこそ滲む艶と温もりが伝わり、暫しじっと眺めておりました。
10年以上前ですが一度だけ真冬に輪島市を訪問しており、しかしこれといって計画も立てずに滞在していたため午前中に朝市通りを何回も往復。
入りやすそうな広々とした輪島塗のお店にてお箸を購入するだけで精一杯でしたが、
大きなストーブがあるから暖まってお茶飲んでいって、またいつでも休憩にでも来てね、とご主人が優しく接してくださったことは今も忘れられません。
店名も詳細な場所も記憶に留めていないことを悔やむばかりですが、永井豪記念館の近くにあり、
あの辺り一帯は震災でぼぼ全焼していたはず。お店もご家族、店員さん達の安否も把握できぬまま1年が過ぎてしまいました。
今回の公演は当初はいったいどんな中身か不安も感じておりましたがとんだ失礼で、
鑑賞が支援に繋がる明確な目的を掲げての企画で出演者も所属団体の垣根を越えて実力者達が大集結。
震災から1年が経っても未だ爪痕が生々しく残っている地域もあり、復興への弾みになればと願ってやみません。

本日は阪神淡路大震災から30年。20代の方々は生まれておらず、月日の流れの早さを痛感いたします。
当時父方の親戚一族が神戸市灘区に住んでいたため気が気でない日が続きましたが奇跡的に家屋は倒壊せず全員怪我もなく無事でおりました。
しかし周囲の家々はほぼ全て倒壊し、横倒しになった高速道路や壊滅状態になった街並みや大火災、凍えるような寒さの中での避難所生活の報道に、
遠方に住んでいても心が塞がるような衝撃を受けていた記憶があります。
南海トラフの確率予想も高まっており、今するべきこと、準備しておきべきこと、
今回の公演を機に今一度考えながら過ごして参りたいと思っております。




出演者サイン掲示



帰り。もうビールの残りが少ない状態ですが、蒲田駅前の中華料理店歓迎へ。1人でしたが回転円卓にて相席が何とも嬉しく
辣油やお醤油は声掛けあって仲良く利用するのもまた楽しい。



蒲田の名物羽根つき餃子。羽根部分は薄くパリッと、中身は肉汁いっぱい。後味はさっぱり。
そしてつい誘惑に負け、海老炒飯も。パラパラと油っこさがなく、まん丸い海老たっぷり。炒飯好きでございます。
そして蒲田行進曲が脳裏に焼きつく蒲田駅の列車発着音楽です。



炒飯拡大!



2025年1月13日月曜日

バレエ・クロストーク 振付家矢上恵子の世界




順番前後いたしますが、1月13日(月祝)江東区の森下文化センターにて、バレエチャンネルさん主催のバレエ・クロストーク 振付家矢上恵子の世界を聴講して参りました。
https://yagamikeiko-gala.com/TOKYO2025/?p=2267


芸術監督の福田圭吾さん、そして福岡雄大さん、小野絢子さん、木下嘉人さん、池田理沙子さんが登壇。
過酷なまでに心身を削がれる振付についての叫びが訴えかけ、
一音一音のみならずその間にも振りが入る複雑さや矢上メソッドの厳格さ等、いかに難しい挑戦であるかひしひし伝わるお話満載でした。
また福田さん福岡さんといった愛弟子達と、小野さん池田さんの初挑戦者達の意見の違いも納得。
小野さんからは、早う本番用の装置を用意せい!と言わんばかりの要望も福田芸術監督に対してちゃっかり笑。
木下さんは昨年大阪のKバレエスタジオの舞台に客演されたときに矢上作品に初挑戦され、今回上演される『多重人格』に出演されました。
未経験者がご自身のみで食らいつきがハードだったとのことですが、現地で観た者としての印象は愛弟子達と遜色ない仕上がりでびっくりでございました。

残り約1ヶ月、只今追い込み真っ盛りなようです。2007年からほぼ毎年Kバレエスタジオの舞台に通い、今回の上演予定作品7本全て大阪や出雲で既に鑑賞済な者からしても
パ・ド・ドゥ、ソロ、そして大所帯の大作まで、東京での一挙披露が楽しみな強力作品が揃っています。
作品ごとに趣きは異なれど、観ると息をグッと呑みつつもこちらの心身までもが研ぎ澄まされて昇華していく、ときには放心状態にもなるそんな心持ちになる作品ばかりです。
当日は眼をギランギランに光らせる鑑賞者になりそうな私ですが笑、心待ちにしております!
本当のところ各作品についてあれこれ語りたい気持ちは山々ですが、基本恵子先生の作品は上演プログラムにも
詳しい解説がなく、大概はタイトルのみ記載。観る者の感性に委ねてくださっていたのかもしれません。

弟子達教え子達には指導時は猛烈に厳しく怖かった恵子先生ですが、毎年毎年東京から観に来る私のような呑気な観客にはいたく優しく(そして豪快笑)に接してくださいました。
あるとき恵子先生に対して、先生の作品を観るとパワーがじわっと沸いてきて、と訳の分からぬ感想を伝えてしまったときのこと。
コンテだからと難しく考えず、感じたままに楽しんでくれるのが1番嬉しいんや!ありがとう!!と返してくださったにこやかな笑みは今も忘れられません。
本日のレポートは、バレエチャンネルさん及び文章力のある聴講者様が解説してくださるはずですので当ブログはここまで笑。是非会場にてお楽しみください。
ケイスタでの恵子先生作品に助演経験ある、恵子先生からバレエ団のコンテクラスで直に学んだ大阪の佐々木美智子バレエ団の団員の方々や
ケイスタでも学び、現在谷桃子バレエ団で活躍中の梶原麗菜さん、ケイスタでの活動後スタダンでも活躍されてきた井後麻友美さん、
恵子先生の申し子であり作品指導もあちこちでなさっている石川真理子さんら関西拠点或いはご出身の強力な面々が集結します。
売れ行き好調で残席も少ないようで、ご覧になりたい方はお早めにご購入を!

https://yagamikeiko-gala.com/TOKYO2025/

後半は集中緊張等、バレエ全般についての質疑応答も聴き応えある内容でした。
トークを企画してくださったバレエチャンネルさん、そして公演の芸術監督として取りまとめてくださっている福田さん、登壇の出演者の皆様、ありがとうございました!
どの作品も楽しみですが、『Cheminer』主軸を小野さんがラヴェルのボレロに合わせてどう踊られるか、周りを率いるか注目しております。
私が観たときの主軸は山本隆之さんで、凄みやカリスマ性がこれ以上にないほどの迫力でした。山本さんと小野さんが同じポジションを踊られる機会が巡るとは不思議な感覚です。




集合写真、上手く撮れず失礼。皆様素敵な表情です!


駅近にタイムリーな名称のコーヒー店。



アイスコーヒー、すっきりと喉に通り美味しい。ブレンドコーヒーやコーヒーゼリーも量たっぷりでした。





その後は西側へ移動!東京ビールを飲みながら。



次回以降の新国立公演チラシも配布されましたので記念に。



到着早々に漫才パンダ菓子を買ってしまった笑。メモリアルガラ、難波のグリコも本家大阪から応援してますねん!