2024年7月2日火曜日

涼しげなダブル・ビル  NBAバレエ団『セレナーデ』『真夏の夜の夢』6月30日





順番前後いたしますがこちらから。6月30日(日)、NBAバレエ団  ジョージ・バランシン振付『セレナーデ』、
クリストファー・ウィールドン振付『真夏の夜の夢』を観て参りました。
https://nbaballet.org/official/amidsummernightsdream/


『セレナーデ』
ロシアンウーマン:勅使河原綾乃
ダークエンジェル:米津美千花
ワルツウーマン:山田佳歩
ワルツマン:宮内浩之
エレジーマン:刑部星矢


これまでバランシン作品は『アポロ』や『スターズ・アンド・ストライプス』全編等何本か挑戦していますが『セレナーデ』はNBAとしては初演。
新国立やKバレエ、東京バレエ団、スタダン、牧バレエ等国内の主要なバレエ団が
レパートリー入りしていながら同じ振付でもカンパニーごとに色味が異なってくるのが興味深いと観る度に感じます。
NBAは溌剌としたスポーティーなパワーが光り、後半のエレジーは踊りは盤石ながらもう少し香り立つものがあれば
余韻が残ってより美しさに浸れた気がいたします。序盤やワルツ部分のほうが持ち味を生かしていたと思う印象です。
ただ踊りは非常によく訓練されていて、全体を観ていても気持ち良い、揃ってシャキシャキと刻まれていくテクニックが広がっていましたから
是非再演を重ねて全編の完成度を高めて欲しいと願います。連日続く高湿度な気候の最中、優しく神秘的な明かりがふわりと照らされた幕開けといい、
淡い水色のチュチュが靡いていく光景といい涼やかな気分になったのは間違いなく、NBAで観たい作品が増えました。



『真夏の夜の夢』

ティターニア:渡辺栞菜
オベロン:刑部星矢
パック:新井悠汰
ハーミア:市原晴菜
ライサンダー:伊藤龍平
ヘレナ:別府佑紀
デミトリウス:三船元維
ボトム(ロバ):古道貴大
ピースブロッサム:勅使河原綾乃
デミフェアリーズ:大島沙彩  向山未悠


スケルツォのリハーサル。妖精の真ん中にいらっしゃるピースブロッサム役の勅使河原さんにご注目を。



5年ぶりの鑑賞。しかし2幕仕立てであった点を含め記憶が彼方状態になっている部分も多々あり
また訳あって昨年の春の大型連休中に7回も観たアシュトン版が刷り込まれているせいか新鮮な心持ちで鑑賞に臨みました。
幕が開くと森の風景ではなくアテネの首領シーシアスの宮殿。結婚を巡ってのいざこざが生じる中、
やがてハーミアとライサンダーが駆け落ちを決意して舞台は森へと移る始まり方でした。

子役による小さな妖精も大勢登場したりとほのぼのとする場面もある一方で妖精や群舞の振付はなかなかの鬼演出で、
中でもスケルツォにおけるピースブロッサムの勅使河原さんが大職人な仕事ぶりに天晴れ。
観ながら思い出しましたがウィールドン版はオベロンやティターニアよりもパックを始め準主役陣やコール・ドに寧ろ出番多く高難度振付を与えていて
殊に目覚ましい存在感を放つのが勅使河原さんによる妖精番長なピースブロッサムでございます。
突風の如く駆け抜け、しかも素早い且つ移動距離も長い脚捌きが冴え渡っていてジャンプも高く、ポジションの切り替えもくっきりと巧み。
妖精を率いながら踊っていても頭一つ抜けた職人芸で、決して手脚が長い背が高いタイプのダンサーではないながら舞台姿が実に大きく見えた印象です。

またデミ・フェアリーズやフェアリーズもシャカシャカとスピーディー爽快に飛び交い、脚先をしっかり見せつつ強弱もつけて舞っていて締まりがあり
オベロンのお付きのようなメンフェアリーズも加わると力強さも増して、パックの新井さんの愛嬌と繰り出される音楽の隅々まで使っての強靱なテクニックもお手の物。
別府さんヘレナの顔と身体ともに表情豊かでいますがどういう心理状況であるか明快に示して場面を盛り上げてくださっていた姿も脳裏に刻まれております。
ほっこりぬいぐるみなロバを被った古道さんボトムは首を傾げたり頷いたりするだけでも可愛らしく、魔法薬がなくてもティターニアは恋とは違っても夢中になったと想像。

婚礼衣装に着替えたハーミアとライサンダー、ヘレナとデミトリウスを筆頭に結婚式に臨むカップル達のお祝いも披露され
オベロンの刑部さん、ティターニアの渡辺さんによるパ・ド・ドゥもしっとりと端正で
思えば1幕のとりかえ子(養子)の奪い合い喧嘩もアシュトン版ほどは激しくなく子には一段と優しい演出で、おっかない責任転嫁もなく笑
ウィールドン版は急速展開な高難度振付とほんわかとした空気感の双方が備わっていると捉えております。
最後は再び妖精達が集まっての幕切れも幸福がぐっと増して、金吹雪もあり。再び戻った平和な森の風景を明示しながらの良き演出と思えました。

バランシンとウィールドンの振付を同日にダブルビルとして観る楽しさ、そして両作品とも肩肘張らずに鑑賞でき
衣装の素材も爽やか涼しげで音楽も胸がキュッと高鳴るような旋律も散りばめられ、清々しい気分で会場をあとにいたしました。








終演後見送りサービス。セレナーデもピースブロッサムもシングルキャストの勅使河原さん、古道さん、新井さん、前日のティターニア山田さん。
ボトムロバの古道さんが、勅使河原さんに面白く絡んでいました笑。



約1年半ぶりの東武東上線。列車発着音楽がモーツァルト?



会場最寄り駅の大山駅近くでつけ麺、ラーメン店のさい。へ。 店名に丸がつきます。さいは動物のさい。レジ横にさいコレクションがありました。



キンキンに冷えたジョッキでビール!お通しのメンマが葱と馴染んでいて美味しい。メニューにもさいのシルエット。



スタンダードなラーメンを。つけ麺がメインのお店のためかスープは濃いめでしたが後味良く、飲み干してしまった。
丼の花模様がパックが手にしているお花に似ています。



板橋区立文化会館。大ホールへは2017年8月以来の訪問。そのときは発表会鑑賞であったため2階3階へは上らず気づかなかったが、壁やロングシャンデリアが立派な作り。



雨のように伸びて光が降り注いでいます。



ぼんぼりのようにも見える形です。



今回の板橋ふしぎ発見。謎の秘密基地なテーブルと椅子達。



半個室です。用途は不明。秘密会議でも行うのでしょうか。



椅子によっては死角で外から見えず。



なかなか古き風情ある作り。



秘密基地を出ると真ん中には円卓。幕間の会議用でしょうか。会議は踊る!



ハッピーロード大山を抜ける。



大山駅。また8月のお盆の時期に参ります!NBA鑑賞のこの日に概要が発表され、同じ会場ですからタイミングといい喜びもひとしおでございました。

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