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4月30日(土)、東京バレエ団『ロミオとジュリエット』を観て参りました。
https://www.nbs.or.jp/stages/2022/romeo/
※キャスト等はNBSホームページより
東京バレエ団「ロミオとジュリエット」全3幕
振付:ジョン・クランコ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
キャピュレット家
キャピュレット公:木村和夫
キャピュレット夫人:奈良春夏
ジュリエット:足立真里亜
ティボルト:安村圭太
パリス:大塚卓
乳母:坂井直子
モンタギュー家
モンタギュー公:中嶋智哉
モンタギュー夫人:菊池彩美
ロミオ:秋元康臣
マキューシオ:宮川新大
ベンヴォーリオ:玉川貴博
ヴェローナの大公: 和田康佑
僧ローレンス:ブラウリオ・アルバレス
ロザリンド:三雲友里加
ジプシー:二瓶加奈子、政本絵美、平木菜子
カーニバルのダンサー:岡﨑司
涌田美紀、安西くるみ
岡崎隼也、井福俊太郎
指揮:ベンジャミン・ポープ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
足立さんのジュリエットは登場時はそれはそれは純粋初心な少女で、乳母の裾を踏む悪戯も憎めぬ可愛らしさで魅了。
くりっとした目と全身でドレスへの興味も示し、少女はこの後どんな運命を辿るのであろうかと展開が分かっていても引き寄せられるヒロインでした。
実はクランコ版のロミジュリ全幕鑑賞は今回が初で、解釈が違っていましたらご指摘願いたいのですが
観た限りではジュリエットは婚期の訪れやパリスに対しても戸惑う様子は見せず、結婚相手を親が決めるこの時代当たり前であっただろう慣習を素直に受け入れていて
赤と白の入ったドレスをいたく気に入ったりと親からすれば聞き分けの良い自慢の娘であったと推察。だからこそ、舞踏会での運命の出会いと歯車の狂いによって
一気にジュリエットを親に刃向かう行動にまで駆り立てる展開が胸にずっしりと押し迫るように思えたかと捉えております。
またパリス役の大塚さんも好演で、昨夏にこども眠りでの足立さんとの共演でアニメ風な背景美術にも2人揃って溶け込むお伽話な雰囲気に仰天したわけですが
この作品においても気品ある雰囲気を湛えたお姿で並びがたいそうお似合い。ジュリエットへの接し方も丁重な振る舞いで
政略結婚であってもジュリエットが嫌がることなく、自然と惹かれて目をしっかり見つめて手を取り合い仲を育みつつあった点も納得。
ロミオに出会わなければ全ては安泰だったのでしょう。運命とは恐ろしい。
舞踏会での赤白ドレスも実に絵になっていて蕩けずにいられず。可愛らしさと真っ直ぐな心が
そのまま表れたようなピュアな踊りも目を惹き、ロミオが恋に落ちるのも無理ありません。
最後、後ろからロミオを抱き締めた場では1幕での幼さは最早微塵もないく、ロミオを包み込む母性までをも感じさせ
ジュリエットを大変化させる短くも燃えるような恋であった証でしょう。家の掟に逆らってでも恋を貫き通し
ロミオと添い遂げようと覚悟を決めての変貌まで、ジュリエットとして生きていました。
大入の東京文化会館での大作主演であっても物怖じしている気配もなく、昨夏のこどもバレエ眠りや
昨冬の『くるみ割り人形』全国公演での経験が生かされたのであろう足立さんの東京本公演主役デビューに立ち会い今も喜びが膨れ上がっております。
秋元さんの颯爽としたロミオとのバルコニーも印象深く、バルコニーからジュリエットを優しく抱き下ろす序盤や
数箇所で披露されるユニゾンでの左右対称のポーズ(恐らく)も益々高まる恋心を2人で一気に突き上げる強さが伝わりました。
そしてクランコ版名物バルコニー終盤の懸垂は秋元さん、少々苦しそうでしたが(当然でしょうが涙)
別れを惜しみながら身体を張り、力を振り絞っての訴えは間違いなく届いたはずです。
宮川さんの急速テンポに嵌め込まれた振付を易々とこなす闊達なマキューシオ、次々とくっきり明瞭なステップで魅せる玉川さんのベンヴォーリオからも目が離せず。
場をぐっと締めてくださったのは安村さんのティボルト。他版に比較すると髭面でもなく濃いめのメイクでもない、細身でナチュラルな風貌の青年ですが
全身が針を思わす鋭さで、怒りだけでなく誇り高さをも内側から沸々と滲ませていく姿によって舞台の格と厚みを加えていらっしゃいました。
安村さんと言えば昨夏に井脇幸江さんリサイタル『トスカ』でのカヴァラドッシ役が恐らくは初めてお名前とお顔を一致での鑑賞であったかと記憶しておりますが
純粋で繊細、心優しい画家であるがゆえに拷問を受ける痛々しさが強烈に目に残っていただけに
こちらまでもが慄いてしまう役の造形にいたく驚かされた次第。手袋を投げる所作や立ち居振る舞いにも鋭い威厳があり、作品の要として大活躍。
群舞の用い方の面白さにも関心を持ち、舞踏会でマキューシオが快調な姿を見せつける場では客人達が一斉に磁力のようなマキューシオに引き寄せられ移動。
全体がうねって見えるため観ているこちらまで客人達と共に身体が仰け反ってしまいそうになるほど場の空気を一変させる効果もありました。
そしてカーニバルの長いリボンを多用した衣装の明るい配色と賑やかさも忘れられず。横1列に並んで踊っているかと思えば
徐々にグループに分かれて踊り繋いでいく幾何学模様な変化は上階から眺めていると、
カチッとした規範を守りながらも弾け飛ぶ楽しさやめでたさが溢れ、今観ても飽きさせぬ展開です。
葬列にも驚かされ、暗い中を舞台装置の上を歩いてジュリエットの棺が運ばれ、中央に差し掛かると正面側つまりは眠るジュリエットの姿を
客席側に向けて降ろしていく演出にキャピュレット家を突如襲った悲劇をこれでもかと露わに示され目に焼き付けられ、胸の痛みが止まりませんでした。
それにしても懸垂したりマントを柱に巻いて高階から降下したり、消防士訓練を彷彿させるロミオの演出にはたまげてしまい
クランコは消防士志望だったわけではないでしょうが、愛するジュリエットに尽くすロミオの真剣な行動とは百も承知ながら口あんぐりしてしまった点はお許しください。
ユルゲン・ローゼが手掛けた、寒色系を基調にした細やかな貴族達の衣装や装置も度々双眼鏡で観察し
装置の奥まった窓にも赤のカーテンが装着されていたりと隅々まで眺めてしまう美しさ。
一方で前述の通り、カーニバルでは黄色や赤を入れた目にも楽しいお祭りデザインな衣装を用い、振付も衣装や装置、美術含め見所が凝縮。
マクミラン版よりも前に作られていながらシュツットガルトバレエ団来日公演においても
これまで全編通しては鑑賞していなかったことを悔やみ、早い再演を待ち望んでおります。
ゲスト無しで3日間連日大入の東京文化会館上演、成功を心から祝します。
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ロビーに現れたバルコニー。立ち入り、勿論懸垂も禁止です笑。
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帰りは久々のご登場、ムンタ先輩と上野駅近くのトラットリア・イタリアへ。先輩はノンアルコールビール、私は白ワインでまずは乾杯。
おすすめメニューにあったソーセージが想像以上にボリュームあり、シラスとブロッコリーのアヒージョもワインに合います。
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赤ワインとジェノベーゼピザ。ロミオとジュリエットの後は赤ワインが欠かせぬ管理人。
ピザは耳の部分までふわっとかりっと香ばしく、美味しくいただきました。具だくさんでカーニバルな彩りです。
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2人で分け合おうとドルチェの盛り合わせ。仰天級の量、種類も豊富でこれで1000円はお値打ちでしょう。
ティラミス、ジェラードにベイクドチーズケーキ、キャラメルムース、ガトーショコラ、パンナコッタ。少しずつ様々なドルチェを頬張り大満足。
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半個室風の席を予約。入口には赤茶色のカーテンも付き、入ると回廊のような内装でまさにロミオとジュリエットの世界の建造物で食事をした気分となりました。
真里亜さんのジュリエット、素敵でしたね~♪
返信削除どんどん変化していくジュリエットの感情表現に感動でした。
再演、私も強く希望しています。
真里亜さんのこと、応援していきましょう~!
Aki Ogawa
Aki様
返信削除こんばんは。お読みいただきありがとうございました!足立さんの東京本公演主役デビュー、感無量の公演であったかと存じます!
はい、あんなにあどけない少女であったジュリエットが恋に突き進んでいく姿を全身で表していましたよね。
初めて観たクランコ版の演出振付の工夫にも目を見張り、再演が待たれます。
足立さん、これからのご活躍も益々楽しみです!