2024年2月9日金曜日

血湧き肉躍る官能美   国際バレエアカデミアバレエ団『ショピニアーナ』『シェヘラザード』2月3日(土)4日(日)




2月3日(土)4日(日)、国際バレエアカデミアバレエ団公演『ショピニアーナ』『シェヘラザード』を観て参りました。
国際アカデミアさんの舞台に足を運ぶのは小牧バレエ時代を含めると3回目です。
http://www.academia-ballet.jp/2024年2月3・4日-『シェヘラザー-ド・ショピニアーナ』/


※国際バレエアカデミアさんのSNSに舞台写真、リハーサル写真が大盤振る舞いで多数掲載されています。是非ご覧ください。










【絶賛前売り券発売中】 国際バレエアカデミアバレエ団公演ダブルビル 「シェヘラザード」「ショピニアーナ」 ------------------------------------------ 2024年2月3日(土) 18時半 開演 4...

国際バレエアカデミアさんの投稿 2024年1月17日水曜日




『ショピニアーナ』

元々好きな作品ながら近年なかなかお目にかかれず、先月バレエ!バレエ!!バレエ!!!山口県防府市公演にて
華麗なる大円舞曲は演奏のみで鑑賞していただけに一層楽しみにしておりました。
主軸は蛭川騰子さんと山田悠貴さん(新国立劇場バレエ団)。特に2日目はノクターンもワルツもふわりと靡く風情たっぷりなパ・ド・ドゥを披露。
蛭川さんは昨年夏の全国合同バレエの夕べにて岩田守弘さん振付『ライモンダ』抜粋にて主役を踊られ、
カチッとした格調ある舞台姿がたいそう美しかった記憶がありますが<今回は白いロマンチックな妖精らしい楚々とした踊りも優雅でとても魅力的。
山田さんは、音楽を持て余さないよう高い跳躍を披露しつつも丁寧に積み上げていく踊りが目を惹き
初日はやや元気がよ過ぎる感があったものの2日目は腕のラインも一層優美に見せていた印象です。
コール・ドは静けさと和を重んじた整い方で腕を過剰にひらひらさせず、古風でゆかしい趣きが連なる美を堪能いたしました。



『シェヘラザード』

ゾベイダ:木村優里(新国立劇場バレエ団)
金の黒奴:渡邊峻郁(新国立劇場バレエ団)
サルタン・リアール:原田秀彦
サルタン・ゼーマン:ニコライ・ヴイユウジャーニン
宦官長:ビヤンバ・バットボルド



明るい色彩感溢れる美術や衣装、踊る見せ場がふんだんに用意され、マリインスキーでの上演版とはだいぶ異なる振付です。終盤特に男性奴隷達の踊りの洪水はまさに血湧き肉躍る大迫力。

金の黒奴(他の版では金の奴隷)は渡邊さん。私は渡邊さんの虜になって以来早7年経ちますが変わり者と承知して申しますと、金の奴隷役の鑑賞をずっと夢見ておりました。
2016年のおけぴ記事に掲載されたシンデレラ王子のリハーサル写真が序章といえば序章ですが、何度かここでも触れている通り
どっぷり虜になったきっかけがトゥールーズ時代の野性味系作品3本ベジャール版『火の鳥』、ベラルビ版『美女と野獣』
『海賊』(通常の海賊とはだいぶ異なるベラルビオリジナル版。渡邊さんは暴君なスルタン役)でしたので、そもそも王子貴公子系の役が入口では全くなかったのです。
ですから、王子系も勿論素敵ではあるものの一癖も二癖もある役柄こそもっと観たいとずっと願い続けているこの7年でございます。
しかし新国立劇場では真面目爽やか王子様の印象が強くあるだけに、周囲に金の奴隷が見たいと言うものなら変わり者扱い受けた回数は2回や3回にはおさまらず笑。
映像で観た内側から発光する何もかもを覆い尽くすような凄味あるオーラや踊り、そして獰猛そうな眼力を国内でも生で観てみたい、
金の奴隷なんてぴったりではなかろうかと思い描いて参りましたので、この度は感無量でございました。

奴隷達は序列があるらしく、銅の黒奴、銀の黒奴達が鞭打たれながら何人も登場後、ふと曲調が静かに変化したところで金の黒奴が登場。
1人だけ両手両足を鎖に繋がれているまま歩かされ、しかし衣服は装飾満載な金ターバンや
露出度高いセパレート衣装で金一色。特異な立場にあろうと匂わせます。
鞭打たれているときは余りに痛そうで、その瞬間は這うようにして俯き苦しそうにしていながら
打たれた後に鞭打人に対して向ける、のし上がりと復讐を企んでいるであろう野心や憎悪を宿す矢の如き鋭くギラギラな眼光に悩殺。
打つ側からすれば生意気極まりない反抗的な態度にしか思えず、目で殺られそうになる危うさは益々反感を買って(ターバン効果で額と目がよりはっきりと見える)
鞭打ち連鎖に繋がる悪循環になるのでしょうが、ただ虐げられているだけでない
今にも噛み付きそうな内に秘めた攻撃性の凄まじさやギラっと見上げる鬼気迫る眼、そして既に隠しきれない官能美に身震いが止まりませんでした。
やがてゾベイダと視線が合い、僅かに時間が止まったような構図が描画。しかし名家同士であるロミジュリとは違って身分差のある2人であるわけで、
恋に落ちたのではなく会ってはならない人に出会ってしまった予感が募る危険信号がこの段階では光っていたと私は捉えております。(意見分かれると思いますが)

後半、いよいよ宴も上昇気流に差し掛かる頃には、2日目はもはやゾベイダを差し置いて主導権は金の黒奴が掌握しているかのように
踊り狂う人々を見渡しては周囲を鼓舞して心身を解放させ、続いて高度な跳躍を次々と魅せる場となれば音楽にもよく乗って場を圧するオーラで覆い、
眼差しもギラギラ度が増強。狂気を突き抜けた境地に到達していたと思わす、全身から放つ熱量も多く魂から大化けしたお姿でございました。
新国立劇場バレエ団公演ではなかなかお目にかかれない渡邊さんでしょう。
鎖に繋がれ俯いた状態で連行されてきた、自身を押し殺しながら登場した痛々しい奴隷がゾベイダとの出会いを経て、
束の間とはいえ狂喜乱舞する宴を煽るように率いる姿へ変貌する強烈なパッション、厚み、瞬発力に呼吸を忘れかけたほど。
肩から背中、腕にかけての逞しい肉体美にも酔い痴れました。
そもそもいかにして奴隷になったのか、他の奴隷と違って金衣装を着用させられた経緯も気になり、王宮への登場前には酷い仕打ちを受けていたのは想像に難くありませんが
渡邊さんで観ていると、舞台上では描かれない背景をも探りたくなるキャラクターです。

木村さんのゾベイダは序盤から豊潤な舞で舞台をリード。王にすがり付きながら甘える様子は可愛らしくも愛妾としてのプライドが滲んでいて
ハーレムの人々と一斉に踊り出す場では身体のしなりにも華と色艶が充満。吸い寄せられる妖艶でねっとりとした輝きが眩いばかりでした。
ガラでもしばしば披露されるパ・ド・ドゥも、全編の中で装置や美術付きで鑑賞すると格別。
身体のくねらせ方やパートナーリング構築の妙、2人の間で芽生える情熱の膨らみを何とも色彩豊かに描写していて
カラフルな宮廷の中であっても眩しさを放つ2人の踊りから目が離せず。またパドドゥのみならず、群舞の後方での目をぴたりと磁力のように合わせながらの酒の酌み交わしや
抱擁しながら宴を見守る様子など、2人の行動の細かな足取りが分かるのも全編だからこその醍醐味でしょう。初台野鳥の会状態で双眼鏡用いて眺めておりました。
狩猟から戻ってきた王達の怒りを食らい、人々が斬り倒されていく惨状な現場にて身体1つで王に立ち向かう金の黒奴の獰猛な勇姿を目にできたのも
全編鑑賞できたからこそ。呆気なく刺殺されてはしまったものの、目と心を更に一段階揺さぶる最期でした。

脇を固めるベテランの引き締め度も忘れ難く、サルタン・リアール原田さんの威風堂々とした佇まいや不機嫌時に醸す恐ろしさ、
ゾベイダの死を前に、怒りと嗚咽の両方が聞こえてきそうな最後も印象に刻まれております。
実は原田さんは25年ほど前に観た友人の発表会にて教室オリジナル版『真夏の夜の夢』にライサンダー役で出演されていて、懐かしさが込み上げた次第です。
そして宮廷の最大の引き締め役は宦官長のバットボルドさんでしょう。思えば誘惑に負けて鍵をゾベイダに渡してしまい
やがて悲劇を迎える狂喜乱舞な宴の引き金を引いた人物でもありますが、王達に機敏にお仕えしつつ
留守を預かった宮廷ではほっと微笑んでしまう和みな存在。芝居1つで物語を滑らかに動かしてくださいました。
踊りも達者で、ふくよかな人物設定を忘れさせる軽やかな回転やステップを目をクリッとさせながらお茶目に披露。
出るべき箇所と引く箇所の匙加減も絶妙で、舞台の格をぐっと上げてくださった纏め役なお1人です。

アルメニア、ハーレムの女達、奴隷が金は1人で銀組、銅組もいる編成で想像以上に男性出演者も多く、踊りの見せ場も盛りだくさん。
所狭しとカラフルな踊りが繰り広げられて緩急の展開もよく練り上げられ、中でも宴の後半における
金の黒奴とゾベイダのソロ、群舞が交互に入り乱れながら披露していく流れは興奮エネルギーの高まりが止まらぬ
大スペクタクルな振付演出でした。マリインスキーのものとは別物です。

リムスキー=コルサコフのこの音楽を管弦楽団による演奏で生で全編聴くのも初めてで、
以前から好きな曲でしたが東洋の香りを帯びた何処か哀愁ある旋律に一層聴き惚れました。
後半における、金の黒奴の大ジャンプ披露の場で踊りだけでなく音楽も更に高みを目指すように高揚していきながらも
心底から晴れやかには決して見えず、黒奴の内側に屈折した部分がまだ残っていると感じ取らせたのは音楽が持つ切ない要素もまた影響していたからかもしれません。
元々の音楽の描写とバレエのシェヘラザードの物語とは全く違うはずが、振付と見事に溶け合っている仕上がりに再度驚かされます。

シェヘラザードの曲を知ったのはとても遅く、2002年のソルトレイクシティ五輪フィギュア女子でのミシェル・クワンさんのフリープログラムがきっかけで
その日平日ながら諸事情により在宅であったため中継を視聴していたときのことでした。
神秘的なロマンを掻き立てる不思議な旋律に聴き入り、同年に吹奏楽の演奏会にて聴く機会はありながらも(ヴァイオリンソロはクラリネットかフルートが担当と記憶)
オーケストラで全曲をいつか聴いてみたいと関心を持ちながらいつのまにか22年。ようやく耳にできたこと、
何より金の奴隷で観たいと願っていた渡邊さん主演での鑑賞でしたから喜びもひとしおでございました。同じキャストでの早期の再演、心より待ち望んでおります。

手元に小牧さん版の初演時に近い時期の配役表があり、(あとに述べる、白鳥の湖全幕日本初演を振り返るシンポジウムで配布)
今回の上演よりも大人数構成で、しかも金、銀、銅の奴隷を始め男性も多し。
例えば銀に関直人さん中川鋭之助さん、粕谷辰雄さんほか、銅に横井茂さん(この方の1957年演出振付の美女と野獣があるらしいが観てみたい)ほか。
時代を考えたらバレエ経験のある男性はまだまだ少なかったはずで、ただ実家の福島県白河市から列車で片道5時間かけて
帝国劇場に足を運んだ日に人生が変わったと後にインタビューで語られた関さんを始め『白鳥の湖』全幕初演を観て衝撃を受けた青年達が
こぞって上京してバレエを始めたとの記述も読みましたから大急ぎで学んだにしても、押し出すエネルギーは大変な熱量であったと想像できます。
タイムスリップできるなら、小牧さん自身が踊る金の黒奴を観てみたい、日本のバレエ黎明期当時の会場の熱気や喝采を肌で感じたいと思わずにいられませんでした。
まだ右も左も分からない日本のバレエ界の舵取りを戦後復興真っ只中な状況下で担われた
小牧さんのパワーと情熱は人間性と踊りの双方から飛び出していたと想像いたします。
今回の舞台をもし小牧さんがご覧になっていたら、自身用に改訂した作品をこうにも魅力的に踊った金の黒奴をどう感じられたか、印象を聞いてみたいものです。


※公演期間中に小牧さん及び日本バレエ黎明期の話題になったとき、小牧さんの金の奴隷映像は残っていないであろう云々口走っていた私ですが、映像を見ておりました。
2016年に夏に世田谷区の貝谷バレエのスタジオで開催された『白鳥の湖』全幕日本初演を振り返るシンポジウムにて、見ていたのです。
重厚で豪胆、オーラに呑まれそうになった、等とメモを残しております。
黎明期当時を知る方々がパネリストとして集結してぶっ飛びエピソードを次々と語られ、(失礼ながら小牧さんの弱点には笑ってしまったが)
しかも会場は実際に稽古が行われていた世田谷区の貝谷バレエスタジオ。
小牧さんや島田廣さん、松尾明美さんや服部智恵子さんらの情熱を感じ、息遣いが聞こえてきそうな大変実りあるシンポジウムでした。
http://endehors.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-ea00.html



今はインターネットで手軽に調べ物が可能な時代ですが、書籍やCD解説書に目を通しながら学ぶことも大切にしたい。 CD解説書の絵を見るのも楽しみの一つ。世界観に誘われます。

また一時期小牧正英さんについて、ずっと書籍を読み進めておりました。山川三太さん著『白鳥の湖伝説 小牧正英とバレエの時代』に詳細が綴られています。
ひょっとしたらどんなバレエ作品よりも数奇な運命に翻弄され導かれた人生を送った方かもしれません。
ヌレエフやバリシニコフらも仰け反るような、実質の密入国、音楽の道を志すもピアノは諦めたが脚線美を見たピアノ教師にバレエを勧められてバレエの道に進んだこと、
戦時中の検問所での命拾い逸話等には手が震えたほど。日本、ハルピン、上海にて命削りながらバレエに取り組んでこられ、朝の連続テレビ小説や映画の題材にもなりそうな人生です。



ハイボールを注文したら金貨チョコレートがついてきます。キンキラキン。




パスタ皿の模様が装置に似ておりました。



オペラシティもキンキラキン。



牡蠣玉うどんまでが金色に見えた昼下がり。



椿屋珈琲にて金のチーズケーキ。外のメニュー看板を見て来店。何が金であるかはよく分からずであったが、キンキラキン。


2024年2月5日月曜日

精鋭達の集結 NHKバレエの饗宴2024 1月27日(土)








1月27日(土)、NHKバレエの饗宴2024を観て参りました。
https://www.nhk-p.co.jp/ballet

※2月18日(日)にテレビ放送予定ですので、感想は簡単に綴って参ります。
↑小澤征爾さん追悼番組に変更のため、放送延期だそうです。
↑3月24日(日)21:00から放送されるようです。


東京シティ・バレエ団
L'heure bleue ルール・ブルー
振付:イリ・ブベニチェク

ティアラこうとうでは観ており、大箱のNHKホールではどう映るか些か心配もありましたが全くの無用で
1人1人の身体から自然にステップを解き放っていて、オケのチューニングを手拍子でさっと止めて本番開演する始まりからしてと心を掴まれました。
岡さんの脚の出し方や歩き方から一瞬たりとも目が離せず、細かな箇所に至るまでお洒落な要素をキュッと行き届かせています。しぼんだスカート姿もまた愛らしい。
絵の額縁の中を覗き込むような構図も洗練されていて、宮廷の舞踊や衣装とモダンな趣きが柔らかに、ときにはお茶目に溶け合っていて何度でも観たくなる作品です。
何処かで聴いたバロックを始め名曲アルバムな音楽構成も聴きどころ。放送時は音楽にもご注目ください。


永久メイ  フィリップ・スチョーピン
『眠りの森の美女』からグラン・パ・ド・ドゥ

マリインスキーの眠りのグラン・パ・ド・ドゥを鑑賞できると思うとそわそわとしてしまいましたが、
永久さんの優美且つ空間を大らかに使う、寸分の隙も無いマリインスキースタイルにうっとり。腕と脚のラインからも気高さを放つような煌めきも刻まれております。
以前観たジュリエットのときよりも遥かに舞台姿が大きくなった印象すら持たせました。
スチョーピンは踊りもマナーも端正。アダージョ最後は足引っ掛けではなく肩乗せリフトポーズであったのが意外でしたがマリインスキーな眠りを観られて大満足。


金子扶生  ワディム・ムンタギロフ
『くるみ割り人形』からグラン・パ・ド・ドゥ

マリインスキーの2人の直後に英国ロイヤルの主役級が登場。金子さんは抑えた中からもゴージャスな華をたっぷりと見せ、技術も盤石。
ムンタさん(久々に申します!)は紳士然としたパートナーリングでありつつ王者な風格で
ソロでの最後、立膝からの立ち上がりポーズにおいても滑らかな決め方。
アダージョ中盤において、音楽はいよいよ昂ぶる盛り上がりを見せる中でもダイナミックな味付けにはせず
振付は女性が腕を斜め下に向けながら男性はサポートを細やかにしていく振付が
音楽に反して抑えた味わいが醸されているされど音楽にはぴたりと合っていると思わせ、ライトの構想力の面白さをを今更ながら感じます。
それにしても、マリインスキースタイル、ロイヤルスタイルそれぞれ徹底されたパ・ド・ドゥを連続で観る喜びに浸りました。


中村祥子  小㞍健太
幻灯
振付:小㞍健太

舞台転換時間が長く、演出の工夫にも興味を惹かれましたが床照明の効果もユニークで、
緻密な白いレース地なデザインワンピース衣装の中村祥子さんと小㞍さんが絡んでは予測もつかない形を作り上げて行くしっとりした展開を楽しく観察。


新国立劇場バレエ団『ドン・キホーテ』第3幕

昨年秋には名古屋公演初日にも登場したペアで3幕上演。米沢さんは大トリのヒロインに相応しい艶やかなオーラと揺るぎないテクニックで沸かせ、
仮に生放送でも問題ないスルスルトリプル入りフェッテも涼やかで美しい。
速水さんは経験積む中でだいぶこなれてきたのかパ・ド・ドゥにおいても視線交わす幸福ぶりをたっぷり示し、米沢さんとの息もよく合っていた印象。
今回はメッシュが無しでしたが(物足りなくなってしまう笑)、鮮やかに決めて行く踊りや客席全体をキラリと目線を届けながら去ったりとスター性も妙に十分。

新国ドンキ3幕の大きな見せ場であろうファンダンゴも祝福感たっぷりで、
女性の白地のレースなスカート、男性の白い帽子や衣装がずらりと並んでのフォーメーション造形は圧巻。
一気に盛り上げたところにグラン・パ・ド・ドゥアントレの方々が登場してくる流れも舞台温度を更に上昇させる展開と毎度思えます。
ヴァリエーションは山本涼杏さんのきびきびくっきり描き出す回転も整っていて、
無事踊る役で復帰された直塚さんの音楽をゆったりと吸い上げるように大きく踊るお姿も目にできたのも安堵でございました。

豪華フィナーレも用意され、異なる団体からに出演者達が勢揃いしての挨拶は壮観な光景。
ムンタさんと新国立の面々が並んでも馴染んでいる感があるのは共演を重ねてきた年月を思わせ、感慨深いものがありました。
大目玉企画は無くても精鋭達の上質なステージがぎゅっと詰まった今年の饗宴、大変満足度高い内容でした。テレビ放送、お楽しみに!




満月



帰り、渋谷駅近くにて。L'heure bleue彷彿な内装のお店にて乾杯。



渋谷駅卵の饗宴。不思議な食感のオムレツ、そしてブリュレがぎゅっと濃厚で焼き目はパリパリ。
一時期は新鮮味に欠けてしまった印象もあった饗宴ですが、工夫次第で色々な企画ができそうと思えた夜でした。来年も開催されますように。

2024年2月2日金曜日

人生初の山口県 バレエと演奏の駆け足ハイライト集 バレエ!バレエ!!バレエ!!! 防府公演1月21日(日)《山口県防府市》







1月21日(日)山口県防府市でバレエ!バレエ!!バレエ!!!を観て参りました。人生初の山口上陸です!
http://aspirante-hofu.com/event/ballet/


シアターオーケストラトウキョウさんのフェイスブックより

『 バレエ!バレエ!!バレエ!!!』防府公演 📷防府公演の様子 #齋藤友香理 #シアター オーケストラ トウキョウ #伊藤範子 #沖香菜子 #宮川新大 #小野絢子 #速水渉悟 #池田理沙子 #渡邊峻郁 #杉野慧 #栗山廉 #中井皓己 #髙橋芳鳳 #山田博貴 #二山治雄 #日髙有梨 @theater_orchestra_tokyo @yukarisaito_2020

Theater Orchestra Tokyoさんの投稿 2024年1月23日火曜日



※出演者 アスピラートホームページより
指揮:齋藤友香理
演奏:シアター オーケストラ トウキョウ
沖香菜子(東京バレエ団/プリンシパル)
宮川新大(東京バレエ団/プリンシパル)
小野絢子(新国立劇場バレエ団/プリンシパル)
速水渉悟(新国立劇場バレエ団/プリンシパル)
池田理沙子(新国立劇場バレエ団/ファーストソリスト)
渡邊峻郁(新国立劇場バレエ団/プリンシパル)
杉野 慧(K-BALLET TOKYO/プリンシパル・ソリスト)
栗山 廉(K-BALLET TOKYO/ファースト・ソリスト)
中井皓己(K-BALLET TOKYO/ファースト・アーティスト)
髙橋芳鳳(K-BALLET TOKYO/アーティスト)
山田博貴(K-BALLET TOKYO/アーティスト)
二山治雄(元パリ・オペラ座バレエ契約団員)
日髙有梨(牧阿佐美バレエ団ファーストソリスト)

アーティスティックディレクター
伊藤範子
(谷桃子バレエ団/シニアプリンシパル・附属アカデミー芸術監督・振付家)
 
プログラム 防府公演配布プログラムより
M.グリンカ:オペラ「ルスランとリュドミラ」序曲
杉野慧、栗山廉、髙橋芳鳳、中井皓己、山田博貴

「レ・シルフィード」より ワルツ

H.レーヴェンショルド:「ラ・シルフィード」第2幕より パ・ド・ドゥ
日髙友梨、二山治雄

P.I.チャイコフスキー:「白鳥の湖」第2幕より ワルツ 情景
P.I.チャイコフスキー:「白鳥の湖」第3幕より グラン・パ・ド・ドゥ
池田理沙子・渡邊峻郁

P.I.チャイコフスキー:「眠りの森の美女」序曲とリラの精

P.I.チャイコフスキー:「眠りの森の美女」第3幕より グラン・パ・ド・ドゥ
沖香菜子・宮川新大

ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲「四季」から"冬"より第1楽章
杉野慧、栗山廉、髙橋芳鳳、中井皓己、山田博貴

M.ラヴェル:ボレロ(特別編曲版)
二山治雄
 
P.I.チャイコフスキー:「くるみ割り人形」第2幕より 花のワルツ
P.I.チャイコフスキー:「くるみ割り人形」第2幕より グラン・パ・ド・ドゥ
*バレエ:小野絢子・速水渉悟
 

ちょいと長いですが前置き。
この企画公演、何度か開催されているようですが今年は当初前日1月20日(土)大阪府岸和田市公演のみが発表されていました。
思えば、昨年9月に東大阪市へKバレエスタジオさんの舞台を観に出かけた会場にて大きな告知広告が置かれていて
そのときの発表も出演者は第一段階のメンバー。池田理沙子さん渡邊峻郁さんは未掲載だったはずです。そのうちに追加発表されました。
しかし管理人、1月20日(土)は前々記事でも紹介した通り、11年前から通っている五反田の清泉女子大学生涯学習講座ラファエラ・アカデミア「バレエへの招待」の最終回
(一斉休止の為本当に最終回。次期開講今のところ予定無し涙)且つ4年ぶりの打ち上げ食事会幹事も務めることが夏場には決定していたため
何が重なろうと講座優先を考え、岸和田は諦めるしかございませんでした。
ところがどっこいどっこい事態は急転!!あれは10月半ば、Kバレエトウキョウ眠りや
新国立ドンキ、東京バレエかぐや姫の開幕前には渋谷で日本酒を味わう会を観劇仲間と行った日の
お店到着前に駅ビル周辺を散策していたときのこと。同志の友人2人から連絡が入り、岸和田の翌日に山口県でも開催決定が発表されていると吉報が届きました。
講座と食事会は1日だけでしょ?山口県なら翌日に行けるでしょ??と事情が事情とはいえ渡邊さんが出演なさる面白そうな公演を既に諦めていた私に対して
我が事ように喜ぶ文面で伝えてくれたことは今も覚えております。更には、目指せ伊能忠敬や水戸黄門、松尾芭蕉と掲げているわけではないが
全国観劇旅三昧な私でも山口は未上陸の県と伝えたところ一段と喜びは湧き上がったようで
ならば寧ろ良かった、飲食含めて山口の報告が楽しみになると互いに嬉しさを分かち合った山口発表のあの日でございました。
但し、その時点では「防府市」の読み方及び場所は全く知らずにおりましたが。
それから先に記した通り、講座を最優先するために岸和田公演鑑賞を見合わせる旨を知って
当初随分と心配してくださっていた守山先生始め講座受講者の方々も翌日の山口公演開催を大変喜び安堵してくださり
幹事は五反田に宿泊して羽田空港に直行し山口に飛ぶと記載して参加者に送信した食事会の当日詳細メールへの返信や
当日はお店にて参加者の方々からあたたかい声をかけていただき、幹事の弾丸翌朝の長州行きを心1つに⁉喜びの輪が広がっていた気がいたします(多分)。
そんなわけで大勢の方々の祝福を背負って行って参りました、人生初の山口県上陸でございます。


さて本題。プログラムは恐らく岸和田公演と同じ構成で、複数団体から数名ずつ出演。
舞台にのったシアターオーケストラトウキョウをバックに同じ舞台上でバレエが披露されました。
振付構成は伊藤範子さん。バレエの披露もあれば演奏のみの披露もあり、バランスよく組み込まれていたプログラムです。
幕が開くと『ルスランとリュドミラ』より序曲にのせて、オーケストラ手前側に並んで1脚ずつの椅子に腰掛けた
Kバレエトウキョウの杉野さん、栗山さん、高橋さん、中井さん、山田さんの5人が華々しく披露。
黒いお洒落なジャケットを着用され、開幕を盛り上げてくださいました。Kバレエの公演は時々足を運んでいながら、キメ顔やキメポーズにしても
初台を庭としている者からすると随分と派手な印象も持ったものの、バレエジェンツの流れを汲んでいるのでしょう。
横と縦の移動を生かしたダイナミックな振付で、開幕をぱっと盛り上げてくださいました。

そして指揮の斎藤さんが振り返ってご挨拶。大人の事情で東京では実現不可能な公演といった内容を仰っていて
バレエ団によって諸々取り決めがあるのかと推測。大阪の岸和田と山口の防府で実現ができ、再度祝したい思いでおります。
斎藤さんの語りは初めて聞き、司会でありつつも即座に次々と指示を出す、現場で取り仕切る
イベント会社のチーフプロデューサー風の歯切れ良い口調で自然と背筋が伸びた気分。
続いて斎藤さん、頭の1文字違いの作品披露を紹介し、演奏のみで『レ・シルフィード』ワルツ。次に『ラ・シルフィード』よりパ・ド・ドゥ。
2本のロマンチックな妖精ものを繋げる構成は伊藤さん或いは主催元の妙案なのか定かではありませんが、レとラ違いの面白さを味わいました。
そういえば、16年ほど前『徹子の部屋』に現東京バレエ団芸術監督の斎藤友佳理さんが出演されたとき、
当たり役の件でレ、ではなくラ・シルフィードと徹子さんが強調なさっていたかと記憶。混同されやすいのでしょう。

山口に話を戻します。「レ」のシルフィードでこのとき演奏された華麗なる大円舞曲を始め、
バレエ鑑賞を趣味と自覚して間もない頃に観ていたします作品の1本であったため
お恥ずかしい話、このバレエで使用されているショパンの曲は元から管弦楽曲と思っておりました。
ですから華麗なる、もノクターンも、オーケストラ演奏で聴く方が耳に馴染みやすい管理人でございます。
レ・シルフィードはとても好きな作品ながら上演機会は近年減少傾向にあり、音楽だけでも生で聴けたのは幸運でした。
続けて「ラ」のシルフィード。牧阿佐美バレヱ団の日髙さん、現在フリーで活躍中の二山さんの珍しい組み合わせで
日髙さんは硬質で艶かしいシルフィードで、視線の送り方や仕草がどきりとさせられる色っぽさ。
二山さんのジェームズ役は2022年2月に京都バレエ団公演での鑑賞以来で、風を切るように舞う様子が拍手をさらっていました。
恋愛真っ只中な妖精と青年の空気感はもう気持ちあれば尚良かったかもしれませんが、なかなか観ないペアでのお披露目は目にも楽しく映った次第です。

お次は白鳥の湖の世界。まず演奏でワルツと情景、そして新国立の池田さん渡邊さんによる黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ。
池田さんがグイグイと誘惑する小悪魔なオディールで、豪華な頭飾りに黒いチュチュの模様も大きく、機敏なテクニックで魅せてくださいました。
渡邊さんはジークフリート王子としては珍しいであろう上下濃いブルーの衣装で、そういえばトゥールーズ時代の『ジゼル』2幕アルブレヒト衣装に似た色だったかもしれません。
カチッとした少々戦隊風な上部分含め、まず衣装から目が離れず笑。されど抜粋であっても、全員共通ですがスペースに配慮して移動抑えめ振付対応であっても
初心で王妃の言うことを全く聞かなそうな笑、されどスケール大きく貴い純情な王子。
オディールの一挙手一投足に夢中に反応してのめり込んでいく様子や、爽快な大きな跳躍と公演仕様に抑えた部分に移動する過程も粗がなく
全幕の世界と踊りの精度を合わせてじっくり堪能いたしました。大ジャンプに防府の観客も沸いていて思わずニンマリ。
尚、ヴァリエーション池田さんはオーボエで始まる曲、渡邊さんはチャイコフスキーパ・ド・ドゥで使用される曲でした。
これまたなかなか目にしない組み合わせで驚きつつも視界に万全におさめた私です。

休憩挟んで第二部は『眠れる森の美女』の世界で幕開け、序奏とリラの精の曲でおとぎ話の世界へ。(プログラム表記は眠りの森の美女)
そして11月の新版眠り上演も記憶に新しい東京バレエ団から沖さんと宮川さんがグラン・パ・ド・ドゥを披露。
本拠地でこの作品では組んでいないペアかと思いますが、鷹揚に歌うように調和したペアで
沖さんの伸びやかな姫っぷりや宮川さんのパワーと盤石さのある技術もぴたりと決まって見応え十分でございました。
またオーロラ姫のヴァリエーションはアチチュードで始まる振付のほうが好みな私でございますので、沖さんの最初のくっきりとした美しいフォルムにも惚れ惚れ。

そして再びKバレエチームの登場。宮尾俊太郎さん振付のヴィヴァルディ四季より冬で、何度も聴いている曲ですが
シリアスな要素を含めながらも男性のみでのパワフルなショーダンスな趣きも出しながらの踊りで、
普段目にする機会が無いタイプの振付であるせいか妙に新鮮。団体の垣根を越えた企画の面白さを一段と体感です。
続く二山さんのソロ『ボレロ』では滞空時間の長さを生かした振付や柔軟性のみならず張りも出てきた身体能力も隈なく披露されました。

今度は『くるみ割り人形』の世界へ。旅で言うなら、駆け足ハイライトチャイコフスキー三大バレエ満喫プランでございます。
まずは花のワルツが演奏され、昨年末から今年にかけて既に6回は聴いていながら目の前でオーケストラの方々が演奏する光景を鑑賞できるのはこれまた貴重経験。
ハープ奏者の職人なポロンポロンと奏でる冒頭の手つきもしっかり観察です。
気分も高まったところから続けてグラン・パ・ド・ドゥ。小野さんと速水さんのご登場です。
外部では何度か組んでいらっしゃるだけあって安心できるペアに思え、小野さんはシュガーピンク色のチュチュ、速水さんは金白王道王子衣装で名作古典で締め括り。
指先や脚先が優しく語りかけるように紡ぐ小野さんの金平糖を久々に間近で鑑賞でき(牧版くるみ以来かも)匂い立つ気品にくらり。
速水さんはとにかく愛想良く笑、さらっとこなすテクニックも無駄がなく柔らか。

最後はくるみ割り人形のフィナーレ曲で全員登場。オーケストラそしてダンサーのボリュームが舞台に集結してのフィナーレは絢爛で個々が放つオーラの強いこと。
駆け足三大バレエとロマンチックや近年の振付まで、そしてバレエ音楽の演奏と様々な楽しみが詰められた長州のお重箱でした。
繰り返しになりますが、面積の都合上特に男性は移動抑え目振付で対応して大変であったかと察します。
例えばこの舞台のための狭い空間対応型オリジナル振付ならばまだしも、元はオペラパレスや東京文化会館大ホールといった大劇場で踊る振付をアレンジして
前後左右に移動し過ぎない披露はもしかしたらもどかしい部分もあったかもしれません。
それでもバレエの楽しい魅力を存分に伝えてくださって、ダンサーと演奏すぐ近場同士で共鳴しあう光景にどっぷり。
また観客からするとオーケストラとダンサーが同じ高さにいるのが不思議で新鮮で
お馴染みのバレエ音楽において、演奏者の手つきや楽器の活躍する箇所を観察したりと興味津々でした。

そうでした、司会進行は1部最初は指揮の斎藤さんで、以降はKバレエの杉野さん、栗山さん、東京バレエ団の沖さんの交代制。
皆さんお上手でしたが、特に杉野さんはNHKうたコンの司会もできそうな聞き取り易い穏やかな語り口でした。
昨年の台詞付きバレエ『白鳥の湖』にてあちこちの箇所で、ときには橋田壽賀子さんもびっくりであろう
長台詞も披露された新国2王子の司会業は拝見できずでしたがいつかの機会の楽しみとして取っておきます。
配布のプログラムは紙一枚と聞いた岸和田に比較すると立派な冊子型で、出演者顔写真や作品解説もあり。
作品解説イラストがキャラクターによっては違う作品に見えるデザインもあったものの
黒鳥パドドゥにおいては王子がライト版な黒い衣装を着用していた点は好感を持ちました。

前日に岸和田公演、翌日には防府市公演で、防府公演のみ鑑賞客の私なんぞのんびり滞在でしたが出演者関係者の皆様にとっては
現地での準備や本番の時間よりも、バレエや演奏よりも、移動!移動!!移動!!!なスケジュールであったと察します。
過密日程にも拘らず、防府でも上質なステージを見せてくださり、本当にありがとうございました。

それから、オーケストラとバックに古典バレエの名場面を踊るプログラムを含む構成の舞台を生で鑑賞するのはひょっとしたら初見かもしれません。
古典バレエでない作品では、下村由理恵さん篠原聖一さん、アンサンブルの方々とオーケストラの共演で同じ舞台上で
1回目はシンデレラ、2回目はロミオとジュリエットを鑑賞。(逆だったかもしれないが)
オーケストラではなくオペラ歌手の方々の前で踊るシーンは2019年1月に藤原歌劇団『椿姫』1幕バレエ場面にて、
闘牛士と踊り子の濃密且つ颯爽とした恋愛模様を今回と同じく伊藤さん振付で約10分間で描写。
このときの闘牛士が渡邊さんで、周囲の高らかな歌声に包まれながらステップ大濃縮場面においても
1つ1つを潔くこなして野心満々で豪快で美しい闘牛士を披露されていた記憶は今もよく覚えております。
映像では、新国立劇場バレエ団が19年ほど前だったか題名のない音楽会にて名作シーンを踊る放送があり、確かオケをバックに同じ舞台上であったはず。
またオケは一段上の舞台上での演奏でしたが、当ブログで何度か紹介しておりますソ連崩壊後間もないモスクワ赤の広場特設ステージでのガラ映像も強烈で
モスクワ放送交響楽団のド迫力演奏とプリセツカヤ、アナニアシヴィリ、マクシモワ、ファジェーチェフ、ワシリエフといった
ロシアを中心とした大スターダンサー達の競演に胸が高鳴ったものです。その中で、ボリショイの大名花アナニアシヴィリが
パリオペラ座のベラルビと組んでボリショイ版ドンキを国を象徴する場所で披露され、
ボリショイスタイルに馴染もうとしている頑張り屋さんな、洗練されたオペラ座ダンサーだなあとこの映像をしばしば観ていた26、7年前でしたが
まさかのちに監督に就任したバレエ団の愛弟子の虜になるなんて、人生何が起こるか予兆となるか分からぬものです。

そんなこんな、滅多に劇場では鑑賞機会がないオーケストラとバレエの同じ舞台上での共演
しかも複数団体からなる出演者構成舞台、初上陸の山口県にてたっぷり堪能いたしました。
各団によって舞台メイクや踊りの質感の違いも目に見えてよく分かり、好みは色々あれど一度に立て続けに観る楽しさは間違いなくございました。

会場は防府の歴史ある公会堂で、ロビーや客席も年季が入っている点も合わせて魅力に映る空間。(お化粧室は改装したばかりなのかピカピカ)
後方席まで客席もほぼ埋まっていた印象です。バレエや演奏は勿論、司会者のお話にも
即座に拍手で反応を示したりと舞台と客席の会話も楽しく明るい雰囲気に満ちていました。
尚、オーケストラ手前の踊るスペースがいかほどの面積であったかは管理人、把握できず終い。
いかんせん伸ばせば我が短い手も舞台に届くほどの1階最前列近距離 席鑑賞でございました。
明日は節分、恵方巻きを食する習慣のない私の中では、未だに先月半ばの山口県防府市におけるかぶりつき席鑑賞の余韻が抜け切れずにおります。
初山口、大満喫!!!



※以下、写真が約40枚ございます。お時間に余裕がある方のみご覧ください。
そんな暇があればさっさと豆撒きや恵方巻きかぶりつきをなさりたい方は恐れ入ります、読み飛ばし願います。
鑑賞前は自転車で防府天満宮、鑑賞後は電車で下関移動し1泊して観光飲食も楽しんで参りました。
下関では山口での観劇時に行きたいと願っていた巌流島も訪問。2021年新国ライモンダ平日昼決闘場面観て興味が沸き、
西洋の宮廷発祥の芸術を観て、プティパ古典大作バレエ観てなんで巌流島やねんとお思いでしょうが、
そのときのキャストからして中世フランス宮廷と同時に浮かんだ旨を周りの数名に話したところ納得されました笑。
また今回偶然にも当の2人が揃って山口の舞台に出演となりましたから、またとない機会でございました。
下関ではフグのピチピチとした鮮度や瓦そばの香ばしさ、分厚いむっちりネタのお寿司の美味しさも忘れられず。空港滞在含めて楽しい思い出ばかりです。
それではお時間が許す方のみ、以下どうぞ。



おはようございます。前夜五反田での用事を無事終え、そのまま宿泊。早朝の五反田駅を出発です。



まもなく搭乗!


雨天でガラス越しに見え辛いのですが、黒い機体のスターフライヤーです。



機内、妙にスタイリッシュ。



前日にいただいたお菓子、そのまま山口へ。一部は朝からコーヒーと一緒に味わいました。ありがとうございます。



黒い鳥の羊羹、金平糖や雪の結晶型のクッキーなど、チーム新国の2演目が過るお菓子も。チョコレートは創業が新国開場と同じ1997年。



青空と雲と空色チケット。サルビアホール、どんな場所か楽しみ。



モノクロデザインと機内内装がよく合います。



山口!?見えてきた!!



山口宇部空港到着。まずまず晴天です。



ユニークなキャラクター達がお出迎え。



ふくの国、山口!フグも早く食べたい。



空港の階段。



空港最寄駅の草江駅へ。



椰子の木が連なる道。



白鳥マンホール!?



防府駅に到着。開演前には防府天満宮へ。朱色が鮮やかです。



階段を上ったところからの景色。



夢が叶う牛さん。



辰年です。



防府天満宮へは駅からレンタル自転車を利用。1回300円だったかと思います。スイスイ。天満宮に駐輪場もあり。



防府駅前。



サルビアホール到着!



競輪が盛ん。



終演後、防府駅前の山口郷土料理店にて宇部の銘酒である貴と、ふぐ刺し。長州に来た気分が増します。ふぐの切り方も美しい。少しコリっとした食感がまた嬉しい。
お通しの、アボカドと数の子と思わしき和え物もお酒にぴったりでした。



電車でそのまま下関へ移動、ホテル目の前は桟橋や船着場。夜景も綺麗だが誰も歩いていません。殆どの店の閉店が早いらしい。



おはようございます。ホテルから徒歩3分、唐戸市場へ。



関門大橋。フォルムが美しい。



市場食堂よしにて、ふぐ刺し定食で朝食。これは是非召し上がってください!ピチピチな鮮度!!煮付け魚もご飯が進みます。



ホテルと桟橋の近距離なことよ。ホテルの海側ドアを開けて30歩くらいです。



いざ!!!午前中はまだ観光客疎らなのか、フェリー乗客3名でしたが、ワクワクが止まりません。かなり揺れながらの約10分間短時間舟旅です。



巌流島到着。記念碑があります。



ありました、宮本武蔵と佐々木小次郎像。観光ガイドは大概真正面からの撮影写真ですので、斜めから撮ってみます。臨場感あります。大迫力!!



違う斜めの角度からも。力強い躍動感と綺麗事ではおさまらぬ修羅場な凄みがあります。
そして2021年新国立劇場バレエ団平日公演『ライモンダ』決闘を思い出します。
ここには載せませんが、バレエチャンネルさんによる写真入り決闘場面練習取材記事を印刷し持参して掲げ、照合検証も行いました。ぴったり嵌まりました。
プティパの古典バレエを観て巌流島に興味を持つなんて予想もしておりませんでしたが、
西洋の宮廷で花開いた舞踊芸術から日本史の出来事への関心を高めさせ、扉を開けてくださった渡邊さん速水さん、本当にありがとうございます。
山口での観劇で訪れたときに行こうとは計画しておりましたがまさか今回お2人揃って県内の舞台にご出演とは
初山口及び巌流島訪問満喫を一段と底上げしてくださいました。
そして大きな船がひっきりなしに横切る風景が下関、門司らしさを感じます。
島、殆ど貸切でした。観光客3人はいたはずだが。



説明書き。妹が井上雄彦さんの漫画が好きで、バガボンドについても詳しいはず。持っていそうなら借りてみようか。
これまでの人生、漫画で全話読破した作品は2本しかない私だが、うち1本は井上さんの代表作品スラムダンク。
安西先生の名言が刻まれており、私がアーキタンツに行くとき極力公園側の通りを歩いて行くのは
バスケットボールを楽しむ人々の光景を眺めながらあの台詞を反芻するためでもございます。




霧から船が覗きます。



鍵もフグさん



ホテル1階。私にはお洒落過ぎた。



ふぐ!ふぐ!!ふぐ!!!ピチッとしています。



昼食はカモンワーフにて、いちばのよこ。下関名物の瓦そば、食感と味のバランスが面白く、おすすめでございます。
瓦上で茶蕎麦に更に火が通され、柑橘の薄切りや練り辛味ソースなる味で変化も付けつつ、香ばしく食が進む味わいです。
ある俳優さんが映画撮影で来たときに夢中になって召し上がっていたことを店員さんが誇らしげに教えてくださいました。これは夢中になるのも頷けます。
そしてお店の名物であろうネタ二段型お寿司。ネタがすべて分厚くむっちりな上に、二段型。
札幌市の四季の花まる寿司にて味わった二階建て帆立以上にパワフルなのっかり具合です。お腹をしっかり空かせた状態でご注文を。



下関駅、天井をふぐ、ふぐ、ふぐ。来客にはようこそ、帰る客にはまた来てねと語りかけていそうに見えます。食べるも良し、見るのも良し。



草江駅から山口宇部空港へ徒歩移動。気づけば他のお客さん達とも車道側を歩いてしまい、皆大慌て。電車で空港へ向かわれる方はお気をつけください。
椰子の木が気持ち良さそうに吹いています。



防府公演では冊子型プログラム配布。(岸和田鑑賞組から羨望の眼差しが長州に届いておりました。岸和田は紙1枚だったとか)
空港のレストランココスにて。山口の銘酒やおつまみも取り揃えています。ひれ酒で乾杯。



チーム新国を拡大。ああ、大好きなダンサーを山口で観た後に余韻に浸りながら呑むひれ酒は格別の美味しさ!!
中でも未上陸の山口の扉を開くきっかけとなった渡邊さんには、ありがとうございますと再度申し上げたい次第です。



窓から眺める景色。椰子の木祭りです。



購入したお土産。ふぐのプリントに癒されます。4年ぶりに職場に持って行きました。
繁忙期中ながら休暇を貰い、またいざ持って行くとそうでした今の場所に異動してきたのが2020年秋で、私が全国津々浦々行っていることを余り話しておらず
近場の水族館で買ってきたと思った人もいたくらい。しかし思いの外好評で、味のほどは分かりませんが
もしグッズがあれば欲しい、キャラクター人気投票があるなら間違いなく一票入れるなど、まん丸く可愛らしいデザインに和むとの感想。
私のイメージがふぐになってしまった笑。
包装紙も処分できず、折り曲げて使用しております。



もうすぐ搭乗。オフシーズンの平日月曜日であったためか空港はかなり静けさに包まれ、保安検査場も一定の時間のみ受付。
同じ時間帯に飛行機が2機以上入ってくることもなさそうな予感がいたしました。
ただお土産屋さんやココスの店員さん皆さんとっても感じ良く穏やかな接客で、空港滞在時間も心和んでおりました。
楽しくて仕方なかった初長州の防府と下関滞在。鑑賞、観光、飲食大満喫いたしました。
離陸が名残惜しく、職場にお土産を早く持ってはいきたいがレッスンと同様に時計を見たくない笑。さらば山口、また会う日まで!!!