2024年5月27日月曜日

一級戦士からの駄目男没落悲恋録 新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』 4月27日(金)〜5月5日(日)








だいぶ遅くなりましたが、4月27日(金)〜5月5日(日)までのゴールデンウィーク中、新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』をゲネ含め7回観て参りました。
https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/labayadere/


【振付】マリウス・プティパ
【演出・改訂振付】牧 阿佐美
【音楽】レオン・ミンクス
【編曲】ジョン・ランチベリー
【美術・衣裳・照明】アリステア・リヴィングストン
【照明】磯野 睦


4月28日(日)昼
ニキヤ 廣川みくり
ソロル 井澤 駿
ガムザッティ 直塚美穂
ハイ・ブラーミン(大僧正)中家正博
黄金の神像 森本亮介
ラジャー(王侯)趙 載範
マグダヴェヤ 宇賀大将
つぼの踊り 渡辺与布
  影の王国
第1ヴァリエーション 五月女 遥
第2ヴァリエーション 池田理沙子
第3ヴァリエーション 飯野萌子

4月28日(日)夜
ニキヤ 米沢 唯
ソロル 渡邊峻郁
ガムザッティ 木村優里
ハイ・ブラーミン(大僧正)中島駿野
黄金の神像 木下嘉人
ラジャー(王侯) 中家正博
マグダヴェヤ 上中佑樹
つぼの踊り 原田舞子
影の王国
第1ヴァリエーション 花形悠月
第2ヴァリエーション 金城帆香
第3ヴァリエーション 吉田朱里

5月3日(金)
ニキヤ 廣川みくり
ソロル 井澤 駿
ガムザッティ 直塚美穂
ハイ・ブラーミン(大僧正) 中家正博
黄金の神像 森本亮介
ラジャー(王侯)趙 載範
マグダヴェヤ 宇賀大将
つぼの踊り 渡辺与布
影の王国
第1ヴァリエーション 五月女 遥
第2ヴァリエーション 池田理沙子
第3ヴァリエーション 飯野萌子

5月4日(土)昼
ニキヤ 米沢 唯
ソロル 渡邊峻郁
ガムザッティ 木村優里
ハイ・ブラーミン(大僧正) 中島駿野
黄金の神像 木下嘉人
ラジャー(王侯) 中家正博
マグダヴェヤ 上中佑樹
つぼの踊り 原田舞子
影の王国
第1ヴァリエーション 花形悠月
第2ヴァリエーション 金城帆香
第3ヴァリエーション 吉田朱里

5月4日(土)夜
ニキヤ 小野絢子
ソロル 福岡雄大
ガムザッティ 直塚美穂
ハイ・ブラーミン(大僧正)中家正博
黄金の神像 奥村康祐
ラジャー(王侯) 趙 載範
マグダヴェヤ 福田圭吾
つぼの踊り 渡辺与布
影の王国
第1ヴァリエーション 五月女 遥
第2ヴァリエーション 池田理沙子
第3ヴァリエーション 飯野萌子

5月5日(日)
ニキヤ 柴山紗帆
ソロル 速水渉悟
ガムザッティ 木村優里
ハイ・ブラーミン(大僧正)中島駿野
黄金の神像 石山 蓮
ラジャー(王侯) 中家正博
マグダヴェヤ 菊岡優舞
つぼの踊り 益田裕子
影の王国
第1ヴァリエーション 花形悠月
第2ヴァリエーション 山本涼杏
第3ヴァリエーション 吉田朱里



1枚目、米沢さんニキヤと渡邊さんソロルによる3幕。お2人の悲しみを含ませた真っ直ぐな視線、完成された造形美に息を呑む写真です。



※本日ダンスマガジン最新号が発売され、プロの評論家による完璧な記事及び米沢唯さんの連載(バヤデール中心の内容のようです)、
表紙を飾られた速水渉悟さんの大インタビューも掲載されていますので
今頃になっての更新となった当ブログ感想はもう用無しかと存じます。また私と面識ある方はご納得と思いますが
当方の容姿をそのまま反映した余分な脂肪多量な内容ですので、忍耐力を鍛えたい方のみ、以下お読みください。



廣川さんはひたむきにソロルを愛するニキヤで大きく語りかける役デビュー。登場時ベールが取られたときの訴えかける深い眼差しの瞳もぱっと目に飛び込み
艶かしさと透明感が溶け合った独特の雰囲気を香らせていた印象です。 2回目の3日はより感情を素直に乗せつつ肩や腕、
背中からも言葉が聞こえてきそうな伸びやか且つ雄弁なラインで語るニキヤで存在感が一層強まって
ソロルヘ向ける愛情が全身から溢れ出ていていじらしくもあり。時折感情が洪水状態になってしまっていた箇所もあれど
そんなニキヤを大きな器でしっかり受け止める貯水池を懐に備えていたのが井澤さんソロル。
初役の廣川さんに目線でも安心感を与えながら心を砕き、廣川さんニキヤが伸び伸びと踊れるような優しいサポートが光っていました。
今年2月のホフマンに続きテクニックも万全である上にニキヤとガムザッティの板挟み状態が実に似合い、
有能であれど人柄優しいがゆえに転落一直線なソロルでした。ソロルも可哀想でございます。
登場時、前回はややおっとり上品な坊ちゃん戦士でしたが今回は戦士達を取り纏める姿が雄々しく、頼もしく映った次第。
初回のカーテンコールは廣川さんがフライングで指揮のバクランさんを迎えにいきそうになったり、直塚さんが前進しそびれそうになったりとハプニングあれど
井澤さんの見守りやリードがいたくスマートで、特に廣川さんをバクランのもとへ送り出すときのさらっとにこやかな促しも好印象。

小野さんは顔出し出現の瞬間から何処か危うい黒いオーラを匂わせ、触れてはならぬ、神聖な強さあるニキヤで誰も近寄れない存在。
孤高な輝きを纏っている分、ソロルへ向ける無防備な麗しさが悲劇を呼んでいるかのようで、
展開が分かっていても禁じられた行為に手を染めるニキヤの行く末を胸を高鳴らせながら観て行った次第です。
終始削ぎ落とされた美しさで魅せ、登場のソロでの静けさを奏でる手脚の動きや、
ガムザッティとの対決でのクールな潔さといい3幕影になったときの無の境地に到達しているような神々しさといい手を合わせながら見入ってしまう舞姫でした。

福岡さんは見るからに豪胆そうなソロルで、最強戦士の称号を得ているのはすぐさま分かる風貌で登場。虎狩りも1人で何頭も行えそうな逞しさです。
ただガムザッティの前で、果物にしか興味がなさそうな笑(ガムザフルーツパーラー状態であった)意気消沈したお見合いや
ありったけの愛情をニキヤに注ぐ逢瀬の場面を目にすると、戦士として相当気を張りながらの任務にあたっていたのか、弱さや内心が露わになる勢いもまっしぐら。
2幕のオロオロ具合や3幕の大懺悔な水タバコシーンへの移り変わりを観ると1幕冒頭の最強戦士からの転落がああ激しい。
技術の安定感はお化けな若さを維持され、2幕ヴァリエーションや3幕コーダの振付が
幻影の場に相応しいか否かの疑問を忘れさせるほど大跳躍や回転の連続も一時より若返っている印象すら持たせました。

ゲネで鑑賞した柴山さん速水さん組は、柴山さんが抑えた立ち姿からも情熱を滲み醸す、誇り高く神に仕えるニキヤ。
大僧正からの迫りの断りは前回の2019年公演時よりきっぱり拒絶度が強まり冷たい視線で追いやっていて、
寺院での禁欲的な日々の中で鍛えられたしたたかさであろうかと想像いたします。
逢瀬の場はドラマティックでありつつも研ぎ澄まされたラインが目を惹き、ポーズ1つ1つが崩れぬ美しさ。
奉納においても前回より絶望の淵にいる感情がより出ていながらも過剰には出さず、
抑えるべきところは抑えてしっとりと紡ぎ上げる踊り方や、美しいバランスに加えて終盤の高速回転移動も乱れがない影ニキヤもたいそう目に響きました。

ソロル役デビューの速水さんはまずサポートは要精進!実はゲネのとき影の王国での3人のヴァリエーション前のニキヤとの決めポーズにてニキヤを支えきれず
しかし5日の本番(29日は鑑賞できず)では無事クリア。ただガムザッティとの婚約式アダージオでガムザッティとタイミングが合わなかったり
影の王国にてニキヤを抱えながらくるりと回して行く箇所も滑ってしまったのかあわや柴山さんが横転しそうな危うさを引き起こしてしまい、
ヒヤリな場面が目立ってしまいました。ソロでの切れ味鋭い技術は申し分ないものをお持ちですし
ニキヤとガムザッティに挟まれ右往左往な弱さの表現もゲネよりだいぶしっかり見えるようになっていましたから
あとはサポートや、暗闇で1人佇みながら次場面へと橋渡ししていく流れをはっきりと描き出せるようになれば、全体がぐっと良くなるはず。

米沢さんのニキヤは身体から涙が零れてきそうな舞姫で、澄み切ったラインはそのままに深く柔らかな余韻を残しながら踊る姿に何度心を掴まれたことか。
ソロルに会うと無垢な雰囲気や悲しそうな視線から一変、ぱっと目を輝かせて潤うものが身体中から溢れてしまう
可愛らしさ健気さに思わず首を大きく縦に振り見守ってしまいました。
奉納は悲痛さに胸が締め付けられそうになり、頭のてっぺんから手先脚先まで伝う苦しみの伝導回路の凄まじいこと。
いかんせんソロルがガムザッティにすぐ心変わりしてしまい汗、訴えても訴えても心を向けてもらえない
谷底に突き落とされたかのような悲壮感に包まれていた気がいたします。
3幕では誤魔化し一切効かぬ純クラシックな振付を、粗が微塵もなく盤石、且つ音楽をそっと奏でるように繊細に踊る神秘的な美しさに息を呑み、
悲劇な場面であっても静謐な美がまさってその空間を客席で体感できた喜びが今も呼び起こされております。


以下長くなります。小休止をどうぞ。

渡邊さんは勇猛優秀そうな戦士からガムザッティにすぐ心変わりしたと見て取れた駄目男没落まで描写が非常に細かく、テクニックの見せ場もスケールたっぷり。
重厚な物語を背負って場面の移り変わりも滑らかに自然に、そして力強く動かしてくださっていました。
前回5年前にに比較して身体ががっしりなさったためか、また迷いのない鋭い視線もギラッと放っていて第一線で揉まれている高名な戦士らしさも強まっていた印象です。
マグダヴェヤとの主従関係が最も色濃く出ていたのが渡邊さん上中さん組で、指から矢を飛ばしているかの如くソロルの指図が静かにおっかない笑。
良き友でありながらいつの間にか主人な存在となっていたのであろうソロルの指示に、
職務規定違反ではあるとはいえ、マグダヴェヤ自身の立場も危うくなり得るとはいえ
聞き入れてニキヤとの逢瀬の巡回監視警備員も務めるマグダさん。中間管理職な、最たる苦しい立場かもしれません。
(ソロルから多少はお駄賃もらっていることを願います)

ニキヤと会えそうな予感を募らせると、さっきまでの1級戦士な風貌や軍を取りまとめる威厳や堅物ぶりはすぐさま消え去り、目をキラキラさせて恋する青年に変身。
時間軸で考えるとニキヤが壺を持ってしっとり舞う様子は木陰から「ソロルはミタ」状態なはずで
舞台には現れない場ではあっても、止まらない鼓動を抑えながら見つめていたに違いありません。
逢瀬でのパ・ド・ドゥはただ突っ走るだけでない、互いの愛情を丹念に確かめ合うように1つ1つのフォルムが軌跡に至るまで美しや。
その上で2人から流れ出る情感が瑞々しく音楽とも溶け合い、ニキヤがすっぽりとソロルの腕と胸の中で安堵に浸っている姿のいじらしいことよ。
(しかし幸福はここまでなのだが)

前回とがらりと変わった造形がガムザッティへの接し方で、前回は気の乗らないお見合いにしぶしぶ臨んでご趣味は、等と
必要最低限の質疑応答しか行わないお堅く無口なソロルだったのが、今回はガムザッティ以上にやる気満々で笑
武勲の主張やらガムザッティの装いや屋敷の内装の褒めちぎりと、ニキヤの立場は既に悲劇まっしぐらです涙。
ガムザの美貌に圧倒され、出世の欲に打ち負かされたのでしょう。

ヴァリエーションやソロはエネルギッシュで、ドンキのバジルでも感じましたが踊りの輪郭が太く熱量も終始発射。
されど乱れや崩れがなく滞空で美しい放物線を描き出しながら成熟した余裕を思わせ
力技で押し通しておらず品格があるからこそ、例え駄目男ソロルであっても笑、何度でも観たいと欲が募りっぱなしになるのでしょう。
婚約式終盤は奉納のニキヤを見るも、ガムザに傾倒中な心情はすぐさま変えることもできずであったのか
裏切りの詫びが腰掛けた正しい背筋から苦し紛れに醸し出されていた印象です。
3幕影の王国のニキヤとのパ・ド・ドゥは張り詰めた静けさの中で振付の規範を保ちながらあってもみるみると拡張する息呑むドラマ展開で
ニキヤの悲喜とソロルの後悔が大きく交わりながら舞台を覆い尽くして行ったように見て取れました。
1幕も含め、ソロルは暗闇に1人で過ごす場が度々ありますがどの暗闇な場も滑らかに物語を運びながら次場面への橋渡し役を務めていらした姿も目に響き
暗闇1人場面も空間の捉え方や背の向け方においても大きく物語を動かし、話がぶつ切りにならないように意識を向けて
身の置き方も入念に考えて臨まれていたことと察します。水タバコ寝そべりも妙にセクシーで笑(ホフマン物語をちょこっと思い出した)
影の王国への繋ぎ方も幻想的でふわり。その延長上に影の王国が出現する流れが実に自然でした。
その後ガムザに傾倒していたはずがニキヤの夢を見て改心したのか、泣き喚きそうになりながら結婚を承諾するも
雷と寺院崩壊ではいよいよトロラグヴァを頼りに逃げ回り、1幕冒頭の有能な戦士なお姿はもう皆無。
幕切れでの、ニキヤのベールを掴みきれずに倒れ込む身体の置き方も美しいラインで、且つ嘆きは訴えかけるものがありずっしりと余韻が残る終幕でした。
最後のニキヤの足取りは演者によって様々ではあれど、神に仕える身としてはソロルの行為は断じて許さぬのは当然としても
ニキヤとしては、米沢さんはソロルに対して微かに許しを向けるようにして坂上りをなさっていて
禁じられた中で通わせた燃え上がるような恋の残像を胸に旅立っていったのだろうかと想像が巡っております。

直塚さんのガムザッティは強力テクニックを繰り出す男前で女王感なガムザッティ。
ベールを外されると、きりっと見据える視線や父親が仮にいなくても藩の政治も行っていけそうな強気で知性的な表情、貫禄にソロルもたまげたことでしょう。
ただ決して意地悪で怖いのではなく、パワーと立体感のある踊りであっと唸らせながら誇り高い姿を示す、魅力ある姫で
2幕の婚約式でのソロルと同じくらいにふわっと高く宙に浮くジャンプやお馴染み過ぎるヴァリエーションであっても新鮮味を与える空間支配力、
ぐっと引き上がった状態での余裕ある静止も目に残っております。蛇混入の修羅場は私はやっていないと脆くなっていくさまも怯えながら見せていて
今まで観た直塚さんのクラシックの役では一番好感を持ったかもしれません。

木村さんは前回はちょこっとわがままお嬢様なガムザッティと思えましたが、今回は腰掛けたときの振る舞いや
家を建てた父親の財力をソロルに理解してもらおうとする所作も媚びがなく、いたく優雅。
ソロルへの恋心のアピールだけでなく、父親のため国繁栄のための覚悟が滲む気高いガムザッティでした。
ベールを外されたときの美貌はこりゃ仰け反る麗しさで、華やぎや愛嬌、気品、どれもバランス良く備わって凝縮。
ヴァリエーションは勢い任せにせずエレガントな魅力を放っていて、姫の祝宴な雰囲気十二分でした。
2人に共通していたのは決して意地悪ではない、理知的で品格のある令嬢で、奉納の最中もニキヤを嘲笑うこともせず。
父親の言うことを素直に聞き入れ、正式な婚約を行ったはずが突如踊り子のニキヤが現れ掻き乱されるわけですから
毒蛇はやり過ぎかもしれませんが国運を背負ったガムザッティからしたらニキヤへの報復を誓うのも無理はないと思うわけです。

思えばニキヤもソロルも大僧正も職務規定に反する行為に走るダメキャラクターに感じてしまい、ガムザッティとラジャーが真っ当な人間に思えてきますが
身分が絶対であり、コンプライアンスも逃げ場もない時代、ハラスメント相談室もない時代。
(相談ホットライン等が整備されてきたのは本当にここ数年の話と思います。特殊な分野もあるようですが)
ニキヤからすれば勤務先の長に執拗に迫られたら拒絶も決死の覚悟でしょうし絶望しか募らず、
だからこそ禁断の恋であるとしてもばれたら命取りとは重々承知はしていてもソロルが益々救いや清め、拠り所な存在として強まり、突っ走ってしまったのも頷けます。
ソロルもまた、普段は弱肉強食な男社会で過ごしているとしても人間ですから色づいた事柄にも興味を持ってもおかしくなく
ましてや世間から見れば汚れが一切ないと見て取れる舞姫のニキヤは寺院に潜めている身であると分かっていても
目も心も瞬時に癒して洗浄してくれる女性と思えたのかもしれません。しかし上司しかも逆らい厳禁なラジャーからの命令ならば断りは許されず。
ガムザッティへの心変わり、一目惚れか、ニキヤへの未練か、どのあたりの感情が大きく出るかは出演者によってそれぞれ異なり、観察が面白く思えたのでした。
大僧正も身分は聖職者であり、自身の行為が断じて許されぬものとはよく分かっていたでしょうに弱さに勝てず、引き締めるのはできなかったのか。
本能を抑えられず最も苦悩していたのは本人でしょうが、人間が起こした事件と思うと観る者も考えさせられます。

しかし欲に勝てずにいたり、裏切り行為に手を染めたりと禁断の崖っぷちな人間関係が露わとなっていく展開であっても、
全幕で観ると作品の総合力やスケールに圧倒されると再確認。おどろおどろしい緊迫感ある序曲で幕が開き、森の木々が斜め上に開けていく序盤から吸い込まれそうになり
1幕の水色舞姫達の透き通るように涼やかな美も感嘆。物哀しい音楽にのせた踊りや手先脚先から澄んだ潤いがもたらされる場面と捉えております。
2幕パ・ダクシオンのピンクとブルーチュチュの大柄模様も目に留まるデザインで他の演目では使い回しが不可能であろうインドらしい柄は
観れば観るほどバヤらしい婚約式と思わせ、ワルツのピンクや黄緑色、黄色の緻密模様や装飾品、全体を覆う天蓋の細部まで凝った豪華さも
何度もはっと声をあげそうになったほど。振付は太鼓の踊りを追加して欲しい願いは変わらずですが、衣装美術は牧版が好みでございます。
影の王国32人のジグザグ三段坂下りは連日息を呑みながら鑑賞。1人1人が機械的ではなく柔らかな統制が取れた仕上がりで
客席も一斉集中修行な精神で眺めながらも優しく吸い込まれるような混じり気のない白の世界に心地良く触れていた気がいたします。
頭飾りに反射光までもが動きが揃っていた点も鳥肌ものでした。
人目が無いのを確認しつつ笑、マンションのスロープでやってみましたが
32人呼吸合わせながらやるなんて、しかもこのあとにも縦2列や3人ずつで風車のように回ったり半円になって座って斜め体勢で片腕をワイパーのように振っていく箇所もあり
考えるだけでも気が遠くなりそうです。まず少しでもぶれたらあとに続く影たちは総倒れになりかねない責任重大な坂下り先頭ポジションを
シングルキャストで務められた中島春菜さんに、そして影コール・ドの皆様に心からの賛辞を送りたい思いでございます。

黄金の神像3人も個性様々で奥村さんは国宝のように大事な扉の中に普段は収められていそうな仏像で、菩薩のような品を感じさせる、
パワフル超絶技巧繰り出しとは全く違った造形でとても魅力的に映りました。木下さんは鋭いテクニックも駆使しつつピタリと正確で端正。
森本さんはガシッとパワー全開で、みるみると勢いづいていく踊りが印象的。石山さんは「アイドル」。仏像界でも(存在するか否かはご想像に任せます)金粉まみれでも可愛がられていそうな容貌で
されどいざ踊り出すと軽快なジャンプで大きく宙を舞い、数分で場をさらうインパクトが非常に強し。
個性は各々異なっても人々に拝まれていそうなブロンズアイドルでした。

ニキヤとソロルに強力なメスを入れて行く濃密キャラクター達も忘れられず、中家さんの大僧正はどっしり構えた立ち姿からして支配力が強烈。
誰も反対意見なんぞ言えぬ風通しがよくなさそうな閉ざされた空間を思いのままに操っていそうな黒いオーラがムンムン。迫られたニキヤはさぞ怖かったことでしょう。
4日夜のカーテンコールでは叶わぬ恋を嘆いて⁈福田圭吾さんマグダヴェヤと特別寸劇を披露され
帽子をゆったりと取って客席に掲げ、道を踏み外す行為を慎むよう横のマグダヴェヤが大懇願。笑いで持っていかれました笑。
中島さんはゲネで観たときは失礼ながら存在がぼんやりとしてしまい、(ラジャーが中家さん、トロラグヴァが拓朗さんの重圧感たっぷりコンビがいたためかもしれないが)
しかし所作に威厳が増して一歩の踏み出し方も変化。まだ若く綺麗目なお坊さんが恋をしてしまった風に見て取れ、ニキヤそこまで大拒絶はしていなかった印象です。
差し出した解毒剤を断られたときは一途な恋にやぶれ、ちょいと可哀想に思える僧侶でございました。

前回公演時に存在すら初めて知ったトロラグヴァは2キャスト。清水さんは軍人らしい堂々と構えた様子でありつつ、ガムザッティとの結婚を命じられ戸惑うソロルに対し
理解を示しながらそっとガムザのほうに促していて、優しさも垣間見える友人。
拓朗さんは速水さんソロルと並ぶとどう見ても友人には見えず、ソロルの上官。
ソロルの助けも頑なに拒絶して顔から「ラジャーの命令は絶対服従」と太字で見えかけました。渡邊さんソロルとのときは同情成分も発していた印象。
中家ラジャーと悪巧みコンビな様相で、もし水戸黄門がバレエ化されたら、悪代官側の役に配されることでしょう。
婚約式では壺の踊りの人差し指振りを真似るラジャーと、喜び合うドロラグヴァ、ラジャーからの声かけに困る大僧正、と壇上からも目が離せずにおりました。

さて本編は結びとなりますが、私の中で、ソロルはターバンやふわふわハーレムパンツよりも
羽根付き鉢巻とかっちり戦闘服派なので、牧版の戦士の称号のように宝石が細かく彩られた1幕衣装はとても好きでございます。
ポスター、プログラム、チラシ、どこを観ても1幕の熱血鉢巻堅物ソロルが採用され、今回はたいそう嬉しうございました。
5年と空けず3年後にはまた是非再演を、そして男性ダンサーの出番が少ないのは寂しく、太鼓の踊りの追加、大歓迎です。ご検討願えれば幸甚です。





プリンシパルダンサー1人1人のレッスン動画やダイジェスト舞台映像が公開されました。
ひとまずお1人分。他の方々の分は各自検索なさってください。





以下、速報でもない速報と重複写真もあるかもしれませんが写真が多々ございます。
「本来の」高名な戦士ソロル並に修羅場での忍耐力辛抱力に自信のある方はどうぞご覧ください。



人生いろいろ  ソロルもいろいろ。 誰一人似たり寄ったりなソロル、いませんでした。だから全組鑑賞がやめられない止められない。



今回のヒット、タンドリーチキンサンド!布教活動してしまった。
是非アラジンで継続販売希望!不思議スパイシーなソースもやみつきに。
季節外れな暑さもあってか、周囲には1公演の中で2本キングフィッシャー飲んでいらっしゃる方も。お気持ちはよう分かる!



サイン入りメニュー。エネルギーたっぷり且つ格式高い味わい深い三角関係でした。



野菜のケークサレ。具沢山で、程よい塩味効いていました。



帆立貝とわさび菜のアーリオオーリオスパゲッティ。帆立貝がゴロゴロ、旨味もじゅわり。



マンゴープリン。濃いオレンジや黄色の印象があるせいか、大きなお皿に苺も添えてクリーム色で盛られていてお洒落。このあと深夜バスで姫路へ。



30日に東大阪から戻りまして5月3日。ただいま、初台!公開クラスレッスンを見学。ファーストアーティストやアーティスト中心で、満遍なく見渡しながら見学です。



バヤデール1幕幕開け音楽が伴奏されると、隅っこで菊岡さんと石山さんによる、2人バヤデール再現が即興でお披露目。
菊岡さんがマグダヴェヤ、兵士達、ソロル3役、石山さんが助っ人で兵士。
もし大僧正や舞姫達の曲も伴奏されたら、なり切って演じ踊ってくださったのだろうか笑。
そして管理人恒例、私と着用物の種類が似たお方を探していると(素人な私が失礼)いらっしゃいました、内田さん。柔らかなバネもあって美しや。



宣伝!この日の組も皆様ご覧ください〜と許されるなら私も叫びたくなりました。



マエストロ2回目、ニキヤの廣川さんガムザッティの直塚さんは今回のバヤデールがメニュー初サイン!(直塚さんは小野さん福岡さんキャストでもサイン)
どんなお気持ちで書かれたことでしょう。



前菜にもマンゴー!



ペンネ、ゴルゴンゾーラとほうれん草のクリームソース。マエストロでお馴染みのメニューですが、気に入っております。白ワインが進みます。



エル ド ブーレのソテー マサラ効かせたソース。インドですからカレーなメニューも嬉しい。そしてブルゴーニュの赤ワインと相性良し!



ブランマンジェ マンゴーラッシーソース。



オペラシティのガンジスで昼下がりからビール。ジャンペの皆さんが登場しそうな内装です。



インドの炊き込みご飯ビリヤニも好きです。ふわっと香りが漂います。



前回の初役同士であった組み合わせも素敵ペア。私の家族も観に来まして、
バヤは作品そのものは好きではないが(作品好きな全国の皆様すみません汗)ソロルの印象は良かったらしい。



我が後輩と後日にバヤデール反省会。金色器がラジャーの屋敷彷彿です。ピリッとした刺激がじわりと伝うフィッシュチリカレーが特に好みでした。
バヤ好きな後輩は2組(米沢さん組、廣川さん組)鑑賞し、どちらも鑑賞できて幸せいっぱいだったとのこと。
話の中心は私に合わせてくれたのか笑、28日夜と4日昼のソロルだったが、とにかく1幕の羽根付き鉢巻とカチッとした戦士衣装が凛と絵になる姿と繰り返し語り合いました。



ソロル、ジーン、ソロル、ジーン。何周でも歩き回れそうな心ときめく楽しい円柱。次回公演は6月の『アラジン』です!!
日によってはランプの代わりに形状が似た持ち手付きのカレーの器を持参、いたしません。
ルビーの指環を嵌めて、は行きません。そうはいっても、もしやバヤの大僧正の生まれ変わりであるわけはありませんが笑
日によっては寺尾聡さんの名曲も頭に流しつつ真っ赤な情熱や妖しい色気を醸すルビー坊主さんを満喫していそうな私でございます。
それはそうと、今回はポスター、プログラム、チラシ、どこを観ても1幕の熱血鉢巻堅物ソロルが採用され、嬉しうございました。

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